JP2022030230A - 荷重推定方法、推定装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

荷重推定方法、推定装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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航也 吉田
Kouya Yoshida
寛 須増
Hiroshi Sumasu
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Abstract

Figure 2022030230000001
【課題】ラジアル荷重の推定値を精度よく求めることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明は、鉄道車両Sに搭載された出力軸12を支持する転がり軸受26のラジアル荷重の推定値を求める荷重推定方法であり、外輪42に設けられたひずみセンサ32の出力に基づいてラジアル荷重の推定値を求める推定値取得工程と、鉄道車両Sの移動に応じて転がり軸受26に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、鉄道車両Sの移動状態を検出する移動検出センサ34の出力に基づいて求める慣性荷重取得工程と、慣性荷重の値を用いて推定値を補正する補正工程と、を含む。
【選択図】 図6

Description

本発明は、転がり軸受の荷重推定方法、推定装置、及びコンピュータプログラムに関する。
特許文献1には、ひずみセンサを外輪に取り付け、外輪のひずみを実稼働状態で検出するセンサ付き軸受が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、上記センサ付き軸受を用いて回転シャフトを支持する場合、ひずみセンサは、回転シャフトからの入力によって外輪に生じるひずみを検出することができる。センサ付き軸受によれば、ひずみセンサにより検出される外輪のひずみに基づいて、実稼働状態における軸受に作用するラジアル荷重等を監視することができる。
特開2017-44312号公報
例えば、上記センサ付き軸受が車両等の移動体に搭載された水平に延びる回転軸を支持する場合、ひずみセンサによって検出される軸受のラジアル荷重には、重力に対して回転軸を支持することにより軸受に作用する荷重成分の他、移動体の加減速といった移動状態に応じて軸受に生じる慣性力に基づく荷重の成分が含まれる。
慣性力に基づく荷重の成分は、移動体の移動状態によって大きく変動する。
一方、重力に対して回転軸を支持することにより軸受に作用する荷重成分は、軸受の状態や寿命を評価するために用いられる値であり、移動体の移動状態といった外的要因によって大きく変動することはない。
このため、ひずみセンサによって検出されるラジアル荷重を用いて軸受の状態や寿命を評価しようとする場合、慣性力に基づく荷重の成分は、重力に対して回転軸を支持することによる荷重成分に重畳されるノイズと言える。
軸受の状態や寿命を評価する上で、ラジアル荷重を精度よく把握することは重要であり、このようなノイズが重畳されることは好ましくない。
(1)本発明に係る荷重推定方法は、
移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める荷重推定方法であって、
前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
前記外輪に設けられたひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得工程と、
前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得工程と、
前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正工程と、を含む。
上記構成の荷重推定方法によれば、補正工程によって、ひずみセンサの出力に基づいたラジアル荷重の推定値から、ノイズとなる慣性荷重の値を除く補正を行うことができる。この結果、ラジアル荷重の推定値を精度よく求めることができる。
なお、慣性荷重とは、移動体の加減速や旋回等の移動状態に応じて転がり軸受に生じる慣性力に基づく荷重をいう。
(2)上記荷重推定方法において、
前記補正工程では、前記慣性荷重の値のうち、前記転がり軸受を軸方向から見たときに前記回転軸の中心軸から径方向前記ひずみセンサへ向く方向の荷重成分を求め、前記推定値から前記荷重成分を除くことで前記推定値を補正してもよい。
この場合、慣性荷重の値のうち、ひずみセンサが検出するひずみによって得ることができるラジアル荷重の方向に沿った荷重成分を求め、この荷重成分を推定値から除くので、より精度よくラジアル荷重の推定値を求めることができる。
(3)また、本発明に係る推定装置は、
移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める推定装置であって、
前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
前記外輪に設けられたひずみセンサと、
前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサと、
前記ひずみセンサの出力及び前記移動検出センサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記ひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得処理と、
前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得処理と、
