JP2007057342A - 荷重測定装置付転がり軸受ユニット - Google Patents

荷重測定装置付転がり軸受ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】 転動体に付与されている予圧が不適正(過小)である場合にこれを検知して、直ちに適正な処置を施す事ができる構造を実現する。
【解決手段】 転がり軸受ユニットと、荷重測定装置と、予圧量適否判定装置とを備える。このうちの荷重測定装置は、1対のセンサ15、15とエンコーダ14とにより、ハブ11と外輪1との間に作用する荷重を測定する。又、上記予圧量適否判定装置は、上記予圧が不適正である場合に生じる、上記ハブ11と上記外輪1との間の挙動、即ち、過大若しくは不安定な相対変位を検知して、上記予圧が不適正である旨を表す警報を発する。
【選択図】 図6

Description

この発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、複数個の転動体を介して相対回転自在に組み合わされた静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる荷重を求める為に利用する。更に、この求めた荷重を、自動車等の車両の走行安定性確保を図ったり、或いは、工作機械の運転状態を適正にする為等に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニット等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えば非特許文献1に記載されている様な、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、複列アンギュラ型の玉軸受ユニットである転がり軸受ユニットを構成する1対の列の玉の公転速度に基づいて、この転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を測定する、荷重測定装置付転がり軸受ユニットに関する発明が記載されている。
図2は、上記特許文献1に記載された荷重測定装置付転がり軸受ユニットを示している。この従来構造の場合、静止側軌道輪である外輪1の軸方向中間部で、複列アンギュラ型の外輪軌道2、2の間部分に形成した取付孔3にセンサユニット4を挿通し、このセンサユニット4の先端部5を、上記外輪1の内周面から突出させている。この先端部5には、1対の公転速度検出用センサ6a、6bと、1個の回転速度検出用センサ7とを設けている。
そして、このうちの各公転速度検出用センサ6a、6bの検出部を、複列に配置された各転動体8a、8bを回転自在に保持した各保持器9a、9bに設けた、公転速度検出用エンコーダ10a、10bの被検出面である軸方向側面に近接対向させて、上記各転動体8a、8bの公転速度を検出自在としている。又、上記回転速度検出用センサ7の検出部を、回転側軌道輪であるハブ11の中間部に外嵌固定した回転速度検出用エンコーダ12の被検出面である外周面に近接対向させて、このハブ11の回転速度を検出自在としている。この様な構成を有する荷重測定装置付転がり軸受ユニットによれば、上記ハブ11の回転速度の変動に拘らず、上記外輪1とこのハブ11との間に加わる荷重(ラジアル荷重及びアキシアル荷重)を求められる。
即ち、上述の様な荷重測定装置付転がり軸受ユニットの場合、図示しない演算器が、上記各センサ6a、6b、7から送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪1と上記ハブ11との間に加わるラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方の荷重を算出する。例えば、このラジアル荷重を求める場合に上記演算器は、上記各公転速度検出用センサ6a、6bが検出する上記各列の転動体8a、8bの公転速度の和を求め、この和と、上記回転速度検出用センサ7が検出する上記ハブ11の回転速度との比に基づいて、上記ラジアル荷重を算出する。又、上記アキシアル荷重は、上記各公転速度検出用センサ6a、6bが検出する上記各列の転動体8a、8bの公転速度の差を求め、この差と、上記回転速度検出用センサ7が検出する上記ハブ11の回転速度との比に基づいて算出する。或いは、上記各列の転動体8a、8bの公転速度同士の比によっても、上記アキシアル荷重を求められる。この点に就いて、図3を参照しつつ説明する。尚、以下の説明は、アキシアル荷重Fyが加わらない状態での、上記各列の転動体8a、8bの接触角αa 、αb が、互いに同じであるとして行なう。
図3は、上述の図2に示した車輪支持用の転がり軸受ユニットを模式化し、荷重の作用状態を示したものである。複列アンギュラ型の内輪軌道13、13と複列アンギュラ型の外輪軌道2、2との間に複列に配置された転動体8a、8bには予圧F0 、F0 を付与している。又、使用時に上記転がり軸受ユニットには、車体の質量等により、ラジアル荷重Fzが加わる。更に、旋回走行時に加わる遠心力等により、アキシアル荷重Fyが加わる。これら予圧F0 、F0 、ラジアル荷重Fz、アキシアル荷重Fyは、何れも上記各転動体8a、8bの接触角α(αa 、αb )に影響を及ぼす。そして、この接触角αa 、αb が変化すると、これら各転動体8a、8bの公転速度nc が変化する。これら各転動体8a、8bのピッチ円直径をDとし、これら各転動体8a、8bの直径をdとし、上記両内輪軌道13、13を設けたハブ11の回転速度をni とし、上記両外輪軌道2、2を設けた外輪1の回転速度をno とすると、上記公転速度nc は、次の(1)式で表される。
