JP2006189333A - 軸受の異常診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対象部位以外からのノイズを除去して精度良く異常診断を行うことができる軸受の異常診断装置を提供する。
【解決手段】部位特定部8によってハウジング4と外輪3との接触面、および外輪3と転動体2との接触面の少なくともいずれか一方の特定部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部9a,9bを設け、この反射波強度測定部9a,9bによる測定結果を周波数解析部10a,10bで周波数解析し、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から、ハウジング4と外輪3との接触面からの反射波を用いて回転体回転周波数算出部11で求めた回転周波数frと、外輪3と転動体2との接触面からの反射波を用いて転動体公転周波数算出部12で求めた公転周波数fcとに対応する強度を用いて異常診断部13で異常診断する。
【選択図】図1
【解決手段】部位特定部8によってハウジング4と外輪3との接触面、および外輪3と転動体2との接触面の少なくともいずれか一方の特定部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部9a,9bを設け、この反射波強度測定部9a,9bによる測定結果を周波数解析部10a,10bで周波数解析し、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から、ハウジング4と外輪3との接触面からの反射波を用いて回転体回転周波数算出部11で求めた回転周波数frと、外輪3と転動体2との接触面からの反射波を用いて転動体公転周波数算出部12で求めた公転周波数fcとに対応する強度を用いて異常診断部13で異常診断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、軸受の異常を診断する軸受の異常診断装置に関する。
軸受の異常診断装置としては、音響センサ、振動センサ、AEセンサ、超音波センサなどを用いたものが知られ、例えば、転がり軸受が発生する音を収集し、この音波形に対して周波数解析、エンベロープ処理や波高計算を施すことにより転がり軸受の異常を診断するもの(例えば、特許文献1〜特許文献4参照)が知られている。
特開2000−146762号公報
特開2004−93185号公報
特開2004−184400号公報
特開2004−233284号公報
しかしながら、従来の軸受の異常診断装置では、各センサが異常診断の対象以外のものを発生源とするものも検出してしまい、これらがノイズとなって精度の良い異常診断を行うのが難しかった。また、異常発生部位に応じて発生すると予想される周波数成分の強度の大小により異常有無を診断するためには、内輪つまり回転体の回転周波数や転動体が公転する周波数を正確に把握する必要があるが、特許文献2などでは、内輪の回転周波数は別途設置した検出手段によるとしており、転動体が公転する周波数については内輪の回転周波数から理論的に求めるとしている。しかし、一般的な回転機械に内輪の回転数を正確に求めることができる手段があらかじめ設置されていることはあまり期待できないし、また、軸受部の負荷状態によって転動体はスリップすることなどから、転動体が理論どおりに公転しているとは限らず、異常発生部位に応じて発生する周波数を正確に予想することが困難であった。
そこで、本発明の目的は、対象部位以外からのノイズを除去して精度良く異常診断を行うことができる軸受の異常診断装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、ハウジング内に位置する外輪と内輪の間に複数の転動体を有してなる軸受に設けた超音波探触子と、この超音波探触子から超音波を受信するためのレシーバーと、このレシーバーが受信した波形を分析して異常診断を行う波形分析部と備えた軸受の異常診断装置において、上記波形分析部に、上記ハウジングと上記外輪との接触面、および上記外輪と上記転動体との接触面の少なくともいずれか一方の部位を特定する部位特定部と、この部位特定部によって特定された部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部と、この反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