JP2004181793A - ガスバリア性積層材及びその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性積層材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各種パッケージ材料として用いられるガスバリア性積層材において、水蒸気、酸素ガス等の透過の抑制が十分満足できるレベルのガスバリア性を有し、包装分野では内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において優れ、またディスプレイ分野では軽い、割れないという特徴を生かし、有機EL発光素子の発光性の劣化等を抑えられるガスバリア性積層材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化が行なわれる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は、飲食品や医薬品、電子部材等のパッケージ材料として用いられる包装材料用のガスバリア性積層材及び、フレキシブルOLED用基材として用いる場合において、有機EL発光素子の劣化等を抑えるのに必要なガスバリア性積層材に関するもので、基材の少なくとも片面に金属酸化物膜または金属膜が成膜された、金属(酸化物)膜上に有機層を設けて、第1の硬化を行ない、続いて第2の金属(酸化物)の蒸着膜を設けて、無機/有機/無機のサンドイッチ構造の層構成にし、その後に第2の硬化を行なうことにより優れたガスバリア性を有する積層材とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装分野では、内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において、飲食品や医薬品、電子部材等のパッケージ材料として、またディスプレイ分野では、フレキシブルOLED用基材として用いる場合において、有機EL発光素子の劣化を抑えるなどの目的のため、水蒸気、酸素ガスの透過の抑制をするようなガスバリア性積層材が用いられている。
例えば、基材フィルム上に無機酸化物の薄膜を設け、更に、該無機酸化物の薄膜の上に、熱硬化性樹脂と硬化剤を含む樹脂組成物による透明コーティング膜を設けたガスバリア性積層材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−147276号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記に示したガスバリア性積層材等は、無機膜、有機膜の単体層または有機膜/無機膜ガスバリア層の積層化等による多くの検討がなされてきたが、それだけでは決して満足のいくガスバリア性を発現させることはできなかった。その理由の一つとして、従来のガスバリア膜においては、表面の平滑性が乏しく、結果としてガスバリア膜の突起及びピンホール等が有機ELの表示面内に存在するダークスポットの原因になると考えられている。
したがって、本発明は、上記の課題を解決するために、飲食品や医薬品、電子部材等のパッケージ材料として用いられるガスバリア性積層材において、水蒸気、酸素ガス等の透過の抑制が十分満足できるレベルのガスバリア性を有し、包装分野では内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において優れ、またディスプレイ分野では軽い、割れないという特徴を生かし、有機EL発光素子の発光性の劣化等を抑えられるガスバリア性積層材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために、請求項1として、基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化が行なわれることにより、従来の無機膜、有機膜の単体層または無機膜/有機膜/無機膜ガスバリア層だけでは得ることができなかったガスバリア性を有し、包装分野では内容物の保存や包装形態維持、品質保証等において優れ、またディスプレイ分野では軽い、割れないという特徴を生かした有機EL発光素子の発光性の劣化等を抑えられるガスバリア性積層材が提供できる。
本発明のガスバリア性積層材は、基材上に、基材側から金属(酸化物)膜または金属窒化膜、有機層、第2金属(酸化物)膜または第2金属窒化膜を設け、必要に応じて、その第2金属(酸化物)膜または第2金属窒化膜の上に有機層、第3金属(酸化物)膜または第3金属窒化膜、・・・・・・・・・・有機層、第n金属(酸化物)膜または第n金属窒化膜を設けることができる。実用上、上記のnは2または3であることが望ましい。
【0006】
また、請求項2として、請求項1に記載する金属酸化物膜が、ケイ素酸化膜、ケイ素酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、マグネシウム酸化膜、チタン酸化膜、スズ酸化膜、インジウム合金酸化膜からなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする。
請求項3として、請求項1に記載する金属窒化膜が、ケイ素窒化膜、アルミニウム窒化膜、チタン窒化膜からなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする。
請求項4として、請求項1に記載する金属膜が、アルミニウム、銀、錫、クロム、ニッケル、チタンからなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする。
請求項5として、請求項1〜4のいずれか一つに記載する金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜の厚みが、10〜300nmであることを特徴とする。
【0007】
請求項6として、請求項1〜5のいずれか一つに記載する金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜が、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のいずれかの物理気相成長法、又はプラズマ化学気相成長法により形成されることを特徴とする。
請求項7として、請求項1〜6のいずれか一つに記載する有機層の厚みが、50nm〜10μmからなることを特徴とする。
