JP2006292445A - 荷重測定装置付転がり軸受ユニット - Google Patents

荷重測定装置付転がり軸受ユニット Download PDF

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Abstract

【課題】 車輪支持用転がり軸受ユニット1に加わる各方向の荷重を正確に求められる構造を実現する。
【解決手段】 外輪3とハブ4との間の、ラジアル方向及びアキシアル方向の相対変位量を測定する。これら相対変位量に関する測定値に基づいて、演算器が、上記外輪3とハブ4との間に作用する荷重を算出する。特に、この演算器は、これら外輪3とハブ4との相対変位量に基づいて、収束計算を行ないつつ、これら外輪3とハブ4との間に加わる荷重成分を求める。
【選択図】 図1

Description

この発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、複数個の転動体を介して相対回転自在に組み合わされた静止側軌道輪と回転側軌道輪との間の相対変位量(例えばラジアル方向の変位量とアキシアル方向の変位量との一方又は双方)を検出し、この変位量に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に加わる荷重を求める為に利用する。更に、この求めた荷重を、自動車等の車両の走行安定性確保を図る為、或は、各種工作機械の工具送り速度等を適切に調節する為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、例えば非特許文献1に記載されている様な、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、ビークルスタビリティコントロールシステム(VSC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等の信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ラジアル荷重を測定自在な、荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来構造の第1例の場合には、非接触式の変位センサにより、回転しない外輪と、この外輪の内径側で回転するハブとの径方向に関する変位を測定する事により、これら外輪とハブとの間に加わるラジアル荷重を求める様にしている。求めたラジアル荷重は、ABSを適正に制御する他、積載状態の不良を運転者に知らせる為に利用する。
又、特許文献2には、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する構造が記載されている。この特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、外輪の外周面に設けた固定側フランジの内側面複数個所で、この固定側フランジをナックルに結合する為のボルトを螺合する為のねじ孔を囲む部分に、それぞれ荷重センサを添設している。上記外輪を上記ナックルに支持固定した状態でこれら各荷重センサは、このナックルの外側面と上記固定側フランジの内側面との間で挟持される。この様な従来構造の第2例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、車輪と上記ナックルとの間に加わるアキシアル荷重は、上記各荷重センサにより測定される。更に、特許文献3には、一部の剛性を低くした外輪相当部材に動的歪みを検出する為のストレンゲージを設け、このストレンゲージが検出する転動体の通過周波数から転動体の公転速度を求め、更に、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
前述の特許文献1に記載された従来構造の第1例の場合、変位センサにより、外輪とハブとの径方向に関する変位を測定する事で、転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する。但し、この径方向に関する変位量は僅かである為、この荷重を精度良く求める為には、上記変位センサとして、高精度のものを使用する必要がある。高精度の非接触式センサは高価である為、荷重測定装置付転がり軸受ユニット全体としてコストが嵩む事が避けられない。
又、特許文献2に記載された従来構造の第2例の場合、ナックルに対し外輪を支持固定する為のボルトと同数だけ、荷重センサを設ける必要がある。この為、荷重センサ自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットの荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献3に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある他、十分な測定精度を得る事が難しいと考えられる。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットを構成する回転側軌道輪にエンコーダを、この回転側軌道輪と同心に支持固定し、このエンコーダの被検出面の変位を検出する事で、この回転側軌道輪と静止側軌道輪との相対変位量を求める発明(第一の先発明)を行なった(特願2004−279155号)。この第一の先発明に係る構造の場合、上記エンコーダの被検出面の特性が円周方向に関して変化するピッチ若しくは位相は、検出すべき変位の方向に一致する、上記被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。そして、上記静止側軌道輪等の固定部分に支持したセンサの検出部を、上記エンコーダの被検出面に近接対向させて、このセンサの出力信号が、上記相対変位量に応じて変化する様にしている。
図11〜12は、この様な第一の先発明に係る構造の第1例を示している。この第一の先発明の第1例の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、車輪支持用転がり軸受ユニット1と、回転速度検出装置としての機能を兼ね備えた、荷重測定装置2とを備える。
このうちの車輪支持用転がり軸受ユニット1は、図11に示す様に、外輪3と、ハブ4と、複数の転動体5、5とを備える。このうちの外輪3は、使用状態で懸架装置に支持固定される静止側軌道輪であって、内周面に複列の外輪軌道6、6を、外周面にこの懸架装置に結合する為の外向フランジ状の取付部7を、それぞれ有する。又、上記ハブ4は、使用状態で車輪を支持固定してこの車輪と共に回転する回転側軌道輪であって、ハブ本体8と内輪9とを組み合わせ固定して成る。この様なハブ4は、外周面の軸方向外端部(懸架装置への組み付け状態で車体の幅方向外側となる端部)に車輪を支持固定する為のフランジ10を、軸方向中間部及び内輪9の外周面に複列の内輪軌道11、11を、それぞれ設けている。上記各転動体5、5は、これら各内輪軌道11、11と上記各外輪軌道6、6との間にそれぞれ複数個ずつ、互いに逆方向の(背面組み合わせ型の)接触角を付与した状態で、転動自在に設けて、上記外輪3の内径側に上記ハブ4を、この外輪3と同心に回転自在に支持している。
一方、上記荷重測定装置2は、図11に示す様に、エンコーダ12と、センサ13と、図示しない演算器とを備える。
このうちのエンコーダ12は、軟鋼板等の磁性材製で、図12に示す様に、それぞれがスリット状である複数の透孔14a、14bを、交互に形成している。これら各透孔14a、14bは、上記エンコーダ12の中心軸の方向に対し傾斜している。又、円周方向に隣り合う透孔14a、14b同士の間で、傾斜方向は互いに逆になっている。又、円周方向に隣り合う透孔14a、14b同士のピッチは、交互に大小を繰り返している。この様なエンコーダ12は、上記ハブ4の中間部に外嵌固定している。一方、上記センサ13は、上記外輪3の中間部に形成した取付孔15に、径方向外方から内方に挿入する状態で設け、先端部に設けた検出部を上記外輪3の内周面から径方向内方に突出させて、被検出面である、上記エンコーダ12の外周面に近接対向させている。