前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正処理と、を実行する。
上記構成の推定装置によれば、ラジアル荷重の推定値を精度よく求めることができる。
(4)上記推定装置において、
前記処理部は、前記補正処理において、前記慣性荷重の値のうち、前記転がり軸受を軸方向から見たときに前記回転軸の中心軸から径方向前記ひずみセンサへ向く方向に沿う荷重成分を求め、前記推定値から前記荷重成分を除くことで前記推定値を補正してもよい。
この場合、慣性荷重のうち、ひずみセンサによって検出可能な荷重の方向に沿った荷重成分を推定値から除くので、より精度よくラジアル荷重の推定値を求めることができる。
(5)上記推定装置において、
前記回転軸には、他の歯車に噛み合う歯車が前記回転軸に一体回転可能に設けられ、
前記方向は、前記歯車の歯面と前記他の歯車の歯面とが接触したときの前記両歯面の共通法線に対して平行であってもよい。
この場合、歯車同士に荷重が作用することで転がり軸受に加わる荷重が最も大きく作用する周方向の位置にひずみセンサを配置することができる。この結果、歯車に作用する荷重に起因するラジアル荷重を適切に検出することができる。
(6)また、本発明に係るコンピュータプログラムは、
移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める荷重推定処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
コンピュータに
前記外輪に設けられたひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得ステップと、
前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得ステップと、
前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
本発明によれば、ラジアル荷重の推定値を精度よく求めることができる。
図1は、鉄道車両の台車の平面図である。 図2は、電動機10の内部構成を示した図である。 図3は、図2中、III-III線の矢視断面図である。 図4は、小歯車と、大歯車とが噛み合っている部分の拡大図である。 図5は、図3中、ひずみセンサの拡大図である。 図6は、転がり軸受に作用するラジアル荷重を推定する方法の一例を示すフローチャートである。 図7(a)は、処理部が取得するひずみセンサの出力の一例を示すグラフであり、図7(b)は、処理部が取得する移動検出センサの出力の一例を示すグラフである。 図8は、ラジアル荷重データベースの一例を示す図である。 図9は、転がり軸受及び転がり軸受と、回転要素の重心との位置関係を示す平面図である。 図10は、転がり軸受を軸方向から見たときの図であり、図9で示した慣性荷重の値と、ラジアル荷重の推定値との関係を示す図である。 図11は、処理部の構成例を示すブロック図である。 図12は、ジェットコースター用の車両の側面図である。 図13は、ジェットコースター用の車両を後方からみたときの要部を示す図である。 図14は、車両右後側に配置された主車輪部を軸方向車両外方から見たときの転がり軸受の断面図である。 図15は、車両右後側に配置された主車輪部に含まれる一対の転がり軸受の配置を示す図である。 図16は、転がり軸受を軸方向から見たときの図であり、慣性荷重の値と、ラジアル荷重の推定値との関係を示す図である。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態について〕
図1は、鉄道車両の台車の平面図である。
図1中、台車1は、移動体である鉄道車両S10に設けられている。台車1は、鉄道車両S10の車体(図示省略)を下方から支持しつつ軌道上を走行する。台車1は、台車枠2と、一対の輪軸4とを備えている。
一対の輪軸4は、台車枠2に対して回転自在に設けられている。
輪軸4は、車両幅方向に延びる車軸6と、車軸6の両端に車軸6に一体回転可能に設けられた一対の車輪8とを備える。
なお、図1中の矢印Y1は、鉄道車両S10の進行方向を示している。
台車1は、一対の輪軸4を回転駆動するための一対の電動機10をさらに備える。一対の電動機10は、台車枠2が有するブラケット(図示省略)等に固定されている。
電動機10の出力軸12は、車軸6に平行である。出力軸12の先端には、小歯車14が出力軸12に同心かつ一体回転可能に設けられている。
小歯車14は、平歯車であり、車軸6に設けられた大歯車16に噛み合わされている。
小歯車14に噛み合う大歯車16も平歯車である。大歯車16は、車軸6に一体回転可能に設けられている。よって、電動機10の出力軸12から出力される回転力は、小歯車14及び大歯車16を介して輪軸4に伝達される。これにより、電動機10は、輪軸4を駆動する。
図2は、電動機10の内部構成を示した図である。図2中、電動機10は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたロータ22とを備える。ロータ22は、出力軸12(回転軸)に同心かつ一体回転可能に設けられている。なお、電動機10は、ハウジング20内にロータ22に対向配置されるステータ(図示省略)も備える。図2では、出力軸12に設けられる主要な構成のみを示しており、詳細な構成については省略して示している。
また、電動機10は、出力軸12を支持する一対の転がり軸受26,28を備える。
一対の転がり軸受26,28は、ロータ22の軸方向両側に配置されている。一対の転がり軸受26,28は、ハウジング20に設けられたブラケット等(図示省略)によってハウジング20内に固定されている。
これにより、一対の転がり軸受26,28は、出力軸12、小歯車14、及びロータ22をハウジング20に対して回転自在に支持する。一対の転がり軸受26,28は、出力軸12が車軸6に対して平行となるように支持する。
