JP5262441B2 - 回転部材の物理量測定装置 - Google Patents
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Description
上記図4の、ddは上記エンコーダ8の上記両センサ9、9に対する実際の変位に伴なうこれら両センサ9、9の出力信号の位相差を表し、dnは上記振れ回り等の回転1次成分の誤差成分を、xはこの誤差成分dnと相関性のある参照信号を、yは適応フィルタ11の出力であるキャンセル信号を、それぞれ表している。
又、dは上記両センサ9、9が実際に測定した出力信号の位相差(以下出力信号)であり、上記実際の位相差ddと誤差成分dnとが重畳されたもの(d=dd+dn)である。
又、eは修正信号であり、上記出力信号dに対して上記適応フィルタ11によりフィルタリング処理を施した後のもの(e=d−y)である。
この様な構成によれば、上記自己学習が完了した後の上記適応フィルタ11のキャンセル信号yを、上記出力信号dから差し引けば、上記両センサ9、9の出力信号dから上記誤差成分dnを取り除いた(d−dn)事と等価になる。尚、上記キャンセル信号yがDCレベル(直流成分)を含んでいる場合には、上記特許文献1に記載された様な処理により上記修正信号e又は上記キャンセル信号yにDCレベルの補正を施す。
但し、上記図5の(B)に示す様に、上記出力信号dから上記誤差成分dnを十分に低減するまでには、所定の時間(図5の(B)では2秒程度)を要する。これは、上記適応フィルタ11の自己学習が十分に進んでいない為に、この適応フィルタ11のキャンセル信号yが収束していないからである。この様に、この適応フィルタ11の自己学習が十分に進んでいない間のデータは、信頼性が低い為、制御等には使用できない。
又、上述した様な、特許文献1の構造の場合、位相差を検出するためには、複数パルスのエッジからエッジまでの時間計測をしなければならないが、演算に用いるCPUの性能上の制約から、無限に長い時間の計測は出来ない。従って、前記ハブ3の回転速度が或る一定の速度より小さくなったり、或いは回転が停止すると、演算を中止せざるを得ない。この為、再び回転が始まり演算を再開する場合は、上記適応フィルタ11を再学習させる必要があり、上記図5(B)に示す様に、この適応フィルタ11のキャンセル信号yが収束するまでの所定の時間はデータを、制御等に用いる事ができない。
このうちのエンコーダは、回転部材の一部にこの回転部材と同心に支持されたもので、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。
又、上記センサは、その検出部を上記被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させる。
又、上記フィルタ回路は、上記センサの出力信号(波形成形回路等によりこの出力信号に基づいて得られる処理信号を含む)にフィルタリング処理を施す。即ち、上記フィルタ回路は、上記出力信号の変動のうち、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく、誤差成分を消去する。尚、本明細書及び特許請求の範囲で述べるフィルタ回路には、独立したフィルタ用アナログ回路を含む事は勿論、演算器にインストールしたプログラム中でフィルタ処理を実行(フィルタ演算)する構造も含む。この場合には、上記演算器の一部が上記フィルタ回路に相当する。
又、上記演算器は、上記フィルタ回路によりフィルタリング処理を施された上記出力信号に基づいて、上記回転部材の物理量を算出する。即ち、上記演算器は、上記フィルタ回路を通過した、上記出力信号が変化するパターンに基づいて、上記物理量を算出する機能を有する。
上述の様な本発明を実施する場合に例えば、上記物理量を、上記回転部材の回転速度と回転角度とのうちの少なくとも一方とする。
或いは、上記物理量を、上記回転部材の変位量とこの回転部材に作用する外力とのうちの少なくとも一方とする。
又、この様に変位量又は外力を求める場合に好ましくは、1対のセンサを、それぞれの検出部を上記エンコーダの被検出面の幅方向に離隔した位置に対向させた状態で設置する。又、この被検出面のうちで、少なくとも一方のセンサの検出部が対向する部分の、円周方向に関して特性が変化する境界を、上記幅方向に対し傾斜させる。そして、上記少なくとも一方のセンサの出力信号の変化の位相を、このセンサの検出部が対向する、上記エンコーダの被検出面の幅方向位置に対応して変化させる。
