JP6411160B2 - 回転速度情報検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、回転センサの信号から回転速度を抽出し、回転体の状態などをモニタする回転速度情報検出装置、例えば車輪用軸受に設けられた車輪速センサの回転信号処理の技術に関する。
従来、パルスエンコーダの出力信号における、デューティ比や位相のずれを、予め記憶しておいた補正量を用いて補正する機能を備えた速度検出装置が提示されている(例えば特許文献2)。
また、 タイヤの回転センサ信号からスリップ率等を推定する方法が提示されており、数回転にわたるタイヤの回転信号から回転同期成分を平均化して検出する方法も提示されている(例えば、特許文献4)。
この他に、図10〜図12に示すように、エンコーダ2aの基準信号を逓倍したパルスを出力する回転検出装置で、逓倍出力に含まれる誤差を、逓倍パルスの識別情報を用いて補正する補正手段を備えたものが提示されている(例えば、特許文献3)。図12はその補正前後のパルス周期の変動を示す。
特開平08−128855号公報 特開2002−311040号公報 特開2008−249574号公報 特開2006−126164号公報
特許文献1〜3では、エンコーダのパルス出力に含まれる誤差を補正する方法が提案されている。また、特願2013−155409号では、着磁ピッチ誤差やエンコーダの取り付けによる誤差も補正する方法が提案されている。
また、回転センサが出力する回転信号から任意の速度範囲でデータを抽出し、シャフト1回転当りの回転速度変動パターンを作成すると、その情報から、回転体の状態に関する情報を抽出することができる。例えば車両情報や路面情報などを検知可能となる。
しかし、前記車両情報や路面情報などは、回転センサの微小な変化から検知するため、不要な外乱や運転条件の変化によって影響を受けると、抽出されるデータの品質が低下してしまい誤差が大きくなってしまう。
この発明の目的は、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できて、微小な回転変動の情報を高精度に取得することができる回転速度情報検出装置を提供することである。
前提構成の回転速度情報検出装置は、被回転検出体と共に回転するエンコーダ2aおよびこのエンコーダ2aを読み取るセンサ2bを有する回転センサ2と、この回転センサ2から出力された回転信号を処理する信号処理ユニット3とを備える。
前記信号処理ユニット3は、
前記回転センサ2から出力された前記回転信号につき、前記エンコーダ2aのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正するセンサ誤差補正手段4と、
この補正された回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを算出する回転変動パターン抽出処理手段5とを有する。
この回転変動パターン抽出処理手段5は、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部5aと、この抽出判別部5aで抽出すると判別された前記回転信号を用い定められた規則に従って前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部5bとを含む
ことを特徴とする。
この構成によると、前記回転変動パターン抽出処理手段5は、入力された回転センサ2の回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを抽出判別部5aにより判別する。前記所定の回転数は、1回転であっても、定められた複数回転であっても良い。この抽出判別部で抽出すると判別された前記回転信号を用い、何らかの定められた規則に従って処理することで回転速度変動パターンを算出する。
このように、入力された回転センサ2の回転信号を、所定の回転数毎に評価して満足する評価が得られた場合のみ抽出し、その抽出した回転センサ2から回転速度変動パターンを算出するため、不要な外乱や運転条件の変化がある場合は抽出されないように評価基準を適宜定めておくことで、このような外乱等の影響のない回転速度変動パターンが算出できる。この回転速度変動パターンは、パターン算出部5bにより、定められた規則に従って算出するため、被回転検出体の1回転当たりの回転速度変動パターンとなる。
また、回転センサ2から出力された回転信号は、センサ誤差補正手段4により、エンコーダ2aのピッチ誤差、取り付け誤差、センサ誤差等を誤差補正用パターンで補正しておくため、より精度の高い回転速度変動パターンが算出できる。前記センサ誤差は、センサ2aが持つ非線形性等の誤差である。
これらのため、前記回転速度変動パターンとして、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できて、微小な回転変動の情報を高精度に取得することができる。
この発明において、前記回転変動パターン抽出処理手段5の前記パターン算出部5bは、前記定められた規則として、回転に同期して平均化または積算する処理を行い、前記回転速度変動パターンを算出するものとしても良い。ここで言う「平均化または積算する処理を行い」には、積算した値を平均化する処理を含む。
