JP7027782B2 - 転がり軸受の異常診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば風車の増速機のように、軸の回転を伝達する装置に使用される転がり軸受を構成する部品の傷等の異常を、この転がり軸受を分解することなく診断するための異常診断装置に関する。
鉄鋼用の圧延機や鉄道車両の車軸用軸受や、風車用軸受のような比較的大型の装置に組み込まれる転がり軸受(以下単に「軸受」ともいう。)は、もし軸受の損傷等により軸受が組み込まれた装置全体がストップしてしまうと、その間は装置を使用しての製品の製造やサービスの提供が停止してしまう事態が考えられる。このため、このような装置停止から装置が再稼動するまでの時間ロスを無くす(ダウンタイムゼロ)ため、軸受を定期的に点検するなど計画的な保全活動が行われている。このような定期点検で、軸受の異常・損傷を早期に検出することができれば、装置の稼動には影響のない間は稼動を継続しつつ、代替の軸受を準備するためのメンテナンスのリードタイムを確保することができ、ダウンタイムゼロを達成することが可能である。
ところが、風車用の軸受の場合、風力を有効に利用するために比較的大きなブレード(羽)を用いるという構造的な制約から、風車が地上や洋上の高所に設置されることが多いため、例えば鉄鋼の圧延機用軸受のように、定期的に分解目視検査を行うのは困難である。このため、風車用軸受のメンテナンスは、軸受の状態を常時監視し、もし軸受を構成する内輪や外輪等に傷等が生じた場合には、この状態監視装置により早期に異常を検出し、風車の運転を継続しつつ、代替の軸受を準備し交換する方法が採られている。
このような軸受の状態監視方法として、従来から(1)軸受を潤滑している潤滑油をフィルタを通して回収し、フィルタ上の金属磨耗粉の量から軸受の異常を判断する、(2)軸受の温度上昇を検出して異常を判断する、(3)軸受を構成する転動体、内輪及び外輪のいずれかに傷があると、軸受が回転したときにこの傷が原因となって傷がない場合よりも大きな振動を生じるという特性を利用し、軸受の振動に基づいて異常診断する、といった方法が知られている。
このうち、(1)の金属粉末の量を検出する方法の場合は、金属粉末が軸受から生じたものであるのか、増速機を構成している増速歯車等から生じたものであるのかの判別が困難であり、軸受に異常があるのかどうかを直接的に判断するのは難しい。また(2)の軸受の温度上昇を検出する方法は、温度上昇が生じるほどの軸受異常は、軸受の損傷がかなり進行した状態である場合が多く、必ずしも軸受異常を早期に検出するのが容易ではない。
これに対し、(3)の軸受の振動に基づいて異常診断する方法は、例えば特許文献1に記載されているように、鉄鋼用の圧延機用軸受や鉄道車両用軸受などの大型の装置に用いられる軸受の異常診断に好適とされ、実際に鉄道車両の車軸用軸受の異常診断で実用化されている。図9は、軸受の振動に基づいて異常を診断する装置の一例として、特許文献1に記載された診断装置を示したものである。
この診断装置110は、軸受101から発生する振動を検出手段111にて検出して電気信号に変換する。この電気信号を増幅手段108、フィルタ処理手段109、波形処理手段112による処理を経た上で、周波数スペクトルデータを比較判定手段115に送付する。図10は、同じく特許文献1に記載されている、このような波形処理手段112による処理を経た周波数スペクトルデータの一例を示したものである。点線に示した周波数にピークが現れている。図9に戻り、比較判定手段115は、予め軸受101の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し基準値として記憶しておき、実際の軸受振動の上述した周波数スペクトルデータの基準値対応箇所にピークが表出するか否かで軸受101の異常の有無を判定・診断する。なお基準値の算出にあたっては、回転数検出手段121にて実際の回転軸106(内輪)の回転数を計測し、この回転数に基づいて算出している。
下記の表1は、特許文献1に記載の内容を記したもので、軸受の各部材の欠陥、具体的には、傷と、各部材で発生する異常振動周波数(エンベロープ処理後の周波数)との関係を示している。
