JP4211295B2 - バリア膜付き光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面平滑性に優れたバリア膜付き光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表示素子用基板にはガラス基板が採用されてきたが、ガラス基板を用いた表示素子においては、ガラス基板自体が厚いため表示素子自体の薄型化が困難であると共に、軽量化しにくいという欠点があり、更に耐衝撃性の点で問題があった。
このガラス基板型表示素子のもつ欠点を改善する方法として、光学用高分子シートを用いて液晶表示素子を作製することにより、軽量化、耐衝撃性の向上が検討されている。
例えば、特開昭53−68099号公報及び特開昭54−126559号公報には、ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質を蒸着した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表示素子を連続して製造することが示されているが、研磨により極めて良好な平滑性が得られるガラス基板と異なり、高分子シートの場合には表面の平滑性に優れているとは言い難いものであった。特に、高精細な表示を目的としたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子とした場合には、間隔を0.1μm単位で制御された基板間の液晶の複屈折性を利用して表示を行うために前記の高分子シートの表面平滑性が極めて重大である。また、自発光で高速駆動、高精細な表示を目的としたエレクトロルミネッセンス(EL)表示素子等の場合には、発光層が0.1μm単位の厚みで制御されるため、基板表面凹凸による表示欠陥(ダークスポット)が発生することや、基板表面凹凸によりガスバリア膜に欠陥が生じるために、発生するダークスポットの成長といった表示欠陥が問題となっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、表示素子、特にバリア欠陥低減による表示欠陥の低減されたEL素子用途に適用可能な優れた表面平滑特性およびバリア特性を有する生産性良好なバリア膜付き光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は
(1)高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上の穴が無い、アクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を架橋させて成る紫外線硬化樹脂層を積層し、前記紫外線硬化樹脂層上に有機金属化合物を主原料としたバリア膜を積層して成るバリア付き光学フィルムシート。
(2) アクリレートモノマーがイソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含む(1)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(3) 前記紫外線硬化樹脂層の厚みが、0.3〜6μmである(1)または(2)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(4) バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ge、Ta、Zr、V、から選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物を主成分とする(1)〜(3)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(5) バリア膜の炭素含有量(C)とバリア膜を形成する金属含有量(M)との比(C/M)がESCAの測定において、0.2〜0.001である(1)〜(4)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(6)前記高分子材料からなる基材のガラス転移温度が160℃以上である(1)〜(5)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(7)前記高分子材料からなる基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする(1)〜(6)のバリア膜付き光学フィルムシート。
(8)(1)〜(7)のバリア膜付き光学フィルムシートを用いた表示素子。
(9)(1)〜(7)のバリア膜付き光学フィルムシートを用いたエレクトロルミネッセンス表示素子。
である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、高分子材料からなる基板にアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を積層・硬化し、更に、有機金属化合物を原料とするバリア膜を紫外線硬化性樹脂層上に成膜することで得られた、有機EL表示素子にも適用可能な表面性を有する生産性良好なバリア膜付き光学フィルムシートであり、これを用いた表示素子である。
【0006】
本発明の光学フィルムシートの紫外線硬化樹脂層は、その表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さ10nm以上の穴が無い表面であり、用いられる紫外線硬化性樹脂組成物はアクリレートモノマーを主成分とするものである。
【0007】
表面粗さ算術平均値(Ra)が10nm以上の場合は、表示素子において表示の不均一性が発生すると言った問題がある。また、表面粗さ算術平均値(Ra)が10nmよりも小さい場合でも、表面粗さにおける最大高さ(Ry)が0.3μm以上の凸状形状が存在すること、または、穴状欠陥が存在しその穴形状が表面粗さの平均線からの深さが10nm以上の場合は、表示素子の不均一性を引き起こすばかりでなく、積層するバリア膜にクラックや穴状欠陥が発生し易くなり、フィルムシート自体のバリア性能を低下させると言った問題が起こる。その結果、液晶表示素子では素子内部での気泡発生、エレクトロルミネッセンス素子では表示欠陥の発生及び表示欠陥部分の成長拡大と言った、表示素子自体の信頼性を大きく低下させる問題が発生する。