抽出処理に平均化処理や積算処理を適用することで、効果的にタイヤ等の非回転検出体の回転に同期しないランダムな回転変動の影響が排除される。例えば、路面の凹凸などによる回転非同期の外乱の影響が排除される。
この発明において、前記回転センサ2が、基本信号を逓倍する逓倍機能を備えた磁気エンコーダ型の回転センサ2であっても良い。この逓倍機能を設けることで、高分解能の出力パルスを出力できて、より高い周波数成分の抽出が可能となり、回転体の状態に関する情報の精度が向上する。なお、磁気エンコーダ型の回転センサは、光学式の回転センサに比べて汚れ等に対して強いと言う利点があるが、分解能は低い。しかし逓倍機能を備えることで、分解能にも優れた回転センサとなる。そのため、汚れ易い環境下となる車輪用軸受等における回転センサに好ましい。
この発明における第1の発明の回転速度情報検出装置は、前記前提構成において、前記回転変動パターン抽出処理手段5の前記抽出判別部5aは、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記所定の回転数毎の回転信号の標準偏差σまたは分散σを、設定されたしきい値と比較することで行う。
これにより、一定の基準を満たした回転信号を適切に選ぶことができる。
この発明における第2の発明の回転速度情報検出装置は、前記前提構成において、前記回転変動パターン抽出処理手段5の前記抽出判別部は、前記回転信号を抽出するか否かの判断につき、判断対象とする前記所定の回転数毎の標準偏差σまたは分散σにつき所定の規格化を行った値を用いて判断する。
これによっても、一定の基準を満たした回転信号を適切に選ぶことができる。
この発明において、前記所定の回転数毎に評価する回転数が、1回転であっても良い。 回転速度変動パターンは、通常は1回転分のパターンとされるため、1回転毎に評価することで、必要かつ十分な評価が行える。
この発明において、前記被回転検出体が車輪用軸受の回転輪であっても良い。車輪用軸受に適用した場合、路面、タイヤ、軸受およびドライブシャフトから入力される駆動力などにより発生する微小な回転変動を、高精度に取得可能となる。特に、少回転数毎に抽出する回転信号を選択することで、路面の凸凹やマンホールなどのタイヤへの突発的な外力の影響を受けることがないため、上記の微小な回転変動を精度の高い情報として出力できる
この発明における第1の発明の回転速度情報検出装置は、被回転検出体と共に回転するエンコーダおよびこのエンコーダを読み取るセンサを有する回転センサと、この回転センサから出力された回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、前記信号処理ユニットは、前記回転センサから出力された前記回転信号につき、前記エンコーダのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正するセンサ誤差補正手段と、この補正された回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを算出する回転変動パターン抽出処理手段とを有し、この回転変動パターン抽出処理手段は、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部と、この抽出判別部で抽出すると判別された前記回転信号を回転に同期して平均または積算処理することで前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部とを含み、前記回転変動パターン抽出処理手段の前記抽出判別部は、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記所定の回転数毎の回転信号の標準偏差σまたは分散σ2を、設定されたしきい値と比較することで行うため、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できて、微小な回転変動の情報を高精度に取得することができる
この発明における第2の発明の回転速度情報検出装置は、被回転検出体と共に回転するエンコーダおよびこのエンコーダを読み取るセンサを有する回転センサと、この回転センサから出力された回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、前記信号処理ユニットは、前記回転センサから出力された前記回転信号につき、前記エンコーダのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正するセンサ誤差補正手段と、この補正された回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを算出する回転変動パターン抽出処理手段とを有し、この回転変動パターン抽出処理手段は、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部と、この抽出判別部で抽出すると判別された前記回転信号を用い定められた規則に従って前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部とを含み、前記回転変動パターン抽出処理手段の前記抽出判別部は、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記所定の回転数毎の標準偏差σまたは分散σ2につき所定の規格化を行った値を用いて行うため、S/N比の高い回転速度変動成分を取得できて、微小な回転変動の情報を高精度に取得することができる。
