JP4665453B2 - 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置 - Google Patents

回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4665453B2
JP4665453B2 JP2004230955A JP2004230955A JP4665453B2 JP 4665453 B2 JP4665453 B2 JP 4665453B2 JP 2004230955 A JP2004230955 A JP 2004230955A JP 2004230955 A JP2004230955 A JP 2004230955A JP 4665453 B2 JP4665453 B2 JP 4665453B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotation
adaptive filter
encoder
detection
rotational speed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004230955A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005331496A5 (ja
JP2005331496A (ja
Inventor
浩一郎 小野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2004230955A priority Critical patent/JP4665453B2/ja
Publication of JP2005331496A publication Critical patent/JP2005331496A/ja
Publication of JP2005331496A5 publication Critical patent/JP2005331496A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4665453B2 publication Critical patent/JP4665453B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Force Measurement Appropriate To Specific Purposes (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Description

この発明に係る回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、例えば自動車、鉄道車両、各種搬送車等の移動体の車輪を支持する為の転がり軸受ユニットの改良に関し、この転がり軸受ユニットを構成する回転部材の回転速度、更にはこの転がり軸受ユニットに負荷される荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)を測定し、上記移動体の運行の安定性確保を図る為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更にはビークルスタビリティコントロールシステム(VSC)等の車両用走行安定装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表わす信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ラジアル荷重を測定自在な、荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来の第1例の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、ラジアル荷重を測定するもので、図23に示す様に構成している。懸架装置に支持される、静止輪である外輪1の内径側に、車輪を結合固定する、回転輪であるハブ2を支持している。このハブ2は、車輪を固定する為の回転側フランジ3をその外端部(車両への組み付け状態で幅方向外側となる端部)に有するハブ本体4と、このハブ本体4の内端部(車両への組み付け状態で幅方向中央側となる端部)に外嵌されてナット5により抑え付けられた内輪6とを備える。そして、上記外輪1の内周面に形成した、それぞれが静止側軌道である複列の外輪軌道7、7と、上記ハブ2の外周面に形成した、それぞれが回転側軌道である複列の内輪軌道8、8との間に、それぞれ複数個ずつの転動体9a、9bを配置して、上記外輪1の内径側での上記ハブ2の回転を自在としている。
上記外輪1の軸方向中間部で複列の外輪軌道7、7の間部分に、この外輪1を直径方向に貫通する取付孔10を、この外輪1の上端部にほぼ鉛直方向に形成している。そして、この取付孔10内に、荷重測定用のセンサである、円杆状(棒状)の変位センサ11を装着している。この変位センサ11は非接触式で、先端面(下端面)に設けた検出面は、ハブ2の軸方向中間部に外嵌固定したセンサリング12の外周面に近接対向させている。上記変位センサ11は、上記検出面と上記センサリング12の外周面との距離が変化した場合に、その変化量に対応した信号を出力する。
上述の様に構成する従来の荷重測定装置付転がり軸受ユニットの場合には、上記変位センサ11の検出信号に基づいて、転がり軸受ユニットに加わる荷重を求める事ができる。即ち、車両の懸架装置に支持した上記外輪1は、この車両の重量により下方に押されるのに対して、車輪を支持固定したハブ2は、そのままの位置に止まろうとする。この為、上記重量が嵩む程、上記外輪1やハブ2、並びに転動体9a、9bの弾性変形に基づいて、これら外輪1の中心とハブ2の中心とのずれが大きくなる。そして、この外輪1の上端部に設けた、上記変位センサ11の検出面と上記センサリング12の外周面との距離は、上記重量が嵩む程短くなる。そこで、上記変位センサ11の検出信号を制御器に送れば、予め実験等により求めた関係式或はマップ等から、当該変位センサ11を組み込んだ転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を求める事ができる。この様にして求めた、各転がり軸受ユニットに加わる荷重に基づいて、ABSを適正に制御する他、積載状態の不良を運転者に知らせる。
尚、図23に示した従来構造は、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重に加えて、上記ハブ2の回転速度も検出自在としている。この為に、前記内輪6の内端部にセンサロータ13を外嵌固定すると共に、上記外輪1の内端開口部に被着したカバー14に回転速度検出用センサ15を支持している。そして、この回転速度検出用センサ15の検知部を、上記センサロータ13の被検出部に、検出隙間を介して対向させている。
上述の様な回転速度検出装置を組み込んだ転がり軸受ユニットの使用時、車輪を固定したハブ2と共に上記センサロータ13が回転し、このセンサロータ13の被検知部が上記回転速度検出用センサ15の検知部の近傍を走行すると、この回転速度検出用センサ15の出力が変化する。この様にして回転速度検出用センサ15の出力が変化する周波数は、上記車輪の回転数に比例する。従って、この回転速度検出用センサ15の出力信号を図示しない制御器に送れば、ABSやTCSを適切に制御できる。
上述の様な従来構造の第1例の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を測定する為のものであるが、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する構造も、特許文献2等に記載されて、従来から知られている。図24は、この特許文献2に記載された、アキシアル荷重を測定する為の荷重測定装置付転がり軸受ユニットを示している。この従来構造の第2例の場合、回転輪であるハブ2aの外端部外周面に、車輪を支持する為の回転側フランジ3aを固設している。又、静止輪である外輪1aの外周面に、この外輪1aを懸架装置を構成するナックル16に支持固定する為の、固定側フランジ17を固設している。そして、上記外輪1aの内周面に形成した複列の外輪軌道7、7と、上記ハブ2aの外周面に形成した複列の内輪軌道8、8との間に、それぞれ複数個ずつの転動体9a、9bを転動自在に設ける事により、上記外輪1aの内径側に上記ハブ2aを回転自在に支持している。
更に、上記固定側フランジ17の内側面複数個所で、この固定側フランジ17を上記ナックル16に結合する為のボルト18を螺合する為のねじ孔19を囲む部分に、それぞれ荷重センサ20を添設している。上記外輪1aを上記ナックル16に支持固定した状態でこれら各荷重センサ20は、このナックル16の外側面と上記固定側フランジ17の内側面との間で挟持される。
この様な従来構造の第2例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、図示しない車輪と上記ナックル16との間にアキシアル荷重が加わると、上記ナックル16の外側面と上記固定側フランジ17の内側面とが、上記各荷重センサ20を、軸方向両面から強く押し付け合う。従って、これら各荷重センサ20の測定値を合計する事で、上記車輪と上記ナックル16との間に加わるアキシアル荷重を求める事ができる。又、図示はしないが、特許文献3には、一部の剛性を低くした外輪相当部材の振動周波数から転動体の公転速度を求め、更に、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
前述の図23に示した従来構造の第1例の場合、変位センサ11により、外輪1とハブ2との径方向に関する変位を測定する事で、転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する。但し、この径方向に関する変位量は僅かである為、この荷重を精度良く求める為には、上記変位センサ11として、高精度のものを使用する必要がある。高精度の非接触式センサは高価である為、荷重測定装置付転がり軸受ユニット全体としてコストが嵩む事が避けられない。
又、上述の図24に示した従来構造の第2例の場合、ナックル16に対し外輪1aを支持固定する為のボルト18と同数だけ、荷重センサ20を設ける必要がある。この為、荷重センサ20自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットの荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献3に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、複列アンギュラ型玉軸受である転がり軸受ユニットを構成する1対の列の転動体(玉)の公転速度に基づいて、この転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を測定する、転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関する発明を行なった(特願2004−7655号)。この先発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、上記各列の転動体の公転速度を求めるのに、これら各列の転動体を保持した保持器の回転速度を検出する事が、この公転速度を高分解能で求める面から有効である。但し、上記各列の転動体の転動面と、各列の保持器のポケットの内面との間には、これら各転動体の転動を許容すると共に、これら各転動体の転動面へのグリースの付着を許容する為の隙間が存在する為、上記各保持器は、回転に伴って径方向に変位しつつ回転する、振れ回りを生じる可能性がある。そして、この様な振れ回りが発生すると、上記各列の転動体の公転中心と上記各列の保持器の回転中心とがずれ、これら各列の保持器の回転速度、延いては上記各列の転動体の公転速度を正確に測定できなくなる。
この様な問題は、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を測定する、転がり軸受ユニットの荷重測定装置で、保持器の回転速度を測定する場合に限らずに生じ得る。即ち、各種回転部材の回転速度を検出する為の回転速度検出装置で、回転速度を検出すべき部材の回転中心とエンコーダの幾何中心とが不一致の場合に、この回転速度の検出精度が悪化する。この様な原因での回転速度検出の精度悪化を防止する為には、エンコーダの径方向反対側2個所位置に配置した1対の回転検出センサの検出信号を足し合わせる事で、上記両中心のずれによる影響をなくす事も考えられる。但し、この場合には回転検出センサが2個必要になって、その分、コスト並びに設置スペースが嵩む原因となる為、採用が難しくなる場合も考えられる。
比較的低周波の雑音成分を除去する為の技術として、非特許文献1に記載された、LMSアルゴリズムにより作動する適応フィルタが知られている。又、適応フィルタの概要に関しては、非特許文献2〜4等で、従来から知られている。又、適応フィルタの一種である同期式適応フィルタに関しても、例えば非特許文献5に記載される等により、従来から知られている。更に、同期式LMSアルゴリズムによりエンジンの振動を抑える技術が、非特許文献6に記載される等により、従来から知られている。但し、従来は、上述の様な適応フィルタは、低周波騒音と逆位相の音波を発する事でこの低周波騒音を低減する、所謂アクティブノイズコントロールを中心に使用していた。即ち、従来は上記適応フィルタを、空調機のダクトから室内に出る低周波騒音を低減したり、或は乗用車の室内に入り込む低周波の排気音或は走行音、更にはヘッドホンの外から入り込む低周波の外部騒音を低減する等、低周波騒音の低減にしか使用されていなかった。非特許文献6に記載された技術にしても、エンジンの振動抑制を目的としたものである。言い換えれば、上記非特許文献1に記載される等により従来から知られている適応フィルタの技術を、エンコーダの振れ回り運動に拘らず、このエンコーダを利用した回転速度検出の精度を向上させる事は、全く考えられていなかった。又、他の型式のフィルタにより、この様な回転速度検出の精度を向上させる事に就いても、従来は特に考慮されていなかった。例えば、非特許文献7、8に、ノッチフィルタにより信号中の変動(ノイズ)を除去する技術が記載されているが、この従来技術に関しても、通信、心電図計測、画像処理、サーボ応答性を向上させる技術への適用可能性を示唆しているのみで、回転速度検出の精度を向上させる事を示唆するものではない。