する周波数解析部と、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から異常診断を行う異常診断部とを備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記部位特定部が上記ハウジングと上記外輪との接触面を特定したときの上記周波数解析部の解析結果から上記内輪の回転周波数を算出する回転体回転周波数算出部を設け、上記異常診断部は上記回転体回転周波数算出部で算出した回転周波数に対応する周波数の強度を用いて異常診断を行うようにしたことを特徴とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記部位特定部が上記外輪と上記転動体との接触面を特定したときの上記周波数解析部の解析結果から上記転動体の公転周波数を求める転動体公転周波数算出部を設け、上記異常診断部は上記転動体公転周波数算出部で算出した公転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行うようにしたことを特徴とする。
請求項4に記載の本発明は、ハウジング内に位置する外輪と内輪の間に複数の転動体を有してなる軸受に設けた超音波探触子と、この超音波探触子から超音波を受信するためのレシーバーと、このレシーバーが受信した波形を分析して異常診断を行う波形分析部とを備えた軸受の異常診断装置において、上記波形分析部に、上記ハウジングと上記外輪との接触面および上記外輪と上記転動体との接触面の部位を特定する部位特定部と、この部位特定部によって特定された上記ハウジングと上記外輪との接触面からの反射波強度を測定する第一の反射波強度測定部と、この第一の反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する第一の周波数解析部と、この第一の周波数解析部の解析結果から上記内輪の回転周波数を算出する回転体回転周波数算出部と、部位特定部によって特定された上記外輪と上記転動体との接触面からの反射波強度を測定する第二の反射波強度測定部と、この第二の反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する第二の周波数解析部と、この第二の周波数解析部の解析結果から上記転動体の公転周波数を求める転動体公転周波数算出部と、上記第一の周波数解析部と上記第二の周波数解析部による周波数解析結果に基づく上記回転体回転周波数算出部および転動体公転周波数算出部による回転周波数および公転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行う異常診断部とを備えたことを特徴とする。
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載のものにおいて、上記超音波探触子を、スクリュー式空気圧縮機のロータの軸受けに設けたことを特徴とする。
本発明による軸受の異常診断装置は、波形分析部に、部位特定部によって軸受のハウジングと外輪との接触面、および軸受の外輪と転動体との接触面の少なくともいずれか一方の特定部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部を設け、この反射波強度測定部による測定結果を周波数解析部で周波数解析し、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から異常診断部で異常診断するようにしているため、部位特定部によって特定部位を選定し、その反射波強度の周波数解析を行うことができ、他の部位からのノイズを除去して精度の良い正確な異常診断を行うことができる。
また請求項2に記載の本発明による軸受の異常診断装置は、周波数解析部の解析結果から内輪の回転周波数を算出する回転体回転周波数算出部を設け、異常診断部は回転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行うようにしたため、ハウジングと外輪との接触部からの反射波に強く含まれる回転周波数を精度良く算出することができ、これに対応する周波数解析結果の強度を用いて、内輪が回転する回転周波数を別途設置した検出手段を用いることなく、周波数解析から異常発生部位に応じて発生する周波数を正確に予想して、正確な異常診断を行うことができる。