上述の様に構成する第一の先発明の荷重測定装置の第1例の場合、アキシアル荷重に基づいて上記ハブ4と上記外輪3とが軸方向に相対変位すると、上記センサ13の検出信号が変化するパターンが変化する。そこで、このパターンの変化に基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記アキシアル荷重の大きさを求められる。尚、同方向に傾斜した透孔14a、14a(14b、14b)に基づいて上記検出信号が変化する周期は、上記相対変位に拘らず変化しない。従って、この周期に基づいて、上記ハブ4の回転速度を求める事もできる。
次に、図13は、第一の先発明に係る構造の第2例に組み込むエンコーダ12aを示している。このエンコーダ12aは、磁性金属板により円筒状に形成されたもので、幅方向片半部と他半部とに、それぞれスリット状の透孔14c、14dを、それぞれ上記エンコーダ12aの中心軸の方向に対し傾斜させた状態で、円周方向に関して等間隔に形成している。幅方向片半部の透孔14c、14cの傾斜方向と、他半部の透孔14d、14dの傾斜方向とは、互いに逆である。この様なエンコーダ12aの外周面には、軸方向に離隔した状態で配置した1対のセンサの検出部を、近接対向させる。
上述の様なエンコーダ12aを含んで構成する、第一の先発明の荷重測定装置の第2例の場合、アキシアル荷重に基づいてハブと外輪とが軸方向に相対変位すると、上記1対のセンサの検出信号の位相がずれる。そこで、このずれの大きさに基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記アキシアル荷重の大きさを求められる。尚、上記ハブの回転速度は、何れかのセンサの検出信号に基づいて求められる。
次に、図14〜15は、第一の先発明に係る構造の第3例を示している。この第一の先発明の第3例の場合には、ハブ4の内端部に外嵌固定した内輪9の内端部に、図15に示す様なエンコーダ12bの基端部を外嵌して、このエンコーダ12bを上記ハブ4に対し、このハブ4と同心に支持固定している。このエンコーダ12bは、磁性金属板製で、先半部に設けた円筒状部に、それぞれが「く」字形でスリット状の透孔14e、14eを、円周方向に関して等間隔に形成している。又、外輪3の内端部に嵌合固定したカバー16に支持したセンサホルダ17内に1対のセンサを、軸方向に離隔した状態で保持している。そして、これら両センサの検出部を、上記エンコーダ12bの内周面に近接対向させている。
上述の様な第一の先発明の荷重測定装置の第3例の場合も、アキシアル荷重に基づいてハブ4と外輪3とが軸方向に相対変位すると、上記1対のセンサの検出信号の位相がずれる。そこで、このずれの大きさに基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記アキシアル荷重の大きさを求められる。尚、上記ハブ4の回転速度は、何れかのセンサの検出信号に基づいて求められる。
次に、図16は、第一の先発明に係る構造の第4例に組み込むエンコーダ12cを示している。このエンコーダ12cは、磁性金属板により円輪状に形成されたもので、それぞれが径方向外側程円周方向に関する幅が大きくなる、台形の透孔14f、14fを、円周方向に関して等間隔に形成している。この様なエンコーダ12cの軸方向片側面にはセンサの検出部を、近接対向させる。
上述の様なエンコーダ12cを含んで構成する、第一の先発明の荷重測定装置の第4例の場合、ラジアル荷重に基づいてハブと外輪とが径方向に相対変位すると、上記センサの検出信号のデューティ比が変化する。そこで、このデューティ比に基づいて、上記相対変位の大きさ、更には上記ラジアル荷重の大きさを求められる。尚、上記ハブの回転速度は、上記センサの検出信号の周期に基づいて求められる。
上述の第一の先発明の荷重測定装置の第1〜4例は何れも、エンコーダ12〜12cとして単なる磁性材製のものを使用し、センサの側に永久磁石を組み込む事を意図している。これに対して、前記特願2004−279155号には、永久磁石製のエンコーダを使用し、センサの側の永久磁石を省略する構造に就いても記載されている。更には、被検出面に凹部と凸部とを交互に形成した、磁性材製のエンコーダと、永久磁石を組み込んだセンサとを組み合わせた構造に就いても記載されている。何れの場合でも、エンコーダの被検出面が円周方向に関して変化するピッチ若しくは位相は、検出すべき変位の方向に一致する、この被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。
何れにしても、上述の様な第一の先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットにより求めた、ラジアル方向又はアキシアル方向の変位量は、前記回転側軌道輪と静止側軌道輪との間に加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重と関連する(比例若しくは比例に近い関係にある)。従って、上記変位量から、これらラジアル荷重又はアキシアル荷重を求める事ができる。更に、この様にして求めた荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)は、路面と車輪(タイヤ)との接触面で生じている荷重と等価である。従って、上記求めた荷重に基づいて車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なえば、車両の姿勢が不安定になる事を予防する為のフィードフォワード制御が可能になる等、車両の走行安定性確保の為の高度な制御が可能になる。
ところで、上述の様な第一の先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットを実施する場合、次の様な点に留意する必要がある。即ち、第一の先発明の場合には、転がり軸受ユニットを構成する外輪3とハブ4とのアキシアル方向或いはラジアル方向の相対変位量を求め、これら両方向の相対変位量に基づいて、上記外輪3と上記ハブ4との間に加わるアキシアル荷重或いはラジアル荷重を算出する事を意図している。一方、アキシアル荷重にしろ、ラジアル荷重にしろ、必ずしも、上記外輪3やハブ4の重心を通過する方向に作用する訳ではない為、荷重の作用方向と変位の方向とは必ずしも一致しない。例えば、アキシアル荷重が加わった場合、アキシアル方向の変位が発生する事は勿論であるが、このアキシアル荷重が、上記重心を通過する方向に作用する純アキシアル荷重でない限り、ラジアル方向の変位も発生する。逆に、ラジアル荷重が加わった場合も、ラジアル方向の変位が発生すると共に、アキシアル方向の変位も発生する。従って、単に何れかの方向の変位のみを計測しただけでは、特定方向の荷重を正確に求められない可能性がある。高次元の走行安定性確保を図る為には、上記アキシアル荷重やラジアル荷重を正確に求める事が必要であり、改良が望まれる。
この点に就いて、図17〜18を参照しつつ、アキシアル方向の変位に基づいてアキシアル荷重Fyを求める場合を例にして説明する。前述した第一の先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットを実施する場合、図17に示す様な、アキシアル方向の変位とアキシアル荷重Fyとの関係を表すゲイン曲線が1本のみのゲイン線図により、このアキシアル方向の変位からこのアキシアル荷重Fyを求める事を意図していた。図17の場合、例えばアキシアル方向の変位が0.1mmの場合、アキシアル荷重Fyは約5000Nであると推定する。
