JP5348041B2 - 転がり軸受ユニットの物理量測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、この車輪に作用する荷重等の物理量を測定する為に利用する、転がり軸受ユニットの物理量測定装置の改良に関する。
自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型等の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更には、電子制御式ビークルスタビリティコントロールシステム(ESC)等の車両用走行安定化装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定化装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等を表す信号が必要になる。そして、より高度の制御を行う為には、車輪を介して前記転がり軸受ユニットに加わる荷重(例えばラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、特殊なエンコーダを使用して、転がり軸受ユニットに加わる荷重の大きさを測定可能とする発明が記載されている。図1〜3は、この特許文献1に記載された構造そのものではないが、この特許文献1に記載された構造と同じ荷重の測定原理を採用している、転がり軸受ユニットの状態量測定装置に関する従来構造の1例を示している。この従来構造の1例は、車輪支持用の転がり軸受ユニット1と、エンコーダ2と、1対のセンサ3a、3bと、図示しない演算器とを備える。
このうちの転がり軸受ユニット1は、図1に示す様に、懸架装置に結合固定された状態で使用時にも回転しない静止輪である外輪4の内径側に、使用時に車輪を支持固定した状態でこの車輪と共に回転する回転輪であるハブ5を、それぞれが転動体である複数個の玉6、6を介して、回転自在に支持している。これら各玉6、6には、互いに逆向きの(背面組み合わせ型の)接触角と共に、予圧を付与している。
又、前記エンコーダ2は、磁性金属板により全体を円環状に造られたもので、前記ハブ5の軸方向内端部(軸方向に関して「内」とは、自動車への組み付け状態で車両の幅方向中央側を言い、図1の右側。反対に、車両の幅方向外側となる図1の左側を、軸方向に関して「外」と言う。本明細書の全体で同じ。)に、このハブ5と同心に支持固定されている。この様なエンコーダ2は、軸方向内端部に存在する円筒部の外周面を、被検出面としている。この為に、この被検出面に対応する部分に、図2に示す様な透孔7、7と柱部8、8とを、円周方向に関して交互に且つ等間隔に形成している。これら各透孔7、7と各柱部8、8との境界は、前記エンコーダ2の軸方向に対し同じ角度だけ傾斜させると共に、この軸方向に対する傾斜方向を、この軸方向の中央部を境に互いに逆方向としている。従って、前記各透孔7、7と前記各柱部8、8とは、軸方向中央部が円周方向に関して最も突出した「く」字形となっている。そして、前記境界の傾斜方向が互いに異なる、前記被検出面の軸方向外半部と軸方向内半部とのうち、軸方向外半部を第一の特性変化部9とし、軸方向内半部を第二の特性変化部10としている。
又、前記1対のセンサ3a、3bは、前記外輪4の内端開口を塞ぐ有底円筒状のカバー11の内側に支持固定されている。この様な両センサ3a、3bはそれぞれ、永久磁石と、検出部を構成する磁気検知素子とから成り、このうちの一方のセンサ3aの検出部を前記第一の特性変化部9に、他方のセンサ3bの検出部を前記第二の特性変化部10に、それぞれ近接対向させている。又、これら両センサ3a、3bの検出部が前記両特性変化部9、10に対向する位置は、前記エンコーダ2の円周方向に関して同じ位置にしているか、或いは、既知の値だけずらせている。これと共に、前記外輪4とハブ5との間にアキシアル荷重が作用していない中立状態で、前記各透孔7、7及び柱部8、8の軸方向中央部で円周方向に関して最も突出した部分(境界の傾斜方向が変化する部分)が、前記両センサ3a、3bの検出部同士の間の丁度中央位置に存在する様に、各部材の設置位置を規制している。
又、前記図示しない演算器は、前記両センサ3a、3bの出力信号に基づいて、後述する様な演算処理を行う事により、前記外輪4と前記ハブ5との間に作用するアキシアル荷重等の物理量を算出する機能を有する。
上述の様に構成する転がり軸受ユニットの物理量測定装置の場合、前記外輪4とハブ5との間にアキシアル荷重が作用し、これら外輪4とハブ5とがアキシアル方向に相対変位すると、前記両センサ3a、3bの出力信号の位相がずれる。即ち、前記外輪4と前記ハブ5との間にアキシアル荷重が作用していない中立状態では、前記両センサ3a、3bの検出部は、図3の(A)の実線イ、イ上、即ち、前記最も突出した部分から軸方向に同じだけずれた部分に対向する。従って、前記両センサ3a、3bの出力信号の位相は、例えば同図の(C)に示す様に一致する。
これに対して、前記エンコーダ2を固定したハブ5に、図3の(A)で下向きのアキシアル荷重が作用した場合には、前記両センサ3a、3bの検出部は、図3の(A)の破線ロ、ロ上、即ち、前記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが互いに異なる部分に対向する。この状態では前記両センサ3a、3bの出力信号の位相は、例えば同図の(B)に示す様にずれる。
更に、前記エンコーダ2を固定したハブ5に、図3の(A)で上向きのアキシアル荷重が作用した場合には、前記両センサ3a、3bの検出部は、図3の(A)の鎖線ハ、ハ上、即ち、前記最も突出した部分からの軸方向に関するずれが、前述の場合と逆方向に互いに異なる部分に対向する。この状態では前記両センサ3a、3bの出力信号の位相は、例えば同図の(D)に示す様にずれる。
即ち、上述の様に構成する転がり軸受ユニットの物理量測定装置の場合には、前記外輪4と前記ハブ5との間にアキシアル荷重が作用する事により、これら外輪4とハブ5とがアキシアル方向に相対変位すると、これに伴って、前記両センサ3a、3bの出力信号のパルスエッジ情報である、これら両出力信号同士の間に存在する位相差比(=位相差/1周期)が変化する。この位相差比は、前記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)に見合った値をとる。従って、この位相差比に基づいて、前記アキシアル荷重の作用方向及び大きさ(前記相対変位の方向及び大きさ)を求める事ができる。尚、これらを求める演算処理は、前記図示しない演算器により行う。この為、この演算器のメモリ中には、予め理論計算や実験により調べておいた、前記位相差比と、前記アキシアル方向の相対変位又は荷重との関係(零点及びゲイン)を表す、式やマップを記憶させておく。