Figure 0007027782000001
この関係に基づき、実際の軸受振動から得られた周波数スペクトルデータのピークを表出する周波数が、表1中の周波数と一致するか否かにより、傷の発生箇所を特定できる。一致しない場合には、傷は無いと判定する。
この診断方法は、上述したような鉄鋼用や鉄道車両用のように比較的軸受に重荷重が作用する分野への適用に優れている。しかし、冒頭に記した例えば風車の増速機用軸受のように、軸受に作用する荷重は必ずしもそれほど大きくはなく、回転伝達(特に高速回転の伝達)が主たる機能として求められるような用途では、軸受に傷等が生じていても基準値対応箇所にピークが生じない場合があり、異常診断を精度良く行ううえでの障害となっていた。
本発明者らは、この周波数スペクトルデータのピークが表出する周波数と基準値対応箇所にピーク値が表出しない原因の究明を進めたところ、周波数スペクトルデータの処理については従来から採用されている技術であるので特に問題がないはずであり、基準値の算出に原因があるのではないかと考え本発明に至った。即ち、軸受に作用する荷重が小さく転動体と軌道輪(内外輪)軌道面間の押し付け力が小さくなる場合は、「公転すべり」が生じる場合があることが知られている。公転すべりとは、回転軸の周りを公転している転動体と軌道輪の軌道面との間に発生するすべりのことである。このような公転すべりが発生すると、転動体(保持器)の実際の公転数は、公転すべりがない場合に比べると小さくなる。
ところが、上述した従来の比較判定手段中に基準値として記憶している値は、回転軸(内輪)の回転数に基づいて算出された値であり、このような「公転すべり」は考慮されていない言わば理論的な値である。このため、実際に異常診断を進めていくと、回転軸(内輪)の回転数に基づいて算出されたこの理論的な基準値と、実際の軸受振動から得られた周波数スペクトルデータとが対応しない場合が出てくるのではないかと考えられる。
特開2003-185535号公報
本発明は、上述した事情を背景にしてなされたものであり、軸受の振動に基づいて診断する場合において、軸受に作用する荷重が比較的小さい場合であっても、信頼性の高い異常診断装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)内輪と、外輪と、該内外輪間に設けられた転動体と、該転動体を周方向に等間隔に保持する保持器を有する転がり軸受の発生する振動を検出して電気信号として出力する振動検出装置と、
前記電気信号を波形処理することによって周波数スペクトルデータに変換する波形処理装置と、
前記転がり軸受の前記転動体又は前記保持器の公転数を検出して出力する公転数検出装置と、
該公転数検出装置の出力する公転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し基準値として記憶する基準値記憶装置と、
前記周波数スペクトルデータ上の前記基準値に対応する箇所に設定した閾値を超えたピークが表出しているか否かを判定する比較判定装置と、
該比較判定装置の判定結果に基づいて、前記転がり軸受の状態の診断を行う診断装置と、
を備えた転がり軸受の異常診断装置。
(2)内輪と、外輪と、該内外輪間に設けられた転動体と、該転動体を周方向に等間隔に保持する保持器を有する転がり軸受の発生する振動を検出して電気信号として出力する振動検出装置と、
前記電気信号を波形処理することによって周波数スペクトルデータに変換する波形処理装置と、
前記転がり軸受の前記転動体又は前記保持器の公転数を検出して出力する公転数検出装置と、
前記転がり軸受の前記内輪又は前記外輪のうち回転側の軌道輪の回転数を検出する回転数検出装置と、
前記公転数検出装置の出力する公転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し第1の基準値として記憶する第1の基準値記憶装置と、
前記回転数検出装置の出力する回転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し第2の基準値として記憶する第2の基準値記憶装置と、