ところが、実際の場合には、図18の様に、ラジアル荷重が変化すると、アキシアル方向の変位とアキシアル荷重Fyとの関係を表す曲線(ゲイン曲線)も変化する。この為、ゲイン曲線が1本のみのゲイン線図により上記アキシアル荷重を推定する方法では、得られたアキシアル荷重Fyの推定値は、ラジアル荷重が変化すると誤差が生じる。例えば、上記図18で、アキシアル方向の変位が0.1mmとした場合に、ラジアル荷重が2000Nである場合のゲイン曲線では、アキシアル荷重Fyは約5600Nと推定され、ラジアル荷重が5000Nである場合のゲイン曲線では、アキシアル荷重Fyは約5000Nと推定され、ラジアル荷重が7000Nである場合のゲイン曲線では、アキシアル荷重Fyは約4700Nと推定される。即ち、アキシアル方向の変位が同じであった場合でも、作用しているラジアル荷重の大きさに応じて、実際に作用しているアキシアル荷重Fyの値は異なる事になる。従って、ラジアル荷重を考慮せずに、アキシアル方向の変位にのみ基づいてアキシアル荷重Fyを求める(推定する)と、推定値に無視できない程の誤差を生じる。
この様な原因で発生する誤差の1例を、図19に示す。この図19は、横軸がラジアル荷重Fzを、縦軸がアキシアル荷重Fyを、それぞれ示したもので、アキシアル荷重が一定の場合に、ラジアル荷重Fzの変化が、上記アキシアル荷重Fyの推定値に及ぼす影響を表している。本来、このアキシアル荷重Fyの推定値は、3本の実線で示す様に、ラジアル荷重Fzの値に関係なく、−2000N、4000N、8000Nの一定値となるべきである。ところが、例えば前述の図18に表した3本のゲイン曲線のうちの中央(5000Nのラジアル荷重が負荷された状態でのゲイン曲線)のみを使用して上記アキシアル荷重Fyを求めると、3本の破線で示す様に、上記アキシアル荷重Fyの推定値に誤差を生じる。アキシアル荷重を考慮せずに、ラジアル方向の変位に基づいてのみラジアル荷重Fyを求める(推定する)場合、或いは、異なる方向のラジアル荷重Fxを考慮せずに、所定方向のラジアル方向の変位に基づいてのみ、この所定方向のラジアル荷重Fzを求める場合も、同様の問題を生じる。
この様な事情に鑑みて、特願2004−370407号には、静止側軌道輪である外輪と、回転側軌道輪であるハブとの相対変位量に基づいて、影響係数を勘案しつつ、これら外輪とハブとの間に加わる複数方向の荷重成分を求める発明が開示されている。この様な第二の先発明によれば、求めるべき荷重と異なる方向の荷重が変動した場合でも、この求めるべき荷重を正確に推定できる可能性がある。但し、上記第二の先発明の場合には、ゲインの関数近似を行なって連立方程式の一般解を求める必要がある。この為、ゲイン特性が複雑で多項式近似を行なっても誤差を多く含んでしまう場合に、荷重の推定値に依然として無視できない程の誤差を生じる事が考えられる。そして、この様な誤差をなくすべく、上記関数近似を、実際に測定して得られるゲイン特性に合わせようとした場合には、関数がより複雑化して、荷重の推定値をリアルタイムで求める為の迅速な演算処理が難しくなる等、荷重測定装置付転がり軸受ユニットの実現を難しくする可能性も考えられる。
特開2001−21577号公報 特開平3−209016号公報 特公昭62−3365号公報 青山元男著、「レッドバッジスーパー図解シリーズ/クルマの最新メカがわかる本」、p.138−139、p.146−149、株式会社三推社/株式会社講談社、平成13年12月20日
本発明は、上述の様な事情に鑑み、比較的簡単な計算処理により、転がり軸受ユニットに加わる各方向の荷重を正確に求められる、荷重測定装置付転がり軸受ユニットを実現すべく発明したものである。
本発明の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に(接触角を付与された状態で)設けられた、複数個の転動体とを備える。
又、上記荷重測定装置は、第一の変位測定手段と、第二の変位測定手段と、演算器とを備えたものである。
このうちの第一の変位測定手段は、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の、何れかの方向の相対変位を測定する。
又、上記第二の変位測定手段は、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の、別の方向の相対変位を測定する。
又、上記演算器は、上記第一、第二の変位測定手段の測定値に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に作用する荷重を算出する。
更に、上記演算器は、上記何れかの方向の相対変位とこの何れかの方向に加わる荷重と上記別の方向に加わる荷重との関係を表した第一のゲイン特性関係データ、及び、この別の方向の相対変位とこの別の方向に加わる荷重と上記何れかの方向に加わる荷重との関係を表した第二のゲイン特性関係データを記憶している。そして、上記第一の変位測定手段及び上記第二の変位測定手段により求められる、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の、上記両方向の相対変位量に基づいて収束計算(収束処理)を行ない、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる上記両方向のうちの少なくとも一方の方向の荷重成分を求める機能を有する。
上述の様に構成する本発明の荷重測定装置付転がり軸受ユニットの使用時には、第一、第二の変位測定手段の測定値に基づいて、何れかの方向の変位量と別の方向の変位量とを求める。そして、演算器が、これら両方向の相対変位量に基づいて収束計算を行ない(収束処理を施し)、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる上記両方向のうちの少なくとも一方の方向の荷重成分を求める。この点に就いて、図1〜3を参照しつつ説明する。尚、自動車の走行時にこの図1に示した車輪支持用転がり軸受ユニット1には、上記自動車の前後方向のラジアル荷重と、上下方向のラジアル荷重Fzと、幅方向のアキシアル荷重Fyと、鉛直軸回りのモーメントと、水平軸回りのモーメントとの5種類若しくはそれ以上の荷重が加わるが、これら総ての荷重に就いて説明すると、説明が徒に複雑になる。この為、説明を簡素化する為に、上記車輪支持用転がり軸受ユニット1に作用する荷重のうち、上記幅方向に加わるアキシアル荷重Fyと上下方向のラジアル荷重Fzとの2方向の荷重(2自由度荷重)のみを想定して説明する。
上記車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成する、静止側軌道輪である外輪3と、回転側軌道輪であるハブ4とは、これら両部材3、4同士の間に加わる荷重の作用方向に応じて、この荷重の大きさに応じた量だけ変位する。例えば、アキシアル荷重Fyによりアキシアル方向(y方向)に変位し、上下方向のラジアル荷重Fzによりラジアル方向(z方向)に変位する。この場合に、アキシアル方向の変位yは、純粋にアキシアル荷重Fyの影響のみで変化するのではなく、上記ラジアル荷重Fzが変化する事によっても変化する。逆にラジアル方向の変位zも、ラジアル荷重Fzのみの変化で変化するのではなく、アキシアル荷重Fyが変化する事によっても変化する。従って、アキシアル方向の変位yとアキシアル荷重Fyとの関係を表すゲイン曲線は、上記ラジアル荷重Fzの影響を受けるし、ラジアル方向の変位zとラジアル荷重Fzとの関係を表すゲイン曲線は、上記アキシアル荷重Fyの影響を受ける。
この為に本発明の場合には、ラジアル荷重がアキシアル方向の変位yとアキシアル荷重Fyとの関係を示すゲイン曲線に及ぼす影響を減らしたゲイン曲線、並びにアキシアル荷重がラジアル方向の変位zとラジアル荷重Fzとの関係を示すゲイン曲線に及ぼす影響を減らしたゲイン曲線をそれぞれを作成し、次第にそれぞれの影響を小さくする収束計算を行なう(収束処理を施す)。そして、求めようとする荷重に関するゲイン曲線の誤差を小さくし、当該荷重を推定する。即ち、求めようとする荷重(特定荷重)に関するゲイン曲線に対して影響を与える他の荷重(外乱荷重)に応じて、この特定荷重を求める為のゲイン曲線の作成を繰り返す。そして、この特定荷重を求める為のゲイン曲線に関する誤差を小さくしてから、このゲイン曲線に基づいてこの特定荷重を推定する事により、この特定荷重を精度良く求める。
