JP4145636B2 - 光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子 - Google Patents

光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面平滑性に優れた光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表示素子用基板にはガラス基板が採用されてきたが、ガラス基板を用いた表示素子においては、ガラス基板自体が厚いため表示素子自体の薄型化が困難であると共に、軽量化しにくいという欠点があり、更に耐衝撃性の点で問題があった。
【0003】
このガラス基板型表示素子のもつ欠点を改善する方法として、光学用高分子シートを用いて液晶表示素子を作製することにより、軽量化、耐衝撃性の向上が検討されている。
ガラス基板の代わりに導電性酸化金属物質を蒸着した長尺のポリエステルフィルムを用いて液晶表示素子を連続して製造することが示されている(例えば、特許文献1,2参照。)。しかしながら、研磨により極めて良好な平滑性が得られるガラス基板と異なり、高分子シートの場合には表面の平滑性に優れているとは言い難いものであった。特に、高精細な表示を目的としたSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子とした場合には、間隔を0.1μm単位で制御された基板間の液晶の複屈折性を利用して表示を行うために前記の高分子シートの表面平滑性が極めて重大である。また、自発光で高速駆動、高精細な表示を目的としたエレクトロルミネッセンス(EL)表示素子等の場合には、発光層が0.1μm単位の厚みで制御されるため、基板表面の突起欠陥または穴状欠陥が起因となる素子構造不良による表示欠陥(ダークスポット)が発生することや、基板表面の突起欠陥または穴状欠陥によりガスバリア膜に欠陥が生じるために、EL素子内部に水分子が透過して発光層もしくは仕事関数の小さい陰極材料を劣化させることがあり表示欠陥部分の成長といった問題があった(例えば、非特許文献1参照。)。また、表示素子は素子駆動のために電極パターンを加工することが必要であり、基板が搬送されるウエットプロセスでの基板上積層膜の層間密着性が高く、耐水性・耐薬品性に優れることが使用する基板には望まれている。更には、表示素子の信頼性を評価する上で、高温高湿度環境における加速試験においても基板上積層膜の層間密着性に優れることが使用する基板には望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭53−68099号公報
【特許文献2】
特開昭54−126559号公報
【非特許文献1】
「OPTRONICS」,No.3,p122-123(2001)記事
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、表示素子、特にバリア欠陥低減による表示欠陥の低減されたEL素子用途に適用可能な優れた表面平滑特性を持つ光学フィルムシートおよびこれを用いた表示素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は
(1) 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無いことを特徴とする光学フィルムシート。
(2) 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無いことを特徴とする光学フィルムシート。
(3) 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起も無いことを特徴とする光学フィルムシート。
(4) 前記アクリレートモノマーが、エポキシアクリレートモノマーを含むことを特徴とする(1)〜(3)の光学フィルムシート。
(5) 前記アクリレートモノマーがビスフェノールA型エポキシジアクリレートを含む(1)〜(4)の光学フィルムシート。
(6) 前記アクリレートモノマーが4臭素化ビスフェノールA型ジエポキシジアクリレートを含む(1)〜(5)の光学フィルムシート。
(7) 前記アクリレートモノマーがノボラック型エポキシアクリレートを含む(1)〜(6)の光学フィルムシート。
(8) 前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の厚みが、0.3〜6μmである(1)〜(7)の光学フィルムシート。
(9) 前記紫外線硬化性樹脂組成物が硬化前の状態で紫外線硬化する際の環境下で流動性を示す液体であり、前記高分子材料からなる基板上での前記紫外線硬化性樹脂組成物の溶融接触角が10°より小さいことを特徴とする(1)〜(8)の光学フィルムシート。
(10) 前記乾燥の方法が、異なる乾燥温度を2段階以上経由して乾燥するものであり、乾燥温度の最低値が最も沸点の低い溶剤の沸点より低く、乾燥温度の最高値が最も沸点の高い溶剤の沸点より低い温度条件で、硬化前に残留溶剤量を1wt%以下まで乾燥することを特徴とする(1)〜(9)の光学フィルムシート。
(11) 前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層上にバリア膜が積層されていることを特徴とする(1)〜(10)の光学フィルムシート。
(12) 前記バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Taから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物またはハロゲン化物を主成分とする(1)〜(11)の光学フィルムシート。
(13) ウエットプロセスにおけるTMAH水溶液60分浸漬処理において、前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層と前記バリア膜との層間剥離が起こらないことを特徴とする(11)、(12)記載の光学フィルムシート。
(14)40℃、湿度90%の環境下に、24時間暴露しても、前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層と前記バリア膜との層間剥離が起こらないことを特徴とする(11)〜(13)の光学フィルムシート。
