JP4671491B2 - 着色透明被膜形成組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、家の窓や電車、自動車などの乗り物の窓に使われている、ガラス、プラスチックス等の透明な基材に塗付することにより、塗り斑のない鮮やかな着色透明被膜を形成する着色透明被膜形成組成物に関する。
より具体的には、自動車の窓ガラスにファッション性豊かな被膜を形成し、同時に紫外線防止の役割も果たす被膜形成組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の窓や自動車の窓には、紫外線を防止するのが主目的で紫外線吸収剤を配合したプラスチックフィルムが貼られたり、紫外線吸収剤を配合した塗料が使われていた。
しかし、紫外線吸収剤を配合したプラスチックフィルムでは、色の種類やフィルムを貼りつける技術や価格に問題がある上、所望の形状にフィルムを裁断するのが面倒で、入り組んだ個所に貼ることが難しいことや、フィルムを貼る時に気泡が残り、更には剥した時に接着剤が残るので、誰でも手軽に楽しむのには不充分であった。
また、紫外線吸収剤を含む被膜形成組成物を用いた場合、塗布むらによる色むらのほか、塗布膜の硬化が室温では難しい上、硬化後の被膜強度が弱いと言う欠点があった。
さらに、紫外線吸収剤の作用によって、経時的な色あせはいくらか防止できるものの、長期にわたると着色剤が劣化して、色あせが生じるという問題があった。加えて、紫外線吸収剤自身が劣化して、紫外線吸収効果が失われるという問題があった。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明は、特願2000−118768号に記載した着色透明被膜形成組成物の改良に関し、手軽に誰もが楽しめるファッション性豊かなアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物に関し、その目的とするところは、取り扱いやすく、見栄えの良いファッション性に優れた透明な着色被膜が形成でき、簡単な操作で剥離できる着色透明被膜形成組成物であり、色あせしない、かつ、紫外線吸収効果が低下しないアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物を提供するものである。
さらに詳しくは、レベリング性が優れ塗布むらが生じない、色むらのない、室温で硬化でき、硬化後の被膜強度が強く、しかも、長時間に亘って美しい色を保持することが出来、長時間に亘って、紫外線吸収効果が持続するアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物に関する。
【0004】
[課題を解決するための手段]
本発明者は、(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー、(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物又は、(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物又は、(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物が、優れた塗布性能、優れた室温硬化特性、優れた強度の被膜特性、優れた着色持続性、優れた紫外線吸収効果の持続性さらには優れた被膜剥離特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる(a)成分は、エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物である。
(a)成分を構成するエポキシ基含有アルコキシシラン(イ)としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等がある。
(a)成分を構成する活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等がある。
さらに、(イ)と(ロ)を反応させる際、エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)と混合割合は重量比で、エポキシ基含有アルコキシシラン(イ):活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)=6:4〜9:1であることが好ましい。
とくに(イ):(ロ)=7:3〜8:2の範囲が望ましい。
本発明において用いる酸触媒は、硫酸、硝酸、リン酸、パラ-トルエンスルホン酸等水酸基含有親水性アルコキシシラン化合物が室温で加水分解し反応性の高いシラノ−ルとなり、このシラノ−ルが縮合重合をするに際して、働くのもであればどのようなものでも使えるが、3フッ化ホウ素が好ましく用いることができる。
【0006】