ところで、上述した従来構造の場合、前記エンコーダ2に、形状誤差や取付け時の傾き、偏芯等の幾何的な誤差が存在すると、前記両センサ3a、3bの出力信号に誤差成分が含まれる様になり、延いては、これら両センサ3a、3bの出力信号から求められる位相差比にも誤差成分が含まれる様になる。例えば、前記エンコーダ2の幾何中心と回転中心とが傾斜していると、このエンコーダ2が振れ回る、即ち、このエンコーダ2の回転に伴って、このエンコーダ2の被検出面に軸方向に関する振れが生じる。この結果、前記両センサ3a、3bの出力信号の位相が、当該振れに伴って変化する。即ち、これら両センサ3a、3bの出力信号に、当該振れに基づく誤差成分が含まれる様になり、延いては、これら両センサ3a、3bの出力信号から求められる位相差比にも、当該振れに基づく誤差成分が含まれる様になる。従って、何らの対策も施さない場合には、前記アキシアル方向の相対変位及び荷重の測定に関する信頼性が低下する。
この様な事情に鑑みて、前記特許文献1には、前記位相差比を表す信号に適応フィルタによるフィルタリング処理を施す事で、当該信号に含まれる上述の様な誤差成分を除去する事が記載されている。以下、当該適応フィルタの動作に就いて、前記エンコーダ2の組付け誤差等に基づく、このエンコーダ2の振れ回り等による誤差成分(回転1次の誤差成分)を除去する場合を中心に、上述の図1〜3に加えて、図4を参照しつつ説明する。
図4に示す様に、前記両センサ3a、3bの出力信号から得られる位相差比(計測された位相差比)を表す信号dは、前記アキシアル方向の相対変位及び荷重に見合った位相差比(本来の位相差比)を表す信号ddと、前記エンコーダ2の振れ回り等による誤差成分dnとが足し合わされたもの(d=dd+dn)になる。従って、前記適応フィルタ12により、前記計測された位相差比を表す信号dから、前記誤差成分dnを差し引けば(減ずれば)、前記本来の位相差比を表す信号ddを求められる事になる。
一方、前記適応フィルタ12を作動させる為には、前記誤差成分dnと相関性のある参照信号xが必要になる。この参照信号xを入手できれば、前記適応フィルタ12は自己学習によって、実際の信号の流れ「dn→d」の伝達特性と同じ特性を持った、FIR(Finite Impulse Response)フィルタを形成する。そして、前記計測された位相差比を表す信号dから、前記適応フィルタ12による計算の結果得られる、キャンセル信号y{後述するy(k)}を差し引けば、前記計測された位相差比を表す信号dから前記誤差成分dnを取り除いた(d−dn)事と等価になる。この様にして誤差成分dnを取り除く場合に、前記適応フィルタ12は、信号の主ルート(図4の上半部分)を送られる、前記計測された位相差比を表す信号dに対してフィルタリングするのではなく、副ルート(図4の下半部分)を送られる参照信号xに基づいて前記誤差成分dnを取り除く為のキャンセル信号yを計算する。そして、前記計測された位相差比を表す信号dから前記キャンセル信号yを引き算する。
前記参照信号xは、前記エンコーダ2の振れ回りを、変位センサや回転速度センサ等、別途設けたセンサにより検出し、このセンサの検出信号を使用して入手する事もできるが、この様なセンサを使用せずに、自己生成する事もできる。即ち、前記エンコーダ2の1回転中での特性変化の回数(透孔7、7の数)は予め分かっている。従って、このエンコーダ2の1回転分のパルス数を観察する事で、前記誤差成分dnと相関のある参照信号xを自己生成できる。具体的には、前記エンコーダ2の軸方向に関する振れの影響は、回転1次が主成分の波形であり、例えばこのエンコーダ2が、1回転当り60パルスのものであれば、60データで1周期となる様なサイン波、三角波、鋸波、矩形波、パルス波等として自己生成できる。
この様な参照信号xの波形は、前記アキシアル方向の相対変位や荷重を算出する為の処理回路(CPU)で生成する事もできるし、前記両センサ3a、3bに付属の電子回路部(IC)で生成する事もできる。何れにしても、得られた参照信号xに基づいてキャンセル信号yを求めたならば、このキャンセル信号yを、前記計測された位相差比を表す信号dから差し引いて、前記本来の位相差比を表す信号ddを表す修正信号e{後述するe(k)}を求める。この様にして求めた修正信号eは、前記アキシアル方向の相対変位や荷重を算出する為の処理回路でこれらを算出する為に利用する他、前記適応フィルタ12が自己学習する為の情報としても利用する。
尚、前記適応フィルタ12部分で、前記キャンセル信号yを求め、更にこのキャンセル信号yを前記計測された位相差比を表す信号dから差し引いて、前記修正信号eを得る為の処理は、次の(1)〜(3)式に基づいて行う。
Figure 0005348041
Figure 0005348041
Figure 0005348041
これら(1)(2)(3)式中、kは時系列でのデータ番号、Nは前記適応フィルタ12として用いるFIRフィルタのタップ数である。又、wはこのFIRフィルタのフィルタ係数を表し、wkはk番目のデータ処理をする場合に使用するフィルタ係数を、wk+1は次のデータ系列(k+1番目)を処理する場合に使用するフィルタ係数を、それぞれ表している。即ち、前記FIRフィルタは、前記(3)式により逐次適正にフィルタ係数が更新されていく適応フィルタとなる。
尚、前記適応フィルタ12に入力する前記参照信号xは、前記エンコーダ2の振れ等に代表される、このエンコーダ2の回転n次(nは正の整数)成分と相関のある信号であれば良いので、このエンコーダ2の1回転当り1インパルス信号でも構わない。そこで、前記参照信号xが1インパルス信号であると同時に、前記適応フィルタ12のタップ数Nが、前記エンコーダ2の1回転当りのパルス数と等しい場合を想定する。この場合、時系列kの瞬間に計算に使用する参照信号xは、次の(4)式で表される。
Figure 0005348041
