JP3135472B2 - 車輪速度検出装置 - Google Patents

車輪速度検出装置

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JP3135472B2
JP3135472B2 JP07064863A JP6486395A JP3135472B2 JP 3135472 B2 JP3135472 B2 JP 3135472B2 JP 07064863 A JP07064863 A JP 07064863A JP 6486395 A JP6486395 A JP 6486395A JP 3135472 B2 JP3135472 B2 JP 3135472B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車輪の回転速度である
車輪速度を検出する装置に係り、更に詳細には車輪速度
に侵入する周期的外乱を除去して車輪速度を検出する装
置に係る。
【0002】
【従来の技術】車輪速度を検出する装置は従来より広く
知られており、この種の装置は一般に車輪と共に回転す
る回転体の回転を検出して車輪速度に応じた周期的信号
を発生する周期的信号発生装置と、発生された周期的信
号に基づいて各車輪速度を順に決定する車輪速度決定装
置とを含んでいる。
【0003】車輪速度は例えば車輪のスリップ率や制動
力、駆動力の如き車輪の運動状態を制御して車輌の運動
を制御する車輌制御装置に於て使用される。また車輪の
タイヤ空気圧の如き車輪の特性を検出する車輪特性検出
装置に於ても使用される。車輪特性検出装置に適用され
た車輪速度検出装置の一例が実開平2−45461号公
報に記載されており、この車輪速度検出装置に於てはタ
イヤの摩耗や空気圧の変化等によるタイヤ半径の変化に
対応する補正係数にて車輪速度信号が補正され、これに
よりタイヤ半径の変化に拘らず車輪速度が正確に求めら
れるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】車輌が駆動も制動も行
われない状態にて走行しているときには、車体速度が一
定であれば真の車輪速度は一定である。しかし車輪速度
は実際には周期的変動を伴なうことが避けられない。何
故ならば、車輪の製造のばらつきの如く車輪自体の不均
一性に起因する周期的外乱や、車輪を駆動する駆動系の
振動の如く車輪以外の車輌構成要素に起因する周期的外
乱等が存在するからである。またたとえこのような周期
的外乱が存在しなくても、周期的信号発生装置に於ける
回転体の製造や組付けのばらつき等が存在するため、車
輪速度検出値に周期的変動が含まれることが避けられな
い。従って上述の従来の車輪速度検出装置によっては周
期的外乱の影響を受けることなく車輪速度を正確に検出
することができない。
【0005】また本願出願人は、自らの先願である特願
平6−109396号に於て、先に決定された複数の車
輪速度のうち今回決定された車輪速度と予め定められた
関係を有するものが今回決定された車輪速度に加算又は
減算され、これにより車輪速度に侵入した周期的外乱が
除去されるよう構成された車輪速度検出装置を提案し
た。
【0006】しかし本願発明者が行った実験的検討の結
果によれば、車輪速度に対する周期的外乱の影響度合は
一定ではなく、車体速度が高いほど大きくなり、また車
輪に対する路面入力の大きさが大きいほど小さくなる。
従って上述の先の提案にかかる車輪速度検出装置にも改
良の余地がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車輌の車輪と共に回転する回転体
の回転を検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に
応じた周期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該
装置により発生された周期的信号に基づき除去されるべ
き周期的外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリン
グ周期毎に演算する誤差値演算手段と、前記誤差値を前
記車輪の回転位置に関連付けて記憶する記憶手段と、今
回のサンプリング周期に対して前記車輪の1回転前に演
算され前記記憶手段に記憶されている前回の誤差値と
定のゲインとの積と今回のサンプリング周期に於ける周
期的信号とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手
段と、車体速度検出手段と、車体速度が高いときには車
体速度が低いときに比して前記所定のゲインを大きく設
定するゲイン設定手段とを有する車輪速度検出装置(請
求項1の構成)、又は車輌の車輪と共に回転する回転体
の回転を検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に
応じた周期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該
装置により発生された周期的信号に基づき除去されるべ
き周期的外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリン
グ周期毎に演算する誤差値演算手段と、前記誤差値を前
記車輪の回転位置に関連付けて記憶する記憶手段と、今
回のサンプリング周期に対して前記車輪の1回転前に演
算され前記記憶手段に記憶されている前回の誤差値と
定のゲインとの積と今回のサンプリング周期に於ける周
期的信号とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手