(15) 前記基材のガラス転移温度が160℃以上である(1)〜(14)の光学フィルムシート。
(16) 前記基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする(1)〜(15)の光学フィルムシート。
(17) (1)〜(16)の光学フィルムシートを用いた表示素子。
(18) (1)〜(16)の光学フィルムシートを用いたエレクトロルミネッセンス表示素子。
である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、高分子材料からなる基板との濡れ性の優れたアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を基板上に積層することで得られた、有機EL表示素子にも適用可能な表面性を有する光学フィルムシートであり、これを用いた表示素子である。
【0008】
本発明の光学フィルムシートは、少なくとも紫外線硬化性樹脂組成物を積層した面の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さ10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴が無い、および/または紫外線硬化性樹脂組成物の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無い表面であり、用いられる紫外線硬化性樹脂組成物はアクリレートモノマーを主成分とするものである。
【0009】
表面粗さ算術平均値(Ra)が10nm以上の場合は、表示素子において表示の不均一性が発生すると言った問題がある。また、表面粗さ算術平均値(Ra)が10nmよりも小さい場合でも、表面粗さにおける最大高さ(Ry)が0.3μm以上の凸状形状が存在すること、または、穴状欠陥が存在しその穴形状が表面粗さの平均線からの深さが10nm以上で、穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい場合は、表示素子の不均一性を引き起こすばかりでなく、積層するバリア膜にクラックや穴状欠陥が発生し易くなり、フィルムシート自体のバリア性能を低下させると言った問題が起こる。その結果、液晶表示素子では素子内部での気泡発生、エレクトロルミネッセンス素子では表示欠陥の発生及び表示欠陥部分の成長拡大と言った、表示素子自体の信頼性を大きく低下させる問題が発生する。
【0010】
更に、表面粗さ算術平均値(Ra)が10nmよりも小さい場合でも、表面粗さにおける最大高さ(Ry)が0.3μm以上の凸状形状が存在すること、また、その突起の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい場合は、表示素子の不均一性を引き起こすばかりでなく、積層するバリア膜にクラックや膜厚不均一が発生し易くなりフィルムシート自体のバリア性能を低下させると言った問題が起こる。その結果、液晶表示素子では素子内部での気泡発生や基板間ギャップの不均一による表示不良、エレクトロルミネッセンス素子では非点灯欠陥の発生及び非点灯欠陥部分の成長拡大と言った、表示素子自体の信頼性を大きく低下させる問題が発生する。紫外線硬化性樹脂組成物表面の突起形状を表現する、最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)における最大高さとは、樹脂表面粗さの平均線からの突起の最大高さを示す。また、幅の最小値とは、局所的な突起を樹脂表面粗さの平均線で2次元に切り出した場合の突起のすそのに対応する面形状の最小距離を示す。つまり、突起の表面粗さ平均線における面形状が扁平していた場合に、最も急峻なアスペクト比を算出することができる。
【0011】
紫外線硬化性樹脂組成物の厚みは0.3〜6μmの範囲が好ましい。紫外線硬化性樹脂組成物の厚みは用いるベースフィルムシートの平滑性、特に最大高さ(Ry)に依存するが、0.3μm以下の場合は、ベースフィルムの凹凸を平坦化する効果に乏しい。また、厚みが6μm以上の場合は、厚みの均一性が低下する問題や、紫外線硬化性樹脂組成物によっては、ベースフィルムシートの柔軟性に追従できず破壊劣化を起こすと言った問題が生じる恐れがある。
【0012】
前記の平滑性を有する紫外線硬化性樹脂組成物を積層した光学フィルムシートの作製方法としては、キスコート法、バーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法等を用いて、紫外線硬化性樹脂を溶剤に溶解し塗布成膜した後に紫外線硬化する湿式塗布方法や、紫外線硬化性樹脂組成物の表面に研磨されたガラス等の固体基板を接触させながら硬化成膜する転写法等を挙げることができる。生産性等を考慮すると湿式塗布法が好ましいが、本発明の光学フィルムシートを得る方法としては成膜方法に何ら制限はない。
【0013】
また、湿式塗布法においては、用いるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物とベースフィルムとの濡れ性を良好にすることが好ましく、本検討を進める中で用いるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物の紫外線硬化前の樹脂組成物とベースフィルムとの溶融接触角が10°より小さい場合に上記の平滑性が得られることが見出された。本検討の溶融接触角とは、紫外線硬化性樹脂組成物を積層するベースフィルムが紫外線硬化前に曝される雰囲気温度の上限温度での、ベースフィルムと硬化前紫外線樹脂組成物の接触角である。
【0014】
また、本検討に用いるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を少なくとも沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解させた後に、ベースフィルム上に塗布し、溶剤が十分乾燥した後に紫外線硬化させることも好ましい。紫外線樹脂組成物を溶解する溶剤の種類が単一組成であると、ベースフィルム上の紫外線樹脂組成物ドープ溶剤液の濃度が、溶剤乾燥時において急激に変化し、紫外線樹脂組成物表面の凹凸発生が顕著になる。また、紫外線硬化性樹脂組成物と溶剤の組成比は20:80〜60:40であることが好ましい。組成比が溶剤リッチの場合は、塗布後の外観が悪くなるばかりでなく、揮発する溶剤の相対量が多くなるため、紫外線硬化後の表面凹凸が改善され難く、組成比が樹脂組成物リッチの場合は局所的な表面凹凸は改善されるものの、長周期的な表面うねりが発生することがあり、外観不良が発生しやすくなる。
