JP4862440B2 - 複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置 - Google Patents

複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置 Download PDF

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Description

この発明に係る複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置は、複列転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与されている予圧の適否を知る為に使用する。この複列転がり軸受ユニットとしては、予圧の適否が性能に影響を及ぼす、各種機械装置の回転支持部に組み込まれたものが対象となる。例えば、自動車の車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用複列転がり軸受ユニット、マシニングセンタ等の各種工作機械の主軸等を回転自在に支持する為の複列転がり軸受ユニット、印刷機や圧延機等の各種産業機械のドラム等を回転自在に支持する為の複列転がり軸受ユニットが対象となり得る。
支持剛性を必要とする各種回転部分に組み込まれる転がり軸受ユニットとして、各転動体に予圧を付与した複列転がり軸受ユニットが広く使用されている。この様な予圧を付与した複列転がり軸受ユニットに十分な性能を発揮させる為には、この予圧の値を適正範囲に規制する事が重要である。この予圧の値が不足した場合には、上記複列転がり軸受ユニットの剛性が不足し、各種機械装置の運転時に振動が発生し易くなる。これに対して、上記予圧の値が過大である場合には、上記複列転がり軸受ユニット内部の転がり接触部の面圧が過大になり、この複列転がり軸受ユニットの動トルクが大きくなって、上記各種機械装置の性能が悪化するだけでなく、上記転がり接触部を構成する各面(軌道面及び転動面)の転がり疲れ寿命が低下する。
この為に従来から、例えば特許文献1、2に記載された様な方法により、複列転がり軸受ユニットを構成する各転動体に適正な予圧を付与する様にしている。但し、上記特許文献1、2に記載される等により従来から知られている予圧の測定方法は、複列転がり軸受ユニットを各種機械装置の回転支持部に組み込む以前に実施する為のものである。言い換えれば、上記従来の測定方法では、この回転支持部に組み込まれた後の、使用状態にある複列転がり軸受ユニットを構成する転動体の予圧を測定する事はできない。
一方、特許文献3には、転動体に予圧を付与した複列転がり軸受ユニットに加わる荷重に基づいてこの転動体の公転速度が変化する事を利用し、この複列転がり軸受ユニットに加わる荷重を求める、転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関する発明が記載されている。又、特願2005−147642号には、転がり軸受ユニットを構成する静止側軌道輪部材と回転側軌道輪部材とが、この転がり軸受ユニットに加わる荷重に基づいて相対変位する事を利用し、この回転側軌道輪部材に支持したエンコーダと上記静止側軌道輪部材に支持したセンサとにより、これら両軌道輪部材同士の間に加わる荷重を求める、転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関する発明(第一の先発明)が開示されている。更に、特願2005−256752号には、転がり軸受ユニットを構成する静止側軌道輪部材の中心軸と回転側軌道輪部材の中心軸とが、この転がり軸受ユニットの中心から外れた位置に加わるアキシアル荷重に基づいて傾斜する事を利用し、上記回転側軌道輪部材に支持したエンコーダと上記静止側軌道輪部材に支持したセンサとにより、これら両軌道輪部材同士の間に加わる荷重を求める、転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関する発明(第二の先発明)が開示されている。上記特許文献3に記載された、或いはこれら第一、第二の先発明に係る、何れの転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合でも、上記転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与されている予圧を正確に把握している事が重要である。この理由は、この予圧が低い程、上記公転速度の変化量、或いは上記両軌道輪同士の相対変位量が多くなり、逆に、上記予圧が高い程、上記公転速度の変化量、或いは上記両軌道輪同士の相対変位量が少なくなる為である。
この様な事情に鑑みて、特願2005−118080号には、実際に懸架装置と車輪との間に組み込まれた状態にある、車輪支持用複列転がり軸受ユニットを構成する転動体の予圧を求める装置に関する発明(第三の先発明)が開示されている。この第三の先発明に係る予圧測定装置は、予圧変化に基づく転動体の公転速度変化を測定し、この公転速度変化に基づいて上記予圧を求めるものである。この様な第三の先発明による予圧測定は、各転動体が、予圧変化に基づく公転速度変化が大きい、玉である場合には有効である。これに対して、転動体が、予圧変化に基づく公転速度変化が小さい、ころ或いは円すいころである場合には、この転動体の予圧に関する測定精度が悪くなる。
特開2001−349327号公報 特開2002−317818号公報 特開2005−31063号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各転動体の公転速度に頼る事なく、これら各転動体に付与されている予圧を求められる複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置は、外径側軌道輪部材と、内径側軌道輪部材と、複数個の転動体と、アキシアル変位測定手段と、傾斜角度測定手段と、予圧算出手段とを備える。
このうちの外径側軌道輪部材は、内周面に複列の外輪軌道を有する。
又、上記内径側軌道輪部材は、外周面に複列の内輪軌道を有する。
又、上記各転動体は、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆方向の接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられている。 又、上記アキシアル変位測定手段は、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材とのアキシアル方向の変位(これら両軌道輪部材の相対変位のうち、これら両軌道輪部材の軸方向の成分のみの純アキシアル変位)を求める為のものである。
又、上記傾斜角度測定手段は、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材との中心軸同士の傾斜角度を求める為のものである。
更に、上記予圧算出手段は、上記アキシアル方向の変位と上記傾斜角度とに基づいて、上記各転動体に付与されている予圧を求めるものである。
具体的に上記予圧算出手段は、例えば請求項2に記載した様に、アキシアル方向の変位と傾斜角度との比較に基づいて予圧を求める。
より具体的には、例えば請求項3に記載した様に、上記予圧算出手段は、アキシアル方向の変位と傾斜角度との比に基づいて予圧を求める。