c ={1−(d・cos α/D)・(ni /2)}+{1+(d・cos α/D)・(no /2)} −−− (1)
この(1)式から明らかな通り、上記各転動体8a、8bの公転速度nc は、これら各転動体8a、8bの接触角α(αa 、αb )の変化に応じて変化するが、上述した様にこの接触角αa 、αb は、上記ラジアル荷重Fz及び上記アキシアル荷重Fyに応じて変化する。従って上記公転速度nc は、これらラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyに応じて変化する。図2〜3に示した構造の場合、上記ハブ11が回転し、上記外輪1が回転しない為、具体的には、上記ラジアル荷重Fzに関しては、図4に示す様に、大きくなる程上記公転速度nc が遅くなる。又、上記アキシアル荷重Fyに関しては、図5に示す様に、このアキシアル荷重Fyを支承する列の公転速度が速くなり、このアキシアル荷重Fyを支承しない列の公転速度が遅くなる。従って、この公転速度nc に基づいて、上記ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyを求められる事になる。
尚、上記図4中、実線イは、ラジアル荷重Fzを支承する割合の大きい側の転動体8b、8bに関する、破線ロは同じくラジアル荷重Fzを支承する割合の小さい側の転動体8a、8aに関する、それぞれの公転速度(とハブ11の回転速度との比)とラジアル荷重Fzとの関係を示している。又、上記図5中、破線ハは、上記アキシアル荷重Fyとこのアキシアル荷重Fyを支承する列の転動体8a、8aの公転速度との関係を、実線ニは、このアキシアル荷重Fyとこのアキシアル荷重Fyを支承しない列の転動体8b、8bの公転速度との関係を、それぞれ示している。この様な図2〜5から明らかな通り、上記各列の転動体8a、8bの公転速度nc に基づいて、上記ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyを求められる。
又、未公開であるが、特願2004−279155号には、荷重の作用方向に配置された1対のセンサの出力信号の位相差に基づき、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定する発明が開示されている。図6〜13は、上記出願に開示された先発明のうちの4例の構造を示している。これら各先発明に係る構造のうち、図6〜8に示した第1例の構造は、懸架装置に支持された状態で回転しない静止側軌道輪である外輪1の内径側に、車輪を支持固定(結合固定)する回転側軌道輪であるハブ11を、複数個の転動体8、8を介して回転自在に支持している。そして、このハブ11の中間部にエンコーダ14を外嵌固定すると共に、上記外輪1の軸方向中間部で複列に配置された上記各転動体8、8の間部分に1対のセンサ15、15を、それぞれの検出部を、被検出面である上記エンコーダ14の外周面に近接対向させた状態で設けている。尚、上記センサ15の検出部には、ホールIC、ホール素子、MR素子、GMR素子等の磁気検知素子を組み込んでいる。
図6〜8に示した、先発明の第1例の構造の場合、上記エンコーダ14として、永久磁石製のものを使用している。被検出面である、このエンコーダ14の外周面には、N極に着磁した部分とS極に着磁した部分とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これらN極に着磁された部分とS極に着磁された部分との境界は、上記エンコーダ14の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、このエンコーダ14の軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。従って、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分とは、軸方向中間部が円周方向に関して最も突出した(又は凹んだ)、「く」字形となっている。
又、上記両センサ15、15の検出部が上記エンコーダ14の外周面に対向する位置は、このエンコーダ14の円周方向に関して同じ位置としている。言い換えれば、上記両センサ15、15の検出部は、上記外輪1の中心軸を含む同一仮想平面上に配置されている。又、この外輪1と上記ハブ11との間にアキシアル荷重が作用しない状態で、上記N極に着磁された部分とS極に着磁された部分との軸方向中間部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、上記両センサ15、15の検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材14、15、15の設置位置を規制している。尚、先発明の第1例の場合には、上記エンコーダ14として永久磁石製のものを使用しているので、上記両センサ15、15側に永久磁石を組み込む必要はない。
