JP4955316B2 - エスカレーター診断装置 - Google Patents
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Description
また本発明によれば、エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の回転軸に、単に取り付けた加速度センサの測定データだけで、該駆動装置の各軸方向振動・回転角・回転速度を測定することにより、これらの測定結果を用いて駆動装置の異常もしくは正常を判定するようにしたので、既設エスカレーターに対して簡便に診断装置を設置することが可能となるとともに、精度の高い診断を可能とするものである。
図1(a)は、本発明の実施の形態1による診断装置を示す図である。エスカレーターの駆動装置は複数の回転軸1から構成されているが、その一例を示したものである。1つ以上の軸受2で支持された回転軸1には、1つ以上のスプロケット3が取り付けられており、1つ以上のチェーン4を介して、他の回転軸とつながっている。本図は、軸受2、スプロケット3およびチェーン4の配置についての一例を示したものに過ぎず、これらのうちの一つ以上の上記構成要素がなくてもよいし、上述の構成要素が回転軸1と接触された配置となっていれば、他の配置であってもよい。
診断装置5は、回転軸1に巻き付けるように取り付けられる。また診断装置5は、図1(b)に示すように加速度センサ6、信号記録装置7および判定装置8により構成される。なお、加速度センサ6は図1(b)に示すように、周方向加速度9、遠心力方向加速度10および、軸方向加速度11をそれぞれ測定し、それぞれのデータを出力する。
まず回転角検出手段17は、周方向信号14および遠心力方向信号15に対して、回転軸1の回転周波数よりも大きいカットオフ周波数を有するローパスフィルタを適用し、重力加速度成分に相当する周方向重力加速度信号19および遠心力方向重力加速度信号20を検出または算出する。
ただし、サンプリング時刻tにおける周方向重力加速度信号をX(t)、遠心力方向重力加速度信号Y(t)とし、図中の9および10の矢印の方向をプラスとする。
θ(t)=tan-1(|Y(t)/X(t)|)/π×180(度)・・・(1)
X(t−1)>0、Y(t)≧0のとき、
θ(t)=180−tan-1(|Y(t)/X(t)|)/π×180(度)・・(2)
X(t−1)<0、Y(t)<0のとき、
θ(t)=180+tan-1(|Y(t)/X(t)|)/π×180(度)・・(3)
X(t−1)≧0、Y(t)<0のとき、
θ(t)=360−tan-1(|Y(t)/X(t)|)/π×180(度)・・(4)
R(t)=θ(t)+C×360(度) ・・・(5)
ただし、
X(t−1)≧0かつY(t−1)<0かつ
X(t)≧0かつY(t)≧0のとき、C=C+1
X(t−1)≧0かつY(t−1)≧0かつ
X(t)≧0かつY(t)<0のとき、C=C−1
まず回転角検出手段17は、上述と同様にして、重力加速度成分に相当する周方向重力加速度信号19を得る。次に、周方向重力加速度信号19にヒルベルト変換を行った信号であるヒルベルト変換信号102を算出する。ヒルベルト変換信号102は、周方向重力加速度信号19の90度分位相を遅らせた信号となる。よって、サンプリング時刻tにおける周方向重力加速度信号をX(t)、ヒルベルト変換信号をY(t)とすると、上述の式(1)〜(5)と同様の方法で、サンプリング時刻tにおける回転角R(t)が得られる。
ただし、
X(t−1)<0かつX(t)≧0のとき、C=C+1
同様に加算平均手段24は、遠心力方向振動信号23から遠心力方向加算平均信号26を、軸方向振動信号16から軸方向加算平均信号27を各々算出する。なおここでの加算平均手段24は、任意の回転角周期=360度として説明したが、いずれの回転角としてもよいことはいうまでもない。
差異の判定方法としては、各信号における統計特徴量を求め、正常時と点検時の差異が一定値未満ならば正常、一定値以上ならば異常発生と判定し出力するよう構成してもよい。この場合、統計特徴量としては、信号のピーク値、平均振幅、標準偏差、尖度、歪度などの一般的な特徴量を用いることができる。
さらにまた、他の差異の判定方法としては、各信号の特定周波数成分の大きさを求め、正常時と点検時の差異が一定値未満ならば正常、一定値以上ならば異常発生と判定し出力するよう構成してもよい。ここで特定周波数成分の大きさは、各信号にフーリエ変換を行って周波数スペクトルを求め、周波数スペクトルのうちの特定周波数成分の大きさを抜き出すことで求めてもよいし、各信号にバンドパスフィルタを施して特定周波数成分のみを抜き出すことで、その大きさを求めてもよい。
また判定手段30は、加算平均手段24を用いて任意の回転角周期で信号の加算平均を行った周方向加算平均信号25、遠心力方向加算平均信号26または軸方向加算平均信号27を用いて判定を行っているが、加算平均手段24を設けずに、周方向振動信号22、遠心力方向振動信号23または、軸方向振動信号16に対して、上述の判定を行うように構成してもよい。
図6(a)は、本発明の実施の形態2によるエスカレーター診断装置を示す図である。実施の形態1と異なる点は、回転軸1上に診断装置5を巻き付けるスペースがない場合において、回転軸端のローラ201上に取り付けるように構成した点である。
すなわちこの実施の形態2では、実施の形態1と同様に、1つ以上の軸受2で支持された回転軸1には、1つ以上のスプロケット3が取り付けられており、1つ以上のチェーン4を介して他の回転軸とつながっている。また回転軸端には、ローラ201が取り付けられており、診断装置5はこのローラ201の側面に取り付けられる。