段と、前記車輪に対する路面入力の大きさを検出する手
段と、路面入力の大きさが大きいときには路面入力の大
きさが小さいときに比して前記所定のゲインを小さく設
定するゲイン設定手段とを有する車輪速度検出装置(請
求項2の構成)によって達成される。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の如き主要な課題
は、本発明によれば、車輌の車輪と共に回転する回転体
の回転を検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に
応じた周期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該
装置により発生された周期的信号に基づき除去されるべ
き周期的外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリン
グ周期毎に所定のゲインにて演算する誤差値演算手段
と、前記誤差値を前記車輪の回転位置に関連付けて記憶
する記憶手段と、今回のサンプリング周期に対して前記
車輪の1回転前に演算され前記記憶手段に記憶されてい
る前回の誤差値と今回のサンプリング周期に於ける周期
的信号とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手段
と、車体速度検出手段と、車体速度が高いときには車体
速度が低いときに比して前記所定のゲインを大きく設定
するゲイン設定手段とを有する車輪速度検出装置(請求
項1の構成)、又は車輌の車輪と共に回転する回転体の
回転を検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に応
じた周期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該装
置により発生された周期的信号に基づき除去されるべき
周期的外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリング
周期毎に所定のゲインにて演算する誤差値演算手段と、
前記誤差値を前記車輪の回転位置に関連付けて記憶する
記憶手段と、今回のサンプリング周期に対して前記車輪
の1回転前に演算され前記記憶手段に記憶されている前
回の誤差値と今回のサンプリング周期に於ける周期的信
号とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手段と、
前記車輪に対する路面入力の大きさを検出する手段と、
路面入力の大きさが大きいときには路面入力の大きさが
小さいときに比して前記所定のゲインを小さく設定する
ゲイン設定手段とを有する車輪速度検出装置(請求項2
の構成)によって達成される。
【0009】
【作用】上述の請求項1及び2の構成によれば、車輪の
回転速度である車輪速度に応じた周期的信号に基づき誤
差値演算手段により除去されるべき周期的外乱の周期的
変化を表わす誤差値がサンプリング周期毎に演算され、
今回のサンプリング周期に対して車輪の1回転前に演算
され記憶手段に記憶されている前回の誤差値と所定のゲ
インとの積と今回のサンプリング周期に於ける周期的信
号とに基づいて回転速度が演算され、これにより車輪の
1回転前の車輪速度に応じた周期的信号が今回の車輪速
度に応じた周期的信号に重ね合されることによって周期
的外乱が除去される。
【0010】特に請求項1の構成によれば、車輪の1回
転前の車輪速度に応じた周期的信号を今回の車輪速度に
応じた周期的信号に重ね合せることによって周期的外乱
を除去することにより周期的外乱の影響のない車輪速度
を求めるに当り、ゲイン設定手段により車体速度が高い
ときには車体速度が低いときに比して所定のゲインが大
きく設定されるので、車体速度が低く車輪速度に対する
周期的外乱の影響度合が小さい場合に周期的外乱が過剰
に除去されたり車体速度が高く車輪速度に対する周期的
外乱の影響度合が大きい場合に周期的外乱が過小に除去
されたりすることが防止され、これにより車体速度に拘
らず周期的外乱が適正に除去されることによって車輪速
度が正確に検出される。
【0011】また上述の請求項2の構成によれば、車輪
の1回転前の車輪速度に応じた周期的信号を今回の車輪
速度に応じた周期的信号に重ね合せることによって周期
的外乱を除去することにより周期的外乱の影響のない車
輪速度を求めるに当り、ゲイン設定手段により車輪に対
する路面入力の大きさが大きいときには路面入力の大き
さが小さいときに比して所定のゲインが小さく設定され
るので、路面入力の大きさが小さく車輪速度に対する周
期的外乱の影響度合が大きい場合に周期的外乱が過小に
除去されたり路面入力の大きさが大きく車輪速度に対す
る周期的外乱の影響度合が小さい場合に周期的外乱が過
剰に除去されたりすることが防止され、これにより路面
入力の大きさに拘らず周期的外乱が適正に除去されるこ
とによって車輪速度が正確に検出される。
【0012】
【好ましい実施態様】本発明の主要な好ましい実施態様
として以下の如き実施態様がある。
【0013】(1)周期的信号発生装置から周期的信号
を構成する各単位波が発生される毎に各単位波に基づい
て各元回転速度を順に演算する元回転速度演算部と、予
め定められたサンプリング周期が経過する毎に、その間
に演算された少くとも一個の元回転速度の平均値をサン
プル回転速度として演算するサンプル回転速度演算部
と、今回演算されたサンプル回転速度の変動成分をサン
プル変動回転速度として演算するサンプル変動回転速度