又、本発明を実施する場合に、具体的には(好ましくは)、請求項4に記載した様に、上記アキシアル変位測定手段と上記傾斜角度測定手段とを、複列転がり軸受に組み込む。 この様な請求項4に記載した構造を実施する場合、より具体的には、例えば請求項5〜6に記載した様に、外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材とのうちの一方の軌道輪部材で、使用時に回転する回転側軌道輪部材の一部に、被検出面である周面の特性を円周方向に関して交互に変化させたエンコーダを、この被検出面を上記回転側軌道輪部材と同心に位置させた状態で装着する。これと共に、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材とのうちの他方の軌道輪部材で、使用時にも回転しない静止側軌道輪部材の一部に支持したセンサの検出部を、上記エンコーダの被検出面に対向させる。
そして、請求項5に記載した構造の場合には、上記エンコーダの周面の特性を円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させると共に、この変化の位相を軸方向に関して漸次変化させる。これと共に、上記センサを複数個設け、これら各センサの検出部を、上記エンコーダの被検出面の互いに異なる部分に対向させる。そして、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段に、上記各センサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいて、アキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める機能を持たせる。
又、請求項6に記載した構造の場合には、上記エンコーダの周面の特性が変化するピッチを、軸方向に関して漸次変化させる。これと共に、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段に、上記センサの出力信号のデューティ比に基づいて、アキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める機能を持たせる。尚、上記特性変化のピッチを変化させるには、被検出面に、台形状若しくはV形状(三角形)の凹凸、或は透孔と柱部とを交互に形成したエンコーダを使用する事が考えられる。更には、同様のパターンでS極とN極とを配置した、永久磁石製のエンコーダを使用する事もできる。
上述の請求項5〜6に記載した構造を実施する場合に、好ましくは、請求項7に記載した様に、複数のセンサを、エンコーダの上端部及び下端部で、被検出面(周面)にそれぞれ対向させる。そして、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段に、上記各センサの出力信号に基づいてアキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める機能を持たせる。
又、上述の請求項5〜7に記載した構造を実施する場合に、好ましくは、請求項8に記載した様に、アキシアル変位測定手段が求めたアキシアル方向の変位と、傾斜角度測定手段が求めた外径側、内径側両軌道輪部材の中心軸同士の傾斜角度とのうちの一方又は双方に基づいて、これら両軌道輪部材同士の間に作用する荷重を求める、荷重算出手段を設ける。
この様な請求項8に記載した構造を実施する場合に、例えば、請求項9に記載した様に、予圧算出手段及び荷重算出手段を含む演算器に、マップにより、アキシアル方向の変位と傾斜角度とのうちの一方又は双方に基づいて両軌道輪部材同士の間に作用する荷重を求める機能を持たせる。更に、上記予圧算出手段及び荷重算出手段を含む演算器に、求めた予圧の値に基づいて上記マップを補正する機能を持たせる。
又、上述の請求項5〜9に記載した構造を実施する場合に、請求項10に示す様に、回転側軌道輪部材を、自動車の車輪と共に回転するハブとし、静止側軌道輪部材を、自動車の懸架装置に支持固定されるものとする。
又、上述の請求項9に記載した構造を実施する場合に、例えば請求項11に記載した様に、内径側軌道輪部材を、自動車の車輪と共に回転する、外周面に複列の内輪軌道を有するハブとする。又、外径側軌道輪部材を、上記自動車の懸架装置に支持固定された状態で回転しない、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪とする。そして、予圧算出手段に、上記ハブに対し上記自動車の幅方向に関して外側に向いたアキシアル荷重が作用している状態で予圧を求め、更にマップを補正する機能を持たせる。
更に、本発明を実施する場合に、例えば請求項12に記載した様に、温度変化等によるアキシアル方向の変位の影響を除く機能を、予圧算出手段に持たせる事もできる。この場合に、この予圧算出手段は、先ず、アキシアル方向の変位と傾斜角度とのうちの少なくとも一方の状態量に基づいて、外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材との間に作用しているアキシアル荷重を求める。次いで、上記傾斜角度を基準として上記アキシアル方向の変位を補正する。更にこの補正した変位に基づいて、予圧を求める。
上述の様な構成を有する、本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置によれば、各転動体の公転速度に頼る事なく、これら各転動体に付与されている予圧を求められる。この為、これら各転動体が玉である場合は勿論、円筒ころ、円すいころ、球面ころ等の他の転動体である場合も、上記予圧を精度良く求める事ができる。この点に就いて、図1〜7を参照しつつ説明する。
複列転がり軸受ユニットに、回転中心から径方向に外れた位置に加わるアキシアル荷重、或いは、転動体列の中心から外れた位置に加わるラジアル荷重の様な、偏荷重が加わった場合、上記複列転がり軸受ユニットを構成する、外径側、内径側両軌道輪部材は、それぞれの中心軸同士を傾斜させつつ、荷重の作用方向に相対変位(遠近動)する。例えば、図1に示す様な自動車の車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の場合、旋回走行時等に、車輪(タイヤ)2と路面3との当接部(接地面)からアキシアル荷重が、外径側軌道輪部材4及び内径側軌道輪部材5の中心から径方向に外れた(オフセットした)位置に、偏荷重として加わる。そして、この偏荷重によって、これら両軌道輪部材4、5が、相対変位する。
この場合に於いて、上記アキシアル荷重は上記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に対し、上記両軌道輪部材4、5の軸方向に加わる(純)アキシアル荷重と、これら両軌道輪部材4、5の中心軸同士を傾斜させる力となるモーメントとが合成された荷重(力)として加わる。従って、上記両軌道輪部材4、5同士の間には、(純)アキシアル方向の変位と、中心軸同士の傾斜とが同時に発生する。この様な、荷重及びモーメントに基づく、アキシアル方向の変位及び中心軸同士の傾斜は、上記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1を構成する転動体6、6に付与されている予圧が小さい程著しくなる。即ち、この予圧が低下する程、上記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の剛性が低下し、上記偏荷重に基づく、上記アキシアル方向の変位量及び上記中心軸同士の傾斜角度が大きくなる。逆に、上記予圧が高い程、上記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の剛性も高くなり、上記偏荷重に基づく、上記アキシアル方向の変位量及び上記中心軸同士の傾斜角度が小さくなる。
但し、上記予圧の変化に伴う、上記アキシアル方向変位及び上記傾斜角度の変化量は同じではない。例えば、上記予圧が低下した場合に於ける、上記アキシアル方向変位の増加量と上記傾斜角度の増加量とを比較した場合、アキシアル方向変位の増加量の方が著しくなる。この理由は、上記予圧の作用方向(この予圧を付与する際の押し付け方向)が、上記アキシアル方向と一致している為である。即ち、上記予圧の低下は、そのままアキシアル方向変位の増加に結び付くのに対して、上記傾斜角度の増加にそのままは結び付かない。反対に、上記予圧の上昇は、そのままアキシアル方向変位の低減に結び付くのに対して、上記傾斜角度の低減にそのままは結び付かない。
