JP2005288852A - 透明ガス遮断性フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

透明ガス遮断性フィルム、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
超高度なガス遮断性を発揮し、しかも、透明樹脂基材フィルム10とガス遮断性層の密着性も向上した透明ガス遮断性フィルム、及びその製造方法を提供する。
性フィルム10を提供する。
【解決手段】
透明樹脂基材フィルム11の一方の面へ1又は複数の層を有し、該層の少なくとも1つの層を形成する際に、水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬し乾燥した後に、150℃以上に加熱する湿潤加熱工程を有し、前記透明樹脂基材フィルム11のガラス転移温度Tgが150℃以上300℃以下、かつ光線透過率が80%以上であり、前記第2透明無機化合物層13Bの表面粗さRa(平均粗さ)が5nm以下、Rmax(最大粗さ)が120nm以下であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、透明ガス遮断性フィルムに関し、さらに詳しくは、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性、ガス遮断性および層間密着性に優れた透明ガス遮断性フィルムに関するものである。主な用途としてディスプレイ用フィルム基板、照明用フィルム基板、太陽電池用フィルム基板、、サーキットボード用フィルム基板、電子ペーパー等、従来ガラスを支持基材として利用していたものに代替できる、軽くて割れない、曲げられる支持基材に関する。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「遮断性」は「バリア性」、「EL」は「エレクトロルミネッセンス」、「LCD」は「液晶ディスプレイ」、「パネル」は「素子」、及び「(メタ)アクリレ−ト」は「アリレ−ト及びメタアリレ−トの総称」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
フィルムとシートのJIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。従って、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本明細書ではシートとフィルムの両方を含めて「フィルム」と定義する。
(背景技術)ディスプレイ用、照明用、太陽電池用、サーキットボード用などの電子デバイスの分野における基板としては、ガス遮断(ガスバリア)性、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性、層間密着性など多くの過酷な物性が求めれている。
このために、電子デバイス用基板としては、従来、Siウエハやガラスなどの無機材料の基板しか使用することができなかった。ところが、近年、製品の軽量化、基板のフレキシブル化、低コスト化、ハンドリング特性などを有し、軽くて、割れず、曲げられるような高分子材料の基板(以下、高分子基板という)が望まれ、従来のディスプレイを構成していたガラス基板に代わって、合成樹脂シート、もしくは合成樹脂フィルムを用いることが検討されている。特に、有機ELやフィルム液晶といったディスプレイ用途では、透明かつ耐熱性を有した高分子基板が望まれている。しかしながら、高分子基板は、ガラスなどの無機材料からなる基板と比較した場合、一般的にガスの透過性が著しく大きい。このため、高分子基板を用いた電子デバイスは、電子デバイス内の必要な真空度を維持できないため、気体が高分子基板を透過して電子デバイス内に侵入、拡散した酸素によりデバイスが酸化して劣化してしまう等の問題があり、ディスプレイの寿命を伸ばす目的で、外界からの酸素や水蒸気の超遮断性が求められている。
そこで、ガス遮断性に優れ、軽く、割れず、曲げられ、かつガラス基板に代替できるトータルな物性を有する高分子基板に使用することのできる透明ガス遮断性フィルムは、フレキシブル性、透明性、耐熱性、耐溶剤性及び層間密着性や、特に、水蒸気や酸素などのガス遮断性など多くの過酷な物性が求められている。
(先行技術)従来、樹脂フィルムとガス遮断層の密着性を改善するために、接着層を狭持させているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、樹脂フィルム表面に存在する突起に起因するガス遮断層におけるピンホ−ルの抑制については考慮されていない。そのため、該公報の実施例には水蒸気透過度が0.1g/m2 と未だ電子デバイス用途のガス遮断性フィルムには不十分なガス遮断性であるという問題点がある。
特開平09−109314号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。
その目的は、透明樹脂基材フィルムに突起が存在していても、該突起を平坦化することで、超高度なガス遮断性を発揮し、しかも、透明樹脂基材フィルムとガス遮断性層の密着性も向上した透明ガス遮断性フィルム、及びその製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、