具体的には、次の(1) 〜(6) の様な手順により、荷重の推定を行なう。
(1) 例えば図2、3に示す様な2種類のゲイン線図(に対応するマップ)を、予め用意しておく。このうちの図2に示した第一のゲイン線図は、アキシアル方向の変位yとアキシアル荷重Fyとの関係を示すゲイン曲線が、ラジアル荷重Fzの大きさに応じて変化する状態を示したものである。これに対して、図3に示したゲイン線図は、ラジアル方向の変位zとラジアル荷重Fzとの関係を示すゲイン曲線が、アキシアル荷重Fyの大きさに応じて変化する状態を示したものである。ゲイン曲線の数は、必要とする精度に応じて決定する(必要とする精度が高い程、本数を多くする)。
尚、上記図2、3に示した2種類のゲイン線図は、予め作成して、マップ等の形で演算器中のメモリに記憶させておく。これら各ゲイン線図中のゲイン曲線は、設計段階で、転がり軸受分野で知られている式を使用して、計算により求める事ができる。或いは、計算により正確なゲイン曲線を求める事が難しい場合には、実際に組み立てられた転がり軸受ユニットに、上記図2、3に示した様な荷重条件を負荷し、各方向に関する、静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位量を測定する。この様な測定作業は、一般的には、同一仕様の転がり軸受ユニットに就いて1回行なえば足りる(同一仕様の転がり軸受ユニットに関するゲイン線図は、実質的に同一であると推定できる)。但し、同一仕様の転がり軸受ユニットでも、不可避的な製造誤差が存在し、個々の転がり軸受ユニットのゲイン線図が微妙に異なる事は避けられない。この様な微妙な差が無視できない場合には、個々の転がり軸受ユニット毎に、上記図2、3に示した様なゲイン線図(に対応するマップ)を作成する。個々の転がり軸受毎に作成したゲイン線図(に対応するマップ)は、ICタグ等に記憶させて、当該転がり軸受ユニットと共に、自動車の組立工場に搬送する。そして、この組立工場で、上記ICタグ等に記憶させておいた、上記ゲイン線図(に対応するマップ)を、車体側に設置した演算器のメモリに記憶させる。
(2) 上述の図2、3に示す様なゲイン線図(に対応するマップ)を演算器のメモリ中に記憶させた荷重測定装置付転がり軸受ユニットの使用時に、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に、所定方向に所定の大きさの荷重が負荷されると、これら両軌道輪同士が、この荷重の作用方向に応じた方向に、この荷重の大きさに応じた量だけ変位する。例えば、アキシアル方向の変位yと、上下方向に関するラジアル方向の変位zとが発生する。
(3) そこで、図2に示した複数本のゲイン曲線のうちの任意のゲイン曲線を使用して、上記アキシアル方向の変位yから、アキシアル荷重Fy(アキシアル荷重Fy1 )を求める(推定する)。即ち、この段階では、未だ上記両軌道輪同士の間に作用しているラジアル荷重Fzは不明であるので、上記各ゲイン曲線のうちの何れのゲイン曲線を採用すれば、上記アキシアル荷重Fyを正確に推定できるかは分からない。そこで、任意の(適当な)ラジアル荷重Fzに関するゲイン曲線を採用して、上記推定を行なう(図2の縦軸に表したアキシアル方向の変位yに基づいて、同じく横軸に表したアキシアル荷重Fyを推定する)。
この段階で推定されるアキシアル荷重Fy1 は、前述した第一の先発明を実施する場合と同様に、無視できない程の誤差を含む可能性がある。そこで、以下の(4) 〜(6) の作業により、この誤差を低減する。尚、最初に、上記各ゲイン曲線のうちの何れのゲイン曲線を採用するかは、特に限定しない。但し、例えば、TCSの制御の為に上記アキシアル荷重Fyを求める事を考慮した場合、通常状態で各車輪に加わるラジアル荷重(例えば、車両重量の1/4)に対応するゲイン曲線を採用する事が好ましい。この様なゲイン曲線を選択すれば、後から述べる、必要とする精度を得られるまでに要する収束計算の回数を少なく抑えて、必要とする精度のアキシアル荷重Fyを表す信号を得られるまでに要する時間を短くできる。
(4) 次に、図3に記載した、複数本(図示の例では8本)のゲイン曲線のうち、上記(3) で推定したアキシアル荷重Fy1 に対応する(一致若しくは近似する)ゲイン曲線(に対応するマップ)を選択する。即ち、上記(3) で推定したアキシアル荷重Fy1 に一致するゲイン曲線が上記図3に存在する場合には、当該ゲイン曲線を選択する。又、一致するゲイン曲線が存在しない場合には、最も近い{上記(3) で推定したアキシアル荷重Fy1 に最も近いアキシアル荷重Fyに対応する}ゲイン曲線を選択する。そして、この様に選択したゲイン曲線(に対応するマップ)に基づいて、上下方向に関するラジアル方向の変位zから、上下方向のラジアル荷重Fz1 を求める(推定する)。
上記図3に示した、上下方向に関するラジアル方向の変位zと、上下方向のラジアル荷重Fzとの関係を示すゲイン線図は、上記アキシアル荷重Fyの影響を受ける(このアキシアル荷重Fyの大きさ毎に異なる、複数本のゲイン曲線が存在する)。従って、上記ラジアル方向の変位zを、直接上記図3の任意のゲイン曲線に当て嵌めて上記ラジアル荷重Fzを求め(推定し)た場合、このラジアル荷重Fzの推定値に大きな誤差が入り込む可能性がある。これに対して、本発明の場合には、この(4) の段階では、上述の(3) の段階で推定したアキシアル荷重Fy1 により、上記図3に存在する複数本のゲイン曲線のうちの1本を選択している。この選択作業に使用する上記アキシアル荷重Fy1 は、必ずしも正確ではないが、或る程度の範囲(例えば、大、中、小程度)を特定できる。従って、上記アキシアル荷重Fyの大きさが全く分からない状態で上記図3中からゲイン曲線を1本だけ選択し、上記ラジアル方向の変位zから上記ラジアル荷重Fzを求める(推定する)場合に比べれば、誤差の小さい推定値を得られる。即ち、この(4) の段階で求めた上記ラジアル荷重Fz1 に関する精度は、上記(3) の段階で求めた、上記アキシアル荷重Fy1 に関する精度よりも向上する。
(5) そこで、上記(4) の処理により精度が向上した、上記ラジアル荷重Fz1 を使用して、再び図2のゲイン線図に基づき、上記アキシアル荷重Fy(アキシアル荷重Fy2 )を求める。即ち、上記(3) の段階でこのアキシアル荷重Fy(アキシアル荷重Fy1 )を求める際には、上記図2に記載した複数本のゲイン曲線のうちの1本のゲイン曲線を、何ら根拠なく(当てずっぽうに)選択していた。これに対して、この(5) の段階では、上記(4) の処理により精度が向上した上記ラジアル荷重Fz1 に基づいて、上記図2に記載した複数本のゲイン曲線のうちの1本のゲイン曲線を選択する。そして、この選択したゲイン曲線(に対応するマップ)に基づいて、アキシアル方向の変位yから、上記アキシアル荷重Fy2 を求める(推定する)。この結果、上記(3) の段階で求めたアキシアル荷重Fy1 に比べて高精度のアキシアル荷重Fy2 を求められる。そこで、この様に精度が向上したアキシアル荷重Fy2 を使用して、再び、上記(4) の処理を行ない、前段階での(4) の処理により得た、上記ラジアル荷重Fz1 よりも更に高精度の、ラジアル荷重Fz2 を得る。
(6) 以下、上記(4) の処理と上記(5) の処理とを繰り返し行なって、段階を進める毎にアキシアル荷重FyK 、及びラジアル荷重FzK の精度を向上させる。この様な繰り返しは、必要とされる精度を得られる迄行なう。必要とされる精度に達したか否かは、例えば、前段階で得た推定値との差(|FyK −FyK-1 |又は|FzK −FzK-1 |)が、予め定めた所定値以下になったか否かで判断する。上記差が所定値以下になり、必要とする精度を得られたと判断される場合には、その段階でのアキシアル荷重FyK とラジアル荷重FzK とのうちの一方又は双方を表す信号を、TCS等の制御器に向けて出力する。尚、上記一連の処理(収束計算)は、実際の場合には、演算器を構成するマイクロコンピュータにより、μsec 単位の、極く短時間で行なわれる。従って、TCS等の制御を十分に行なえる。