前記周波数スペクトルデータ上の前記第1の基準値又は前記第2の基準値の何れかに対応する箇所に設定した閾値を超えたピークが表出しているか否かを判定する比較判定装置と、
該比較判定装置の判定結果に基づいて、前記転がり軸受の状態の診断を行う診断装置と、
を備えた転がり軸受の異常診断装置。
本発明によれば、転がり軸受の転動体又は保持器の公転数を検出して出力する公転数検出装置の検出結果に基づいて、転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出して基準値とし、かかる基準値と転がり軸受の発生する振動を検出して得られた周波数スペクトルデータとを比較判定して異常診断を行うので、たとえ転動体すべりが生じていても信頼性の高い異常診断を行うことが可能となる。
本発明の異常診断装置が適用される風力発電機を説明する図である。 本発明に係る異常診断装置の第1実施形態の概略構成を示すブロック図である。 図2の異常診断装置に用いられる公転数検出器および振動検出器の取付け状態を説明する図である。 転動体の位置とひずみとの関係を説明する図である。 ひずみの時間的変化を説明する図である。 本発明の転がり軸受異常診断装置の第1実施形態による異常診断方法を説明するためのフローチャートである。 本発明に係る異常診断装置の第2実施形態の概略構成を示すブロック図である。 本発明の転がり軸受異常診断装置の第2実施形態による異常診断方法を説明するためのフローチャートである。 従来の異常診断装置の概略構成を示すブロック図である。 周波数スペクトルの一例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明に係る異常診断装置が適用される風力発電機を示したものである。風力発電機31は、ブレード(羽)32、ブレード32に接続される主軸33、主軸33を支持する主軸軸受34、主軸33を介してブレード32の回転力が入力される増速機35及び増速機35の出力軸(高速軸)6に接続されて回転する発電機37を有している。さらに、風力発電機31は、主軸33、主軸軸受34、増速機35及び発電機37を収容するナセル38及びナセル38を支持するタワー39を有している。
主軸軸受34には、球面ころ軸受が採用されている。増速機35は、主軸33と連結された低速軸(不図示)と、中速軸(不図示)及び高速軸6を有し、これら各軸上には互いに噛み合う歯車が固定されている。各軸は軸受によって、増速機35のハウジングに回転自在に支持されている。図3は、増速機35の出力軸である高速軸6を支持する転がり軸受1を示したものである。
図3に示すように、転がり軸受1は、上述した高速軸である回転軸6、回転軸6に固定され回転軸6とともに回転する内輪2、ハウジング7に取付けられた外輪3、内輪2と外輪3との間に設けられ、回転軸6の周りを公転する転動体4と、転動体4を周方向に等間隔に保持するための保持器5とを有する。また、転がり軸受1が取付けられるハウジング7には、振動検出器11および公転数検出器13が取付けられているが、これらは後述する異常診断装置10の説明のときにあわせて詳述する。転動体4は、本実施形態では金属製の球とされている。
図1に戻り、増速機35の高速軸6を支持する転がり軸受1には、異常診断装置10が設けられている。この異常診断装置10は、図2に示すように振動検出器11、波形処理装置12、公転数検出器13、基準値記憶装置14、比較判定装置15、診断装置16、を備えている
振動検出装置としての振動検出器11は、図3に示すように転がり軸受1を収容しているハウジング7に取付けられる。振動検出器11としては、振動を電気信号に変換する圧電型等公知の各種検出器を使用することができる。振動の検出形式も、加速度式、速度式、変位式等の適宜形式のものの採用が可能である。なお、振動を検出する検出装置としては、ほかにも、AEセンサ、超音波センサ、ショックパルスセンサ、マイクロホン等、転がり軸受1の振動に起因して発生する物理量を電気信号化できるものを用いることが出来る。