請求項8として、請求項1〜7のいずれか一つに記載する有機層が、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、蒸着法のいずれかにより形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項9として、基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材の製造方法において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化を行なって、有機層の硬化処理を行なうことを特徴とする。
本発明のガスバリア性積層材の製造方法は、基材上に、基材側から金属(酸化物)膜または金属窒化膜、有機層、第2金属(酸化物)膜または第2金属窒化膜を設け、必要に応じて、その第2金属(酸化物)膜の上に有機層、第3金属(酸化物)膜または第3金属窒化膜、・・・・・・・・・・有機層、第n金属(酸化物)膜または第n金属窒化膜を設けることができる。実用上、上記のnは2または3であることが望ましく、有機層を積層した直後に、第1の硬化処理として、120℃〜180℃の範囲で、加熱し、さらにその有機層の真上に金属(酸化物)膜または金属窒化膜を積層した後に、第2の硬化処理として、180℃〜240℃の範囲で、加熱して、有機層の硬化処理を行なうものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について、以下に詳細に説明する。まず本発明のガスバリア性フィルムについて図面を用いて説明する。
図1は本発明のバリア性積層材の一例を示す概略的断面図である。本発明の積層されたガスバリア膜は、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、金属(酸化物)または金属窒化物の蒸着膜2を設け、その上に有機層3を、更に金属(酸化物)膜または金属窒化膜4を設けた構成からなることを基本構造とするものである。上記の例示は本発明にかかるガスバリア性積層材についてその一例を示したものであり、本発明はこれによって限定されない。例えば、アンカー層やオーバーコート層を導入してもよく、また別のバリア層が積層されてもよい。
【0010】
次に、本発明において、本発明のガスバリア性積層材について、これを構成する各層について説明する。
(基材)
次に、本発明のガスバリア性基材1について説明する。
基材1を構成するプラスチックフィルムとしては、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。本発明においては、上記の樹脂ないしシートの中でも、特にポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂のフィルム、ないしシートを使用することが好ましい。
【0011】
また本発明においてガラス基材とは、ソーダガラス、鉛ガラス、硬質ガラス、石英ガラス、液晶化ガラスなどと呼ばれるものがあり(「化学便覧」基礎編、P.I−537,日本化学会編)、CRTとしてはストロンチウム(St)やバリウム(Ba)を含むケイ酸ガラスが好ましく用いられ、液晶表示装置では無アルカリガラスが好ましく用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。更に、ガスバリア基材にカラーフィルターやカラーフィルターのような被加工物を設けていても構わない。
【0012】
本発明において、上記の各樹脂のフィルムないしシートとしては、例えば上記の各種の樹脂の1種ないしはそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法。あるいは、2種類以上の各種の樹脂を使用して、多層共押し出し製膜化する方法、更には2種類以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各層の樹脂のフィルムないしシートを製造し、更に要すれば例えばテンター方式、あるいはチューブラー方式等を利用して、1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。また上記の各樹脂のフィルム、ないしシートを貼り合わせて使用することもできる。
【0013】
本発明において、各種の樹脂のフィルム、ないしシートの膜厚としては、厚すぎると後加工の工程が進むにつれ、ガラス同様に耐衝撃性が劣るため、巻き取りにした時に巻き取れないなどにより水蒸気、酸素ガス等のガスバリア性の劣化が見られるので好ましくない。また、薄すぎると成膜の前後の工程での機械適性が悪く、水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性の低下が見られるため、50〜5000μm位、より好ましくは100〜1000μm位が好ましい。
【0014】
また、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その成膜化に際して例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で種々のプラスチック配合剤や、添加剤を添加することができ、その添加量としては微量から数十%まで、目的に応じて任意に添加できる。上記において、一般的な添加剤としては、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができる。また改良用樹脂等も使用できる。
【0015】
また、本発明におけるガスバリア性積層材の基材は、上記のガラスまたはフィルムの単体からなるものだけではなく、ガラスまたはフィルム上にカラーフィルターを設けたものでも使用することができる。
【0016】
本発明におけるガスバリア性積層材の基材として、ガラスまたはフィルム上にカラーフィルターを設けたものを使用することができる。
カラーフィルターを用いることは、白色発光層と、液晶の分野で広く使われている3色のカラーフィルターとを組み合わせて用いることで、フルカラー化を実現するものである。このカラーフィルターを用いる場合は、例えば光透過性の基板上にRGBの着色層をパターニングして形成する。尚、上記の着色層としては、一般には顔料や染料が用いられる。そのRGBの着色層に対応して、電極がパターン形成され、その電極を覆うように白色発光層が形成され、さらにその白色発光層の上に電極を形成して、EL(エレクトロルミネッセンス)素子の表示装置とすることができる。