特開2001−21577号公報 特開平3−209016号公報 特公昭62−3365号公報 浜田晴夫、「アダプティブフィルタの基礎(その2)」、日本音響学会誌、45巻、9号、(社)日本音響学会、1989年、p.731−738 中央大学電気電子情報通信工学科趙研究室、「適応フィルタとは」、[online]、[平成15年8月29日検索]、インターネット、<URL:http://www.elect.chuo-u.ac.jp/chao/forB3/dsp/volterra/filter.html > The MathWorks,Inc.、「適応フィルタの概要とアプリケーション」、[online]、[平成15年8月29日検索]、インターネット、<URL:http://www.mathworks.ch/access/helpdesk/jhelp/toolbox/filterdesign/adaptiv2.shtml > The MathWorks,Inc.、「LMSアルゴリズムを使用する適応フィルタの例題」、[online]、[平成15年8月29日検索]、インターネット、<URL:http://www.mathworks.ch/access/helpdesk/jhelp/toolbox/filterdesign/adaptiv9.shtml > 浜田晴夫、外3名、「同期式適応フィルタとそのアクティブ騒音・振動制御への応用」、日本音響学会講演論文集、3−5−13、(社)日本音響学会、平成4年3月、p.515〜516 佐藤茂樹、外4名、「アクティブマウントの開発」、自動車技術、(社)自動車技術会、Vol.53、No.2、1999年2月、p.62〜66 鳥取大学/工学部/電気電子工学科/情報通信研究室のホームページ、「適応ノッチフィルタ」、[online]、[平成16年7月30日検索]、インターネット、<URL:http://dacom1.ele.tottori-u.ac.jp/joho/digital/notch/notch.html > 富士電機機器制御株式会社のホームページ、FAQ、「ノッチフィルタとは」、[online]、[平成16年7月30日検索]、インターネット、<URL:http://www.fujielectric.co.jp/fcs/jpn/new/beta/faq01.htm >
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、低コストで構成できて、耐久性や設置スペースに問題を生じる事がなく、しかも回転部材の回転速度を、制御の為に必要とされる精度を確保しつつ測定できる回転速度検出装置を実現すべく発明したものである。
又、好ましくは、適応フィルタの技術を、従来適用されていた音響分野等とは全く異なる、回転速度検出の分野に適用する事により、回転部材の回転速度を、実用上問題となる程の時間的遅れを生じさせる事なく測定できる回転速度検出装置を実現するものである。
本発明の回転速度検出装置は、何れも、回転部材に支持固定されてこの回転部材と共に回転する、特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこのエンコーダの被検出面に対向させた状態で設けられた回転検出センサと、この回転検出センサから送り出される、周期的に変化する検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を算出する演算器とを備える。
特に、本発明の回転速度検出装置に於いては、この演算器は、{例えば上記エンコーダの回転中心と幾何中心との不一致に起因する(請求項10)}上記回転部材の回転速度算出に対する誤差となる、上記回転検出センサの検出信号の変動(ノイズ)の影響を、この変動に関連して変化する参照信号に基づいて除去する為の適応フィルタを備えている。そして、この適応フィルタを、上記回転検出センサの検出信号を送る為の主信号経路(主ルート)に対して並列に配置すると共に、上記適応フィルタによって算出される上記回転検出センサの変動分となる誤差成分を、上記主信号経路の下流部で差し引く事により、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を除去可能としている。
又、請求項1に記載した発明の場合には、上記適応フィルタは、LMS(最小二乗平均)アルゴリズム(二乗平均誤差を最急降下法に基づいて最小にする演算規則)により作動する、ディジタルフィルタ又はアナログフィルタである。
更に、上記演算器は、上記適応フィルタの入力となる上記参照信号(振れ回りに基づく回転検出センサの出力信号の変動と相関のある信号)を、上記エンコーダに対向した上記回転検出センサの検出信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を演算する為の処理回路により、上記エンコーダの1回転で1周期となる、サイン波、三角波、鋸波、短形波、パルス波のうちの何れかの波形として自己生成する。
又、請求項2に記載した発明の場合には、上記適応フィルタは、同期式LMSアルゴリズムにより作動するものである。
更に、上記演算器は、上記適応フィルタの入力となる上記参照信号を、上記エンコーダに対向した上記回転検出センサの検出信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を演算する為の処理回路により自己生成する。
上述の様に構成する本発明の回転速度検出装置は、例えば回転部材の回転中心とエンコーダの幾何中心とが不一致の場合にも、この回転部材の回転速度を正確に求められる。即ち、これら両中心同士が互いに不一致で、回転検出センサの検出信号中にこの不一致に基づく変動が生じても、この変動をキャンセル(ノイズの影響を除去)できる。この為、上記回転部材の回転速度に基づく、各種状態を正確に把握して、迅速且つ適正な処置を行なえる。
特に、フィルタ回路として適応フィルタを使用している為、上記変動をキャンセルする事に伴う、信号処理の遅れをなくし、上記回転速度を利用した各種制御を迅速に行なえる。
又、適応フィルタを主信号経路に対して並列に配置している為、従来一般的である主信号経路に対してフィルタを直列に配置(挿入)すると共に、このフィルタの特性を何らかの方法により可変にする構成とは異なる構成で、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を、容易に、且つ十分に除去できる。又、直列に挿入したノッチフィルタ等のフィルタの場合には、主信号に時間遅れを生じさせる可能性があるが、並列に配置する事で、この主信号に時間的遅れを生じさせる懸念をなくせる。
又、請求項1に記載した発明の場合には、適応フィルタとして、LMSアルゴリズムにより作動する、ディジタルフィルタ又はアナログフィルタを使用している為、回転部材の回転中心とエンコーダの幾何中心との不一致に基づく変動を最小に抑えられる状態で、適応フィルタを完成させる事ができる。この為、この変動に基づく誤差を、容易に、且つ十分に低減できる。
又、請求項2に記載した発明の場合には、適応フィルタとして、同期式LMSアルゴリズムにより作動する適応フィルタを使用している為、エンコーダの1パルス毎に回転検出センサの検出信号に関して必要とする演算処理の回数を大幅に低減して、計算速度が特に速くない、低コストの演算器(CPU)での処理が十分に可能になる。
又、本発明の場合には、適応フィルタの入力となる参照信号(振れ回りに基づく回転検出センサの出力信号の変動と相関のある信号)を、1回転中での特性変化の回数が既知である、エンコーダに対向した回転検出センサの検出信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて回転部材の回転速度を演算する為の処理回路により自己生成する。
この為、上記参照信号の生成を低コスト、且つ省スペースで行なえる。即ち、従来から適応フィルタの用途として一般的に知られていたアクティブノイズコントロールの場合、低減すべき外部騒音の周波数及び波形が必ずしも分かっていない。この為、この外部騒音を相殺する為の音(この外部騒音と同じ大きさ及び波形で位相が180度ずれている音)を造り出す為の参照信号の生成を、別途設けたマイクロフォンにより収集した上記外部騒音に基づいて行なう(外部から取り入れた信号により造り出す)必要がある。これに対して本発明の場合には、適応フィルタにより、エンコーダの振れ回りに基づく回転検出センサの検出信号の変動を低減させる。そして、上記エンコーダの1回転中での特性変化の回数は予め分かっているので、このエンコーダの1回転分のパルス数を観察する事で、特に別途上記触れ回りを測定する為のセンサを設けなくても、上記変動と相関のある上記参照信号を生成できる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、適応フィルタのタップ数をエンコーダ1回転当りのパルス数と等しくする。
そして、好ましくは前述した請求項2に記載した発明の様に、適応フィルタとして、同期式LMSアルゴリズムにより作動する適応フィルタを使用する。
この様に構成すれば、エンコーダの1パルス毎に回転検出センサの検出信号に関して必要とする演算処理の回数を大幅に低減して、計算速度が特に速くない、低コストの演算器(CPU)での処理が十分に可能になる。
又、好ましくは、請求項4に記載した発明の様に、適応フィルタのフィルタ係数の平均値を算出し、この平均値に基づいて回転検出センサの検出信号のDCレベルの補正を行なう。
この場合に、請求項5に記載した発明の様に、フィルタ係数の平均値として、エンコーダの回転方向に関して等間隔に(180度反対側位置に)存在する任意の2点で抽出したフィルタ係数の平均値を使用するか、或は、請求項6に記載した発明の様に、それぞれがエンコーダの回転方向に関して等間隔に存在する任意の2点で抽出した1対のフィルタ係数の組み合わせである、複数の組み合わせデータを構成する、4点以上のフィルタ係数の平均値を使用する。
この様に構成すれば、同期式LMSアルゴリズムにより作動する適応フィルタを使用した場合でも、この適応フィルタが回転検出センサの検出信号のDCレベルをキャンセルする事を防止して、回転部材の回転速度に基づく、各種状態を正確に把握できる。
又、好ましくは、回転検出センサの検出信号の変動に関し、適応フィルタでその影響を除去する変動となる、エンコーダの振れ回りに基づく変動(所謂累積ピッチ誤差)とは別の原因に基づく、この振れ回りに基づく変動(第一の変動)よりも周期が短い第二の変動を平均化する為のローパスフィルタを、上記適応フィルタの前又は後に設ける。
上記エンコーダの回転に伴う回転検出センサの検出信号の変動には、上記振れ回りに基づく比較的周期の長い(低周波の)変動(第一の変動)の他、円周方向に関する特性変化のピッチ誤差による、比較的周期の短い(高周波の)もの(第二の変動)がある。この様な高周波の変動を上記適応フィルタで低減する事は難しい。但し、この様な高周波の変動は、移動平均等の平均化処理を行なう平均化フィルタ等のローパスフィルタにより是正できる。従って、上述の様に、平均化フィルタ等のローパスフィルタを適応フィルタの前又は後に設ければ、所謂累積ピッチ誤差と呼ばれる、エンコーダの振れ回りに基づく回転検出センサの検出信号の変動(第一の変動)だけでなく、このエンコーダの特性変化のピッチ誤差に基づく回転検出センサの検出信号の変動(第二の変動)も低減できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項11に記載した発明の様に、エンコーダを支持固定する回転部材を、転がり軸受ユニットを構成する1対の軌道輪同士の間に設けられ、複数のポケット内に保持した転動体の公転に伴って回転する保持器とする。
エンコーダの振れ回りに基づく回転速度検出用センサの検出信号の変動は、このエンコーダの回転中心と幾何中心との不一致に起因して発生する。又、この不一致は、組み付け誤差等によっても発生する。但し、組み付け誤差に基づく上記両中心同士の不一致は、組み付け精度を向上させる事で、実用上問題ない程度に抑えられる。
但し、保持器にエンコーダを支持した場合、例えこれら保持器とエンコーダとの幾何中心を完全に一致させても、このエンコーダの回転中心と幾何中心との不一致が生じる。この理由は、前述した様に、各転動体の転動面と保持器のポケットの内面との間に隙間が存在する為である。
従って、保持器の回転速度を、この保持器に支持固定したエンコーダを利用して測定する場合には、このエンコーダの回転中心と幾何中心との不一致に基づく回転検出センサの検出信号の変動への対応が重要になる。
そして、特に、被検出面がエンコーダの軸方向片側面である場合には、本発明を実施する事が重要になる。
保持器の一部にエンコーダを支持固定した場合で、このエンコーダの幾何中心と回転中心とが不一致であった場合、このエンコーダの被検出面が何れの面であっても(周面、軸方向片側面に拘らず)、上記不一致に基づいて回転検出センサの検出信号が変動する。但し、転がり軸受内部の限られた空間内にエンコーダ及び回転速度検出装置の検知部を配置する場合、被検出面をエンコーダの軸方向片側面とした方が、設計の自由度が高くなる。
又、本発明の実施の形態として好ましくは、請求項13に記載した発明の様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置が考えられる。
この転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、静止輪と、回転輪と、複数の転動体と、1対の回転速度検出装置と、演算器とを備える。
このうちの静止輪は、使用時にも回転しない。
又、上記回転輪は、上記静止輪と同心に配置されて使用時に回転する。
又、上記各転動体は、これら静止輪と回転輪との互いに対向する部分にそれぞれ2列ずつ形成された静止側軌道と回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、これら両列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして転動自在に設けられている。
又、上記各回転速度検出装置は、上記両列の転動体を保持した1対の保持器の回転速度を検出する為のものである。
又、上記演算器は、上記各回転速度検出装置が検出する1対の保持器の回転速度に基づいて、上記静止輪と上記回転輪との間に加わる荷重を算出する。
この様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置に本発明を適用する場合に、上記各回転速度検出装置を、前述の請求項11に記載した構造のものとする。
更に好ましくは、請求項14に記載した発明の様に、上記回転輪を、自動車の車輪を固定した状態でこの車輪と共に回転するハブとする。
図1〜8は、本発明の実施例1を示している。本実施例は、自動車の従動輪(FR車、RR車、MD車の前輪、FF車の後輪)を支持する為の転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重及びアキシアル荷重)を測定する為の転がり軸受ユニットの荷重測定装置に本発明を適用した場合に就いて示している。このうちの転がり軸受ユニット部分の構成及び作用は、前述の図23に示した従来構造と同様であるから、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本実施例の特徴部分を中心に説明する。
回転輪であるハブ2の外周面に形成した、それぞれが回転側軌道である複列アンギュラ型の内輪軌道8、8と、静止輪である外輪1の内周面に形成した、それぞれが静止側軌道である複列アンギュラ型の外輪軌道7、7との間に、それぞれ転動体(玉)9a、9bを複列(2列)に分けて、各列毎にそれぞれ複数個ずつ、保持器21a、21bにより保持した状態で転動自在に設ける事により、上記外輪1の内径側に上記ハブ2を、回転自在に支持している。この状態で上記各列の転動体9a、9bには、互いに逆方向で、且つ、同じ大きさの接触角αa 、αb (図2)が付与されて、背面組み合わせ型の、複列アンギュラ型玉軸受を構成する。上記各列の転動体9a、9bには、使用時に加わるアキシアル荷重によって喪失する事がない程度に十分な予圧を付与している。この様な転がり軸受ユニットの使用時には、上記外輪1を懸架装置に支持固定し、上記ハブ2の回転側フランジ3に制動用のディスクと車輪のホイールとを支持固定する。