本発明において用いる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ヒンダードアミン系等の中からどのような物でも利用できるが、特に、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系が好ましい。具体的には、ベンゾフェノン系として、2,4-ジヒドロキシ ベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン等がある。ベンゾトリアゾール系として、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリ−ブチル −5’− メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’ ,5’−ジ−ターシャリ−ブチルフェノール)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ターシャリ−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’ ,5’−ジ−ターシャリ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等がある。ベンゾエート系として、2−4−ジ−ターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジ−ターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等がある。サリシレート系として、パラ−ターシャリ−ブチルフェニルサリシレート等がある。シアノアクリレート系として、エチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート等がある。ヒンダードアミン系として、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等がある。
特に、塗膜をアルカリ剤で剥離し易くする場合には、アルカリ可溶性の紫外線吸収剤を用いることができる。このような例としては、2,4-ジヒドロキシ ベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸等がある。
【0007】
本発明において用いる紫外線吸収剤は、(a)成分100重量部に対して0.1重量部〜40重量部である。
本発明の着色透明被膜形成組成物は、長時間に亘って色あせしないうえUVカット率が低下しないので、着色被膜を剥がさないで用いることができる。
その場合の紫外線吸収剤は、(a)成分100重量部に対して0.1重量部〜5重量部未満とくに0.05〜0.5重量部が好ましい。
特願2000−118768号記載の着色透明被膜形成組成物のように、アルカリ洗剤により、脱膜を行う場合は、(a)成分100重量部に対して5〜40重量部が好ましい。
この場合、5重量%より小さいと、紫外線吸収の効果が弱く、被膜の剥離性も悪い。アルカリ可溶性紫外線吸収剤が40重量%より大きいと、耐水性、耐薬品性(油膜クリーナー等)が悪くなるばかりかブルーミングが生じる。実用的な視点からみて、15重量%〜30重量%が望ましい。
【0008】
本発明において用いるクエンチャー(消光剤)には、紫外線により励起されたポリマー分子を基底状態に戻す作用がある。クエンチャー(消光剤)の例としては、化学式
【化1】
Figure 0004671491
で示される[2,2’-Tiobis(4-tert-octylphenolate)]-2-ethylhexylamine-nickel( 商品名Viosorb 990 分子量:635) 化学式
【化2】
Figure 0004671491
で示される Nickel dibutyl ditiocarbamate(商品名Antigene NBC 分子量:407)などが挙げられる。
本発明において用いるクエンチャー(消光剤)は、(a)成分100重量部に対して0.01重量部〜5.0重量部である。
クエンチャー(消光剤)が(a)成分100重量部に対して0.01重量部より小さいと塗膜の着色持続性や紫外線吸収効果の持続性が十分でなく、(a)成分100重量部に対して5.0重量部より大きいと溶剤に対する溶解性が悪く、それ自身の着色により、着色剤の効果が悪くなる。
【0009】
本発明において用いるフェノール系酸化防止剤としては、化学式
【化3】
Figure 0004671491
で示される2,6-Di-tert-butyl-4-methylphenol MW:220 化学式
【化4】
Figure 0004671491
で示される n-octadecyl-3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate MW:531 , 化学式
【化5】
Figure 0004671491
で示される 2,2’-Methylene bis(4-methyl-6-tert-butylphenol) MW:341化学式
【化6】
Figure 0004671491
で示される4,4’-Butylidenebis(3-methyl-6-tert-butylphenol) MW:383化学式
【化7】
Figure 0004671491
で示される 4,4’-Thiobis(3-methyl-6-tert-butylphenol) MW:359 化学式
【化8】
Figure 0004671491
で示される3,9-Bis[2-(3-(3-tert-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl)-propionyloxy)-1,1-dimethylethyl]-2,4,8,10-tetraoxaspiro(5,5) undecane MW:741化学式
【化9】
Figure 0004671491
で示されるPentaerythriyl tetrakis[3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate] MW:1178、及びAlkylated bisphenol 等がある。
【0010】
本発明において用いるフェノール系酸化防止剤は、(a)成分100重量部に対して0.01重量部〜5.0重量部である。