このEL素子における発光層(EL層)の上に、本発明のガスバリア性積層材を積層させ、EL素子の発光性の劣化等を抑えることができる。
【0017】
(蒸着膜)
次に、本発明においてのガスバリア性積層材を構成する金属酸化物または金属窒化物、または金属の蒸着膜について説明する。ガスバリア性積層材の基材側から金属(酸化物)膜または金属窒化膜、有機層を積層した場合の基材側の蒸着膜2でも、またガスバリア性積層材の基材から離れた、有機層の上に設ける第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜の蒸着膜4でも、以下に説明するような同様のものが使用できる。
金属酸化物または金属窒化物または金属の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物または窒化物または金属をアモルファス化した薄膜であれば使用可能であり、例えばケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物または窒化物または金属をアモルファス化した薄膜を使用できる。金属酸化物膜として、ケイ素酸化膜、ケイ素酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、マグネシウム酸化膜、チタン酸化膜、スズ酸化膜、インジウム合金酸化膜を用いることが好ましい。
【0018】
上記の中でディスプレイ用材料に適するものとして、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物をアモルファス化した薄膜が、特に好ましい。
金属窒化膜としては、ケイ素窒化膜、アルミニウム窒化膜、チタン窒化膜の少なくとも一つを用いることが望ましい。
金属膜としては、、アルミニウム、銀、錫、クロム、ニッケル、チタンの少なくとも一つを用いることが望ましい。
上記の金属の酸化物をアモルファス化した薄膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、SiO、AlO等のように表すことができる(Xの値は金属元素の種類によってそれぞれ異なる)。また金属酸化物の代わりに、金属窒化物、及び金属酸化窒化物を用いても良い。
【0019】
また、上記のXの値としては、ケイ素(Si)は0〜2、アルミニウム(Al)は0〜1.5、マグネシウム(Mg)は0〜1、カルシウム(Ca)は0〜1、カリウム(K)は0〜0.5、スズ(Sn)は0〜2、ナトリウム(Na)は0〜0.5、ホウ素(B)は0〜1.5、チタン(Ti)は0〜2、鉛(Pb)は0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は0〜1.5の範囲をとることができる。上記において、X=0の場合は完全な金属であり、透明ではなくまた、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。一般的に、ガスバリア膜として、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は使用されている例が乏しく、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の値の範囲で使用することができる。
【0020】
本発明において、上記に示すような金属酸化膜または金属窒化膜または金属蒸着膜の膜厚としては使用する金属材料の種類によって異なる。例えば、5〜1000nm位の範囲が好ましく、酸化アルミニウムや酸化ケイ素の蒸着膜等の場合は10〜300nm位の範囲内が望ましい。また上記の膜厚よりも薄いと、水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性の低下が見られ、更に上記よりも膜厚が厚い場合には、後加工の工程が進むにつれ、蒸着膜のクラックなどにより水蒸気、酸素ガス等に対するガスバリア性の劣化が見られるので好ましくない。更に、蒸着膜は1層だけでなく、2層以上積層しても良く、加えてその組み合わせは同種、異種を問わない。
【0021】
本発明において、金属酸化物または金属窒化物または金属の蒸着膜の成膜法について、以下に説明すると例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法)やプラズマ化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法)等を挙げることができる。本発明において、金属酸化物または金属窒化物または金属の蒸着膜の成膜法としては、上記の金属酸化物または金属窒化物または金属を原料として用い、加熱して基材上に蒸着させる真空蒸着法、または、金属酸化物または金属窒化物または金属を原料として用い、酸素ガスを導入することにより酸化させることにより、基材上に蒸着させる酸化反応蒸着法、金属酸化物または金属窒化物または金属をターゲット原料として用い、アルゴンガス、酸素ガスを導入して、スパッタリングすることにより、基材に蒸着させるスパッタリング法、金属酸化物または金属窒化物または金属にプラズマガンで発生させたプラズマビームにより加熱させて、基材上に蒸着させるイオンプレーティング法、また酸化ケイ素の蒸着膜を成膜させる場合は、有機ケイ素化合物を原料とするプラズマ化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法)を用いて成膜することができる。
【0022】
本発明において金属酸化物として用いる酸化ケイ素の薄膜としては、有機ケイ素化合物を原料として、低温プラズマ化学気相成長法を用いて形成した蒸着膜を使用することができる。例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用できる。本発明において、上記のような有機ケイ素化合物の中でも、テトラメトキシシラン(TMOS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いることが、取り扱い性や蒸着膜の特性などから好ましい。
【0023】
(有機層)
本発明では、ガスバリア性積層材における中間層として、位置付けられる有機層3を設けることができる。