また請求項3に記載の本発明による軸受の異常診断装置は、周波数解析部の解析結果から転動体の公転周波数を求める転動体公転周波数算出部を設け、異常診断部は公転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行うようにしたため、外輪内周面からの反射波に強く含まれる公転周波数を精度良く算出することができ、これに対応する周波数解析結果の強度を用いて、従来のように公転周波数を回転周波数から理論的に求めることなく、また軸受部の負荷状態によって転動体がスリップして転動体が理論どおりに公転していなくても、周波数解析から異常発生部位に応じて発生する周波数を正確に予想して、正確な異常診断を行うことができる。
さらに請求項4に記載の本発明による軸受の異常診断装置によれば、部位特定部によって特定部位を選定し、その反射波強度の周波数解析を行うことができ、他の部位からのノイズを除去して精度の良い正確な異常診断を行うことができる。またハウジングと外輪との接触部からの反射波に強く含まれる回転周波数と、外輪内周面からの反射波に強く含まれる公転周波数とをそれぞれ精度良く算出することができ、これに対応する周波数解析結果の強度を用いて、従来のように内輪が回転する回転周波数を別途設置した検出手段を用いることなく、また公転周波数を回転周波数から理論的に求めることなく、さらに軸受部の負荷状態によって転動体がスリップして転動体が理論どおりに公転していなくても、周波数解析から異常発生部位に応じて発生する周波数を正確に予想して、正確な異常診断を行うことができる。
さらに請求項5に記載の本発明による軸受の異常診断装置によれば、スクリュー式空気圧縮機のロータの軸受においても、波形分析部に、部位特定部によって軸受のハウジングと外輪との接触面、および軸受の外輪と転動体との接触面の少なくともいずれか一方の特定部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部を設け、この反射波強度測定部による測定結果を周波数解析部で周波数解析し、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から異常診断部で異常診断するようにしているため、部位特定部によって特定部位を選定し、その反射波強度の周波数解析を行うことができ、他の部位からのノイズを除去して精度の良い正確な異常診断を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による軸受の異常診断装置を示すブロック構成図である。
軸受は、内輪1と外輪3との間に複数の転動体2を配置し、これらをハウジング4内に収納している。この軸受のハウジング4の外周部には、超音波探触子5を取り付けており、この超音波探触子5は図示を省略したパルサーから入力される数百〜数万Hzで繰り返し発信されるパルスにより振動し、超音波を発振する。この超音波はハウジング4を通過し、ハウジング4と外輪3との接触面において反射され、また、一部はハウジング4と外輪3との接触部を通過し外輪3の内周面から反射される。これら反射波はレシーバ6を介して波形分析部7に入力される。
図1は、本発明の一実施の形態による軸受の異常診断装置を示すブロック構成図である。
軸受は、内輪1と外輪3との間に複数の転動体2を配置し、これらをハウジング4内に収納している。この軸受のハウジング4の外周部には、超音波探触子5を取り付けており、この超音波探触子5は図示を省略したパルサーから入力される数百〜数万Hzで繰り返し発信されるパルスにより振動し、超音波を発振する。この超音波はハウジング4を通過し、ハウジング4と外輪3との接触面において反射され、また、一部はハウジング4と外輪3との接触部を通過し外輪3の内周面から反射される。これら反射波はレシーバ6を介して波形分析部7に入力される。