上述の様に構成する先発明の第1例の場合、上記外輪1とハブ11との間にアキシアル荷重が作用すると、上記両センサ15、15の出力信号が変化する位相がずれる。即ち、上記外輪1とハブ11との間にアキシアル荷重が作用しておらず、これら外輪1とハブ11とが相対変位していない、中立状態では、上記両センサ15、15の検出部は、図8の(A)の実線イ、イ上、即ち、上記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、上記両センサ15、15の出力信号の位相は、同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、上記エンコーダ14を固定したハブ11に、図8の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用し(外輪1とハブ11とがアキシアル方向に相対変位し)た場合には、上記両センサ15、15の検出部は、図8の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ15、15の出力信号の位相は、同図の(B)に示す様にずれる。更に、上記エンコーダ14を固定したハブ11に、図8の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、上記両センサ15、15の検出部は、図8の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、上記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では上記両センサ15、15の出力信号の位相は、同図の(D)に示す様にずれる。
上述の様に先発明の第1例の場合には、上記両センサ15、15の出力信号の位相が、上記外輪1とハブ11との間に加わるアキシアル荷重の作用方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ15、15の出力信号の位相がずれる程度(変位量)は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って第1例の場合には、上記両センサ15、15の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその方向及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ11との間に作用しているアキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。
上述した先発明の第1例の場合には、永久磁石製のエンコーダ14を使用しているが、前記特願2004−279155号には、図9に示す様な、磁性材製のエンコーダ14aを使用した構造に就いても記載されている。被検出面である、このエンコーダ14aの外周面には、スリット状の透孔16a、16bと柱部30a、30bとを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。これら各透孔16a、16bと各柱部30a、30bとは、上記エンコーダ14aの軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、このエンコーダ14aの軸方向中間部を境に互いに逆方向としている。即ち、このエンコーダ14aは、軸方向片半部に、上記軸方向に対し所定方向に同じだけ傾斜した透孔16a、16aを形成すると共に、軸方向他半部に、この所定方向と逆方向に同じ角度だけ傾斜した透孔16b、16bを形成している。
上述の様なエンコーダ14aは、図6に示した第1例と同様に、ハブ11に外嵌固定し、外輪1(図6参照)の軸方向中間部に設置した1対のセンサの検出部を、上記エンコーダ14aの外周面に近接対向させる。尚、先発明の第2例の場合には、このエンコーダ14aが単なる磁性材製である為、上記1対のセンサの側に永久磁石を組み込む。この様な先発明の第2例の場合も、前述した先発明の第1例の場合と同様の作用により、上記外輪1とハブ11との間に作用しているアキシアル荷重の作用方向及び大きさを求められる。尚、エンコーダを円輪状に構成すると共に、このエンコーダの軸方向側面を被検出面とし、この被検出面に1対のセンサの検出部を、径方向にずらせた状態で対向させれば、上記外輪1と上記ハブ11とのラジアル方向に関する変位、延てはこれら外輪1とハブ11との間に加わるラジアル荷重を求める事も可能である。
又、上述の図9に示したエンコーダ14aは、互いに独立した透孔16a、16bを「ハ」字形に配置しているが、図10に示した第3例の様に、連続した「ヘ」字形の透孔16c、16cを、円周方向に亙り等間隔に配置したエンコーダ14bを使用する事もできる。尚、図10に示した構造の場合には、1対の磁気検出素子17、17と1個の永久磁石18とを単一のホルダ19の先端部に包埋支持して、1対のセンサとして機能する、一体型のセンサユニットを構成している。外輪1とハブ11との間に作用するアキシアル荷重を求める機能に就いては、前述した第1例、或いは、上述した第2例と同様である。
図11〜12は、先発明の第4例として、単一のセンサにより外輪1aとハブ11aとの間に加わるアキシアル方向の変位を求める構造を示している。本例の場合には、重量の嵩む自動車の駆動輪を支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットを対象としている為に、転動体8c、8cとして円すいころを使用している。又、回転側軌道輪であるハブ11aの中心部に、等速ジョイントに付属のスプライン軸を挿通する為のスプライン孔20を形成している。そして、上記ハブ11aの中間部に、磁性金属材製で円環状のエンコーダ14cを外嵌固定している。このエンコーダ14cの外周面には、凹部21、21と凸部22、22とを、円周方向に関して交互に配置している。これら各凹部21、21と凸部22、22との円周方向に関する幅寸法は、軸方向に関して漸次変化している。
一方、静止側軌道輪である上記外輪1aの中間部に形成した取付孔3aに、磁気検知式のセンサ15aを挿通し、このセンサ15aの先端部に設けた検出部を、被検出面である、上記エンコーダ14cの外周面に近接対向させている。上記センサ15aの検出信号は、上記検出部の近傍を上記各凹部21、21と上記各凸部22、22とが交互に通過する事に伴って変化する。そして、付属の波形整形回路により矩形波とされてから、図示しない演算器に送り出される。この様に、波形整形回路から演算器に送り出される、上記センサ15aの検出信号の変化のパターン(検出信号のデューティ比=高電位継続時間/1周期)は、上記検出部が対向する、上記エンコーダ14cの外周面の軸方向位置によって変化する。そこで、上記変化のパターンに基づいて、上記外輪1aと上記ハブ11aとの間に作用するアキシアル荷重を求められる。