上述の様な転がり軸受ユニットを構成する上記外輪1の軸方向中間部で上記複列の外輪軌道7、7の間部分に取付孔10aを、この外輪1を径方向に貫通する状態で形成している。そして、この取付孔10aにセンサユニット22を、上記外輪1の径方向外方から内方に挿通し、このセンサユニット22の先端部23を、上記外輪1の内周面から突出させている。この先端部23には、それぞれが回転検出センサである1対の公転速度検出用センサ24a、24bと、1個の回転速度検出用センサ15aとを設けている。
このうちの各公転速度検出用センサ24a、24bは、上記複列に配置された転動体9a、9bの公転速度を測定する為のもので、上記先端部23のうち、上記ハブ2の軸方向(図1〜2の左右方向)に関する両側面に、それぞれの検出面を配置している。本実施例の場合、上記各公転速度検出用センサ24a、24bは、上記複列に配置された各転動体9a、9bの公転速度を、前記各保持器21a、21bの回転速度として検出する。この為に本実施例の場合には、これら各保持器21a、21bを構成するリム部25、25を、互いに対向する側に配置している。そして、これら各リム部25、25の互いに対向する面に、それぞれが円輪状である公転速度検出用エンコーダ26a、26bを、全周に亙り添着支持している。これら各エンコーダ26a、26bの被検出面の特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させて、上記各保持器21a、21bの回転速度を上記各公転速度検出用センサ24a、24bにより検出自在としている。
この為に、これら各公転速度検出用センサ24a、24bの検出面を、上記各公転速度検出用エンコーダ26a、26bの被検出面である、互いに対向する面に近接対向させている。尚、これら各公転速度検出用エンコーダ26a、26bの被検出面と上記各公転速度検出用センサ24a、24bの検出面との距離(検出隙間)は、上記各保持器21a、21bのポケットの内面と上記各転動体9a、9bの転動面との間の隙間であるポケット隙間よりも大きく、2mm以下とする事が好ましい。上記検出隙間がポケット隙間以下になると、上記各保持器21a、21bがこのポケット隙間分変位した場合に、上記被検出面と上記検出面とが擦れ合う可能性を生じる為、好ましくない。反対に、上記検出隙間が2mmを越えると、上記各公転速度検出用センサ24a、24bにより上記各公転速度検出用エンコーダ26a、26bの回転を正確に測定する事が難しくなる。
一方、前記回転速度検出用センサ15aは、回転輪である前記ハブ2の回転速度を測定する為のもので、上記先端部23の先端面、即ち、上記外輪1の径方向内端面に、その検出面を配置している。又、上記ハブ2の中間部で前記複列の内輪軌道8、8同士の間に、円筒状の回転速度検出用エンコーダ27を外嵌固定している。上記回転速度検出用センサ15aの検出面は、この回転速度検出用エンコーダ27の被検出面である、外周面に対向させている。この回転速度検出用エンコーダ27の被検出面の特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させて、上記ハブ2の回転速度を上記回転速度検出用センサ15aにより検出自在としている。上記回転速度検出用エンコーダ27の外周面と上記回転速度検出用センサ15aの検出面との間の測定隙間に関しても、2mm以下に抑える。
尚、上記各エンコーダ26a、26b、27としては、従来からABSやTCSの制御用の信号を得るべく、車輪の回転速度を検出する為に利用していた各種構造のものを使用できる。例えば、上記各エンコーダ26a、26b、27として、被検出面(側面又は外周面)にN極とS極とを交互に且つ等間隔に配置した、多極磁石製のものが、好ましく使用できる。但し、単なる磁性材製のエンコーダや、光学的特性を円周方向に亙って交互に且つ等間隔に変化させたものも、(光学式の回転速度検出用センサと組み合わせる事で)使用可能である。
本実施例の場合には、上記各公転速度検出用エンコーダ26a、26bとして、被検出面である軸方向側面にS極とN極とを交互に且つ等間隔で配置した、円輪状の永久磁石を使用している。この様な各公転速度検出用エンコーダ26a、26bは、別途造られた上記各保持器21a、21bのリム部25、25の側面に接着により結合固定したり、或はこれら各保持器21a、21bを射出成形する際にキャビティ内に上記各公転速度検出用エンコーダ26a、26bをセットしておく事で、インサート成形する。何れの方法を採用するかは、コスト及び要求される結合強度等に応じて選択する。
又、何れも回転速度を検出するセンサである、上記各公転速度検出用センサ24a、24b及び上記回転速度検出用センサ15aとしては、磁気式の回転検出センサが、好ましく使用できる。又、この磁気式の回転検出センサとしては、ホール素子、ホールIC、磁気抵抗素子(MR素子、GMR素子)、MI素子等の磁気検出素子を組み込んだアクティブ型のものが、好ましく使用できる。この様な磁気検出素子を組み込んだアクティブ型の回転検出センサを構成するには、例えば、この磁気検出素子の一側面を、直接又は磁性材製のステータを介して永久磁石の着磁方向一端面に突き当て(磁性材製のエンコーダを使用する場合)、上記磁気検出素子の他側面を、直接又は磁性材製のステータを介して、上記各エンコーダ26a、26b、27の被検出面に対向させる。尚、本実施例の場合、永久磁石製のエンコーダを使用するので、センサ側の永久磁石は不要である。
本実施例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、上記各センサ24a、24b、15aの検出信号は、図示しない演算器に入力する。そして、この演算器が、これら各センサ24a、24b、15aから送り込まれる検出信号に基づいて、前記外輪1と前記ハブ2との間に加わるラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方の荷重を算出する。例えば、このラジアル荷重を求める場合に上記演算器は、上記各公転速度検出用センサ24a、24bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の和を求め、この和と、上記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度との比に基づいて、上記ラジアル荷重を算出する。又、上記アキシアル荷重は、上記各公転速度検出用センサ24a、24bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の差を求め、この差と、上記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度との比に基づいて算出する。この点に就いて、図4を参照しつつ説明する。尚、以下の説明は、アキシアル荷重Fa が加わらない状態での、上記各列の転動体9a、9bの接触角αa 、αb が互いに同じであるとして行なう。
図4は、前述の図1に示した車輪支持用の転がり軸受ユニットを模式化し、荷重の作用状態を示したものである。複列の内輪軌道8、8と複列の外輪軌道7、7との間に複列に配置された転動体9a、9bには予圧F0 、F0 を付与している。又、使用時に上記転がり軸受ユニットには、車体の重量等により、ラジアル荷重Fr が加わる。更に、旋回走行時に加わる遠心力等により、アキシアル荷重Fa が加わる。これら予圧F0 、F0 、ラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa は、何れも上記各転動体9a、9bの接触角α(αa 、αb )に影響を及ぼす。そして、この接触角αa 、αb が変化すると、これら各転動体9a、9bの公転速度nc が変化する。これら各転動体9a、9bのピッチ円直径をDとし、これら各転動体9a、9bの直径をdとし、上記各内輪軌道8、8を設けたハブ2の回転速度をni とし、上記各外輪軌道7、7を設けた外輪1の回転速度をno とすると、上記公転速度nc は、次の(1)式で表される。
c ={1−(d・cos α/D)・(ni /2)}+{1+(d・cos α/D)・(n o /2)} −−− (1)
この(1)式から明らかな通り、上記各転動体9a、9bの公転速度nc は、これら各転動体9a、9bの接触角α(αa 、αb )の変化に応じて変化するが、前述した様にこの接触角αa 、αb は、上記ラジアル荷重Fr 及び上記アキシアル荷重Fa に応じて変化する。従って上記公転速度nc は、これらラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa に応じて変化する。本実施例の場合、上記ハブ2が回転し、上記外輪1が回転しない為、具体的には、上記ラジアル荷重Fr に関しては、大きくなる程上記公転速度nc が遅くなる。又、アキシアル荷重に関しては、このアキシアル荷重を支承する列の公転速度が速くなり、このアキシアル荷重を支承しない列の公転速度が遅くなる。従って、この公転速度nc に基づいて、上記ラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa を求められる事になる。
但し、上記公転速度nc の変化に結び付く上記接触角αは、上記ラジアル荷重Fr と上記アキシアル荷重Fa とが互いに関連しつつ変化するだけでなく、上記予圧F0 、F0 によっても変化する。又、上記公転速度nc は、上記ハブ2の回転速度ni に比例して変化する。この為、これらラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa 、予圧F0 、F0 、ハブ2の回転速度ni を総て関連させて考えなければ、上記公転速度nc を正確に求める事はできない。このうちの予圧F0 、F0 は、運転状態に応じて変化するものではないので、初期設定等によりその影響を排除する事は容易である。これに対して上記ラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa 、ハブ2の回転速度ni は、運転状態に応じて絶えず変化するので、初期設定等によりその影響を排除する事はできない。
この様な事情に鑑みて本実施例の場合には、前述した様に、ラジアル荷重を求める場合には、前記各公転速度検出用センサ24a、24bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の和を求める事で、上記アキシアル荷重Fa の影響を少なくしている。又、アキシアル荷重を求める場合には、上記各列の転動体9a、9bの公転速度の差を求める事で、上記ラジアル荷重Fr の影響を少なくしている。更に、何れの場合でも、上記和又は差と、前記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度ni との比に基づいて上記ラジアル荷重Fr 又は上記アキシアル荷重Fa を算出する事により、上記ハブ2の回転速度ni の影響を排除している。但し、上記アキシアル荷重Fa を、上記各列の転動体9a、9bの公転速度の比に基づいて算出する場合には、上記ハブ2の回転速度は、必ずしも必要ではない。
尚、上記各公転速度検出用センサ24a、24bの信号に基づいて上記ラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方の荷重を算出する方法は、他にも各種存在するが、この様な方法に就いては、前述の特願2004−7655号に詳しく説明されているし、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
但し、何れの方法により何れの荷重を求めるにしても、上記各公転速度検出用センサ24a、24bの検出信号に基づいて上記各列の転動体9a、9bの公転速度を正確に求められる事が、荷重の測定精度を高める為に重要である。
これに対して上記各公転速度検出用センサ24a、24bの検出信号(に基づく、公転速度を表す信号)中には、被検出面の着磁ピッチ(円周方向に隣り合うS極とN極との間のピッチ)の誤差に基づく、前述した様な比較的高周波の変動と、保持器21a、21bの振れ回り運動に伴う、前述した様な比較的低周波の変動とが入り込んでいる。この様な変動を処理(低減)しないと、各列の転動体9a、9bの公転速度を正確に求められず、従って、上記ラジアル荷重や上記アキシアル荷重の測定精度が悪化する。そこで本実施例の場合には、図5に示す様な適応フィルタにより、上記振れ回り運動に基づく、上記比較的低周波の変動を低減する他、図示しない平均化フィルタ等のローパスフィルタにより、上記着磁ピッチの誤差に基づく、上記比較的高周波の変動を低減する様にしている。
先ず、上記2種類の変動が生じる理由に就いて、図6〜7により説明する。前記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)を保持した(或は自身がエンコーダとしての機能を有する)保持器21a(21b)のポケットの内面と前記各転動体9a(9b)の転動面との間には、これら各転動体9a(9b)を転動自在に保持する必要上、隙間が存在する。従って、各構成部材の組み付け精度をいくら高めても、転がり軸受ユニットの運転時に、上記各転動体9a(9b)のピッチ円の中心(上記ハブ2の回転中心)O2 と上記保持器21a(21b)の回転中心O21とが、図6に誇張して示す様に、δ分だけずれる可能性がある。そして、このずれに基づいて上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)は、上記回転中心O21の周囲で振れ回り運動を行なう。この振れ回り運動の結果、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の被検出面は、回転方向以外にも移動速度を持つ事になる。そして、この回転方向以外の移動速度、例えば図6の左右方向の移動速度が、回転方向の移動速度に加減される。一方、公転速度検出用センサ24a(24b)は、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の被検出面の移動速度に基づいて上記各転動体9a(9b)の公転速度を検出するので、上記δ分の偏心は、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の側面にその検出面を対向させた、公転速度検出用センサ24a(24b)の検出信号に影響を及ぼす。
この様な公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の側面に上記公転速度検出用センサ24a(24b)の検出面を対向させると、この公転速度検出用センサ24a(24b)の検出信号(に基づく、公転速度を表す信号)は、図7の鎖線αに示す様に、正弦波的に変化する。即ち、各転動体9a(9b)の公転速度が一定である場合でも、この公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号が表す公転速度は、上記鎖線αで示す様に、正弦波的に変化する。具体的には、図6の左右方向の移動速度が回転方向の移動速度に足される場合には、上記出力信号は、実際の公転速度よりも速い速度に対応する信号となる。反対に、図6の左右方向の移動速度が回転方向の移動速度から差し引かれる場合には、上記出力信号は、実際の公転速度よりも遅い速度に対応する信号となる。図6は偏心量δを実際の場合よりも誇張して描いているが、例えば車両安定の為の制御をより厳密に行なうべく、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa をより正確に求める場合には、上記偏心に伴う誤差を解消する必要がある。