フェノール系酸化防止剤が(a)成分100重量部に対して0.01重量部より小さいと塗膜の着色持続性や紫外線吸収効果の持続性が十分でなく、(a)成分100重量部に対して5.0重量部より大きいと溶剤に対する溶解性が悪くなる。
本発明において用いる溶剤は、基本的には沸点100〜250℃のアルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、2つ以上の官能基をもつ溶剤であり、代表的には、イソブチルアルコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジイソブチルケトン、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−ト、ジプロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルプロパノール等がある。
また、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テルアセテ−トには、1-エトキシ-2-プロピルアセテ−トと2-エトキシ-1-プロピルアセテ−トがあり、1-エトキシ-2-プロピルアセテ−ト90%以上と2-エトキシ-1-プロピルアセテ−ト10%以下の混合物が好ましく用いられる。
本発明において用いる溶剤の沸点は、100〜250℃であり、沸点が100℃より低いと塗装時のレベリング性が悪くなり、被膜の外観が不良となる。沸点が250℃より高いと被膜の乾燥性が悪くなる。
さらに、酸触媒や染料の溶解性を上げるために、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、メチルエチルケトン等を併用しても良い。
【0011】
本発明において用いる染料及び/又は顔料は、被膜を着色する目的で、耐候性のよい物の中から選ばれる。染料の例としては、C.I.Direct Yellow 98、C.I.Direct Red 220、C.I.Direct Blue 77等の直接染料、C.I.Acid Yellow 112、C.I.Acid Red 256、C.I.Acid Blue 182等の酸性染料等が挙げられる。また、顔料の例としては、C.I.Pigment Yellow 157、C.I.Pigment Red 101、C.I.Pigment Blue 29等の無機顔料、C.I.Pigment Yellow 154、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Blue 15:1等の有機顔料等が挙げられる。これらの染料及び/又は顔料は、単独で使用してもよいし、併用してもよい。さらに、蛍光色を付与するための蛍光顔料、光の照射がなくなった後まで残光が続く蓄光顔料、真珠光沢を付与するための真珠光沢顔料、気温の変化によって変色する示温顔料、親水性を付与するための親水性顔料、赤外線(熱線)を反射させる機能性顔料等を目的に応じて適宜使用することができる。蛍光顔料の例としては、Acid Yellow 73を溶解させたアクリル樹脂からなる顔料、蓄光顔料の例としては、アルミン酸ストロンチウムを主成分とする顔料、真珠光沢顔料の例としては、二酸化チタン被覆雲母を主成分とする顔料、示温顔料の例としては、ローダミンBラクタム/イソオクチルガレート/セチルアルコールをマイクロカプセルに包含させた顔料、親水性顔料の例としては、シリカ、チタニアを主成分とする顔料、赤外線(熱線)を反射させる機能性顔料の例としては、ATO(アンチモン/錫酸化物)、ITO(インジウム/錫酸化物)等の微粉末等が挙げられる。
【0012】
透明基材に塗装する前に、ガラス等透明基材の表面の油汚れ等を取り除いておく必要がある。油膜を取り除く方法は従来から種々あるが、油膜剥離用のコンパウンドを用いる方法が望ましい。
本発明の着色透明被膜形成組成物は、ハケ、フェルト、不織布等を用いて行うことができる。
また、塗装に際しては、重力方向に塗装して行くのが、塗りむらが生じにくく望ましい。
本発明の着色透明被膜形成組成物は、室温で、ガラス等の透明基材の上に塗装して、指触乾燥状態が0.5時間から2時間以内で得られ、さらに、12時間から24時間乾燥すると、美しい色の透明な堅い硬化被膜が得られる。
【0013】
本発明の着色透明被膜形成組成物において、アルカリ可溶性の紫外線吸収剤を用いた場合は、ガラス等の透明基材の上に塗装して得た硬化被膜が退色したり、紫外線吸収効果が低下してくると、ガラス等の透明基材から剥離して、再度、塗装することができる。
剥離剤としては、pH9以上のアルカリ剤が好ましく、適宜、非イオン、陰イオン又は両性界面活性剤の1種又は2種以上を配合したアルカリ洗剤とすることができる。
さらに、研磨剤を併用しても良いし、研磨剤付きのスポンジ等で表面を軽くこするのも良い。
【0014】
本発明の実施の形態をまとめると、以下のとおりである。
(1)(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー、(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
(2)(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
(3)(a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
(4)アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、から選ばれた1種又は2種以上の溶剤を必須成分として用いた上記(1)〜上記(3)記載の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