この発明の一実施形態に係る回転速度情報検出装置の概念構成を示すブロック図である。 同回転速度情報検出装置による回転信号の評価による抽出につき示す説明図である。 同回転速度情報検出装置で算出した回転速度変動パターンの一例を示すグラフである。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受の一例の破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受の他の例を示す破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速センサの誤差補正構造を適用する回転検出装置付き車輪用軸受のさらに他の例を示す破断正面図である。 同車輪用軸受をインボード側から見た一例の側面図である。 同車輪速回転変動パターン抽出装置を適用する回転センサの一例を示す部分断面図および斜視図である。 同車輪速回転変動パターン抽出装置を適用する回転センサの他の例を示す部分断面図および斜視図である。 従来の補正例を示すグラフである。
この発明の一実施形態を図1,図2,図10,図11と共に説明する。図1は、この回転速度情報検出装置を車輪用軸受に装備される回転センサからの回転速度情報の抽出に適用した例を示す。車輪1の回転速度を検出する回転センサ2と、この回転センサ2の出力する回転信号を処理する信号処理ユニット3とを備える。
回転センサ2は、同図の例では車輪速センサであり、車輪用軸受に設置される。この他にドライブシャフト等に設置しても良い。回転センサ2は、例えば図10または図11に示すように、磁気エンコーダ2aと磁気センサ2bとで構成され、磁気エンコーダ2aはN,Sの磁極2aaを交互に有する。磁気エンコーダ2aは、後に図4〜図9と共に説明するように、被検出体である車輪用軸受の回転輪に取付けられる。磁気エンコーダ2aの代わりに検出歯車(図示せず)を用いたものであっても良い。磁気センサ2bからは、磁気エンコーダ2aの回転によってサイン波またはコサイン波状の電圧信号を、回転センサ2により検出した回転速度信号である回転信号として出力する。回転センサ2は逓倍機能を備えていて、基本信号を逓倍した高分解能の出力パルスを出力できる構成のものが望ましい。この逓倍機能を設けることで、より高い周波数成分の抽出が可能となり、回転体の状態に関する情報の精度が向上する。回転センサ2については、後に具体例を説明する。
信号処理ユニット3は、マイクロコンピュータ等の電子回路からなり、独立したECU(電子制御ユニット)等としても良く、また車両全体の制御を行うECUの一部として設けても良い。信号処理ユニット3には、回転センサ2の出力する回転信号に含まれる誤差を補正するセンサ誤差補正手段4と、回転変動パターン抽出処理手段5を設ける。回転変動パターン抽出処理手段5は、回転センサ2で検出されてセンサ誤差補正手段4で補正された回転信号から、回転に同期した回転速度変動パターンを抽出する。
センサ誤差補正手段4は、回転センサ2から出力された回転信号につき、エンコーダ2aのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正する手段である。車輪速センサに用いられる磁気エンコーダ2aなどの検出ターゲットには、製造上のばらつきなどによるセンサ固有のピッチ誤差が含まれている。このような誤差を、前記誤差補正用パターンで補正する。この誤差補正用パターンは、例えば予め測定した回転信号を用いて、回転変動パターン抽出処理手段5またはこの回転変動パターン抽出処理手段5と同様な機能を持つ装置(図示せず)で作成した回転速度変動パターンでとする。これにより、前記ピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差のいずれもが補正される。
センサ誤差補正手段4は、この実施形態では、回転速度信号判別部6と、誤差補正メモリ8と、誤差補正処理部7とを有する。
回転速度信号判別部6は、回転センサ2が出力した回転センサ信号が入力され、走行中の車輪の回転速度を判別する。回転速度信号判別部6は、前記回転速度を判別の結果を、回転速度値として出力するようにしても、また複数段階に適宜に区分されたどの回転速度領域に属するかの情報として出力するようにしても良い。
誤差補正メモリ8には、回転センサ2の回転信号の誤差(エンコーダ2aの誤差であっても良い)を補正する誤差補正用パターンを記憶させておく。誤差補正用パターンは、例えば、車輪1の1回転分の回転に同期した回転速度変動パターンである。
誤差補正処理部7は、誤差補正メモリ8に記憶された誤差補正パターンを用い、回転速度判別部6で判別された回転速度に応じて前記回転信号の前記誤差の補正を行う。