この(4)式で、参照信号xが値1のインパルスとなる位置jは、時系列kが進んでいくのに従って右側に1個ずつずれて行き、一番右側のN−1番目までずれると、次の時系列では、新たなインパルス値が一番左の0番目に表れる事になる。即ち、前記参照信号xは、値1のインパルスの位置を0番目からN−1番目まで巡回させただけのデータ列となる。この(4)式を、前述の(1)(3)式に代入すると、次の(5)(6)式を得られる。
Figure 0005348041
Figure 0005348041
同期式でない、通常のLMSアルゴリズムで適応フィルタを作動させる場合には、前記(1)(2)(3)式に示す計算を繰り返し行う必要があるのに対して、同期式LMSアルゴリズムで適応フィルタを作動させる場合には、前記(5)(6)式及び(2)式に示す計算を行うだけで済む。例えば、適応フィルタ12のタップ数Nを60とした場合、通常のLMSアルゴリズムで適応フィルタ12を作動させると、エンコーダ2の1ピッチ毎の演算の回数の合計は、前記(1)式で掛け算を60回、前記(2)式で引き算を1回、前記(3)式で掛け算を120回と足し算を60回との180回、合計で241回になる。これに対して、同期式LMSアルゴリズムで適応フィルタ12を作動させる場合には、前記(5)式はデータ入れ替えのみで演算なし、前記式(2)で引き算1回、前記(6)式で掛け算1回と足し算1回との2回、合計で3回の四則演算を、前記エンコーダ2の1パルス毎に行えば良い。即ち、LMSアルゴリズムとして同期式を採用する事で、採用しない場合に比べて、演算の回数を凡そ1/80に削減できる。
但し、前記適応フィルタ12を作動させるのに同期式LMSアルゴリズムを採用した場合に、本来の位相差比を表す信号であるDC成分までもがキャンセルされる事を防止する為に、前記適応フィルタ12の零点を補正する必要がある。即ち、この適応フィルタ12を動作させるLMSアルゴリズムとして同期式を採用し、特に対策を施さない場合には、前記エンコーダ2の振れ回りに基づく変動成分だけでなく、本来の位相差比を表すDC成分までもがキャンセルされて、出力値が零となる。これは、適応動作によって前記適応フィルタ12のフィルタ係数wがDCレベルを持ってしまい、結果としてこの適応フィルタ12の出力信号yがDCレベルを持ってしまう為に生じる現象である。この問題を解決する為には、前記(6)式で表されるフィルタ係数wの平均値から前記DCレベルを算出し、このDCレベルに参照信号xのインパルス値を掛け算したDC信号を計算しておく(インパルス値が1である場合には掛け算不要)。そして、前記適応フィルタ12によって誤差成分をキャンセルされた修正信号eに、上述の様にして計算したDC信号を加える事で、正確な位相差比を表すDCレベルを得られる様にする。
尚、演算を開始する際に最初に用いるフィルタ係数wkは、零を代入しておいても、動き始めれば自己適応していくので差し支えはないが、予め望ましいフィルタ特性を求めてその値を代入しておいても良い。或いは、前回の処理で最後に使用したフィルタ係数を、EEPROM等の記憶手段に記憶しておき、再始動時に使用しても良い。更には、最初に入力される信号により表されるデータを、前記フィルタ係数の初期値とする事もできる。
又、前記(3)式中のμは、ステップサイズパラメータと呼ばれる、フィルタ係数を自己適正化させていく場合の更新量を決定する値であり、通常0.01〜0.001程度の値となるが、実際には、適応動作の妥当性を事前に調べて設定するか、次の(7)式を用いて逐次更新する事もできる。
Figure 0005348041
尚、この(7)式中のαも、フィルタ係数を自己適正化させていく為の更新量を決定するパラメータとなるが、0<α<1の範囲であれば良く、前記μよりも設定が容易である。又、前記参照信号xを自己生成する場合には、前記(7)式中の分母の値は既知であり、μの最適値を事前に算出しておく事もできる。計算量削減の観点からは、予め(7)式でこのμを算出しておき、このμを定数として前記(3)式でフィルタ係数を自己適正化させるのが望ましい。
尚、特許文献2には、外輪4等の静止側軌道輪と、ハブ5等の回転側軌道輪との間に作用する荷重を求める為の構造として、単一のセンサの出力信号のパルスエッジ情報であるデューティ比(=高電位継続時間/1周期)から求める構造(例えば特許文献2の図18により説明されている構造)や、同じくパルス比(=1パルス分周期/2パルス分周期)から求める構造(例えば、特許文献2の図10により説明されている構造)が記載されている。これらデューティ比やパルス比により前記荷重を求める構造に就いても、本発明の対象となり、これらデューティ比やパルス比を表す信号に上述した適応フィルタによるフィルタリング処理を施せば、当該信号に含まれるエンコーダの振れ回り等による誤差成分を除去する事ができる。但し、前記デューティ比やパルス比により荷重を求める為の構造及び作用は、前記特許文献2に詳しく記載されている。この為、これらに就いての図示並びに説明は省略する。
ところで、上述した様な各転がり軸受ユニットの物理量測定装置の場合、構成部品や配線等に欠陥が生じる事に起因して、センサ(3a、3b)の出力信号に異常が発生すると、演算器により正確な物理量(相対変位、荷重)を算出できなくなる。そして、この様な正確でない物理量の算出結果を車両制御に利用すると、この車両制御を的確に行えなくなる為、好ましくない。従って、前記センサの出力信号に異常が発生した場合には、前記演算器が算出した物理量に基づく車両制御を停止する、フェイルセーフを行う事が好ましい。
但し、前記センサの出力信号に発生する異常には、部品や配線に欠陥が生じる等の、システム欠陥が生じる事に起因して発生する異常だけでなく、電気的ノイズが生じる等の、システム欠陥以外の事態が生じる事に起因して発生する異常も存在する。これら各異常のうち、システム欠陥が生じる事に起因して発生する異常は、多発的に或いは連続的に発生し、その後、正常な状態に回復する見込みがない。この為、当該異常が発生した場合には、可及的速やかに上述したフェイルセーフ等を行う事が望ましい。これに対し、システム欠陥以外の事態が生じる事に起因して発生する異常は、単発的に或いは一時的に(一般的には、パルスのダブルカウントやパルス抜けと言った態様で)発生し、その後、正常な状態に回復する場合が多い。この為、当該異常が発生した場合には、直ちに上述したフェイルセーフ等を行うのではなく、当該異常が発生した際に算出される異常な物理量が車両制御に利用されるのを回避しつつ、この車両制御を継続できる様にする事が望ましい。