(5)(d)クエンチャーを、(a)成分100重量部に対して0.01〜5.0重量部用いる上記(1)、上記(3)、上記(4)の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
(6)(d’)フェノール系酸化防止剤を、(a)成分100重量部に対して0.01〜5.0重量部用いる上記(2)、上記(3)、上記(4)の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な可能な着色透明被膜形成組成物。
【0015】
【実施例】
実施例A 着色透明被膜形成組成物の作成
(A−1)
(1) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン65gとγ−アミノプロピルトリエトキシシラン35gを混合し、1時間攪拌後、25℃恒温室で14日間放置熟成させ、反応生成物(I)を100g得た。
(2) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.05g及びニッケルジブチルジチオカルバメイト0.01g溶解させた。
(3) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロパノール10gに三フッ化ホウ素ピペリジン0.2gを溶解させた。
(4) (2)の液に、(3)の液を混合した後、さらに(1)の液20gを均一に混合して溶液A−1を作成した。
(A−2)
(5) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.05g及び2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール0.03gを溶解させた。
(6) (3)の液を同様に調製して、(5)の液に混合した後、さらに(1)の液20gを均一に混合して溶液A−2を作成した。
(A−3)
(7) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.05g、ニッケルジブチルジチオカルバメイト0.01g及び2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール0.03gを溶解させた。
(8) (3)の液を同様に調製して、(7)の液に混合した後、さらに(1)の液20gを均一に混合して溶液A−3を作成した。
(A−4)
(9) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン5g、ニッケルジブチルジチオカルバメイト0.01g及び2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール0.03gを溶解させた。
(10) (3)の液を同様に調製して、(9)の液に混合した後、さらに(1)の液20gを均一に混合して溶液A−4を作成した。
(A−5)
(11) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン80gとN−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン20gを混合し、1時間攪拌後、25℃恒温室で14日間放置熟成させ、反応生成物(II)を100g得た。
(12) (3)及び(7)の液を同様に調製して、(3)の液を(7)の液に混合した後、さらに(11)の液20gを均一に混合して溶液A−5を作成した。
(A−6)
(13) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.05g、[2,2’−チオビス(4−ターシャリ−オクチルフェノレート)]−2−エチルヘキシルアミン−ニッケル0.01g及び2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール0.03gを溶解させた。
(14) (3)の液を同様に調製して、(13)の液に混合した後、さらに(11)の液20gを均一に混合して溶液A−6を作成した。
(A−7)
(15) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン0.05g、ニッケルジブチルジチオカルバメイト0.01g及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール)0.03gを溶解させた。
(16) (3)の液を同様に調製して、(15)の液に混合した後、さらに(11)の液20gを均一に混合して溶液A−7を作成した。
比較例
(17) プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート20gに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを0.05g溶解させた。
(18) (3)の液を同様に調製して、(17)の液に混合した後、さらに(1)の液20gを均一に混合して対照液を作成した。
次ぎに,ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロパノールにC.I.Pigment Yellow 150を1重量%分散させて着色液を作成した。この着色液を上記溶液A−1〜A−7及び対照液に対して重量比で1:1になるように混合し、着色透明被膜形成組成物を作成した。
実施例Aの結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0004671491