次に、図13は、先発明に係る構造の第5例として、単一のセンサにより、外輪1、1aとハブ11、11aと(図2、6、10、11参照)の間のラジアル方向の変位を求める為の構造を示している。この構造に組み込むエンコーダ14dは、磁性金属板により円輪状に形成されたもので、それぞれが径方向外側程円周方向に関する幅が大きくなる、台形の透孔16d、16dを、円周方向に関して等間隔に形成している。この様なエンコーダ14dの軸方向片側面にはセンサの検出部を、近接対向させる。この様なエンコーダ14dを含んで構成する、先発明の第5例の場合、ラジアル荷重に基づいて外輪1、1aとハブ11、11aとがラジアル方向に相対変位すると、上記センサの検出信号のデューティ比(高電位継続時間/1周期)が変化する。そこで、このデューティ比に基づいて、上記相対変位の方向及び大きさ、更には上記外輪1、1aとハブ11、11aとの間に加わるラジアル荷重の大きさを求められる。
前記特願2004−279155号に記載された荷重測定装置付転がり軸受ユニットの構成及び作用は、上述の通りであるが、転がり軸受ユニットに加わる荷重若しくはモーメントを測定する装置としては、他にも、例えば特願2005−147642号、同2005−150433号に開示されたものがある。図14〜15に、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重若しくはモーメントを測定する為の他の装置の2例を示している。
先ず、図14に示した、先発明の第6例の構造の場合には、ハブ11bの中間部に、永久磁石により円筒状に構成したエンコーダ14eを、断面クランク形の支持環23を介して外嵌固定している。このエンコーダ14eの被検出面である外周面には、N極とS極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。又、図14の(A)に示す様に、上記N極とS極との境界の形状を、上記エンコーダ14eの軸方向(上記外周面の幅方向)に対して同方向に同じ角度だけ傾斜させている。そして、上記エンコーダ14eの外周面に、外輪1の軸方向中間部に支持したセンサ15bの検出部を、径方向に近接対向させている。
又、上記外輪1の内端部内周面と上記ハブ11bの内端部外周面との間を塞ぐ組み合わせシールリング24を構成する、このハブ11bの内端部に外嵌固定したスリンガ25の内側面に、円輪状の第二エンコーダ26を、このハブ11bと同心に添着固定している。この第二エンコーダ26の被検出面である内側面には、N極とS極とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置している。又、図14の(B)に示す様に、上記N極とS極との境界を、放射方向の直線形状としている。上記エンコーダ14eの外周面に存在するS極及びN極の数と、上記第二エンコーダ26の内側面に存在するS極及びN極の数とは、互いに等しい。そして、この第二エンコーダ26の内側面に、懸架装置を構成するナックル(図示せず)等の静止部材の一部に支持した第二センサ27の検出部を、軸方向に近接対向させている。
この様な先発明の第6例の場合には、上記外輪1と上記ハブ11bとの間にアキシアル荷重が作用せず、これら外輪1とハブ11bとが軸方向に相対変位していない、中立状態で、上記両センサ15b、27の検出信号が同時に(或いは所定の時間差で)変化する様にしている。この為に、上記中立状態で、上記第二センサ27の検出部が上記第二エンコーダ26の内側面に存在するS極とN極との境界に対向するのと同時に、上記センサ15bの検出部が上記エンコーダ14eの外周面に存在するS極とN極との境界に対向する様に、各部材27、26、15b、14eの設置位置を規制している。
上述の様に構成する先発明の第6例の場合、上記外輪1と上記ハブ11との間にアキシアル荷重が作用する(これら外輪1とハブ11とが軸方向に相対変位する)と、上記両センサ15b、27の出力信号の位相がずれる。即ち、上記第二エンコーダ26の内側面に対向している上記第二センサ27の検出信号の位相は、上記相対変位の有無に関係なく、一定である(進んだり遅れたりする事はない)。これに対し、上記エンコーダ14eの外周面に対向している上記センサ15bの検出信号の位相は、上記相対変位に伴って、進んだり遅れたりする。従って、この様に進んだり遅れたりする分だけ、上記両センサ15b、27の出力信号の位相がずれる。
この様に、先発明の第6例の場合には、上記両センサ15b、27の出力信号の位相が、上記外輪1と上記ハブ11との間に加わるアキシアル荷重の方向に応じた方向にずれる。又、このアキシアル荷重により上記両センサ15b、27の出力信号の位相がずれる程度(変位量)は、このアキシアル荷重が大きくなる程大きくなる。従って、上述した先発明の第6例の場合には、上記両センサ15b、27の出力信号の位相ずれの有無、ずれが存在する場合にはその向き及び大きさに基づいて、上記外輪1とハブ11との軸方向の相対変位の向き及び大きさ、延いては、これら外輪1とハブ11との間に作用しているアキシアル荷重の向き及び大きさを求められる。