【0015】
用いる溶剤を乾燥させる雰囲気温度は、異なる温度雰囲気を2段階以上経由して溶剤乾燥するステップ乾燥が好ましく、更には、用いる溶剤が2種以上であり、乾燥温度の最低値が最も沸点の低い溶剤の沸点より低く、乾燥温度の最高値が最も沸点の高い溶剤の沸点より低い温度条件で、硬化前に残留溶剤量を1wt%以下まで乾燥することがより好ましい。溶剤間の沸点の差が、ステップ乾燥に用いる温度雰囲気差よりも小さい場合は、乾燥時の急激な温度差により、溶剤の揮発速度が大きくなるため、樹脂組成物の表面平滑性が低下する恐れがある。
【0016】
本発明のアクリレートモノマーは特に限定はしないが、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌール酸EO変性アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ノルボルネンアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いる方法、また1官能のアクリレートを混合して用いる方法は硬化収縮を小さく抑える点でより好ましい。また、特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを主成分とすることが好ましく、更に、アクリレートモノマーから成る紫外線硬化性樹脂組成物の表面にバリア膜のような無機膜を積層する場合は、紫外線硬化性樹脂組成物と無機膜との層間密着性に優れることからエポキシアクリレートを含むことが好ましく、中でもビスフェノールA型エポキシジアクリレート、4臭素化ビスフェノールA型ジエポキシジアクリレート、ノボラック型エポキシアクリレートがより好ましい。これらのアクリレートモノマーは、単独で用いても複数種を混合して用いても良い。
また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系のレベリング材、シリコン系、チタネート系、メルカプト系のシランカップリング材等を添加しても良い。
【0017】
本発明の光学フィルムシートは、バリア膜が積層されていても良く、そのバリア膜に関して何ら制限はないが、バリア膜は水蒸気バリア性および/または酸素バリア性を有することが好ましい。また、その材質についても特に制限はしないが、バリア特性に温度湿度依存性が少ない無機物質を主構成とするバリア膜が好ましい。例えばSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce 、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Ta等の1種以上を含む酸化物もしくは窒化物もしくは酸化窒化物もしくはハロゲン化合物などを用いることができる。無機物層は厚すぎると曲げ応力によるクラックの恐れがあり、薄すぎると膜が島状に分布するため、いずれもガスバリア性が悪くなる。上記のことより、それぞれの無機物層の厚みは5nm〜500nmの範囲が好ましいが、特に限定はしない。また、それぞれの無機物層は同じ組成でも別の組成でも良く制限はない。ガスバリア性と高透明性を両立させるには無機層として珪素酸化物や珪素酸化窒化物を使うのが好ましい。また、無機膜の成膜方法としては抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、常圧CVD法等が適用でき、目的の無機酸化物、無機窒化物、無機窒化酸化物、無機ハロゲン化合物が得られる方法であれば制限はない。
【0018】
また、無機物質を主構成とするバリア膜としては、異なる種類の無機酸化物、無機窒化物もしくは無機酸化窒化物を多数積層する構造や無機層/有機層/無機層を交互に積層する層構成のバリア膜がある。バリアの信頼性を考えると単層の無機バリア膜よりも前記に示す多層構造バリア膜が好ましく、無機層/有機層/無機層を交互に積層するバリア膜がより好ましい。前記多層膜の有機層としては、本発明に用いるアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物が好ましいが、特に限定はされない。
【0019】
本発明の光学フィルム及びシートに用いるベースフィルムは、表示素子の製造環境温度に耐えうる必要があり、そのガラス転移温度は160℃以上であることが望ましい。例として、ポリエステル、ポリカーボネイト、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、シンジオタクチックポリスチレン、シクロポリオレフィン及びそのコポリマー、イミド変性ポリメチルメタクリレート等のイミド変性した高分子等によるフィルムシート等があげられるが、特に限定はしない。また、本発明のベースフィルムは各層の形成に先立ち、積層する各層との密着力を高めるために脱ガス処理、コロナ放電処理、火炎処理UVオゾン処理、エキシマUV処理等の表面処理が施されていてもよい。上記ベースフィルムは、押出成形およびキャスティング等の方法でシート化することができ、本発明の光学フィルム及びシートは、成形したベースフィルムの上にキャスティング、コーティングあるいは各種印刷手法、積層手法等により、紫外線硬化性樹脂組成物を積層した構造である。
【0020】
本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させるための紫外線照射に関しては、必要な波長の光を選択的に照射してもよい。具体的には、照射部に選択透過フィルターをもうけるか、フィルムの塗膜が形成される側とは反対面から照射する方法などが挙げられる。また大気中の酸素によって紫外線効果樹脂の硬化反応が阻害させる場合には、窒素など不活性ガス雰囲気化で照射を行っても良い。紫外線照射量は、365nmまたは254nmの波長か、ある波長を選択的に照射する場合は、紫外線領域で最大照射量となる波長域での照射量を、紫外線照度計によって測定するとよい。
【0021】
【実施例】
以下本発明を実施例によって説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0022】