この様な要望に応えるべく、特許文献3には、転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いて、センサから送られてくる出力信号のパルスに異常がある場合に異常判定を下す機能と、当該機能が異常判定を下した場合に、この異常判定を下されたパルスに基づく物理量の算出結果を出力せず、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する機能を備えた構造、並びに、これらの機能に加えて、前記異常判定を下す頻度が予め設定しておいた頻度を超えた場合に、システム欠陥が発生したと旨の判定を下す機能を備えた構造が記載されている。
ところが、前記特許文献3に記載された構造の場合には、検知すべき異常として、上述したパルスのダブルカウントやパルス抜けを想定しているが、実際には、次の様な異常が発生する場合もある。即ち、前記センサの検出部として使用されるホールICには、正常動作として、磁気変化の検出中に感度や零点を自動校正する機能を有するものがある(例えば、非特許文献1参照)。前記センサの検出部として、この様な自動校正機能を備えたホールICを使用する場合には、この自動校正が行われる際に、パルスエッジ情報(位相差比、デューティ比、パルス比)が突発的に(一瞬だけ急激に)変化する。この様なパルスエッジ情報の突発的な変化は、前記ホールICの正常動作として、システム欠陥とは無関係に起こるものであるが、転がり軸受ユニットの物理量の変化とも無関係に起こるものである。この為、この様に突発的に変化したパルスエッジ情報に基づいて物理量を算出すると、この物理量が突発的に変化した様な、正確でない算出結果が出力される事になる。従って、この様な正確でない物理量の算出結果も、車両制御に利用されない様にする事が好ましい。
しかしながら、前記特許文献3に記載された異常の有無の判定方法、即ち、1対のセンサの出力信号同士の間に閾値を超える様な周波数差(周期差)が生じた場合に異常判定を下す方法では、上述したパルスのダブルカウントやパルス抜けと言った異常を検知できても、上述したパルスエッジ情報に突発的な変化が生じる異常を検知できない可能性がある。従って、この様なパルスエッジ情報に突発的な変化が生じる異常を検知できる構造を実現する事が望まれる。
又、上述した特許文献3に記載された構造が備える機能のうち、センサから送られてくる出力信号のパルスに対して異常判定を下した場合に、この異常判定を下されたパルスに基づく物理量の算出結果を出力せず、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する機能は、有効な機能である。しかしながら、前述の図4に示した適応フィルタによるフィルタリング処理を実施する場合には、当該機能だけでは十分とは言えない。当該フィルタリング処理を実施する場合には、前記センサの出力信号のパルスに単発的な或いは一時的な異常が発生してから、このパルスが正常に戻った後も、しばらくの間は、物理量の算出結果が正常に戻らなくなる為である。この理由は、以下の通りである。
先ず、パルスの異常判定を下した場合も、継続して当該フィルタリング処理を実施する方法を採用すると、前述した様に適応フィルタ(LMS)は、パルスエッジ情報(データ)を取得する度に逐次フィルタ係数wを更新(自己同定)する為、異常時のパルスエッジ情報に基づいてフィルタ係数wの自己同定が行われる事になる。そうすると、それまでに正常に自己同定してきたフィルタ係数wが乱れてしまう。この結果、前記パルスが正常に戻った後も、しばらくの間(再自己同定が完了するまで=フィルタが収束するまで)は、物理量の算出結果が乱れて正常に戻らなくなる。
これに対して、パルスの異常判定を下した場合に、当該フィルタリング処理を実施しない方法を採用すると、当該フィルタリング処理を1回実施しない事に伴って、パルスエッジ情報(データ)に対するフィルタ係数wの位置(対応位置)が1パルス分ずれる(遅れる)。即ち、実際のパルス位置は、当該フィルタリング処理を実施するか否かに拘らず動いている為、当該フィルタリング処理を1回実施しないと、適応フィルタ(LMS)が認識しているパルス位置が、実際のパルス位置に対して1パルス分遅れる。一方、前記適応フィルタは、フィルタリング処理前のパルスエッジ情報(生データ)に周期的に含まれる誤差成分を、キャンセル信号y(フィルタ係数w)で引き算して除去するが、上述の様にフィルタ係数wの対応位置がずれると、引き算する位置もずれるので、正常な誤差成分の除去ができなくなる。この結果、前記パルスが正常に戻った後も、しばらくの間(再自己同定が完了するまで=フィルタが収束するまで)は、正常な誤差成分の除去ができなくなり、物理量の算出結果が正常に戻らなくなる。
この様な事情に鑑みて、前記特許文献3には、前記パルスに単発的な或いは一時的な異常が発生してから、このパルスが正常に戻った後、しばらくの間は、当該異常が発生する前に算出した最後の正常な物理量を出力させ続ける方法が記載されている。この様な方法は、上述の様な乱れた物理量の算出結果を出力しない点で、好ましい。しかしながら、より好ましくは、前記パルスが正常に戻った後、直ちに、その時点での物理量を正常に算出できる構造を実現する事が望まれる。
特開2008−39537号公報 特開2007−40954号公報 特開2009−14389号公報
Infineon Technologies、「Differential Two-Wire Hall Effect Sensor IC(TLE4941, TLE4941C)」p.2上段、[online]、[平成22年3月15日検索]、インターネット<URL: http://www.datasheetcatalog.org/datasheet/infineon/1-020128_TLE4941_1.pdf>
本発明の転がり軸受ユニットの物理量測定装置は、上述の様な事情に鑑みて、センサの検出部を構成するホールICが感度や零点の自動校正をする事に伴ってパルスエッジ情報に突発的な変化が生じた場合にも異常判定を下せる構造と、異常なパルスが正常に戻った後、直ちに、その時点での物理量を正常に算出できる構造とのうちの、少なくとも一方の構造を実現すべく発明したものである。
本発明の転がり軸受ユニットの物理量測定装置は何れも、転がり軸受ユニットと、物理量測定装置とを備える。
このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、この静止側周面と径方向に対向する回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、この回転側軌道と前記静止側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備える。
又、前記物理量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備える。
このうちのエンコーダは、前記回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させている。
又、前記センサは、検出部を前記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、回転しない部分に支持されていて、前記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させる。
前記演算器は、前記センサの出力信号のパルスエッジ情報である、1対のセンサの出力信号同士の間の位相差比(=位相差/1周期)、単一のセンサの出力信号のデューティ比(=高電位継続時間/1周期)と、単一のセンサの出力信号のパルス比(=1パルス分周期/2パルス分周期)とのうちの、何れか1つのパルスエッジ情報を算出する情報算出機能と、この情報算出機能により算出されたパルスエッジ情報に含まれる誤差成分を除去する為にこのパルスエッジ情報を表す信号に対して適応フィルタ(通常のLMSアルゴリズム又は同期式LMSアルゴリズムで作動する適応フィルタ)によるフィルタリング処理を施すフィルタ機能と、このフィルタ機能により誤差成分を除去されたパルスエッジ情報に基づいて、前記静止側、回転側両軌道輪同士の間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の物理量を算出する物理量算出機能を有する。
特に、請求項1に記載した転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いては、前記演算器は、前記センサから送られてくる出力信号のパルスに異常(パルスのダブルカウントやパルス抜け等)がある場合に異常判定を下すパルス異常判定機能を有し、且つ、このパルス異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定を下されたパルスに基づく、前記情報算出機能、前記フィルタ機能、及び前記物理量算出機能による処理、並びに、物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力すると共に、前記適応フィルタのフィルタ係数の対応位置を1パルス分だけ進める機能を有する。又、必要に応じて、前記異常判定を下した際に、その旨を表す信号を出力する機能を付加する事もできる。
尚、前記パルス異常判定機能に関しては、例えば前述の図1〜3に示した従来構造の様に、前記物理量測定装置がセンサを複数個備えている場合には、例えば、これら各センサの出力信号のパルス周波数又はパルス周期を相互に比較し、この比較の結果に、予め設定しておいた閾値を越える差が生じた場合に、異常判定を下す様に構成する事ができる。即ち、例えば前述の図1〜3に示した従来構造の場合、1対のセンサ3a、3bの出力信号に異常が発生していない、正常時には、ハブ5と共に回転するエンコーダ2の回転速度の変化や、外輪4とハブ5との間に作用する外力の変化が生じても、これに伴って、前記両センサ3a、3bの出力信号同士の間に、パルス周波数差やパルス周期差が発生する事はない。これに対し、前記エンコーダ2の被検出面には、多少なりとも特性変化のピッチ誤差が存在する。この為、このピッチ誤差に起因して、前記両センサ3a、3bの出力信号同士の間に、僅かなパルス周波数差やパルス周期差が発生する場合がある。この為、この様なピッチ誤差に基づいて発生すると想定されるパルス周波数差やパルス周期差よりも所定量だけ大きい値を、閾値として設定しておけば、上述した様な異常判定を行える。
同じく、前記パルス異常判定機能に関しては、例えば前記特許文献2の図10や図18により説明されている構造の様に、前記物理量測定装置が1個のセンサのみを備えている場合には、例えば、このセンサの出力信号のパルスエッジ(パルスの立下りエッジ又は立上りエッジ)の入力タイミングを観察する。そして、この入力タイミングが、エンコーダの被検出面の特性変化パターンに見合った入力タイミングと比較して、予め設定しておいた範囲を超えて大きくずれた場合に、異常判定を下す様に構成する事ができる。尚、当該範囲は、前記被検出面のピッチ誤差や、静止側軌道輪と回転側軌道輪との間に作用する外力に基づいてセンサの出力信号の1周期毎に生じる可能性のある、前記パルスエッジの位相変化の最大値等を考慮して決定すれば良い。
又、前述した様に、前記演算器は、前記パルス異常判定機能が異常判定を下した場合に、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する機能を有する。この機能は、実際の演算器CPUプログラムに於いて、前記パルス異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定が下されたパルスに基づく物理量の演算そのものが行われず、当該物理量が出力用メモリーに書き込まれない事と等価である。この理由は、当該物理量が出力用メモリーに書き込まれない事によって自動的に、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果が出力される事になる為である。
以上に述べた、請求項1に記載した発明に関して、センサから送られてくる出力信号のパルスに異常がある場合の前記演算器の処理をフローで説明すると、「センサの出力信号(パルスエッジ)の取得」→「パルスの異常(パルスのダブルカウントやパルス抜け等)の有無の判定」→(異常判定が下されたら)→「フィルタリング処理を行わずに適応フィルタのフィルタ係数の対応位置を1パルス分だけ進める」→「それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する」となる。