この波形分析部7は、反射波の時間要素から部位を特定する部位特定部8と、この部位特定部8によって特定されたハウジング4と外輪3との接触面からの反射波のみを取り出してその反射波強度を検出する第一の反射波強度測定部9aと、この第一の反射波強度測定部9aからのデータを周波数解析する第一の周波数解析部10aと、この第一の周波数解析部10aの解析結果から内輪1の回転周波数を算出する回転周波数算出部11と、部位特定部8によって特定された外輪3の内周面からの反射波のみを取り出してその反射波強度を検出する第二の反射波強度測定部9bと、この第二の反射波強度測定部9bからのデータを周波数解析する第二の周波数解析部10bと、この第二の周波数解析部10bの解析結果から転動体2の公転周波数を算出する回転体公転周波数算出部12と、回転周波数算出部11および回転体公転周波数算出部12により算出した回転周波数および公転周波数に対応させてた第一の周波数解析部10aおよび第二の周波数解析部10bの出力における強度から軸受の異常を診断する異常診断部13と、第一の周波数解析部12aおよび第二の周波数解析部12bの出力の特定周波数成分の強度や異常診断部13での診断結果などを記録保存する記録部15と、第一の周波数解析部12aおよび第二の周波数解析部12bの出力の特定周波数成分の強度を記録部15に記録保存しておいた過去の特定周波数の強度と比較して軸受の劣化を診断する劣化診断部14とを備えている。
図2および図3は、パルスが一度発信されるたびにレシーバ6が波形分析部7へ出力する超音波の波形図を示している。
超音波探触子5を設置した位置の外輪3の内周面に転動体2がない場合、図2に示すようにハウジング4と外輪3との接触面からの反射波17aは入射波16に対して時間遅れを有して強度が低下し、また外輪3の内周面からの反射波18aはさらに時間遅れを有して強度が低下する。一方、超音波探触子5を設置した位置の外輪3の内周面に転動体2がある場合、図3に示すように転動体2により外輪3がハウジング4に押し付けられるため、転動体2がない場合に比べてハウジング4と外輪3との接触面からの反射波17bの強度、また外輪3の内周面からの反射波18bの強度はそれぞれ低下する。
超音波探触子5を設置した位置の外輪3の内周面に転動体2がない場合、図2に示すようにハウジング4と外輪3との接触面からの反射波17aは入射波16に対して時間遅れを有して強度が低下し、また外輪3の内周面からの反射波18aはさらに時間遅れを有して強度が低下する。一方、超音波探触子5を設置した位置の外輪3の内周面に転動体2がある場合、図3に示すように転動体2により外輪3がハウジング4に押し付けられるため、転動体2がない場合に比べてハウジング4と外輪3との接触面からの反射波17bの強度、また外輪3の内周面からの反射波18bの強度はそれぞれ低下する。
レシーバ6からこの反射波を受け取った部位特定部8は、図3に示した時間要素からハウジング4と外輪3との接触面からの反射波17aと、外輪3の内周面からの反射波18bとに分別して、それぞれ第一の反射波強度測定部9aと第二の反射波強度測定部9bに出力し、これらの反射波強度測定部9a,9bでそれぞれその反射波強度を求める。
図4および図5は、ラジアル荷重が一定の場合に第一の反射波強度測定部9aおよび第二の反射波強度測定部9bで得られた反射波強度を時系列に並べた波形図である。
図4に示したハウジング4と外輪3との接触面からの反射波強度の変化波形19aと、図5に示した転動体2と外輪3との接触面からの反射波強度の変化波形19bとは、どちらも、転動体2が超音波探触子5の位置を通過する周波数Zfcで変動している。しかし、転動体2が通過するときの反射波強度の低下は外輪3の内周面においてより顕著なものとなっている。ただし、一般的には内輪1にはアンバランスがあるため、軸受に掛かるラジアル荷重も1回転を1周期とする変動を生じている。このため、アンバランスによるラジアル荷重の変動がある場合の反射波強度の変化波形20a,20bの変動は、図4および5とは異なり図6および図7に示すようになる。反射波強度の変化波形20a,20bは、どちらも、転動体2が超音波探触子5の位置を通過する周波数Zfcと、内輪1が取り付けられた回転体の回転周波数frで変動する。
図4に示したハウジング4と外輪3との接触面からの反射波強度の変化波形19aと、図5に示した転動体2と外輪3との接触面からの反射波強度の変化波形19bとは、どちらも、転動体2が超音波探触子5の位置を通過する周波数Zfcで変動している。しかし、転動体2が通過するときの反射波強度の低下は外輪3の内周面においてより顕著なものとなっている。ただし、一般的には内輪1にはアンバランスがあるため、軸受に掛かるラジアル荷重も1回転を1周期とする変動を生じている。このため、アンバランスによるラジアル荷重の変動がある場合の反射波強度の変化波形20a,20bの変動は、図4および5とは異なり図6および図7に示すようになる。反射波強度の変化波形20a,20bは、どちらも、転動体2が超音波探触子5の位置を通過する周波数Zfcと、内輪1が取り付けられた回転体の回転周波数frで変動する。