【0008】
紫外線硬化樹脂層の厚みは0.3〜6μmの範囲が好ましい。紫外線硬化樹脂組成物の厚みは用いる基材の平滑性、特に最大高さ(Ry)に依存するが、0.3μm以下の場合は、基材の凹凸を平坦化する効果に乏しい。また、厚みが6μm以上の場合は、厚みの均一性が低下する問題や、紫外線硬化樹脂によっては、基材の柔軟性に追従できず破壊劣化を起こすと言った問題が生じる恐れがある。
【0009】
前記の平滑性を有する紫外線硬化樹脂層を積層する方法としては、キスコート法、バーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法等を用いて、紫外線硬化樹脂組成物を塗布成膜した後に紫外線硬化する湿式塗布方法や、紫外線硬化性樹脂組成物の表面に研磨されたガラス等の固体基板を接触させながら硬化成膜する転写法等を挙げることができる。生産性等を考慮すると湿式塗布法が好ましいが、本発明のバリア付き光学フィルムシートを得る方法としては成膜方法に何ら制限はない。
【0010】
本発明のアクリレートモノマーは特に限定はしないが、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌール酸EO変性アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いる方法、また1官能のアクリレートを混合して用いる方法は硬化収縮を小さく抑える点でより好ましい。また、特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを主成分とすることが好ましい。
また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、溶剤、シリコン系、フッ素系のレベリング材、シリコン系、チタネート系のシランカップリング材等を添加しても良い。
【0011】
本発明のバリア膜の主原料は有機金属化合物である。本発明に用いる有機金属化合物は目的の金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物が得られる原料であれば特に制限はないが、例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce 、Ge、Ta、Zr、V等の1種以上の金属を含む有機金属化合物を用いることができ、
生産性およびバリア性から金属珪素化合物が好ましく、中でも1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチレンジシラザンが特に好ましい。積層するバリア膜は厚すぎると曲げ応力によるクラックの恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれもガスバリア性が悪くなる。上記のことより、バリア膜の厚みは5nm〜500nmの範囲が好ましいが、特に限定はしない。
【0012】
本発明のバリア膜は、上記のように金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物を主成分とするが、有機金属化合物由来であるため、わずかに炭素を含有する。本発明のバリア膜における炭素含有量(C)とバリア膜を形成する金属含有量(M)との比(C/M)はESCAの測定において、0.2〜0.001であることが好ましい。C/Mが0.2を超える場合は、作製されるバリア膜のガスバリア性能が低下する恐れがある。また、有機金属化合物を用いない場合は作製されるバリア膜の(C/M)が0.001以下になり、事実上不純物として炭素が含有しないバリア膜が得られる。この場合、膜自体のフレキシブル性が低下し、フィルムシートの変形によりバリアにクラック欠陥が入り易くなる。
【0013】
バリア膜の成膜方法としてはCVD法が好ましく、中でも常圧CVD法、プラズマCVD法等が好ましいが、特に限定しない。また、主原料である金属化合物以外に、酸素、窒素、笑気ガス、ヘリウム、アンモニアガス等の原料ガスを添加することができる。
また、本発明のバリア膜は、異なる種類の無機酸化物、無機窒化物もしくは無機酸化窒化物を主成分とする膜が多数積層する構造やバリア膜/紫外線硬化樹脂層/バリア膜を交互に積層する層構成でも良い。バリアの信頼性を考えると単層のバリア膜よりも前記に示す多層構造バリア膜が好ましく、バリア膜/紫外線硬化樹脂層/バリア膜を交互に積層するのがより好ましい。前記多層膜の紫外線硬化樹脂層としては、本発明に用いるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化樹脂組成物を用いることができるが、特に限定はされない。
【0014】
本発明のバリア膜付き光学フィルムシートに用いる基材は、表示素子の製造環境温度に耐えうる必要があり、そのガラス転移温度は160℃以上であることが望ましい。例として、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、シンジオタクチックポリスチレン、シクロポリオレフィン及びそのコポリマー、イミド変性ポリメチルメタクリレート等のイミド変性した高分子等によるフィルムシート等があげられるが、特に限定はしない。また、本発明の基材は各層の形成に先立ち、積層する各層との密着力を高めるために脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理、エキシマUV処理等の表面処理が施されていてもよい。上記基材は、押出成形およびキャスティング等の方法でシート化することができ、本発明のバリア膜付き光学フィルムシートは、成形した基材の上にキャスティング、コーティングあるいは各種印刷手法、積層手法等により、紫外線硬化性樹層を積層し、更にその上にバリア膜を積層した構造である。これらの積層は基材の両面に行われても良い。
