以下本発明を実施の形態に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの外観斜視図である。
図において1は走行クローラであり、該走行クローラ1の上側に機体9が設けてある。該機体9の上には脱穀装置2が設けてある。該脱穀装置2の前側に、刈取り穀稈と非刈取り穀稈とを区別する分草板3a、穀稈を刈取る刈刃3b、及び穀稈を引き起こす引起し装置3cを備える刈取部3が設けてある。前記脱穀装置2の右側には穀粒を収容する穀粒タンク4が設けてあり、前記脱穀装置2の左部には、穀稈を搬送する前後に長いフィードチェン5が設けてある。該フィードチェン5の上側に、穀稈を挟持する挟持部材6が設けてあり、該挟持部材6とフィードチェン5とが対向している。前記フィードチェン5の前端部付近には上部搬送装置7を配設してある。また前記穀粒タンク4には、穀粒タンク4から穀粒を排出する筒状の排出オーガ4aを取り付けてあり、穀粒タンク4の前側にはキャビン8を設けてある。
走行クローラ1の駆動によって機体9は走行する。機体9の走行によって刈取部3に穀稈が取り込まれ、刈り取られる。刈り取られた穀稈は上部搬送装置7、フィードチェン5及び挟持部材6を介して脱穀装置2に搬送され、脱穀装置2内にて脱穀される。
図2は脱穀装置2の内部構成を略示する側面断面図、図3はケーシング140付近の構成を略示する分解斜視図、図4は穀粒タンク4を略示する平面断面図、図5は穀粒タンク4を略示する縦断面図である。図4及び図5において、破線矢印は穀粒の移動方向を示し、丸形は穀粒を示す。
図2に示すように、脱穀装置2の前側上部に穀稈を脱穀するための扱室10が設けてある。該扱室10内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の扱胴11が軸架してあり、該扱胴11は軸回りに回動可能となっている。扱胴11の周面には多数の扱歯12、12、・・・12が螺旋状に並んでいる。前記扱胴11の下側に、前記扱歯12、12、・・・12と協働して稈を揉みほぐすクリンプ網15が配置してある。前記扱胴11は後述するエンジン40の駆動力によって回動し、穀稈を脱穀する。
前記扱室10の上壁に四つの送塵弁10a、10a、10a、10aが前後方向に並設してあり、該送塵弁10aは扱室10の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
扱室10の後部には処理室13が連設してある。該処理室13内に、前後方向を軸長方向とした円筒形の処理胴13bが軸架してあり、該処理胴13bは軸回りに回動可能となっている。処理胴13bの周面には多数の扱歯13c、13c、・・・、13cが螺旋状に並んでいる。前記処理胴13bの下側には扱歯13c、13c、・・・、13cと協働して稈を揉みほぐす処理網13dを配置してある。前記処理胴13bはエンジン40の駆動力によって回動し、扱室10から送出された稈及び穀粒から穀粒を分離する処理を行う。処理室13の後端部下側には排出口13eを開設してある。
前記処理室13の上壁に四つの処理胴弁13a、13a、13a、13aが前後方向に沿って並設してあり、該処理胴弁13a、13a、13a、13aは処理室13の後部へ送出する稈及び穀粒の量を調節する。
前記クリンプ網15の下側には、穀粒及び稈の選別を行う揺動選別装置16を設けてある。該揺動選別装置16は、穀粒及び稈を均一化すると共に比重選別を行う揺動選別盤17と、該揺動選別盤17の後側に設けてあり、穀粒及び稈の粗選別を行うチャフシーブ18と、該チャフシーブ18の後側に設けてあり、稈に混入した穀粒を落下させるためのストローラック19とを備える。該ストローラック19は図示しない複数の透孔を有している。また前記揺動選別盤17の前部には揺動アーム21が連結してある。該揺動アーム21は前後に揺動するように構成されている。この揺動アーム21の揺動によって揺動選別装置16は揺動し、稈及び穀粒の選別が行われる。
揺動選別装置16は、前記チャフシーブ18の下側に設けてあり、穀粒及び稈の精選別を行うグレンシーブ20を更に備える。該グレンシーブ20の下方に、前方を下として傾斜した一番穀粒板22が設けてあり、該一番穀粒板22の前側に、一番スクリューコンベア23が設けてある。該一番スクリューコンベア23は、一番穀粒板22を滑落した穀粒を取り込み、穀粒タンク4へ送給する。
図3及び図4に示すように、一番スクリューコンベア23の上端部の軸部分23cには、矩形の羽根板23bが設けてある。該羽根板23bは、軸部分23cを中心として放射方向に突出している。該羽根板23bは、一番スクリューコンベア23に同期して回転する。
軸部分23c及び羽根板23bは、ケーシング140に収容してある。ケーシング140は、軸部分23c及び羽根板23bの周囲を覆う平面視U形の側面141を備える。該側面141は、軸部分23c及び羽根板23bを間にして、穀粒タンク4の側面に対向している。
側面141の一端部は、穀粒を案内する案内面141aをなす。側面141の他端部は、案内面141aに対向した非案内面141bをなす。案内面141aは、穀粒タンク4の側面に対して鋭角に傾斜しており、非案内面141bと反対方向に延びている。一番スクリューコンベア23及び案内面141aの間の寸法は、一番スクリューコンベア23及び非案内面141bの間の寸法よりも大きい。側面141の上下に上側面142及び下側面143が設けてある。側面141に対向する側は開放してあり、フランジ231が設けてある。
上側面142の中央部に貫通孔142aが設けてある。該貫通孔142aの周囲に複数のボルト142b、142b、・・・、142bが立設している。下側面143の中央部に貫通孔143aが設けてある。該貫通孔143aの周囲に、下向きに突出した複数のボス部143b、143b、・・・、143bが設けてある。ボス部143bは上側を底面とした有底円筒形をなし、内周面にねじ溝が形成してある。