波形処理装置12は、振動検出器11から出力された電気信号に対して、エンベロープFFT分析などの波形処理を施して、転がり軸受1の振動状態を示す周波数スペクトルデータを得る。
公転数検出装置としての歪センサ13が、図3に示すように転がり軸受1を収容しているハウジング7に取付けられている。歪センサ13は歪ゲージ13aを有しており、この歪ゲージ13aは、ハウジング7に接着剤によって貼り付けられて、ハウジング7と共に変形する。
図4に示すように、矢印方向に回転している回転軸6から軸受1に荷重Pが作用しているときに、ハウジング7からはR1~R3に代表される反力が軸受1に作用しており、鉛直方向下方に位置している転動体4を支えるための反力R1が最も大きい。このため歪ゲージ13aのひずみは、図4(a)に示すように、転動体4が歪ゲージ設置箇所を通過するときにはハウジング7が押し広げられるように変形することでひずみε1が最も大きくなる。これに対し、図4(b)に示すように、転動体4が歪ゲージ設置箇所を通過しないときは、反力R2が歪ゲージ設置箇所には作用しないこともあり、ハウジング7を変形させる力が小さくなるため、ひずみε2はε1より小さくなる(ε2<ε1)。
図5は、縦軸にひずみを、横軸に時間をとって、このようなひずみと時間との関係を示したものである。図5に示すようにひずみの大きさは周期的に変化する。このため、ひずみピーク間の周期tを測定し、これに球数Zを乗ずることで、転動体4の公転周期Tを得ることができる。公転周期Tの逆数が公転周波数(公転回転数)fc´である。なお、転動体4の公転周波数は、保持器5の公転周波数と等しい。
このような歪ゲージ13aは、ハウジング7の外側に取付けられるので取付けが容易である。本実施形態では、図3に示すように、ハウジング7の外周面に切欠6aを設け、切欠6aに歪ゲージ13aを接着剤で貼り付けている。なお、歪センサ13の取り付け場所については、ハウジングの外周面に取付ける構成に限定されるものではなく、ハウジングの内周面に切欠を設けて切欠内に取付ける、あるいは内輪の外周面に切欠を設けて切欠内に取付ける、あるいはハウジングの端面に取付けることも可能である。
図2に戻り、基準値記憶装置14は、上述したひずみセンサ13の検出結果に基づき、転動体4の公転周波数実測値fc´を用いて、内輪欠陥周波数fi´、外輪欠陥周波数fo´及び転動体欠陥周波数fb´を基準値として算出し、この算出結果を記憶する。基準値算出の手順は以下の通りである。
先ず、歪センサ13によって検出された転動体4の実際の公転周波数fc´を下記式(1)のfc´に代入し、内輪2の回転周波数fr´を求める。
Figure 0007027782000002
なお、式(1)において、各記号は以下のパラメータを示している。以下のパラメータ
のうち、ピッチ円直径とは、転動体4の中心が公転時に描く円の直径を意味している。
また、接触角は、転動体4となる球と内輪2との接触点と球と外輪3の接触点とを結ぶ
直線と、回転軸6に垂直な直線とがなす角度を指す。
fc´:転動体の公転周波数(Hz)
fr´:内輪の回転周波数(Hz)
Da:転動体の直径(mm)
dm:ピッチ円直径(mm)
α:接触角(度)
z:転動体数
そして、内輪2の回転周波数fr´を下記の式(2)、式(3)及び式(4)のfr´に代入する。このとき、内輪欠陥周波数fi´は式(2)によって、外輪欠陥周波数fo´は式(3)により、又転動体欠陥周波数fb´は式(4)によって算出される。
Figure 0007027782000003
比較判定装置15は、基準値として記憶した上記各欠陥周波数と、振動検出器11の電気信号を波形処理して得られた周波数スペクトルと対比し、周波数スペクトルの基準値対応箇所にピークが表出しているか否かを判定する。
診断装置16は、比較判定装置15による判定結果に基いて転がり軸受1の状態、即ち、特定部位に対する異常の有無や損傷があった場合の進行度などの診断を行ない、その結果を出力する。
次に、図6に示すフローチャートに基づいて、上記した転がり軸受1の異常診断装置10において行われる転がり軸受1の異常診断方法を説明する。図6に示したフローチャートの処理は、必ずしも常時実施されるというよりも、定期的に実施されるのがより現実的である。
