JP5262441B2 - 回転部材の物理量測定装置 - Google Patents

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Description

この発明に係る回転部材の物理量測定装置は、例えば車両(自動車)の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪の回転速度や回転角度、又はこの車輪に加わる荷重の大きさを測定して、車両の安定運行の確保に利用する。或は、各種工作機械の主軸を支持する為の転がり軸受ユニットに組み込んで、この主軸に加わる荷重や、熱膨張等による変位を測定し、工具の送り速度等を適切に調節する為に利用する。
例えば、車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、転がり軸受ユニットを使用する。又、車両の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)等の車両の走行状態安定化装置が広く使用されている。これらABSやTCS等の走行状態安定化装置によれば、制動時や加速時に於ける車両の走行状態を安定させる事はできるが、より厳しい条件の下でもこの安定性の確保を図る為には、車両の走行安定性に影響するより多くの情報を取り入れて、ブレーキやエンジンの制御を行なう事が必要になる。
即ち、上記ABSやTCS等の従来の走行状態安定化装置の場合には、タイヤと路面との滑りを検知してブレーキやエンジンを制御する、所謂フィードバック制御を行っている為、これらブレーキやエンジンの制御が一瞬とは言え遅れる。言い換えれば、厳しい条件下での性能向上を図るべく、所謂フィードフォワード制御により、タイヤと路面との間に滑りが発生しない様にしたり、左右の車輪の制動力が極端に異なる所謂ブレーキの片効きを防止する事はできない。更には、トラック等で、積載状態が不良である事に基づいて走行安定性が不良になるのを防止する事もできない。
この様な問題に対応すべく、上記フィードフォワード制御等を行なう為に、懸架装置に対して車輪を支持する為の転がり軸受ユニットに、この車輪に加わるラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方を測定する為の荷重測定装置を組み込む事が考えられる。この様な場合に使用可能な荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットとして、特許文献1には、図2〜3に示す様な構造により、静止側軌道輪である外輪2と、回転側軌道輪であって内輪でもあるハブ3との間に加わる荷重及びモーメントを測定可能とした、荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニット1に関する発明が記載されている。
この従来構造では、上記外輪2の内周面に形成した複列の外輪軌道4、4と、上記ハブ3の外周面に設けた複列の内輪軌道5、5との間に転動体6、6を、各列毎に複数個ずつ、転動自在に設けている。そして、上記外輪2の内径側に上記ハブ3を、回転自在に支持している。尚、図示の例では、転動体として玉を使用しているが、重量の嵩む車両の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、各転動体として円すいころを使用する場合もある。
この様な、転がり軸受ユニット1と組み合わされる、物理量測定装置である荷重測定装置7(回転速度、回転角度検出装置としての機能も兼ね備える)は、上記ハブ3の中間部に外嵌固定された、永久磁石製である1個のエンコーダ8と、上記外輪2の軸方向中間部で複列に配置された上記各転動体6、6同士の間部分に設けられた、1対のセンサ9、9と、図示しない演算器とを備える。上記エンコーダ8の外周面である被検出面10は円筒面状であって、この被検出面10に、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とが、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置されている。又、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界を、上記エンコーダ8の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、このエンコーダ8の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した(又は凹んだ)、「く」字形となっている。従って、上記被検出面10の磁気特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔に変化するが、変化する位相は、この被検出面10の軸方向に関して漸次変化する。