次に、図15は、先発明の第7例を示している。この先発明の第7例の場合には、回転側軌道輪であるハブ11の内端部に支持環28を、このハブ11と同心に外嵌固定している。これと共に、この支持環28の先端部外周面に、上述した先発明の第6例で使用したものと同様の構成を有する円筒状のエンコーダ14eを添着固定している。又、このエンコーダ14eの被検出面である外周面の上下両端部に、1対のセンサ15c、15dの検出部を近接対向させている。即ち、静止側軌道輪である外輪1の内端開口部に被着したカバー29の内周面の上下両端部に上記両センサ15c、15dを支持固定すると共に、これら両センサ15c、15dの検出部を、上記エンコーダ14eの外周面の上下両端部に近接対向させている。
自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、上記外輪1と上記ハブ11との間に加わるアキシアル荷重は、このハブ11に結合固定した車輪(タイヤ)の外周面と路面との接地面から入力される。この接地面は、上記外輪1及び上記ハブ11の回転中心よりも径方向外方に存在する為、上記アキシアル荷重はこれら外輪1とハブ11との間に、純アキシアル荷重としてではなく、これら外輪1及びハブ11の中心軸と上記接地面の中心とを含む(鉛直方向の)仮想平面内での、モーメントを伴って加わる。そして、このモーメントの大きさは、上記接地面から入力されるアキシアル荷重の大きさに比例する。そこで、このモーメントを求めれば、このアキシアル荷重を求められる事になる。一方、上記ハブ11にモーメントが加わると、上記エンコーダ14eの上端部が、軸方向に関して何れかの方向に、同じく下端部がこれと逆方向に、それぞれ変位する。この結果、上記エンコーダ14eの外周面の上下両端部にそれぞれの検出部を近接対向させた、上記両センサ15c、15dの検出信号の位相が、それぞれ中立位置に対して、逆方向にずれる。そこで、これら両センサ15c、15dの検出信号の位相のずれの向き及び大きさに基づいて、上記アキシアル荷重の向き及び大きさを求められる。
何れにしても、荷重測定装置付転がり軸受ユニットにより求めた荷重は、車輪(タイヤ)と路面との接触面(接地面)で生じている荷重と等価である。従って、この求めた荷重に基づいて車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なえば、車両の姿勢が不安定になる事を予防する為のフィードフォワード制御が可能になる等、車両の走行安定性確保の為の高度な制御が可能になる。
以上に述べた様な荷重測定装置付転がり軸受ユニットを実施する場合に、演算器が、前記各センサ15、15a〜15d、27の出力信号に基づいて各方向の荷重を算出する為には、転がり軸受ユニットの特性を所望通りに規制しておく必要がある。特に、転がり軸受ユニットの剛性は、荷重の大きさと、上記外輪1(1a)と上記ハブ11(11a、11b)との相対変位量との関係に大きく影響する為、その値を所望範囲に収めておく事が重要である。上記転がり軸受ユニットの剛性は、この転がり軸受ユニットを構成する材料の材質(鋼材又はセラミック材)や、各部の寸法及び形状によっても変化するが、これら材質、寸法、形状に関しては、個々の転がり軸受ユニット同士の間での差は小さい。言い換えれば、これら材質、寸法、形状に基づく、個々の転がり軸受ユニット同士の間での剛性の差は、(必要精度がどの程度であるかにもよるが)荷重測定の実用性度を確保する面からは、無視する事もできる。
これに対して、上記転がり軸受ユニットに組み込んだ各転動体8、8a、8b、8cに付与している予圧の値は、上記剛性に大きく影響する為、この予圧の大きさを適正範囲に収めておく事は重要である。この予圧の大きさは、上記転がり軸受ユニットの製造工程を適正に管理する事で、或る程度の範囲内に収める事は可能である。但し、予圧の大きさは、転がり軸受ユニットを長期間に亙って使用した場合に、低下若しくは喪失する可能性がある。又、上記転がり軸受ユニットの製造工程中で、何らかの原因で適正な予圧付与が行なわれない可能性も、完全には否定できない。
予圧の大きさが過小(零を含む、本明細書全体で同じ)の転がり軸受ユニットの運転時には、外輪1、1a等の静止側軌道輪と、ハブ11、11a、11b等の回転側軌道輪との相対変位が過大になる。この結果、自動車或いは工作機械、産業機械等の各種機械装置の運転状態が不安定になり、上記転がり軸受ユニットを含む、この各種機械装置の耐久性確保の面から悪影響を生じる。又、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重の測定値が、実際の荷重の値から大幅に異なったものとなる。この様に、実際の値と大幅に異なった荷重の測定値に基づいて、各種制御を行なうと、上記各種機械装置の運転状況が却って不安定になる可能性がある。
特開2005−31063号公報 青山元男著、「レッドバッジスーパー図解シリーズ/クルマの最新メカがわかる本」、p.138−139、p.146−149、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日
本発明は、上述の様な事情に鑑み、転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与されている予圧が不適正(過小)である場合にこれを検知して、直ちに適正な処置を施す事ができる、荷重測定装置付転がり軸受ユニットを実現すべく発明したものである。
本発明の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットと、荷重測定装置と、予圧量適否判定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、これら回転側軌道と静止側軌道との間に、予圧を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備えたものである。