図2は、上述の図1に示した構造で、車輪2と路面3との接触部(接地面)からアキシアル荷重が加わった場合に発生する、外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間の(純)アキシアル方向変位と傾斜角度との関係を示している。図2のうちの(A)は、上記アキシアル荷重とアキシアル方向変位との関係を、同じく(B)は、このアキシアル荷重と上記傾斜角度との関係を、それぞれ表している。又、(A)(B)に於いて、実線aは、各転動体6、6に付与されている予圧が適正(標準)である場合を、破線bはこの予圧が過小である場合を、鎖線cは同じく過大である場合を、それぞれ示している。図2の(A)に示した実線aと、破線b及び鎖線cとの差(交差角度)と、同じく(B)に示した実線aと、破線b及び鎖線cとの差(交差角度)とを比較すれば明らかな通り、予圧変動を受ける程度は、アキシアル方向変位の方が、傾斜角度に比べて著しい。
これらを勘案すれば、特許請求の範囲の請求項3に記載した様に、アキシアル方向の変位と傾斜角度との比をパラメータとして使用すれば、図3に示す様な関係を求められ、上記接地面に作用しているアキシアル荷重の大きさに関係なく、上記各転動体6、6に付与されている予圧を求められる事が分かる。即ち、アキシアル変位測定手段により上記外径側軌道輪部材4と上記内径側軌道輪部材5とのアキシアル方向変位を、傾斜角度測定手段によりこれら外径側、内径側両軌道輪部材4、5の中心軸同士の傾斜角度を、それぞれ求めてから、上記比を算出する。次いで、この比を上記図3の縦軸に当て嵌めれば、上記各転動体6、6に付与されている予圧を求められる。尚、この図3でも、上記図2と同様に、実線aは、各転動体6、6に付与されている予圧が適正(標準)である場合を、破線bは、この予圧が過小である場合を、鎖線cは、同じく過大である場合を、それぞれ示している。要するに、図2〜3に示した、予圧と、アキシアル方向変位と、傾斜角度との関係から分かる様に、これら三つの要素のうち、アキシアル方向変位と傾斜角度とが分かれば、残りの一つの要素である予圧を求められる。本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置の場合には、上述の様な特性を利用して、複列転がり軸受ユニットを構成する複数の転動体に付与されている予圧を求める。
因に、仮に、アキシアル荷重を、複列転がり軸受ユニット外に設けた別の(予圧による影響を受けずに測定できる)センサ、例えば、図1で外径側軌道輪部材4とナックル7との間に設けて、これら両部材4、7同士の間に加わるアキシアル荷重を測定するロードセル等の荷重センサにより求められれば、図3の縦軸に表した比を求める必要はない。この場合には、図2の(A)(B)の横軸の値が既知となる。この為、上記荷重センサの測定値を図2の(A)又は(B)の横軸に当て嵌めれば、上記複列転がり軸受ユニットを構成する、外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士のアキシアル方向変位又は中心軸同士の傾斜角度(アキシアル方向変位と傾斜角度とのうちの一方)とから、予圧を求められる。この場合には、予圧を求める事に関する限り、アキシアル方向変位と傾斜角度とのうちの他方を測定する必要はなくなる。但し、この様な場合には、上記荷重センサが、この予圧を求める為に必要になる為、部品コスト、組立作業の煩雑化によるコスト増大を招く。これに対して本発明の場合には、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士のアキシアル方向変位及び中心軸同士の傾斜角度を利用して上記予圧を求める為、上記荷重センサは不要になる。
尚、図3は、本発明により、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士のアキシアル方向変位及び中心軸同士の傾斜角度に基づいて、上記各転動体6、6に付与されている予圧を求める際の基本的な考え方を示したものであり、実際の状態とは異なる。そこで、図1に示す様な、車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に関して、実際にシミュレーション計算を行ない、(純)アキシアル方向変位と、傾斜角度と、これら変位と傾斜角度との比と、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間に加わるアキシアル荷重との関係を求めた結果を、図4〜6に示す。これら図4〜6のうち、図4は、予圧の大きさが異なる場合に於ける、前記接地面から入力されるアキシアル荷重と上記傾斜角度との関係を、図5は、同じくこの傾斜角度と上記アキシアル方向変位との関係を、図6は、同じく上記アキシアル荷重と、これらアキシアル方向変位と傾斜角度との比との関係を、それぞれ表している。この様な図4〜6でも、上記図2〜3と同様に、実線aは、各転動体6、6に付与されている予圧が適正(標準)である場合を、破線bはこの予圧が過小である場合を、鎖線cは同じく過大である場合を、それぞれ示している。上記アキシアル方向変位と傾斜角度との比は、上記予圧の大小によって異なるが、この比は、同時に、上記アキシアル荷重によっても変動する。
この様な図4〜6に示した関係から、実際の場合には、上記アキシアル方向変位と傾斜角度との比だけを求めても、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間に加わるアキシアル荷重を求めない限り、上記各転動体6、6に付与されている予圧を求められない事が分かる。これに対して本発明を実施する場合には、上記アキシアル方向変位及び傾斜角度を求めるので、これらアキシアル方向変位又は傾斜角度に基づいて、上記アキシアル荷重を求められる。即ち、本発明を実施する場合には、このアキシアル荷重と、上記アキシアル方向変位と傾斜角度との比とを同時に求められるので、上記図4〜6に示した関係に拘らず、上記予圧を求められる。
尚、本発明により上記各転動体6、6に付与されている予圧を求める目的の一つは、上記アキシアル方向変位又は傾斜角度に基づく、上記アキシアル荷重の算出を正確に行なう為、これらアキシアル方向変位又は傾斜角度とアキシアル荷重との関係(零点及びゲインを含む関係式、或いはマップ)を補正する点にある。従って、上記予圧を求める為に、この予圧を勘案した(予圧により変化する、関係式或いはマップを利用して求めた)アキシアル荷重を使用する事は、一見矛盾している様に見える。但し、実際には、衝突事故等により車輪支持用複列転がり軸受ユニット1が破損した場合等、極端な場合を除き、上記アキシアル荷重を使用して上記予圧を求める理論は成立する。この理由は、この予圧が変化(低下)する主な要因は、長期間使用による経年変化であり、変化速度は極く小さい為である。この様に、上記予圧が非常に緩徐に低下するのに対して、この予圧を求める作業、及びこの予圧を利用して上記アキシアル荷重を求める作業は、頻繁に実施する。従って、このアキシアル荷重を算出する際に使用する関係(関係式或いはマップ)は頻繁に補正され、この関係により求められたアキシアル荷重は正確な(走行安定性確保の為に必要とされる精度を確保された)値であると仮定できる。この為、このアキシアル荷重を利用して上記予圧を求める事により、この予圧も正確に求められる。