又、上記1対のセンサ9、9は、アクティブ型の磁気センサであり、これら両センサ9、9の検出部には、ホール素子、磁気抵抗素子等の磁気検出素子を設けている。この様な磁気検出素子の特性は、N極に対向している状態とS極に対向している状態とで変化する。この様な上記両センサ9、9は、これら両センサ9、9の検出部を上記エンコーダ8の被検出面10に、近接対向させている。尚、これら両センサ9、9の検出部が上記エンコーダ8の被検出面10に対向する位置は、上記エンコーダ8の円周方向に関して同じ位置としている。又、上記外輪2とハブ3との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ9、9の検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材8、9、9の設置位置を規制している。
上述の様に構成する特許文献1に記載された従来構造の場合、上記外輪2とハブ3との間にアキシアル荷重が作用すると、上記両センサ9、9の出力信号が変化する位相がずれる。詳細な説明は上記特許文献1に記載されているので省略するが、この出力信号の位相のずれは、上記外輪2とハブ3との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向に生じる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ9、9の出力信号の位相がずれる程度は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って、上記両センサ9、9の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその方向及び大きさに基づいて、上記外輪2とハブ3との間の軸方向に関する相対変位量及びこれら外輪2とハブ3との間に作用しているアキシアル荷重の方向及び大きさを求められる。
ところで、上記特許文献1に記載された様な、車輪支持用転がり軸受ユニット1の場合、上記エンコーダ8を上記ハブ3に組み付ける際の組み付け誤差等によって、このハブ3の回転に伴ってこのエンコーダ8の被検出面10が、荷重に関係なく、見掛け上変位(回転に伴って振動)する可能性がある。上記組み付け誤差等により、上記エンコーダ8の被検出面10の幾何中心軸と回転中心軸とが不一致である場合、即ち、両中心軸同士が径方向にずれていたり、或いは互いに傾斜していたりすると、上記荷重に関係なく、上記両センサ9、9の検出部が対向する、上記エンコーダ8の被検出面10の幅方向位置がずれてしまう。この様なずれは、例えば、上記荷重測定装置7の様に、検出すべき荷重がアキシアル荷重である場合には、上記ハブ3の回転に伴なう、上記エンコーダ8の被検出面10の、振れ回り等の回転1次の軸方向変位運動として現れる。この結果、上記荷重が変動しない場合でも、上記両センサ9、9の出力信号が変動するパターンが変化して、この荷重の測定精度が悪化する事が考えられる。
そこで、上記転がり軸受ユニット1と組み合わされる荷重測定装置7は、図4に示す様な構成により、上記両センサ9、9の出力信号(一方のセンサ9の出力信号と他方のセンサ9の出力信号の位相差)から上記振れ回り等の回転1次成分の誤差成分を消去している。この動作に関して、以下に簡単に説明する。
上記図4の、ddは上記エンコーダ8の上記両センサ9、9に対する実際の変位に伴なうこれら両センサ9、9の出力信号の位相差を表し、dnは上記振れ回り等の回転1次成分の誤差成分を、xはこの誤差成分dnと相関性のある参照信号を、yは適応フィルタ11の出力であるキャンセル信号を、それぞれ表している。
又、dは上記両センサ9、9が実際に測定した出力信号の位相差(以下出力信号)であり、上記実際の位相差ddと誤差成分dnとが重畳されたもの(d=dd+dn)である。
又、eは修正信号であり、上記出力信号dに対して上記適応フィルタ11によりフィルタリング処理を施した後のもの(e=d−y)である。
上記適応フィルタ11は、上記参照信号xと修正信号eとを情報にして、上記特許文献1に記載された様な同期式LMSアルゴリズムに基き、自己学習により上記適応フィルタ11を構成するフィルタ係数列W(上記エンコーダ8の1回転のパルス数と同数のフィルタ係数により構成されている)を逐次適正に更新する。この自己学習が完了すると、上記適応フィルタ11は、実際の信号の流れ「dn→d」の伝達特性と同じ特性を持ったFIR(finite impulse response)フィルタを形成する。