請求項1の発明に係わる透明ガス遮断性フィルムの製造方法は、透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ1又は複数の層を有する透明ガス遮断性フィルムの製造方法において、前記1又は複数の層の、少なくとも1つの層を形成する際に、予め水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬した後に、150℃以上に加熱する湿潤加熱工程を施すように、したものである。
請求項2の発明に係わる透明ガス遮断性フィルムの製造方法は、透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に第1透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記第1透明無機化合物層面へさらに平坦化層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記平坦化層面へさらに第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、又は透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に平坦化層及び第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルムの製造方法において、前記第1透明無機化合物層、平坦化層及び/又は第2透明無機化合物層を形成するする際に、予め湿潤加熱工程を有し、該湿潤加熱工程が水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬した後に、150℃以上に加熱するように、したものである。
請求項3の発明に係わる透明ガス遮断性フィルムは、請求項1〜2のいずれかに記載の透明ガス遮断性フィルムの製造方法で製造されてなる、透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ第1透明無機化合物層、平坦化層及び第2透明無機化合物層、又は透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ平坦化層及び第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルムにおいて、前記透明樹脂基材フィルムのガラス転移温度Tgが150℃以上300℃以下、かつ光線透過率が80%以上であり、前記第2透明無機化合物層の表面粗さRa(平均粗さ)が5nm以下、Rmax(最大粗さ)が120nm以下であるように、したものである。
請求項4の発明に係わる透明ガス遮断性フィルムは、上記第1透明無機化合物層及び/又は第2透明無機化合物層が、ガス遮断性を有し、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、およびこれらの化合物の2種以上の複合体から選ばれたものであるように、したものである。
(発明のポイント)本発明者は、高度なガス遮断性を有する透明ガス遮断性フィルムについて鋭意検討したところ、透明樹脂フィルムを基材フィルムとして採用した透明ガス遮断性フィルムの低いガス遮断性の原因には、次の点が考えられることに着目した。即ち、一般に樹脂フィルム等の高分子の表面はRa(平均粗さ)が2nm以上、Rmax(最大高低差)が80nm以上であり、所々に500nm(0.5μm)程度の高さの突起が生じており、微視的にみれば荒れた状態になっている。このような樹脂フィルム上に膜厚が20nm程度の薄膜のガス遮断層を形成した場合、透明樹脂基材フィルムの表面に存在する突起によりガス遮断層にピンホ−ルが発生し、それによりガス遮断性能を劣化させることが原因として考えられる。
これを解消するために、第1透明無機化合物、平坦化層、及び/又は第2透明無機化合物を形成する前に、前記層の面を、水若しくは親水性溶媒を用いて、塗布若しくは浸漬した後に、加熱する湿潤加熱工程を加えることで、著しく平坦性が向上し、その結果として、超高度なガス遮断性が発現することを見出して、本発明に至った。
請求項1の本発明によれば、第1透明無機化合物層、平坦化層、第2透明無機化合物層を形成する際に、予め本発明の湿潤加熱工程を行うことで、塗布する面に突起が存在していても、湿潤加熱工程で高度に平坦化させた後に、他の層を形成することができるので、超高度なガス遮断性を有する透明ガス遮断性フィルムの製造方法が提供される。
請求項2の本発明によれば、高度に平坦化させた後に、ガス遮断性の層を形成することができるので、より超高度なガス遮断性を有する、透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に第1透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記第1透明無機化合物層面へさらに平坦化層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記平坦化層面へさらに第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、又は透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に平坦化層及び第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルムの製造方法が提供される。
請求項3の本発明によれば、透明樹脂基材フィルムに突起が存在していても、該突起を平坦化することで、ガス遮断性に優れ、しかも、透明樹脂基材フィルムとガス遮断性層の密着性も高く、軽く、割れず、曲げられ、かつガラス基板に代替できるトータルな物性を有する高分子基板に使用することのできる透明ガス遮断性フィルムが提供される。