なお、各フィルムの表面平滑性については目視観察及び超深度レーザー顕微鏡または原子間力顕微鏡(AFM)にて評価した。超深度レーザー顕微鏡は1mm x 1.4mmの領域を測定し、AFMは20μm×20μm角の領域を測定した。
【0023】
バリア性については、モコン社製のパーメトランを用いて水蒸気バリア性をJIS−K7129−B法にて評価した。
バリア膜と紫外線硬化性樹脂組成物の密着性は、透明電極パターン加工性および水蒸気バリア性評価後のバリア膜を碁盤目剥離試験することで評価した。
【0024】
<実施例1>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)30重量部、エポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-60LAV)4.5重量部、ウレタンアクリレート(大日本インキ社製 ユニディック17-806)3重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.5重量部、メチルセロソルブアセテート(沸点=145℃)12重量部、酢酸ブチル(沸点=126℃)40重量部,ブチルセロソルブ(沸点=170℃)7.0重量部にて撹拌、溶解してRC=36wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物はペースト状の軟化状態であり、PESと硬化前の樹脂組成物の120℃での溶融接触角は2.2°であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0025】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.1μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0026】
<実施例2>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)40重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)2.5重量部、メチルセロソルブアセテート(沸点=145℃)8.5重量部、乳酸エチル(沸点=155℃)30重量部,ブチルセロソルブ(沸点=170℃)6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=48.8wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で5分間続いて120℃で2分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物はペースト状の軟化状態であり、PESと硬化前の樹脂組成物の120℃での溶融接触角は1.0°であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0027】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.3nm、Ry=0.03μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0028】
<実施例3>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてエポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-60LAV)20重量部、ウレタンアクリレート(大日本インキ社製 ユニディック17-806)14重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.2重量部、メチルセロソルブアセテート(沸点=145℃)15重量部、酢酸ブチル(沸点=126℃)40重量部,ブチルセロソルブ(沸点=170℃)6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=26.4wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物はペースト状の軟化状態であり、PESと硬化前の樹脂組成物の120℃での溶融接触角は18°であった。乾燥後の樹脂組成物の表面にRa=0.3nm、Ry=5nmのシリコンウエハーを接触転写させながら、光学フィルムシートを通して高圧水銀灯にて450mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化させた。紫外線硬化後の樹脂表面からシリコンウエハーを取り除くことで紫外線硬化性樹脂組成物付き光学フィルムシートを作製した。
【0029】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.01μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0030】
<実施例4>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)30重量部、エポキシアクリレート(東亞合成社製 M-211B)7.5重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.1重量部、メチルセロソルブアセテート 10.8重量部、酢酸ブチル 36重量部,ブチルセロソルブ 6.3重量部にて撹拌、溶解してRC=42wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物は粘調な液体状態であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ4μm厚の硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0031】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.5nm、Ry=0.2μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、20μm×20μm角の領域における局所的な突起形状の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)の最大値は0.15であり、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0032】