本発明の場合には、以上に述べた様な収束計算を行なう事により、アキシアル荷重Fyとラジアル荷重Fzとの相互間の影響を排除して、これら両荷重Fy、Fzの誤差を、実用上問題ない程度の僅少値に抑えられる。即ち、本発明によれば、アキシアル方向の変位yと、上下方向に関するラジアル方向の変位zとを計測すれば、転がり軸受ユニットに作用しているアキシアル荷重Fyと、上下方向に関するラジアル荷重Fzとを、正確に求める事ができる。例えば、アキシアル荷重Fyに就いては、実際に作用している値が一定である限り、図19に実線で示す様に、ラジアル荷重Fzの変動に拘らず、一定の推定値を得られる。上記収束計算を行なわない場合には、前述の通り、図19に破線で示す様に、実際に作用している値が一定であっても、ラジアル荷重Fzの変動に伴って推定値が変動する。又、ラジアル荷重Fzに就いては、実際に作用している値が一定である限り、図20に実線で示す様に、アキシアル荷重Fyの変動に拘らず、一定の推定値を得られる。上記収束計算を行なわない場合には、前述の通り、図20に破線で示す様に、実際に作用している値が一定であっても、アキシアル荷重Fyの変動に伴って推定値が変動する。
アキシアル荷重と前後方向に関するラジアル荷重とに関しても、アキシアル方向の変位と、前後方向に関するラジアル方向の変位とを計測すれば、同様に収束計算を行なう事により、高精度に求められる。更には、アキシアル荷重と、上下方向に関するラジアル荷重と、前後方向に関するラジアル荷重との、互いに直角方向に作用する3種類の荷重に就いても、3種類のゲイン線図に関して順番に収束させる事により、高精度の推定値を得られる。
尚、本発明を実施する場合に、収束計算を終了させるタイミング(条件)は、TCS等の制御に必要とされる精度と処理時間との兼ね合いで決定する。即ち、TCS等の制御を高精度により行なう為には、上記アキシアル荷重Fy及び上記ラジアル荷重Fzは高精度である程好ましい。但し、単にこれらアキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fzの推定値を高精度にしようとしても、収束計算の回数が増えて、これら両荷重Fy、Fzを表す信号を出力するまでに要する時間が長くなる。上記TCS等の制御は、その時点で加わっている荷重の値に基づいて行なう必要がある為、上記両荷重Fy、Fzを表す信号を出力するまでに要する時間が長くなる事は好ましくない。これらの事を考慮した場合、前述の前段階で得た推定値との差(|FyK −FyK-1 |又は|FzK −FzK-1 |)に関する所定値は、50〜100N程度とする事が現実的である。但し、コスト上の問題がなく、より高性能の(演算処理時間が短い)マイクロコンピュータを使用できれば、必要に応じて、上記所定値を1〜10N程度の設定する事も可能である。工作機械の工具送り速度の制御を行なう場合の様に、比較的長い処理時間を許容できる場合も、上記所定値を小さくできる。
又、必要とする精度を得られたとして上記収束計算を終了するタイミングを知る為の値として、上記差(|FyK −FyK-1 |又は|FzK −FzK-1 |)に代えて、比(FyK /FyK-1 又はFzK /FzK-1 )を採用する事もできる。即ち、この比がほぼ1(例えば、0.95〜1.05)になった場合に、必要とする精度を得られたとして、上記収束計算を終了しても良い。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、第一、第二の変位測定手段を、1対のエンコーダと、少なくとも1対のセンサとを備えたものとする。
このうちの1対のエンコーダは、回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持されたもので、互いに異なる方向に存在する被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。又、上記両エンコーダの被検出面の特性が円周方向に関して変化するピッチ若しくは位相は、それぞれの被検出面の幅方向に関して連続的に変化している。
又、上記各センサは、それぞれの検出部を何れかのエンコーダの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させるものである。
そして、演算器は、上記両センサの出力信号が変化するパターンに基づいて静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の、各方向の相対変位量を算出する。更に、これら各方向の相対変位量に基づいて、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる上記互いに異なる方向のうちの少なくとも一方向の荷重成分を求める機能を有する。
この様な構成を採用した場合には、少なくとも1対のセンサの出力信号を演算器に送る。すると、この演算器は、これら両センサの出力信号に基づいて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との相対変位量を求め、更にこの相対変位量から、これら両軌道輪同士の間に作用する荷重を算出する。即ち、転がり軸受ユニットに荷重が負荷されると、この転がり軸受ユニットの構成部材の弾性変形に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪とが相対変位し、このうちの回転側軌道輪に支持した上記両エンコーダの被検出面の特性変化に対応する、上記両センサの出力信号の変化のパターンが変化する。そこで、この変化のパターンに基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との、互いに異なる2方向の相対変位量を求め、更に上記荷重を求められる。
上述の様な請求項2に記載した発明を実施する場合に、例えば、請求項3に記載した様に、一方のエンコーダの被検出面を軸方向側面とする。そして、上記演算器は、この一方のエンコーダの被検出面に対向する一方のセンサの出力信号に基づいて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間のラジアル方向の相対変位量を算出する。又、他方のエンコーダの被検出面を周面とする。そして、上記演算器は、この他方のエンコーダの被検出面に対向する他方のセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間のアキシアル方向の相対変位量を算出する。
より具体的には、例えば、上記両エンコーダの被検出面に、前述の図16に示した如く、互いに異なる特性を有する第一被検出部(透孔)と第二被検出部(間部分)とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置する。又、これら両被検出部の円周方向に関する幅のうち、第一被検出部の幅を、上記被検出面の幅方向の片側程広く、第二被検出部の幅はこの被検出面の幅方向の他側程広くする。この場合に、センサの出力信号は、第一被検出部と第二被検出部との円周方向に関する幅の差に対応して周期若しくは振幅に関する値を変化させる、パルス状信号若しくは正弦波状信号となる。そして、演算器は、この周期若しくは振幅に関する比を表す信号に基づいて相対変位量を求める。
或いは、上記両エンコーダの被検出面に、前述の図12に示した如く、それぞれが他の部分とは特性が異なる1対の個性化部分(透孔)より成る複数の被検出用組み合わせ部を、円周方向に亙り等間隔で配置する。これら各被検出用組み合わせ部を構成する1対ずつの個性化部分同士の円周方向に関する間隔は、総ての被検出用組み合わせ部で、上記被検出面の幅方向に関して同じ方向に連続的に変化させる。この場合に、センサの出力信号の変化の位相(変化するパターン)は、このセンサの検出部が対向する、上記エンコーダの被検出面の幅方向位置に対応して変化する。そして、演算器は、この変化の位相を表す信号に基づいて相対変位量を求める。