勿論、上記アキシアル荷重を求める作業、この求めたアキシアル荷重により上記予圧を求める作業、この求めた予圧により上記関係を補正する作業の実施頻度に対して、この予圧が変化する速度が速い場合には、補正精度が問題となる。但し、予圧が経年変化する速度は遅く、前の補正作業から次の補正作業までの間に予圧が低下する程度は殆ど無視できる。従って、上述の様な極端な場合を除き、上記関係の補正に関する誤差は極く僅かであり、上記アキシアル荷重を利用した制御等の精度からして無視できる。逆に、求めた予圧が、経過時間や走行距離を勘案して、異常に速く変化した場合は、車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の温度が異常に上昇して構成各部材の熱膨張が著しくなったか、この車輪支持用複列転がり軸受ユニット1が損傷したか等、何らかの異常が発生したと考えられる。この様な場合は、上記関係の補正を実施しない。そして、必要に応じ、異常が発生した事を運転者やメインコントローラに通知する。
又、本発明を車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に関して実施する場合に、上述した、上記アキシアル荷重を求める作業、この求めたアキシアル荷重により上記予圧を求める作業、この求めた予圧により上記関係を補正する作業は、予め設定しておいたタイミングで行なう。例えば、自動車の走行中常に(短時間毎に)行なったり、走行速度が所定値以下である場合に行なったり、或いは、イグニッションスイッチをOFFした際(直後)に行なったりする。このうち、走行中常に行なう事が、上記補正の関係の頻度を増やし、予圧を正確に把握して、上記アキシアル荷重をより正確に算出する上で好ましいが、この補正を行なう(その前提としてアキシアル荷重及び予圧を求める)CPUの負荷が大きくなる事が避けられない。
一方、前述の請求項5〜7に記載した構造の様に、エンコーダの被検出面の特性変化に対応して変化するセンサの出力信号を情報源として、上記各作業を行なう演算の場合には、走行速度が遅い状態では、単位時間当りに上記出力信号が変化する回数が少なくなり、走行速度が速い場合に比べてCPUの演算に余裕ができる。この様な事情を考慮して、走行速度がこのCPUの処理能力を勘案して予め設定した所定値以下の状態で、上記各作業のうちの、求めたアキシアル荷重により予圧を求める作業、この求めた予圧によりこのアキシアル荷重を算出する際に使用する関係を補正する作業を行なっても良い。更に、上記CPUの負荷をより節約する為に、上記各作業のうち、アキシアル荷重を求める作業と予圧を求める作業とを継続して行ない、この求めた予圧によりこのアキシアル荷重を算出する際に使用する関係を補正する作業を、イグニッションスイッチをOFFした場合にのみ実施しても良い。何れの方法を実施する場合であっても、アキシアル方向変位又は傾斜角度に基づいてアキシアル荷重を算出する為の(予圧の値に影響される)関係を補正する為に利用する情報は、EEPROM等のメモリに記憶しておく。そして、次にイグニッションスイッチをONした場合には、最新の補正された関係を利用して、上記アキシアル方向変位又は傾斜角度に基づく、上記アキシアル荷重の算出を開始する。
以上の説明から明らかな通り、本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置により転動体に付与されている予圧を正確に求める為には、(純)アキシアル方向変位と傾斜角度との検出精度を確保する事が重要となる。この為に、本発明を実施する場合に好ましくは、上記アキシアル方向変位と傾斜角度との検出誤差に結び付く要因を極力少なくする事が好ましい。この検出誤差の要因の一つとして、熱膨張、収縮に伴う、センサやエンコーダのアキシアル方向に関する位置のずれが考えられる。但し、このエンコーダの上下両端部にそれぞれの検出部を対向させた1対のセンサに関しては、上記原因による、アキシアル方向に関する位置のずれの影響は、互いに等しく、それぞれ同じ量だけの誤差が発生すると考えられる。又、外径側、内径側両軌道輪部材4、5の中心軸同士の傾斜角度は、上記エンコーダの上下両端部にそれぞれの検出部を対向させた1対のセンサでそれぞれ測定した、このエンコーダの上端部及び下端部のアキシアル方向変位の差分と比例する。従って、上記中心軸同士の傾斜角度の測定値には、熱膨張、収縮に基づく誤差は入りにくい。一方、外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間の(純)アキシアル方向変位の測定値は、上記エンコーダの上下両端部にそれぞれの検出部を対向させた1対のセンサでそれぞれ測定した、アキシアル方向変位の平均となるので、熱膨張、収縮による誤差の影響を受ける。
これらの事を考慮し、上述の様な原因で上記アキシアル方向変位の測定値に誤差が入り込む事を防止する為に、例えば次の(1) 〜(3) の様にして、このアキシアル荷重を求める。
(1) アキシアル荷重を演算する為の、外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間の相対変位に関する情報は、これら両軌道輪部材4、5の中心軸同士の傾斜角度とする。
(2) 演算したアキシアル荷重が任意の値(例えばゼロ)になった状態での、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間の(純)アキシアル方向変位を記憶しておく。
(3) この状態でのこの(純)アキシアル方向変位を、任意のアキシアル荷重(例えばゼロ)での値とする。
この様にして上記アキシアル荷重を求めれば、熱膨張、収縮によって上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間の(純)アキシアル方向変位がオフセットしてしまっても、熱膨張、収縮による影響を排除した、このアキシアル方向変位(真値)を求められる。そして、前述の図6の縦軸に表した、アキシアル方向変位と傾斜角度との比を正確に求められる。
又、熱膨張、収縮による誤差の影響は、請求項12に記載した構成によってなくす事もできる。この点に就いて、上述の説明と一部重複するが、以下に説明する。予圧の測定作業は、後述する様に、安定してアキシアル荷重が加わる様な状態で行なう事が望ましい。尚、安定したアキシアル荷重が加わる状態でも、複列転がり軸受ユニットの温度は徐々に上昇する。但し、このアキシアル荷重が加わる以前の状態との間で、この複列転がり軸受ユニットの温度変化は殆ど無視できる程度に留まる。例えば、この複列転がり軸受ユニットが、車輪支持用転がり軸受ユニットである場合、操舵開始(ステアリングホイールの操作)に伴って上記アキシアル荷重が直ちに発生するのに対して、上記車輪支持用転がり軸受ユニットの温度は緩徐にしか変化しない。従って、熱膨張、収縮による影響を受ける(純)アキシアル方向変位を、この熱膨張、収縮による影響を殆ど受けない、傾斜角度を利用して補正(温度による変動分をキャンセル)すれば、上記予圧の測定に関する影響をなくして(温度条件を同じとして)、予圧測定の精度を良好にできる。
上記熱膨張、収縮による影響を除く為の補正の具体的方法としては、次の(A)(B)の何れかの様な方法が考えられる。
(A) 熱膨張、収縮に基づく、(純)アキシアル方向変位の変動分を、この熱膨張、収縮の影響を殆ど受けない、傾斜角度を基準として補正する。具体的には、傾斜角度が0の場合にアキシアル方向変位も0にする等、傾斜角度に基づいて求めたアキシアル荷重に対応して、その時点でのアキシアル方向変位を、当該アキシアル荷重に応じた値として予圧算出手段のメモリ中に記録する(前述の(1) 〜(3) と同様)。
(B) (純)アキシアル方向変位を表す信号をハイパスフィルタによりフィルタリングする。例えば、複列転がり軸受ユニットが、車輪支持用転がり軸受ユニットである場合、「直進→操舵」、「操舵→直進」、レーンチェンジ等の走行条件であれば、上記フィルタリングにより、緩徐に変化する、熱膨張、収縮の影響を除く事ができる。そして、上記傾斜角度が0である場合と、この傾斜角度が或る値になった状態との間での、(純)アキシアル方向変位の相対量に基づいて、予圧を求める事ができる。
上記(A)(B)何れの方法でも、熱膨張、収縮の影響での(純)アキシアル方向変位に拘わらず、この熱膨張、収縮の影響をなくして、上記予圧を精度良く求められる。