又、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の側面に配列されたS極とN極とのピッチは、本来同じはずであるが、製造時に発生する着磁誤差等により、少しずつではあるが互いに異なる場合がある。そして、この誤差に基づいても、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の検出信号が変動する。この様な着磁ピッチの誤差に基づく変動の周期は、上記振れ回り運動に基づく変動の周期に比べると遥かに短くなる。例えば、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の側面(被検出面)の特性(S極とN極との繰り返し)が、この被検出面の全周で60回変化する場合、上記着磁ピッチの誤差に基づく変動の周期は、上記振れ回り運動に基づく変動の周期の1/60程度になる。
上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)から出力される検出信号(に基づく、公転速度を表す信号)は、上記2種類の変動が足し合わされた(重畳された)、図7に実線βで示す様なものになる。上記ラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa を正確に求める為には、上記2種類の変動を低減する必要がある。そこで、本実施例の場合には、上記振れ回り運動に伴う、比較的低周波の変動を図5に示した適応フィルタ28により低減し、上記着磁ピッチの誤差に伴う比較的高周波の変動を、図示しない平均化フィルタ等のローパスフィルタにより低減する様にしている。尚、適応アルゴリズムとしては、適応フィルタとして後述するFIRフィルタを使用する、LMS(最小二乗平均)アルゴリズム(二乗平均誤差を最急降下法に基づいて最小にする演算規則)が好ましい。
先ず、図5に示した適応フィルタ28による、上記低周波の変動低減に就いて説明する。上記公転速度検出用センサ24a(24b)の検出部が対向する部分での、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の変位速度は、実際の回転速度dd と、前記δ分の偏心に基づく振れ回りによる回転1次成分の見掛け速度の変動分dn とが重畳されたものとなる。従って、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dは、上記実際の回転速度dd と上記変動分dn とを足し合わせた(d=dd +dn )速度を表す信号になる。上記適応フィルタ28によりこの変動分dn を上記出力信号dから差し引けば(減ずれば)、上記実際の回転速度dd を求められる事になる。
一方、上記適応フィルタ28を作動させる為には、上記振れ回りに基づく変動分dn と相関性のある参照信号xが必要になる。この参照信号xを入手できれば、上記適応フィルタ28は自己学習によって、実際の信号の流れ「dn →d」の伝達特性と同じ特性を持った、FIR(finite impulse response )フィルタ(インパルス応答時間が有限なフィルタ=インパルス応答が有限時間内に0になるフィルタ)を形成する。そして、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dから、上記適用フィルタ28による計算の結果得られる、キャンセル信号y{=後述するy(k)}を差し引けば、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dから上記振れ回りによる変動分dn を取り除いた(d−dn )事と等価になる。この様にしてこの変動分dn を取り除く場合に、上記適応フィルタ28は、信号の主ルート(図5の上半部分)を送られる出力信号dに対してフィルタリングするのではなく、副ルート(図5の下半部分)を送られる参照信号xに基づいて上記変動分dn を取り除く為のキャンセル信号yを計算する。そして、上記主ルートである出力信号dから上記キャンセル信号yを引き算するだけであるので、上記出力信号dの応答遅れを招かない。
本実施例の場合、上記参照信号xを、前記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の1回転中での特性変化の回数に基づき、この公転速度検出用エンコーダ26a(26b)に対向した上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて前記各転動体9a(9b)の公転速度を演算する為の処理回路により、自己生成する。従って、上記参照信号xの生成に要するコストを低減できる。即ち、従来から適応フィルタの用途として一般的に知られていたアクティブノイズコントロールの構造をそのまま上記各転動体9a(9b)の公転速度を正確に求める為の構造に適用すると、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の振れ回りを、変位センサや回転速度センサ等、別途設けたセンサにより検出し、このセンサの検出信号を上記適応フィルタ28の参照信号xとして使用する事になる。この場合には、別途センサを設ける分だけ、コスト並びに設置スペースが必要になる。
これに対して本実施例の場合には、この様な別途設けたセンサの検出信号を使用する事なく上記参照信号xを入手して、上記適応フィルタ28により、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の振れ回りに基づく、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dの変動分dn を低減させる。即ち、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の1回転中での特性変化の回数(S極とN極との数)は予め分かっている。従って、この公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の1回転分のパルス数を観察する事で、特に変位センサや回転速度センサ等のセンサを別途設けなくても、上記変動分dn と相関のある上記参照信号xを生成できる。具体的には、上記公転速度検出用エンコーダ26a(26b)の振れ回りの影響は、回転1次が主成分の波形であり、例えばこの公転速度検出用エンコーダ26a(26b)が、1回転当り60パルスのものであれば、60データで1周期となる様なサイン波、三角波、鋸波、矩形波、パルス波等として自己生成できる。
この様な参照信号xの波形は、上記各転動体9a(9b)の公転速度を算出する為の処理回路(CPU)で生成する事もできるし、上記公転速度検出用センサ24a(24b)に付属の電子回路部(IC)で生成する事もできる。何れにしても、得られた上記参照信号xに基づいて算出したキャンセル信号yは、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dから差し引いて、前記実際の回転速度dd を表す修正信号e{=後述するe(k)}を求める。この様にして求めた修正信号eは、上記各転動体9a(9b)の公転速度を演算する為の処理回路に送ってこの公転速度を求める為に利用する他、上記適応フィルタ28が自己学習する為の情報としても利用する。
尚、上記適応フィルタ28部分で、上記キャンセル信号yを求め、更にこのキャンセル信号yを上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dから差し引いて、上記修正信号eを得る為の処理は、次の(2)〜(4)式に基づいて行なう。
Figure 0004665453
Figure 0004665453
Figure 0004665453
上記(2)(3)(4)式中、kは時系列でのデータ番号、Nは適応フィルタ28として用いるFIRフィルタのタップ数である。又、wはFIRフィルタのフィルタ係数を表し、wk はk番目のデータ処理をする場合に使用するフィルタ係数を、wk+1 は次のデータ系列(k+1番目)を処理する場合に使用するフィルタ係数を、それぞれ表している。即ち、本実施例の場合、上記FIRフィルタは、上記式(4)により逐次適正にフィルタ係数が更新されていく適応フィルタとなる。演算を開始する際に最初に用いるフィルタ係数wk は、零を代入しておいても、動き始めれば自己適応していくので差し支えはないが、予め望ましいフィルタ特性を求めてその値を代入しておいても良い。更には、前回の処理で最後に使用したフィルタ係数を、EEPROM等の記憶手段に記憶しておき、再始動時に使用しても良い。
又、上記(4)式中のμは、ステップサイズパラメータと呼ばれる、フィルタ係数を自己適正化させていく場合の更新量を決定する値であり、通常0.01〜0.001程度の値となるが、実際には、適応動作の妥当性を事前に調べて設定するか、次の(5)式を用いて逐次更新する事もできる。
Figure 0004665453
尚、この(5)式中のαも、フィルタ係数を自己適正化させていく為の更新量を決定するパラメータとなるが、0<α<1の範囲であれば良く、上記μよりも設定が容易である。又、本実施例の場合には、前記参照信号xを自己生成するので、上記(5)式中の分母の値は既知であり、μの最適値を事前に算出しておく事もできる。計算量削減の観点からは、予め(5)式でこのμを算出しておき、このμを定数として上記(4)式でフィルタ係数を自己適正化させるのが望ましい。
上述の様に、前記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号dから、前記適応フィルタ28が算出したキャンセル信号yを差し引く事で、前記実際の回転速度dd を表す修正信号eを求められる。そして、この様にして求めた修正信号eに基づいて、前記各転動体9a(9b)の公転速度を正確に求められる。尚、実際の場合には、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号d中には、前記ピッチ誤差に基づく、上記公転速度検出用センサ24a(24b)の振れ回りに基づく変動よりも周期が短い第二の変動が存在する。そこで、この第二の変動を平均化する為の平均化フィルタ等のローパスフィルタを、上記適応フィルタ28の前又は後に設けて、上記第二の変動に拘らず、上記各転動体9a、9bの公転速度を正確に求められる様にする。高周波の変動を抑える為の、平均化フィルタ等のローパスフィルタの構造及び作用に関しては、従来から周知である為、詳しい説明は省略する。
適応フィルタ28を使用して、エンコーダの振れ回りに基づく変動を抑える作用に就いてのシミュレーションの1例を、図8に示した。この図8は、100min-1 で定速回転している回転部材の回転速度を、60パルス/1回転のエンコーダで計測する場合に就いて示している。実線イが、回転速度検出用センサの検出結果に、タップ数=15の移動平均処理のみを施した(平均化フィルタのみを設けた)結果(出力信号dに相当)である。この場合には、エンコーダの振れ回りにより、上記回転速度の算出値が、約70〜130min-1 の間を変動している。尚、上記エンコーダの振れ回り量は、実際に生じる値に比べて、相当に大きく設定した。
これに対して、破線ロは、上記実線イで示した、移動平均後のデータを適用フィルタを用いて補正した結果(修正信号eに相当)を示している。上記破線ロから明らかな通り、適用フィルタの始動直後は算出値が変動しているものの、短時間経過後にフィルタ係数が自己適応し、算出結果が、ほぼ100min-1 の一定値に収束した。この事から、平均化フィルタと適応フィルタとを併用する事で、ピッチ誤差や、回転中心と幾何中心とのずれが大きい(振れ回り運動をする)エンコーダを使用しても、回転部材の回転速度を正確に求められる事が分かる。
尚、上記図8に示した2本の線イ、ロを求めるに就いては、参照信号xは、速度演算装置の中でパルス数をカウントしながら、60パルスで1周期となる正弦波を自己生成するとした。又、適応フィルタのステップサイズパラメータは、μ=0.002、タップ数N=30とした。
図9〜12は、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合の特徴は、エンコーダの1パルス毎に回転検出センサの検出信号に関して必要とする演算処理の回数を大幅に低減して、計算速度が特に速くない、低コストの演算器(CPU)での処理を可能にする点にある。この為に本実施例の場合には、同期式LMSアルゴリズムを使用し、計算量を大幅に削減可能にしている。但し、単に同期式LMSアルゴリズムを使用しただけの場合には、エンコーダの振れ回りである回転1次成分を補正(キャンセル)すると同時に、検出対象である回転速度を表すDCレベルまでも補正(キャンセル)してしまう。これでは、回転速度検出装置本来の機能を喪失してしまうので、フィルタ係数の零点をモニターし、上記DCレベルをキャンセルする事を防止する為に、零点補正を実施する。この様な観点で考えた本実施例の特徴に就いて、以下に説明する。尚、実用上あまり問題とならないレベルではあるが、前述の図8に示した例でも、微妙にDCレベルがずれる場合がある。従って、より高精度の制御を行なう為には、この場合にも、零点補正を行なう事が好ましい。
上述した実施例1で適応フィルタを適正化する為に利用する、前述の各式(2)(3)(4)は何れも単純な式ではあるが、実際の適用に際しては計算量が問題となる場合が考えられる。例えば、適応フィルタのタップ数N=60とすると、上記式(2)で掛け算を60回、上記式(3)で引き算を1回、上記式(4)で掛け算を120回と足し算を60回との180回、合計で241回の四則演算を、エンコーダの1パルス毎に実施しなければならない。従って、1個の転がり軸受ユニットに設けた複列の転動体の公転速度を求める為に必要な計算量は、482回/1パルスとなる。この計算量(演算回数)は物理的に処理不可能ではないが、処理速度が速い、比較的高価なCPUを使用する必要がある。例えば、ABS、TCS、VSC等の車両用走行安定化装置の制御の為に自動車用車輪(4個の車輪)の回転速度を検出する場合、上記高価なCPUを4個(若しくは1パルス毎に241回×2×4=1928回の四則演算が可能な程に高速のCPUを)使用する必要があり、上記車両用走行安定化装置のコスト増大の原因となる為、好ましくない。
この様な事情に鑑みて本実施例の場合には、同期式LMSアルゴリズムを使用して計算量を大幅に削減し、低コストのCPUの使用を可能にする事を意図している。但し、上記同期式LMSアルゴリズムにより適応フィルタを動作させた場合、そのままではこの適応フィルタが、上記エンコーダの振れ回り成分だけでなく、回転速度を表すDC成分もキャンセルしてしまう。この様にDC成分をキャンセルする現象は、同期式LMSアルゴリズムを用いた場合に顕著である。そこで本実施例の場合には、適応フィルタの出力値を零にする機能を持たせる事により、上記回転速度を表すDCレベルを正確に検出できる様にしている。
先ず、同期式LMSアルゴリズムの作動原理を説明する。前述の図5に示したブロック図で、適応フィルタ28に入力させる参照信号xは、エンコーダの振れ回り等に代表される、このエンコーダの回転n次(nは正の整数) 成分と相関のある信号であれば良いので、このエンコーダ1回転当り1インパルス信号でも構わない。そこで、上記参照信号xが1インパルス信号であると同時に、上記適応フィルタ28のタップ数Nが、上記エンコーダの1回転あたりのパルス数と等しい場合を想定する。この場合、時系列kの瞬間に計算に使用する参照信号xは、次の(6)式で表される。
Figure 0004665453