有機層は、熱硬化性樹脂から構成することができ、熱硬化性樹脂は、熱エネルギーが付加されることにより硬化し、硬化後に透明でかつ平坦な面を形成することができるものを挙げることができる。代表例としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリ(−4−メチルペンテン−1)、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられ、またこれらをポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、多官能性アクリレート化合物等で変性したものや、架橋ポリエチレン樹脂、架橋ポリエチレン/エポキシ樹脂、架橋ポリエチレン/シアナート樹脂、ポリフェニレンエーテル/エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル/シアナート樹脂等の熱可塑性樹脂で変性した熱硬化性樹脂などを挙げることができる。また、上記に挙げたような複数種の樹脂を併用して用いてもよい。
尚、有機層における樹脂として、光硬化性樹脂でも加熱により、硬化促進するものであれば、本発明で使用することが可能である。
【0024】
本発明における有機層は、有機層を積層した直後に、第1の硬化処理として、120℃〜180℃の範囲で、加熱され、さらにその有機層の真上に金属(酸化物)膜または金属窒化膜を積層した後に、第2の硬化処理として、180℃〜240℃の範囲で、加熱して、有機層の硬化処理が行なわれる。言い換えれば、第1の硬化処理で、比較的温度条件を低めにして、主に有機層の表面側の硬化を行ない、その有機層の真上に金属(酸化物)膜または金属窒化膜を設けた後、第2の硬化処理として、第1硬化処理の温度よりも高い条件で加熱して、主に有機層の中央から基材側(奥側)の第1硬化処理で未硬化あるいは完全に硬化していない部分の硬化を行なうものである。
このように2段階で有機層の熱硬化を行なうことにより、従来の温度を高めにして、一度に有機層の熱硬化を行なった場合の有機層表面が荒れて、平坦な表面が得られにくかった点が改善された。
【0025】
有機層の形成方法に関しては、特に制限されるものではないが、有機層はスピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、蒸着法のいずれであってもよい。上記に挙げたような熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂に必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、いずれの有機層においても、成膜性向上及び膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用しても良い。更に有機層を形成する際に、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の適切な希釈溶媒に溶解または分散させて薄膜を形成するが、その溶媒はいずれであっても良い。
【0026】
本発明では、基材上に、基材側から金属(酸化物)膜または金属窒化膜、有機層、第2金属(酸化物)膜または第2金属窒化膜を設け、必要に応じて、その第2金属(酸化物)膜の上に有機層、第3金属(酸化物)膜または第3金属窒化膜、・・・・・・・・・・有機層、第n金属(酸化物)膜または第n金属窒化膜を設けることができる。実用上、上記のnは2または3であることが望ましく、有機層を積層した直後に、第1の硬化処理として、120℃〜180℃の範囲で、加熱し、さらにその有機層の真上に金属(酸化物)膜または金属窒化膜を積層した後に、第2の硬化処理として、180℃〜240℃の範囲で、加熱して、有機層の硬化処理を行なうものである。
有機層の厚みは、薄すぎると、下に位置する金属(酸化物)膜のピンホールや突起を埋めるに際して適さず、また厚すぎると熱処理の際に生じる出ガス量が増加するため、1nm〜15μm位の範囲が好ましく、特に50nm〜10μmが望ましい。
【0027】
(ガスバリア性積層材の製造方法)
本発明のガスバリア性積層材の製造方法は、基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材を製造する方法において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化を行なって、有機層の硬化処理を行なってガスバリア性積層材を製造する。
【0028】
本発明において中間層に使用されている有機層の硬化条件は、使用する熱硬化性樹脂によって異なるが、好ましくは有機層塗工後の第1の硬化処理として、120℃〜180℃の範囲が、また積層材の有機層上に第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜を形成後の第2の硬化処理として、180℃〜240℃の範囲が好ましい。第1及び第2の硬化処理の温度が、上記の値よりも低い場合では有機層の硬化が不十分で水蒸気、酸素等に対するガスバリア性の劣化が見られ、一方で第1及び第2の硬化処理の温度が、上記の値よりも高い場合は、基材の熱負荷による劣化及び基材の伸縮変動による蒸着膜、有機層のクラック等により水蒸気、酸素等に対するガスバリア性の劣化や平坦性が損なわれるので好ましくない。
本発明のガスバリア性積層材の製造方法では、上記のように2段階で有機層の熱硬化を行なうことで、有機層、蒸着膜、基材に対する熱ダメージを少なくすることにより、温度を高めにして、一度に有機層の熱硬化を行なった従来の方法における、基材の熱負荷による劣化や基材の伸縮変動による蒸着膜、有機層の表面荒れやクラック等により、平坦なガスバリア膜が得られなかった点を解消することができた。
【0029】
本発明では、有機層の熱硬化を2段階に分けて実施するが、金属(酸化物)膜または金属窒化膜の設けられた基材上に、有機層を形成した直後に、第1の硬化を行ない、その有機層の上に第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜を設ける前に、第2の硬化を行なうことも可能ではあるが、本発明では第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜をその有機層の上に形成した後に、第2の硬化を行なうものである。有機層が金属(酸化物)膜または金属窒化膜と第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜との間に挟まれた状態で、第2の硬化処理を行ない、両者に挟まれて平坦な膜を有する有機層が得られ、結果的に金属(酸化物)膜または金属窒化膜、有機層の積層された均一で、平坦なガスバリア膜を有する積層材が作製できる。