異常診断処理がスタートすると、先ず、ステップS61において、歪センサ13が公転周波数の検出を開始する。また、振動検出器11は、転がり軸受1に生じる振動の検出を開始する。
次に、ステップS62において、歪センサ13によって検出された転動体4の実際の公転周波数fc´から求められた回転周波数fr´を使って、外輪欠陥周波数fo´、内輪欠陥周波数fi´及び転動体欠陥周波数fb´を算出する。
次に、ステップS63において、振動検出器11から出力された周波数スペクトルに所定値を超えたピークが有るか否か判定する。ステップS63の判定の結果、信号にピークが無い場合、ステップS64に進み転がり軸受1に傷がないと判定する。これらの判定は、比較判定装置15にて行う。
一方、ステップS63においてピークがあると判定した場合、ステップS65に進む。ステップ65では、現れたピーク周波数が、基準値記憶装置14に算出されて記憶されている外輪欠陥周波数fo´、内輪欠陥周波数fi´、転動体欠陥周波数fb´のいずれかと一致するか否か判定する。
ステップS65において、ピーク周波数は外輪欠陥周波数fo´、内輪欠陥周波数fi´、転動体欠陥周波数fb´のいずれとも一致しないと判定した場合は、ステップS66に進み、診断装置16はエラーと判定する。ステップ65の判定は、比較判定装置15にて行う。
一方、ステップS65において、ピーク周波数が上述した欠陥周波数fo´、fi´、fb´のいずれかと一致する場合、ステップS67に進む。そして、ステップS67において、転がり軸受1に傷があると判定する。さらに、傷の位置が、ピーク周波数と一致した基準値(欠陥周波数)を有する軸受構成部位であると判定し、ステップ68に進む。ステップ67の判定も、比較判定装置15にて行う。
ステップS68において、ステップS64、ステップS67の判定の結果から診断結果を出力する。即ち、診断装置16は、
(1)転がり軸受1に傷が無い。
(2)転がり軸受1の内輪2に傷がある。
(3)転がり軸受1の外輪3に傷がある。
(4)転がり軸受1の転動体4に傷がある。
のいずれかの診断結果を出力する。
以上のように、本実施形態においては、転動体4の公転周波数の測定値に基づいて異常診断を行っているため、公転すべりの発生の有無に拘わらず、信頼性の高い診断結果を得ることができる
<第2実施形態>
図7は、異常診断装置の第2実施形態のブロック図である。第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、異常診断装置20には回転数検出器21が追加されていることである。又これに伴ない、基準値記憶装置24に記憶する内容および比較判定装置25にて判定する内容が異なっている。
回転数検出装置としての回転数検出器21は、内輪2(回転軸6)の回転数(回転周波数)を計測するものであり、例えば周波数センサを使って内輪2の回転周波数frを測定する。測定方法としては、例えば、内輪2に目印を付け、近接センサや光学式のセンサで目印を検出することによって、回転周波数frを示す電気的な信号を出力する。
基準値記憶装置24は、公転数検出器(歪センサ)13によって検出された転動体4の公転周波数fc´に基づいて、外輪3等の欠陥周波数fo´、fi´、fb´を算出し、この値(第1の基準値)を記憶するのは第1実施形態と同じである。本実施形態では更に、回転数検出器21によって検出された内輪回転周波数frに基づいて、冒頭の従来例にて説明した表1に記載の理論的な欠陥周波数fo、fi、fbを算出し、この値(第2の基準値)も記憶する。
比較判定装置25は、基準値として記憶した上記転動体4の公転周波数fc´に基づいて算出した欠陥周波数fo´、fi´、fb´および内輪回転周波数frに基づいて算出した理論的な欠陥周波数fo、fi、fbと、振動検出器11の電気信号を波形処理して得られた周波数スペクトルのピーク周波数とを対比し、何れかの基準値対応箇所にピークが表出しているか否かを判定する。