この(6)式で、参照信号xが値1のインパルスとなる位置jは、時系列kが進んでいくのに従って右側に1個ずつずれて行き、一番右側の「N−1」番目までずれると、次の時系列では、新たなインパルス値が一番左の0番目に表れる事になる。即ち、上記参照信号xは、値1のインパルスの位置を0番目からN−1番目まで巡回させただけのデータ列となる。この式(6)を、前述の式(2)(4)に当て嵌めると、次の(7)(8)式を得られる。
Figure 0004665453
Figure 0004665453
同期式でない、通常のLMSアルゴリズムで適応フィルタ28を作動させる場合には、前述した様に、各式(2)(3)(4)に示す計算を繰り返し行なう必要があるのに対して、同期式LMSアルゴリズムで適応フィルタを作動させる場合には、上記(7)(8)式及び式(3)に示す計算を行なうだけで済む。例えば、適応フィルタ28のタップ数Nを60とした場合、通常のLMSアルゴリズムで適応フィルタ28を作動させると、エンコーダ1ピッチ毎の演算の回数の合計は、前述した様に241回になる。これに対して、同期式LMSアルゴリズムで適応フィルタ28を作動させる場合には、上記式(7)はデータ入れ替えのみで演算なし、上記式(3)で引き算1回、上記式(8)で掛け算1回と足し算1回との2回、合計で3回の四則演算を、上記エンコーダの1パルス毎に行なえば良い。即ち、LMSアルゴリズムとして同期式を採用する事で、採用しない場合に比べて、演算の回数を凡そ1/80に削減できる。
但し、上記適応フィルタ28を作動させるのに同期式LMSアルゴリズムを採用した場合に、回転速度を表す信号であるDC成分までもがキャンセルされる事を防止する為に、上記適応フィルタ28の零点を補正する必要がある。以下、この零点補正に就いて説明する。この零点補正が必要な現象の具体例として、エンコーダの振れ回りによる速度検出誤差の1例を、図9に示す。この図9に示した線図は、前述の図8の場合と同様に、100min-1 で定速回転している回転部材の回転速度を、60パルス/1回転のエンコーダで計測する場合に就いて示している。実線イが、回転速度検出用センサの検出結果に、タップ数=15の移動平均処理のみを施した(平均化フィルタのみを設けた)結果(図10の出力信号dに相当)である。この場合には、エンコーダの振れ回りにより、上記回転速度の算出値が、約70〜130min-1 の間を変動している。尚、上記エンコーダの振れ回り量は、実際に生じる値に比べて、相当に大きく設定している。
この図9に実線イで示す様な回転速度に関する計測データを、前述の図5に示す様な適応フィルタ28を用いて処理し、上記エンコーダの振れ回りに基づく誤差をキャンセルした場合、この適応フィルタ28の設定値によっては、この振れ回りに基づく誤差成分に加えて、検出対象である回転速度のDCレベル(図9に破線ロで示した100min-1 を表す信号)もキャンセルしてしまう可能性がある。この様に、必要とするDCレベルまでキャンセルする現象は、上記適応フィルタを動作させるLMSアルゴリズムとして同期式を採用した場合に顕著である。図9に示した鎖線ハが、その具体例である。
上記適応フィルタを動作させるLMSアルゴリズムとして同期式を採用し、特に対策を施さない場合には、上記鎖線ハで示す様に、上記エンコーダの振れ回りに基づく変動成分だけでなく、回転速度を表すDC成分までもがキャンセルされて、出力値が零となる。これは、適応動作によって上記適応フィルタ28のフィルタ係数WがDCレベルを持ってしまい、結果としてこの適応フィルタ28の出力信号yがDCレベルを持ってしまう為に生じる現象である。この問題を解決する為に本実施例の場合には、図10に示す様に、上記フィルタ係数Wの平均値から上記DCレベルを算出し、このDCレベルに参照信号xのインパルス値を掛け算したDC信号を計算しておく(インパルス値が1である場合には掛け算不要)。そして、上記適応フィルタ28によって誤差をキャンセルされた信号eに、上述の様にして計算したDC信号を加える事で、正確な回転速度を表すDCレベルを得られる様にしている。
次に、上記フィルタ係数Wの平均値から、上記DCレベルを算出する方法に就いて説明する。同期式LMSアルゴリズムにより適応フィルタ28を動作させる事で、公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号から得られる回転速度を表す信号中に含まれる誤差成分をキャンセルし、上記図9の鎖線ハで示す様に出力値が零になる様な場合に於ける、上記適応フィルタ28のフィルタ係数は、図11に示す様に変動する。上記図9に示した例では、この適応フィルタ28のタップ数Nを60としたので、上記図11に示したフィルタ係数Wは、60個の値から構成されている。このフィルタ係数Wの平均値、即ち、求めようとする回転速度を表すDCレベルは、上記60個の値を総て合計してから60で除すれば求められる。但し、この様な計算を行なうと、演算回数が増大して、本実施例の目的である、CPUの低廉化を十分に図れなくなる。
ところで、誤差キャンセルの対象、即ち、前記エンコーダの振れに基づくうねりは、回転1次を主体とする回転n次成分である。又、本実施例の場合には、適応フィルタのタップ数Nを、エンコーダ1回転当りのパルス数と等しくしているので、上記フィルタ係数Wは、周期がN(=60)の周期関数となる。上記図11に示した例では、回転1次の周期関数となっている。従って、N/2(=30)なる間隔を設定した任意の2点の平均値は、全体N(=60)点の平均値と等価になる。そこで、この様な2点の平均値を求め、上記回転速度を表すDCレベルとすれば、演算回数も大幅に低減できて、上記CPUの低廉化の面から有利である。もし、2点だけの平均で信頼性に不安が残る場合は、上記2点とは別に、N/2(=30)なる間隔を設定した任意の2点を選択し、合計4点の平均値を演算する。尚、図示はしないが、フィルタ係数Wが回転n次の周期関数の場合も、平均値を求める為の点の数を適宜増やし、その間隔を適切に設定する事で、上記平均値を同様に求められる。
本実施例の構造により、エンコーダの振れ回りに基づく変動を抑える作用に就いてのシミュレーションの1例を、図12に示した。この図12は、100min-1 で定速回転している回転部材の回転速度を、60パルス/1回転のエンコーダで計測する場合に就いて示している。実線イが、回転速度検出用センサの検出結果に、タップ数=15の移動平均処理のみを施した(平均化フィルタのみを設けた)結果(出力信号dに相当)である。この場合には、エンコーダの振れ回りにより、上記回転速度の算出値が、約70〜130min-1 の間を変動している。鎖線ロは、前述の図10に示した同期式LMSアルゴリズムにより動作する適用フィルタ28を用い、且つ、上述したフィルタ係数WによるDC成分の補正を実施して、公転速度検出用センサ24a(24b)の出力信号から得られる回転速度を表す信号中に含まれる誤差成分をキャンセルした結果である。上記鎖線ロから明らかな通り、上記適応フィルタ28の始動直後はデータが変動しているものの、短時間経過後にフィルタ係数Wが自己適応して、算出結果が、ほぼ100min-1 の一定値に収束した。
本発明の実施例3に就いて、前述の図10に加えて図13を参照しつつ説明する。
上述した通り、適応フィルタを使用する事により、応答遅れを最小限に抑えた上で、エンコーダの回転に伴って変化する、回転検出センサの出力中に含まれる誤差成分を効率的に除去でき、精度の良い速度検出が可能になる。この様な適応フィルタでの処理に使用する、LMSアルゴリズム、或は同期式LMSアルゴリズムによる処理の主目的は、公転n次成分の速度検出誤差の除去である。従って、保持器の振れ回りによる公転1次の誤差成分を除去できる事は勿論、転動体の通過振動に基づく、公転nZ次(Zは転動体の数)の誤差成分も除去できる。
但し、転がり軸受の運転条件によっては公転(nZ/2)次の転動体通過振動が発生する場合がある。これはマシュー型の係数励振現象であり、公転(Z/2)次の振動がもっとも発生し易い事が、谷口 修著、株式会社養賢堂発行の「振動工学ハンドブック」の、975頁の下段に記載されている様に、従来から知られている。上記転動体の数Zが奇数の場合には、上記公転(Z/2)次の振動の周波数は0.5次単位となる。この様な0.5次の振動による速度検出に関する誤差成分は、公転n次成分の除去を目的とした、上記LMSアルゴリズム、或は同期式LMSアルゴリズム等の適応フィルタでは除去できない。本実施例は、この様な事情に対応して、上記公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正し、高精度な速度検出を可能とする。
先ず、上記公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正する為には、転動体(及び各転動体を保持する為に保持器に設けたポケット)の数を偶数個にする事が考えられる。この数を偶数個とする事により、前述した実施例1、2の様に、公転n次成分の速度検出誤差補正を行なう為の適応フィルタを使用して、公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正できる。即ち、転動体の数を偶数に設定する事により、nZ/2が整数になり、公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差が公転n次成分の速度検出誤差と等価になる。この為、例えば、適応フィルタとして、前述の図10に示した構成を有し、前述の式(2)〜(4)或は下記の式(9)〜(11)の処理を行なう同期式LMS適応フィルタにより、上記誤差を除去できる。
Figure 0004665453
Figure 0004665453
Figure 0004665453
図13に、この様な処理の具体例として、同期式LMS適応フィルタの特性線図を示している。公転n次成分が大きく減衰しているので、公転n次となる公転(nZ/2)次成分(Zは偶数)が除去される。この様な図13から明らかな様に、転動体の数を偶数個とする事により、前述の実施例2の様に、公転n次成分の速度検出誤差補正を図る為の適応フィルタを用いて公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正できる。
上述の実施例3で説明した様に、転動体の数を偶数個とする事により、公転n次成分の速度検出誤差補正を図る為の適応フィルタを用いて公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正できる。但し、転がり軸受ユニットの寿命を向上させる為には、転動体の数をできる限り多くしたいと言った要求があり、限られたスペースの中でこの要求を満たす為には、転動体の数が奇数となる場合も想定される。そして、転動体の数が奇数になると、上記実施例3部分で説明した様に、上記公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差が公転0.5次単位の周波数となってしまう。本実施例は、この様な場合の対応策に関するもので、公転0.5n次成分の速度検出誤差補正を行なえる適応フィルタを使用して、上記転動体の数が奇数の場合であっても、上記公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正できる処理技術を実現するものである。
この様な観点で考えた、公転0.5n次成分の速度検出誤差補正を狙った適応フィルタの具体例として、同期式LMS適応フィルタに就いて説明する。前述の実施例3部分に記載した式(9)〜(11)中の符号jは、0〜(N−1)を巡回する番号であるが、この時のタップ数Nを公転2回転当りのパルス数、即ち公転1回転当りのエンコーダパルス数の2倍とすれば、公転0.5n次成分の速度検出誤差補正を狙った適応フィルタとなる。要するに本実施例の場合には、適応フィルタのタップ数Nを、公転1回転当りのエンコーダパルス数の2倍とする事により、公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を公転nZ次に対応させて、エンコーダの回転に伴って変化する、回転検出センサの出力中に含まれる誤差成分を除去する。
尚、転動体が偶数であっても、公転(nZ/2)次成分とは別に、公転0.5n次成分の速度検出誤差が発生する場合があり、この様な場合に就いても、公転0.5n次成分の速度検出誤差補正を行なえる適応フィルタを用いて対処する。但し、何れにしても、本実施例の様に、公転0.5n次成分の速度検出誤差補正を行なえる適応フィルタの場合には、検出データとして使用できる周波数帯域が狭くなったり、或は収束性が悪くなると言った問題が生じる。従って、本実施例の処理技術は、公転(nZ/2)次成分の速度検出誤差を補正する必要性が、周波数帯域の確保や収束性の向上と言った問題よりも重要な場合に有効である。
又、LMS適応フィルタではフィルタ係数wの平均値がドリフトする特性があるので、フィルタ係数群の平均値を算出して、補正しなければならない。前述した実施例2の場合には、図11に示す様に、フィルタ係数群の中で等間隔に選択した任意の2点、或は4点以上のフィルタ係数wk の平均値を算出した。但し、LMS適応フィルタでの処理に必要な、フィルタ係数wの平均値を求める為の方法は、上記実施例2の方法に限らない。即ち、上記式(11)から分かる様に、フィルタ係数wは、データサンプリング毎に1つのフィルタ係数w(j)を更新しているだけである。従って、予めフィルタ係数群全体の合計値を把握しておき、この合計値に、新たに記入するフィルタ係数wk+1 (j)を加算して得た和から、更新される前の古いwk (j)を減ずれば(引き算すれば)、常に最新のフィルタ係数群全体の合計値を把握できる。そして、この様にして求めた合計値を、タップ数Nで除すれば(割り算すれば)フィルタ係数群の平均値を算出できる。
本発明の実施例5に就いて、前述の図5に図14〜15を加えて説明する。
先ず、本実施例が解決しようとする課題に就いて説明する。前述の実施例1中で説明した様に、前記式(4)中のμは、フィルタ係数を自己適正化させる為の更新量を決定する、ステップサイズパラメータと呼ばれる係数である。そして、適応フィルタによる処理を行なう場合、この係数μが大きい程、フィルタ計算の初期収束性が良くなる。逆に、誤差成分を的確に減衰させる為には、上記係数μは小さくなければならない。従って、収束性と誤差減衰とを両立させる係数μは存在しない。この様に、この係数μに関して、これら2種類の要求を同時に満たせない事により生じる問題に就いて、図14、15に具体的に示している。
このうちの図14は、互いに異なる大きさの係数μで駆動される、同期式LMS適応フィルタの減衰特性を重ね書きした結果を示している。この同期式LMS適応フィルタは、回転n次成分の誤差成分の除去を目的としたものである為、回転1次、2次成分が大きく減衰されている。但し、上記係数μが、0.05→0.10→0.20→0.30と、大きくなるに伴い、回転n次以外の成分が逆に大きくなってしまう問題がある。
又、図15は、逆に、上記係数μを小さくした場合に、収束性に就いて問題を生じる状態に就いて示している。上記図15には、本来必要とする波形(実線イで示した「欲しいデータ」)に意図的に作成した誤差波形を重畳させた波形(破線ロで示した「計測データ」)と、同期式LMS適応フィルタで計算した波形(鎖線ハで示した「ろ過データ」)とを重ねて記載している。上記図15中の(A)が係数μが小さい(0.05)場合を、同じく(B)が大きい(0.3)場合を、それぞれ示している。この係数μが小さい(0.05)場合には、初期の収束性が悪い事が分かる。
この様な図15から明らかな通り、適応フィルタによる誤差成分の減衰に関しては、減衰特性を重視して上記係数μを小さくすると収束性が悪くなり、収束性を重視してこの係数μを大きくすると減衰特性が悪化してしまう。