又、前記図6を使用して、上記アキシアル荷重と、上記アキシアル方向変位と傾斜角度との比とから、予圧を求める作業は、この予圧の変動に伴ってこの比が大きく変化する部分、又、アキシアル荷重の変動に伴ってこの比の変化が少ない部分で行なう事が、上記予圧の測定精度を確保する面から好ましい。即ち、上記図6に記載した各線a、b、c同士の間隔が狭い部分、これら各線a、b、cの傾斜が急である部分で上記予圧を求めると、上記アキシアル荷重に少しの誤差があっても、求めた予圧に関する誤差が大きくなる為、上記両方の条件を満たす部分で、この予圧を求める事が好ましい。具体的には、上記アキシアル荷重が−2000Nより小さい(図1の矢印とは逆方向に絶対値2000Nよりも大きいアキシアル荷重が加わる)領域は、上記各線a、b、cの勾配が急なので避ける。又、このアキシアル荷重が+2000を越える領域では、上記予圧の変動に伴う上記比の変化が少なくなるので、やはり避ける。更に、このアキシアル荷重の絶対値が1000N未満の場合には、上記アキシアル方向変位及び傾斜角度の変化に結び付く、上記アキシアル荷重に基づく、前記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1の構成各部材の弾性変形状態が安定せず、上記アキシアル荷重及び上記比を安定して求められない為、やはり避ける。これらを考慮した場合、上記予圧の測定を、上記アキシアル荷重の絶対値が1000〜2000Nの範囲で行なう事が好ましい。特に、このアキシアル荷重が図1の矢印方向に加わる、+1000〜2000Nの領域で行なう事が、上記アキシアル荷重及び上記比を安定して求められる事から、最も好ましい。
但し、タイヤ交換等で、複列転がり軸受ユニットに対するアキシアル荷重の入力条件が変化する可能性があり、変化した場合でも予圧算出手段にインストールしたソフトウェア中の零点及びゲインを変えずに予圧を求める場合には、上記アキシアル荷重が負の(図1の矢印とは逆方向にアキシアル荷重が加わる)領域で、上記予圧の測定を行なう事が好ましい。即ち、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットで、この自動車が雪国で使用される可能性がある場合、夏期と冬期とで異なるタイヤを使用し、その際、オフセット量{フランジ13の外側面(後述する図8の左側面)とホイール中心との軸方向距離}が異なるホイールを使用する場合がある。一方、上記アキシアル方向変位と上記傾斜角度との関係は、上記オフセット量により異なる。図7は、このオフセット量がこれらアキシアル方向変位と傾斜角度との関係に及ぼす影響を示している。この図7中、実線aは上記オフセット量が適正(標準)である場合を、破線bはこのオフセット量がプラス側に偏っている場合を、鎖線cはマイナス側に偏っている場合を、それぞれ示している。
この様な図7から明らかな通り、マイナス(図1の矢印とは逆方向)のアキシアル荷重が作用している場合の方が、プラス(図1の矢印方向)のアキシアル荷重が作用している場合に比べて、オフセット量がアキシアル方向変位と傾斜角度との関係に及ぼす影響(誤差)が小さい。この理由は、次の通りである。先ず、この関係が上記オフセット量により変化する理由は、このオフセット量の相違に伴って、上記車輪支持用転がり軸受ユニットの中心(複列に配置された転動体6、6の軸方向中央部)と、前記接地面の中心との関係がずれる結果、上下方向のラジアル荷重に基づく上記傾斜角度が変化する事に基づく。一方、プラスのアキシアル荷重が上記接地面から加わる場合には、このアキシアル荷重に伴うモーメントに基づく上下方向のラジアル荷重もプラス方向に作用し、前記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間に作用する上下方向のラジアル荷重が増加する。これに対して、マイナスのアキシアル荷重が作用している場合には、このアキシアル荷重に伴うモーメントに基づく上下方向のラジアル荷重もマイナス方向に作用し、上記外径側、内径側両軌道輪部材4、5同士の間に作用する上下方向のラジアル荷重が低減する。そこで、マイナスのアキシアル荷重が作用しており、上下方向のラジアル荷重が小さい状態で上記予圧を測定すれば、上記オフセット量の変動の影響を小さくして、このオフセット量に関係なく、上記予圧を精度良く求められる事になる。
又、上記車輪支持用複列転がり軸受ユニット1に関して本発明を実施する場合には、上記予圧を求める作業を、自動車の走行状態が安定している状態で行なう事が好ましい。具体的には、例えば急激な進路変更(レーンチェンジ)等により、上記アキシアル荷重が短時間の間に急激に変動する様な状態で上記予圧を求める事は避ける。そして、曲率半径がほぼ一定の曲線路を走行する場合の様に、比較的長い時間、安定してアキシアル荷重が加わる様な状態で、上記予圧を求める事が好ましい。尚、荷重が急激に変動している状態で上記予圧測定を行ない、信頼性の低い予圧データを取り込む事を防止する為に、(純)アキシアル方向変位を表す信号にローパスフィルタによるフィルタリングを施す事により、予圧測定に関する信頼性を高める事もできる。
本発明を実施する場合に必要となる、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段を組み込んだ複列転がり軸受ユニットの1例として、荷重測定装置付車輪支持用複列転がり軸受ユニットの構造及び作用に就いて、図8〜12により説明する。この本例の荷重測定装置付車輪支持用複列転がり軸受ユニットは、車輪支持用複列転がり軸受ユニット1aと、回転速度検出装置としての機能を兼ね備えた、荷重測定装置8とを備える。
このうちの車輪支持用複列転がり軸受ユニット1aは、外径側軌道輪部材4と、内径側軌道輪部材5と、複数の転動体6、6とを備える。このうちの外径側軌道輪部材4は、使用状態で懸架装置を構成するナックル7(図1参照)に支持固定される静止側軌道輪であって、内周面に複列の外輪軌道9、9を、外周面にこの懸架装置に結合する為の外向フランジ状の取付部10を、それぞれ有する。又、上記内径側軌道輪部材5は、使用状態で車輪を支持固定してこの車輪と共に回転する回転側軌道輪(ハブ)であって、ハブ本体11と内輪12とを組み合わせ固定して成る。この様な内径側軌道輪部材5は、外周面の軸方向外端部(懸架装置への組み付け状態で車体の幅方向外側となる端部)に車輪を支持固定する為のフランジ13を、軸方向中間部及び内端寄り部分の外周面に複列の内輪軌道14、14を、それぞれ設けている。上記各転動体6、6は、これら各内輪軌道14、14と上記各外輪軌道9、9との間にそれぞれ複数個ずつ、互いに逆方向の(背面組み合わせ型の)接触角を付与した状態で転動自在に設け、上記外径側軌道輪部材4の内径側に上記内径側軌道輪部材5を、この外径側軌道輪部材4と同心に回転自在に支持している。
一方、上記荷重測定装置8は、上記内径側軌道輪部材5の軸方向内端部に外嵌固定された1個のエンコーダ15と、上記外径側軌道輪部材4の軸方向内端開口部に被着されたカバー16に支持された4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 と、図示しない演算器とを備える。
このうちのエンコーダ15は、軟鋼板等の磁性金属板製で、被検出面である外周面先端寄り(軸方向内半寄り)部分に、第一、第二の特性変化部18、19を設けている。これら両特性変化部18、19は、それぞれがスリット状である多数の透孔20a、20bを、円周方向に関して互いに等間隔で形成して成るものである。