又、本発明を実施する場合に例えば、上記回転部材を、転がり軸受ユニットの回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪に結合固定されてこの回転側軌道輪と共に回転する部材とする。又、上記転がり軸受ユニットは、使用状態で回転する上記回転側軌道輪と、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、これら回転側軌道輪と静止側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備えたものとする。
更に、本発明を実施する場合に好ましくは、上記フィルタ回路を適応フィルタとする。
又、位相差を検出する為には、上記特許文献1に記載された構造と同様に、複数パルスのエッジからエッジまでの時間計測をしなければならないが、演算に用いるCPUの性能上の制約から、無限に長い時間の計測はできない。従って、前記ハブ3の回転速度が或る一定の速度より小さくなったり、或いは回転が停止すると、演算を中止せざるを得ない。但し、上記エンコーダ8のパルスのエッジ認識だけは、電源がOFFにならない限り継続する事ができるので、このエンコーダ8の円周方向位置を認識する事はできる。この様に、回転速度が極低速の場合にも、このエンコーダ8の円周方向位置を認識し続けて、このエンコーダ8の回転が完全に停止した瞬間の円周方向位置を記憶する様にする。又、このエンコーダ8の回転が停止した後に、上記演算を再開できない程度の低速で、このエンコーダ8が回転を始めてしまった場合にも、上記円周方向位置の認識を行う様にする。
又、上記エンコーダ8の回転方向が正逆のどちらもあり得る場合は、円周方向位置の認識だけでなく、例えば、AB2相式のインクリメンタル方式を用いたロータリーエンコーダ等により、回転方向も認識する様にする事で対応できる。この場合も、これら円周方向位置及び回転方向の情報に基づいて、適切な値を前記適応フィルタ11のフィルタ係数列Wに設定して、本例と同様の作用効果を得る事ができる。又、上記エンコーダ8の円周方向位置の認識方法は、本例の様に上記基準値からの相対的な位置認識方法に限らず、絶対的な位置を認識する方法を用いる事もできる。この様な位置認識方法は、用途、精度、コスト等を考慮して設計的に決定すれば良い。
又、本発明は、前述した特許文献1に記載されている従来構造及び実施の形態で説明した様なアキシアル荷重を求める為の構造に限らず、同じく特許文献1に記載されている様な転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を求める為の構造等、回転部材の物理量(回転速度、回転角度、変位量、外力等)を測定する為の各種構造に適用できる。
2 外輪
3 ハブ
4 外輪軌道
5 内輪軌道
6 転動体
7 荷重測定装置
8 エンコーダ
9 センサ
10 被検出面
11 適応フィルタ
Claims (1)
- 回転部材の一部にこの回転部材と同心に支持固定された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、
その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、
このセンサの出力信号にフィルタリング処理を施すフィルタ回路と、
このフィルタ回路によりフィルタリング処理を施された上記出力信号に基づいて、上記回転部材に関する物理量を算出する演算器とを備え、
上記フィルタ回路は、この出力信号の変動のうち、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく誤差成分を消去するものであり、
上記演算器は、上記フィルタ回路によりフィルタリング処理を施された、上記出力信号が変化するパターンに基づいて、上記物理量を算出する機能を有するものである回転部材の物理量測定装置に於いて、
上記フィルタ回路を構成する適応フィルタのフィルタ係数列が、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく誤差成分と対応すると共に、上記エンコーダの円周方向位置と、上記フィルタ係数列を構成する各フィルタ係数とが1対1で対応しており、
電源がOFFにならない限り、上記エンコーダの円周方向位置を認識し続けると共に、上記回転部材の回転停止時に、その時点に於ける上記エンコーダの円周方向位置と円周方向に亙る特性変化に関する誤差成分との関係を記憶手段に記憶させておき、上記回転部材が回転を再開するのと同時に、この記憶手段に記憶させておいた上記関係に基づいて、認識している上記エンコーダの円周方向位置に対応した適切な値を、上記フィルタ係数列に設定した状態で、上記フィルタリング処理を開始する事を特徴とする回転部材の物理量測定装置。
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