本実施例は、上述の様な事情に鑑みて、収束性を必要とする状況では上記係数μを大きくし、誤差減衰が重要視される状況ではこの係数μを小さく設定する事により、収束性と誤差減衰との両立を図るベく発明したものである。
先ず、本実施例の対象となる転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、荷重検出を精度良く行なう必要があるのは高速走行中である。言い換えれば、低速走行中は、高速走行に比べて横滑り等の、走行状態を不安定にする挙動が発生しにくいので、転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に検出する必要性は低い。従って、エンコーダの回転に伴って変化する回転検出センサの出力信号中に含まれる誤差成分を的確に減衰させる必要性が高いのは高速走行時である。そして、この様な場合には、上記係数μが小さい事が、誤差減衰を的確に実施する面から好ましい。
これに対して、車両が停止状態から走り始めたばかりの状況では、適応フィルタが早期に収束しないと、正確な回転速度検出を行なえない。この様な場合には、上記係数μを大きくする事が、収束時間を短くできるので好ましい。
これらの事を考慮した場合、車両が走り始め、上記回転検出センサが検出信号を出力し始めた初期の段階では上記係数μを大きく設定しておき、或る程度の距離を走行し、上記回転検出センサのサンプリングデータが多数蓄積され、適応フィルタがほぼ収束した段階で、上記係数μを小さくなる様に、この係数μを変化させれば良い。即ち、車速が速い場合にはこの係数μを小さくし、車速が遅い場合にはこの係数μを大きくすれば良い。或は、この係数μを車速に応じて変化させる他、サンプリングデータ数に応じてこの係数μを変化させたり、更には、車速とサンプリングデータ数との両方を考慮して、この係数μを変化させる事もできる。
図16〜18は、本実施例の様に、係数μを変化させる事による効果を確認する為に行なったシミュレーションの結果を示している。このシミュレーションでは、図16に示す様に、サンプリングデータ数に応じて係数μを変化させた(次第に小さくした)。この場合に、上記回転検出センサの検出信号を適応フィルタにより処理する事により、この適応フィルタから出る信号が図17に示す様に収束した。この図17に記載した実線イ、破線ロ、鎖線ハの意味は、前述した図15と同様である。
この様な図17から、上記検出信号のサンプリングを開始した直後、即ち車両が走り始めた直後の状態では、上記係数μが大きいので、比較的短時間に適応フィルタが収束している事が分かる。又、サンプリングが或る程度進んだ状態では上記係数μが小さくなるので、所望の減衰特性を得られる事も分かる。尚、図16〜17に示した例では、上記検出信号のサンプリング開始と共に上記係数μを急激に小さくしているが、図18に示す様に、この係数μが大きい状態をしばらく継続してから、この係数μを小さくする様に、この係数μを変化させても良い。
本実施例以降は、エンコーダの回転に伴って変化する回転検出センサの出力信号中に含まれる誤差成分のうち、公転次数型以外の誤差成分も減衰できる技術に関する。この出力信号中に、転動体の公転次数、或は回転輪の回転次数の誤差成分(ノイズ成分)が含まれる事は、先に述べた通りであるが、上記出力信号中には、これ等以外の誤差成分が含まれる事もある。例えば、回転輪に不釣合いが存在する場合にはこの回転輪に回転1次の振動が発生し、この振動が、保持器、エンコーダ、回転検出センサ等を振動させる原因となる。この様な場合には、回転輪の回転1次のノイズ成分が、公転速度検出信号に重畳される場合がある。又、この回転輪の回転1次の振動に限らず、例えば自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、タイヤの周方向不均一性(ユニフォミティ)によって、上記回転輪に回転n次(nは整数)の振動が発生する事がある。この場合も、回転輪の回転n次のノイズ成分が、上記公転速度検出信号に重畳される。
前者の公転次数成分ノイズを除去する為には、先に述べた通り、次数追従型のノッチフィルタを用いたり、適応フィルタを用いる事で対応できる。但し、これらの方法をそのまま実施するのでは、回転輪の回転次数成分のノイズを除去する事は難しい場合がある。何となれば、これらの方法では、公転速度に応じて変化するパルスデータを用いてノッチフィルタ処理を実施するので、ノッチ周波数を公転次数で指定してノイズ除去を実施する。この様に公転次数を指定してノッチフィルタ処理を行なうので、回転輪の回転n次成分が公転次数でいくつに相当するかを把握しないと、回転輪の回転n次ノイズ成分の除去を行なえない。
公転次数で指定するノッチフィルタの1例を、次の式(12)に示す。
Figure 0004665453
この式(12)中、Nはパルス数を、qはノッチ公転次数を指定する係数を、Qはノッチ幅を指定する係数を、それぞれ表している。
上記式(12)からも分かる様に、回転輪の回転n次成分の除去を行なう為には、この回転n次成分が、公転次数でいくつに相当するかを把握する必要がある。これを把握する為に本発明者は、次の様な2通りの方法を発明した。
第一の方法では、次の式(13)で表される、転動体の公転速度ωc と、回転輪(同式の場合には内輪)の回転速度ωi との関係に基づき、回転輪の回転n次成分が公転次数でいくつに相当するかを予め把握しておく。そして、該当する公転次数成分に対するノッチフィルタ処理を行なう。
ωc =(1−d・cos α/D)・ωi /2 −−− (13)
尚、この式(13)中、αは各転動体の接触角を、Dはこれら各転動体のピッチ円直径を、dは各転動体の直径を、それぞれ表している。
使用する転がり軸受ユニットの寸法諸元を、上記式(13)に代入すれば、上記各転動体の公転速度と、上記回転輪(内輪)の回転速度との関係を求められる。1例として、D=50mm、d=14mm、α=45度を上記式(13)に代入すると、
ωc =0.4ωi
或は、
ωi =2.5ωc
となる。即ち、回転輪の回転1次成分は公転次数の約2.5次に相当するし、回転輪の回転n次成分は公転次数の約2.5n次に相当する。算出された公転次数を用いて前記式(12)に示したノッチフィルタを構成すれば、回転輪の回転n次のノイズ成分を除去できる。
上述の様な第一の方法の場合、転がり軸受ユニットの接触角αが一定でありさえすれば、回転輪の回転n次のノイズ成分の除去を有効に行なえる。但し、前述した通り上記接触角αは、転がり軸受ユニットに作用する荷重に基づいて変化し、公転速度と回転輪の回転速度との関係も微妙に変化する。この変化に対応する為には、式(12)の係数Qを調整してノッチ幅(減衰できる幅)を広く設定し、公転速度と回転輪回転速度との関係が或る程度変化しても、ノイズを除去できる様にする方法も有効である。但し、ノッチ幅を広くすると、除去したくない成分を減衰させてしまったり、或は位相遅れを大きくしてしまうので、好ましくない。
これに対して、第二の方法では、回転輪回転速度情報と公転速度情報とから、公転速度と回転輪回転速度との関係を求めて、ノッチフィルタを構成する。この場合には、上記回転輪の回転速度も測定する必要がある。但し、例えば自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ABS制御用に、車輪の回転速度を検出する為のセンサが既に設けられている場合が殆どであるので、このセンサの情報を使用すれば、上記公転速度と回転輪回転速度との関係を容易に求める事ができる。そして、上記接触角αの変動に関係なく、常に上記公転速度と上記回転輪の回転速度との関係を正確に把握して、ノッチ幅を狭くしたノッチフィルタ処理を実施でき、位相遅れも最小に抑える事ができる。
上述した様な、2通りの方法により、上記公転速度と上記回転輪の回転速度との関係を把握して、ノッチ幅を狭くしたノッチフィルタ処理を実施する状態の4例に就いて、図19〜22により説明する。
先ず、図19に示した第1例は、前記式(13)で示される公転速度と回転輪の回転速度との関係を表す式を用いて、回転輪の回転n次成分が公転次数でいくつに相当するかを予め把握しておき、該当する公転次数成分に対するノッチフィルタ処理を行なう方法である。この様な図19に示した方法では、公転速度信号の処理として、回転輪の回転n次ノッチフィルタとは別に、先に述べたローパスフィルタ、適応フィルタ、公転次数ノッチフィルタも併せて記載している。
尚、本実施例の様に、上記公転速度と上記回転輪の回転速度との関係を把握して、ノッチ幅を狭くしたノッチフィルタ処理を実施する技術は、上記ローパスフィルタ等のフィルタ処理の有無や種類、順序等とは無関係に成立する。この点は、以下に述べる、図20〜22の場合も同様である。
次に、図20は、測定した回転輪の回転速度に関する情報と、公転速度に関する情報とから、これら公転速度と回転輪の回転速度との関係を求めて、回転輪の回転n次ノッチフィルタを構成する方法である。公転速度、回転輪の回転速度に関する情報の何れに就いても、先に述べた実施例の様なフィルタ処理を実施した結果を使用する様に構成している。従って、公転速度と回転輪の回転速度との関係を精度良く把握できる。
次に、図21は、測定した回転輪の回転速度に関する情報と、公転速度に関する情報とから、これら公転速度と回転輪の回転速度との関係を求めて、回転輪の回転n次ノッチフィルタを構成する方法である。この図21に示した処理の場合には、公転速度、回転輪の回転速度の何れに就いても、その情報は、先に述べた実施例の様なフィルタ処理の、途中経過の値を用いている。そして、この途中経過の値に、更にフィルタ処理を追加した上で、上記公転速度と上記回転輪の回転速度との関係を求めている。この様に構成した理由は、上記図20に示した処理の様に、より精度の高い公転速度と回転輪の回転速度との関係を算出する目的で一連のフィルタ処理を総て行ない、更にフィルタ処理を追加すると、応答遅れが大きくなってしまう為、その一部を省略する為である。但し、多少の応答遅れが問題とならない場合には、図示はしないが、上記図20に示した様に、先に述べた実施例の様な、一連のフィルタ処理を総て実施した結果を利用した上で、更に新たなフィルタを追加挿入しても良い。
次に、図22は、測定した回転輪回転速度情報と公転速度情報から公転速度と回転輪回転速度との関係を求めて回転輪回転n次ノッチフィルタを構成する為に、公転速度、回転輪の回転速度との何れに就いても、速度情報を、フィルタ処理を実施していない信号を用いている。この為、公転速度と回転輪の回転速度との関係を、遅れを伴わないで把握できる。
上述した、図19〜22に関する説明から明らかな通り、公転速度と回転輪回転速度との何れか一方、或は両方を、平均化処理、或はローパスフィルタ処理した速度結果を用いて、公転速度と回転輪回転速度との関係を把握しても良い。これは検出した速度情報がパルスピッチ誤差などの影響で乱れるのを防止する為である。
或は、先に述べた実施例の様に適応フィルタや公転n次成分ノッチフィルタ処理を行った後の結果を、速度情報として用いても良い。
又、上記の方法とは逆に、回転輪回転速度に含まれる公転n次成分ノイズ、或は公転nZ次成分ノイズ(Z:転動体数)を同様の方法でノッチフィルタ処理して、精度の良い回転輪回転速度を検出する事も有効である。
尚、先に述べた特願2004−7655号に係る発明の様に、両列の公転速度を用いて荷重を演算する転がり軸受ユニットの場合には、これら両列の公転速度に対して、それぞれ上述した様なノッチフィルタ処理を実施する。
本発明の回転速度検出装置は、実施例に示した様な、自動車の車輪を支持する転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する為の転がり軸受ユニットの荷重測定装置に限らず、各種回転機械装置の回転部材の回転速度を検出する為に利用できる。この場合に、エンコーダを支持固定する部材が保持器の様に、回転中心と幾何中心とがずれる可能性のある部材に限らず、回転軸等、回転中心と幾何中心とがずれない回転部材であっても良い。この場合には、当該回転部材へのエンコーダの組み付け精度を特に高くする必要をなくして、組立に要するコストの低減を図れる。又、本発明を実施する場合に使用可能なエンコーダは、回転方向にS極とN極とを交互に配置した、所謂多極磁石エンコーダに限らず、トーンホイール、ギヤ、スリット盤等、回転速度情報を得られる各種構造のエンコーダが含まれる。又、回転検出センサも、着磁検出式のものに限らず、光学式、渦電流式等、各種構造のものを使用できる。
本発明の実施例1を示す、荷重測定用の回転検出装置を組み込んだ転がり軸受ユニットの断面図。 図1のA部拡大図。 保持器及び転動体と、エンコーダと、回転検出センサとを取り出して図2の上方から見た状態で示す模式図。 回転速度に基づいて荷重を測定できる理由を説明する為の、転がり軸受ユニットの模式図。 保持器の振れ回りに基づく回転速度検出センサの出力信号の変動を、適応フィルタより低減する為の回路を示すブロック図。 保持器の振れ回りに基づいて回転速度検出センサの出力信号が変動する理由を説明する為、保持器及びエンコーダを図1〜3の側方から見た状態で示す模式図。 保持器の振れ回り及び着磁ピッチの誤差に基づいて、回転速度センサの出力信号から求めた回転速度を表す信号が変動する状態を示す線図。 適応フィルタにより、回転速度センサの出力信号から求めた回転速度を表す信号の変動を低減する状態を示す線図。 本発明の実施例2の必要性を説明する為に、適応フィルタを同期式LMSアルゴリズムで動作させ、DCレベルに関する補正を行なわない場合に於ける、回転速度を表す信号の変動状況を示す線図。 本発明の実施例2を示す、図5と同様の図。 DCレベルに関する補正を行なう為にフィルタ係数をサンプリングする状態を示すグラフ。 実施例2の効果を示す為、適応フィルタを同期式LMSアルゴリズムで動作させ、DCレベルに関する補正を行なった場合に於ける、回転速度を表す信号の変動状況を示す線図。 実施例3の説明に使用する、同期式LMS適応フィルタの特性線図。 実施例5の説明に使用する、フィルタ係数の違いに基づき、同期式LMS適応フィルタの減衰特性が変化する状態を示す線図。 同じく、フィルタ係数の違いに基づき、同期式LMS適応フィルタの収束性に関する特性が変化する状態を示す線図。 同じく、データサンプリング数の累積に応じてフィルタ係数を変化させる状態の第1例を示す線図。 図16に示したフィルタ係数により処理した場合における、同期式LMS適応フィルタの収束性に関する特性を示す線図。 同じく、データサンプリング数の累積に応じてフィルタ係数を変化させる状態の第2例を示す線図。 実施例6に関する処理方法の第1例を示すフローチャート。 同第2例を示すフローチャート。 同第3例を示すフローチャート。 同第4例を示すフローチャート。 従来から知られている、ラジアル荷重測定用のセンサを組み込んだ転がり軸受ユニットの断面図。 従来から知られている、アキシアル荷重測定用のセンサを組み込んだ転がり軸受ユニットの断面図。
1、1a 外輪
2、2a ハブ
3、3a 回転側フランジ
4 ハブ本体
5 ナット
6 内輪
7 外輪軌道
8 内輪軌道
9a、9b 転動体
10、10a 取付孔
11 変位センサ
12 センサリング
13 センサロータ
14 カバー
15、15a 回転速度検出用センサ
16 ナックル
17 固定側フランジ
18 ボルト
19 ねじ孔
20 荷重センサ
21a、21b 保持器
22 センサユニット
23 先端部
24a、24b 公転速度検出用センサ
25 リム部
26a、26b 公転速度検出用エンコーダ
27 回転速度検出用エンコーダ
28 適応フィルタ