これに対して、請求項2に記載した転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いては、前記演算器は、前記情報算出機能により算出される事で取得されたパルスエッジ情報と、前記フィルタ機能により誤差成分を除去される事で取得されたパルスエッジ情報とのうちの、何れか一方のパルスエッジ情報のみを対象として、前記センサの出力信号の1周期毎に取得される当該パルスエッジ情報に関し、先に取得された当該パルスエッジ情報とその次に取得された当該パルスエッジ情報との差である変化量が予め設定しておいた閾値を超えて大きくなった場合に異常判定を下す情報異常判定機能を有する。且つ、この情報異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定を下された(突発的に変化した)パルスエッジ情報に基づく、前記物理量算出機能による処理、並びに、物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力すると共に、前記適応フィルタのフィルタ係数の更新(自己同定)を行わない機能も有する。又、必要に応じて、前記異常判定を下した際に、その旨を表す信号を出力する機能を付加する事もできる。
尚、前記情報異常判定機能に関しては、例えば、次の様にして前記閾値を決定する事ができる。
即ち、センサの出力信号の1周期毎に取得され、前記情報算出機能により算出されるパルスエッジ情報に関し、先に取得された当該パルスエッジ情報とその次に取得された当該パルスエッジ情報との差である変化量(以下、必要に応じて、「当該パルスエッジ情報に関する変化量」と言う。)は、エンコーダの被検出面の特性変化のピッチ誤差(形状誤差に基づくものと、組み付け誤差に基づくものとの、両方を含む)と、転がり軸受ユニットの両軌道輪同士の間に作用する外力とに依存する。このうちのピッチ誤差は、出荷時の検査で合格となる上限値が決まっている。この為、このピッチ誤差によって生じる当該パルスエッジ情報に関する変化量の最大値を想定できる。又、前記外力は、転がり軸受ユニットの用途が分かっていれば、その最大値(例えば、自動車の車輪を支持する用途であれば、急ハンドルや悪路走行によって作用する外力の最大値)やその変化速度を想定できる。又、前記転がり軸受ユニットの剛性や、前記エンコーダの被検出面の特性変化パターンは既知である。この為、前記外力によって生じる当該パルスエッジ情報に関する変化量の最大値を想定できる。
従って、前記情報算出機能により算出される事で取得されたパルスエッジ情報を対象として、前記情報異常判定機能による異常判定を行う場合には、前記ピッチ誤差及び前記外力によって生じる当該パルスエッジ情報に関する変化量の最大値を想定する。そして、この最大値よりも所定量だけ大きい値を前記閾値として設定すれば、上述した異常判定を有効に行える。
これに対して、前記フィルタ機能により誤差成分を除去される事で取得されたパルスエッジ情報を対象として、前記情報異常判定機能による異常判定を行う場合には、前記外力によって生じる、当該パルスエッジ情報に関する変化量の最大値を想定する。そして、この最大値よりも所定量だけ大きい値を前記閾値として設定すれば、上述した異常判定を有効に行える。この理由は、前記フィルタ機能により誤差成分を除去される事で取得されたパルスエッジ情報に就いては、前記ピッチ誤差による変化量が除去されており、当該変化量を前記閾値に反映させる必要がない為である。
又、前述した様に、前記演算器は、前記情報異常判定機能が異常判定を下した場合に、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する機能を有する。この機能は、実際の演算器CPUプログラムに於いて、前記情報異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定が下されたパルスエッジ情報に基づく物理量の演算そのものが行われず、当該物理量が出力用メモリーに書き込まれない事と等価である。この理由は、当該物理量が出力用メモリーに書き込まれない事によって自動的に、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果が出力される事になる為である。
以上に述べた、請求項2に記載した発明に関して、前記フィルタ機能により誤差成分を除去される事で取得されたパルスエッジ情報を対象として、前記情報異常判定機能による異常判定を行う場合で、当該パルスエッジ情報が突発的に変化する場合の前記演算器による処理をフローで説明する。先ず、前提として、「センサの出力信号(パルスエッジ)の取得」→「パルスの異常(パルスのダブルカウントやパルス抜け等)の有無の判定」→(異常判定が下されない)と言う流れがある。そして、この流れの後、「パルスエッジ情報(生データ)の算出」→「適応フィルタによるフィルタリング処理後のパルスエッジ情報(補正データ)の取得」→「パルスエッジ情報(補正データ)の突発的な変化の有無の判定」→(異常判定が下されたら)→「適応フィルタのフィルタ係数の更新を実施しない」(当然「DC成分の補正も実施しない」)→「それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する」と言う流れになる。
上述した請求項1、2に記載した発明を実施する場合に、好ましくは、演算器に、パルス異常判定機能(請求項1)又は情報異常判定機能(請求項2)が異常判定を下す頻度が、予め設定しておいた頻度を超えた場合に、物理量の算出結果の出力を停止したり、システム欠陥が発生した旨を表す信号を出力したりする、フェイルセーフ機能を付加する。
又、本発明を実施する場合に、好ましくは、演算器に、上述した請求項1に記載した発明の構成と、上述した請求項2に記載した発明の構成とを、両方とも持たせる。
上述の様に構成する本発明の請求項1に記載した転がり軸受ユニットの物理量測定装置によれば、センサから送られてくる出力信号に、パルスのダブルカウントやパルス抜け等の異常が発生した場合に、パルス異常判定機能によって、異常判定を下す事ができる。そして、この場合に、この異常判定を下されたパルスに基づく物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する事ができる。この為、システム欠陥以外の事態が生じる事に起因して、単発的に或いは一時的に発生する異常なパルスに基づく物理量の算出結果が、各種制御(例えば車両制御)に利用されない様にしつつ、当該制御を継続できる。尚、前記異常判定が下された際に出力される物理量(それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量)は、その時点での実際の物理量と異なる可能性もあるが、異なったとしても、その差異は僅かでしかないと考えられる。しかも、その影響は、前記異常判定が下された後の短い時間(通常は、センサの出力信号の1周期に相当する時間)に限られる。従って、前記各種制御の安定性を良好に維持できる。