貫通孔143aに、一番スクリューコンベア23の周囲を覆う外筒230が嵌合している。外筒230の上端部にフランジ231が設けてある。該フランジ231には、ボス部143bに対応した複数の貫通孔231a、231a、・・・、231aが設けてある。貫通孔231aの下側からボルト230を挿入し、ボス部143bに螺合してある。
上側面142の上側に、貫通孔142aを覆う板状のベアリング受け232が設けてある。ベアリング受け232の中央部に、二つのベアリング233、233が嵌合する上下に貫通した嵌合孔232dが設けてある。ベアリング受け232において、嵌合孔232dの周囲にボルト142bに対応する貫通孔232a、232a、・・・、232aが設けてある。
嵌合孔232dに、ベアリング233、233が上側から並んで嵌合している。ベアリング233の上側に、嵌合孔232dを塞ぐベアリングカバー234が設けてある。該ベアリングカバー234の上側に、ベアリングカバー234をベアリング受け232に固定する止め輪235が設けてある。一番スクリューコンベア23の軸部分23cの上端は、ベアリング233、233に下側から嵌合している。
各貫通孔232aに、各ボルト142bを下側から挿入してある。各ボルト142bには、ばね座金232bを介してナット232cが螺合している。
穀粒タンク4の側面に投口4b(開口)が設けてある。フランジ231は、シール部材150を介して投口4bの周縁部に固定してある。羽根板23bは投口4bに対向している。
図5に示すように、投口4bの近傍であって投口4bの下側に、押圧式スイッチ4cが設けてある。穀粒タンク4が満杯になった場合に、押圧式スイッチ4cは貯留した穀粒に押圧され、後述する制御部100に信号を出力する。なお図5において、一点鎖線は満杯時における穀粒の上面位置を示し、破線は投口4bの下縁部の上下位置を示す。
図4に示すように、L1は、案内面141a及び案内面141aを延長した面上に位置する線である。L2は、軸部分23c及び案内面141aの間においてL1に30度の角度で交差した、一番スクリューコンベア23の外周接線である。穀粒タンク4内において、L1及びL2にて挟まれる領域を第1領域とし(図4における実線ハッチング参照)、L2を基準にして第1領域と反対側の領域を第2領域とする(図4における破線ハッチング参照)。
図4に示すように、第2領域内に、投口4bから穀粒タンク4へ投入される穀粒の衝撃値を検出する投口センサ300が配置してある。図5に示すように、穀粒タンク4の天面から支持部材310が垂下しており、該支持部材310に投口センサ300が固定してある。該投口センサ300は、投口4bの下縁部よりも上側に配置してある。また穀粒タンク4が満杯になった場合に、穀粒タンク4に貯留された穀粒の上面よりも上側に位置する。換言すれば、満杯時に、穀粒に埋没しない上下位置及び奥行き位置に投口センサ300を配置してある。
図6は投口センサ300を略示する縦断面図である。図6Aは適正な位置での投口センサ300を示しており、図6Bは適正な位置から偏倚した位置での投口センサ300を示している。
投口センサ300は、歪みゲージ及び回路基板などを備えるセンサ本体301(固定部)を備える。センサ本体301は筐体を有し、該筐体に歪みゲージ及び回路基板などを収容する。センサ本体301の筐体背面を、複数のねじ311によって支持部材310に固定してある。なおセンサ本体301は、衝突した穀粒の衝撃値を検出することができる構成であればよい。例えば歪みゲージに代えて、圧電素子を備えてもよい。
センサ本体301の正面に、鋼鈑302が設けてある。該鋼鈑302には、穀粒が衝突する衝突板303が設けてある。図4に示すように、投口センサ300は、衝突板303を投口4bに向けている。
衝突板303は弾性部材からなり、ポリウレタン、ゴム又はエラストマーなどからなる。なお鋼鈑302は衝突板303よりも高硬度であり、アルミニウム若しくは銅などのその他の金属又はポリエチレン若しくは塩化ビニルなどの樹脂によって構成してもよい。衝突板303を弾性部材で構成することによって、穀粒の衝突に対する耐摩耗性が向上する。また衝突時における穀粒の損傷を防止する。
衝突板303には、ねじ304の頭部を収容する貫通した複数の収容孔303aが設けてある。鋼鈑302には、収容孔303aに対応する複数の貫通孔302aが設けてある。貫通孔302aは収容孔303aよりも小径である。ねじ304のねじ部分の直径は、収容孔303aの直径よりも僅かに小さい。ねじ304の頭部の直径は、貫通孔302aの直径よりも大きく、収容孔303aよりも小さい。
複数のねじ304を収容孔303a及び貫通孔302aに挿入し、センサ本体301の筐体正面に螺合してある。ねじ304の頭部は貫通孔302aの周縁部分に係止している。ねじ304の頭部及びセンサ本体301の間で、鋼鈑302が挟持されている。鋼鈑302は金属製であり、弾性部材によって構成された衝突板303にねじを係止する場合に比べて、投口センサ300の安定性は向上する。
エンジンの振動及び圃場の走行による振動が長期間投口センサ300に伝搬した場合、投口センサ300にガタツキが発生することがある。例えばねじ304、311が緩む場合がある。この場合、例えば図6Bに示すように、衝突板303が下向きに傾斜する。衝突板303に穀粒が衝突する時点は、図6Aに示す姿勢に基づいた当初の設定時点から偏倚する。図6Bの場合で言えば、当初の設定時点よりも早い時点で穀粒は衝突板303に衝突する。なおセッティング当初の投口センサ300の位置が適正な位置から偏倚している場合においても、衝突板303に穀粒が衝突する時点は本来の衝突時点から偏倚する。