ここで、車軸6は、車両幅方向に沿って延びている。よって、車軸6の中心軸6a及びこれに平行な出力軸12の中心軸12aは、車両幅方向に沿って延びており、進行方向(矢印Y1)に交差(直交)している。
なお、本明細書では、鉄道車両Sの進行方向に交差する方向を「車両幅方向」と定義する。また、出力軸12の中心軸12aに沿う方向を「軸方向」と定義する。中心軸12aは、車両幅方向に沿って延びている。よって、「車両幅方向」及び「軸方向」は、図2中の矢印Y2で示される方向となる。「軸方向」には、中心軸12aに平行な方向も含まれる。
また、鉄道車両S10は、転がり軸受26に作用するラジアル荷重の推定値を求める推定装置30を備える。
推定装置30は、転がり軸受26に設けられたひずみセンサ32と、鉄道車両S10の移動状態を検出する移動検出センサ34と、両センサ32,34の出力が与えられる処理部36とを備える。
ひずみセンサ32は、小歯車14側に設けられている転がり軸受26にのみ設けられている。
移動検出センサ34は、移動状態として加速度を検出する加速度センサであり、鉄道車両S10の台車1又は車体に固定され、鉄道車両S10の加速度を検出する。
処理部36は、例えば、CPUや記憶部等を備えたコンピュータであり、ひずみセンサ32及び移動検出センサ34から与えられる出力に基づいて、転がり軸受26に作用するラジアル荷重の推定値を求める機能を有する。
図3は、図2中、III-III線の矢視断面図である。なお、図3では、理解を容易にするため、各部の大きさやその比率等が異なることがある。図3では、転がり軸受26の軸方向中央の断面を示している。
図3では、小歯車14を基準円(ピッチ円)C1及び歯先円C2で示し、大歯車16を基準円(ピッチ円)C3及び歯先円C4で示している。
鉄道車両S10の進行方向は、図3中の矢印Y1の方向である。よって、出力軸12及び小歯車14は、中心軸12a周りに図3中の矢印Y3の方向に回転する。
また、出力軸12による回転力が伝達される大歯車16は、中心軸6a周りに図3中の矢印Y4の方向に回転する。
図3に示すように、転がり軸受26は、内輪40と、外輪42と、複数の転動体44とを備えている。複数の転動体44は玉であり、本実施形態の転がり軸受26は、深溝玉軸受である。
内輪40は、出力軸12に外嵌固定されている。また、外輪42は、ハウジング20(図2)に固定されている。
ひずみセンサ32は、外輪42の外周面42aに設けられている。
ここで、図3中、出力軸12の中心軸12aと、ひずみセンサ32とを通過する直線L1は、小歯車14の歯面と大歯車16の歯面とが接触したときの両歯面の共通法線L2と平行となっている。
言い換えると、ひずみセンサ32は、転がり軸受26を軸方向から見たときに、共通法線L2に対して平行であるとともに中心軸12aを通過する直線L1上に設けられている。
共通法線L2は、小歯車14の基準円C1と、大歯車16の基準円C3との接点T1を通過する。また、共通法線L2は、小歯車14の基礎円(図示省略)、及び、大歯車16の基礎円(図示省略)の両方に接する接線となっている。
出力軸12の中心軸12a、車軸6の中心軸6a、及び接点T1は、中心線L3上に位置する。中心線L3は、中心軸12a及び中心軸6aに直交する直線である。
図4は、小歯車14と、大歯車16とが噛み合っている部分の拡大図である。
図4では、小歯車14の歯14bの歯面14b1と、大歯車16の歯16bの歯面16b1とが、接点T1で接している状態を示している。
このとき、歯面14b1の接線と、歯面16b1の接線とが接線L5で一致する。よって、歯面14b1の法線と、歯面16b1の法線とについても一致する。この法線が両歯面14b1,16b1の共通法線L2となる。
なお、接点T1を通過する、中心線L3と、接線L5とが成す角度が圧力角である。
図5は、図3中、ひずみセンサ32の拡大図である。
転がり軸受26は、電動機10のハウジング20に設けられた環状内周面20aに嵌合固定されている。ひずみセンサ32は、環状内周面20aに設けられた凹部20bと、外周面42aとに囲まれた空間に収容されている。
外輪42の外周面42aに設けられたひずみセンサ32は、直線L1上であって外周面42aと直線L1とが交差する点T2上に配置されている。なお、軸方向におけるひずみセンサ32の位置は、外輪42の内周面に設けられた軌道面42bの軸方向中央に一致する位置とされる。
ひずみセンサ32は、矩形状の板状部材32aと、板状部材32aを外周面42aに接合する接合部材32bと、板状部材32aに設けられたひずみゲージ32cとを備える。
板状部材32aは、鋼板や銅板等の金属製の薄板である。接合部材32bは、板状部材32aの4隅に設けられ、板状部材32aを外周面42aに接合している。
板状部材32a及び接合部材32bは、外輪42の外周面42aに生じるひずみをひずみゲージ32cへ伝える。
ひずみゲージ32cは、ハウジング20の外部に配置される処理部36に接続されており、処理部36に対して外周面42aのひずみを検出した結果を示す出力を与える。ひずみゲージ32cは、例えば、周方向のひずみを検出するように外周面42aに設けられている。
〔第1実施形態におけるラジアル荷重の推定方法について〕
図6は、転がり軸受26に作用するラジアル荷重を推定する方法の一例を示すフローチャートである。
鉄道車両S10の運行中において、処理部36は、ひずみセンサ32及び移動検出センサ34の出力を経時的に取得する(図6中、ステップS1)。
図7(a)は、処理部36が取得するひずみセンサ32の出力の一例を示すグラフである。図7(a)中、横軸は時間、縦軸はひずみセンサ32の出力から得られるひずみ値である。
図7(a)に示すように、処理部36は、ひずみセンサ32の出力を一定期間の間、経時的に取得する。
さらに、処理部36は、一定期間の間におけるひずみセンサ32の出力のうち、最も大きいひずみがあらわれたときのひずみ値(ピーク値)を取得する。