Claims (14)

  1. 回転部材に支持固定されてこの回転部材と共に回転する、特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこのエンコーダの被検出面に対向させた状態で設けられた回転検出センサと、この回転検出センサから送り出される、周期的に変化する検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を算出する演算器とを備えた回転速度検出装置に於いて、
    この演算器は、この回転部材の回転速度算出に対する誤差となる、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を、この変動に関連して変化する参照信号に基づいて除去する為の適応フィルタを備え、この適応フィルタを、上記回転検出センサの検出信号を送る為の主信号経路に対して並列に配置すると共に、上記適応フィルタによって算出される上記回転検出センサの変動分となる誤差成分を、上記主信号経路の下流部で差し引く事により、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を除去可能としており、
    上記適応フィルタは、LMSアルゴリズムにより作動する、ディジタルフィルタ又はアナログフィルタであり、
    上記演算器は、上記適応フィルタの入力となる上記参照信号を、上記エンコーダに対向した上記回転検出センサの検出信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を演算する為の処理回路により、上記エンコーダの1回転で1周期となる、サイン波、三角波、鋸波、短形波、パルス波のうちの何れかの波形として自己生成する事を特徴とする回転速度検出装置。
  2. 回転部材に支持固定されてこの回転部材と共に回転する、特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、その検出部をこのエンコーダの被検出面に対向させた状態で設けられた回転検出センサと、この回転検出センサから送り出される、周期的に変化する検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を算出する演算器とを備えた回転速度検出装置に於いて、
    この演算器は、この回転部材の回転速度算出に対する誤差となる、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を、この変動に関連して変化する参照信号に基づいて除去する為の適応フィルタを備え、この適応フィルタを、上記回転検出センサの検出信号を送る為の主信号経路に対して並列に配置すると共に、上記適応フィルタによって算出される上記回転検出センサの変動分となる誤差成分を、上記主信号経路の下流部で差し引く事により、上記回転検出センサの検出信号の変動の影響を除去可能としており、
    上記適応フィルタは、同期式LMSアルゴリズムにより作動するものであり、
    上記演算器は、上記適応フィルタの入力となる上記参照信号を、上記エンコーダに対向した上記回転検出センサの検出信号の処理回路、又は、この検出信号に基づいて上記回転部材の回転速度を演算する為の処理回路により自己生成する事を特徴とする回転速度検出装置。
  3. 適応フィルタのタップ数がエンコーダ1回転当りのパルス数と等しい、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  4. 適応フィルタのフィルタ係数の平均値を算出し、この平均値に基づいて回転検出センサの検出信号のDCレベルの補正を行なう、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  5. フィルタ係数の平均値が、エンコーダの回転方向に関して等間隔に存在する任意の2点で抽出したフィルタ係数の平均値である、請求項4に記載した回転速度検出装置。
  6. フィルタ係数の平均値が、それぞれがエンコーダの回転方向に関して等間隔に存在する任意の2点で抽出した1対のフィルタ係数の組み合わせである、複数の組み合わせデータを構成する、4点以上のフィルタ係数の平均値である、請求項4に記載した回転速度検出装置。
  7. 適応フィルタが、LMSアルゴリズム又は同期式LMSアルゴリズムにより作動するものであり、この適応フィルタのステップサイズパラメータを変化させる、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  8. 回転速度検出センサによるデータ計測を開始してからのサンプリングデータ数の累計に基づいてステップサイズパラメータを変化させる、請求項7に記載した回転速度検出装置。
  9. 回転部材の回転速度に応じてステップサイズパラメータを変化させる、請求項7に記載した回転速度検出装置。
  10. 適応フィルタが、エンコーダの回転中心と幾何中心との不一致に起因する、回転検出センサの検出信号の変動の影響を除去するものである、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  11. 回転部材が、転がり軸受ユニットを構成する1対の軌道輪同士の間に設けられ、複数のポケット内に保持した転動体の公転に伴って回転する保持器である、請求項1〜10のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  12. 回転部材が、転がり軸受ユニットを構成する保持器であり、この保持器により保持される転動体の数が偶数である、請求項1〜11のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置。
  13. 使用時にも回転しない静止輪と、この静止輪と同心に配置されて使用時に回転する回転輪と、これら静止輪と回転輪との互いに対向する部分にそれぞれ2列ずつ形成された静止側軌道と回転側軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、これら両列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして転動自在に設けられた複数の転動体と、これら両列の転動体を保持した1対の保持器の回転速度を検出する為の1対の回転速度検出装置と、これら各回転速度検出装置が検出する1対の保持器の回転速度に基づいて、上記静止輪と上記回転輪との間に加わる荷重を算出する演算器とを備え、上記各回転速度検出装置は、請求項1〜12のうちの何れか1項に記載した回転速度検出装置である、転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  14. 回転輪が、自動車の車輪を固定した状態でこの車輪と共に回転するハブである、請求項13に記載した転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
JP2004230955A 2003-09-11 2004-08-06 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置 Expired - Fee Related JP4665453B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004230955A JP4665453B2 (ja) 2003-09-11 2004-08-06 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003320058 2003-09-11
JP2003379536 2003-11-10
JP2004126311 2004-04-22
JP2004230955A JP4665453B2 (ja) 2003-09-11 2004-08-06 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005331496A JP2005331496A (ja) 2005-12-02
JP2005331496A5 JP2005331496A5 (ja) 2007-09-13
JP4665453B2 true JP4665453B2 (ja) 2011-04-06