或いは、エンコーダの被検出面の幅方向に離隔した位置にそれぞれの検出部を位置させた状態で設置された、1対のセンサを備える。そして、前述の図13に示した如く、この被検出面のうちで、少なくとも一方のセンサの検出部が対向する部分で、円周方向に関して特性が変化する境界を、上記幅方向に対し傾斜させる。この場合に、上記少なくとも一方のセンサの出力信号の変化の位相は、当該センサの検出部が対向する、上記エンコーダの被検出面の幅方向位置に対応して変化させる。そして、演算器は、上記1対のセンサの出力信号の位相のずれに基づいて、相対変位量を求める。
何れの場合でも、上記エンコーダの被検出面の幅方向に関する変位を、確実に測定できる。
更に、本発明を実施する場合に、好ましくは、請求項4に記載した様に、1対のエンコーダを(更には少なくとも1対のセンサもこれに合わせて)一体化する。
即ち、本発明の場合には、1対のエンコーダと少なくとも1対のセンサとを必要とする為、これらエンコーダやセンサの、製造コスト、部品管理コスト、組立コストが嵩む他、これら各エンコーダや各センサの設置スペースも嵩む。この為、上記請求項4に示した様に、一体型のエンコーダにより、互いに異なる2方向(アキシアル方向及びラジアル方向)の変位を計測できる様にすれば、上記各コスト及び設置スペースの増大を抑えられて、実用的な構造を実現する面から有利となる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、転がり軸受ユニットを、自動車の懸架装置に車輪を支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットとする。そして、演算器が求める荷重成分を、上記自動車の前後方向のラジアル荷重と、上下方向のラジアル荷重と、幅方向のアキシアル荷重と、鉛直軸回りのモーメントと、水平軸回りのモーメントとのうちから選択される少なくとも1種類の荷重とする。
この様な状態で本発明を実施すれば、車輪と懸架装置との間に加わる荷重を求めて、ABS、TCS、VSC等の車両用走行安定化装置の制御を適切に行なえる。
この点に就いて、図4を参照しつつ説明する。この図4は、懸架装置を構成するナックル18に対し、車輪19、及び、ディスクブレーキを構成するロータ20を、車輪支持用転がり軸受ユニット1により、回転自在に支持した構造に就いて示している。この様な構造の場合、上記車輪19を構成するタイヤ21と路面22とが接触している(接地面)部分で発生する荷重が、上記車輪支持用転がり軸受ユニット1に作用する。そして、この部分で発生したアキシアル荷重はこの車輪支持用転がり軸受ユニット1に対し、アキシアル荷重FyとモーメントMx(前後方向のx軸回りのモーメント)として作用する。又、上記接地面部分の中心と上記車輪支持用転がり軸受ユニット1の中心とが一致していると仮定した場合、この中心部分で発生する鉛直方向のラジアル荷重は、鉛直方向のラジアル荷重Fzとして、上記車輪支持用転がり軸受ユニット1に作用する。
即ち、上記図4に示した構造では、上記車輪支持用転がり軸受ユニット1には、3自由度の荷重が作用している。この場合に、上記車輪19の半径がほぼ一定と仮定できれば、上記アキシアル荷重Fyと上記モーメントMxとは、一定の関係にある。この様な場合は、これらアキシアル荷重FyとモーメントMxとの和「Fy+Mx」を、セットで1つの荷重と考える事ができる為、未知数は、この和「Fy+Mx」と、鉛直方向に関するラジアル荷重「Fz」との2つとなる。従って、上記車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成する外輪3とハブ4との間のアキシアル方向の相対変位量(y方向変位量)と、同じく鉛直方向に関するラジアル方向の相対変位量(z方向変位量)とを計測すれば、上記和「Fy+Mx」と上記ラジアル荷重「Fz」との、2つの荷重を演算できる。言い換えれば、前述した様な収束計算を、2種類のゲイン線図(に対応するマップ)の間で効率良く行なう事で、走行安定性確保の制御を行なう為に応用な3種類の荷重(Fy、Mx、Fz)に関する値を求められる。
図5〜6は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例1を示している。本実施例の場合には、回転側軌道輪(例えば、前述の図1、4、11、14に示したハブ4)の一部に、図5の(A)(B)に示す様な、2種類のエンコーダ23、24を、この回転側軌道輪と同心に支持固定する。又、本実施例の場合には、上記両エンコーダ23、24を一体に構成している。この為に、これら両エンコーダ23、24を構成する、鋼板等の磁性金属板を、断面L字形で全体を円環状とし、このうちの円輪部により一方のエンコーダ23を、円筒部により他方のエンコーダ24を、それぞれ構成している。
このうち、図5の(A)に示した一方のエンコーダ23は、上記回転側軌道輪と静止側軌道輪(例えば、上記図1、4、11、14に示した外輪3)とのラジアル方向の相対変位を測定する為のものである。又、上記エンコーダ23は、軸方向片側面を円輪状の被検出面とし、この被検出面に、それぞれが「く」字形の被検出用特性部25、25を形成している。これら各被検出用特性部25、25としては、スリット状の透孔、溝状の凹孔、土手状の凸部等が使用可能である。何れにしても、上記各被検出用特性部25、25は、上記エンコーダ23の径方向中央部が最も円周方向に突出して(或いは凹んで)いる。そして、上記各被検出用特性部25、25の外径側半部と内径側半部とが、上記エンコーダ23の径方向に対して、互いに逆方向に、同じ角度ずつ傾斜している。
又、上記図5の(B)に示した他方のエンコーダ24は、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪とのアキシアル方向の変位を測定する為のものである。又、上記エンコーダ24は、内周面又は外周面を円筒状の被検出面とし、この被検出面に、それぞれが軸方向に傾斜した被検出用特性部26a、26bを形成している。これら各被検出用特性部26a、26bとしても、スリット状の透孔、溝状の凹孔、土手状の凸部等が使用可能である。何れにしても、上記エンコーダ24の軸方向片半部に形成した各被検出用特性部26a、26aと、軸方向他半部に形成した各被検出用特性部26b、26bとは、上記エンコーダ24の軸方向に対して、互いに逆方向に、同じ角度ずつ傾斜している。
上述の様な両エンコーダ23、24の被検出面には、それぞれ1対ずつ、合計4個のセンサの検出部を、これら各被検出面の幅方向{図5の(A)に示したエンコーダ23の場合には径方向、同(B)に示したエンコーダ24の場合には軸方向}に離隔した状態で対向させている。上記各センサは、ホール素子、磁気抵抗素子等の磁気検出素子と永久磁石とを組み合わせたもので、上記両エンコーダ23、24の被検出面のうちで検出部が対向する部分の磁気特性に応じて出力信号を変化させる。これら両エンコーダ23、24の被検出面に対する、それぞれ1対ずつのセンサの検出部の位置は、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間に相対変位が発生していない状態で、被検出面の幅方向中央位置を挟んだ対称位置としている。又、円周方向に関する位相は互いに同じとしている。
例えば、図5の(B)に示したエンコーダ24の外周面に対する1対のセンサの検出部が対向する位置は、図6(A)の実線イで示した位置とする。この状態でこれら両センサの出力信号の位相は、図6の(C)に示す様に互いに一致する。これに対して、上記回転側軌道輪が上記静止側軌道輪に対し、図6の下方に変位した場合には、上記センサの検出部が対向する位置は、図6(A)の破線ロで示した位置に変化する。この状態でこれら両センサの出力信号の位相は、図6の(B)に示す様に、所定方向に、変位に比例してずれる。更に、上記回転側軌道輪が上記静止側軌道輪に対し、図6の上方に変位した場合には、上記センサの検出部が対向する位置は、図6(A)の鎖線ハで示した位置に変化する。この状態でこれら両センサの出力信号の位相は、図6の(D)に示す様に、上記所定方向と反対方向に、変位に比例してずれる。