ここで、本実施形態では、図3に示すように、転がり軸受26を軸方向から見たときに、ひずみセンサ32を、両歯面14b1,16b1の共通法線L2に対して平行であるとともに出力軸12の中心軸12aを通過する直線L1上に設けたので、小歯車14の歯14bと大歯車16の歯16bとが接触し両歯車14,16に荷重が作用したときに転がり軸受26に加わる荷重が最も大きく作用する周方向の位置にひずみセンサ32が配置される。これにより、小歯車14に作用する荷重に起因するラジアル荷重を適切に検出することができる。
また、外輪42のひずみを示すひずみセンサ32の出力は、小歯車14と大歯車16との噛み合いのタイミングや、公転する転動体44の周方向の位置によって変動する。
ひずみセンサ32の出力は、両歯車14,16が接触し転がり軸受26に荷重が作用したときに、ひずみセンサ32が設けられた周方向の位置に転動体44が位置していれば、転動体44に作用する荷重が最も大きくなり、かつ、外輪42のひずみが最も大きくなる。
よって、一定期間の間におけるひずみセンサ32の出力のうち、最も大きいひずみがあらわれたときのひずみ値(ピーク値)を取得すれば、小歯車14の歯14bと大歯車16の歯16bとが接触したときであるとともに、ひずみセンサ32が設けられた周方向の位置に転動体44が位置するときのひずみ値を得ることができる。
ひずみセンサ32の出力のピーク値は、両歯車14,16が接触し両歯車14,16に荷重が作用したときに、歯車14に作用する荷重が出力軸12、内輪40、及び転動体44を介して外輪42へ伝達することで生じる外輪42のひずみを示している。つまり、ひずみセンサ32の出力のピーク値が示す外輪42のひずみは、転動体44に作用する転動体荷重と相関がある。転動体荷重とは、内輪40及び外輪42を通じて転動体44に作用する荷重である。
さらに、転動体荷重は、転がり軸受26に作用するラジアル荷重と相関がある。
よって、処理部36は、ひずみセンサ32の出力のピーク値から、転がり軸受26に作用するラジアル荷重の値を求めることができる。
また、処理部36は、ひずみセンサ32の出力の取得と平行して、移動検出センサ34の出力も一定期間の間、経時的に取得する。
図7(b)は、処理部36が取得する移動検出センサ34の出力の一例を示すグラフである。図7(b)中、横軸は時間であり、図7(a)の時間軸と対応している。縦軸は移動検出センサ34の出力から得られる鉄道車両S10の加速度である。
図7(b)に示すように、処理部36は、移動検出センサ34の出力についても一定期間の間、経時的に取得する。
処理部36は、前記一定期間を一単位として、ひずみセンサ32及び移動検出センサ34のセンサ出力を随時取得する。
図6に示すように、両センサ32,34の出力を取得すると、処理部36は、ひずみセンサ32の出力に基づいて転がり軸受26に作用するラジアル荷重の推定値を求める(図6中、ステップS2:推定値取得工程)。
処理部36が有する記憶部には、ひずみセンサ32の出力と、ラジアル荷重との関係を示すラジアル荷重データベースが記憶されている。
処理部36は、このラジアル荷重データベースを参照し、ピーク値に基づいて、ラジアル荷重の推定値を求める。
図8は、ラジアル荷重データベースの一例を示す図である。図8では、ラジアル荷重データベースをグラフとして示している。
図8に示すラジアル荷重データベース46において、横軸はラジアル荷重を示している。また、縦軸はひずみセンサ32の出力のピーク値に相当するひずみ値を示している。
よって、図8中の線図L10は、ピーク値に相当するひずみ値と、ラジアル荷重との関係を示している。
ラジアル荷重データベース46は、両歯車14,16が接触し両歯車14,16に荷重が作用したときに転がり軸受26の外輪42に生じるひずみをCAE(Computer Aided Engineering)等を用いた応力解析によって求めることで得られる。
すなわち、出力軸12、及び転がり軸受26をモデル化し、両歯車14,16が接触し両歯車14,16に荷重が作用したときに出力軸12及び転がり軸受26に作用する荷重と同様の荷重を上記モデルに与え、外輪42のひずみ値(ピーク値に相当するひずみ値)を数値解析によって求める。さらに、ひずみ値を求めたときのラジアル荷重も数値解析によって求める。
上記数値解析では、出力軸12及び転がり軸受26に作用する荷重を想定される所定の範囲内で変化させたときに、変化させた荷重ごとに、ピーク値に相当するひずみ値と、ラジアル荷重とを求める。これによって、ピーク値に相当するひずみ値とラジアル荷重との関係を得ることができ、ラジアル荷重データベース46を得ることができる。
図8に示すように、ピーク値に相当するひずみ値と、ラジアル荷重との間には一定の相関関係がある。ラジアル荷重データベース46は、ピーク値に相当するひずみ値に対応するラジアル荷重を示している。よって、ピーク値を取得すれば、取得したピーク値に対応するラジアル荷重を推定値として取得することができる。
このように、処理部36は、取得したセンサの出力(ピーク値)に基づいたラジアル荷重の推定値を得ることができる。
図6に示すように、ラジアル荷重の推定値を取得すると、処理部36は、次に、転がり軸受26に作用するラジアル方向の慣性荷重値を求める(図6中、ステップS3:慣性荷重取得工程)。
なお、慣性荷重とは、鉄道車両S10の加減速や旋回等の移動状態に応じて転がり軸受26に生じる慣性力に基づく荷重をいう。
慣性荷重値は、転がり軸受26が回転自在に支持する回転要素の質量と、鉄道車両S10の加速度(減速度)とによって定まる。
図2に示すように、電動機10及び転がり軸受26及び転がり軸受28は、鉄道車両S10に固定されている。また、転がり軸受26及び転がり軸受28が回転自在に支持する回転要素としては、主として、電動機10のロータ22、出力軸12、及び小歯車14が挙げられる。