請求項4の本発明によれば、より高いガス遮断性を有する透明ガス遮断性フィルムが提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の透明ガス遮断性フィルムの1実施例を示す断面図である。
図2は、本発明の透明ガス遮断性フィルムの1実施例を示す断面図である。
図3は、本発明の透明ガス遮断性フィルムを用いたディスプレイ基板を示す断面図である。
図4は、本発明の透明ガス遮断性フィルムを製造するための、湿潤加熱工程を説明する説明図である。
(物の発明)本発明の透明ガス遮断性フィルム10は、図1に示すように、透明樹脂基材フィルム11と、該透明樹脂基材フィルム11の少なくとも一方の面へ、第1透明無機化合物層13A、平坦化層15及び第2透明無機化合物層13Bが順次形成され、即ち、透明樹脂基材フィルム11/第1透明無機化合物層13A/平坦化層15/第2透明無機化合物層13Bの層構成である。
また、応力を相殺するように、対象又は対象に近い層構成とすることが好ましい。即ち、図2に示すように、第2平坦化層15B/第3透明無機化合物層13C/透明樹脂基材フィルム11/第1透明無機化合物層13A/平坦化層15/第2透明無機化合物層13Bの層構成である。
ここで、透明樹脂基材フィルム11として、ガラス転移温度Tgが150℃以上300℃以下、かつ光線透過率が80%以上の透明樹脂基材フィルムを用いて、後述する湿潤加熱工程を経て第2透明無機化合物層13Bを形成することで、該第2透明無機化合物層13Bの表面粗さRa(平均粗さ)を5nm以下、Rmax(最大粗さ)を120nm以下とすることができる。この結果、超高度なガス遮断性を発現できるのである。
(方法の発明)
本発明の透明ガス遮断性フィルム10の製造工程では、第1透明無機化合物層13A、平坦化層15、及び/又は第2透明無機化合物層13Bなどの層を形成して行くが、該層の形成工程に先立ち、予め塗布面となる透明樹脂基材フィルム11、第1透明無機化合物層13A、及び/又は平坦化層15面を湿潤加熱する。
即ち、
(a)透明樹脂基材フィルム11を準備する工程と、
(b)該透明樹脂基材フィルム11の一方の面を湿潤加熱する工程と、
(c)該洗浄面に、第1透明無機化合物層13Aを形成する工程と、
(d)該第1透明無機化合物層13A面を湿潤加熱する工程と、
(e)該洗浄面に、平坦化層15を形成する工程と、
(f)該平坦化層15面を湿潤加熱する工程と、
(g)該平坦化層15面へ、第2透明無機化合物層13Bを形成する工程と、
からなり、但し、1又は複数の層を設けない場合は、該層の前の湿潤加熱工程は不要であり、構成される層に応じて、湿潤加熱工程を行えばよい。
該湿潤加熱工程は、図4に示すように、(イ)水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬し、(ロ)必要に応じて乾燥し、(ハ)150℃以上に加熱する。
但し、(ロ)の乾燥は工程として行わず、風乾、又は(ハ)の加熱と同時並行的に行われてもよく、要するに、水若しくは親水性溶媒の影響が残っている状態で、加熱すればよい。該湿潤加熱工程は、第1透明無機化合物層13Aを形成する前に透明樹脂基材フィルム11の面、平坦化層15面を形成する前に第1透明無機化合物13Aの面、及び/又は第2透明無機化合物層13Bを形成する前に平坦化層15面を湿潤加熱するように、層を形成する前に行うことを特徴とする。
なお、本明細書でいう、湿潤加熱とは、水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬して、該水若しくは親水性溶媒が表面吸着及び/又は浸透し、水若しくは親水性溶媒の影響が残っている湿潤状態において、150℃以上の加熱を施すことである。
このような、透明無機化合物層が水若しくは親水性溶媒に接触することは、基板(透明樹脂基材フィルム)の高膨張性により、無機化合物などのガス遮蔽性薄膜にひび割れが生じ、ガス遮蔽性が劣化するので、当業者であれば、水若しくは親水性溶媒への接触、及びそれに続く120℃以上の高温加熱を行うことはないのである。そこをあえて、本発明では、水若しくは親水性溶媒への接触、及びそれに続く150℃以上の高温での湿潤加熱を行うことで、著しく平坦性が向上し、その結果として、超高度なガス遮断性が発現することを見出したのである。
第1透明無機化合物層13Aを形成する前に、透明樹脂基材フィルム11の第1透明無機化合物層13Aの塗布面を、水若しくは親水性溶媒により塗布(コーティング)又は浸漬し、乾燥、加熱されることで、第1透明無機化合物層13Aと透明樹脂基材フィルム11との親和性が向上し、密着性が向上する。また加熱工程が続くことにより、透明樹脂基材フィルム11が乾燥して、成膜時の脱ガスによる、膜の密着性不良が防止される。
水若しくは親水性溶媒としては、透明樹脂基材フィルム11を劣化させないものなら、特に限定されず、透明樹脂基材フィルム11の材料に応じて、純水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機酸化合物溶液、有機塩基化合物溶液、アルコール、エステル、アミド等有機化合物溶液、金属塩水溶液等を用いることができる。また、通常、第1透明無機化合物層13A及び平坦化層15は、水若しくは親水性溶媒では劣化することはない。
塗布又は浸漬の方法としては、ディップコーティング、スピンコーティング、グラビアコーティング、ロールコーティングなどの公知の湿式法が適用できる。また、接触を良好に、さらに接触時間を短縮させるために、振動、微細泡立て、超音波等を併用するのが、好ましい。