【0015】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させるための紫外線照射に関しては、必要な波長の光を選択的に照射してもよい。具体的には、照射部に選択透過フィルターをもうけるか、フィルムの塗膜が形成される側とは反対面から照射する方法などが挙げられる。また大気中の酸素によって紫外線効果樹脂の硬化反応が阻害させる場合には、窒素など不活性ガス雰囲気化で照射を行っても良い。紫外線照射量は、365nmまたは254nmの波長か、ある波長を選択的に照射する場合は、紫外線領域で最大照射量となる波長域での照射量を、紫外線照度計によって測定するとよい。
【0016】
【実施例】
以下本発明を実施例によって説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
なお、各フィルムの表面平滑性については目視観察及び超深度レーザー顕微鏡または原子間力顕微鏡(AFM)にて評価した。超深度レーザー顕微鏡は1mm x 1.4mmの領域を測定し、AFMは20μm×20μm角の領域を測定した。
また、バリア膜の炭素含有量(C)とバリア膜を形成する金属含有量(M)との比(C/M)はX線光電子分光分析装置(ESCA)により各元素のピーク面積測定し、含有金属量で規格化した。
バリア性については、モコン社製のパーメトランを用いて水蒸気バリア性をJIS−K7129−B法にて評価した。
バリア膜のフレキシブル性は、30mm直径の円筒に180°巻き付けの曲げ試験後、クラックを顕微鏡観察することで評価した。
【0017】
<実施例1>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)を基材とした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)30重量部、エポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-60LAV)4.5重量部、ウレタンアクリレート(大日本インキ社製 ユニディック17-806)3重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.5重量部、メチルセロソルブアセテート12重量部、酢酸ブチル40重量部,ブチルセロソルブ7.0重量部にて撹拌溶解してRC=36wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
作製した紫外線硬化樹脂積層フィルムの紫外線硬化樹脂面上にプラズマCVD法によりバリア膜を積層した。原料ガスとして1,1,1,3,3,3−ヘキサメチレンジシラザン(以下HMDSと略す)、酸素を用い、RFパワー300W、基板温度180℃の条件でバリア膜を作製した。
作製した紫外線硬化樹脂積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.1μmで、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。バリア膜付き基板のESCAの測定結果においてSiOを主成分とする膜がバリア膜として積層され、C/M=0.11であることが確認された。得られたバリア膜付き基板の水蒸気透過率をMocon法により測定した結果、検出限界以下の良好なバリア性が得られ、また、曲げ試験後のバリア基板はクラックが発生していなかった。
【0018】
<実施例2>
実施例1で作製した紫外線硬化樹脂積層PES基板に、プラズマCVD法によりバリア膜を積層した。原料ガスとしてHMDS、酸素、アンモニアを用い、RFパワー300W、基板温度180℃の条件でバリア膜を作製した。
作製した紫外線硬化樹脂積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.1μmで、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。バリア膜付き基板のESCAの測定結果においてSiONを主成分とする膜がバリア膜として積層され、C/M=0.12であることが確認された。得られたバリア膜付き基板の水蒸気透過率をMocon法により測定した結果、検出限界以下の良好なバリア性が得られ、また、曲げ試験後のバリア基板はクラックが発生していなかった。
【0019】
<実施例3>
実施例1で作製した紫外線硬化樹脂積層PES基板に、プラズマCVD法によりバリア膜を積層した。原料ガスとしてHMDS、アンモニアを用い、RFパワー500W、基板温度180℃の条件でバリア膜を作製した。
作製した紫外線硬化樹脂積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.1μmで、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。バリア膜付き基板のESCAの測定結果においてSiNを主成分とする膜がバリア膜として積層され、C/M=0.10であることが確認された。得られたバリア膜付き基板の水蒸気透過率をMocon法により測定した結果、検出限界以下の良好なバリア性が得られ、また、曲げ試験後のバリア基板はクラックが発生していなかった。
【0020】
<比較例1>
実施例1で作製した紫外線硬化樹脂積層PES基板に、パルスDCマグネトロン法により、初期真空度3×10-4Paの状態から酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入して3×10-1Paの条件下においてシリコンターゲットにてスパッタリングを行い、基板上にバリア膜を作製した。得られたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は測定限界以下の値(<0.1g/m2/day)を示し、バリア性が良好であった。。
作製した紫外線硬化樹脂積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.1μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。バリア膜付き基板のESCAの測定結果においてSiOx膜がバリア膜として積層され、C/M=0であることが確認された。得られたバリア膜付き基板の水蒸気透過率をMocon法により測定した結果、検出限界以下の良好なバリア性が得られたが、曲げ試験後においてクラックが発生し、バリア性の低下が確認された。
【0021】