図6(a)は、軸受2およびスプロケット3およびチェーン4およびローラ201の配置についての一例を示したものに過ぎず、これらのうちの一つ以上の上述の構成要素がなくてもよいしまた、上述の構成要素が回転軸1と接触された配置となっていれば、他の配置であってもよいことは実施の形態1の場合と同様である。
加えてこの実施の形態2では、本発明のエスカレーター診断装置5はローラ201の側面に取り付けられるが、このローラ201はここでは回転軸1と回転中心軸が同一となるように取り付けられている。
またこの診断装置5は、図6(b)に示すように、実施の形態1と同じく、加速度センサ6、信号記録装置7および判定装置8により構成される。加速度センサ6は周方向加速度9、遠心力方向加速度10、軸方向加速度11をそれぞれ測定し、それぞれのデータを出力する。すなわち加速度センサ6は、すでに述べた実施の形態1と同様にここでは、上記回転軸1の回転に応じて、上述の各加速度を連続した時系列変化のアナログ信号データとして出力している。
その後のデータの処理、判定方法は実施の形態1の場合と同様であるので以下は省略する。
ここで、この実施の形態2ではローラ201の側面に本発明診断装置5を取り付けるよう構成した例を示したが、本発明診断装置5の取り付け部位は、エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の回転軸1から、その回転および軸振動などの変化が比較的忠実に伝達される部位であれば、他の部位であってもよい。
このことは、エスカレーターなどの装置が万一の故障の際においては、その復旧作業時間を著しく短縮し、かつ、一刻も早い復旧が望まれるこの種の迅速な作業において、多大な貢献を果たす効果を奏することを意味する。
Claims (8)
- エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の回転軸にかかる周方向または遠心力方向の加速度信号を検出する加速度センサと、
前記加速度信号から重力加速度成分を除去し周方向または遠心力方向の振動信号を算出する振動信号算出手段と、
前記振動信号を正常時と点検時とで比較して差異が生じた場合には、前記駆動装置を異常と判定し、差異がない場合には、前記駆動装置を正常と判定する判定手段とを設けたことを特徴としたエスカレーター診断装置。 - 前記周方向または遠心力方向の重力加速度信号を用いて、前記駆動装置の回転軸の回転角を算出し回転角の時系列信号を出力する回転角検出手段と、
前記回転角の時系列信号を用いて、前記周方向または遠心力方向の振動信号を任意の回転角周期で各回転角毎に加算平均し加算平均信号を出力する加算平均手段と、
前記判定手段は前記加算平均信号を正常時と点検時とで比較することにより、差異を生じた場合には前記駆動装置を異常と判定し、差異を生じない場合には正常と判定することを特徴とした請求項1記載のエスカレーター診断装置。 - 前記回転角の時間変化から前記駆動装置の回転速度を算出する回転速度算出手段を設け、
前記判定手段は前記回転速度の時系列信号を正常時と点検時とで比較することにより、差異を生じた場合には前記駆動装置を異常と判定し、差異を生じない場合には正常と判定することを特徴とした請求項2記載のエスカレーター診断装置。 - 前記エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の前記回転軸にかかる軸方向の加速度を振動信号として出力する加速度センサを設け、
前記判定手段は軸方向の前記振動信号を正常時と点検時とで比較して差異が生じた場合には前記駆動装置を異常と判定し、差異がない場合には前記駆動装置を正常と判定することを特徴とした請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のエスカレーター診断装置。 - 前記エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の前記回転軸にかかる軸方向の振動信号として出力する加速度センサと、
前記回転角の時系列信号を用いて、前記軸方向の振動信号を任意の回転角周期で各回転角毎に加算平均し加算平均信号を出力する加算平均手段と、
前記判定手段は前記軸方向の加算平均信号を正常時と点検時とで比較することにより、差異を生じた場合には前記駆動装置を異常と判定し、差異を生じない場合には正常と判定することを特徴とした請求項2または請求項3記載のエスカレーター診断装置。 - 前記判定手段は、前記回転速度の時系列信号、周方向の振動信号、遠心力方向の振動信号、軸方向の振動信号、周方向の加算平均信号、遠心力方向の加算平均信号または軸方向の加算平均信号の少なくともいずれか一つにおける統計特徴量を求め、前記統計特徴量を比較し、正常時と点検時の差異が一定値未満ならば正常、一定値以上ならば異常発生と判定するように、予め設定した閾値を用いる構成としたことを特徴とする請求項5記載のエスカレーター診断装置。
- 前記判定手段は、前記回転速度の時系列信号、周方向の振動信号、遠心力方向の振動信号、軸方向の振動信号、周方向の加算平均信号、遠心力方向の加算平均信号または軸方向の加算平均信号の少なくともいずれか一つにおける特定周波数成分の大きさを求め、前記特定周波数成分の大きさを比較し、正常時と点検時の差異が一定値未満ならば正常、一定値以上ならば異常発生との判定結果を出力する手段で構成したことを特徴とする請求項5記載のエスカレーター診断装置。
- 前記エスカレーターのステップまたは手摺の駆動装置の回転軸または回転軸端のローラ上に、少なくとも前記加速度センサが取り付けられて成ることを特徴とした請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のエスカレーター診断装置。
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