又、上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定する為のセンサを組み込んだセンサユニットと、このセンサの検出信号に基づいてこの荷重を算出する演算器を組み込んだ演算器ユニットとを備えたものである。
更に、上記予圧量適否判定装置は、上記予圧が不適正である(例えば予圧が喪失している)場合に生じる、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間の挙動を検知して、上記予圧が不適正である旨を表す警報を発するものである。
上述の様に構成する本発明の荷重測定装置付転がり軸受ユニットによれば、転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与されている予圧が不適正(過小)である場合にこれを検知して、直ちに適正な処置を施す事ができる。即ち、予圧量適否判定装置が、上記予圧が不適正である場合に生じる、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間の挙動を検知して、上記予圧が不適正である旨を表す警報を発する為、荷重測定装置により測定された荷重に基づく制御を停止したり、或いは、上記荷重測定装置付転がり軸受ユニットの運転を停止したり等、より重大な損傷に結び付く様な、運転の継続を防止できる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、予圧が不適正である場合に生じる、回転側軌道輪と静止側軌道輪との間の挙動を、無負荷時乃至は軽負荷時に於ける、これら両軌道輪同士の間の相対変位とする。
予圧が不適正である場合に生じる、回転側軌道輪と静止側軌道輪との間の挙動としては、これら両軌道輪同士の細かい相対変位に伴って生じる振動が考えられる。そして、この様な振動は、振動センサ(加速度センサ)により測定できる。但し、この場合には、荷重測定の為のセンサとしては不要な、上記振動センサを設置する必要がある。これに対して、上記相対変位は、上記両軌道輪同士の間に加わる荷重を測定する為のセンサにより求められる。従って、上記予圧が不適正であるか否かを判定する為に、荷重測定装置付転がり軸受ユニットに本来必要であるセンサ以外のセンサを組み込む必要がなくなり、コストを抑える面、並びに、小型・軽量化を図る面から有利になる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、荷重測定装置として、回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪の回転に伴って回転する部分の回転状態を検出する事により、この回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものを採用する。
この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項4に記載した様に、荷重測定装置を、少なくとも一方の列の転動体の公転速度に基づいて回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものとする。この様な構造は、前述の図2〜5に示した、特許文献1に記載された構造に対応する。
或いは、請求項5に記載した様に、荷重測定装置を、回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に固定されたエンコーダの変位に基づいて回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものとする。この様な構造は、前述の図6〜15に示した、先発明の構造に対応する。
この様な構造によれば、荷重測定装置を低コストで得られる。
図1は、本発明の実施例を示している。前述した従来の、或いは先発明の構造(図2、3、6、10、11、14、15参照)で、転がり軸受ユニットを構成する転動体8、8a、8b、8cに適正な予圧が付与されている場合、即ち、この転がり軸受ユニットの内部隙間が負である場合には、外輪1、1a等の静止側軌道輪に対する、ハブ11、11a等の回転側軌道輪の支持剛性が十分に高い状態となる。この状態では、アキシアル荷重、ラジアル荷重、モーメント等の外力が加わっていないか、加わっていても僅かである場合には、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪とが相対変位する事はない。
これに対して、上記予圧が過小である場合、即ち、上記転がり軸受ユニットの内部隙間がほぼ零若しくは正である場合には、上記静止側軌道輪に対する上記回転側軌道輪の支持剛性が低くなり、これら両軌道輪同士の回転支持部にがたつきが発生する。この結果、上記外力が殆ど加わらない状態であっても、上記転がり軸受ユニットの運転に伴って、上記両軌道輪同士が相対変位(例えばアキシアル方向に相対変位)する。この様な相対変位は、上記外力が僅少である限り、上記転がり軸受ユニットの内部隙間以下の振幅で、繰り返し発生する。そこで、上記外力が零若しくは僅少である状態で、上記両軌道輪が相対変位する状態を観察すれば、上記各転動体に適切な予圧が付与されているか否かを判定できる。