鉄道車両S10が加速又は減速すると、転がり軸受26及び転がり軸受28には、転がり軸受26及び転がり軸受28が支持する回転要素の質量に起因する荷重がラジアル方向に作用する。このときのラジアル方向の荷重の値が慣性荷重値である。
図9は、転がり軸受26及び転がり軸受28と、回転要素の重心G1との位置関係を示す平面図である。
図9において、ロータ22、出力軸12、及び小歯車14を含む回転要素の重心G1は、回転要素の回転中心である出力軸12の中心軸12a上に位置している。なお、図9では、回転要素に含まれるロータ22、出力軸12、及び小歯車14を省略して示している。
ここで、鉄道車両S10が矢印Y1の方向(進行方向)に沿って紙面右側の方向へ移動し加速度a1で加速したとき、転がり軸受26及び転がり軸受28には、図9に示すように進行方向とは反対向きに慣性荷重Fa及び慣性荷重Fbが作用する。
慣性荷重Faは、中心線L20に沿う方向に生じる。中心線L20は、上述したように、転がり軸受26の軸方向中心を通過しかつ中心軸12aに直交する水平線である。
慣性荷重Fbは、転がり軸受28の中心線L22に沿う方向に生じる。中心線L22は、転がり軸受28の軸方向中心を通過しかつ中心軸12aに直交する水平線である。
ロータ22、出力軸12、及び小歯車14を含む回転要素の質量をm1、重心G1から転がり軸受26までの中心軸12a上の距離をW1、重心G1から転がり軸受28までの中心軸12a上の距離をW2とすると、慣性荷重Fa及び慣性荷重Fbの値(慣性荷重値)は、下記式(1),(2)のように表すことができる。
慣性荷重Fa=(W2/(W1+W2))×m1×a1 ・・・(1)
慣性荷重Fb=(W1/(W1+W2))×m1×a1 ・・・(2)
ロータ22、出力軸12、及び小歯車14を含む回転要素の質量m1は、処理部36の記憶部に予め記憶される。
よって、処理部36は、ひずみセンサ32の出力とともに取得した移動検出センサ34の出力から得られる鉄道車両S10の加速度を用いて、転がり軸受26に作用する慣性荷重Faの値を求めることができる。
このとき、処理部36は、ひずみセンサ32の出力のなかから取得したピーク値に対応するタイミングにおける鉄道車両S10の加速度を取得し、これを用いて慣性荷重Faの値を求める。これにより、ピーク値に対する鉄道車両S10の慣性荷重Faの値を求めることができる。
このように、本実施形態の処理部36は、鉄道車両S10が加減速したときに生じる慣性荷重Faの値を求めることができる。
なお、処理部36は、ピーク値に対応するタイミングにおける慣性荷重Faの値を求める。
処理部36は、図6に示すように、慣性荷重Faの値を求めると、ラジアル荷重の推定値を補正する(図6中、ステップS4:補正工程)。
処理部36は、慣性荷重Faの値を用いて、図6中のステップS2で求めたラジアル荷重の推定値を補正する。
処理部36は、慣性荷重Faのうち、直線L1に沿う方向の荷重成分を求め、ラジアル荷重の推定値から直線L1に沿う方向の荷重成分を除くことでラジアル荷重の推定値を補正し、補正推定値を得る。
図10は、転がり軸受26を軸方向から見たときの図であり、図9で示した慣性荷重Faの値と、ラジアル荷重の推定値との関係を示す図である。
図10中、ラジアル荷重の推定値は、ひずみセンサ32による出力に基づいて推定される。よって、ラジアル荷重の推定値は、中心軸12a及びひずみセンサ32を通過する直線L1に沿って表される。
また、慣性荷重Faは、上述したように、図9中の中心線L20に沿った方向に生じる。よって、図10において、慣性荷重Faの値は、中心線L3に沿って表される。なお、中心線L3は、上述したように、中心軸12a及び中心軸6aに直交する直線である。
ここで、図10に示すように、慣性荷重Faを直線L1に沿った方向と、直線L1に直交する直線L25に沿った方向とに分解することで、慣性荷重Faのうち、直線L1に沿った方向の荷重成分Faaを求めることができる。
処理部36は、図10に示すように、慣性荷重Faの値のうち、直線L1に沿った方向の荷重成分Faaを求める。
荷重成分Faaを求めると、処理部36は、ラジアル荷重の推定値から荷重成分Faaの値を除くことで、ラジアル荷重の推定値を補正し、補正推定値を求める。
補正推定値を求めると、処理部36は、この補正推定値をラジアル荷重の推定値として出力し(図6中、ステップS5)、再度、図6のステップS1に戻る。
上記構成によれば、ラジアル荷重の推定値を求める際に、ひずみセンサ32の出力に基づいたラジアル荷重の推定値から、ノイズとなる慣性荷重の値を除く補正を行うことができる。この結果、ラジアル荷重の推定値を精度よく求めることができる。
また、本実施形態では、慣性荷重Faのうち、転がり軸受26を軸方向から見たときに出力軸12の中心軸12aから径方向ひずみセンサ32へ向く方向(直線L1に沿う方向)に沿う荷重成分Faaを求め、ラジアル荷重の推定値から荷重成分Faaを除くことで補正推定値を求めた。これにより、慣性荷重Faのうち、ひずみセンサ32が検出するひずみによって得ることができるラジアル荷重の方向に沿った荷重成分を求め、この荷重成分を推定値から除くことができ、より精度よくラジアル荷重の推定値を求めることができる。
〔処理部の構成について〕
図11は、処理部36の構成例を示すブロック図である。
図11に示す処理部36は、CPU(Central Processing Unit)等からなる演算部や、メモリやハードディスクからなる記憶部、入出力部等を備えたコンピュータである。処理部36には。上述のように、ひずみセンサ32及び移動検出センサ34が接続されている。
処理部36が有する記憶部には、演算部が実行するためのコンピュータプログラム等が記憶されている。記憶部に記録された前記コンピュータプログラムを演算部が実行することで、処理部36が有する後述の各機能部を実現する。
処理部36は、推定値取得部36aと、慣性荷重取得部36bと、補正処理部36cとを実行する機能部を有する。
また、処理部36は、上述のラジアル荷重データベース46を記憶部に記憶することで有する。