上記両特性変化部18、19のうちの第一特性変化部18は、上記被検出面の幅方向片半部(図8の右半部、図9〜12に示したエンコーダ15の下半部)に、特性変化の位相がこの被検出面の幅方向に対して所定方向に所定角度で漸次変化する状態で設けている。これに対して、上記第二特性変化部19は、上記被検出面の幅方向他半部(図8及び図9〜12の左下部に示したエンコーダ15の左半部、図9〜12の右側に示したエンコーダ15の上半部)に、特性変化の位相がこの被検出面の幅方向に対して上記所定方向と逆方向に上記所定角度と同じ角度で漸次変化する状態で設けている。この為に本例の場合には、上記各透孔20a、20bのうち、上記第一特性変化部18を構成する上記各透孔20a、20aと、上記第二特性変化部19を構成する上記各透孔20b、20bとを、上記エンコーダ15の軸方向に対し逆方向に、同じ角度だけ傾斜させている。尚、上記第一特性変化部18を構成する上記各透孔20a、20aと、上記第二特性変化部19を構成する上記各透孔20b、20bとは、図9〜12に示す様に互いに独立させて形成しても、或いは図8に示す様に連続した状態で形成しても良い。
又、上記被検出面の直径方向反対側2個所位置に、それぞれ2個ずつ、合計4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 を設けている。即ち、上記エンコーダ15の上端部上方にこのうちの2個のセンサ17a1 、17a2 を、下端部下方に残り2個のセンサ17b1 、17b2 を、それぞれ配置している。そして、これら両位置に設けた2個ずつのセンサのうちの一方のセンサ17a1 、17b1 の検出部を上記第一特性変化部18に、他方のセンサ17a2 、17b2 の検出部を上記第二特性変化部19に、それぞれ対向させている。上記各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 の検出部は、外力が作用せず、外径側軌道輪部材4と内径側軌道輪部材5とが中立状態(互いに中心軸が一致し、アキシアル方向の変位も生じていない状態)にある場合には、上記第一特性変化部18或いは上記第二特性変化部19の幅方向中央部に対向する。
上述の様な各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 とエンコーダ15とを組み込んだ本例の場合には、これら各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 の検出信号を送り込まれる演算器が、次の様な機能により、上記エンコーダ15の傾斜角度(上記外径側軌道輪部材4の中心軸と上記内径側軌道輪部材5の中心軸との傾斜角度)を求める。即ち、上記演算器は、先ず、上下両端部に配置した2個ずつのセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の間の位相差に関する比(位相差比=位相差B/1周期A)δa 、及び、センサ17b1 、17b2 の検出信号同士の間の位相差比δb を求める。次いで、これら両位置に配置した2個ずつのセンサ17a1 、17a2 (17b1 、17b2 )に関する位相差比同士の差「δa −δb 」を求める。更に、この位相差比同士の差「δa −δb 」に基づいて、上記傾斜角度を求める。
上述の様な本例の構造によれば、上記各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 を配置した方向に対し直角方向に、測定対象でない荷重(非対象荷重)が作用した場合にも、測定特定対象となる荷重(対象荷重)の測定値にずれが生じる事を防止できる。本例の場合、対象荷重が、車輪と路面との接触面から車輪支持用複列転がり軸受ユニット1aに加わるアキシアル荷重である為、上記各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 を、上記エンコーダ15に対し上下2個所位置に配置している。この場合に、アキシアル荷重が加わっている状態で、上記非対象荷重である前後方向荷重が、上記直角方向である前後方向に作用すると、上記各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 の検出信号の位相差比が、上記対象荷重とは別個に変化する。従って、これら各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 の検出信号を適切に処理しないと、上記非対象荷重が、上記対象荷重測定に対するクロストークになり、この対象荷重の測定値に誤差が生じる可能性がある。これに対して、本例の構造によれば、上記非対象荷重がクロストークとなる事を防止して、上記対象荷重の測定精度を向上させられる。
この点に就いて、図9〜12を参照しつつ、更に詳しく説明する。本例の構造で、外力が作用せず、外径側軌道輪部材4と内径側軌道輪部材5とが中立状態にある場合には、図9の様に、上側に配置した上記各センサ17a1 、17a2 の検出信号と、下側に配置した上記各センサ17b1 、17b2 の検出信号とは、互いに一致する。本例の場合には、円周方向同位置に配置した2個ずつのセンサ17a1 、17a2 同士、センサ17b1 、17b2 同士、それぞれ検出信号同士の位相を逆にしている。従って、上記センサ17a1 、17a2 同士の間の位相差、並びに上記センサ17b1 、17b2 同士の位相差は、それぞれ180度、位相差比δa 、δb (B/A)は、それぞれ0.5となる。更に、上記エンコーダ15の傾斜角度を求める為のパラメータとなる、前記位相差比同士の差「δb −δa 」は、図9の下端の線図に示す様に、0になる。これにより、上記傾斜角度が0である事が分かる。
次に、車輪と路面との接触面から加わるアキシアル荷重に基づくモーメントによって、上記外径側軌道輪部材4の中心軸と上記内径側軌道輪部材5の中心軸とが傾斜し、上記エンコーダ15が図8の反時計方向に揺動した場合に就いて、図10により説明する。この場合には、例えば図10の左下に示す様に、上記エンコーダ15の上側部分が左方向に、下側部分が右方向に、それぞれ変位する。そして、下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 のうち、一方のセンサ17b1 の検出信号は位相が遅れる方向に、他方のセンサ17b2 の検出信号は位相が進む方向に、それぞれ変化する。この為、上記下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 の検出信号同士の位相差及び位相差比δb (B/A)は大きくなる。
これに対して、上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 のうちの一方のセンサ17a1 の検出信号は位相が進む方向に、他方のセンサ17a2 は位相が遅れる方向に、それぞれ変化する。この為、上記上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の位相差及び位相差比δa (B/A)は小さくなる。この結果、上記エンコーダ15の傾斜角度を求める為のパラメータとなる、前記位相差比同士の差「δb −δa 」は、図10の下端の線図に示す様に、正の値になる。そこで、この位相差比同士の差「δb −δa 」に基づいて、上記エンコーダ15の傾斜角度、延ては上記外径側軌道輪部材4の中心軸と上記内径側軌道輪部材5の中心軸との傾斜角度を求められる。又、この傾斜角度と上記モーメントとの関係を予め求めておけば、この傾斜角度からこのモーメント、更には上記アキシアル荷重を求められる。
又、本例の場合には、上記エンコーダ15が上記各センサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 に対しアキシアル方向に変位しても、上記位相差比同士の差「δb −δa 」が変化する事はない。図11は、上述した図10の状態から、上記エンコーダ15を純アキシアル方向に変位させた状態を示している。この図11に示した状態では、上記図10に示した状態に対し、上記エンコーダ15の上部と下部とが同じ方向に変位しており、上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の位相差及び位相差比δa と、下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 の検出信号同士の位相差及び位相差比δb とは、同じ方向に同じだけ変化する。この結果、上述の様に、上記位相差比同士の差「δb −δa 」が変化する事はない。この為、熱膨張、収縮によって、アキシアル方向変位が発生しても影響を受けずに、上記傾斜角度を検出できる。