上記外力が零若しくは僅少である事は、上記転がり軸受ユニットを設置した機械装置の運転状況に基づいて知る事ができる。例えば、この転がり軸受ユニットが、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットである場合には、この自動車が直進している状態では、アキシアル荷重が殆ど加わらない。そして、この直進状態では、適正な予圧が付与されている限り、図1の(A)に実線aで示す様に、上記両軌道輪同士がアキシアル方向に変位する事はない。これに対して、予圧が付与されていない状態では、上記直進状態でも、上記両軌道輪同士がアキシアル方向に、図1の(B)に実線aで示す様に一方向に変位したままの状態になるか(例えば、幅方向に傾斜した路面を走行する場合)、或いは、図1の(C)に実線aで示す様に、不安定に変位する(水平路面を走行する場合)。そこで、舵角センサやヨーレートセンサ等の測定信号に基づいて、直進状態であると判定される場合に、上記両軌道輪同士のアキシアル方向の変位の有無を観察する事により、上記車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する各転動体に、必要な予圧が付与されているか否かを判定できる。
上記両軌道輪同士のアキシアル方向の変位の有無は、前述した従来の、或いは先発明の構造で、アキシアル荷重を測定する前段階として求める、各列の転動体の公転速度の差の有無(従来構造の場合)、或いはアキシアル方向の変位自体の有無で分かる。要するに、上記両軌道輪同士の間に作用する荷重を測定する為に、上記各転動体に予圧を付与しているが、この予圧が適正である限り、上記両軌道輪同士の間に作用する荷重の大きさは或る程度限られているので、これら両軌道輪同士の相対変位量は限られる。
例えば、図1の(A)に示す実線aは、上記両軌道輪が中立位置に存在する事を表している。この中立状態から、これら両軌道輪同士の間にアキシアル荷重が加わった場合、これら両軌道輪同士の位置関係は図1の上下方向にずれるが、その場合でも、上記各転動体に付与されている予圧の値が適正であれば、このずれは、図1の破線b、c同士の間に止まる。これに対して、通常の使用状態で(例えば、自動車の旋回走行時に)、図1の(B)に示す様に、上記両軌道輪同士の変位を表す実線a(これら両軌道輪同士の相対変位)が上記両破線b、c同士の間から外れた場合には、上記予圧が過小であると判断される。更には、上記両軌道輪同士の間に殆ど外力が加わらない状態で、図1の(C)に実線aで示す様に、上記両軌道輪同士が不安定に変位した場合には、上記予圧が喪失し、上記転がり軸受ユニットに正の内部隙間が存在すると判断される。
そこで、転がり軸受ユニットの運転中に(外力が作用しているか否かに関係なく)図1の(B)に示す様な大きな変位が観察されたり、或いは、外力が加わらない状態での転がり軸受ユニットの運転中に、図1の(C)に示す様な不安定な変位が観察された場合には、上記予圧が不適正であるとして、警報を発する。即ち、予圧量適否判定装置が、上記予圧が不適正である場合に生じる、上記両軌道輪同士の間の挙動を検知して、この予圧が不適正である旨を表す警報を発する。この様な警報が発せられた場合には、別途設けた制御器により自動的に、荷重測定装置により測定された荷重に基づく制御を停止したり、或いは、上記荷重測定装置付転がり軸受ユニットを組み込んだ機械装置の運転を自動的に(例えば工作機械や産業機械の場合)或いは運転者の判断で(例えば自動車の場合)停止して、より重大な損傷に結び付く様な、運転の継続を防止する。
尚、上述の様な、転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与されている予圧が適正であるか否かの判定は、この転がり軸受ユニットを組み込んだ各種機械装置の運転中に行なう他、この転がり軸受ユニットの出荷時、或いは、この転がり軸受ユニットを組み込んだ各種機械装置の運転開始時等に行なう事ができる。それぞれの場合、次の様にして、上記予圧の適否を判定する事が考えられる。
先ず、出荷検査時に行なう場合に就いて説明する。この場合には、静止側、回転側両軌道輪同士の(間に加わる荷重を求める為にこれら両軌道輪同士の間の)相対変位を求めるセンサの出力を確認する為に、上記転がり軸受ユニットを、無負荷状態と既知の荷重を負荷した状態とで運転し、それぞれの場合に於ける、上記センサの出力を観察する。そして、無負荷状態で前述の図1の(A)の実線aに示した変位に対応する信号を出力し、且つ、負荷状態での出力に基づく変位が、破線b、cの間に位置する転がり軸受ユニットを、合格とする。これに対して、負荷状態で図1の(B)、或いは無負荷状態で図1の(C)に示す様な変位に対応する出力が観察された場合には、当該転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与された予圧は過小であるとして、この転がり軸受ユニットは不合格とする。不合格となった転がり軸受ユニットに就いては、予圧を付与し直す。
次に、工作機械の運転開始時に予圧の適否を判定する場合に就いて説明する。工作機械等のスピンドルを回転支持する為の転がり軸受ユニットは、被加工物の加工精度の確保の為に予圧を付与する。この予圧が過小であると、この加工精度が悪化するだけでなく、回転に伴って発生する振動が大きくなって、スピンドルを含む工作機械や上記被加工物を損傷する可能性がある。但し、工作機械のスピンドルの場合、切削や旋削等の加工中(運転中)に加わる荷重は大きく変動する為、加工中に上記予圧の適否を判定する事は難しい。そこで、この様な場合には、工作機械の始動直後等、加工を行なっていない状態で、無負荷状態及び既知の負荷を加えた状態での上記スピンドルの挙動を観察して、上記予圧の適否を判定する事が好ましい。尚、工作機械や産業機械の回転支持部を構成する転がり軸受ユニットは、複列転がり軸受ユニットに限らず、単列転がり軸受ユニットであっても良い。但し、各転動体に予圧を付与した状態で使用する事は当然である。