尚、請求項1に記載した発明を実施する場合に、演算器に対して、前記異常判定を下した場合にその旨を表す信号を出力する機能を付加すれば、当該信号を、物理量を表す信号と共に、上位のアプリケーション(例えば車両制御装置)の適正制御に役立てる事ができる。
同じく、前記演算器に対して、前述したフェイルセーフ機能を付加しておけば、前記異常判定を下す頻度が、予め設定しておいた頻度を超えた場合に、物理量の算出結果の出力を停止したり、システム欠陥が発生した旨を表す信号を出力したりする事ができる。この為、この様な措置に基づいて、演算器が算出した物理量に基づく各種制御を中止する、フェイルセーフを行なえる。
又、請求項1に記載した発明の場合、前記異常判定を下した際に、この異常判定を下されたパルスに基づく、情報算出機能、フィルタ機能、及び物理量算出機能による処理を行わない。即ち、このフィルタ機能を構成する適応フィルタが、前記異常判定を下されたパルスに関するパルスエッジ情報に基づいて、フィルタ係数の更新(自己同定)を行わない(前回のフィルタ係数が更新されずに、そのまま残る)。この為、それ以前の正常なパルスに関するパルスエッジ情報に基づいて自己同定してきたフィルタ係数が乱れる事を防止できる。
これと共に、請求項1に記載した発明の場合には、前記異常判定を下した際に、前記適応フィルタのフィルタ係数の対応位置を1パルス分だけ進める。この為、前記異常判定を下した後に、この適応フィルタ(LMS)が認識しているパルス位置が実際のパルス位置に対して1パルス分遅れた状態になる事を回避できる。
従って、パルスエッジ情報が正常に戻った後、直ちに、ほぼ正確な物理量を算出する事ができる。
又、前述の様に構成する本発明の請求項2に記載した転がり軸受ユニットの物理量測定装置によれば、センサの検出部として、感度や零点の自動校正機能を備えたホールICを使用する場合で、この自動校正に伴ってパルスエッジ情報に突発的な変化が生じた場合に、情報異常判定機能によって、異常判定を下す事ができる。そして、この場合に、この異常判定を下されたパルスエッジ情報に基づく物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力する事ができる。この為、上述の様に突発的に変化したパルスエッジ情報に基づく物理量の算出結果が、各種制御(例えば車両制御)に利用されない様にしつつ、当該制御を継続できる。尚、前記異常判定が下された際に出力される物理量(それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量)は、その時点での実際の物理量と異なる可能性もあるが、異なったとしても、その差異は僅かでしかないと考えられる。しかも、その影響は、前記異常判定が下された後の極短い時間(通常は、センサの出力信号の1周期に相当する時間)に限られる。従って、前記各種制御の安定性を良好に維持できる。
尚、請求項2に記載した発明を実施する場合に、演算器に対して、前記異常判定を下した場合にその旨を表す信号を出力する機能を付加すれば、当該信号を、物理量を表す信号と共に、上位のアプリケーション(例えば車両制御装置)の適正制御に役立てる事ができる。
同じく、前記演算器に対して、前述したフェイルセーフ機能を付加しておけば、前記異常判定を下す頻度が、予め設定しておいた頻度を超えた場合に、物理量の算出結果の出力を停止したり、システム欠陥が発生した旨を表す信号を出力したりする事ができる。この為、この様な措置に基づいて、演算器が算出した物理量に基づく各種制御を中止する、フェイルセーフを行なえる。
又、請求項2に記載した発明の場合、前記異常判定を下した際に、適応フィルタが、前記異常判定を下されたパルスエッジ情報に基づいて、フィルタ係数の更新(自己同定)を行わない(前回のフィルタ係数が更新されずに、そのまま残る)。この為、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて自己同定してきたフィルタ係数が乱れる事を防止できる。
従って、パルスエッジ情報が正常に戻った後、直ちに、ほぼ正確な物理量を算出する事ができる。
本発明の対象となる転がり軸受ユニットの物理量測定装置の従来構造の1例を示す断面図。 この従来構造の1例に組み込むエンコーダの一部を径方向から見た図。 この従来構造の1例で、アキシアル荷重に基づいて1対のセンサの出力信号が変化する状態を説明する為の線図。 センサの出力信号に基づくデータをフィルタリング処理する適応フィルタのブロック図。
本発明の要点は、以下の2つである。
先ず、第一の要点は、転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いて、物理量測定装置を構成する演算器に、センサから送られてくる出力信号にパルスのダブルカウントやパルス抜け等の異常がある場合に異常判定を下すパルス異常判定機能(請求項1)や、パルスエッジ情報(位相差比、デューティ比、パルス比)に突発的な変化が生じた場合に異常判定を下す情報異常判定機能(請求項2)を持たせると共に、これら各判定機能が異常判定を下した場合の物理量の演算結果の出力の仕方を工夫する点にある。そして、システム欠陥以外の事態が生じる事に起因して、前記パルス(請求項1)又は前記パルスエッジ情報(請求項2)に単発的な或いは一時的な異常が発生した場合に、異常な物理量の算出結果が各種制御(例えば車両制御)に利用されない様にしつつ、当該制御を継続できる様にする。
又、第二の要点は、前記演算器に、前記パルス異常判定機能が異常判定を下した場合に、適応フィルタによるフィルタリング処理を行わないと共に、この適応フィルタのフィルタ係数の対応位置を1パルス分だけ進めておく機能(請求項1)や、前記情報異常判定機能が異常判定を下した場合に、適応フィルタのフィルタ係数の更新を行わない機能(請求項2)を設ける点にある。そして、前記パルス(請求項1)又は前記パルスエッジ情報(請求項2)が正常に戻った後、直ちに、ほぼ正確な物理量の演算を行える様にする。