また、透明樹脂基材フィルム11に第1透明無機化合物層13Aが形成された状態では、第1透明無機化合物層13A面には無数の微小突起が存在している。そこで、第1透明無機化合物層13A面に、水若しくは親水性溶媒により塗布(コーティング)又は浸漬し、乾燥し、それに続く湿潤加熱工程を経過することにより、驚くべきことに、無数に存在していた微小突起が減少することを今回見出した。
この微小突起が減少した理由は、定かではないが、以下のように推測している。
第1透明無機化合物層13A面中に突起、孔、ヒビ割れ及び凹部などの欠陥があると、水若しくは親水性溶媒を塗布した際に、その部分が大きく影響を受ける。さらに、水若しくは親水性溶媒が表面吸着及び/又は浸透した湿潤状態において、150℃以上の加熱を施すことで、その部分はさらに劣化が進行し、突起部分は削れ、剥がれ、凹んだ部分は孔が大きくなる。それに従って、突起は無くなるものの、孔は増加するため、ガス遮断性は劣化し、表面性も良好とはいえない。
そこで、該湿潤加熱面へ、さらに平坦化層15を形成することにより、その欠陥部の孔は補修され、該表面は突起のない、平坦な状態が得られるので、高度なガス遮断性が得られる。
湿潤加熱工程の加熱の目的の1つは、第1透明無機化合物層13Aの突起の破壊を進行させるため、加熱温度は120℃程度以上、好ましくは150℃以上である。該加熱温度は基材、第1透明無機化合物層13Aの材料に従い、適宜選択すればよい。150℃以下の温度では第1透明無機化合物層13A面上に形成された異常突起を劣化させるのに十分でなく、120〜150℃未満では長い時間を用する。また上限温度は、使用する透明樹脂基材フィルム11の材料のガラス転移温度Tgなどの耐熱性から考えて150℃以上の温度から適宜決定される。
水若しくは親水性溶媒を塗布又は浸漬して、接触時間は5秒程度以上、好ましくは表面へ充分に接触するために5分以上である。また、塗布又は浸漬中に超音波をかけると、劣化が促進され、また剥離した欠陥部分が除去されるので好ましい。
従来も、表面の湿潤加熱工程は行われていたが、それはガス遮断性膜に劣化を与えない条件下で行い、またその後の乾燥工程も脱水目的であるため、おおよそ120℃以下で行っていた。それ以上の温度では、基板(透明樹脂基材フィルム)の高膨張性により、無機化合物などのガス遮蔽性薄膜にひび割れが生じ、ガス遮蔽性が劣化してしまう。
従って、当業者であれば、ガス遮断性膜を劣化させるような、水若しくは親水性溶媒への接触、及びそれに続く120℃以上の高温加熱を行うことはないので、あえて、本発明では、水若しくは親水性溶媒への接触、及びそれに続く150℃以上の高温での湿潤加熱を行うのが、特徴である。
また、第2透明無機化合物層13Bを形成する前に、平坦化層15面に、水若しくは親水性溶媒を塗布又は浸漬し加熱を行うのも、上記と同様の理由によるものである。
加熱の手段は、特に限定されないが、熱線の輻射、或いは熱伝導による手段が簡便で望ましいが、赤外線や紫外線の照射、レーザ光、電子ビーム、プラズマなどのエネルギーの照射による手段でもよい。
(透明樹脂基材フィルム)本発明の透明ガス遮断性フィルム10に用いる透明樹脂基材フィルム11として、ガラス転移温度Tgが150℃以上300℃以下、かつ光線透過率が80%以上が適用できる。また、該透明樹脂基材フィルム11の線膨張係数が15ppm/K以上100ppm/K以下が好ましい。
光線透過率が80%以上は、該透明樹脂基材フィルム11が電子部品用途、ディスプレイ用積層フィルムとしての条件であり、この範囲未満では視認性が劣化する。。
本発明で使用される透明樹脂基材フィルム11は、Tgが150℃以上300℃以下であることを特徴とする。150℃以下ではガス遮断性フィルムを前記温度の工程に流す際に基板寸法が安定せず、熱膨張および収縮に伴い、遮断性性能が劣化する不都合や、或いは、熱工程に耐えられないという不具合が生じやすくなる。300℃以上ではフィルムがガラスのように割れやすくなりフレキシビリティが劣化する。またTgが存在しない透明樹脂基材フィルム11に関しては、線膨張係数がフレキシビリティに与える効果が大きいため問うに値しない。
本発明で使用する透明樹脂基材フィルムの材料としては、アクリレ−ト化合物もしくはメタアクリレ−ト化合物、環状ポリオレフィン化合物、ポリカーボネート化合物、ポリエーテスサルフォン、ポリイミド化合物化合物、PEEK、PEI、ポリシロキサン化合物、ETFE、PFA等を挙げることができる。さらに好ましくは、特開平11−222508号公報に示されるシクロアルキル骨格を有したアクリレート化合物もしくはメタアクリレ−ト化合物およびその誘導体を含む樹脂組成物を挙げることができる。
(第1透明無機化合物層)第1透明無機化合物層13Aを設ける目的は、透明ガス遮断性フィルム10における、水蒸気の透過や酸素の透過を遮断する機能に加え、その上に形成される平坦化層15、第2透明無機化合物層13Bの積層体の応力による膜剥がれを防止させるために、透明樹脂基材フィルム11との間に挟持させ強固に密着させるための層である。また基材からの脱ガスを防止させるための層でもある。
また、第2透明無機化合物13Bなどの薄膜は高真空条件下で成膜するので、高真空下で透明樹脂基材フィルム11からの脱ガスすると、成膜が阻害され、緻密な膜が成膜できないので、脱ガスを防止し、安定した成膜をすることができる。