推定値取得部36aは、外輪42に設けられたひずみセンサ32の出力に基づいて転がり軸受26に作用するラジアル荷重の推定値を求める処理(図6中、ステップS2)を実行する機能を有する。
また、慣性荷重取得部36bは、鉄道車両S10(移動体)の加減速に応じて転がり軸受26に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、移動検出センサ34の出力に基づいて求める処理(図6中、ステップS3)を実行する機能を有する。
補正処理部36cは、慣性荷重取得部36bが求めた慣性荷重の値を用いて推定値取得部36aが取得したラジアル荷重の推定値を補正する処理(図6中、ステップS4)を実行する機能を有する。
処理部36は、補正後の推定値(補正推定値)を求めると、この補正後の推定値をラジアル荷重の推定値として入出力部から出力する(図6中、ステップS5)。
〔第2実施形態について〕
図12は、ジェットコースター用の車両の側面図である。
図12中、ジェットコースター用の車両S12は、軌道50上を図中の矢印Y11の方向に走行する。つまり、矢印Y11は車両S12の進行方向を示している。よって、図12中、進行方向側に向く車両端部が車両前側であり、進行方向の反対側に向く車両端部が車両後側である。
車両S12は、車体52と、4つの車輪機構54とを備えている。4つの車輪機構54は、車体52の前後左右に配置されている。
図13は、ジェットコースター用の車両S12を後方からみたときの要部を示す図である。図13では、車両S12を後方から見たときの車輪機構54を示している。よって、図13中、紙面右側は車両右側であり、紙面左側は車両左側である。
車輪機構54は、車体52を軌道50に沿って走行可能としつつ、車体52を軌道50上に保持する。
図12及び図13に示すように、各車輪機構54は、主車輪部56と、側方車輪部58と、下方車輪部60とを備える。
側方車輪部58は、車軸58aと、車軸58aの両端を支持する一対の転がり軸受58bと、車軸58aに一体回転可能に設けられた側方車輪58cとを備える。一対の転がり軸受58bは、車体52に設けられたブラケット52aに固定されている。一対の転がり軸受58bは、側方車輪58cを回転可能に支持する。一対の転がり軸受58bに支持された側方車輪58cは、軌道50を構成するレール50aの側方に接した状態で回転可能である。よって、側方車輪58cは、レール50aの表面を転走可能である。
下方車輪部60は、車軸60aと、車軸60aの一端を支持する転がり軸受60bと、車軸60aに一体回転可能に設けられた下方車輪60cとを備える。転がり軸受60bは、車体52のブラケット52aに固定されている。転がり軸受60bは、下方車輪60cを回転可能に支持する。転がり軸受60bに支持された下方車輪60cは、レール50aの下側に接した状態で回転可能である。よって、下方車輪60cは、レール50aの表面を転走可能である。
主車輪部56は、車軸66(回転軸)と、車軸66の両端を支持する一対の転がり軸受68と、車軸66に一体回転可能に設けられた主車輪70とを備える。一対の転がり軸受68は、車体52に固定されている。一対の転がり軸受68は、主車輪70を回転可能に支持する。一対の転がり軸受68に支持された主車輪70は、レール50aの上側に接した状態で回転可能である。よって、主車輪70は、レール50aの表面を転走可能である。
なお、以下の説明では、図13中矢印Y12で示す、車軸66の中心軸66aに沿う方向を「軸方向」と定義する。「軸方向」には、中心軸66aに平行な方向も含まれる。
このように車輪機構54が有する主車輪部56、側方車輪部58、及び下方車輪部60は、レール50aの表面に接した状態で転走可能である。これにより車輪機構54は、車体52を軌道50に沿って走行可能としつつ、車体52を軌道50上に保持する。
また、車両S12は、第1実施形態にて示した鉄道車両S10と同様、推定装置30を備える。
推定装置30が有するひずみセンサ32は、車両右側前後に配置された主車輪部56が有する一対の転がり軸受68のうちの一方に設けられている。また、推定装置30が有する移動検出センサ34、及び処理部36は、車体52に固定されている。
本実施形態の移動検出センサ34は、速度センサであり、車両S12の速度を検出する。
図14は、車両右後側に配置された主車輪部56を軸方向車両外方から見たときの転がり軸受68の断面図である。なお、ここでは、車両右後側に配置された主車輪部56の転がり軸受68について説明するが、車両右前側に配置された主車輪部56の転がり軸受68も同様の構成である。また、図14では、理解を容易にするため、各部の大きさやその比率等が異なることがある。
図14に示すように、転がり軸受68は、内輪74と、外輪76と、複数の転動体78とを備えている。複数の転動体78は玉であり、転がり軸受68は、深溝玉軸受である。
内輪74は、車軸66に外嵌固定されている。また、外輪76は、車体52に設けられた環状内周面(図示省略)に嵌合固定されている。
ひずみセンサ32は、外輪76の外周面76aに設けられている。ひずみセンサ32は、車軸66の中心軸66aを通過するとともに車両S12の上下方向に沿った直線L30上に設けられている。なお、直線L30は、車両S12を軸方向から見たときに、車両前側の車軸66の中心軸66aと、車両後側の車軸66の中心軸66aとを通過する直線L31に直交する。
ひずみセンサ32は、第1実施形態と同様の構成であり、板状部材32aと、接合部材32bと、ひずみゲージ32cとを備える(図5参照)。
ひずみセンサ32は、車体52側の環状内周面に設けられた凹部(図示省略)と、外周面76aとの囲まれた空間に収容されている。
〔第2実施形態におけるラジアル荷重の推定方法について〕
本実施形態では、主車輪70を支持する転がり軸受68に作用するラジアル荷重の推定値を求める。