この様な構成によれば、上記自己学習が完了した後の上記適応フィルタ11のキャンセル信号yを、上記出力信号dから差し引けば、上記両センサ9、9の出力信号dから上記誤差成分dnを取り除いた(d−dn)事と等価になる。尚、上記キャンセル信号yがDCレベル(直流成分)を含んでいる場合には、上記特許文献1に記載された様な処理により上記修正信号e又は上記キャンセル信号yにDCレベルの補正を施す。
図5は、上述した様な図4に示す構成の適応フィルタ11により、上記出力信号dにフィルタリング処理を施して、上記振れ回り等の回転1次成分の誤差成分dを消去した結果を示している。上記図5のうちの(A)は、上記フィルタリング処理を施していない、上記両センサ9、9の出力信号dを示している。この様な図5の(A)には、上記エンコーダ8の組み付け誤差に基づく回転1次の誤差成分dが大きく現れている。これに対して図5の(B)には、上記出力信号dに対して、上記適応フィルタ11によるフィルタリング処理を施した結果得られる上記修正信号eを示している。この様な図5の(B)から、このフィルタリング処理により、前記アキシアル荷重を求める場合に問題となる回転1次の誤差成分dを低減できている事が分かる。
但し、上記図5の(B)に示す様に、上記出力信号dから上記誤差成分dを十分に低減するまでには、所定の時間(図5の(B)では2秒程度)を要する。これは、上記適応フィルタ11の自己学習が十分に進んでいない為に、この適応フィルタ11のキャンセル信号yが収束していないからである。この様に、この適応フィルタ11の自己学習が十分に進んでいない間のデータは、信頼性が低い為、制御等には使用できない。
又、上述した様な、特許文献1の構造の場合、位相差を検出するためには、複数パルスのエッジからエッジまでの時間計測をしなければならないが、演算に用いるCPUの性能上の制約から、無限に長い時間の計測は出来ない。従って、前記ハブ3の回転速度が或る一定の速度より小さくなったり、或いは回転が停止すると、演算を中止せざるを得ない。この為、再び回転が始まり演算を再開する場合は、上記適応フィルタ11を再学習させる必要があり、上記図5(B)に示す様に、この適応フィルタ11のキャンセル信号yが収束するまでの所定の時間はデータを、制御等に用いる事ができない。
特開2007−40954号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、回転部材が回転を停止した場合に、再び回転を始めるのと同時に、適切なフィルタリング処理を施す事で、センサの出力信号から組み付け誤差に基づく回転1次の誤差成分を有効に低減できる、回転部材の物理量測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の回転部材の物理量測定装置は、エンコーダと、センサと、フィルタ回路と、演算器とを備える。
このうちのエンコーダは、回転部材の一部にこの回転部材と同心に支持されたもので、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。
又、上記センサは、その検出部を上記被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させる。
又、上記フィルタ回路は、上記センサの出力信号(波形成形回路等によりこの出力信号に基づいて得られる処理信号を含む)にフィルタリング処理を施す。即ち、上記フィルタ回路は、上記出力信号の変動のうち、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく、誤差成分を消去する。尚、本明細書及び特許請求の範囲で述べるフィルタ回路には、独立したフィルタ用アナログ回路を含む事は勿論、演算器にインストールしたプログラム中でフィルタ処理を実行(フィルタ演算)する構造も含む。この場合には、上記演算器の一部が上記フィルタ回路に相当する。
又、上記演算器は、上記フィルタ回路によりフィルタリング処理を施された上記出力信号に基づいて、上記回転部材の物理量を算出する。即ち、上記演算器は、上記フィルタ回路を通過した、上記出力信号が変化するパターンに基づいて、上記物理量を算出する機能を有する。