演算部と、除去されるべき周期的外乱の周期的変化を表
す誤差値(変動回転速度に加算することによってその変
動回転速度に侵入した周期的外乱を除去するもの)を少
なくとも車輪1回転分、車輪の回転位置に関連付けて記
憶する1回転分メモリと、サンプリング周期が経過する
毎に1回転分メモリから、今回のサンプル変動回転速度
より丁度車輪1回転前に取得された誤差値を旧誤差値と
して呼出し、その旧誤差値と所定のゲインgとの積と、
今回のサンプル変動回転速度と調整ゲインとの積との和
を演算して出力値とする出力値演算部と、その出力値と
サンプル変動回転速度の固定成分との和を最終的な回転
速度として演算する最終的回転速度演算部と、今回のサ
ンプル変動回転速度より丁度車輪1回転前に取得された
旧誤差値から今回の前記出力値を減算することにより、
今回の新誤差値を演算する誤差値演算部と、1回転分メ
モリに記憶されている今回の旧誤差値を新誤差値に更新
する記憶手段更新部と、車体速度が高いときには車体速
度が低いときに比して所定のゲインgを大きく設定する
と共に車輪に対する路面入力の大きさが大きいときには
路面入力の大きさが小さいときに比して所定のゲインg
を小さく設定するゲイン設定手段と、を含んでいること
を特徴とする車輪速度検出装置。
【0014】(2)上記(1)の車輪速度検出装置に於
て、ゲイン設定手段は車体速度が高いときには車体速度
が低いときに比して大きくなるよう第一のゲイン成分g
1 を演算する第一のゲイン成分演算部と、路面入力の大
きさが大きいときには路面入力の大きさが小さいときに
比して小さくなるよう第二のゲイン成分g2 を演算する
第二のゲイン成分演算部と、第一及び第二のゲイン成分
の平均値として所定のゲインgを設定する所定のゲイン
設定部とを有していることを特徴とする車輪速度検出装
置。
【0015】(3)上記(1)の車輪速度検出装置に於
て、ゲイン設定手段は車体速度が高いときには車体速度
が低いときに比して大きくなるよう第一のゲイン成分g
1 を演算する第一のゲイン成分演算部と、路面入力の大
きさが大きいときには路面入力の大きさが小さいときに
比して小さくなるよう第二のゲイン成分g2 を演算する
第二のゲイン成分演算部と、それぞれ所定の重みが与え
られた第一及び第二のゲイン成分の平均値として所定の
ゲインgを設定する所定のゲイン設定部とを有している
ことを特徴とする車輪速度検出装置。
【0016】(4)上記(1)の車輪速度検出装置に於
て、ゲイン設定手段は車体速度が高いときには車体速度
が低いときに比して大きくなるよう第一のゲイン成分g
1 を演算する第一のゲイン成分演算部と、路面入力の大
きさが大きいときには路面入力の大きさが小さいときに
比して小さくなるよう第二のゲイン成分g2 を演算する
第二のゲイン成分演算部と、第一及び第二のゲイン成分
のうち小さい方の値を所定のゲインgとして設定する所
定のゲイン設定部とを有していることを特徴とする車輪
速度検出装置。
【0017】(5)上記(2)〜(4)の何れかの車輪
速度検出装置に於て、ゲイン設定手段は更に所定のゲイ
ンgが大きい程調整ゲインを小さく設定する調整ゲイン
設定部を有していることを特徴とする車輪速度検出装
置。
【0018】(6)上記(5)の車輪速度検出装置に於
て、調整ゲイン設定部は|1−g/2|を調整ゲインと
して設定することを特徴とする車輪速度検出装置。
【0019】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ本発明を実施例
について具体的に説明する。
【0020】図2に於て、10及び12はそれぞれロー
タ及び電磁ピックアップを示している。ロータ10は図
3に示された車輪14と共に回転するものであり、外周
に複数の歯16を備えている。電磁ピックアップ12は
それらの歯16の通過に応じて周期的に変化する電圧を
発生する。この電圧は波形整形器18によって矩形波に
整形され、コンピュータ20のI/Oポート22へ供給
される。車輪14は4個あり、それらに設けられている
電磁ピックアップ12の全てが波形整形器18を経てコ
ンピュータ20に接続されるが、図2には代表的に一組
のみが図示されている。即ち、この実施例に於ては、各
電磁ピックアップ12及び波形整形器18は互いに共働
して矩形波の電圧信号を周期的信号として出力する形式
の周期的信号発生装置19の一例を構成している。
【0021】車輪14は図3に示されている如く、ホイ
ール24の外周にタイヤ26が取付けられたタイヤ付き
ホイールであるが、図4に示されている如く、相対回転
可能なリム側部28とベルト側部30とがねじりばね3
2によって連結されたものと考えられてよい。ロータ1
0はホイール24と一体的に回転するようこれに取付け
られているので、電磁ピックアップ12は厳密にはリム
側部28の角速度を検出する。
【0022】コンピュータ20は図2に示されている如
く処理装置としてのCPU40と、第一の記憶装置とし
てのROM42と、第二の記憶装置としてのRAM44
とを備えており、ROM42に図5及び図17に示され
たフローチャートにより示される制御プログラムが格納
されることによって図1に示されたリム側部回転速度演
算・補正部45を構成している。このコンピュータ20
は別のコンピュータ47と接続されている。コンピュー
タ47は処理装置としてのCPU48と、第一の記憶装
置としてのROM49と、第二の記憶装置としてのRA
M50と、入出力装置としてのI/0ポート51とを備
えており、ROM49に図16に示されたフローチャー
トにより表される相関演算ルーチンをはじめとする種々
の制御プログラムが格納されることによって、図1に示