次に、周波数解析部10a,10bについて説明する。
先ず、文中に出てくる周波数についてここで説明すると、周波数frは内輪1の回転周波数であるが、内輪1が取り付けられた回転体の回転周波数でもある。周波数fcは、保持器の回転周波数であるが、これは転動体2の公転周波数とも言える。また、この公転周波数fcに転動体2の数Zを乗じたZfcは、外輪3の特定位置を転動体2が通過する周波数である。周波数fiは、内輪1に対する相対的な保持器の回転周波数であり、回転周波数fi=fr−fcとして回転周波数frおよび公転周波数fcから求めることができる。また、これに転動体2の数Zを乗じたZfiは、内輪1の特定位置を転動体2が通過する周波数である。
先ず、文中に出てくる周波数についてここで説明すると、周波数frは内輪1の回転周波数であるが、内輪1が取り付けられた回転体の回転周波数でもある。周波数fcは、保持器の回転周波数であるが、これは転動体2の公転周波数とも言える。また、この公転周波数fcに転動体2の数Zを乗じたZfcは、外輪3の特定位置を転動体2が通過する周波数である。周波数fiは、内輪1に対する相対的な保持器の回転周波数であり、回転周波数fi=fr−fcとして回転周波数frおよび公転周波数fcから求めることができる。また、これに転動体2の数Zを乗じたZfiは、内輪1の特定位置を転動体2が通過する周波数である。
第一の周波数解析部10aは、図6に示した反射波強度の変化波形20aを第一の反射波強度測定部9aから受け取り、その周波数を分析を行う。例えば、図6の変化波形20aをFFTにより解析すると、図8に示すようにハウジング4と外輪3との接触部からの反射波には回転周波数frが強く含まれている。
一方、第二の周波数解析部10bは、図7に示した反射波強度の変化波形20bを第二の反射波強度測定部9bから受け取り、その周波数を分析する。例えば、図7の変化波形20bをFFTにより解析すると、図9に示すように外輪3内周面からの反射波には公転周波数fcが強く含まれている。
第一の周波数解析部10aでの解析結果を用いて回転体回転周波数算出部11は、ピークを持つ周波数のうちから回転周波数frを求める。第二の周波数解析部10bでの解析結果を用いて転動体公転周波数算出部12は、ピークを持つ周波数のうちから公転周波数fcを求める。
異常診断部13では、第一の周波数解析部10aおよび第二の周波数解析部10bにおいて得られた周波数強度分析結果のうちのピークを持つ周波数の強度、例えば回転体回転周波数frに対応する強度、転動体公転周波数fcに対応する強度、これらから算出した周波数Zfiにおける強度などを予め設定した閾値と比較して軸受の異常を診断する。その後、回転体回転周波数frに対応する強度、転動体公転周波数fcに対応する強度、内輪1の異常診断時の周波数Zfiにおける強度などを記憶部15に格納する。劣化診断部14は、記憶部15に格納されている前回の各データと今回の各データを比較し、劣化が進展しているかどうかを判定する。
この異常診断部13での異常診断に際して、上述したように部位特定部8によって特定したハウジング4と外輪3との接触部からの反射波から回転周波数frを算出し、また部位特定部8によって特定した外輪3内周面からの反射波から公転周波数fcを算出すると、図8および図9から分かるようにそれぞれピーク値を有する解析結果となってノイズが除去されるので、回転周波数frによって一層ノイズがなく精度の良い異常診断が可能となり、同様に公転周波数fcによって一層ノイズがなく精度の良い異常診断が可能となる。
異常診断部13では、第一の周波数解析部10aおよび第二の周波数解析部10bにおいて得られた周波数強度分析結果のうちのピークを持つ周波数の強度、例えば回転体回転周波数frに対応する強度、転動体公転周波数fcに対応する強度、これらから算出した周波数Zfiにおける強度などを予め設定した閾値と比較して軸受の異常を診断する。その後、回転体回転周波数frに対応する強度、転動体公転周波数fcに対応する強度、内輪1の異常診断時の周波数Zfiにおける強度などを記憶部15に格納する。劣化診断部14は、記憶部15に格納されている前回の各データと今回の各データを比較し、劣化が進展しているかどうかを判定する。
次に、内輪1の転走面に傷がある場合と、外輪3の転走面に傷がある場合の異常診断について具体的に説明する。