第1透明無機化合物層13Aとしては、ガス遮断性を有するもの、例えば酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム等およびそれらから選ばれた二種以上の複合体を挙げることができる。なかでも、酸化珪素からなる膜は、透明性の高いガス遮断性性を発揮し、一方、窒化珪素はさらに高いガス遮断性を発揮するので好ましく用いられる。特に好ましくは、酸化珪素と窒化珪素の複合体が好ましく、酸化珪素の含有量が多いと透明性が増し、窒化珪素の含有量が多いとガス遮断性性が増大する。
透明無機化合物13Aの層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法や、熱CVD法やプラズマCVD法を適用して形成される。これらの方法は、基材や透明無機化合物層13A(機能的には平坦化層である)の種類、成膜材料の種類、成膜のし易さ、工程効率等を考慮して選択される。
透明無機化合物13Aの層は、その厚さは、10〜500nmが望ましい。10nm未満では、ディスプレイ用基板としてのガス遮断性が十分でなく、500nmを超えると、それ自身の応力が大きくなり、フレキシビリティが損なわれる。また異常粒成長から突起が形成されRmaxが増加する傾向があるので好ましくない。
(平坦化層)平坦化層15は、第1透明無機化合物層13Aの面に形成され、表面のRaおよびRmaxを低下させるための層である。それは塗布、乾燥工程により水もしくは親水性溶剤により加水分解、反応し形成された皮膜である。
測定値では、Ra(平均粗さ)が2nm以下、Rmax(最大粗さ)が120nm以下の範囲に平坦化され、得られる透明ガス遮断性フィルム10において高度なガス遮断性を発揮できる。第1透明無機化合物層13A、及び平坦化層15は、機能的にみると平坦化機能であり、特に両者の層構成とすることで、無機化合物層との親和性、濡れ性がよいため、孔、凹部、及びクラック(割れ)などの欠陥を埋め、覆い、塞ぐことができる。またレベリング性がよいために、欠陥を埋めて覆い、乾燥後の表面は平滑となる。この親和性とレベリング性の相乗効果で超平坦化機能を発揮する。
中心線平均粗さRaの下限は特にないが、実用上、0.01nm以上である。このために得られた透明ガス遮断性フィルム10は超高度なガス遮断性を発揮できるのである。
従来、透明樹脂基材フィルム11の両面、少なくとも、第1透明無機化合物層13Aを設ける側を研摩し、平滑性を向上させておく方法もあるが、該方法の欠点である研摩工程の増加も、本発明によれば解消することができる。
平坦化層15の形成には、たとえば、乾式法(スパッタ法、イオンプレ−ティング法、CVD法等)、あるいは湿式法(スピンコート法、ロールコート法、キャスト法)等の公知の方法により形成することができる。
平坦化層15の材料としては、透明無機化合物との親和性の高い材料、また透明性の高い材料が好まれるが、有機化合物、無機化合物の種類は問わない。有機化合物では、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリレート等の樹脂が使用され、無機化合物としては、炭化珪素、窒化珪素、酸化珪素、、酸化アルミニウム、酸化インジウム等化合物が使用されるが、ここにあげた限りではない。有機と無機の混合化合物も使用に適しており、ゾルゲルコート膜として一般的である。
該ゾルゲルコート膜の材料としては、例えば、アミノアルキルジアルコキシシラン、もしくはアミノアルキルトリアルコキシシラン、およびこれらの化合物を主成分とした複合体から選ばれたもの等が好適に使用できる。これらの材料を用いてウェットコーティング法により平坦化層を形成できる。その際には、これらの材料および架橋性化合物を原料とする塗料組成物を、第1透明無機化合物層13A面に塗工、乾燥することで、加水分解、縮合と、架橋性化合物による架橋とによるゾルゲル反応が進行し、ゾルゲルコート層は、上記材料の加水分解を主とする化学反応により得られた反応生成物であり、架橋構造を有するポリシロキサン系の塗膜が得られる。
特開平7−3206号公報や特開平7−18221号公報には上記アルコキシシラン化合物を用いたことが記載されている。しかしながら、それはガス遮断性機能を付与するものとして、任意のプラスチックフィルムの上に塗布し、ガス遮断性を与えるものであり、本発明における積層体の平坦性を向上させるための透明平坦化層15とは目的が異なる。
また、特許第3438266号、第3438267号に記載されているような平坦化剤を用いても、不十分な平坦性しか得られない。本発明者らは、アミノアルキルジアルコキシシラン、もしくはアミノアルキルトリアルコキシシラン等を、第1透明無機化合物層13Aの面に形成した場合にのみ、十分な平坦性が得られ、かつ、該平坦面に、遮断性層(第2透明無機化合物層13B)を設けることで、超遮断性が発現することを見出した。
(第2透明無機化合物層)第2透明無機化合物層13Bも、透明ガス遮断性フィルム10における、水蒸気や酸素などの透過を遮断性するための機能に加え、平坦化層15からの脱ガスの防止と、積層体の表面質を改質の効果をもたらす。例えばディスプレイ用基板として用いる際には、さらにこの面に透明電極などの層を設ける必要がある。第2透明無機化合物層13Bが設けられていると、親和性が高く、密着性がよく、導電性に優れた電極層を形成することができる。
第2透明無機化合物層13Bとしては、第1透明無機化合物層13Aに使用する材料と同等のものが好ましい。例えば酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム等およびそれらから選ばれた二種以上の複合体を挙げることができる。なかでも、酸化珪素からなる膜は、透明性の高いガス遮断性性を発揮し、一方、窒化珪素はさらに高いガス遮断性を発揮するので好ましく用いられる。特に好ましくは、酸化珪素と窒化珪素の複合体が好ましく、酸化珪素の含有量が多いと透明性が増し、窒化珪素の含有量が多いとガス遮断性が増大する。