本実施形態における転がり軸受68のラジアル荷重の推定方法は、第1実施形態と同様、図6に示すフローチャートに従って行われる。
車両S12の運行中において、処理部36は、ひずみセンサ32及び移動検出センサ34の出力を経時的に取得する(図6中、ステップS1)。
処理部36は、一定期間の間におけるひずみセンサ32の出力のうち、最も大きいひずみがあらわれたときのひずみ値(ピーク値)を取得する。
また、処理部36は、ひずみセンサ32の出力の取得と平行して、移動検出センサ34の出力も一定期間の間、経時的に取得する。
両センサ32,34の出力を取得すると、処理部36は、ひずみセンサ32の出力に基づいて転がり軸受68に作用するラジアル荷重の推定値を求める(図6中、ステップS2)。
ラジアル荷重の推定値を取得すると、処理部36は、次に、転がり軸受68に作用するラジアル方向の慣性荷重値を求める(図6中、ステップS3)。
本実施形態では、ひずみセンサ32は、外輪76の外周面76aにおける、車両S12の上下方向に沿った直線L30上に設けられている(図14)。つまり、ひずみセンサ32は直線L30に沿ったラジアル荷重によるひずみを検出する。よって、ひずみセンサ32の出力には、車両S12の加減速に伴って転がり軸受68に作用する慣性荷重は反映されない。
その一方、ひずみセンサ32の出力には、車両S12がカーブを走行し遠心力が作用したときに転がり軸受68に生じるラジアル方向の荷重が含まれる。
一対の転がり軸受68は、主として、主車輪70及び車軸66を回転可能に支持する。
車両S12がカーブを走行すると、一対の転がり軸受68が支持する主車輪70や、車軸66に遠心力が作用し、転がり軸受68にはアキシャル方向の荷重が作用する。さらに、このアキシャル荷重に起因して転がり軸受68にはラジアル方向の荷重が生じる。
そこで、本実施形態の処理部36は、車両S12がカーブを走行することで旋回し遠心力が作用したときに生じるラジアル方向の荷重を慣性荷重Faとして求める。
図15は、車両右後側に配置された主車輪部56に含まれる一対の転がり軸受68の配置を示す図であり、(a)は遠心力を示している。図15は、車両S12の後方側からみたときの一対の転がり軸受68の配置を示している。
図15において、一対の転がり軸受68が支持する車軸66及び主車輪70の重心G2は、車軸66及び主車輪70の回転中心である車軸66の中心軸66aに位置している。なお、図15では、車軸66及び主車輪70を省略して示している。
例えば、図15において、車両S12が左カーブを走行すると、車軸66及び主車輪70には、車両右側へ向かう方向に沿って遠心力Frが作用する。
車軸66及び主車輪70の質量をm2、車両S12の速度をv、カーブの半径をrとすると、遠心力Frは、下記式(3)のように表すことができる。
遠心力Fr=(m2×v)/r ・・・(3)
車軸66及び主車輪70の質量m2は、処理部36の記憶部に予め記憶される。車両S12の速度vは、移動検出センサ34によって取得される。カーブの半径rも、処理部36の記憶部に予め記憶される。例えば、処理部36は、車両S12が走行開始してからの経過時間によって直線区間とカーブ区間を識別する。処理部36は、カーブ区間ごとにカーブの半径rを対応付けて記憶しており、経過時間に応じたカーブの半径rを参照することで、必要なカーブの半径rを取得することができる。
つまり、本実施形態では、車両S12の移動状態であるカーブ区間の走行を、移動検出センサ34と車両S12が走行開始してからの経過時間を計時するためのタイマとを用いて検出する。
なお、処理部36は、直線区間では、慣性荷重Faを「0」に設定する。これにより、処理部36は、直線区間においては、ラジアル荷重の推定値の補正処理を実質的に行わない。つまり、処理部36は、車両S2がカーブ区間を走行し車両S2が旋回する際に補正処理を行う。
さらに、処理部36は、下記式(4)に示すように、主車輪70と、レール50aとの間の摩擦力を遠心力Frから減算し、一対の転がり軸受68に作用するアキシャル荷重F’を求める。
アキシャル荷重Fr’=μ×Fs ・・・(4)
なお、式(4)中、μは主車輪70とレール50aとの間の摩擦係数、Fsは、処理部36がステップS2で求めたラジアル荷重の推定値である。
車軸66及び主車輪70の重心G2から両転がり軸受68までの中心軸66a上の距離がともにW3であるとすると、図15(b)で示されている、ひずみセンサ32が設けられている一方の転がり軸受68に作用するアキシャル荷重Fr’a、及び他方の転がり軸受68に作用するアキシャル荷重Fr’bは、下記式(5)のように表される。
アキシャル荷重Fr’a=アキシャル荷重Fr’b=Fr’/2 ・・・(5)
さらに、処理部36は、アキシャル荷重Fr’aに起因して転がり軸受68に生じるラジアル方向の荷重(慣性荷重Fa)を求める。
アキシャル荷重Fr’aに起因して転がり軸受68に生じるラジアル方向の荷重は、転がり軸受68の転動体78がアキシャル荷重Fr’aによってアキシャル方向に押圧され接触角が変化するために生じる。このため、アキシャル荷重Fr’aと、アキシャル荷重Fr’aに起因して転がり軸受68に生じるラジアル方向の荷重とは、相関を有する。
処理部36の記憶部には、アキシャル荷重Fr’aと、慣性荷重Faとを対応付けたデータベースが記憶されている。
処理部36は、アキシャル荷重Fr’aを得ると、このデータベースを参照することで、慣性荷重Faを得ることができる。
以上のようにして、本実施形態の処理部36は、ピーク値に対応するタイミングにおける慣性荷重Faの値を求める。
なお、慣性荷重Faは、転がり軸受68のラジアル方向全周に生じる。
次いで、処理部36は、ラジアル荷重の推定値を補正する(図6中、ステップS4)。
図16は、転がり軸受68を軸方向から見たときの図であり、慣性荷重Faの値と、ラジアル荷重の推定値との関係を示す図である。