次に、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットに関して、予圧の適否を判定する場合に就いて説明する。この車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、運転中に一定、又は、既知の荷重が負荷される事は少ない。これに対して、アキシアル荷重が殆ど負荷されない状態は、前述した様な直進走行時等が考えられる。そこで、このアキシアル荷重が小さい状態を、例えば横加速度センサ、ヨーレイトセンサ、舵角センサ、4輪の車輪速情報等から分かる、車体の挙動に基づいて判断し、上記アキシアル荷重が小さい状態で、上記予圧の適否を判断する。この状態で、図1の(B)、或いは(C)に示す様な変位に対応する出力が観察された場合には、当該転がり軸受ユニットを構成する転動体に付与された予圧は過小であるとして、求めた荷重に基づく制御を停止すると共に、運転者に異常を知らせる警報を発する。
本発明の実施例を説明する為の線図。 従来の荷重測定装置付転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。 この従来構造により荷重を求められる理由を説明する為の模式図。 各列の転動体の公転速度とラジアル荷重との関係を示す線図。 同じくアキシアル荷重と公転速度との関係を示す線図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第1例を示す断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。 アキシアル荷重に基づいて1対のセンサの出力信号が変化する状態を説明する為の線図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第2例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第3例を示す断面図。 同第4例を示す断面図。 この第4例に組み込むエンコーダの部分斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第5例に組み込むエンコーダを軸方向から見た側面図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第6例を示す断面図。 同第7例を示す断面図。
符号の説明
1、1a 外輪
2 外輪軌道
3、3a 取付孔
4 センサユニット
5 先端部
6a、6b 公転速度検出用センサ
7 回転速度検出用センサ
8、8a、8b、8c 転動体
9a、9b 保持器
10a、10b 公転速度検出用エンコーダ
11、11a、11b ハブ
12 回転速度検出用エンコーダ
13 内輪軌道
14、14a、14b、14c、14d、14e エンコーダ
15、15a、15b、15c、15d センサ
16a、16b、16c、16d 透孔
17 磁気検出素子
18 永久磁石
19 ホルダ
20 スプライン孔
21 凹部
22 凸部
23 支持環
24 組み合わせシールリング
25 スリンガ
26 第二エンコーダ
27 第二センサ
28 支持環
29 カバー
30a、30b 柱部

Claims (5)

  1. 転がり軸受ユニットと、荷重測定装置と、予圧量適否判定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、これら回転側軌道と静止側軌道との間に、予圧を付与された状態で設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定する為のセンサを組み込んだセンサユニットと、このセンサの検出信号に基づいてこの荷重を算出する演算器を組み込んだ演算器ユニットとを備えたものであり、
    上記予圧量適否判定装置は、上記予圧が不適正である場合に生じる、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間の挙動を検知して、上記予圧が不適正である旨を表す警報を発するものである、
    荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  2. 予圧が不適正である場合に生じる、回転側軌道輪と静止側軌道輪との間の挙動が、無負荷時乃至は軽負荷時に於ける、これら両軌道輪同士の間の相対変位である、請求項1に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  3. 荷重測定装置は、回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪の回転に伴って回転する部材の回転状態を検出する事により、この回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものである、請求項2に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  4. 荷重測定装置が、少なくとも一方の列の転動体の公転速度に基づいて回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものである、請求項3に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  5. 荷重測定装置が、回転側軌道輪若しくはこの回転側軌道輪と共に回転する部材の一部にこの回転側軌道輪と同心に固定されたエンコーダの変位に基づいて回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に作用する荷重を測定するものである、請求項3に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
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