第2透明無機化合物層13Bの形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法や、熱CVD法やプラズマCVD法が適用される。これらの方法は、基材や平坦化層の種類、成膜材料の種類、成膜のし易さ、工程効率等を考慮して、適宜選択すればよい。
その厚さは、10nm以上500nm以下が望ましい。10nm未満では、ディスプレイ用基板としてのガス遮断性が十分でなく、500nmを超えると層のフレキシビリティが損なわれる。また異常粒成長から突起が形成されRmaxが増加するおそれがある。
(第3透明無機化合物層)第3透明無機化合物層13Cとしては、第1透明無機化合物層13A、及び第2透明無機化合物層13Bに使用する材料と同様なものが適用できる。
(第2平坦化層)第2透明平坦化層15Bとしては、第1透明平坦化層15に使用する材料及び形成法と同様なものが適用できる。
(層構成)透明ガス遮断性フィルム10の層構成としては、上記の理由により、少なくとも、透明樹脂基材フィルム11/第1透明無機化合物層13A/平坦化のための透明平坦化層15/第2透明無機化合物層13B、の順に積層されている積層構造を基本層構成とする。従来の特開平07−126419号公報などの2層構成のものでは、たとえ積層を繰り返したとしても十分な特性が得られず、本質的に異質なものである。
さらに、この上に平坦化のための層と透明無機化合物の層をくり返し形成してもよく、該繰返しを行うと、さらにガス遮断性が高まる。
下地の膜(層)に局所的な欠陥があったとしても、平坦化層15を介することにより、膜は非連続的に成長するため、欠陥の連続性はなくなる。そのため、バリア性の劣化が抑えられる。仮に、万が一欠陥があっても、該欠陥が同じ箇所で重なって発生する確率は極めて低くできる。透明無機化合物の層上に、平坦化層および透明無機化合物の層の順に1回乃至5回くり返し積層されることが、高度な水蒸気遮断性、酸素遮断性を付与するために望ましい。
(対象の層構成)透明樹脂基材フィルム11の両側に形成する層を、表裏面が対称となるように、同一又は同一に近似する層構成とするのが好ましい。透明ガス遮断性フィルム10において、透明樹脂基材フィルム11の、第1透明無機化合物層13Aの反対側の面に、図2に示すように、さらに第3透明無機化合物層13C、第3透明無機化合物層13C/第2平坦化層15B、又は第3透明無機化合物層13C/第2平坦化層15B/第4透明無機化合物層13Dを設ければよい。このように反対側にも透明無機化合物層などの層を形成することにより、片側だけ膜を形成した際に発生する応力を相殺或いは緩和して、加熱を含む後加工工程での歪み、反り(湾曲、カールともいう)などを防止することができるので、直角精度、寸法精度、部分場所における寸法精度が向上されることができる。また、例えば、電極形成などの後工程にて、必要とされるパターニング時のアライメント取りの不具合が解消される。さらに、フレキシブル性の偏りがなくなり、利用上の不具合がなくなる。
さらにまた、同時に、透明ガス遮断性フィルムの反対面から発生する脱ガスを防止することができるため、緻密、均一厚さな良質な透明ガス遮断性フィルムを安定して形成することができる。反対側にも透明無機化合物の層を形成する際に、応力相殺或いは緩和のために、形成する層の厚み、使用する無機材料、層構成等を考慮することが、さらに好ましい。
反対側に形成する透明無機化合物層に用いる材料は、酸化珪素、窒化珪素およびその複合体に限らず、酸化アルミや酸化インジウム等の任意の透明無機化合物で良いが、前記したようになかでも酸化珪素、窒化珪素およびその複合体が望ましい。
反対側に形成する透明平坦化層に用いる材料は、前述の透明平坦化層15と同様なものが適用できる。
(ディスプレイ基板)ディスプレイ基板としては、図3に示すように、本発明の透明ガス遮断性フィルム10の最上層に透明導電層21を形成したもので、透明性、耐熱性、耐溶剤性、ガス遮断性及び層間密着性に優れたディスプレイ用基板が提供できる。該透明導電層21に用いる材料には酸化スズ、酸化インジウム、ITO、ATO、又は銀などの透明でかつ導電性があれば、特に限定するものではない。
(ディスプレイ)ディスプレイとしては、本発明のディスプレイ基板を用いたものであればよく、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機又は無機エレクトロルミネセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などの奥行きの少ない薄型に好適に適用できる。
(LCD)液晶ディスプレイは、二枚のガラス基板に、いずれも内側に透明電極を配置し、配向層等を伴なった間に液晶が挟まれ、周囲がシールされたものであり、カラー化するためのカラーフィルターを伴なう。このような液晶ディスプレイのガラス基板の外側に、本発明のガス遮断性フィルム10を適用することができ、あるいは、ガラス基板の代りに、本発明のガス遮断性フィルム10を用いることもできる。特に、二枚のガラス基板を、いずれも、本発明のガス遮断性フィルム10で置き換えれば、全体がフレキシブルなディスプレイとすることができる。