具体的には、誤差補正メモリ8は、回転速度に応じて異ならせた複数種類の誤差補正パターンが設定される。例えば、回転速度の範囲を、数区分ないし数十区分に適宜に区分した速度区分毎に誤差補正パターンを設定しておく。その場合、誤差補正処理部7は、前記複数種類の誤差補正パターンから、最適な誤差補正パターン、具体的には回転速度判別部6で判別された回転速度に対応する誤差補正パターンを選択し、その選択した誤差補正パターンで補正を行う。回転速度判別部6が回転速度の区分を判別する場合は、その判別した区分に対応する誤差補正パターンを誤差補正メモリ8から選択する。回転速度判別部6が速度値を出力する場合は、その速度値がどの速度区分になるかを誤差補正処理部7で判別し、対応する誤差補正パターンを選択する。
回転変動パターン抽出処理手段5は、センサ誤差補正手段4で補正された回転信号を用いて、車輪1の回転に同期した回転速度変動パターンを算出する手段である。回転変動パターン抽出処理手段5は、検出対象となる情報により、例えば出力された回転速度変動パターンを使用する異常判断等の目的等に応じて、入力される回転信号につき、ローパスフィルタ(LPF)やハイパスフィルタ(HPF)によりフィルタ処理しても良く、また抽出データ数を設定してその設定数内のデータ数の出力を行うようにしても良い。
回転変動パターン抽出処理手段5は、入力された前記回転信号を所定の回転数(例えば1回転)毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部5aと、この抽出判別部5aで抽出すると判別された前記回転信号を用い、前記回転に同期した前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部5bとで構成される。なお、前記LPFやHPF、および抽出データ数を設定数内に限る処理は、前記パターン算出部5bで行っても良く、また回転変動パターン抽出処理手段5において、前記抽出判別部5aよりも前段で行うようにしても良い。
前記パターン算出部5bは、定められた規則に従って前記回転速度変動パターンを算出する。回転速度変動パターンは、回転速度の影響を受けるため、任意の速度領域毎に作成することが望ましい。また、路面の凹凸などによる回転非同期の外乱の影響を排除するために、ある程度の回転回数にわたる期間の回転信号を収集し、前記定められた規則で従って演算処理して特定の回転速度変動パターンを抽出する。前記「規則」は、何らかの適宜に定められた規則であれば良い。抽出した回転速度変動パターンの一例を図3に示す。
前記パターン算出部5bは、前記定められた規則として、例えば平均化または積算処理し、前記回転速度変動パターンを抽出する。具体例を挙げると、回転同期でパルス毎にデータを積算した値に対して、全パルスの平均値で除算する。抽出処理に平均化処理や積算処理を適用することで、効果的にタイヤの回転に同期しないランダムな回転変動の影響が排除される。
平均化処理の例を示すと、回転センサ2の出力する回転信号を、1回転を周期として複数回転分のエンコーダ2aの個々の磁極の通過速度または通過所要時間を平均して回転速度パターンを計算する。単純平均をとるだけでなく、過去の値よりも直前の値に重きを置いた加重平均をとれば、常に最新の回転特性を得ることができ、タイヤ特性等の経時変化に追従することができる。
ある程度の回転回数にわたる期間の回転信号を収集し、平均化処理または積算処理して特定の回転速度変動パターンを抽出することで、路面の凹凸などによる回転非同期の外乱の影響を排除でき、例えばタイヤの回転に同期しないランダムな回転変動の影響が効果的に排除される。タイヤ1aのトレッドパターンに起因する成分等は、前記回転速度変動パターンに含まれ、この回転速度変動パターンとして抽出される。
前記抽出判別部5aは、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に、つまり決められたかつ回転数(間隔)毎に、その間の回転中の速度データである回転信号のデータの標準偏差(σ)や分散(σ2 )、又はそれらを規格化したもの(σ/v、σ /v、v:平均速度)等を求め、その間の該当データをパターン算出部5bでの演算(例えば積算)に使うかどうかを判断する。これにより、一定の基準を満たした品質のデータのみを抽出する。前記「所定の回転数」は、例えば1回転としても良く、また数回程度等の複数回転としても良い。回転速度変動パターンは、通常は1回転分のパターンとされるため、1回転毎に評価することで、必要かつ十分な評価が行える。
前記抽出判別部5aは、前記回転信号を抽出するか否かの判断として、例えば判断対象とする前記回転数毎の回転信号の標準偏差σまたは分散σを、設定されたしきい値と比較することで判断するようにしても良い。
また、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記回転数毎の標準偏差σまたは分散σにつき平均速度vで規格化した値を用いて行うようにしても良い。
前記抽出判別部5aは、纏め直して具体的に説明すると、次の処理を行う。
・抽出する速度範囲を限定する。これにより所望の特性を検知することが可能となる。
・所定回転数(例えば1回転)毎に、パルス長の分散σ、または換算した速度の分散を算出し、その分散が規定した値を超えるとき、その回転数分のデータを除外する。これにより、車両や路面情報の検出精度が向上する。