先ず、内輪1の転走面に傷がある場合、内輪1の傷が転動体2と接触するたびに外輪3が微小な振動をし、ハウジング4と外輪3との接触状態が変動する。このため、ハウジング4と外輪3との接触部からの反射波強度変化は図10のような変化波形22となる。これをFFTにかけると、図11に示した周波数解析結果のように内輪1の特定位置を転動体2が通過する周波数Zfiにおいてピークが現れる。正常な場合、この成分は全く含まれないかまたは極弱いので、この成分の強度を予め設定した閾値と比較することで、内輪1の異常有無を診断することが可能となる。このとき注目する周波数fiは、先に求めた回転体回転周波数frと転動体公転周波数fcから求める。
先ず、内輪1の転走面に傷がある場合、内輪1の傷が転動体2と接触するたびに外輪3が微小な振動をし、ハウジング4と外輪3との接触状態が変動する。このため、ハウジング4と外輪3との接触部からの反射波強度変化は図10のような変化波形22となる。これをFFTにかけると、図11に示した周波数解析結果のように内輪1の特定位置を転動体2が通過する周波数Zfiにおいてピークが現れる。正常な場合、この成分は全く含まれないかまたは極弱いので、この成分の強度を予め設定した閾値と比較することで、内輪1の異常有無を診断することが可能となる。このとき注目する周波数fiは、先に求めた回転体回転周波数frと転動体公転周波数fcから求める。
軸受の寸法等から転動体公転周波数fcは理論的にも求めることはできるが、実際には転動体にはすべり等が生じているため、理論的に求めた転動体公転周波数fcは必ずしも正確ではないが、上述したように転動体2の動きを実測することで、正確に転動体公転周波数fcを推定でき、異常の有無を正確に診断することが可能になる。
一方、外輪3の転走面に傷がある場合は、外輪3の傷が転動体2と接触するたびに外輪3は微小な振動をし、ハウジング4と外輪3との接触状態が変動する。このため、ハウジング4と外輪3との接触部からの反射波強度変化は図12のような変化波形22bとなる。これをハイパスフィルタにかけると、図13に示した周波数解析結果のように超音波探触子5の位置を転動体2が通過する周波数Zfcの間隔でパルス状の波形23が得られる。この波形23は、同図中点線で示す正常時の波形24とは異なる。図13に示した波形23をFFTにかけると、図14に示すように周波数Zfcおよびその高調波(nZfc、n=1,2,3,…)成分にピークが現れる。従って、これらの成分の強度を予め設定した閾値と比較することで、外輪3の走行面における異常の有無を診断することが可能となる。
上述した軸受の異常診断装置を用いて軸受に関して定期的あるいは任意の時期に繰り返し行う場合、内輪1の異常診断時に、その特定位置を転動体2が通過する周波数Zfiにおける強度や、外輪3の異常診断時に、その特定位置を転動体2が通過する周波数Zfcにおける強度を劣化検出部14に取り込み、これを記憶部15に格納している前回の検査時の値と比較することで、異常部分の劣化状態を判断することができる。例えば、内輪1の異常診断時の周波数Zfiにおける強度が検査のたびに増加しているのであれば、劣化は進行していると考えることができる。また、この劣化の進展状況に基づいて周波数Zfiにおける強度が予め設定した閾値を越えて異常となる時期を予測することもできる。
このように上述した軸受異常診断装置は、波形分析部7に、部位特定部8によって軸受のハウジング4と外輪3との接触面、および軸受の外輪3と転動体2との接触面の少なくともいずれか一方の特定部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部9a,9bを設け、この反射波強度測定部9a,9bによる測定結果を周波数解析部10a,10bで周波数解析し、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から異常診断部13で異常診断するようにしているため、部位特定部8によって特定部位を選定し、その反射波強度の周波数解析を行うことができ、他の部位からのノイズを除去して精度の良い正確な異常診断を行うことができる。