<実施例5>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)30重量部、ノルボレネンジアクリレート(日本化薬社製 KAYARAD R-684)10重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)2.0重量部、メチルセロソルブアセテート 9.0重量部、酢酸ブチル 30重量部,ブチルセロソルブ 6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=48.3wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物は粘調な液体状態であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ4μm厚の硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0033】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.3nm、Ry=0.03μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、20μm×20μm角の領域における局所的な突起形状の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)の最大値は0.08であり、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0034】
<実施例6>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてイソシアヌール酸EO変性トリアクリレート(東亞合成製 M−315)30重量部、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-77)10重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)2.0重量部、メチルセロソルブアセテート 9.0重量部、酢酸ブチル 30重量部,ブチルセロソルブ 6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=48.3wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物は粘調な液体状態であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ4μm厚の硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0035】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、Ry=0.06μm、深さ10nm以上の穴欠点が無く、20μm×20μm角の領域における局所的な突起形状の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)の最大値は0.09であり、目視外観の良好な非常に平滑性の高いフィルムであった。
【0036】
<比較1>
ポリエーテルスルホン(住友化学社製VICTREXPESー4100P Tg:223℃)を50mmφ押出実験機でシリンダー温度350℃の条件にて溶融混練し、Tダイによりシート状に成形し、周速度1.90m/分の外径300mmφの250℃に保たれたハードクロムメッキ冷却ロールを用いて200μで680mm幅のフィルムを製造した。
【0037】
作製した光学フィルムシートの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.4nm、深さ10nm以上の穴欠点は無かったが、超深度レーザー顕微鏡による評価ではRy=1.6μmであり、1mm x 1.4mmの領域の局所的な突起形状の最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)の最大値は0.53であり、目視外観評価でも部分的に凸状形状が確認された。
【0038】
<比較例2>
厚さ200μm、最大高さ(Ry)が1.0μmポリエーテルスルホン(PES)をベースフィルムとした。紫外線硬化性樹脂組成物としてエポキシアクリレート(昭和高分子社製 VR-60LAV)20重量部、ウレタンアクリレート(大日本インキ社製 ユニディック17-806)14重量部、光開始剤(チバガイギー社製 IRG-907)1.2重量部、メチルセロソルブアセテート(沸点=145℃)15重量部、酢酸ブチル(沸点=126℃)40重量部,ブチルセロソルブ(沸点=170℃)6.0重量部にて撹拌、溶解してRC=26.4wt%の均一な溶液としたものをバーコーターコーターにて塗布し、加熱乾燥機中90℃で2分間続いて120℃で3分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後の紫外線硬化性樹脂組成物はペースト状の軟化状態であり、PESと硬化前の樹脂組成物の120℃での溶融接触角は18°であった。乾燥後の樹脂組成物に、高圧水銀灯にて350mJ/cm2の紫外線を照射させ硬化樹脂組成物をフィルム上に作製した。
【0039】
作製した紫外線硬化性樹脂組成物積層フィルムの表面平滑性をAFMにて評価した。作製した基板はRa=0.8nm、Ry=0.5μm、深さ10nm以上の穴欠点が20μm□サイズに5点確認された。
【0040】
<実施例7>
実施例2で作製した基板上に、パルスDCマグネトロン法により、初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入して3×10−1Paの条件下においてシリコンターゲットにてスパッタリングを行い1000Å厚のバリアSiOx膜を得た。得られたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は測定限界以下の値(<0.1g/m2/day)を示し、バリア性が良好であった。
【0041】