・例えば、1回転ごとのパルス長の分散または換算した速度の分散を算出し、各場合の分散をいずれもσとすると、σ>X(Xはしきい値、つまり規定した値)となったデータを除外する(図2)。同図は、前記所定回転数1を1回転とし、パルス長の分散σを判断する例を示す。
すなわち、前記抽出判別部5aは、次の処理(1) 〜(3) を行う。
(1) 任意の速度範囲で回転信号からなるデータを抽出する。
(2) データのばらつき(標準偏差(σ)や分散(σ))を算出する。
(3) しきい値Xで前記ばらつきを判断して、外れ値を含む場合はその回転数分のデータである回転信号を除外する。
(4) このように抽出判別部5aで抽出する回転信号を判別し、抽出された回転信号のデータをパターン算出部5bで用いて、例えば上記のようにパルス毎に積算データを作成する。
この回転速度情報検出装置によると、上記のように回転速度変動パターンを求めることで、次の各効果が得られる。
・抽出するデータである回転信号の車両速度バラツキを補正することにより、S/Nの高い回転速度変動成分を取得できる。
・これにより、路面、タイヤ、軸受、およびドライブシャフト等から入力される駆動力などにより発生する微小な回転変動を、より高精度に取得可能となる。
・特に、前記所定の回転数とする少回転数毎に抽出する回転信号のデータを選択することで、路面の凸凹やマンホールなどのタイヤへの突発的な外力の影響を受けることがないため、上記の微小な回転変動を精度の高い情報として出力できる。
図10は、回転センサ2の具体例を示す。この回転センサ2は、ラジアルタイプの磁気式であり、ターゲットとなる環状の磁気エンコーダ2aと、この磁気エンコーダ2aの外周面に対面してこの磁気エンコーダ2aの磁気を検出する磁気センサ2bとを有する。磁気エンコーダ2aは、N,Sの磁極2aaを交互に有し、磁気センサ2bからは正弦波状の回転信号を出力する。この正弦波状の回転信号は信号処理部2cで矩形に整形され、矩形波のパルス信号として出力される。信号処理部2cは、逓倍回路2caを有していても良く、その場合、逓倍された高分解能の回転信号を出力する。
磁気エンコーダ2aは、前記磁極2aaに軸方向に並んで、円周上の1か所にZ相(零相)検出用の磁極2abを有するものであっても良く、その場合、磁気センサ2bは、前記N,S交互の磁極2aaの検出用のセンサ部2baに加えて、Z相検出用の磁極2abを検出するセンサ部2bbが設けられる。このセンサ部2bbは、1回転で1回のZ相(零相)信号を出力する。
図11は、回転センサ2の他の例を示す。この回転センサ2は、アキシアルタイプの磁気式であり、環状の磁気エンコーダ2aと磁気センサ2bとがアキシアル方向に対面する。磁気エンコーダ2aは、断面L字状のセンサ取付リング2dのフランジ部に取付けられている。その他の構成は、図10に示したラジアルタイプの回転センサ2と同様である。なお、図11の例では図示を省略したが、このラジアルタイプの回転センサ2においても、前記と同様に零相用の磁極およびセンサ部、並びに逓倍回路を設けても良い。
なお、図10,図11は、いずれも磁気エンコーダ2aを有する回転センサ2を示したが、回転センサ2は、ターゲットがギヤ型の磁性体からなるパルサリング(図示せず)、いわゆる検出歯車であっても良い。その場合、磁気センサはパルサリングの歯部を検出して回転信号を出力する。
これら磁気エンコーダ2aやギヤ型のパルサリングを用いた磁気式の回転センサ2によると、温度変化や汚れなどの劣悪な環境に強い。磁気式の場合、光学式に比べて磁極を細かく設けることが困難であるが、逓倍回路2caを有すると、回転速度変動パターンを検出するために必要な分解能の回転信号が得られる。
図4〜図9は、前記回転センサ2が設けられる車輪用軸受の各例を示す。図4,図5に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用であり、複列の中央に回転センサ2を設けた例を示す。この車輪用軸受30は、内周に複列の転走面33を形成した外方部材31と、これら各転走面33に対向する転走面34を形成した回転輪である内方部材32と、これら外方部材31および内方部材32の転走面33,34間に介在した複列の転動体35とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する。この車輪用軸受30は、複列外向きアンギュラ玉軸受型とされていて、転動体35はボールからなり、各列毎に保持器36で保持されている。内方部材32は、ハブ輪32aと、このハブ輪32aのインボード側端の外周に嵌合した内輪32bとでなり、各輪32a、32bの外周に前記転走面34が設けられている。外方部材31と内方部材32の間の軸受空間の両端は、シール37,38によりそれぞれ密封されている。
この車輪用軸受30において、内方部材32の両転走面34,34間の外周に、回転センサ2のエンコーダ2aが設けられ、このエンコーダ2aに対面する磁気センサ2bが、外方部材31に設けられた半径方向のセンサ取付孔40内に設置されている。回転センサ2は、例えば図10と共に前述したラジアルタイプのものである。