された外乱オブザーバ52、前処理部54、相関演算部
56、正規化部58、定数補正部60、判定部62及び
車輪速度出力部64を構成している。
【0023】コンピュータ47のI/Oポート51には
図2に示されている如く判定部62の判定結果を運転者
に知らせる表示装置66が接続されている。表示装置6
6はこの実施例に於ては液晶ディスプレイであるが、点
灯或いは点滅するランプ等の別の表示装置が用いられて
もよく、音声にて運転者に知らせる音声報知装置等を含
む他の種々の形態の報知装置が使用されてもよい。
【0024】コンピュータ47のI/Oポート51には
更にホイール24(リム側部28)に加えられる駆動・
制動トルクを、ホイール24の軸に取付けられた歪ゲー
ジ等により検出する駆動・制動トルク検出装置68が接
続されており、更に車体速度センサ70及び路面凹凸セ
ンサ72が接続されている。
【0025】車体速度センサ70は例えば波のドップラ
効果を利用して対地車速として車体速度を検出するドッ
プラ方式のセンサや、4個の車輪の回転速度vに基づい
て車体速度を推定する回転速度利用方式のセンサであっ
てよい。
【0026】一方路面凹凸センサ72は例えば路面凹凸
度Rの影響を受けた信号を読込み、それのP−P値を路
面凹凸度Rとして検出したり、回転速度信号の周波数特
性を路面凹凸度Rとして検出するものであってよい。路
面凹凸度Rの影響を受けた信号として、例えば回転速度
信号、車輌ばね上部の上下加速度信号、車輌ばね下部の
加速度信号の如く路面凹凸度Rを間接的に表す信号や、
路面より反射した信号の如く路面凹凸度Rを直接的に表
す信号であってよい。
【0027】リム側部回転速度演算・補正部45は4個
の車輪14に対応する各周期的信号発生装置19、即ち
電磁ピックアップ12及び波形整形器18より供給され
る矩形波信号(以下パルス信号とも言う)に基づいて各
車輪14の回転速度を算出すると共に、後述の信号遅延
・重ね合せ処理によって各車輪14の回転速度を補正す
る。各車輪14及びロータ10には製造誤差や組立て誤
差が存在し、これらの誤差等に起因して周期的な回転速
度誤差が発生するため、この各車輪14に固有の固有回
転速度誤差を除いた回転速度を求める。図6には、車体
速度が120km/h、タイヤ半径が約330mm、タイヤ空
気圧が0.2MPa である走行状況下に於て得られた回転
速度の周波数特性(周波数とパワースペクトルとの関
係)の一例のグラフが示されている。このグラフより明
らかである如く、基本周波数を約16Hzとする複数の高
調波が発生しており、これが車輪14の固有回転速度誤
差、即ち周期的外乱であり、これを除去するために回転
速度補正が行われる。即ちこの実施例に於ては、車輪1
4の固有回転速度誤差が除去されるべき周期的外乱であ
る。
【0028】尚車輪14の回転速度は周速度として演算
されるが、そのためにはタイヤ26の実質的な半径(タ
イヤが荷重により変形した状態に於ける路面より車輪1
4の中心までの距離)が必要であり、これはタイヤ26
の空気圧によって変動する。よって当初は空気圧が正規
である場合の正規の半径が使用されるが、後に説明する
処理によってタイヤ26の空気圧変化が判明した場合に
は、予めROM42に格納されているタイヤ径テーブル
よりその空気圧変化に対応したタイヤ半径Rtが読出さ
れて使用される。尚回転速度が角速度として演算される
場合にはタイヤ径テーブルは不要である。
【0029】リム側部回転速度演算・補正部45の機能
は図5に示された回転速度演算・補正ルーチンの実行に
より達成されるが、まずその原理について説明する。
【0030】車輪の不均一性等に起因して回転速度に侵
入する外乱は車輪14と共に1回転する周期性を有す
る。従ってこの周期性を利用し、回転速度の時間的変化
のうち先行する部分を丁度1周期分だけ遅延させて後続
する部分に重ね合せることにより周期的外乱を除去する
ことにする。
【0031】信号遅延・重ね合せ処理の伝達関数は図7
のブロック線図にて表わすことができ、この場合の状態
方程式はzを変数としgをゲインとして下記の数1にて
表わされる。
【数1】 ただし、 V:入力としての車体速度 v:入力としての回転速度 y:出力としての回転速度 L:回転速度vのサンプリング周期Tを単位として記述
される遅延量
【0032】尚図に於て遅延演算部は、旧誤差値e2
遅延量L(L回分のサンプリング周期T)だけ遅延させ
て入力としての誤差値e(=V−y)に加算して新誤差
値e1 を得ることにより、入力vに於てそれの変動成分
Δv(即ち除去されるべき周期的外乱)を相対的に強調
して変動成分を抽出する機能を果す。
【0033】入力vから出力yまでの伝達関数H
1 (z)は下記の数2により表される。
【数2】
【0034】ここで伝達関数H1 (z)の周波数応答H
1 (ω)を求めるために、jを虚数単位とし、ωn を正
規化角周波数として z-1=e-jwn とおく。
【0035】尚正規化角周波数ωn は、1秒間を単位と
して記述される実角周波数ωA ではなく、サンプリング
周期Tを単位として記述される角周波数である。そのた
め正規化角周波数ωn は ωn =ωA T にて表される。
【0036】従って周波数応答H1 (ω)は下記の数3
として求められ、この周波数応答H1 (ω)の絶対値の
二乗は下記の数4となる。
【0037】
【数3】
【数4】
【0038】これらの式より明らかである如く、cos ω
n L=1、即ちωn L=2nπ(n:整数)のとき周波
数応答H1 (ω)が0、即ち入力vが出力yに全く現れ
ない状態となる。また周波数応答H1 (ω)が0となる