Family

ID=35486240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004230955A Expired - Fee Related JP4665453B2 (ja) 2003-09-11 2004-08-06 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4665453B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010133767A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Epson Toyocom Corp 物理量検出装置
JP5268756B2 (ja) * 2009-04-08 2013-08-21 Ntn株式会社 センサ付車輪用軸受
US8540431B2 (en) 2009-03-26 2013-09-24 Ntn Corporation Sensor-equipped bearing for wheel
JP5268755B2 (ja) * 2009-04-08 2013-08-21 Ntn株式会社 センサ付車輪用軸受
JP6319601B1 (ja) 2016-12-19 2018-05-09 Tdk株式会社 角度センサの補正装置および角度センサ
JP6930268B2 (ja) * 2017-07-27 2021-09-01 富士通株式会社 算出装置、算出方法、及びエンジン制御システム
JP7167510B2 (ja) * 2018-07-02 2022-11-09 日本精工株式会社 アキシアル荷重算出システム
CN111487433B (zh) * 2020-04-22 2022-06-21 河南科技大学 轴承保持架打滑率测量方法及转速测量方法、装置、系统
CN112630689B (zh) * 2020-11-30 2024-04-05 杭州和利时自动化有限公司 一种断线诊断装置及相关组件
JP7417566B2 (ja) 2021-09-30 2024-01-18 本田技研工業株式会社 車速検出装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02136756U (ja) * 1989-04-19 1990-11-14
JP2001021574A (ja) * 1999-07-02 2001-01-26 Toyota Motor Corp 車輪速検出装置
JP2001234727A (ja) * 2000-02-25 2001-08-31 Ship Research Institute Ministry Of Land Infrastructure & Transport 排気消音装置
JP2003057260A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Toyota Motor Corp 回転速度検出装置
JP2003227854A (ja) * 2002-02-04 2003-08-15 Mitsubishi Electric Corp 周波数推定装置および周波数推定方法
JP2005031063A (ja) * 2003-05-22 2005-02-03 Nsk Ltd 転がり軸受ユニットの荷重測定装置及び荷重測定用転がり軸受ユニット

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62290220A (ja) * 1986-06-10 1987-12-17 Nissan Motor Co Ltd 周期性ノイズの除去装置
DE3939114A1 (de) * 1989-11-25 1991-05-29 Bosch Gmbh Robert Einrichtung zur erfassung einer periodisch schwankenden groesse einer brennkraftmaschine
JP2756629B2 (ja) * 1992-11-19 1998-05-25 本田技研工業株式会社 適応制御装置
JP3411611B2 (ja) * 1993-03-17 2003-06-03 アルパイン株式会社 騒音キャンセル方式
JPH0743376A (ja) * 1993-07-30 1995-02-14 Aisin Aw Co Ltd 回転数検出センサ
JPH09229950A (ja) * 1996-02-28 1997-09-05 Unisia Jecs Corp 車輪速検出装置
JP3648919B2 (ja) * 1996-05-27 2005-05-18 日本精工株式会社 軸受の予圧測定方法および測定装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02136756U (ja) * 1989-04-19 1990-11-14
JP2001021574A (ja) * 1999-07-02 2001-01-26 Toyota Motor Corp 車輪速検出装置
JP2001234727A (ja) * 2000-02-25 2001-08-31 Ship Research Institute Ministry Of Land Infrastructure & Transport 排気消音装置
JP2003057260A (ja) * 2001-08-10 2003-02-26 Toyota Motor Corp 回転速度検出装置
JP2003227854A (ja) * 2002-02-04 2003-08-15 Mitsubishi Electric Corp 周波数推定装置および周波数推定方法
JP2005031063A (ja) * 2003-05-22 2005-02-03 Nsk Ltd 転がり軸受ユニットの荷重測定装置及び荷重測定用転がり軸受ユニット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005331496A (ja) 2005-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20060082863A (ko) 회전 속도 검출 장치 및 구름 베어링 유닛의 하중 측정장치
JP4665453B2 (ja) 回転速度検出装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置
US7501811B2 (en) Displacement measuring apparatus and load measuring apparatus of rotating member
JP4888074B2 (ja) 車輪用転がり軸受装置
JP2007127253A (ja) センサ付き転がり軸受装置
JP2008039537A (ja) 回転部材の状態量測定装置
JP4951943B2 (ja) 回転部材の変位又は荷重測定装置
JP5181433B2 (ja) 回転部材の捩り角度測定装置及び回転部材のトルク測定装置
CN100462722C (zh) 滚动轴承单元的转速检测装置和载荷测量装置
JP5262441B2 (ja) 回転部材の物理量測定装置
JP4701663B2 (ja) 回転速度検出装置
JP4457701B2 (ja) 転動体の公転速度検出装置付転がり軸受ユニット
JP4513355B2 (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP5348041B2 (ja) 転がり軸受ユニットの物理量測定装置
JP2006275251A (ja) センサ付き転がり軸受装置
US10648874B1 (en) Rotary device
JP4269669B2 (ja) 転がり軸受ユニット用荷重測定装置
KR102469494B1 (ko) 차량용 전자 기계식 롤 스태빌라이저를 제어하기 위한 방법, 제어 장치 및 롤 스태빌라이저 시스템
JP4821331B2 (ja) 転がり軸受ユニットの変位測定装置及び転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2006329692A (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2007121209A (ja) エンコーダの支持装置
JP2009014431A (ja) 転がり軸受ユニットの物理量測定装置
JP2007010318A (ja) 荷重測定装置付転がり軸受ユニット
JP2007292571A (ja) 転がり軸受ユニットの荷重測定装置
JP2022030230A (ja) 荷重推定方法、推定装置、及びコンピュータプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070412

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070801

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100422

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100706

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101005

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101227

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140121

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4665453

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees