JP2003227854A - 周波数推定装置および周波数推定方法 - Google Patents

周波数推定装置および周波数推定方法

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JP2003227854A
JP2003227854A JP2002027013A JP2002027013A JP2003227854A JP 2003227854 A JP2003227854 A JP 2003227854A JP 2002027013 A JP2002027013 A JP 2002027013A JP 2002027013 A JP2002027013 A JP 2002027013A JP 2003227854 A JP2003227854 A JP 2003227854A
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filter
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amplitude
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Wataru Horiuchi
弥 堀内
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度で入力信号中の周波数を推定できる周
波数推定装置を得る。 【解決手段】 本発明に係る周波数推定装置は、周波数
ω成分を含む信号1が入力され第1周波数ωで極値を
有する利得特性に基づき処理する第1フィルタ2と、第1フィルタ
出力からアルコ゛リス゛ムに従い計算する第1振幅計算器4と、信
号1が入力され第2周波数ωで極値を有する利得特性に
基づき処理する第2フィルタ3と、第2フィルタ出力からアルコ゛リス゛ム
に従い計算する第2振幅計算器5と、第1振幅計算器の結
果6から第2振幅計算器の結果7を減算する減算器8と、減
算結果9に定数kを乗算する係数器10と、係数器の処理結
果11とn-1回周波数推定値13とを加算する加算器12とを
備え、n回周波数推定時の第1の周波数ωおよび第2の
周波数ωがn-1回周波数推定値13で決定され、加算器1
2の処理結果をn回周波数推定値14として、減算結果9が
所定値以下まで周波数推定を繰り返すこととした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力信号中の特定
周波数を推定する周波数推定装置および周波数推定方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ある物体がある周波数ωで振動してお
り、この物体の振動を変位センサで検出するような用途
では、周波数ωの値を正確に知ることが重要である。
この変位センサ出力信号SSENSには一般に物体の振
動周波数ωの他にノイズ成分が含まれているので、不
要な周波数成分を除去するために適切なフィルタ処理が
必要となる。しかしながら、振動周波数が変動する場
合、どの周波数成分が必要でどの周波数成分が不要なの
かが判別できないため、適切なフィルタを構成すること
が困難であった。
【0003】未知のシステムの伝達関数を推定する最も
一般的な方法の一つとして、SimonHaykin著“Introduct
ion to Adaptive Filters”,(Macmillan Publishing C
ompany New York, 1984)にあるような適応フィルタが
ある。そして、適応フィルタの各フィルタ係数が安定に
収束することが保証された非再帰型(以後、FIR型あ
るいは単にFIRと呼ぶ)フィルタを構成する方法が一
般的であった。
【0004】しかしながら、かかるFIR型適応フィル
タでは、同等の性質を有する再帰型(以後、IIR型あ
るいは単にIIRと呼ぶ)フィルタに比べてその次元が
高くなる問題があるため、例えば、特開平11-202
94号公報に開示された振動低減方法では未知システム
の伝達関数を推定するためにIIR型適応フィルタを用
いていた。かかる周波数推定方法では、適応フィルタの
各フィルタ係数をLMSアルゴリズムに基づいて更新す
ることで、FIR型適応フィルタのような安定性は保証
できないものの、比較的低次元のフィルタを構成するこ
とが可能であった。ここで、LMSとはLeast M
ean Squareの略で、最小二乗法に基づくアル
ゴリズムを意味する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来はフ
ィルタ係数の決定には最急降下法に基づくLMSアルゴ
リズムを用いていた。しかし、かかるLMSアルゴリズ
ムを用いたFIR型適応フィルタは安定性に優れる反
面、複雑な周波数特性への対応が困難であり、また、多
くのタップ係数とメモリ領域が必要であった。一方、I
IR型適応フィルタでは低次元化が可能であるという利
点を有する反面、その安定性が保証されないという問題
があった。
【0006】本発明は、上記問題を解決するためのもの
であり、ある周波数ωの信号を含む入力信号SIN
ら周波数ωを、従来の技術に比べて高速かつ精度よく
安定に周波数推定する周波数推定装置および周波数推定
方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る周波数推定
装置は、周波数推定の対象となる周波数ωの成分を含
む信号が入力され、第1の周波数ωで利得が極値を有
する利得特性に基づきフィルタ処理する第1のフィルタ
と、上記第1のフィルタの出力から所定のアルゴリズム
に従い振幅を計算する第1の振幅計算器と、上記周波数
ωの成分を含む信号が入力され、第2の周波数ω
利得が極値を有する利得特性に基づきフィルタ処理する
第2のフィルタと、上記第2のフィルタの出力から上記
所定のアルゴリズムに従い振幅を計算する第2の振幅計
算器と、上記第1の振幅計算器の処理結果から上記第2
の振幅計算器の処理結果を減算する減算器と、上記減算
器の処理結果に定数を乗算する係数器と、上記係数器の
処理結果とn−1回目の周波数推定値とを加算する加算
器と、を備え、n回目の周波数推定時における第1の周
波数ωおよび第2の周波数ωが上記n−1回目の周
波数推定値に基づいて決定され、上記加算器の処理結果
をn回目の周波数推定値として、上記減算器の処理結果
が所定の値以下になるまで周波数推定を繰り返すことと
した。
【0008】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記n回目の周波数推定時の第1の周波数ωが、上記n
−1回目の周波数推定値であることとした。
【0009】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記n回目の周波数推定時の第2の周波数ωが、上記第
1の周波数ωに所定の値を加えた数値であることとし
た。
【0010】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記第1のフィルタおよび上記第2のフィルタの前段に所
定の周波数帯域のみを通過させる帯域通過特性を具備す
る第3のフィルタを設けることとした。
【0011】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記第1の振幅計算器と上記減算器との間に高周波成分を
除去する第1の高周波除去フィルタが設けられ、上記第
2の振幅計算器と上記減算器との間に高周波成分を除去
する第2の高周波除去フィルタを設けることとした。
【0012】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記加算器の後段に、さらに低域通過フィルタを設けるこ
ととした。
【0013】また、本発明に係る周波数推定装置は、上
記係数器と上記加算器との間に出力制限器を設けること
とした。
【0014】本発明に係る周波数推定方法は、n−1回
目の周波数推定値を呼び出すステップと、上記n−1回
目の周波数推定値を第1の周波数ωとし所定の帯域除
去あるいは帯域通過特性を備えた第1のフィルタを設計
するステップと、入力信号を上記第1のフィルタでフィ
ルタ処理するステップと、上記第1のフィルタの出力か
ら振幅を計算するステップと、上記第1の周波数ω
りも所定値だけ高い周波数を第2の周波数ωとし所定
の帯域除去あるいは帯域通過特性を備えた第2のフィル
タを設計するステップと、上記入力信号を上記第2のフ
ィルタでフィルタ処理するステップと、上記第2のフィ
ルタの出力から振幅を計算するステップと、上記第1の
フィルタの出力によって算出された振幅から上記第2の
フィルタの出力によって算出された振幅を減算するステ
ップと、上記減算結果に所定の係数を乗算した値に上記
n−1回目の周波数推定値を加算することによりn回目
の周波数推定値を算出するステップと、を含んでなり、
上記減算結果が所定の値以下になるまで上記ステップを
繰り返すこととした。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形
態1の周波数推定装置を図1〜4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施の形態1の周波数推定装
置における装置機能を示すブロック図、図2は、第1の
フィルタFと第2のフィルタFの周波数に対する利
得特性であり、図3は入力信号SINの周波数成分を表
す図、図4は、第1の処理結果SOUT1と第2の処理
結果SOUT2をそれぞれ表す図である。
【0016】図中、1は入力信号SIN、2は第1のフ
ィルタF、3は第2のフィルタF 、4は第1の振幅
計算器AMP、5は第2の振幅計算器AMP、6は
第1の処理結果SOUT1、7は第2の処理結果S
OUT2、8は減算器SUB、9は差e、10は係数器
K、11は係数器Kの出力、12は加算器ADD、13
はn−1回目の周波数推定結果ω(n−1)、14はn
回目の周波数推定結果ω(n)、をそれぞれ表す。
【0017】まず、図1に基づいて本発明の実施の形態
1の周波数推定装置の構成を説明する。ある周波数ω
の信号を含む入力信号(SIN)1からその周波数ω
を推定するために、入力信号(SIN)1を第1のフィ
ルタ(F)2でフィルタ処理し、さらに第1の振幅計
算器(AMP)4で第1のフィルタ(F)2の出力
を二乗して、第1の処理結果(SOUT1)6を求め
る。このフィルタ処理は、具体的には、後述する所定の
帯域の周波数のみ通過および増幅させる帯域通過フィル
タ処理である。
【0018】並行して、入力信号(SIN)1を第2の
フィルタ(F)3でフィルタ処理し、第2の振幅計算
器(AMP)5で第2のフィルタ(F)3の出力を
二乗して第2の処理結果(SOUT2)7を求める。減
算器(SUB)8は振幅(S OUT1)6と振幅(S
OUT2)7の差(e)9を出力し、係数器(K)10
では差(e)9が係数倍、つまり定数kが乗算される。
加算器(ADD)12では、n−1回目の周波数推定結
果ω(n−1)13と係数器(K)10の出力を加算す
る。かかる加算結果が、n回目の周波数推定結果ω
(n)14となる。
【0019】次に、図1に示す本発明の実施の形態1に
おける周波数推定装置の動作を説明する。第1のフィル
タ(F)2と第2のフィルタ(F)3の周波数に対
する利得は、それぞれ図2で表される利得特性を有す
る。一方、入力信号(SIN)1の周波数成分は図3の
特性を有する。
【0020】かかる特性を具備した第1のフィルタ(F
)2と第2のフィルタ(F)3で入力信号
(SIN)1をフィルタ処理、すなわち、それぞれのフ
ィルタにおける利得特性に基づいた周波数域のみ通過お
よび増幅する処理を行った結果得られた第1の処理結果
(SOUT1)6と第2の処理結果(SOUT2)7
は、各フィルタの利得特性を反映して、図4に示したよ
うな周波数特性になる。
【0021】図4から明らかなように、入力信号(S
IN)1では周波数ωの成分が支配的なので、第1の
処理結果(SOUT1)6および第2の処理結果(S
OUT2)7においても周波数ωの成分が支配的とな
る。つまり、第1の処理結果(S OUT1)6では周波
数ωの部分で入力信号(SIN)1中の周波数ω
対応した振幅aが現われる。なお、周波数ωを中心
としたブロードな振幅は入力信号(SIN)1に含まれ
ているホワイトノイズに対応した振幅である。一方、第
2の処理結果(SOUT2)7においても第1の処理結
果(SOUT1)6と同様、入力信号(SIN)1中の
周波数ωに対応した振幅aが現われるが、第2のフ
ィルタ(F)3では周波数ωにおける利得は小さい
ので、その振幅値はaに比べて格段に小さい。
【0022】減算器(SUB)8の出力である差(e)
9は、 e=a−a>0 (式1) となるので、係数器(K)10における係数kを負の数
に設定しておけば、 ω(n)=ω(n−1)+k(a−a) (式2) から、n回目の周波数推定結果ω(n)14はn−1回
目の周波数推定結果ω(n−1)13より小さな値とな
る。ここで、nは1から始まる自然数を意味する。
【0023】上述の第1のフィルタ(F)2における
第1の周波数ωはω(n−1)13と一致するように
設定されるので、周波数推定が繰り返されるに従い、周
波数推定結果ω(n)14は真の周波数ωに漸近して
いく。n回目の周波数推定結果ω(n)14は次回、つ
まりn+1回目の周波数推定における第1の周波数ω
となり、この周波数推定動作は第1の周波数ωが十分
に真の周波数ωに近づくまで繰り返される。
【0024】一方、第2のフィルタ(F)3における
第2の周波数ωは、上記第1の周波数ωに所定値を
加えた値に設定される。仮にかかる所定値をdWとする
と、この場合のdWは定数でも変数でもよい。dWとして
定数を採用すれば、本実施の形態の周波数推定装置の構
成が簡素化される利点がある。
【0025】一方、dWを変数とすれば、より高精度な
周波数推定が可能となる。例えば、dWを周波数推定値
の変動の大きさに比例した変数とすれば、周波数推定値
が収束するに伴い、第1の周波数ωと第2の周波数ω
の間隔が狭くなり、より高精度な周波数推定が可能と
なる。さらに、dWの変動範囲を限定すれば、下限値dW
Bで必要な周波数推定精度が、また、上限値dWTで推定
動作の収束速度が決められる。ここでは、dWを周波数
推定値の変動に比例するように選択したが、周波数推定
値の変動に応じて離散的に変化する数値として選択して
も良い。例えば、周波数推定値の変動が大きい場合はd
Wを大きな定数dWTとし、周波数推定値の変動が小さい
場合はdWを小さな定数dWBとすれば、dWを連続的に変
化する変数としたときと同様の効果が得られる。
【0026】真の周波数ωが第2の周波数ωよりも
大きい場合は、式(1)で表される差(e)9が負にな
るので、式(2)の右辺第2項は正となる。つまり、n
回目の周波数推定結果ω(n)14はn−1回目の周波
数推定値ω(n−1)13よりも大きくなり、やはり真
の周波数ωに漸近していく。
【0027】次に、上記のような周波数推定を繰り返し
た結果、周波数推定結果ω(n)14が第1の周波数ω
に十分に漸近すると、式(1)の差(e)9の大きさ
(絶対値)は十分に小さくなっているので、周波数推定
結果ω(n)14の変動も十分に小さくなる。よって、
最終的な周波数推定結果ω(n)14、つまり、最終的
に得られた第1の周波数ωは、 ω =ω(n)< ω < ω(式3) なる状態に収束するか、あるいは、式(3)で表される
状態のごく近傍で、ω(n)14が微小な振動を繰り返
す結果となる。
【0028】したがって、第2の周波数ωと第1の周
波数ωとの差を周波数推定における許容誤差よりも小
さく設定しておけば、式(3)が示すように、周波数推
定結果ω(n)14はほぼ真の周波数ωに一致する結
果が得られる。
【0029】このようにして、簡単かつ所望の精度で入
力信号(SIN)1中の周波数ωが推定できる。ま
た、この周波数推定結果ω(n)14をパラメータとす
るフィルタが必要であれば、ω(n)14に基づきフィ
ルタ係数を計算すればよいから、例えIIR型フィルタ
であっても、安定な適応フィルタとして構成可能とな
る。すなわち、本周波数推定装置を用いれば安定なII
R型適応フィルタが実現できる。
【0030】さらに、係数器(K)10における係数k
の大きさによって、意図的に収束の速度を変化させるこ
とが可能となる。つまり、係数kが大きくすれば、周波
数推定の収束速度を速くすることができる。また、入力
信号(SIN)1に含まれる周波数ωの成分の大きさ
が大きいほど、周波数推定の収束速度が速くなる。しか
し、収束速度が速すぎると、収束が振動的になったり式
(3)の状態の近傍での振動幅が増大するので、実際の
入力信号(SIN)1の特性に合わせて係数kを調整す
ればよい。
【0031】なお、第1の振幅計算器(AMP)4お
よび第2の振幅計算器(AMP)5は、第1のフィル
タ(F)2および第2のフィルタ(F)3との振幅
を計算する機能を具備するものであり、本実施の形態で
は振幅計算を二乗計算として説明した。しかしながら、
他にも同等の機能を有する計算法があり、例えば、周波
数解析に基づいて振幅を計算する、FFT解析して最大
振幅を選択する、一定期間内でのピーク値で代表させ
る、時間波形の絶対値を計算する、RMS(二乗平均)処
理する、等が挙げられる。
【0032】また、上述の説明では第1のフィルタ(F
)2および第2のフィルタ(F)3を、第1の周波
数ωおよび第2の周波数ωにおいて極大値を有する
と仮定したが、逆に極小値を有するものであってもよ
い。ただし、この場合には、係数器Kにおける係数kを
正の数とする必要がある。そうすれば、式(2)の計算
がそのまま使用可能となり、式(3)に示すように、周
波数推定値ω(n)14が真の周波数ωに十分漸近す
るので、有効な周波数推定が実行できる。
【0033】実施の形態2.図5は、本発明の実施の形
態2の周波数推定装置の機能を示すブロック図である。
図5に基づいて装置構成を説明する。図中、15は、第
3のフィルタFを示す。
【0034】ある周波数ωの信号を含む入力信号(S
IN)1に対してその周波数ωを推定するために、先
ず、入力信号(SIN)1を第3のフィルタ(F)1
5でフィルタ処理する。第3のフィルタ(F)15は
帯域通過フィルタであり、その通過帯域は真の周波数ω
の変動範囲と一致するよう予め設定しておく。なお、
かかる変動範囲は図6中の斜線部に該当する。本装置の
他の構成は実施の形態1の周波数推定装置と全く同一で
ある。
【0035】次に、本発明の実施の形態2の周波数推定
装置の動作を説明する。入力信号(SIN)1には、図
3で示した周波数推定の対象となる周波数ωとホワイ
トノイズの他に、さらに不要な周波数成分ωが含まれ
ていることもある。このような場合に、実施の形態1に
示した構成で図6のような入力信号(SIN)1を処理
すると、周波数推定結果ω(n)14はωとωのど
ちらに収束するかが確定しないので、有効な周波数推定
を実行できない。そこで、かかる不具合を防止するため
に、周波数推定装置を図5のブロック図に示すような第
3のフィルタ(F)15を加えた構成とした。ここ
で、第1のフィルタ(F)2と第2のフィルタ
(F)3の利得は実施の形態1と同様、図2で示され
た利得特性を具備する。一方、入力信号(SIN)1の
周波数成分は図6に示す周波数特性を有するものとす
る。
【0036】実施の形態2に係る周波数測定装置では、
上述したように所定の帯域通過特性を有する第3のフィ
ルタ(F)15を使用している。真の周波数ωの変
動範囲が予め判明している場合は、その変動範囲と第3
のフィルタ(F)15の通過帯域とを一致させてお
く。この結果、第1のフィルタ(F)2および第2の
フィルタ(F)3への入力信号(SIN)1の周波数
特性は、図7で表される特性を呈する。
【0037】すなわち、図6と図7の各特性を比較すれ
ば判るように、第1のフィルタ(F )2および第2の
フィルタ(F)3への入力信号(SIN)1中の不必
要な周波数成分ωが除去される。つまり、不必要な周
波数成分ωは第3のフィルタ(F)15の通過帯域
外だからである。以降の動作は実施の形態1と同様であ
り、周波数推定結果ω(n)14は真の周波数ωに十
分漸近していく。
【0038】本実施の形態においても、第1のフィルタ
(F)2および第2のフィルタ(F)3では、第1
の周波数ωおよび第2の周波数ωにおいて極大値を
有すると仮定したが、逆に極小値を有するものでもよ
い。ただし、この場合は、係数器(K)10における係
数kを正の数としなければならない。そうすれば、式
(2)の計算式がそのまま使用でき、式(3)となるよ
うに周波数推定値ω(n)14が真の周波数ωに十分
漸近していく。
【0039】このようにして、真の周波数ωの変動範
囲が予め判明している場合、その変動範囲と通過帯域と
を一致させた第3のフィルタ(F)15を第1のフィ
ルタ(F)2および第2のフィルタ(F)3の前段
に設けることにより、不要な周波数成分が確実に除去さ
れ、簡単かつ所望の精度で周波数が推定できる。
【0040】なお本実施の形態では、第3のフィルタ
(F)15には帯域通過型のタイプを採用したが、不
要な周波数成分自体が予め判明している場合は、この不
要な周波数成分を選択的に除去する帯域除去型のフィル
タを第3のフィルタ(F)15として採用しても、本
実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもな
い。
【0041】実施の形態3.上記の実施の形態1および2
では、第1の振幅推定器(AMP)4および第2の振
幅推定器(AMP)5を乗算による計算で近似的に処
理したが、本実施の形態による周波数推定装置では、図
8のブロック図に示すように第1の振幅推定器(AMP
)4を第1の乗算器(MUL)16と第1の高周波
除去フィルタ(F)17、第2の振幅推定器(AMP
)5を乗算器(MUL)18と第2の高周波除去フィ
ルタ(F)19で構成している。
【0042】第1のフィルタ(F)2および第2のフ
ィルタ(F)3の出力は時々刻々変化するものであ
り、その主要な変動周波数はωである。したがって、
振幅推定器(AMP)を単に乗算器(MUL)だけで構
成すると、その出力は2×ωの周波数で脈動するおそ
れがある。さらに、第1フィルタ(F)2と第2のフ
ィルタ(F)3の利得特性が相違するため、第1の処
理結果(SOUT1)6および第2の処理結果(S
OUT2)7に見られる脈動の位相がそれぞれ異なり、
図1の減算器(SUB)8の出力である差(e)9では
さらに複雑な脈動が生じうる。安定な周波数推定を妨害
するかかる脈動を抑制するために、本実施の形態の周波
数推定装置では、カットオフ周波数が周波数ωよりも
十分低い第1の高周波除去フィルタ(F)17および
第2の高周波除去フィルタ(F)19を新たに設けて
いる。振幅推定器(AMP)以外の装置構成と周波数推
定動作は実施の形態1と同一である。
【0043】かかる装置構成によって出力脈動を防止す
ることができるので、振幅計算器(AMP)4および
(AMP)5の出力が安定し、結果的に周波数推定動
作が安定化する。また、周波数解析に基づく振幅計算に
比べて簡単に振幅が計算できる。さらに、実施の形態2
に示す帯域通過型の第3のフィルタ(F)15と組み
合わせると、より高精度に周波数を推定できる。
【0044】実施の形態4.本発明の実施の形態4にお
ける周波数推定装置は、図1に示された実施の形態1の
周波数推定装置中の加算器(ADD)12の後段に低域
通過フィルタを挿入したものである。実施の形態4にお
ける周波数推定装置ブロック図を図9に示す。図中、2
0は低域通過フィルタである。
【0045】周波数推定の収束目標は真の周波数ω
なければならないが、ω成分よりも大きなノイズが入
力信号(SIN)1に混入した場合は、一時的に周波数
推定結果が望ましくない応答をすることがある。本実施
の形態では、加算器(ADD)12の後段に低域通過フ
ィルタ20を追加することで、周波数推定結果が不必要
に変動するのを抑制している。かかる低域通過フィルタ
20は、不要な高周波成分を除去する機能を果たすから
である。
【0046】実施の形態4の周波数推定装置によると、
入力信号(SIN)1中に単発的で大きなノイズが混入
しても、周波数推定結果における不必要な変動が抑制さ
れ、安定な周波数推定が実現できる。また、本実施の形
態の周波数推定装置の構成を実施の形態2あるいは実施
の形態3と併用することにより、より安定で高精度な周
波数推定が可能となる。
【0047】実施の形態5.本実施の形態における周波
数推定装置は、図10のブロック図に示すように、図1
で表された実施の形態1の周波数推定装置中の係数器
(K)10と加算器(ADD)12との間に出力制限器
(L)21を加えたものである。また、出力制限器
(L)21の入出力特性を図11に示す。
【0048】周波数推定動作の概略は実施の形態1と同
様であるが、図11に示すように、入力値が所定の値以
上になった場合に出力を一定値に制限する機能を有する
出力制限器(L)21を用いることにより係数器(K)
10の出力が所定の大きさ以上になることを防止してい
る。つまり、周波数推定における真の値への収束速度に
上下限を設けたことになる。この結果、周波数推定結果
ω(n)14の更新速度の最大値が制限され、不用意に
大きな更新動作を回避できる。
【0049】実施の形態5の周波数推定装置によると、
単発的で大きなノイズの混入や、入力信号(SIN)1
の入力レベルの増大、あるいは係数器(K)10の係数
kにおける例えば不適切に大きな値の設定のような設定
ミス等があっても、周波数推定動作が過剰に反応するこ
とを防止でき、安定に周波数推定することが可能とな
る。
【0050】さらに、本実施の形態の周波数推定装置を
実施の形態2から実施の形態4に示した装置と併用する
ことにより、より安定で高精度な周波数推定が可能とな
る。
【0051】実施の形態6.図12は本実施の形態1の
周波数推定装置を機械共振のある位置決め制御系に適用
した場合のブロック図を示すものである。図中、22は
機械共振のある位置決め制御系、23は位置指令、24
は例えばPIDのように利得と位相を調整して制御系全
体を安定化させる制御補償器、25は必要な制御力を制
御対象に与えるアクチュエータ、26は制御対象、27
は制御対象の位置を検出するセンサ、28は実際の位
置、29は適応ノッチフィルタ、30はセンサ信号、3
1はノッチフィルタ出力、をそれぞれ示す。
【0052】制御帯域よりも高い周波数に機械共振があ
る位置決め制御では、共振モードを安定化するために共
振周波数あるいは共振周波数よりもやや低い周波数にノ
ッチフィルタを挿入することが多い。本実施の形態は、
このような制御系に挿入するノッチフィルタを本発明の
実施の形態1の周波数推定装置、つまり、適応フィルタ
で構成したものである。なお、ノッチフィルタとは、特
定の周波数成分のみを除去し、それ以外の周波数成分を
通過させるフィルタを指し、帯域除去フィルタとも呼ば
れる。
【0053】ここで、制御対象26が上記の位置決め制
御系22の帯域よりも高い周波数の機械共振を有してい
るとする。機械共振での一巡伝達関数の利得を低減する
ために、あるいは機械共振での位相を進行させるため
に、制御ループ内のいずれかの箇所にノッチフィルタを
挿入すると、機械共振が安定化される効果がある。
【0054】本実施の形態の周波数推定装置の動作を以
下に説明する。まず、機械共振の周波数成分を含んだセ
ンサからの信号30を、実施の形態1における周波数推
定装置、つまり適応ノッチフィルタ29に入力する。こ
の際、第1のフィルタ(F)2および第2のフィルタ
(F)3は、挿入したいノッチフィルタと同一形式と
する。たとえば以下の式(4)に示すように、第1のフ
ィルタ(F)2および第2のフィルタ(F)3を2
次のIIR型ノッチフィルタとする。
【数1】 そして、式(4)における各フィルタ係数a、 b、 c、
dは、第1の周波数ω あるいは第2の周波数ωの関
数である。この理由としては、デジタル制御系のサンプ
リング周波数をωとすれば、 ωA1 = tan (πω1 / ωS)、 ωA2 = tan (πω2 / ωS) (式5) なる中心周波数でノッチフィルタを形成するアナログフ
ィルタを構成し、これを双一次z変換したものが式
(4)の第1のフィルタ(F)2および第2のフィル
タ(F)3だからである。
【0055】適用ノッチフィルタ29はセンサ信号30
に含まれる共振周波数ωに対して推定動作を繰り返
し、最終的に第1の周波数ωはほぼ共振周波数ω
一致する。すると、ノッチフィルタ出力31は自動的に
センサからの信号30から共振周波数ωの成分を除去
した信号となる。こうして位置決め制御系における機械
共振が安定化される。適応ノッチフィルタ29の推定周
波数が収束する速度は、係数器(K)10の係数kと、
センサ信号30に含まれる機械共振周波数ωの成分の
大きさと、第1のフィルタ(F)2および第2のフィ
ルタ(F)3の利得特性によって決定される。一方、
周波数推定精度はこれらに加えて第2の周波数ωと第
1の周波数ωとの差の大きさによって決定される。
【0056】このように、本発明の実施の形態6におけ
る周波数推定装置における第1のフィルタ(F)2お
よび第2のフィルタ(F)3を所望のフィルタ形状に
設定することで、第1のフィルタ(F)2の出力ある
いは第2のフィルタ(F)3の出力が自動的に所望の
利得特性を具備した適応フィルタとなるので、新たなフ
ィルタの設置が不必要となる結果、適応フィルタの構成
が簡素化される。また、この適応フィルタの周波数推定
が高速かつ高精度に実行できる。本実施の形態を上記の
実施の形態2から実施の形態5に示す構成と組み合わせ
れば、さらに、高速かつ高精度で安定な周波数推定が可
能となる。
【0057】実施の形態7.本実施の形態における周波
数推定装置は、上記の実施の形態1の周波数測定装置に
おいて、第1のフィルタ(F)2および第2のフィル
タ(F)3の利得特性を図13に示すように構成した
ものである。かかる利得特性は、実施の形態1における
第1のフィルタ(F)2および第2のフィルタ
(F)3の利得特性(図2)と比較して、中心周波数
に対して利得がより緩やかに減衰するという特徴を有し
ている。
【0058】本実施の形態における周波数推定動作は以
下のようになる。真の周波数ωに対する周波数推定結
果ω(n)14の誤差が大きければ、式(1)で表され
る差(e)9が増大し、この結果、式(2)の右辺第2
項で表される更新量も大きくなるので、ω(n)14は
速やかにωに漸近する。逆にω(n)14がωに近
づくと、差(e)9が小さくなるので、ω(n)14は
ゆっくりとωに漸近してゆく。つまり、図13に示す
第1のフィルタ(F)2および第2のフィルタ
(F)3の利得特性を反映して、推定誤差が大きいと
きは速やかな収束動作となり、逆に推定誤差が小さいと
ゆっくりとした推定動作となる。
【0059】これにより、真の周波数ωが変動した場
合には周波数推定値が速やかに周波数ωに追従する一
方、真の周波数ωがほぼ一定の場合に周波数推定動作
が振動的になることを防止するので、高速で安定かつ高
精度な周波数推定ができる。さらに、本実施の形態を上
記の実施の形態2から実施の形態6に示す構成と組み合
わせることで、より高速で安定かつ高精度な周波数推定
ができる。
【0060】実施の形態8.本実施の形態の周波数推定
方法のフローチャートを図14に示す。図14における
’はじめ’とは、適応フィルタのプログラム実行開始
を意味する。まず、n−1回目の周波数推定値を呼び出
す。但し、1回目の周波数推定動作では当然前回の周波
数推定値は存在しないので、適当な初期値を用いるが、
ゼロとしても良い。続いて、第1のフィルタ(F)2
と第2のフィルタ(F)3のフィルタ係数をn−1回
目の周波数推定値に基づいて計算する。そして、フィル
タ係数が決定された第1のフィルタ(F)2および第
2のフィルタ(F)3に周波数推定の対象となる周波
数ωの成分を含んだ信号を入力して、それぞれフィル
タ処理する。次に、第1のフィルタ(F)2の出力の
振幅および第2のフィルタ(F)3の出力の振幅を計
算する。さらに、両者の振幅の差を計算し、最後に、こ
の振幅の差を所定の係数kで乗算した値をn−1回目の
周波数推定値に加算して、n回目の周波数推定値とす
る。
【0061】なお、上述の第1のフィルタ(F)2お
よび第2のフィルタ(F)3は、ともに帯域除去フィ
ルタとするか、あるいはともに帯域通過フィルタとす
る。
【0062】上記の一連の処理を繰り返すことで、第1
のフィルタ(F)2および第2のフィルタ(F)3
の中心周波数ω、ωが次第に推定したい周波数ω
に漸近し、十分な時間経過後にはこれらの中心周波数ω
、ωは入力信号の中で最も支配的な成分の周波数に
収束するか、あるいは推定対象の周波数ωのごく近傍
で振動する。そして、入力信号の支配的な周波数成分ω
が変動すると周波数推定値は直ちにこれを検知し、二
つのフィルタの中心周波数ω、ωがその支配的な周
波数成分ωに収束あるいは十分に漸近する。上記振幅
の差が所定の値以下であれば、n回目の周波数推定値を
周波数ωの推定値に決定する。図14のフローチャー
トに’おわり’がないのは、周波数推定値が入力信号に
含まれる最も支配的な成分の周波数に常に追従する状態
にあるからである。
【0063】本実施の形態の周波数推定方法では、最急
降下法に基づくLMSアルゴリズム等の複雑な計算を必
要としないので、より高速な周波数推定が可能となる。
さらに、第1のフィルタ(F)2および第2のフィル
タ(F)3をIIR型のフィルタに設定しても、本実
施の形態の周波数推定方法は何ら変更することなく使用
できる。したがって、LMSアルゴリズムによる適応フ
ィルタでは保証が不可能あるいは困難なIIR型適応フ
ィルタに対しても、本実施の形態の周波数推定方法は有
効である。また、第1のフィルタ(F)2と第2のフ
ィルタ(F)3の中心周波数ω、ωのずらし方
や、振幅の差に作用させる係数の値を適切に選択するこ
とで、安定でかつ高精度な周波数推定ができる。さら
に、最終的にはこれらのフィルタが自動的に推定したい
周波数に対して中心周波数ω、ωとする帯域除去あ
るいは帯域通過フィルタとなるので、上述の周波数推定
方法は適応フィルタの係数を決定するための適応アルゴ
リズムとしても使える。
【0064】本実施の形態では、上記の実施の形態1と
ほぼ同じ構成の周波数推定装置に対する周波数推定方法
を示したが、上記の実施の形態2から実施の形態7に示
した構成要素による計算処理等を本実施の形態に追加す
れば、さらに高速かつ高精度で安定な周波数推定が可能
となる。
【0065】
【発明の効果】本発明に係る周波数推定装置では、周波
数推定の対象となる周波数ωの成分を含む信号が入力
され、第1の周波数ωで利得が極値を有する利得特性
に基づきフィルタ処理する第1のフィルタと、上記第1
のフィルタの出力から所定のアルゴリズムに従い振幅を
計算する第1の振幅計算器と、上記周波数ωの成分を
含む信号が入力され、第2の周波数ωで利得が極値を
有する利得特性に基づきフィルタ処理する第2のフィル
タと、上記第2のフィルタの出力から上記所定のアルゴ
リズムに従い振幅を計算する第2の振幅計算器と、上記
第1の振幅計算器の処理結果から上記第2の振幅計算器
の処理結果を減算する減算器と、上記減算器の処理結果
に定数を乗算する係数器と、上記係数器の処理結果とn
−1回目の周波数推定値とを加算する加算器と、を備
え、n回目の周波数推定時における第1の周波数ω
よび第2の周波数ωが上記n−1回目の周波数推定値
に基づいて決定され、上記加算器の処理結果をn回目の
周波数推定値として、上記減算器の処理結果が所定の値
以下になるまで周波数推定を繰り返すこととしたので、
簡単かつ所望の精度で入力信号SIN中の周波数ω
推定でき、また、この周波数推定結果ω(n)をパラメ
ータとするフィルタが必要であれば、ω(n)に基づき
フィルタ係数を計算すればよいから、例えIIR型フィ
ルタであっても、安定な適応フィルタとして構成可能と
なる。
【0066】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記n回目の周波数推定時の第1の周波数ωを、上記
n−1回目の周波数推定値であることとしたので、入力
信号SIN中の周波数ωの推定が容易になる。
【0067】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記n回目の周波数推定時の第2の周波数ωを、上記
第1の周波数ωに所定の値を加えた数値であることと
したので、より入力信号SIN中の周波数ωの推定が
容易になる。
【0068】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記第1のフィルタおよび上記第2のフィルタの前段に
所定の周波数帯域のみを通過させる帯域通過特性を具備
する第3のフィルタを設けることとしたので、不要な周
波数成分が確実に除去され、簡単かつ所望の精度で周波
数が推定できる。
【0069】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記第1の振幅計算器と上記減算器との間に高周波成分
を除去する第1の高周波除去フィルタが設けられ、上記
第2の振幅計算器と上記減算器との間に高周波成分を除
去する第2の高周波除去フィルタを設けることとしたの
で、出力脈動を防止することができるため、振幅計算器
の出力が安定し、結果的に周波数推定動作が安定化す
る。
【0070】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記加算器の後段に、さらに低域通過フィルタを設ける
こととしたので、入力信号SIN中に単発的で大きなノ
イズが混入しても、周波数推定結果における不必要な変
動が抑制され、安定な周波数推定が実現できる。
【0071】また、本発明に係る周波数推定装置では、
上記係数器と上記加算器との間に出力制限器を設けるこ
ととしたので、単発的で大きなノイズの混入や、入力信
号S INの入力レベルの増大、あるいは係数器Kの係数
kにおける例えば不適切に大きな値の設定のような設定
ミス等があっても、周波数推定動作が過剰に反応するこ
とを防止でき、安定に周波数推定することができる。
【0072】本発明に係る周波数推定方法では、n−1
回目の周波数推定値を呼び出すステップと、上記n−1
回目の周波数推定値を第1の周波数ωとし、所定の帯
域除去あるいは帯域通過特性を備えた第1のフィルタを
設計するステップと、入力信号を上記第1のフィルタで
フィルタ処理するステップと、上記第1のフィルタの出
力から振幅を計算するステップと、上記第1の周波数ω
よりも所定値だけ高い周波数を第2の周波数ω
し、所定の帯域除去あるいは帯域通過特性を備えた第2
のフィルタを設計するステップと、上記入力信号を上記
第2のフィルタでフィルタ処理するステップと、上記第
2のフィルタの出力から振幅を計算するステップと、上
記第1のフィルタの出力によって算出された振幅から上
記第2のフィルタの出力によって算出された振幅を減算
するステップと、上記減算結果に所定の係数を乗算した
値に上記n−1回目の周波数推定値を加算することによ
りn回目の周波数推定値を算出するステップと、を含ん
でなり、上記減算結果が所定の値以下になるまで上記ス
テップを繰り返すこととしたので、最急降下法に基づく
LMSアルゴリズム等の複雑な計算を必要としないた
め、より高速な周波数推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の周波数推定装置における装置
機能を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1の周波数推定装置における第1
のフィルタFと第2のフィルタFの周波数に対する
利得特性を示す図である。
【図3】 実施の形態1の周波数推定装置における入力
信号SINの周波数成分を表す図である。
【図4】 実施の形態1の周波数推定装置における第1
の処理結果SOUT と第2の処理結果SOUT2をそ
れぞれ表す図である。
【図5】 実施の形態2の周波数推定装置の機能を示す
ブロック図である。
【図6】 実施の形態2の周波数推定装置における入力
信号SINの周波数特性を示す図である。
【図7】 実施の形態2の周波数推定装置における第1
のフィルタFおよび第2のフィルタFへの入力信号
の周波数特性を示す図である。
【図8】 実施の形態3の周波数推定装置の機能を示す
ブロック図である。
【図9】 実施の形態4の周波数推定装置の機能を示す
ブロック図である。
【図10】 実施の形態5の周波数推定装置の機能を示
すブロック図である。
【図11】 実施の形態5の周波数推定装置における出
力制限器L21の入出力特性を示す図である。
【図12】 実施の形態6における機械共振のある位置
決め制御系に適用した場合のブロック図を示すものであ
る。
【図13】 実施の形態7の周波数推定装置における第
1のフィルタFと第2のフィルタFの周波数に対す
る利得特性を示す図である。
【図14】 実施の形態8における周波数推定方法のフ
ローチャートである。
【符号の説明】
1 入力信号SIN、 2 第1のフィルタF、 3
第2のフィルタF、 4 第1の振幅計算器AMP
、 5 第2の振幅計算器AMP、 6第1の処理
結果SOUT1、 7 第2の処理結果SOUT2
8 減算器SUB、 9 差e、 10 係数器K、
11 係数器Kの出力、 12 加算器ADD、 13
n−1回目の周波数推定結果ω(n−1)、 14
n回目の周波数推定結果ω(n)、 15 第3のフィ
ルタF、 16 第1の乗算器MUL、 17 第
1の高周波除去フィルタF、 18 乗算器MU
、 19 第2の高周波除去フィルタF、 20
低域通過フィルタ、 21出力制限器L、 22 機
械共振のある位置決め制御系、 23 位置指令、24
制御補償器、 25 アクチュエータ、 26 制御
対象、 27 センサ、 28 実際の位置、 29
適応ノッチフィルタ、 30 センサ信号、 31 ノ
ッチフィルタ出力。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数推定の対象となる周波数ωの成
    分を含む信号が入力され、第1の周波数ωで利得が極
    値を有する利得特性に基づきフィルタ処理する第1のフ
    ィルタと、前記第1のフィルタの出力から所定のアルゴ
    リズムに従い振幅を計算する第1の振幅計算器と、前記
    周波数ωの成分を含む信号が入力され、第2の周波数
    ωで利得が極値を有する利得特性に基づきフィルタ処
    理する第2のフィルタと、前記第2のフィルタの出力か
    ら前記所定のアルゴリズムに従い振幅を計算する第2の
    振幅計算器と、前記第1の振幅計算器の処理結果から前
    記第2の振幅計算器の処理結果を減算する減算器と、前
    記減算器の処理結果に定数を乗算する係数器と、前記係
    数器の処理結果とn−1回目の周波数推定値とを加算す
    る加算器と、を備え、n回目の周波数推定時における第
    1の周波数ωおよび第2の周波数ωが前記n−1回
    目の周波数推定値に基づいて決定され、前記加算器の処
    理結果をn回目の周波数推定値として、前記減算器の処
    理結果が所定の値以下になるまで周波数推定を繰り返す
    ことを特徴とする周波数推定装置。
  2. 【請求項2】 前記n回目の周波数推定時の第1の周波
    数ωが、前記n−1回目の周波数推定値であることを
    特徴とする請求項1記載の周波数推定装置。
  3. 【請求項3】 前記n回目の周波数推定時の第2の周波
    数ωが、前記第1の周波数ωに所定の値を加えた数
    値であることを特徴とする請求項2記載の周波数推定装
    置。
  4. 【請求項4】 前記第1のフィルタおよび前記第2のフ
    ィルタの前段に所定の周波数帯域のみを通過させる帯域
    通過特性を具備する第3のフィルタが設けられているこ
    とを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の
    周波数推定装置。
  5. 【請求項5】 前記第1の振幅計算器と前記減算器との
    間に高周波成分を除去する第1の高周波除去フィルタが
    設られ、前記第2の振幅計算器と前記減算器との間に高
    周波成分を除去する第2の高周波除去フィルタが設られ
    ていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1
    項記載の周波数推定装置。
  6. 【請求項6】 前記加算器の後段に、さらに低域通過フ
    ィルタが設られていることを特徴とする請求項1ないし
    5のいずれか1項記載の周波数推定装置。
  7. 【請求項7】 前記係数器と前記加算器との間に出力制
    限器が設られていることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれか1項記載の周波数推定装置。
  8. 【請求項8】 n−1回目の周波数推定値を呼び出すス
    テップと、前記n−1回目の周波数推定値を第1の周波
    数ωとし、所定の帯域除去あるいは帯域通過特性を備
    えた第1のフィルタを設計するステップと、入力信号を
    前記第1のフィルタでフィルタ処理するステップと、前
    記第1のフィルタの出力から振幅を計算するステップ
    と、前記第1の周波数ωよりも所定値だけ高い周波数
    を第2の周波数ωとし、所定の帯域除去あるいは帯域
    通過特性を備えた第2のフィルタを設計するステップ
    と、前記入力信号を前記第2のフィルタでフィルタ処理
    するステップと、前記第2のフィルタの出力から振幅を
    計算するステップと、前記第1のフィルタの出力によっ
    て算出された振幅から前記第2のフィルタの出力によっ
    て算出された振幅を減算するステップと、前記減算結果
    に所定の係数を乗算した値に前記n−1回目の周波数推
    定値を加算することによりn回目の周波数推定値を算出
    するステップと、を含んでなり、前記減算結果が所定の
    値以下になるまで上記ステップを繰り返すことを特徴と
    する周波数推定方法。
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