複数の角周波数ωn のうち互いに隣接する2個のものの
中間値(ωn L≠2nπである各区間に於ける代表点)
に於て、入力vがそのまま出力yに現れるようにするた
めには、例えばωn L=(2n+1)πのときに周波数
応答H1 (ω)の絶対値が1とならなければならない
が、入力vをそのまま使用したのでは下記の数5の如く
になってしまう。そこで入力vをそのまま使用するので
はなく、それに|1−g/2|なる調整ゲインを掛算し
た値v1 として使用することとする。
【数5】
【0039】以上が入力vから出力yまでの伝達関数H
1 (z)の説明であるが、出力yには入力vの影響のみ
ならず入力Vの影響も加えられる。そこで、出力yに於
ける入力Vの影響を評価するため入力Vから出力yまで
の伝達関数H2 (z)をも求めることとする。この伝達
関数H2 (z)は伝達関数H1 (z)と同様にして求め
られ、下記の数6にて表される。
【数6】
【0040】この伝達関数の周波数応答H2 (ω)は下
記の数7にて表され、この周波数応答H2 (ω)の絶対
値の二乗は下記の数8にて表わされる。
【0041】
【数7】
【数8】
【0042】数8より明らかである如く、ωn L=2n
πのとき周波数応答H2 (ω)の絶対値は1となり、そ
の結果 V=y となる。
【0043】即ち出力yは y=H1 (z)v1 +H2 (z)V なる式にて近似的に表すことが可能であり、ωn L≠2
nπのときには y=v1 となり、ωn L=2nπのときには y=v となる。ここで入力v1 を、時間的変動の中心である固
定成分(オフセット値とも言う)v0 と変動成分Δvと
に分離して考えると、オフセットv0 は本来入力Vに一
致すべきであるから、ωn L≠2nπのとき y=v0 +Δv となり、ωn L=2nπのとき y=v0 となる。従って固定成分v0 を0と見なし、入力v1
して変動成分Δvを使用し、入力Vとして0を使用すれ
ば、出力yがΔvとなり、これが求めるべき周期的外乱
の時間的変化を表わす物理量となる。またこのΔvに固
定成分v0 を加算すれば、周期的外乱が除去された回転
速度vが得られる。
【0044】ところで遅延量Lについては前述の如く ωn L=2nπ なる関係が成立するので、遅延量Lは L=(2nπ)/ωn にて表される。ここでn=1とすれば L=(2π)/ωn となり、また前述の如く ωn =ωA T なる関係が成立する。また除去されるべき周期的外乱の
基本波の周波数である基本周波数f1 は 1/f1 =(2π)/ωA にて表される。但しf1 =V/(2πRt )である。従
って遅延量Lは L=(1/f1 )/T にて表される。
【0045】この式は物理的には、「車体速度Vに拘ら
ず遅延量Lは除去されるべき周期的外乱が1周期進行す
る間に、即ち車輪14が1回転する間に回転速度vのサ
ンプリングが行われる回数に等しい」ことを表してい
る。
【0046】タイヤ半径が約330mmであり、車体速度
Vが120km/h である場合には、基本周波数f1 が約
16Hzとなり、またサンプリング周期Tを5msとすれ
ば、この場合の遅延量Lは約12[サンプリング周期]
となる。図8にL=12、g=0.4とした場合の伝達
関数H1 (z)の周波数特性を示す。このグラフは縦軸
に周波数応答H1 (ω)がdB単位にて取られているた
め、周波数応答H1 (ω)が1であることがグラフでは
0にて表され、周波数応答H1 (ω)が0であることが
グラフでは−∞にて表される。従ってこのグラフから明
らかである如く、16Hzを基本周波数f1 とする複数の
高調波が発生する周波数の各位置に於て周波数応答H1
(ω)が十分に0に近くなり、それ以外の各位置に於て
周波数応答H1 (ω)が十分に1に近くなっている。
【0047】次にこの原理に従って回転速度演算・補正
技術をコンピュータを用いて実施するための具体的技術
について説明する。
【0048】電磁ピックアップ12より各パルス(一連
の矩形波を構成する各単位波)が供給される毎に、各パ
ルスの時間間隔に基づいて元回転速度vが順に演算され
る。尚各パルスの時間間隔として例えば各パルスの立上
り間隔時間、立下り間隔時間、パルス中点間隔時間等が
選定されてよい。
【0049】また1サンプリング周期Tが経過する毎
に、その間に入力、演算された少くとも1個の元回転速
度vの平均値がサンプル回転速度vとして演算される。
更に過去に演算されたサンプル回転速度vと現サンプル
速度vとからそれらの平均値(車体速度Vの検出値の一
例)が演算される。この平均値は前記オフセット値とし
て使用され、現サンプル回転速度vからそのオフセット
値が減算されることにより、サンプル変動回転速度Δv
(図7に於ける「v」に相当する)が求められる。
【0050】RAM44には1回転分メモリが設けられ
ている。1回転分メモリは誤差値E(図7に於ける「e
(=V−y)」に相当する)をロータ10の各歯に関連
付けて記憶するものである。誤差値は除去されるべき周
期的外乱、即ちこの実施例に於ては車輪の不均一性に起
因する外乱がロータ10の回転と共に変化する状態を表
す値であり、この取得方法については後に詳述する。1
回転分メモリはロータ10が1回転する間に周期的信号
発生装置19から出力されるパルスの数、即ちロータ1
0の歯の数と同数の記憶アドレスが設けられており、各
記憶アドレスに各誤差値Eが順に記憶される。
【0051】図9には、ロータ10の歯数が8である場
合を例に取り、1回転分メモリの構成が概念的に示され
ている。図9に於て、「1−1」は第1回転時に於て第
1番目に演算された誤差値Eを示し、「1−2」は第1