【0030】
【実施例】
上記の本発明において実施例をあげて更に具体的に説明する。
(実施例1)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0031】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、第1の硬化処理として、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、第2のガスバリア層を形成し、最後に第2の硬化処理として、200℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0032】
(実施例2)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0033】
次に、上記のガスバリア層の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、第1の硬化処理として、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、蒸着膜を形成し、最後に第2の硬化処理として、200℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0034】
(実施例3)
プラズマ化学気相蒸着装置を用い、基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)を使用した。
原料としてテトラメトキシシラン(TMOS)を用い、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで成膜し、蒸着膜を形成した。
真空度:30Pa
TMOSガス流量:4sccm
酸素ガス流量:12sccm
ヘリウムガス流量:30sccm
周波数:90kHz
電力:150W
【0035】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、第1の硬化処理として、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、プラズマ化学気相蒸着装置を用い、原料としてテトラメトキシシラン(TMOS)を用い、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成し、最後に第2の硬化処理として、200℃で熱風乾燥を行った。
真空度:30Pa
TMOSガス流量:4sccm
酸素ガス流量:12sccm
ヘリウムガス流量:30sccm
周波数:90kHz
電力:150W
【0036】
(実施例4)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0037】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、第1の硬化処理として、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットにはインジウム錫酸化物(ITO)を使用し、以下の成膜条件で、ITOの膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成し、最後に第2の硬化処理として、200℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:15sccm
酸素ガス流量:14sccm
電力:2.4kW
【0038】
(比較例1)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0039】
次に、上記のガスバリア層の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成した。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0040】
(比較例2)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0041】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、200℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成した。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0042】
(比較例3)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0043】
次に、上記のガスバリア層の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、160℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成し、最後に160℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0044】
(比較例4)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0045】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、200℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。
その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成し、最後に200℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0046】
(比較例5)