図6,図7に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ駆動輪支持用であり、インボード側端に回転センサ2を設けた例を示す。この例では、回転センサ2には、図11と共に前述したアキシアルタイプのものが用いられている。具体的にはインボード側端のシール38における、内方部材32の外周面に圧入固定されるスリンガが、図11の例のセンサ支持リング2dを兼ねている。磁気センサ2bは、リング状の金属ケース39内に樹脂モールドされ、金属ケース39を介して外方部材31に固定される。その他の構成は、図4,図5に示した例と同様である。
図8,図9に示す車輪用軸受30は、第3世代型の内輪回転タイプで、かつ従動輪支持用であり、インボード側端に回転センサ2を設けた例を示す。この例では、外方部材31のインボード側端部の端面開口がカバー29で覆われており、このカバー29に回転センサ2の磁気センサ2bが取付けられている。その他の構成および作用効果は図4,図5に示した例と同様である。
なお、前記実施形態では、車輪1の回転速度を検出する場合につき説明したが、この発明は、各種の機器における回転速度情報の検出一般に適用することができる。
1…車輪
1a…タイヤ
2…回転センサ
2a…磁気エンコーダ
2b…磁気センサ
2C…逓倍手段
3…信号処理ユニット
4…センサ誤差補正手段
5…回転変動パターン抽出処理手段
5a…抽出判断部
5b…パターン算出部6…回転速度判別部
6…回転速度判別部
7…誤差補正処理部
8…誤差補正メモリ

Claims (6)

  1. 被回転検出体と共に回転するエンコーダおよびこのエンコーダを読み取るセンサを有する回転センサと、この回転センサから出力された回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
    前記信号処理ユニットは、
    前記回転センサから出力された前記回転信号につき、前記エンコーダのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正するセンサ誤差補正手段と、
    この補正された回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを算出する回転変動パターン抽出処理手段とを有し、
    この回転変動パターン抽出処理手段は、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部と、この抽出判別部で抽出すると判別された前記回転信号を用い定められた規則に従って前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部とを含み、
    前記回転変動パターン抽出処理手段の前記抽出判別部は、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記所定の回転数毎の回転信号の標準偏差σまたは分散σ2を、設定されたしきい値と比較することで行う回転速度情報検出装置。
  2. 被回転検出体と共に回転するエンコーダおよびこのエンコーダを読み取るセンサを有する回転センサと、この回転センサから出力された回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
    前記信号処理ユニットは、
    前記回転センサから出力された前記回転信号につき、前記エンコーダのピッチ誤差、取り付け誤差、およびセンサ誤差の少なくとも一つを誤差補正用パターンで補正するセンサ誤差補正手段と、
    この補正された回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを算出する回転変動パターン抽出処理手段とを有し、
    この回転変動パターン抽出処理手段は、入力された前記回転信号を所定の回転数毎に評価して抽出するか否かを判別する抽出判別部と、この抽出判別部で抽出すると判別された前記回転信号を用い定められた規則に従って前記回転速度変動パターンを算出するパターン算出部とを含み、
    前記回転変動パターン抽出処理手段の前記抽出判別部は、前記回転信号を抽出するか否かの判断を、判断対象とする前記所定の回転数毎の標準偏差σまたは分散σ2につき所定の規格化を行った値を用いて行う回転速度情報検出装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の回転速度情報検出装置において、前記回転変動パターン抽出処理手段の前記パターン算出部は、前記定められた規則として、回転に同期して平均化または積算する処理を行い、前記回転速度変動パターンを算出する回転速度情報検出装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の回転速度情報検出装置において、前記回転センサが、逓倍機能を備えた磁気エンコーダ型の回転センサである回転速度情報検出装置。
  5. 請求項1ないし請求項に記載の回転速度情報検出装置において、前記所定の回転数毎に評価する回転数が、1回転である回転速度情報検出装置。
  6. 請求項1ないし請求項に記載の回転速度情報検出装置において、前記被回転検出体が車輪用軸受の回転輪である回転速度情報検出装置。
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