また、上述した軸受異常診断装置は、周波数解析部10a,10bにこの周波数解析結果に基づいて回転体回転周波数frおよび転動体公転周波数fcを算出する回転体回転周波数算出部11および転動体公転周波数算出部12の少なくともいずれか一方を設けたため、内輪1が回転する回転体回転周波数frを別途設置した検出手段を用いることなく、または転動体2が公転する転動体公転周波数fcを回転体回転周波数frから理論的に求めることなく、回転体回転周波数frもしくは転動体公転周波数fcを得ることができ、軸受部の負荷状態によって転動体2がスリップして転動体2が理論どおりに公転していなくても、これらに基づく周波数解析から異常発生部位に応じて発生する周波数を正確に予想して、正確な異常診断を行うことができる。回転体回転周波数算出部11および転動体公転周波数算出部12は、両者を備えるのが望ましいが、異常診断する部位を制限しても良いならいずれか一方を備えていれば良い。
図15は、本発明の他の実施の形態による軸受異常診断装置を示す要部断面図である。
同図に示したスクリュー式圧縮機25は、ネジ状の雄ロータ26および雌ロータ27が一対となって回転し、空気等を圧縮するものである。このスクリュー式圧縮機25は、タイミングギア28により雄ロータ26および雌ロータ27の同期を取り、両ロータ26,27は非接触で回転するものであるが、タイミングギア無しで、両ロータ26,27が接触して回転するものもある。このような圧縮機では、異物をかみこむことなどによりロータ部に異常が生じることがある。このようなときには、軸受に掛かる荷重も、異常の生じたロータの回転周波数に応じた周波数で変動する。この変動は、ハウジング4と、その内部に図1の場合と同様に収納した外輪3との接触部からの反射波強度変化、または外輪3の内周面からの反射波強度変化として捉えることができるので、レシーバ6から波形分析部7の反射波強度測定部9a,9bで反射波強度を測定し、この反射波強度測定部9a,9bによる測定結果を周波数解析部10a,10bで周波数解析し、この周波数解析結果に基づいてロータの回転周波数に応じた周波数成分の強度からロータの異常を異常診断部13で診断することができる。
同図に示したスクリュー式圧縮機25は、ネジ状の雄ロータ26および雌ロータ27が一対となって回転し、空気等を圧縮するものである。このスクリュー式圧縮機25は、タイミングギア28により雄ロータ26および雌ロータ27の同期を取り、両ロータ26,27は非接触で回転するものであるが、タイミングギア無しで、両ロータ26,27が接触して回転するものもある。このような圧縮機では、異物をかみこむことなどによりロータ部に異常が生じることがある。このようなときには、軸受に掛かる荷重も、異常の生じたロータの回転周波数に応じた周波数で変動する。この変動は、ハウジング4と、その内部に図1の場合と同様に収納した外輪3との接触部からの反射波強度変化、または外輪3の内周面からの反射波強度変化として捉えることができるので、レシーバ6から波形分析部7の反射波強度測定部9a,9bで反射波強度を測定し、この反射波強度測定部9a,9bによる測定結果を周波数解析部10a,10bで周波数解析し、この周波数解析結果に基づいてロータの回転周波数に応じた周波数成分の強度からロータの異常を異常診断部13で診断することができる。
1 内輪
2 転動体
3 外輪
4 ハウジング
5 超音波探触子
6 レシーバ
7 波形分析部
8 部位特定部
9a,9b 反射波強度測定部
10a,10b 周波数解析部
11 回転体回転周波数算出部
12 転動体公転周波数算出部
13 異常診断部
2 転動体
3 外輪
4 ハウジング
5 超音波探触子
6 レシーバ
7 波形分析部
8 部位特定部
9a,9b 反射波強度測定部
10a,10b 周波数解析部
11 回転体回転周波数算出部
12 転動体公転周波数算出部
13 異常診断部
Claims (5)
- ハウジング内に位置する外輪と内輪の間に複数の転動体を有してなる軸受に対して、ハウジング内に設けた超音波探触子と、この超音波探触子から超音波を受信するためのレシーバーと、このレシーバーが受信した波形を分析して異常診断を行う波形分析部とを備えた軸受の異常診断装置において、上記波形分析部に、上記ハウジングと上記外輪との接触面、および上記外輪と上記転動体との接触面の少なくともいずれか一方の部位を特定する部位特定部と、この部位特定部によって特定された部位からの反射波強度を測定する反射波強度測定部と、この反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する周波数解析部と、この周波数解析結果に基づいて対応するピークを持つ周波数の強度から異常診断を行う異常診断部とを備えたことを特徴とする軸受の異常診断装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、上記部位特定部が上記ハウジングと上記外輪との接触面を特定したときの上記周波数解析部の解析結果から上記内輪の回転周波数を算出する回転体回転周波数算出部を設け、上記異常診断部は上記回転体回転周波数算出部で算出した回転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行うようにしたことを特徴とする軸受の異常診断装置。