診断装置16は、比較判定装置25による判定結果に基づいて、転がり軸受1の状態、即ち、特定部位に対する異常の有無および転動すべりの有無などの診断を行う。周波数スペクトルの基準値対応箇所にピークが表出している場合に、当該特定部材に傷等の異常があると診断し、同時に公転周波数fc´に基づいて算出した基準値fo´、fi´、fb´(公転すべりを考慮している)および回転周波数frに基づいて算出した理論的な基準値fo、fi、fb(公転すべりを考慮していない)の何れの対応箇所にピークが表出しているかにより、公転すべりの有無も診断する。なお、公転すべりの有無は、歪センサ13によって検出された転動体4の実際の公転周波数fc´と、内輪2の回転周波数を使って算出された転動体4の理論公転周波数fcとを比較して判定してもよい。
次に、図8に示すフローチャートに基づいて、上記した転がり軸受1の異常診断装置20において行われる転がり軸受1の異常診断方法を説明する。
異常診断処理がスタートすると、先ず、ステップS81において、歪センサ13が公転周波数の検出を開始する。また、回転数検出器21は、内輪2の回転周波数の検出を開始する。さらに、振動検出器11は、転がり軸受1に生じる振動の検出を開始する。
次に、ステップS82において、回転検出器21によって検出された内輪2の回転周波数frから、理論的な値である外輪欠陥周波数fo、内輪欠陥周波数fi、転動体欠陥周波数fbを算出する。さらに、公転検出器13(歪センサ)によって検出された転動体4の実際の公転周波数fc´から求められた回転周波数fr´を使って外輪欠陥周波数fo´、内輪欠陥周波数fi´及び転動体欠陥fb´も算出する。
次に、ステップS83において、振動検出器11から出力された周波数スペクトルにピークがあるか否か判定する。ステップS83の判定の結果、信号にピークが無い場合、ステップS84に進み転がり軸受1に傷がないと判定する。
ステップS83においてピークがあると判定した場合、ステップS85に進む。
ステップ85では、現れたピークのピーク周波数が、基準値記憶装置24に算出されて記憶されている外輪欠陥周波数fo´、内輪欠陥周波数fi´、転動体欠陥周波数fb´のいずれかと一致するか否か判定する。ピーク周波数が、外輪等の欠陥周波数fo´、fi´、fb´のいずれかと一致する場合、ステップS86に進む。そしてステップ86において、転がり軸受1に傷があり、公転すべりありと判定する。さらに、傷の位置が、ピーク周波数と一致した基準値を有する軸受構成部位であると判定する。
一方、ステップS85において、ピーク周波数が外輪等の欠陥周波数fo´、fi´、fb´のいずれとも一致しないと判定した場合は、ステップS87に進む。
ステップ87では、ピーク周波数が、理論的な値である外輪欠陥周波数fo、内輪欠陥周波数fi、転動体欠陥周波数fbのいずれかに一致するか否かを判定する。ステップS87の判定の結果、ピーク周波数が、外輪等の欠陥周波数fo、fi、fbのいずれかに一致すると判定すると、ステップ88に進む。そして、ステップ88において、転がり軸受1に傷があり、転動体4の公転すべりなしと判定する。さらに、傷の位置が、ピーク周波数と一致した基準値を有する軸受構成部位であると判定する。
また、ステップS87において、ピーク周波数が何れの欠陥周波数fo、fi、fbにも一致しないと判定すると、ステップS89においてピークの検出が「エラー」であると判定する。
ステップS90において、ステップS84、ステップS86及びステップS88の判定の結果から診断結果を出力する。即ち、診断装置26は、
(1)転がり軸受1に傷が無い。
(2)転がり軸受1の内輪2に傷があって、かつ滑りがない。
(3)転がり軸受1の内輪2に傷があって、かつ滑りがある。
(4)転がり軸受1の外輪3に傷があって、かつ滑りがない。
(5)転がり軸受1の外輪3に傷があって、かつ滑りがある。
(6)転がり軸受1の転動体4に傷があって、かつ滑りがない。
(7)転がり軸受1の転動体4に傷があって、かつ滑りがある。
のいずれかの診断結果を出力する。