前記グレンシーブ20から一番穀粒板22に落下した穀粒は前記一番スクリューコンベア23に向けて滑落する。滑落した穀粒は一番スクリューコンベア23よって搬送される。穀粒に遠心力が作用し、穀粒は一番スクリューコンベア23の外周に沿って上昇する。図4の実線矢印によって示すように、羽根板23bは非案内面141b側から案内面141a側へ向けて回転する(図4において反時計回りに回転する)。羽根板23bは穀粒を投口4bへ向けて押し出す。
図4において、案内面141a付近の破線矢印及び円形にて示すように、押し出された穀粒の大部分は案内面141aに沿って移動し、穀粒タンク4内の第1領域に、横広がりに連続した帯状になって投入される。図4において、一番スクリューコンベア23付近の破線矢印及び円形にて示すように、残りの穀粒は穀粒タンク4内の第2領域に離散して投入される。
第1領域においては、案内面141aに沿って移動する穀粒及び案内面141aに衝突して跳ね返った穀粒などが連続的に穀粒タンク4に投入される。なお案内面141aに接触するので、穀粒は減速して投入される。一方第2領域においては、穀粒は羽根板23bから穀粒タンク4に直接投入される。そのため穀粒は第1領域に投入される穀粒のように案内面141aに接触しないので、ほとんど減速せず、離散した状態で高速投入される。
また一番スクリューコンベア23による上方向の力が穀粒に作用する。図5の破線矢印にて示すように、上方向の力と羽根板23bからの横方向の力との合成により、穀粒は斜め上方向に移動する。
投口センサ300は第2領域に配置してあるので、離散した少量の穀粒が投口センサ300に瞬間的に衝突する。なお投口センサ300が第1領域に配置してある場合、横広がりに連続した穀粒が投口センサ300に継続的に衝突する。
穀粒は投口4bから、羽根板23bの回転によって間欠的に穀粒タンク4へ投入される。投入された穀粒が投口センサ300に衝突することによって歪みゲージから電圧が出力され、出力された電圧に基づいて穀粒量が算出される。
図2に示すように、前記一番穀粒板22の後部に、後方に向けて下降傾斜した傾斜板24が連設してある。該傾斜板24の後端部に、前方に向けて下降傾斜した二番穀粒板25が連設してある。該二番穀粒板25と前記傾斜板24との連結部分の上側に稈及び穀粒を搬送する二番スクリューコンベア26が設けてある。
前記ストローラック19の透孔から傾斜板24又は二番穀粒板25に落下した落下物は前記二番スクリューコンベア26に向けて滑落する。滑落した落下物は、二番スクリューコンベア26によって前記扱胴11の左側に設けてある処理ロータ14に搬送され、処理ロータ14にて脱穀処理される。
前記一番スクリューコンベア23よりも前方であって、前記揺動選別盤17よりも下方に、起風動作を行う唐箕27が設けてある。前記唐箕27の起風動作によって発生した風は、後方へ進行する。唐箕27と前記一番スクリューコンベア23との間に、風を上向きに送り出す整流板28を配設してある。
前記二番穀粒板25の後端部に通路板36が連ねてある。該通路板36の上方には下部吸引カバー30が設けてある。該下部吸引カバー30及び通路板36の間は塵埃が排出される排気通路37になっている。
下部吸引カバー30の上方に上部吸引カバー31が設けてある。該上部吸引カバー31及び下部吸引カバー30の間に、稈を吸引排出する軸流ファン32を配設してある。該軸流ファン32の後方には排塵口33を設けてある。前記唐箕27の動作によって発生した気流は、前記整流板28、28によって整流された後に、前記揺動選別装置16を通過して、前記排塵口33及び排気通路37に至る。
排塵口33及び排気通路37には、圧電素子を備える排出量センサ34、34がそれぞれ配してある。排塵口33及び排気通路37から、穀粒が排出され、排出量センサ34、34に当接する。このとき排出量センサ34、34の圧電素子から電圧信号が出力され、排塵口33及び排気通路37から排出される穀粒量が検出される。
前記上部吸引カバー31の上側であって、前記処理室13の下方に、前方を下向きとして傾斜した流下樋35が設けてある。前記処理室13の排出口13eから排出された排出物は流下樋35を滑落して前記ストローラック19に落下する。
前述した走行クローラ1の駆動、刈取部3の刈取動作、扱胴11の回動、処理胴13bの回動、揺動選別装置16の揺動及び一番スクリューコンベア23の回転動作などはエンジン40の駆動力によって行われる。図7はエンジン40の駆動力の伝達経路を略示する伝動機構図である。
図7に示すように、エンジン40はHST(Hydro Static Transmission)41を介して
走行ミッション42に連結してある。エンジン40の出力軸の近傍には、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサ40aが設けてある。エンジン回転数センサ40aはホール素子などを有する磁気センサであり、出力軸が有する磁性体の通過によって回転数を検出する。
HST41は油圧ポンプ(図示せず)と、該油圧ポンプに供給される作動油の流量及び油圧ポンプの圧力を調整する機構(図示せず)と、該機構を制御する変速回路41aとを有している。
走行ミッション42は、前記走行クローラ1に駆動力を伝達するギヤ(図示せず)を有している。走行ミッション42には、ホール素子を有する車速センサ43を設けてある。該車速センサ43は前記ギヤの回転数を検出して、ギヤの回転数に対応する機体の車速を示す信号を出力するようにしてある。
前記エンジン40は電磁式の脱穀クラッチ44を介して、前記扱胴11及び処理胴13bに連結してあり、また伝動機構50に連結してある。伝動機構50は前記一番スクリューコンベア23に連結してある。伝動機構50と一番スクリューコンベア23とを連結する軸の近傍にピックアップセンサ51が設けてある。該ピックアップセンサ51は、ホール素子などを有する磁気センサであり、前記軸が有する磁性体の通過によって、一番スクリューコンベア23の回転数を検出する。