回転時に於て第2番目に演算された誤差値Eを示し、
「2−1」は第2回転時に於て第1番目に演算された誤
差値Eを示すというように、ハイフンにて連結された二
つの数字のうち左側の数字は車輪14が第何回転目にあ
るかを示し、右側の数字は各パルスが各回転時に於て第
何番目に演算されたかを示している。
【0052】サンプリング周期Tが経過する毎に、1回
転分メモリから誤差値Eが読込まれる。1回転分メモリ
に既に記憶されている少くとも1個の誤差値Eのうち、
今回のサンプル変動回転速度Δvにかかる少くとも1個
の変動回転速度Δvの各々とロータ10のパルス発生回
転位置が共通する誤差値群Eが読込まれる。即ち今回の
サンプル変動回転速度Δvより丁度ロータの1回転前に
取得された誤差値群Eが旧誤差値群Eとして読出され
る。読出された旧誤差値群Eについては平均値が求めら
れ、平均旧誤差値EMEAN(図7に於ける遅延演算部の
「e2 」に相当する)とされる。
【0053】例えば、図9の例を用いて説明すれば、各
回のサンプリングに於て変動回転速度Δvが2個ずつ得
られると仮定すれば、図10に示されている如く、例え
ば図9に於ける「1−1」と「1−2」とが「1−
」、即ち第1回転時に於ける第1番目の旧誤差値群E
を構成し、「1−1」及び「1−2」にてそれぞれ示さ
れる2個の旧誤差値Eの平均値が「1−」にて示され
る平均旧誤差値EMEANとされる。また各回のサンプリン
グに於て変動回転速度Δvが4個ずつ得られると仮定す
れば、図11に示されている如く、例えば図9に於ける
「1−1」〜「1−4」が「1−」、即ち第1回転時
に於ける第1番目の旧誤差値群Eを構成し、「1−1」
〜「1−4」にてそれぞれ示される4個の旧誤差値Eの
平均値が「1−」にて示される平均旧誤差値EMEAN
れる。
【0054】このようにして求められた今回の平均旧誤
差値EMEANと前記ゲインgとの積が求められ、また今回
のサンプル変動回転速度Δvと前記調整ゲイン|1−g
/2|との積(図7に於ける「v1 」に相当する)も求
められる。更にそれら二つの積の和が演算され、図7に
於ける出力yとされる。即ち出力yは 旧EMEAN・g+サンプルΔv・|1−g/2| として求められる。この出力yに前記オフセット値が加
算されることにより、最終的な回転速度vが求められ
る。
【0055】次に、今回の出力yと今回の平均旧誤差値
MEANとの和として新誤差値E(図7に於ける遅延演算
部の「e1 」に相当する)が求められる。即ち、新誤差
値Eは e+e2 =(V−y)+e2 =(0−y)+e2 =−y
+旧EMEAN として求められる。この場合平均旧誤差値EMEANを加算
する操作が「遅延演算処理」の一例であり、また出力y
を減算する操作が「出力フィードバック処理」の一例で
ある。
【0056】新誤差値Eが求められたならば、1回転分
メモリに於て誤差値Eの更新が行われる。即ち今回の旧
誤差値群Eを構成する各旧誤差値Eの各々が何れも同じ
新誤差値Eに書換えられる。
【0057】図10の例を用いて説明すれば、例えば
「2−」に対応する新誤差値Eが演算された場合に
は、「1−」にて示される旧誤差値分Eを構成する
「1−1」及び「1−2」にてそれぞれ示される旧誤差
値Eが何れも同じ新誤差値Eに書換えられる。
【0058】但し上記処理が何回も繰返されることによ
って1回転分メモリに記憶されている誤差値Eが除去さ
れるべき周期的外乱を正確に反映するに至れば、出力y
が0となり、ひいては新誤差値Eが即ち旧誤差となるの
で、この段階に於ては誤差値Eの書換えが行われても誤
差値Eは実質的に固定されることになる。
【0059】ここで1回転分メモリと遅延量Lとの関係
について説明する。この実施例については、各パルスが
発生する毎に元回転速度vの演算が行われるが、サンプ
ル変動回転速度Δvの演算、平均誤差値EMEANの演算、
出力yの演算及び最終的回転速度vの演算は各パルス毎
にではなく、サンプリング周期Tが経過する毎に行われ
る。従って1回転分メモリは実質的には車輪14が1回
転する間にサンプリングされるパルスの数と同数の誤差
値E(図10の例では4個、図11の例では2個)を記
憶するメモリであるということができる。
【0060】またこの実施例に於ては、先に演算された
元回転速度vをロータの1回転分遅延させて後に演算さ
れる元回転速度vに重ね合せる際のその遅延量Lは、1
回転分メモリに記憶されている誤差値群Eの数(即ちサ
ンプル変動回転速度Δvの数)と等しい。
【0061】この遅延量Lは上述の理論の説明に於ては
サンプリング周期Tを単位として L=2πRt /V/T にて表され、またサンプリング周期Tは不変である。従
って周期的外乱をその周期性を利用して除去するために
は、遅延量Lを車体速度V、即ち回転速度vに応じて変
化させることが必要となる。これに対し図示の実施例に
於ては、前述の如く、1回転分メモリの数がロータ10
の歯数と同数であり、常にロータ1回転分の最新の誤差
値Eが記憶される。しかもサンプリング周期Tが経過す
る毎に、その間に演算された少くとも1個の誤差値Eに
ついて平均値が求められて唯一の代表値として用いられ
ることにより、1回転分メモリの記憶アドレスが実質的
にはサンプリング周期T毎に得られた元回転速度vの数
に応じて分割され、その分割数が遅延量Lと等しい。従
ってこの実施例に於ては、回転速度v毎に遅延量Lの異
なる遅延演算部を設ける必要はなく、1個の遅延演算部
にて遅延量が回転速度vに応じて自動的に変化される。
【0062】以上のようにして周期的外乱が除去された
出力yが演算されたならば、これに前記オフセット値が