特に、本発明の回転部材の物理量測定装置は、上記フィルタ回路を構成する適応フィルタのフィルタ係数列が、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく誤差成分と対応すると共に、上記エンコーダの円周方向位置と、上記フィルタ係数列を構成する各フィルタ係数とが1対1で対応している。又、電源がOFFにならない限り、上記エンコーダの円周方向位置を認識し続けると共に、上記回転部材の回転停止時に、その時点に於ける上記エンコーダの円周方向位置と円周方向に亙る特性変化に関する誤差成分との関係を記憶手段に記憶させておく。そして、上記回転部材回転を再開するのと同時に、この記憶手段に記憶させておいた上記関係に基づいて、認識している上記エンコーダの円周方向位置に対応した適切な値を、上記フィルタ係数列に設定した状態で、上記フィルタリング処理を開始する。
上述の様な本発明を実施する場合に例えば、上記物理量を、上記回転部材の回転速度と回転角度とのうちの少なくとも一方とする。
或いは、上記物理量を、上記回転部材の変位量とこの回転部材に作用する外力とのうちの少なくとも一方とする。
又、この様に変位量又は外力を求める場合に好ましくは、1対のセンサを、それぞれの検出部を上記エンコーダの被検出面の幅方向に離隔した位置に対向させた状態で設置する。又、この被検出面のうちで、少なくとも一方のセンサの検出部が対向する部分の、円周方向に関して特性が変化する境界を、上記幅方向に対し傾斜させる。そして、上記少なくとも一方のセンサの出力信号の変化の位相を、このセンサの検出部が対向する、上記エンコーダの被検出面の幅方向位置に対応して変化させる。
又、本発明を実施する場合に例えば、上記回転部材を、転がり軸受ユニットの回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪に結合固定されてこの回転側軌道輪と共に回転する部材とする。又、上記転がり軸受ユニットは、使用状態で回転する上記回転側軌道輪と、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、これら回転側軌道輪と静止側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備えたものとする。
更に、本発明を実施する場合に好ましくは、上記フィルタ回路を適応フィルタとする。
上述の様に構成する本発明の回転部材の物理量測定装置は、回転部材の回転停止時に、その時点に於けるエンコーダの円周方向位置と円周方向に亙る特性変化に関する誤差成分との関係を記憶手段に記憶させておく事で、上記回転部材が回転を再開するのと同時に、センサの出力信号に対して、適切なフィルタリング処理を施して、この出力信号に含まれた誤差成分を消去する事ができる。この為、回転を再開した直後のデータの信頼性を向上させて、このデータを、例えば発進時のTCS制御等、各種制御に利用する事ができる。
以下に、本発明の実施の形態に就いて説明する。尚、本例の特徴は、回転部材であるハブの回転が停止して、再度回転を始める場合にも、この回転を始めると同時に適切なフィルタリング処理を施す事ができる様に、フィルタ回路の構成を工夫した点にある。この本例の特徴となる部分以外の構造及び作用は、前記図2〜4に示した従来構造と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。又、本例の構造を説明するのに必要な場合は、上記図2〜4を参照する。
本例の場合には、回転部材である、車輪支持用転がり軸受ユニット1(図2参照)を構成するハブ3の回転停止時に、その時点に於けるエンコーダ8の円周方向位置(回転開始位置を基準位置として、この基準位置からのパルス数、回転角度等)と、上記ハブ3に対する、このエンコーダ8の組み付け誤差に基づく振れ回り等の回転1次成分の誤差成分{適応フィルタ11(図4参照)を構成するフィルタ係数列W(上記エンコーダ8の1回転のパルス数と同数のフィルタ係数wにより構成される)}との関係を、図示しないメモリ等の記憶手段に記憶する。そして、上記ハブ3が回転を再開するのと同時に、この記憶手段に記憶した、上記円周方向位置と誤差成分との関係に基づいて、上記適応フィルタ11によるフィルタリング処理を開始する。
この様な本例の場合、回転部材である上記ハブ3の回転が停止して、再度回転を始める場合に、上記記憶手段に記憶しておいた、上記エンコーダ8の回転が停止した時点の円周方向位置に対応した適切な値を、上記適応フィルタ11を構成するフィルタ係数列Wに設定した状態で、フィルタリング処理を開始する事ができる。この為、上記ハブ3が再度回転を開始した直後の両センサ9、9の出力信号(一方のセンサ9の出力信号と他方のセンサ9の出力信号との位相差)から、上記エンコーダ8の組み付け誤差に基づく振れ回り等の回転1次成分の誤差成分を有効に低減する事ができ、制御に用いるデータの信頼性を向上する事ができる。この理由に就いて、以下に説明する。尚、上記適応フィルタ11の学習アルゴリズム等に就いては、前記特許文献1に詳しく記載されている為、省略する。