またエンジン40は脱穀クラッチ44を介して偏心クランク45に連結してある。該偏心クランク45は前記揺動アーム21に連結してある。偏心クランク45の駆動により前記揺動選別装置16が揺動する。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27に連結してある。また前記エンジン40は脱穀クラッチ44及び電磁式の刈取クラッチ46を介して前記刈取部3に連結してある。
走行ミッション42を介してエンジン40の駆動力が走行クローラ1に伝達され、機体が走行する。また刈取クラッチ46を介して刈取部3にエンジン40の駆動力が伝達し、刈取部3にて穀稈が刈取られる。
脱穀クラッチ44を介して前記扱胴11にエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11にて穀稈は脱穀される。また脱穀クラッチ44を介して処理胴13bにエンジン40の駆動力が伝達する。処理胴13bは、扱胴11にて脱穀処理された処理物から穀粒を分離する。
また前記揺動選別装置16には、脱穀クラッチ44及び偏心クランク45を介してエンジン40の駆動力が伝達し、扱胴11から漏下した稈及び穀粒並びに処理室13の排出口13eから排出された稈及び穀粒の選別が行われる。また脱穀クラッチ44を介して前記唐箕27にエンジン40の駆動力が伝達し、揺動選別装置16にて選別された稈が唐箕27の起風作用によって排塵口33及び排気通路37から排出される。
前記投口センサ300、エンジン回転数センサ40a及びピックアップセンサ51からの出力に基づいて、穀粒タンク4に貯留する穀粒量を演算する制御部がコンバインに搭載されている。図8は制御部100の構成を示すブロック図、図9はエンジン40の回転数及び係数βの関係を示すテーブルである。
制御部100は内部バス100gにより相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c及びEEPROM(Electrically Erasable and Progrmmable Read Only Memory)100dを備えている。CPU100aはROM100bに記憶された制御プログラムをRAM100cに読み込み、該制御プログラムに従って、送塵弁10a及び処理胴弁13aの動作制御など必要な制御を実行する。なおCPU100aはタイマを内蔵している。
EEPROM100dには、LUT(Look Up Table) 100hが格納してある。
LUT100hには、エンジンの回転数及び係数βの関係を示すテーブルが記憶されている(図9参照)。該テーブルは、「エンジン回転数」欄及び「係数β」欄を備えており、各欄の各行には、エンジン回転数と、エンジン回転数に対応した係数βの値(β1〜β6)が格納されている。なおエンジン回転数の大小は、一番スクリューコンベア23の回転数の大小に対応している。
またEEPROM100dには、補正変数Xが設定してあり、該補正変数Xには必要に応じて値が格納される。また、投口センサ300の検出値を穀粒量の算出対象に含めるか否かを判定するための閾値αが設定してある。
制御部100は出力インタフェース100fを介して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44に継断信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、表示部83に所定の映像を表示することを示す表示信号を出力する。また制御部100は出力インタフェース100fを介して、報知ランプ84に点灯又は消灯信号を出力する。
刈取スイッチ80、指標設定スイッチ81、操作スイッチ82、投口センサ300、押圧式スイッチ4c、ピックアップセンサ51及びエンジン回転数センサ40aの各出力信号は入力インタフェース100eを介して制御部100に入力されている。
なお前記キャビン8内には図示しないダッシュボードパネルが設けてあり、該ダッシュボードパネルに、刈取スイッチ80、指標設定スイッチ81、複数の操作スイッチ82及び脱穀スイッチ85が設けてあり、また液晶パネルを有する表示部83が設けてある。また前記キャビン8内には、報知ランプ84が設けてある。なお刈取スイッチ80のオンオフに対応して、刈取クラッチ46及び脱穀クラッチ44が継断される。また脱穀スイッチ85のオンオフに対応して、脱穀クラッチ44が継断される。
CPU100aは、投口センサ300の出力信号に係る検出値を積算し、閾値αと比較して積算対象に含めるか否かを判定する。そして積算対象に含める検出値をピックアップセンサ51の出力信号に係る検出値に同期させてEEPROM100dに記憶する。図10は第2領域に位置する投口センサ300の検出値とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフの一例である。図10Aは、時間と投口センサ300の検出値との関係を示すグラフである。投口センサ300の検出値は穀粒の衝突による歪み量を示しており、所定のサンプリング数における移動平均値である。図10Bは、時間とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフである。ピックアップセンサ51の検出値は、羽根板23bの一回転における回転開始時点及び回転終了時点を示している。なお以下の説明において図10の周期Pの添字は適宜省略する。
ピックアップセンサ51の検出値は、パルス波として検出され、パルス波の間隔が一番スクリューコンベア23の一回転の周期、すなわち羽根板23bの一回転の周期Pに相当する。なお周期Pの逆数は回転速度に対応し、周期Pを回転速度として捉えることもできる。CPU100aは、所定のサンプリング周期(例えば100[ms])で投口センサ300の検出値を取り込み、EEPROM100dに記憶する。またCPU100aは、ピックアップセンサ51からパルス波が入力される都度、タイムスタンプを作成し、該タイムスタンプを、パルス波が入力された時に投口センサ300から入力された検出値に紐付けて、EEPROM100dに記憶する。