図16中、ラジアル荷重の推定値は、ひずみセンサ32による出力に基づいて推定される。よって、ラジアル荷重の推定値は、中心軸66a及びひずみセンサ32を通過する直線L30に沿って表される。
また、慣性荷重Faは、上述したように、転がり軸受68のラジアル方向全周に生じるよって、慣性荷重Faにおける直線L30に沿った方向の荷重成分Faaは、慣性荷重Faとなる。
処理部36は、ラジアル荷重の推定値から荷重成分Faaの値を除くことで、ラジアル荷重の推定値を補正する。処理部36は、ラジアル荷重の推定値から荷重成分Faaの値を除いた補正推定値をラジアル荷重の推定値として出力する。
なお、本実施形態において、処理部36は、上記式(4)において、一対の転がり軸受68に作用するアキシャル荷重F’を求める際に、図6中のステップS2で求めたラジアル荷重の推定値を用いた場合を例示したが、上記式(4)において、補正推定値を用いて一対の転がり軸受68に作用するアキシャル荷重F’を求めてもよい。これにより、より精度よく、ラジアル荷重の推定値(補正推定値)を求めることができる。なお、この場合、処理部36は、補正推定値として得られた値と真値との残差を収束させるように演算を行う。
〔その他〕
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
12 :出力軸 12a :中心軸 14 :小歯車
14b1 :歯面 16 :大歯車 16b1 :歯面
26 :転がり軸受 30 :推定装置 32 :ひずみセンサ
34 :移動検出センサ 36 :処理部 36a :推定値取得部
36b :慣性荷重取得部 36c :補正処理部 40 :内輪
42 :外輪 42a :外周面 42b :軌道面
44 :転動体 66 :車軸 66a :中心軸
68 :転がり軸受 70 :主車輪 74 :内輪
76 :外輪 78 :転動体 L1 :直線
L2 :共通法線 L30 :直線 S10 :鉄道車両
S12 :車両

Claims (6)

  1. 移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める荷重推定方法であって、
    前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
    前記外輪に設けられたひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得工程と、
    前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得工程と、
    前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正工程と、を含む
    荷重推定方法。
  2. 前記補正工程では、前記慣性荷重の値のうち、前記転がり軸受を軸方向から見たときに前記回転軸の中心軸から径方向前記ひずみセンサへ向く方向の荷重成分を求め、前記推定値から前記荷重成分を除くことで前記推定値を補正する
    請求項1に記載の荷重推定方法。
  3. 移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める推定装置であって、
    前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
    前記外輪に設けられたひずみセンサと、
    前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサと、
    前記ひずみセンサの出力及び前記移動検出センサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める処理部と、を備え、
    前記処理部は、
    前記ひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得処理と、
    前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得処理と、
    前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正処理と、を実行する
    推定装置。
  4. 前記処理部は、前記補正処理において、前記慣性荷重の値のうち、前記転がり軸受を軸方向から見たときに前記回転軸の中心軸から径方向前記ひずみセンサへ向く方向に沿う荷重成分を求め、前記推定値から前記荷重成分を除くことで前記推定値を補正する
    請求項3に記載の推定装置。
  5. 前記回転軸には、他の歯車に噛み合う歯車が前記回転軸に一体回転可能に設けられ、
    前記方向は、前記歯車の歯面と前記他の歯車の歯面とが接触したときの前記両歯面の共通法線に対して平行である
    請求項4に記載の推定装置。
  6. 移動体の幅方向に延びる前記移動体に搭載された回転軸を支持する転がり軸受のラジアル荷重の推定値を求める荷重推定処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記転がり軸受は、内輪、外輪、及び内外輪間に介在する複数の転動体を有し、前記回転軸に前記内輪が外嵌されることで、前記回転軸を前記移動体に対して回転自在に支持し、
    コンピュータに
    前記外輪に設けられたひずみセンサの出力に基づいて前記ラジアル荷重の推定値を求める推定値取得ステップと、
    前記移動体の移動に応じて前記転がり軸受に作用するラジアル方向の慣性荷重の値を、前記移動体の移動状態を検出する移動検出センサの出力に基づいて求める慣性荷重取得ステップと、
    前記慣性荷重の値を用いて前記推定値を補正する補正ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラム。
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