上記適応フィルタ11のキャンセル信号y(図4参照)は、上記特許文献1に記載されている様に、参照信号xとこの適応フィルタ11を構成するフィルタ係数列Wとにより、以下の式(1)により、一意に決定される。
Figure 0005262441
上記(1)式中、kは時系列データのデータ番号、Nは上記適応フィルタ11としているFIRフィルタのタップ数である。又、wはFIRフィルタのフィルタ係数列Wを構成するフィルタ係数を表し、wkはk番目のデータ処理をする場合に使用するフィルタ係数を表している。
又、上記適応フィルタ11に入力する上記参照信号xは、同じく上記特許文献1に記載されている様に、前記エンコーダ8の振れ回り等に代表される、このエンコーダ8の回転n次(nは正の整数)成分と相関性のある信号であれば良いので、このエンコーダ8の1回転当り1インパルス信号でも構わない。そこで、本例でも、上記参照信号xが1インパルス信号であると同時に、上記適応フィルタのタップ数Nが、上記エンコーダの1回転当りのパルス数と等しい参照信号xを使用する。この場合、時系列kの瞬間に計算に使用する参照信号xは、次の(2)式で表される。
Figure 0005262441
この(2)式で、上記参照信号xが値1のインパルスとなる位置jは、時系列kが進んでいくのに従って右側に1個ずつずれて行き、一番右側の「N−1」番目までずれると、次の時系列では、新たなインパルス値が一番左の0番目に表れる事になる。即ち、上記参照信号xは、値1のインパルスの位置を0番目からN−1番目まで巡回させただけのデータ列となる。この(2)式を、前述の(1)式に当て嵌めると、次の(3)式を得られる。
Figure 0005262441
上記式(3)から分かる様に、上記式(2)の様な参照信号xを用いると、上記適応フィルタ11は、時系列kの瞬間の上記エンコーダ8の円周方向位置{上記基準位置からj番目のパルス(これに相当する角度)に対応した位置}に於ける、上記誤差成分を消去するキャンセル信号y(k)として、上記フィルタ係数列Wのj番目のフィルタ係数wk(j)を出力する。つまり、上記エンコーダ8の円周方向位置とこのフィルタ係数列Wを構成する各フィルタ係数wとは1対1で対応する。この為、前記ハブ3の回転が停止した時点の、上記エンコーダ8の円周方向位置が、上記基準位置から何番目のパルス(これに相当する角度)に位置しているかを記憶しておき、上記ハブ3が回転を再開した際に、この記憶した円周方向位置に対応する上記フィルタ係数列Wのフィルタ係数wを出力できる様に、このフィルタ係数列Wを再構成(フィルタ係数の並び替え程度の処理)すれば、回転を再開した瞬間から上記適応フィルタ11による適切なフィルタリング処理を開始する事ができる。
図1は、前記図5の(A)に示した信号に対して、本例の構成の適応フィルタ11によりフィルタリング処理を施した結果を示している。この図1の結果から、上記ハブ3の回転が再開した瞬間から、上記適応フィルタ11のフィルタリング処理により、回転1次の誤差成分を低減できている事が分かる。フィルタリング処理後の信号には、若干の高周波ノイズが残っているが、この高周波ノイズは、ローパスフィルタにより容易に、且つ、実用上問題となる様な応答遅れを生じさせずに低減できるので、特に問題とはならない。尚、回転を再開した際には、上記基準位置をこの回転を再開した円周方向位置に更新する。
尚、上述した様な本例の構成の場合、電源がOFFからONになり、最初に上記ハブ3が回転した際には、上記適応フィルタ11のフィルタ系数列Wに適切な値を設定する事ができない。この為、前述した特許文献1に記載された構造と同様に、上記適応フィルタ11のキャンセル信号yが収束するまで(この適応フィルタ11の自己学習が十分に進むまで)の間のデータは、信頼性が低く、制御等には使用できない。尚、電源OFF後も記憶手段に前記関係を記憶しておく事も考えられるが、OFF状態のまま車両が動く事も考えられ、その場合に、ON後の制御の信頼性を確保できないので、好ましくない。
又、位相差を検出する為には、上記特許文献1に記載された構造と同様に、複数パルスのエッジからエッジまでの時間計測をしなければならないが、演算に用いるCPUの性能上の制約から、無限に長い時間の計測はできない。従って、前記ハブ3の回転速度が或る一定の速度より小さくなったり、或いは回転が停止すると、演算を中止せざるを得ない。但し、上記エンコーダ8のパルスのエッジ認識だけは、電源がOFFにならない限り継続する事ができるので、このエンコーダ8の円周方向位置を認識する事はできる。この様に、回転速度が極低速の場合にも、このエンコーダ8の円周方向位置を認識し続けて、このエンコーダ8の回転が完全に停止した瞬間の円周方向位置を記憶する様にする。又、このエンコーダ8の回転が停止した後に、上記演算を再開できない程度の低速で、このエンコーダ8が回転を始めてしまった場合にも、上記円周方向位置の認識を行う様にする。