図10において、穀粒が羽根板23bによって穀粒タンク4に投入されている場合、P/4〜3P/4の間に、投口センサ300からCPU100aに穀粒の衝突による検出値が入力される。0〜P/4及び3P/4〜Pの間に投口センサ300からCPU100aに入力された検出値は、穀粒が投口センサ300に衝突していない場合の検出値である。第2領域に位置する投口センサ300には、P/4〜3P/4の間に瞬間的に穀粒が衝突し、0〜P/4及び3P/4〜Pの間に穀粒は衝突しない。
図10Aにおいて、閾値αは、投口センサ300の温度特性、羽根板23bによる風圧及び機体9の傾きなどの外乱によって、投口センサ300にて検出される検出値に相当する。穀粒が羽根板23bによって穀粒タンク4に投入されていない場合、理想的には、P/4〜3P/4の間に、投口センサ300からCPU100aに穀粒の衝突による検出値は入力されない。しかし実際は、投口センサ300からCPU100aに外乱(例えば羽根板23bによる風圧)による検出値(閾値α)が入力される。
CPU100aは、P/4〜3P/4の間に投口センサ300から入力された検出値と閾値αとを比較する。該検出値に、閾値αを超過する値が含まれている場合、CPU100aは、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を積算すべき対象に決定する(図10Aの周期P1 、P2 及びP5 における破線ハッチング部分の面積)。積算すべき値は、投口センサ300への穀粒の衝突による力積に相当する。
検出値に、閾値αを超過する値が含まれていない場合、CPU100aは、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を積算すべき対象から除外する(図10Aにおいて、周期P3 及びP4 部分)。
一方0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ300の検出値を積算した値(図10Aの実線ハッチング部分の面積)は定常偏差に相当する。該定常偏差は、エンジン40の振動、凹凸のある圃場を走行中に投口センサ300に伝播した振動及び投口センサ300の特性などに起因する。
CPU100aは、所定の周期(例えば1[s])で、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ300の検出値を積算した値に必要な処理を行い、EEPROM100dにアクセスして、補正変数Xに格納する。
CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、P/4〜3P/4の間における投口センサ300の検出値を積算する。そして積算した値に含まれる定常偏差を補正変数Xに格納された値を用いて除去する。例えば積算した値から、補正変数Xに格納された値を減算する。
CPU100aは、定常偏差を除去した補正値DをRAM100cに記憶する。そして補正値Dに係数βを適用して、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を求める。
投口センサ300を第2領域に配置した場合、定常偏差を除去する補正を実行することができる。投口センサ300を第1領域に配置した場合、定常偏差を除去する補正を実行することができない。以下その理由を説明する。
図11は第1領域に位置する投口センサ300の検出値とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフの一例である。図11Aは、時間と投口センサ300の検出値との関係を示すグラフである。投口センサ300の検出値は穀粒の衝突による歪み量を示しており、所定のサンプリング数における移動平均値である。
図11Aの実線の波形が第1領域に位置する投口センサ300の検出値を示す。破線の波形は、第2領域に位置する投口センサ300の検出値を示す。図11Bは、時間とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフである。ピックアップセンサ51の検出値は、羽根板23bの一回転における回転開始時点及び回転終了時点を示している。なお以下の説明において図11の周期Pの添字は適宜省略する。
図4に示すように、穀粒タンク4内の第1領域には、横広がりに連続した帯状の穀粒群が投入されている。そのため第1領域に投口センサ300を配置した場合、周期Pの間継続して投口センサ300に穀粒が衝突する。換言すれば、穀粒が投口センサ300に衝突していないはずの0〜P/4及び3P/4〜Pの間に、穀粒が衝突する。
図11に示すように、穀粒タンク4に穀粒が投入されている各周期P1 、P2 、P5 において、0〜P/4及び3P/4〜Pの間の検出値は、2点鎖線にて示した検出値(第2領域に位置する投口センサ300の検出値)よりも大きい。これは穀粒が投口センサ300に衝突していないはずの0〜P/4及び3P/4〜Pの間に、穀粒が衝突したためである。
0〜P/4及び3P/4〜Pの間の検出値を、定常偏差を除去する補正に使用するためには、0〜P/4及び3P/4〜Pの間に穀粒が投口センサ300に衝突していない又は衝突していないとみなせる必要がある。しかし0〜P/4及び3P/4〜Pの間に、穀粒が投口センサ300に連続的に衝突しており、0〜P/4及び3P/4〜Pの間の検出値を、定常偏差を除去する補正に使用することはできない。
また投口センサ300の位置が適正な位置から偏倚している場合、穀粒量を精度良く演算することは難しい。以下その理由を説明する。例えば図6Bに示すように、衝突板303が下向きに傾斜している場合、図6Aに示す姿勢に基づいた当初の設定時点よりも早い時点で穀粒は衝突板303に衝突する。