更に、本例の場合には、非対象荷重である、前後方向の力により、上記外径側軌道輪部材4に対し上記内径側軌道輪部材5が前後方向に変位した(前後方向のラジアル変位が発生した)場合でも、上記非対象荷重により、上記エンコーダ15の傾斜角度の測定値、延ては対象荷重である上記アキシアル荷重の測定値に誤差が生じる事を防止できる。この点に就いて、図12により説明する。上記前後方向の力により、上記エンコーダ15が前後方向に変位すると、このエンコーダ15と、上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 、及び、下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 との位置関係がずれる(図12の上段及び中段に記載したエンコーダ15が左右にずれる)。
但し、上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 同士の間、及び、下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 同士の間では、検出信号の位相の進み遅れに関して、ずれの方向が互いに同じとなる(上側と下側とでは互いに逆方向)。この為、上記上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の位相差比δa 、及び、下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 の検出信号同士の位相差比δb は、何れも変化しない。従って、上記エンコーダ15の傾斜角度を求める為のパラメータとなる、前記位相差比同士の差「δb −δa 」も変化しない(図10の場合と同じ)。この為、駆動力或いは制動力等に基づいて上記外径側軌道輪部材4と上記内径側軌道輪部材5との間に加わる前後方向の力により、上記エンコーダ15が前後方向に変位しても、この変位が上記傾斜角度測定に対するクロストークとはならず、この傾斜角度を精度良く求められる。
逆に、駆動力或いは制動力が作用せず、前後方向変位が発生しない場合や、発生しても小さくて無視できる様な場合には、必ずしも図示の様に4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 を使用しなくても、同様な効果を得る事ができる。具体的には、上述の様に前後方向変位を無視できるのであれば、図8に示した4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 のうちの、例えばセンサ17a1 を省略して、残り3個のセンサ17a2 、17b1 、17b2 だけを装着する。そして、センサ17a2 の検出信号とセンサ17b2 の検出信号との位相差比から、傾斜角度を求める。又、センサ17b1 の検出信号とセンサ17b2 の検出信号との位相差比から、エンコーダ下部のアキシアル方向変位を求める。エンコーダ15の傾斜角度と、このエンコーダ15の下部のアキシアル方向変位とが分かれば、このエンコーダ15の純アキシアル変位も求められる。即ち、前後方向変位を無視できる状況であれば、3個のセンサ17a2 、17b1 、17b2 を装着する事により、4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 を用いた場合と同様の効果が得られる。この様に3個のセンサ17a2 、17b1 、17b2 により構成すれば、上述の様に、前後方向変位を考慮する必要がない場合に、センサの個数を少なくして、センサの調達コストを抑えられる。この様な効果は、上記センサ17a1 に限らず、上記4個のセンサ17a1 、17a2 、17b1 、17b2 のうちの何れか1個のセンサを省略する事により得られる。
本例の構造により、上記外径側軌道輪部材4の中心軸と上記内径側軌道輪部材5の中心軸との傾斜角度を精度良く求められる事は、上述の通りである。又、本例の構造の場合には、上記上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の位相差比δa 、及び、上記下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 の検出信号同士の位相差比δb から、上記外径側軌道輪部材4と上記内径側軌道輪部材5とのアキシアル方向変位も、精度良く求められる。即ち、上記上側に設けた2個のセンサ17a1 、17a2 の検出信号同士の位相差比δa は、上記エンコーダ15の上端部のアキシアル方向変位に比例した値となる。又、上記下側に設けた2個のセンサ17b1 、17b2 の検出信号同士の位相差比δb は、上記エンコーダ15の下端部のアキシアル方向変位に比例した値となる。そして、これら両位相差比の平均値{(δa +δb )/2}は、上記外径側軌道輪部材4と上記内径側軌道輪部材5とのアキシアル方向変位に比例した値となる。
前述の説明から明らかな通り、上記平均値{(δa +δb )/2}には、アキシアル荷重とは関係なく発生する、熱膨張、収縮に基づくアキシアル方向変位が含まれる。但し、この様な熱膨張、収縮に基づくアキシアル方向変位は、徐々に変動する為、影響を解除する為の補正は容易である。具体的には、ステアリングホイールの操作角度を示す舵角センサや、車体に加わっている力を表すヨーレートセンサ或いは横Gセンサ等の信号に基づいて、アキシアル荷重が加わっていない状態での上記平均値{(δa +δb )/2}を、このアキシアル荷重がゼロに対応する値とする。そして、このゼロに対応する平均値の値と、予圧を求めるべく、上記アキシアル方向変位を求める際に於ける(アキシアル荷重が作用した状態での)平均値の値との差に基づいて、このアキシアル方向変位を求める。そして、この求めたアキシアル方向変位と前記傾斜角度とに基づき、前述の様にして、前記各転動体6、6に付与されている予圧を求める。
上述の説明は、本発明を車輪支持用複列転がり軸受ユニットに適用し、求めた予圧を、この車輪支持用複列転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を求める為の関係式或いはマップの補正に使用する場合に就いて行なった。これに対して、本発明の複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置は、求めた予圧に基づいて、複列転がり軸受ユニットの状態や寿命等を推定する為に利用する事もできる。又、複列転がり軸受ユニットを構成する転動体は、アキシアル方向に力を加える事により予圧を付与されるものであれば、図示の様な玉に限らず、円筒ころ、円すいころ、球面ころであっても良い。
本発明の実施状況を説明する為の、車輪支持用複列転がり軸受ユニットの組み付け状況の1例を示す略断面図。 アキシアル荷重と、外径側、内径側両軌道輪部材同士の間のアキシアル方向変位又は傾斜角度と、予圧との関係を示す線図。 アキシアル荷重と、アキシアル方向変位と傾斜角度との比と、予圧との関係を示す線図。 予圧の大きさが異なる場合に於ける、接地面から入力されるアキシアル荷重と傾斜角度との関係を示す線図。 予圧の大きさが異なる場合に於ける、傾斜角度とアキシアル方向変位との関係を示す線図。 実際の場合に於ける、アキシアル荷重と、アキシアル方向変位と傾斜角度との比と、予圧との関係を示す線図。 オフセット量がアキシアル方向変位と傾斜角度との関係に及ぼす影響を示す線図。 本発明を実施する場合に使用する、荷重測定装置付車輪支持用複列転がり軸受ユニットの実施の形態の1例を示す断面図。 図8に示した構造で、アキシアル荷重が作用していない状態での各センサの検出部とエンコーダの被検出面との位置関係及びこれら両センサの検出信号の位相を示す模式図。 同じく、アキシアル荷重が作用している状態を示す、図9と同様の図。 同じく、アキシアル荷重が作用すると同時に純アキシアル変位が生じた状態を示す、図9と同様の図。 同じく、アキシアル荷重が作用すると同時に前後方向のラジアル荷重が作用した状態を示す、図9と同様の図。