バリア膜上に続いて、透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10−1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10-4Ω−cmであった。
【0042】
得られた透明電極/バリア膜/紫外線硬化性樹脂組成物層/PES基板を用いて、有機EL素子を作製した。ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)の陰極を200nm蒸着し有機EL素子を作製した。陰極側を紫外線硬化性樹脂組成物をシール材とした接着剤を用いてガラス基板で封止した。
【0043】
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、発光部分に素子劣化は見られず、初期発光特性同等の良好な素子特性を示した。
【0044】
<実施例8>
実施例5で作製した基板上に、パルスDCマグネトロン法により、初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入して3×10−1Paの条件下においてシリコンターゲットにてスパッタリングを行い1000Å厚のバリアSiOx膜を得た。得られたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は測定限界以下の値(<0.1g/m2/day)を示し、バリア性が良好であった。
【0045】
バリア膜上に続いて、透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10−1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10-4Ω−cmであった。
【0046】
得られた透明電極/バリア膜/紫外線硬化性樹脂組成物層/PES基板を用いて、有機EL素子を作製した。ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)の陰極を200nm厚に共蒸着し有機EL素子を作製した。紫外線硬化性樹脂組成物のシール材を接着剤として用いて陰極側をガラス基板で封止した。
【0047】
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、発光部分に素子劣化は見られず、初期発光特性同等の良好な素子特性を示した。
【0048】
<実施例9>
実施例6で作製した基板上に、パルスDCマグネトロン法により、初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス9%の混合ガスを導入して3×10−1Paの条件下においてシリコンターゲットにてスパッタリングを行い1000Å厚のバリアSiOx膜を得た。得られたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は測定限界以下の値(<0.1g/m2/day)を示し、バリア性が良好であった。また、バリア性評価(40℃90%24時間)後のSiOx膜面を碁盤目にカットして密着性を評価した結果、碁盤目の剥離及びカットしたエッジの欠けは見られず、耐湿層間密着性が良好であった。
【0049】
バリア膜上に続いて、透明導電膜として、パルスDCマグネトロン法により初期真空度3×10−4Paの状態から酸素/アルゴンガス4%の混合ガスを導入して1×10−1Paの条件下においてITOターゲットにてスパッタリングを行いIn/In+Snの原子比が0.98である酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電膜を得た。測定の結果、膜厚は1000Å、比抵抗は4×10-4Ω−cmであった。
【0050】
得られた透明電極/バリア膜/紫外線硬化性樹脂組成物層/PES基板を用いて、有機EL素子を作製するため、ITOを電極幅100μm/電極間50μmにパターニングした。ITOパターニングのため、ITOにフォトレジスト(東京応化社製:PMER P-LA900PM)を塗布し、パターンを露光した。次にTMAH水溶液に60分間浸漬し不要な感光剤を除去し、ITOをエッチング(塩化第二鉄水溶液)により除去した。パターニング後の基板は、バリア膜のクラックや層間剥離の欠陥が見られず、耐薬品性および層間密着性が良好であった。パターニングの後、ITO陽極の上に正孔輸送層としてTPDを40nm蒸着し、ついで電子輸送層兼発光層としてAlq3を70nm蒸着後、陰極としてAg/Mg(10:1)を用い、メタルマスクにより100μm電極幅、200nm厚に共蒸着し有機EL素子を作製した。紫外線硬化性樹脂組成物のシール材を接着剤として用いて陰極側をガラス基板で封止した。
【0051】
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、発光部分に素子劣化は見られず、初期発光特性同等の良好な素子特性を示した。
【0052】
<比較例3>
比較例1で作製した光学フィルムシート上に、実施例7と同様な手法にてバリア膜を成膜した後に、透明電極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極を順じ成膜し、有機EL素子を作製した。用いたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は1.3g/m2/dayであり、水蒸気の透過が多い傾向が確認された。
【0053】
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、作製初期から非発光部が確認され、保管後確認したところ素子全面に劣化が進行し、ほとんど発光部分が観察出来なかった。
【0054】
<比較例4>
比較例2で作製した光学フィルムシート上に、実施例4と同様な手法にてバリア膜を成膜した後に、透明電極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極を順じ成膜し、有機EL素子を作製した。用いたバリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は0.2g/m2/dayであり、水蒸気の透過が多い傾向が確認された。
【0055】
作製した有機EL素子を室温(23℃、45%RH)に2週間保管した素子を評価した結果、作製初期では非発光部が確認されなかったが、保管後確認したところ非発光部が素子内部に確認された。