又、上記エンコーダ8の回転方向が正逆のどちらもあり得る場合は、円周方向位置の認識だけでなく、例えば、AB2相式のインクリメンタル方式を用いたロータリーエンコーダ等により、回転方向も認識する様にする事で対応できる。この場合も、これら円周方向位置及び回転方向の情報に基づいて、適切な値を前記適応フィルタ11のフィルタ係数列Wに設定して、本例と同様の作用効果を得る事ができる。又、上記エンコーダ8の円周方向位置の認識方法は、本例の様に上記基準値からの相対的な位置認識方法に限らず、絶対的な位置を認識する方法を用いる事もできる。この様な位置認識方法は、用途、精度、コスト等を考慮して設計的に決定すれば良い。
上述した実施例では、上記式(2)に示す様なデータを参照信号xとしたが、この参照信号xは、上記特許文献1に記載されている様に、前記誤差成分dnと相関のある信号であれば良い。例えば、上記エンコーダ8の振れ回りの影響が、回転1次が主成分の波形であり、このエンコーダ8が、1回転当りNパルスのものであれば、N個のデータで1周期となる様なサイン波、三角波、鋸波、矩形波、パルス波等を使用できる。この様な参照信号xを使用した場合にも、上述した様に適応フィルタ11のフィルタ係数列Wの再構成により、上記実施の形態と同様の作用効果を得る事ができる。
又、本発明は、前述した特許文献1に記載されている従来構造及び実施の形態で説明した様なアキシアル荷重を求める為の構造に限らず、同じく特許文献1に記載されている様な転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を求める為の構造等、回転部材の物理量(回転速度、回転角度、変位量、外力等)を測定する為の各種構造に適用できる。
本発明の実施の形態の1例でフィルタリング処理後の出力信号を示す線図。 従来構造の1例を示す、車輪支持用転がり軸受ユニットの部分断面図。 同じく、エンコーダの斜視図。 同じく、センサの出力信号に基づくデータをフィルタリング処理する適応フィルタのブロック図。 同じく、誤差成分を含んだセンサの出力信号を示す線図(A)と、センサの出力信号に対して、適応フィルタによりフィルタリング処理を施した信号を示す線図(B)。
符号の説明
1 転がり軸受ユニット
2 外輪
3 ハブ
4 外輪軌道
5 内輪軌道
6 転動体
7 荷重測定装置
8 エンコーダ
9 センサ
10 被検出面
11 適応フィルタ

Claims (1)

  1. 回転部材の一部にこの回転部材と同心に支持固定された、被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダと、
    その検出部をこの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるセンサと、
    このセンサの出力信号にフィルタリング処理を施すフィルタ回路と、
    このフィルタ回路によりフィルタリング処理を施された上記出力信号に基づいて、上記回転部材に関する物理量を算出する演算器とを備え、
    上記フィルタ回路は、この出力信号の変動のうち、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく誤差成分を消去するものであり、
    上記演算器は、上記フィルタ回路によりフィルタリング処理を施された、上記出力信号が変化するパターンに基づいて、上記物理量を算出する機能を有するものである回転部材の物理量測定装置に於いて、
    上記フィルタ回路を構成する適応フィルタのフィルタ係数列が、上記被検出面の円周方向に亙る特性変化に関する誤差に基づく誤差成分と対応すると共に、上記エンコーダの円周方向位置と、上記フィルタ係数列を構成する各フィルタ係数とが1対1で対応しており、
    電源がOFFにならない限り、上記エンコーダの円周方向位置を認識し続けると共に、上記回転部材の回転停止時に、その時点に於ける上記エンコーダの円周方向位置と円周方向に亙る特性変化に関する誤差成分との関係を記憶手段に記憶させておき、上記回転部材回転を再開するのと同時に、この記憶手段に記憶させておいた上記関係に基づいて、認識している上記エンコーダの円周方向位置に対応した適切な値を、上記フィルタ係数列に設定した状態で、上記フィルタリング処理を開始する事を特徴とする回転部材の物理量測定装置。
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