符号の説明
1、1a 車輪支持用複列転がり軸受ユニット
2 車輪
3 路面
4 外径側軌道輪部材
5 内径側軌道輪部材
6 転動体
7 ナックル
8 荷重測定装置
9 外輪軌道
10 取付部
11 ハブ本体
12 内輪
13 フランジ
14 内輪軌道
15 エンコーダ
16 カバー
17a1 、17a2 、17b1 、17b2 センサ
18 第一特性変化部
19 第二特性変化部
20a、20b 透孔

Claims (12)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外径側軌道輪部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、これら両外輪軌道と両内輪軌道との間に、両列同士の間で互いに逆方向の接触角を付与された状態で、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体と、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材とのアキシアル方向の変位を求める為のアキシアル変位測定手段と、これら外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材との中心軸同士の傾斜角度を求める為の傾斜角度測定手段と、この傾斜角度と上記アキシアル方向の変位とに基づいて上記各転動体に付与されている予圧を求める予圧算出手段とを備える複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  2. 予圧算出手段が、アキシアル方向の変位と傾斜角度との比較に基づいて予圧を求めるものである、請求項1に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  3. 予圧算出手段が、アキシアル方向の変位と傾斜角度との比に基づいて予圧を求めるものである、請求項2に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  4. アキシアル変位測定手段と傾斜角度測定手段とを、複列転がり軸受に組み込んでいる、請求項1〜3のうちの何れか1項記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  5. 外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材とのうちの一方の軌道輪部材で、使用時に回転する回転側軌道輪部材の一部に、被検出面である周面の特性を円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させると共に、この変化の位相を軸方向に関して漸次変化させたエンコーダを、上記被検出面を上記回転側軌道輪部材と同心に位置させた状態で装着すると共に、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材とのうちの他方の軌道輪部材で、使用時にも回転しない静止側軌道輪部材の一部に支持した複数個のセンサの検出部を、上記エンコーダの被検出面の互いに異なる部分に対向させており、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段は、上記各センサの出力信号同士の間に存在する位相差に基づいてアキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める、請求項4に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  6. 外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材とのうちの一方の軌道輪部材で、使用時に回転する回転側軌道輪部材の一部に、被検出面である周面の特性を円周方向に関して交互に変化させると共に、この変化のピッチを軸方向に関して漸次変化させたエンコーダを、上記被検出面を上記回転側軌道輪部材と同心に位置させた状態で装着すると共に、上記外径側軌道輪部材と上記内径側軌道輪部材とのうちの他方の軌道輪部材で、使用時にも回転しない静止側軌道輪部材の一部に支持したセンサの検出部を、上記エンコーダの被検出面に対向させており、アキシアル変位測定手段及び傾斜角度測定手段は、上記センサの出力信号のデューティ比に基づいてアキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める、請求項4に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  7. 複数のセンサを、エンコーダの上端部及び下端部で、被検出面にそれぞれ対向させ、これら各センサの出力信号に基づいてアキシアル方向の変位及び傾斜角度を求める、請求項5〜6のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  8. アキシアル変位測定手段が求めたアキシアル方向の変位と、傾斜角度測定手段が求めた外径側、内径側両軌道輪部材の中心軸同士の傾斜角度とのうちの一方又は双方に基づいて、これら両軌道輪部材同士の間に作用する荷重を求める荷重算出手段を設けた、請求項5〜7のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  9. 予圧算出手段及び荷重算出手段を含む演算器が、マップにより、アキシアル方向の変位と傾斜角度とのうちの一方又は双方に基づいて両軌道輪部材同士の間に作用する荷重を求める機能を有するものであり、上記予圧算出手段及び荷重算出手段を含む演算器に、求めた予圧の値に基づいて上記マップを補正する機能を持たせている、請求項8に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  10. 回転側軌道輪部材が自動車の車輪と共に回転するハブであり、静止側軌道輪部材が自動車の懸架装置に支持固定されるものである、請求項5〜9のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  11. 内径側軌道輪部材が、自動車の車輪と共に回転する、外周面に複列の内輪軌道を有するハブであり、外径側軌道輪部材が、この自動車の懸架装置に支持固定された状態で回転しない、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪であり、予圧算出手段は、上記ハブに対し上記自動車の幅方向に関して外側に向いたアキシアル荷重が作用している状態で予圧を求め、更にマップを補正する、請求項9に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
  12. 予圧算出手段は、アキシアル方向の変位と傾斜角度とのうちの少なくとも一方の状態量に基づいて、外径側軌道輪部材と内径側軌道輪部材との間に作用しているアキシアル荷重を求め、更に、上記傾斜角度を基準として上記アキシアル方向の変位を補正し、更にこの補正した変位に基づいて予圧を求める、請求項1〜11のうちの何れか1項に記載した複列転がり軸受ユニット用予圧測定装置。
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