基材フィルムとして、シート状(30cm×21cm)のポリエーテルスルフォン樹脂フィルム(住友ベークライト製)をマグネトロンスパッタリング装置のチャンバー内に準備した。ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、蒸着膜の膜厚が100nmになるまで、成膜を行なった。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0047】
次に、上記の蒸着膜の上に、スピンコーティング法にて、アクリル系熱硬化性樹脂を1.0μmの膜厚で塗布し、200℃で熱風乾燥し、有機層を形成した。その後、上記有機層を塗布した積層材の有機層上に、マグネトロンスパッタリング装置にて、ターゲットには窒化珪素を使用し、以下の成膜条件で、膜厚が100nmになるまで、第2の蒸着膜を形成し、最後に160℃で熱風乾燥を行った。
真空度:0.25Pa
アルゴンガス流量:30sccm
窒素ガス流量:6sccm
周波数:13.56MHz
電力:1.2kW
【0048】
(評価方法)
上記の実施例1〜4及び、比較例1〜5で作製した各ガスバリア性積層材について、下記に示す評価項目について試験を行い、そのデータを測定した。
(1)水蒸気透過度の測定
測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31)を用いて測定した。
(2)酸素透過度の測定
測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN 2/20)を用いて測定した。
(3)表面粗さの測定
スキャン範囲20μm、スキャン速度90sec/frameの条件下で、Nanopics(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
【0049】
上記の評価結果(測定結果)を下記の表に示す。
【表1】
Figure 2004181793
【0050】
上記の表1から明らかなように、実施例1〜4のガスバリア性積層材は、比較例1〜5のガスバリア性積層材と比較して、水蒸気バリア性、及び酸素バリア性及び表面平滑性が優れていることが分かった。
【0051】
【発明の効果】
以上、記述したように本発明によって、基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化が行なわれることにより、従来の無機膜、有機膜の単体層または無機膜/有機膜/無機膜ガスバリア層だけでは得ることができなかったガスバリア性を有し、包装分野では内容物の保存や包装形態維持、品質保証等において優れ、またディスプレイ分野では軽い、割れないという特徴を生かした有機EL発光素子の発光性の劣化等を抑えられるガスバリア性積層材が提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア性積層材の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 金属(酸化物)膜または金属窒化膜
3 有機層
4 第2の金属(酸化物)膜または金属窒化膜

Claims (9)

  1. 基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化が行なわれることを特徴とするガスバリア性積層材。
  2. 前記の金属酸化物膜が、ケイ素酸化膜、ケイ素酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、マグネシウム酸化膜、チタン酸化膜、スズ酸化膜、インジウム合金酸化膜からなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載するガスバリア性積層材。
  3. 前記の金属窒化膜が、ケイ素窒化膜、アルミニウム窒化膜、チタン窒化膜からなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載するガスバリア性積層材。
  4. 前記の金属膜が、アルミニウム、銀、錫、クロム、ニッケル、チタンからなる群の中の少なくとも一つからなることを特徴とする請求項1に記載するガスバリア性積層材。
  5. 前記の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜の厚みが、10〜300nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載するガスバリア性積層材。
  6. 前記の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜が、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法のいずれかの物理気相成長法、又はプラズマ化学気相成長法により形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載するガスバリア性積層材。
  7. 前記の有機層の厚みが、50nm〜10μmからなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載するガスバリア性積層材。
  8. 前記の有機層が、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、蒸着法のいずれかにより形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載するガスバリア性積層材。
  9. 基材の少なくとも片面に、金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設け、その上に熱硬化性樹脂からなる有機層を積層し、さらに該有機層の上に、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けたガスバリア性積層材の製造方法において、中間層に使用されている有機層を積層した直後に、120℃〜180℃の範囲で、第1の硬化を行ない、第2の金属酸化物膜または金属窒化膜または金属膜を設けた後に、180℃〜240℃の範囲で、第2の硬化を行なって、有機層の硬化処理を行なうことを特徴とするガスバリア性積層材の製造方法。
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