上記エンコーダ24の外周面にそれぞれの検出部を対向させた1対のセンサの出力信号は、上述の様に、変位の方向に変位に比例してずれる。この為、これら両センサの出力信号のずれの方向と大きさ(実際の場合には、ずれの大きさをこの出力信号の周期により除した値)とに基づいて、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との、アキシアル方向のずれの方向及び大きさを求められる。これら回転側軌道輪と静止側軌道輪との、ラジアル方向のずれの方向及び大きさに関しては、上記ラジアル方向の相対変位を測定する為のエンコーダ23の軸方向側面の径方向外寄り部分と内寄り部分とにそれぞれの検出部を対向させた1対のセンサの出力信号の位相のずれに基づいて求められる。
この様にして、上記1対ずつ、合計4個のセンサの出力信号に基づいて、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との、アキシアル方向及びラジアル方向のずれの方向及び大きさを求めたならば、これら各ずれの方向及び大きさに基づいて、前述の(3) 〜(6) の手順により、上記回転側軌道輪と上記静止側軌道輪との間に作用している、アキシアル荷重Fy及びラジアル荷重Fz荷重を算出する。
尚、本発明を、車輪支持用転がり軸受ユニットに関して実施する場合には、上記アキシアル方向及びラジアル方向の変位を求める為の各センサのうち、アキシアル方向(y方向)の変位を求める為のセンサの検出部を、下側(路面側)に設置するのが望ましい。この理由は、アキシアル荷重Fyによるアキシアル方向の変位と、このアキシアル荷重Fyに基づいて発生するモーメントMxによるアキシアル方向の変位とが同方向になる為に、変位検出の為のSN比が向上する為である。又、加速時や制動時に、駆動力やブレーキ力に基づいて発生する、前後方向(x方向)のラジアル荷重Fxも検出する必要がある場合には、上記アキシアル方向及び鉛直方向(y、z方向)の変位に加えて、前後方向(x方向)の変位を求める必要がある。この前後方向の変位を測定するには、前記エンコーダ23の被検出面のうちで、上下方向中間部{図5の(A)の右側或いは左側部分}の径方向外寄り部分及び内寄り部分に、1対のセンサの被検出部を対向させる。更に、各エンコーダ23、24の被検出面の上部や上下方向中間部等、複数箇所に別途設けたセンサの検出部を対向させ、これら別途設けたセンサの出力信号を、演算器により合わせて処理すれば、アキシアル方向やラジアル方向の並進変位に加えて、倒れ変位(角度)も検出でき、これら各変位の情報から、モーメントも算出できる。
図7は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、センサ(の検出部)の数を減らす(合計3個に抑える)為に、被検出用特性部の数を少なく(3個所と)している。即ち、本実施例の場合、ラジアル方向の変位を求める為のエンコーダ23aの軸方向片側面に存在する円輪状の被検出面に、それぞれがこのエンコーダ23aの径方向に対し一方向に傾斜した被検出用特性部25a、25aを形成している。又、アキシアル方向の変位を測定する為のエンコーダ24aの外周面に存在する円筒状の被検出面の軸方向片半部{図7の(B)の左半部}に、それぞれが軸方向に傾斜した被検出用特性部26a、26aを形成している。これに対して、上記エンコーダ24aの被検出面の軸方向他半部{図7の(B)の右半部}に、それぞれがこのエンコーダ24aの軸方向に対し平行な、被検出用特性部26c、26cを形成している。各被検出用特性部25a、26a、26cとしては、透孔、凹孔、凸部等が採用可能である。
この様なエンコーダ23a、24aを組み込んだ本実施例の場合、合計3個のセンサの検出部を、これら両エンコーダ23a、24aの被検出面で、上記各被検出用特性部25a、26a、26cを形成した部分に対向させる。そして、上記エンコーダ24aの軸方向に対し平行な、被検出用特性部26c、26cに対向したセンサの出力信号が変化する瞬間を基準として、残り2個のセンサの出力信号の位相のずれの方向及び大きさを求める。即ち、上記被検出用特性部26c、26cに対向したセンサの出力信号が変化する瞬間は、回転側軌道輪と静止側軌道輪との相対変位に関係なく一定のままである。そして、上記残り2個のセンサの出力信号の位相は、この相対変位の方向及び大きさに応じて、上記被検出用特性部26c、26cに対向したセンサの出力信号の位相に対してずれる。そこで、上記2個のセンサの出力信号の位相のずれの方向及び大きさに基づいて、回転側軌道輪と静止側軌道輪との相対変位の方向及び大きさを求める事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例1と同様である。
図8〜10は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合には、センサ(の検出部)の数をより一層減らす(合計2個に抑える)為に、被検出用特性部の数を少なく(2個所と)している。即ち、本実施例の場合、ラジアル方向の変位を求める為のエンコーダ23bの軸方向片側面に存在する円輪状の被検出面に、それぞれがこの被検出面の径方向外方に向かう程幅寸法が大きくなる、台形の被検出用特性部25b、25bを形成している。又、アキシアル方向の変位を測定する為のエンコーダ24bの外周面に存在する円筒状の被検出面に、それぞれが軸方向一端部{図8、10の(B)の左端部}に向う程円周方向に亙る幅寸法が大きくなる、台形状の被検出用特性部26d、26dを形成している。そして、上記両エンコーダ23b、24bの被検出面の下端部に、図10に示す様に、単一のセンサホルダ17aに保持した、これら両エンコーダ23b、24b毎にそれぞれ1個ずつのセンサの検出部27a、27bを、軸方向或いは径方向の測定隙間を介して、近接対向させている。上記各被検出用特性部25b、26dとしては、透孔、凹孔、凸部等が採用可能である。
上述の様に構成する本実施例の場合には、上記両センサは、上記両エンコーダ23b、24bの被検出面に存在する被検出用特性部25b、26dの通過に対応して変化する、パルス状の出力信号を発生する。そして、上記両エンコーダ23b、24bの出力信号のデューティ比(高電圧継続時間/1周期)は、上記両センサの検出部27a、27bが対向する、上記各被検出用特性部25b、26dの円周方向に関する幅寸法に応じて変化する。例えば、図9の(A)に実線イで示す様に、上記両センサの検出部27a、27bが上記各被検出用特性部25b、26dの中央部を走査した場合、これら両センサの出力信号のデューティ比は、図9の(B)に示す様に、ほぼ50%となる。これに対して、図9の(A)に鎖線ロで示す様に、上記両センサの検出部27a、27bが上記各被検出用特性部25b、26dのうちで円周方向に関する幅寸法が大きくなった部分を走査した場合、上記両センサの出力信号のデューティ比は、図9の(C)に示す様に、50%未満となる。そこで、これら両センサの出力信号に基づいて、回転側軌道輪と静止側軌道輪との相対変位の方向及び大きさを求める事ができる。
その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例1と同様である。
本発明は、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットで実施した場合に、複数方向の荷重を検出してこれを制御に使用する事により、自動車の走行安全性向上を図れる。これとは別に、一般機械用の転がり軸受ユニットに適用した場合であっても、各種実用的な作用・効果を得られる。例えば、工作機械の回転支持部を構成する転がり軸受ユニットに適用すれば、切削荷重を監視する事で、精度の良い加工が可能となるし、過大入力等の異常監視を行なって、被加工物や工作機械の損傷防止を図る事も可能になる。