基本となる軸受ユニットの物理量測定装置に就いては、例えば、前述の図1〜4に示した従来構造や、前記特許文献1〜3に記載されたその他の従来構造等、特許請求の範囲に記載した要件を満たす、各種の構造を採用できる。この為、重複する図示並びに説明は省略する。
本発明は、自動車の車輪支持用の転がり軸受ユニットに限らず、例えば、工作機械用のスピンドル軸をハウジングの内側に回転自在に支持する転がり軸受ユニットにも適用可能である。
1 転がり軸受ユニット
2 エンコーダ
3a、3b センサ
4 外輪
5 ハブ
6 玉
7 透孔
8 柱部
9 第一の特性変化部
10 第二の特性変化部
11 カバー
12 適応フィルタ

Claims (2)

  1. 転がり軸受ユニットと、物理量測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、この静止側周面と径方向に対向する回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、この回転側軌道と前記静止側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    前記物理量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備えたものであって、
    このうちのエンコーダは、前記回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させており、
    前記センサは、検出部を前記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、回転しない部分に支持されていて、前記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
    前記演算器は、前記センサの出力信号のパルスエッジ情報である、1対のセンサの出力信号同士の間の位相差比と、単一のセンサの出力信号のデューティ比と、単一のセンサの出力信号のパルス比とのうちの、何れか1つのパルスエッジ情報を算出する情報算出機能と、この情報算出機能により算出されたパルスエッジ情報に含まれる誤差成分を除去する為にこのパルスエッジ情報を表す信号に対して適応フィルタによるフィルタリング処理を施すフィルタ機能と、このフィルタ機能により誤差成分を除去されたパルスエッジ情報に基づいて、前記静止側、回転側両軌道輪同士の間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の物理量を算出する物理量算出機能を有するものである、
    転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いて、
    前記演算器は、前記センサから送られてくる出力信号のパルスに異常がある場合に異常判定を下すパルス異常判定機能を有し、且つ、このパルス異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定を下されたパルスに基づく、前記情報算出機能、前記フィルタ機能、及び前記物理量算出機能による処理、並びに、物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスに基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力すると共に、前記適応フィルタのフィルタ係数の対応位置を1パルス分だけ進める機能を有する事を特徴とする転がり軸受ユニットの物理量測定装置。
  2. 転がり軸受ユニットと、物理量測定装置とを備え、
    このうちの転がり軸受ユニットは、静止側周面に静止側軌道を有し、使用時にも回転しない静止側軌道輪と、この静止側周面と径方向に対向する回転側周面に回転側軌道を有し、使用時に回転する回転側軌道輪と、この回転側軌道と前記静止側軌道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体とを備えたものであり、
    前記物理量測定装置は、エンコーダと、少なくとも1個のセンサと、演算器とを備えたものであって、
    このうちのエンコーダは、前記回転側軌道輪の一部にこの回転側軌道輪と同心に支持固定されたもので、この回転側軌道輪と同心の被検出面を備え、この被検出面の特性を円周方向に関して交互に変化させており、
    前記センサは、検出部を前記エンコーダの被検出面に対向させた状態で、回転しない部分に支持されていて、前記被検出面の特性変化に対応して出力信号を変化させるものであり、
    前記演算器は、前記センサの出力信号のパルスエッジ情報である、1対のセンサの出力信号同士の間の位相差比と、単一のセンサの出力信号のデューティ比と、単一のセンサの出力信号のパルス比とのうちの、何れか1つのパルスエッジ情報を算出する情報算出機能と、この情報算出機能により算出されたパルスエッジ情報に含まれる誤差成分を適応フィルタにより除去するフィルタ機能と、このフィルタ機能により誤差成分を除去されたパルスエッジ情報に基づいて、前記静止側、回転側両軌道輪同士の間の相対変位と、これら両軌道輪同士の間に作用する外力とのうちの、少なくとも一方の物理量を算出する物理量算出機能を有するものである、
    転がり軸受ユニットの物理量測定装置に於いて、
    前記演算器は、前記情報算出機能により算出される事で取得されたパルスエッジ情報と、前記フィルタ機能により誤差成分を除去される事で取得されたパルスエッジ情報とのうちの、何れか一方のパルスエッジ情報のみを対象として、前記センサの出力信号の1周期毎に取得される当該パルスエッジ情報に関し、先に取得された当該パルスエッジ情報とその次に取得された当該パルスエッジ情報との差である変化量が予め設定しておいた閾値を超えて大きくなった場合に異常判定を下す情報異常判定機能を有し、且つ、この情報異常判定機能が異常判定を下した場合に、この異常判定を下されたパルスエッジ情報に関する、前記物理量算出機能による処理、並びに、物理量の算出結果の出力を行わず、それ以前の正常なパルスエッジ情報に基づいて最後に取得した物理量の演算結果を出力すると共に、前記適応フィルタのフィルタ係数の更新を行わない機能を有する事を特徴とする転がり軸受ユニットの物理量測定装置。
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