図12は衝突板303が下向きに傾斜した場合における投口センサ300の検出値とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフの一例である。図12Aは、時間と投口センサ300の検出値との関係を示すグラフである。図12Aの実線が衝突板303が下向きに傾斜した場合における投口センサ300の検出値を示す。破線の波形は、投口センサ300が適正な位置にある場合における投口センサ300の検出値を示す。なお図12Aにおける二つの二点鎖線は、ピーク値が来るべき時点(P/2)からΔT/2遅れた時点及びΔ/2進んだ時点を示し、二点鎖線間は時間ΔTに相当する。なおΔT/2の大きさはP/4よりも小さい。
図12Bは、時間とピックアップセンサ51の検出値との関係を示すグラフである。ピックアップセンサ51の検出値は、羽根板23bの一回転における回転開始時点及び回転終了時点を示している。なお以下の説明において図12の周期Pの添字は適宜省略する。
図12Aに示すように、衝突板303が下向きに傾斜した場合に、ピーク値はP/2よりも早い時点、例えばP/4において検出される。この場合、0〜P/4の間においても投口センサ300からCPU100aに穀粒の衝突による検出値が入力されていると考えられ、この間の検出値を積算対象とすべきである。しかし前述したように、当初の設定では0〜P/4及び3P/4〜Pの間の検出値は定常偏差に相当するとみなされ、積算対象とならない。
更に0〜P/4の間の検出値は、穀粒の衝突による検出値であるにも拘わらず、定常偏差とみなされる。そのためP/4〜3P/4の間の検出値(積算対象)から定常偏差でない値をも除去する。その結果、穀粒量を精度良く演算することは困難となる。
次にCPU100aによる穀粒量演算処理について説明する。図13はCPU100aによる穀粒量演算処理を示すフローチャートである。
CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオンであるか否か判定し(ステップS1)、刈取スイッチ80がオンになるまで待機する(ステップS1:NO)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS1:YES)、CPU100aは、エンジン回転数センサ40aから信号を取り込む(ステップS2)。そしてCPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてLUT100hを参照し(ステップS3)、エンジン回転数センサ40aから取り込んだ信号が示すエンジン回転数に対応する係数β(β1〜β6)を決定する(ステップS4)。
そしてCPU100aは、ピックアップセンサ51及び投口センサ300から信号を取り込み(ステップS5)、後述するピーク値特定処理を実行する(ステップS6)。そしてCPU100aは、P/4〜3P/4の間の力積を積算する(ステップS7)。このとき、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、P/4〜3P/4の間における投口センサ300の検出値を積算する。なお投口センサ300から制御部100には、検出値が一定のサンプリング周期で順次入力されており、CPU100aは、タイムスタンプを参照することによって、P/4〜3P/4の間に入力された検出値を認識することができる。
次にCPU100aは、P/4〜3P/4の間に入力された検出値に、閾値αを超過した検出値が含まれるか否かを判定する(ステップS8)。閾値αを超過した検出値が含まれない場合(ステップS8:NO)、CPU100aは、ステップS13へ処理を進める。
閾値αを超過した検出値が含まれる場合(ステップS8:YES)、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスして補正変数Xを参照し(ステップS9)、算出した力積を補正変数Xにて補正し(ステップS10)、補正値Dを求める。例えばCPU100aは、算出した力積から補正変数Xに格納された値を減算する。なお減算は補正の一例であり、補正変数Xに格納された値に基づいて、乗算又は除算してもよい。
そしてCPU100aは、補正値Dに係数βを適用する(ステップS11)。例えば補正値Dに係数βを乗算するか又は加算する。なお係数βの乗算又は加算は、係数βの適用の例示であってこれに限定されるものではない。次にCPU100aは、係数β適用後の補正値Dを積算する(ステップS12)。なおステップS11における積算値が穀粒タンク4に貯留した穀粒量に相当する。そしてCPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオフであるか否か判定する(ステップS13)。刈取スイッチ80がオフでない場合(ステップS13:NO)、すなわち刈取スイッチ80がオンである場合、CPU100aはステップS2へ処理を戻す。刈取スイッチ80がオフである場合(ステップS13:YES)、CPU100aは処理を終了する。なお上述した穀粒量演算処理は、周期P以内に実行されるリアルタイム処理として実行することができる。
なおCPU100aは、ステップS11の後に、刈取スイッチ80がオフになった後、扱胴11で処理された穀粒が穀粒タンク4に搬出されるまでの時間が経過するまで待機し、穀粒量演算処理を終了してもよい。またステップS8の判定は、ステップS6の次に実行してもよい。
次にCPU100aによる補正値算出処理について説明する。図14はCPU100aによる補正値算出処理を示すフローチャートである。
CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオンであるか否か判定し(ステップS21)、刈取スイッチ80がオンになるまで待機する(ステップS21:NO)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS21:YES)、ピックアップセンサ51及び投口センサ300から信号を取り込み(ステップS22)、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における力積を積算する(ステップS23)。このとき、CPU100aは、EEPROM100dにアクセスしてタイムスタンプを参照し、0〜P/4及び3P/4〜Pの間における投口センサ300の検出値を積算する。なお投口センサ300から制御部100には、検出値が一定のサンプリング周期で順次入力されており、CPU100aは、タイムスタンプを参照することによって、0〜P/4及び3P/4〜Pの間に入力された検出値を認識することができる。
そしてCPU100aは、積算した値に所定の処理を実行する(ステップS24)。例えば、変動率を考慮した係数を乗算するか又は前記操作スイッチ82からの入力に応じて、予めEEPROM100dに設定した所定の関数を適用する。次にCPU100aは、処理を施した値を補正変数Xに格納する(ステップS25)。
そしてCPU100aは、内蔵するタイマにて経時を開始し、所定時間、例えば1[s]が経過するまで待機する(ステップS26:NO)。所定時間が経過した場合(ステップS26:YES)、CPU100aは、刈取スイッチ80から信号を取り込み、刈取スイッチ80がオフであるか否か判定する(ステップS27)。刈取スイッチ80がオンである場合(ステップS27:NO)、CPU100aは、タイマをリセットし(ステップS28)、ステップS22へ処理を戻す。刈取スイッチ80がオフである場合(ステップS27:YES)、CPU100aは処理を終了する。
次にCPU100aによるピーク値特定処理について説明する。図15はCPU100aによるピーク値特定処理を示すフローチャートである。CPU100aは前述したステップS5の処理を実行した後、ピーク値特定処理を実行する(図13、ステップS6参照)。
CPU100aは、ピックアップセンサ51及び投口センサ300から信号を取り込み、0〜Pの間におけるピーク値を検出した時点をタイマを参照して検出する(ステップS61)。次に、CPU100aは、ピーク値が来るべき目標時点(例えばP/2の時点)と検出時点との差分の大きさがΔT/2以下であるか否かを判定する(ステップS62)。
目標時点及び検出時点との差分の大きさがΔT/2以下である場合(ステップS62:YES)、CPU100aは処理をステップS7へ進める(図13、ステップS7参照)。このときピーク値は予め定めた所定時間帯(P/2を基準にして±ΔT/2の時間帯)に存在し、ピーク値の検出時点は目標時点から大きく偏倚していないと考えられる。
目標時点及び検出時点との差分の大きさがΔT/2以下でない場合(ステップS62:NO)、CPU100aは報知ランプ84に点灯信号を出力する(ステップS63)。このときピーク値は予め定めた所定時間帯に存在しない。例えば図6Bに示すように、衝突板303が下向きに傾斜している等の理由によって、ピーク値の検出時点が目標時点から大きく偏倚していると考えられる。
次にCPU100aは報知ランプ84に点灯信号を出力する(ステップS63)。報知ランプ84の点灯によって、ユーザはピーク値の検出時点が目標時点から大きく偏倚していることを認識することができる。そしてCPU100aは算出対象期間(投口センサ300に穀粒が衝突していると推定される期間、換言すればP/4〜3P/4の間)を変更する(ステップS64)。具体的には、算出対象期間の開始時点を検出時点及び目標時点との差分の大きさだけ遅延させるか又は早める。本実施例の場合、例えば前記差分がKの場合、P/4±Kを開始時点とし、3P/4±Kを終了時点とする。
次にCPU100aは表示部83に、算出対象期間を変更したことを表示する信号を出力する(ステップS65)。例えば「穀粒量の変更処理を行いました」と表示部83に表示する。この表示によって算出対象期間が変更されたことをユーザは容易に認識することができる。そしてCPU100aは処理をステップS7に戻す。
なおピーク値特定処理においてステップS64及びステップS65を省略し、その後の穀粒量の演算を停止してもよい。この場合、表示部83に、「投口センサの位置がずれていませんか?」又は「穀粒量の演算を停止しています」等の警告を表示し、サービスマンによる投口センサ300の修理を促してもよい。
実施の形態1に係るコンバインにあっては、衝撃力のピーク値が検出された時点の前後において穀粒が投口センサ300に当接していると考えられるので、ピーク値が予め定めた所定時間帯(P/2を基準にして±ΔT/2の時間帯)から逸脱した場合、穀粒タンク4に貯留した穀粒量を正確に演算することができない。そのためピーク値の検出時点が所定時間帯から逸脱した場合に、その旨をユーザに報知する。これにより、サービスマンによる投口センサ300の修理・位置調整等を行うようにユーザに促すことができる。
またピーク値の検出時点が所定時間帯から逸脱した場合に、算出対象期間を変更し、変更後の算出対象期間に投口センサ300にて検出された衝撃力に基づいて穀粒量を算出する。これにより穀粒量の算出を継続することができる。
また算出対象期間の変更が行われている場合に、報知ランプ84の点灯又は表示部83における表示によって、その旨ユーザに報知し、収穫終了後にサービスマンによる検出手段の修理・位置調整等を行うように促すことができる。
なお上述した実施の形態1においては、投口センサ300によるピーク値の検出時点が、ピーク値が検出されるべき時点から進むか又は遅れる要因として、投口センサ300の位置が適正な位置から偏倚している場合を取り上げているが、この場合に限定されるものではない。例えば羽根板23bが変形した場合も上記要因として挙げることができる。