以上のように、本実施形態においても、第1実施形態の奏する信頼性の高い診断結果を得ることができるという効果に加え、転動体すべりが発生しているか否かも把握することが可能となる。これにより、傷の有無だけでなく、転動体すべりも加味してのより総合的な情報に基づいての対応の緊急度などを念頭においてのメンテナンスを実施することが可能となる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、異常診断の適用対象としては、風車用の増速機に限らず、必ずしも高荷重が作用しないような、例えばロボットアーム用の減速機用軸受、ジェットエンジン主軸、ガスタービン主軸、工作機械主軸、ターボ冷凍機用圧縮機などに適用することが可能である。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
10、20 異常診断装置
11 振動検出器
12 波形処理装置
13 公転数検出器
14、24 基準値記憶装置
15、25 比較判定装置
16、26 診断装置
21 回転数検出器

Claims (4)

  1. 内輪と、外輪と、該内外輪間に設けられた転動体と、該転動体を周方向に等間隔に保持する保持器を有する転がり軸受の発生する振動を検出して電気信号として出力する振動検出装置と、
    前記電気信号を波形処理することによって周波数スペクトルデータに変換する波形処理装置と、
    前記転がり軸受の前記転動体又は前記保持器の公転数を検出して出力する公転数検出装置と、
    該公転数検出装置の出力する公転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し基準値として記憶する基準値記憶装置と、
    前記周波数スペクトルデータ上の前記基準値に対応する箇所に設定した閾値を超えたピークが表出しているか否かを判定する比較判定装置と、
    該比較判定装置の判定結果に基づいて、前記転がり軸受の状態の診断を行う診断装置と、
    を備え、
    前記転動体又は前記保持器の公転数は、前記転がり軸受に作用する前記転動体と前記内輪または前記外輪との軌道面間の押し付け力の変化に応じて変動
    前記特定の周波数成分値は、内輪欠陥周波数、外輪欠陥周波数、及び、転動体欠陥周波数を含む、転がり軸受の異常診断装置。
  2. 内輪と、外輪と、該内外輪間に設けられた転動体と、該転動体を周方向に等間隔に保持する保持器を有する転がり軸受の発生する振動を検出して電気信号として出力する振動検出装置と、
    前記電気信号を波形処理することによって周波数スペクトルデータに変換する波形処理装置と、
    前記転がり軸受の前記転動体又は前記保持器の公転数を検出して出力する公転数検出装置と、
    前記転がり軸受の前記内輪又は前記外輪のうち回転側の軌道輪の回転数を検出する回転数検出装置と、
    前記公転数検出装置の出力する公転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し第1の基準値として記憶する第1の基準値記憶装置と、
    前記回転数検出装置の出力する回転数に基づいて前記転がり軸受の異常に起因した特定の周波数成分値を算出し第2の基準値として記憶する第2の基準値記憶装置と、
    前記周波数スペクトルデータ上の前記第1の基準値又は前記第2の基準値の何れかに対応する箇所に設定した閾値を超えたピークが表出しているか否かを判定する比較判定装置と、
    該比較判定装置の判定結果に基づいて、前記転がり軸受の状態の診断を行う診断装置と、
    を備え、
    前記転動体又は前記保持器の公転数は、前記転がり軸受に作用する前記転動体と前記内輪または前記外輪との軌道面間の押し付け力の変化に応じて変動
    前記公転数に基づいて算出される特定の周波数成分値は、内輪欠陥周波数、外輪欠陥周波数、及び、転動体欠陥周波数を含む、転がり軸受の異常診断装置。
  3. 前記転がり軸受は、風車の増速機用軸受である、請求項1または2に記載の異常診断装置。
  4. 前記転がり軸受は、前記内輪または前記外輪に対する荷重に応じて、前記転がり軸受における公転すべりが生じる構成である、請求項1~3のいずれか一項に記載の異常診断装置。
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