本発明を説明する為の、車輪支持用転がり軸受ユニットの模式図。 アキシアル方向の変位とアキシアル荷重との関係を示すゲイン曲線にラジアル荷重が及ぼす影響を示す線図。 ラジアル方向の変位とラジアル荷重との関係を示すゲイン曲線にアキシアル荷重が及ぼす影響を示す線図。 本発明をより具体的に説明する為の、懸架装置に対する車輪支持部分の略断面図。 本発明の実施例1に組み込むエンコーダを示しており、(A)はラジアル方向の変位を検出する為の被検出面を軸方向から見た図、(B)はアキシアル方向の変位を検出する為の被検出面を径方向から見た図。 変位に伴う1対のセンサの出力信号の変化状態を示す線図。 本発明の実施例2に組み込む1対のエンコーダを示す、図5と同様の図。 同実施例3に組み込む1対のエンコーダを示す、図5と同様の図。 変位に伴うセンサの出力信号の変化状態を示す線図。 一体型のセンサと組み合わせた状態を示す、図8と同様の図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第1例の断面図。 この第1例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第2例に組み込むエンコーダの斜視図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第3例の断面図。 この第3例に組み込むエンコーダの断面図。 先発明に係る荷重測定装置付転がり軸受ユニットの第4例に組み込むエンコーダを軸方向から見た側面図。 アキシアル方向の変位とアキシアル荷重との関係を表すゲイン曲線の1例を示す線図。 アキシアル方向の変位とアキシアル荷重との関係を示すゲイン曲線がラジアル荷重により変化し、その結果アキシアル荷重の推定値がずれる状態を説明する為の線図。 このずれに基づいてアキシアル荷重の推定値に誤差が生じる状態を説明する為の線図。 同様の理由により、ラジアル荷重の推定値に誤差が生じる状態を説明する為の線図。
符号の説明
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 荷重測定装置
3 外輪
4 ハブ
5 転動体
6 外輪軌道
7 取付部
8 ハブ本体
9 内輪
10 フランジ
11 内輪軌道
12、12a、12b、12c エンコーダ
13 センサ
14a、14b、14c、14d、14e、14f 透孔
15 取付孔
16 カバー
17、17a センサホルダ
18 ナックル
19 車輪
20 ロータ
21 タイヤ
22 路面
23、23a、23b エンコーダ
24、24a、24b エンコーダ
25、25a、25b 被検出用特性部
26a、26b、26c、26d 被検出用特性部
27a、27b 検出部

Claims (5)

  1. 転がり軸受ユニットと荷重測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、使用状態でも回転しない静止側軌道輪と、使用状態で回転する回転側軌道輪と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との互いに対向する周面に存在する静止側軌道と回転側軌道との間に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    上記荷重測定装置は、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の何れかの方向の相対変位を測定する為の第一の変位測定手段と、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間の別の方向の相対変位を測定する為の第二の変位測定手段と、これら第一、第二の変位測定手段の測定値に基づいて上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間に作用する荷重を算出する演算器とを備えたものであり、
    この演算器は、上記何れかの方向の相対変位とこの何れかの方向に加わる荷重と上記別の方向に加わる荷重との関係を表した第一のゲイン特性関係データ、及び、この別の方向の相対変位とこの別の方向に加わる荷重と上記何れかの方向に加わる荷重との関係を表した第二のゲイン特性関係データを記憶しており、上記第一の変位測定手段及び上記第二の変位測定手段により求められる、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の、上記両方向の相対変位量に基づいて収束計算を行ない、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる上記両方向のうちの少なくとも一方の方向の荷重成分を求める機能を有するものである
    荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  2. 第一、第二の変位測定手段が、回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持された、互いに異なる方向に存在する被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させた1対のエンコーダと、それぞれの検出部を何れかのエンコーダの被検出面に対向させた状態で回転しない部分に支持され、この被検出面の特性変化に対応してその出力信号を変化させる、少なくとも1対のセンサとを備えており、
    上記両エンコーダの被検出面の特性が円周方向に関して変化するピッチ若しくは位相は、それぞれの被検出面の幅方向に関して連続的に変化しており、
    演算器は、上記両センサの出力信号が変化するパターンに基づいて静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間の各方向の相対変位量を算出し、更にこれら各方向の相対変位量に基づいて、これら静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に加わる、上記互いに異なる方向のうちの少なくとも一方向の荷重成分を求める機能を有する、
    請求項1に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  3. 一方のエンコーダの被検出面が軸方向側面であって、演算器は、この一方のエンコーダの被検出面に対向する一方のセンサの出力信号に基づいて、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間のラジアル方向の相対変位量を算出し、他方のエンコーダの被検出面が周面であって、演算器は、この他方のエンコーダの被検出面に対向する他方のセンサの出力信号に基づいて、上記静止側軌道輪と上記回転側軌道輪との間のアキシアル方向の相対変位量を算出する、請求項2に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  4. 1対のエンコーダが一体化されている、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
  5. 転がり軸受ユニットが、自動車の懸架装置に車輪を支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットであり、演算器が求める荷重成分が、上記自動車の前後方向のラジアル荷重と、上下方向のラジアル荷重と、幅方向のアキシアル荷重と、鉛直軸回りのモーメントと、水平軸回りのモーメントとのうちから選択される少なくとも1種類の荷重である、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した荷重測定装置付転がり軸受ユニット。
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