加算されることにより、周期的外乱が除去された最終的
な回転速度vが演算される。
【0063】尚、図12には変動回転速度Δvの時間的
変化の二つの例がそれぞれグラフとして示されている。
上側のグラフは回転速度vが遅いときの時間的変化の一
例を示し、下側のグラフは回転速度vが早いときの時間
的変化の一例を示している。これらのグラフを対比する
ことにより、回転速度vが早いほど1回のサンプリング
中に1回転分メモリに記憶される変動回転速度Δvの数
(図に於て〜にて示されている)が増加することが
判り、更に回転速度vが早いほど1回の遅延量Lに対応
する変動回転速度Δvの群の数が減少することも判る。
【0064】以上が回転速度演算・補正技術の概略的説
明であるが、次に図5の回転速度演算・補正ルーチンに
ついて説明する。
【0065】まずステップS51(以下単にS51にて
表す。他のステップについても同様である)に於て、整
数iの値が1に初期化され、次にS52に於て今回のサ
ンプリング周期の開始を待機する状態が維持される。今
回のサンプリング周期が開始されると、S53に於て今
回のサンプリング周期が終了したか否かが判定される。
サンプリング周期が開始されたばかりであるときには判
定がNOとなり、S54に於て周期的信号発生装置19
から第i番目のパルスが出されることを待機する状態が
維持される。パルスが出されると判定がYESとなり、
S55に於てそのパルスの継続時間が計測され、S56
に於てその継続時間に基づいて第i番目の元回転速度v
(i)が演算される。即ちコンピュータ20のこのS5
6を実行する部分によって「元回転速度演算部」が構成
されている。演算値はRAM44の1サンプリング分メ
モリに記憶される。
【0066】次いでS57に於て整数iの値が1インク
リメントされ、S58に於て整数iの現在値が最大値i
MAXを越えたか否かが判定される。最大値iMAXはロータ
10の歯数と同じ値に設定されているので、この判定は
結局1回転分の元回転速度v(i)が取得される毎にY
ESとなる。整数iの現在値が最大値iMAXを越えてい
なければ判定がNOとなり、直ちにS53に戻るが、越
えていれば判定がYESとなり、S66に於て整数iの
値が1にリセットされた後S53に戻る。
【0067】その後S53〜S58及びS66が繰返し
実行されるうちに今回のサンプリング周期が終了すれ
ば、S53の判定がYESとなり、S59以下のステッ
プに移行する。
【0068】S59に於ては今回のサンプリング周期の
間に取得され1サンプリング分メモリに記憶されている
元回転速度vの平均値が演算され、サンプル回転速度v
とされる。即ちコンピュータ20のこのS59を実行す
る部分によって「サンプル回転速度演算部」が構成され
ている。
【0069】S60に於て過去に得られたサンプル回転
速度vと現サンプル回転速度vとからそれらの平均値が
演算され、これが前記オフセット値とされる。現サンプ
ル回転速度vからこの平均値が減算されることによって
今回のサンプル変動回転速度Δvが演算される。即ちコ
ンピュータ20のこのS60を実行する部分によって
「サンプル変動回転速度演算部」が構成されている。
【0070】尚このサンプル変動回転速度演算部を例え
ば遮断周波数が1Hz程度のハイパスフィルタ手段として
構成し、このハイパスフィルタ手段にサンプル回転速度
vを供給することによってもサンプル変動回転速度Δv
を取得可能である。また遮断周波数が1Hz程度のローパ
スフィルタ手段にサンプル回転速度vを供給することに
よっても前記オフセット値を取得可能である。
【0071】S61に於ては1回転分メモリに既に記憶
されている旧誤差値Eのうち、今回の変動回転速度Δv
の群と記憶アドレスが一致するものが読出される。即ち
丁度ロータの1回転前に取得された旧誤差値群Eが読出
される。また今回の旧誤差値群Eの平均値が平均旧誤差
値EMEANとして演算される。更に後述のゲイン演算ルー
チンにより演算されRA44のゲインメモリに記憶さ
れている所定のゲインgが読出され、今回のサンプル変
動回転速度Δvと調整ゲイン|1−g/2|との積と、
平均旧誤差値EMEANとゲインgとの積との和が出力yと
して演算される。即ちコンピュータ20のうちこのS6
1を実行する部分によって「出力値演算部」が構成され
ている。
【0072】S62に於てはその出力yに前記オフセッ
ト値が加算されることにより、今回の最終的な回転速度
v、即ち周期的外乱が除去された回転速度vが求められ
る。即ちコンピュータ20のうちこのS62を実行する
部分によって「最終的回転速度演算部」が構成されてい
る。
【0073】S63に於ては今回の出力yが平均旧誤差
値EMEANから減算されることにより今回の新誤差値Eが
求められる。即ちコンピュータ20のうちこのS63を
実行する部分によって「誤差値演算部」が構成されてい
る。
【0074】S64に於ては1回転分メモリに於て今回
の旧誤差値群Eの各値が全て同じ平均新誤差値Eに書換
えられる。即ちコンピュータ20のうちこのS64を実
行する部分によって「1回転分メモリ更新部」が構成さ
れている。その後S52に戻る。
【0075】以上が回転速度演算・補正技術の説明であ
るが、この技術を実施した場合の効果の一例をそれぞれ
前輪及び後輪について図13(A)及び(B)のグラフ
に示す。このグラフに於ては、この技術を実施した後の
回転速度vの周波数特性が実線にて示されており、これ
と比較するためにこの技術を実施する前の回転速度vの
周波数特性、即ち図6のグラフと同じものが破線にて示
されている。図13より明らかである如く、この技術を
実施すれば、車輪14に固有の周期的外乱を良好に除去