図16は変形した羽根板23bを略示する拡大平面断面図である。羽根板23bは経年劣化によって変形する場合があり、また土などの異物を取り込んだ場合に、取り込んだ異物によって過大な力が羽根板23bに作用し、羽根板23bが変形する場合がある。
例えば図16に示すように、羽根板23bが回転方向と逆向きに湾曲した場合、穀粒が穀粒タンク4に投入されるタイミングは、羽根板23bが湾曲していない場合よりも遅れる。なお羽根板23bが回転方向と同じ向きに湾曲した場合、穀粒が穀粒タンク4に投入されるタイミングは、羽根板23bが湾曲していない場合よりも早くなる。
この場合においても、上述したピーク値特定処理を実行することによって、ピーク値を検出する時点の遅延又は進みを検出し、ユーザに報知するか又は遅延又は進みを補正することができる。この場合、表示部83に、「羽根板が変形していませんか?」という警告を表示し、サービスマンによる羽根板23bの修理を促してもよい。
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るコンバインを示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態2に係るコンバインは、スクリューコンベアに代えて、バケット式昇降機144を穀粒の搬送に使用する。その他の構成は実施の形態1と同様な構成である。図17はバケット式昇降機144及び穀粒タンク4を拡大して略示する内部側面構成図である。図17において、破線矢印は穀粒の移動方向を示し、丸形は穀粒を示す。
バケット式昇降機144は、後板500と前板501、左右側板502及び天面板144aにより形成される。なお天面板144aに対向する前板501は非案内面となる。
バケット式昇降機144内部の上部と下部には軸心が左右方向のスプロケット503、504がそれぞれ設けられ、このスプロケット503と504に無端状のチェーン505が巻装される。このチェーン505には適宜間隔を開けて複数の上開き側面視略U字型などのバケット506が取り付けられる。
駆動力が、バケット式昇降機144の下部に有するスプロケット504に伝達され、このスプロケット504の回転とともにチェーン505が駆動し、バケット式昇降機144の上部に有するスプロケット503が回転する。バケット式昇降機144の下部に備えられた穀粒供給口(不図示)とバケット式昇降機144の上部に備えられた穀粒排出口507との間をチェーン505に沿ってバケット506が上下に周回される。
投口センサ300は、穀粒タンク4内において、天面板144aと穀粒排出口507との間に配置してある。また投口センサ300は天面板144aから離隔している。
穀粒タンク4内にて、穀粒排出口507の近傍に穀粒を弾き飛ばすレベリングディスク150が設けてある。レベリングディスク150は、支持部材154を介して穀粒タンク4に支持されている。
支持部材154には、上下方向を軸方向とした回転可能な回転軸153が立設している。レベリングディスク150は、上下方向を回転軸方向としたディスク部151と、該ディスク部151の上面に立設し、回転中心の周囲に放射状に配された複数の羽根板152、152、・・・、152とを備える。回転軸153は、ディスク部151の中心部に連結している。支持部材154の下側にモータ155が設けてあり、該モータ155の出力軸は回転軸153に連結している。
バケット506から投入された穀粒は、穀粒排出口507を通って、レベリングディスク150に至る。モータ155の駆動によってディスク部151は回転し、羽根板152は穀粒を弾き飛ばし、穀粒タンク4内に平均的に堆積させる。
図17に示すように、天面板144a付近の破線矢印及び円形にて示すように、押し出された穀粒の大部分は天面板144aに沿って移動し、穀粒タンク4内に連続した状態で投入される。図17において、スプロケット503付近の破線矢印及び円形にて示すように、残りの穀粒は穀粒タンク4内に離散して投入される。投口センサ300には、離散した穀粒が瞬間的に衝突する。
天面板144aから投口センサ300を離隔させることによって、少量の穀粒が投口センサ300に衝突し、穀粒は穀粒タンク4内に平均的に堆積する。
またスプロケット503を支持する支持板(不図示)には、ピックアップセンサ(不図示)が設けてあり、該ピックアップセンサによってバケット506がスプロケット503の周囲を回転する周期を検出するようにしてある。そしてピックアップセンサ及び投口センサ300の検出値に基づいて、実施の形態1と同様に穀粒量の演算及びピーク値の検出等を行う。
なお投口センサ300は穀粒タンク4内に設けてもよい。図18はバケット式昇降機144及び投口センサ300を内部に有する穀粒タンク4を拡大して略示する内部側面構成図である。
図18に示すように、投口センサ300は穀粒タンク4の天面部から垂下した支持部(不図示)によって支持されている。ディスク部151の周囲には、実施の形態1に係るコンバインの側面141と同様に、穀粒を案内する案内面(不図示)が設けてある。そのため穀粒タンク4内において第1領域及び第2領域が存在する。投口センサ300は第2領域に配してある。
この場合においても、ピックアップセンサ及び投口センサ300の検出値に基づいて、実施の形態1と同様に穀粒量の演算及びピーク値の検出等を行う。
実施の形態1及び2に係る発明にあっては、穀粒の穀粒タンク4への投入を、一番スクリューコンベア23の先端に設けた羽根板23b、ディスク部151上に設けた羽根板152又は回転式のバケット156のいずれを使用する場合であっても、ピーク値の検出時点が所定時間帯から逸脱したことをユーザに報知することができる。
実施の形態2に係る構成の内、実施の形態1と同様な構成については、その詳細な説明を省略する。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。