(有機ELD)有機ELディスプレイは、やはり、二枚のガラス基板に、いずれも内側に透明電極を配置し、間に、例えば、(a)注入機能、(b)輸送機能、および(c)発光機能の各機能を持つ層を積層した複合層等からなる有機EL素子層が挟まれ、周囲がシールされたものであり、カラー化するためのカラーフィルターもしくはそのほかの手段を伴なうことがある。例えば、ELディスプレイを構成する場合には、例えば、本発明のディスプレイ用基板(パターン化透明導電層を含む)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極/封止層からなる層構成を挙げることができるが、この層構成に限定されない。
液晶ディスプレイにおけるのと同様、ガラス基板の外側に、本発明のガス遮断性フィルム10を適用することができ、あるいは、ガラス基板の代りに、本発明のガス遮断性フィルム10を用いることもでき、二枚のガラス基板を、いずれも本発明のガス遮断性フィルム10で置き換えれば、全体がフレキシブルなディスプレイとすることができる。特に、有機EL素子は、蛍光発光を利用するために化学的に不安定であり、また、湿気に極度に弱いため、製品となった後の高度な水蒸気遮断性が望まれる。
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
厚さ200μm、Tgが176℃かつ光線透過率が92%の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン製)を透明樹脂基材フィルムとし、塗布面を超音波を付与した純水中に5分間浸漬し、その後160℃で60分間加熱し湿潤加熱工程を行った。
該面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して第1無機化合物層とし、該面をさらに超音波を付与した純水中に5分間浸漬しその後160℃で60分間加熱し湿潤加熱を行った。
その後、アミノアルキルトリアルコキシシランを主剤としたゾルゲルコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚約1μmの平坦化層を得た。
その後、さらに超音波を付与した純水中に5分間浸しその後160℃で60分間加熱し湿潤加熱を行った。
さらに、その上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して第2無機化合物層とし、実施例1のガス遮断性フィルムを得た。
透明樹脂基材フィルムの湿潤加熱工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にした。
第1無機化合物層(酸化窒化珪素層)面の湿潤加熱工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にした。
平坦化層面の湿潤加熱工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にした。
厚さ200μm、Tgが176℃かつ光線透過率が92%の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン製)を透明樹脂基材フィルムとし、該面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜した。その後、さらに純水超音波5分間浸しその後160℃で加熱し湿潤加熱を行った。その後アミノアルキルトリアルコキシシランを主剤としたゾルゲルコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚約1μmの平坦化層を得た。さらにその上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して、実施例5のガス遮断性フィルムを得た。
厚さ200μm、Tgが176℃かつ光線透過率が92%の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン製)を透明樹脂基材フィルムとし、その面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜した。その後アミノアルキルトリアルコキシシランを主剤としたゾルゲルコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚約1μmの平坦化層を得た。その後、純水超音波5分間浸し、その後160℃で加熱し湿潤加熱を行った。さらにその上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して、実施例6のガス遮断性フィルムを得た。
厚さ200μm、Tgが300℃のポリアクリレート樹脂(三菱化学社)を基材に用いた以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
厚さ200μm、Tgが176℃かつ光線透過率が92%の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン製)を基材とし、その上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜した。その後アミノアルキルトリアルコキシシランを主剤としたゾルゲルコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚約1μmの平坦化層を得た。さらにその上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して、ガス遮断性フィルムを得た。
(比較例2)