- 請求項1に記載のものにおいて、上記部位特定部が上記外輪と上記転動体との接触面を特定したときの上記周波数解析部の解析結果から上記転動体の公転周波数を求める転動体公転周波数算出部を設け、上記異常診断部は上記転動体公転周波数算出部で算出した公転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行うようにしたことを特徴とする軸受の異常診断装置。
- ハウジング内に位置する外輪と内輪の間に複数の転動体を有してなる軸受に設けた超音波探触子と、この超音波探触子から超音波を受信するためのレシーバーと、このレシーバーが受信した波形を分析して異常診断を行う波形分析部と備えた軸受の異常診断装置において、上記波形分析部に、上記ハウジングと上記外輪との接触面および上記外輪と上記転動体との接触面の部位を特定する部位特定部と、この部位特定部によって特定された上記ハウジングと上記外輪との接触面からの反射波強度を測定する第一の反射波強度測定部と、この第一の反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する第一の周波数解析部と、この第一の周波数解析部の解析結果から上記内輪の回転周波数を算出する回転体回転周波数算出部と、部位特定部によって特定された上記外輪と上記転動体との接触面からの反射波強度を測定する第二の反射波強度測定部と、この第二の反射波強度測定部による測定結果を周波数解析する第二の周波数解析部と、この第二の周波数解析部の解析結果から上記転動体の公転周波数を求める転動体公転周波数算出部と、上記第一の周波数解析部と上記第二の周波数解析部による周波数解析結果に基づく上記回転体回転周波数算出部および転動体公転周波数算出部による回転周波数および公転周波数に対応する強度を用いて異常診断を行う異常診断部とを備えたことを特徴とする軸受の異常診断装置。
- 請求項1〜4のいずれか一つに記載のものにおいて、上記超音波探触子を、スクリュー式空気圧縮機のロータの軸受けに設けたことを特徴とする軸受の異常診断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005001614A JP2006189333A (ja) | 2005-01-06 | 2005-01-06 | 軸受の異常診断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005001614A JP2006189333A (ja) | 2005-01-06 | 2005-01-06 | 軸受の異常診断装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107917805A (zh) * | 2017-10-16 | 2018-04-17 | 铜仁职业技术学院 | 基于深度信念网络和支持向量机的滚动轴承故障诊断方法 |
JP2019070570A (ja) * | 2017-10-10 | 2019-05-09 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受の異常診断装置 |
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JP2021032797A (ja) * | 2019-08-28 | 2021-03-01 | 日本精工株式会社 | 転がり軸受の状態監視方法及び転がり軸受の状態監視システム |
US11372048B2 (en) * | 2019-11-29 | 2022-06-28 | Hitachi, Ltd. | Diagnostic device and diagnostic method |
-
2005
- 2005-01-06 JP JP2005001614A patent/JP2006189333A/ja active Pending
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