【0056】
<比較例5>
比較例1で作製した光学フィルムシート上に、実施例9と同様な手法にてバリア膜を成膜した。バリア膜付き光学フィルムシートの水蒸気透過率は1.3g/m2/dayであり、水蒸気の透過が多い傾向が確認され、更に、バリア性評価(40℃90%24時間)後の碁盤目剥離試験において基板と無機膜の界面において剥離があり、層間密着性も乏しいことが確認された。
【0057】
バリア膜成膜後に透明導電膜を成膜し、透明電極/バリア膜/PES基板を用いて、有機EL素子を作製するため、ITOをパターニングした。パターニングのため、ITOにフォトレジスト(東京応化社製:PMER P-LA900PM)を塗布し、パターンを露光した。次にTMAH水溶液に60分間浸漬し不要な感光剤を除去したが、PES基板とバリア膜の間で層間剥離が発生し、層間密着性に乏しいことが確認された。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば平滑性に優れた光学フィルムシートが作製でき、従来ではプラスチック基板の適用が難しかったEL表示素子もプラスチック化が可能になる。更に、本発明は、ロールトゥロールの生産方式の適用も可能であるため、生産性高く光学フィルムシートを提供できるため、産業上極めて有用である。

Claims (18)

  1. 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無いことを特徴とする光学フィルムシート。
  2. 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起が無いことを特徴とする光学フィルムシート。
  3. 高分子材料からなる基材の少なくとも片面に、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレートを含むアクリレートモノマーを主成分とする紫外線硬化性樹脂組成物を沸点の異なる2種以上の溶剤に溶解して塗布し、乾燥後、紫外線硬化させたフィルムシートであって、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面粗さ算術平均値(Ra)がRa<10nm、最大高さ(Ry)がRy<0.3μmであり、且つ平均線からの深さが10nm以上で穴深さと穴直径のアスペクト比(穴深さ/穴直径)が0.2よりも大きい穴の無く、紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の表面に最大高さと幅の最小値のアスペクト比(最大高さ/幅最小値)が0.2よりも大きい局所的な突起も無いことを特徴とする光学フィルムシート。
  4. 前記アクリレートモノマーが、エポキシアクリレートモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  5. 前記アクリレートモノマーがビスフェノールA型エポキシジアクリレートを含む請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  6. 前記アクリレートモノマーが4臭素化ビスフェノールA型ジエポキシジアクリレートを含む請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  7. 前記アクリレートモノマーがノボラック型エポキシアクリレートを含む請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  8. 前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層の厚みが、0.3〜6μmである請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  9. 前記紫外線硬化性樹脂組成物が硬化前の状態で紫外線硬化する際の環境下で流動性を示す液体であり、前記高分子材料からなる基板上での前記紫外線硬化性樹脂組成物の溶融接触角が10°より小さいことを特徴とする請求項1〜何れか一項記載の光学フィルムシート。
  10. 前記乾燥の方法が、異なる乾燥温度を2段階以上経由して乾燥するものであり、乾燥温度の最低値が最も沸点の低い溶剤の沸点より低く、乾燥温度の最高値が最も沸点の高い溶剤の沸点より低い温度条件で、硬化前に残留溶剤量を1wt%以下まで乾燥することを特徴とする請求項1〜9何れか一項記載の光学フィルムシート。
  11. 前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層上にバリア膜が積層されていることを特徴とする請求項1〜10何れか一項記載の光学フィルムシート。
  12. 前記バリア膜がSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Mg、La、Cr、Ca、Zr、Taから選ばれる1種以上を含む酸化物または窒化物または酸化窒化物またはハロゲン化物を主成分とする請求項11記載の光学フィルムシート。
  13. ウエットプロセスにおけるTMAH水溶液60分浸漬処理において、前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層と前記バリア膜との層間剥離が起こらないことを特徴とする請求項11または12記載の光学フィルムシート。
  14. 40℃、湿度90%の環境下に、24時間暴露しても、前記紫外線硬化性樹脂組成物硬化層と前記バリア膜との層間剥離が起こらないことを特徴とする請求項11〜13何れか一項記載の光学フィルムシート。
  15. 前記基材のガラス転移温度が160℃以上である請求項1〜14何れか一項記載の光学フィルムシート。
  16. 前記基材がノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、またはポリエーテルスルホン樹脂から選ばれる一種類以上の樹脂を主成分とする請求項1〜15何れか一項記載の光学フィルムシート。
  17. 請求項1〜16何れか一項記載の光学フィルムシートを用いた表示素子。
  18. 請求項1〜16何れか一項記載の光学フィルムシートを用いたエレクトロルミネッセンス表示素子。
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