<比較例2>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)を基材とした。紫外線硬化性樹脂組成物としてエポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-60LAV)20重量部、ウレタンアクリレート(大日本インキ社製 ユニディック17-806)14重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.2重量部、メチルセロソルブアセテート15重量部、酢酸ブチル40重量部,ブチルセロソルブ6.0重量部にて撹拌溶解してRC=26.4wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
作製した紫外線硬化樹脂積層PES基板に、プラズマCVD法によりバリア膜を積層した。原料としてHMDS、キャリアガスとして酸素とアンモニアを用い、RFパワー300W、基板温度180℃の条件でバリア膜を作製した。
作製したバリア膜付き基板のESCAの測定結果においてSiON膜がバリア膜として積層され、C/M=0.12であることが確認された。また、用いた紫外線硬化樹脂積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.8nm、Ry=0.5μm、深さ10nm以上の穴欠点が20μm□サイズに5点確認された。得られたバリア膜付き基板は曲げ試験後においてクラックが発生していなかったが、水蒸気透過率をMocon法により測定した結果、0.2g/m2/dayであり、Mocon測定装置の検出範囲であった。
【0022】
<実施例4>
実施例2で作製したバリア膜付き基板上に透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10-4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10-1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10-4Ω−cmであった。
得られた透明電極/バリア膜/紫外線硬化樹脂層/PES基板を用いて、有機EL素子を作製した。ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)の陰極を200nm蒸着し有機EL素子を作製した。陰極側を紫外線硬化樹脂シール材を用いてガラス基板で防湿封止した。
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、発光部分に素子劣化は見られず、初期発光特性同等の良好な素子特性を示した。
【0023】
<比較例3>
比較例2で作製したバリア膜付き光学フィルムシート上に、実施例4と同様な手法にてバリア膜を成膜した後に、透明電極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極を順じ成膜し、有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、作製初期から非発光部が確認され、保管後確認したところ素子全面に劣化が進行し、ほとんど発光部分が観察出来なかった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば平滑性に優れたバリア膜付き光学フィルムシートが作製でき、従来ではプラスチック基板の適用が難しかったEL表示素子もプラスチック化が可能になる。更に、本発明は、ロールトゥロールの生産方式の適用も可能であるため、生産性高くバリア膜付き光学フィルムシートを提供できるため、産業上極めて有用である。
Claims (9)
- 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上の穴が無い、アクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を架橋させて成る紫外線硬化樹脂層を積層し、前記紫外線硬化樹脂層上に有機金属化合物を主原料としたバリア膜を積層して成るバリア付き光学フィルムシート。
- 前記アクリレートモノマーがイソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含む請求項1記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 前記紫外線硬化樹脂層の厚みが、0.3〜6μmである請求項1または2記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 前記バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ge、Ta、Zr、V、から選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物を主成分とする請求項1〜3何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 前記バリア膜の炭素含有量(C)とバリア膜を形成する金属含有量(M)との比(C/M)がESCAの測定において、0.2〜0.001であることを特徴とする1〜4何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 前記高分子材料からなる基材のガラス転移温度が160℃以上である請求項1〜5何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 前記高分子材料からなる基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする請求項1〜6何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシート。
- 請求項1〜7何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシートを用いた表示素子。
- 請求項1〜7何れか一項記載のバリア膜付き光学フィルムシートを用いたエレクトロルミネッセンス表示素子。
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