厚さ200μm、Tgが176℃かつ光線透過率が92%の環状ポリオレフィン樹脂(日本ゼオン製)を基材とし、それを純水超音波5分間浸しその後160℃で湿潤加熱を行った。その上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜した。その後アミノアルキルトリアルコキシシランを主剤としたゾルゲルコ−ティング剤をスピンコ−ト法により塗布し、ホットプレ−トで120℃で2分間、次いで乾燥機で160℃で1時間乾燥させ、膜厚約1μmの平坦化層を得た。さらにその上面に50nmの酸化窒化珪素膜をスパッタ法により成膜して、ガス遮断性フィルムを得た。
(比較例3)
各加熱工程の温度を120℃で行った以外は、実施例1と同様にした。
(比較例4)
厚さ188μm、Tgが78℃かつ光線透過率が89%のPET樹脂(東洋紡績社)を用いた以外は、実施例1と同様にした。
(測定)表面粗さRaは、原子間力顕微鏡(セイコ−社製)を用い、20μmのスキャニング範囲にて、平均粗さ(Ra)最大高低差(Rmax)を測定した。
水蒸気透過度は、水蒸気透過率測定装置パ−マトラン3/31(MOCON社製、商品名)を用い、40℃100%Rhの条件で測定した。
酸素透過度は、酸素透過率測定装置オキシトラン2/20(MOCON社製、商品名)を用い、23℃、90%Rh、バックグラウンド除去測定を行うインディビジュアルゼロ、測定有りの条件で測定した。
測定結果を、「表1」に示す。
Figure 2005288852
(評価結果)実施例1〜7のRaは2nm以下、Rmaxは120nm以下であり、酸素透過度及び水蒸気透過度も、0.05以下の測定限界以下で良好であった。
比較例1では、Rmaxが256nmと大きく、酸素透過度は良好であったが、水蒸気透過度は若干悪かった。
比較例2では、Raが2.22nmと若干大きいが、、酸素透過度及び水蒸気透過度も、0.05以下の測定限界以下で良好であった。プラスチック基材への塗布、及び加熱では、突起の劣化への効果が小さいため、平坦性への効果があまりでない。
比較例3、4では、Rmaxがそれぞれ125nm、268nmと大きく、酸素透過度は良好であったが、水蒸気透過度が、それぞれ0.06、0.10と若干悪かった。
本発明の透明ガス遮断性フィルムの1実施例を示す断面図である。 本発明の透明ガス遮断性フィルムの1実施例を示す断面図である。 本発明のディスプレイ基板の1実施例を示す断面図である。 本発明の透明ガス遮断性フィルムを製造するための、湿潤加熱工程を説明する説明図である。
符号の説明
10:透明ガス遮断性フィルム
11:透明樹脂基材フィルム
13A:第1無機化合物層
13B:第2無機化合物層
13C:第3無機化合物層
15A:平坦化層
15B:第2平坦化層
20:高分子基板
21:透明電極

Claims (4)

  1. 透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ1又は複数の層を有する透明ガス遮断性フィルムの製造方法において、前記1又は複数の層の、少なくとも1つの層を形成する際に、予め水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬した後に、150℃以上に加熱する湿潤加熱工程を施すことを特徴とする透明ガス遮断性フィルムの製造方法。
  2. 透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に第1透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記第1透明無機化合物層面へさらに平坦化層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、前記平坦化層面へさらに第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルム、又は透明樹脂基材フィルムと該透明樹脂基材フィルムの一方の面に平坦化層及び第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルムの製造方法において、前記第1透明無機化合物層、平坦化層及び/又は第2透明無機化合物層を形成する際に、予め湿潤加熱工程を有し、該湿潤加熱工程が水若しくは親水性溶媒を塗布若しくは浸漬した後に、150℃以上に加熱することを特徴とする透明ガス遮断性フィルムの製造方法。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載の透明ガス遮断性フィルムの製造方法で製造されてなる、透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ第1透明無機化合物層、平坦化層及び第2透明無機化合物層、又は透明樹脂基材フィルムと、該透明樹脂基材フィルムの一方の面へ平坦化層及び第2透明無機化合物層を設けてなる透明ガス遮断性フィルムにおいて、前記透明樹脂基材フィルムのガラス転移温度Tgが150℃以上300℃以下、かつ光線透過率が80%以上であり、前記第2透明無機化合物層の表面粗さRa(平均粗さ)が5nm以下、Rmax(最大粗さ)が120nm以下であることを特徴とする透明ガス遮断性フィルム。
  4. 上記第1透明無機化合物層及び/又は第2透明無機化合物層が、ガス遮断性を有し、酸化珪素、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化インジウム、およびこれらの化合物の2種以上の複合体から選ばれたものであることを特徴とする請求項3に記載の透明ガス遮断性フィルム。
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