【0017】
実施例B 着色透明被膜形成組成物の塗膜性能評価
着色透明被膜試験板の作成
ガラス試験板(幅70×110mm厚み5mm)の表面をイソプロピルアルコールで脱脂した。次いで、着色透明被膜形成組成物A−1の12mlを容量30mlのトレイ(幅50×70mm×深さ15mm)に約8ml入れ、数回折りたたんだ不織布(幅50×30mm×厚み20mm)の塗布側(幅50mm)にトレイの液を全量染み込ませ、水平に固定したガラス試験板に均一に塗布した。20℃で24時間乾燥させ、乾燥膜厚約2μmの着色透明被膜を形成させた。
A−2〜A−7及び対照液についても同様にして着色透明被膜の試験板を作成した。
それらの外観を目視評価後、吸光度(紫外線部〜可視光線部)について分光光度計を用いて測定した。その後、試験板を促進耐光性試験機(JIS B 7754に規定するもの)に入れて192時間経過後に、再度、同様に外観を目視評価後、吸光度(紫外線部〜可視光線部)について分光光度計を用いて測定した。
着色透明被膜の性能評価項目と評価基準
(外観)
○:透明できれいに着色している。
△:透明だが、色が薄い。
×:ほとんど無色透明。
(可視光線部最大吸収波長における透過率)
波長450nm(可視光線部最大吸収波長)の吸光度を測定し、透過率に換算した。
(紫外線透過率)
波長345nmの吸光度を測定し、透過率に換算した。
実施例A−1〜A−7は、対照物と比較して、促進耐光性試験後においても、可視光線部最大吸収波長(着色に起因する吸収波長)における透過率の上昇が極めて少なく、外観(着色性)が良好であり、かつ、紫外線透過率(0%)の上昇が全くない優れた紫外線防止効果が長期にわたって持続することがわかった。
実施例Bの結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
Figure 0004671491
【0019】
実施例C 硬化被膜の剥離
アルカリ剤による剥離を目的として調整した実施例A−4の着色透明被膜形成組成物と対照とした着色透明被膜形成組成物を特願2000−118768号の実施例Bに記載した方法と同様にして実車のウインドウガラスに塗装し、出来あがった硬化被膜を3ヶ月間屋外暴露した(夏/6〜8月、冬/12〜2月)後、アルカリ洗剤Iとして陰イオン界面活性剤(オレイン酸トリエタノールアミン水溶液/pH=9)を含浸させたスポンジで被膜表面を軽く擦り、各試料の被膜の除去性を以下の基準で評価した。
また、アルカリ洗剤IIとして、陰イオン界面活性剤(オレイン酸モルホリン)を用いて、石油系溶剤及び研磨剤としての焼成ケイソウ土をそれぞれ乳化及び分散させたアルカリ性研磨組成物(pH=10、ペースト状)を調製し、この液を塗布したスポンジで被膜表面を軽く擦り、同様に評価した。
◎ :優良(速やかに完全に除去できる)
○ :良好(完全に除去できる)
△ :やや不良(一部除去できない)
× :不良(除去できない)
実施例A−4は、対照物と比較して、硬化被膜の剥離性がすぐれていることがわかった。結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
Figure 0004671491
【0021】
【本発明の効果】
本発明は、表2及び表3の結果が示すように、塗付むらが生じない、色むらのない、室温で硬化でき、硬化後の被膜硬度が高く、見栄えの良い透明な、紫外線吸収効果を兼ね備えた着色被膜が形成でき、しかも、使い古した後、簡単な操作で容易に剥離することができるばかりか、長時間に亘って美しい色を保持でき、長時間に亘って紫外線吸収効果を保持できる着色透明被膜形成組成物が得られた。

Claims (6)

  1. (a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー、(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
  2. (a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
  3. (a)エポキシ基含有アルコキシシラン(イ)と活性水素を有するアミノ基含有アルコキシシラン(ロ)との反応生成物、(b)酸触媒、(c)(a)成分100重量部に対して5〜40重量部のアルカリ可溶性紫外線吸収剤、(d)クエンチャー(d’)フェノール系酸化防止剤(e)沸点が100〜250℃の有機溶剤から選ばれる少なくとも1種の溶剤及び(f)染料及び/又は顔料を含むアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
  4. アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、から選ばれた1種又は2種以上の溶剤を必須成分として用いた請求項1〜請求項3記載の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
  5. (d)クエンチャーを、(a)成分100重量部に対して0.01〜5.0重量部用いる請求項1、請求項3、請求項4の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な着色透明被膜形成組成物。
  6. (d’)フェノール系酸化防止剤を、(a)成分100重量部に対して0.01〜5.0重量部用いる請求項2、請求項3、請求項4の何れか一つに記載されたアルカリ洗剤による剥離可能な可能な着色透明被膜形成組成物。
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