することができる。
【0076】以上の説明から明らかである如く、この実
施例に於てはコンピュータ20によって本発明の誤差値
演算手段、記憶手段、回転速度演算手段、ゲイン設定手
段が構成されている。
【0077】次に外乱オブザーバ52について説明す
る。外乱オブザーバ52は図4に示された車輪14のモ
デルに基づいて構成されている。以下にこの外乱オブザ
ーバ52の構成について説明する。
【0078】車輪14を、慣性モーメントJR のリム側
部28と慣性モーメントJB のベルト側部30とがばね
定数Kのねじりばね32により接続されたものとしてモ
デル化すれば、下記の(2)〜(4)の状態方程式が成
立し、これによって線形システムが構成される。 JR ωR ′=−KθRB+T1 ・・・(2) JB ωB ′= KθRB−Td ・・・(3) θRB′=ωR −ωB ・・・(4) ただし、 ωR :リム側部28の角速度 ωR ′:リム側部28の角加速度 ωB :ベルト側部30の角速度 ωB ′:ベルト側部30の角加速度 θRB :リム側部28とベルト側部30との間のねじり
角 T1 :駆動・制動トルク検出装置68により検出され
る駆動制動トルク Td :路面からの外乱トルク
【0079】尚実際にはリム側部28とベルト側部30
との間にはダンパが存在するが、その影響は比較的小さ
いので、この実施例に於てはその存在が無視されてい
る。
【0080】上記状態方程式をベクトル及び行列を用い
て表せば下記の(5)式となる。
【数9】
【0081】ここでタイヤ26の空気圧が変化し、ねじ
りばね32のばね定数がKからK+ΔKに変化したとき
の車輪14の運動は下記の(6)式にて表される。
【数10】
【0082】即ちばね定数KがΔKだけ変化することは
正常なタイヤ26に(6)式の右辺の最終項にて表され
る外乱が加えられるのと等価である。この外乱にはばね
定数Kの変化量ΔKの情報が含まれており、またばね定
数Kはタイヤ26の空気圧に応じて変化するので、この
外乱を推定することによってタイヤの空気圧の変化量を
推定することができる。この外乱の推定に外乱オブザー
バの手法が用いられるるのであり、今路面からのトルク
d をも外乱として扱うことにすれば、推定されるべき
外乱wは下記の(7)式にて表される。
【数11】
【0083】しかし理論上外乱[w]の中の一つの要素
しか推定することができないため、(7)式の第二要素
であるw2 を推定することとする。外乱w2 を下記の
(8)式にて定義すれば、車輪14の状態方程式は下記
の(9)式の如くになり、従ってこの(9)式に基づい
て外乱オブザーバを構成する。
【0084】 w2 =(−1/JB )Td +(ΔK/JB )θRB・・・(8)
【数12】
【0085】外乱オブザーバは外乱をシステムの状態変
数の一つとして推定するものである。そこで(8)式の
外乱w2 をシステムの状態に含めるために、推定される
べき外乱のダイナミックスを下記の(10)式にて近似
する。 w2 ′=0・・・(10)
【0086】これは図14に示されている如く連続して
変化する外乱を階段状に近似(零次近似)することを意
味し、外乱オブザーバ52の外乱推定速度を推定される
べき外乱の変化に比べて十分早くすればこの近似は十分
に許容される。(10)式より、外乱w2 をシステムの
状態に含めると下記の(11)式の拡張系が構成され
る。
【数13】
【0087】(11)式に於て[ωB θRB2 T
が検出することができない状態変数である。従ってこの
システムに基づいて外乱オブザーバ52を構成すれば、
外乱w2 と元々測定できない状態変数ωB 、θRBとを推
定することができる。
【0088】記述を簡単にするために(11)式ベクト
ル及び行列を分解して次のように表すこととする。
【数14】
【0089】このとき、状態[z]=[ωB θRB
2 T を推定する最小次元オブザーバの構成は下記の
(12)式にて表される。 [zp ′]=[A21][xa ]+[A22][zp ]+[B2 ][u]+[G]{ [xa ′]−([A11][xa ]+[A12][zp ]+[B1 ][u])}=( [A21]−[G][A11])[xa ]+([A22]−[G][A12])[zp ] +[G][xa ′]+([B2 ]−[G][B1 ])[u]・・・(12) ただし、 [zp ] :[z]の推定値 [zp ′]:推定値[zp ]の変化率 [G] :外乱オブザーバ52の推定速度を決めるゲ
イン この方程式をブロック図で表すと図15のようになる。
尚図15に於て[I]は単位行列、sはラプラス演算子
である。
【0090】また、真値[z]と推定値[zp ]との誤
差[e]を[e]=[z]−[zp]とおき、誤差
[e]の変化率を[e′]とすると、下記の(13)式
の関係が得られる。 [e′]=([A22]−[G][A12])[e]・・・(13)
【0091】これは外乱オブザーバ52の推定特性を表
しており、行列([A22]−[G][A12])の固有値
が即ち外乱オブザーバ52の極となる。従ってこの固有
値がs平面の左半面に於て原点から離れるほど外乱オブ
ザーバ52の推定速度が速くなる。オブザーバゲイン
[G]は推定速度が所定の速度になるように決定されれ
ばよい。
【0092】尚以上に於ては外乱w2 が前記(8)式、
即ちw2 =(−1/JB )Td +(ΔK/JB )θRB
て表されるものとして、外乱オブザーバ52のうちねじ
りばね32のばね定数KがΔK変化した場合の外乱w2
を推定する部分の構成について説明したが、外乱オブザ
ーバ52のうちベルト側部30の慣性モーメントJB
B +ΔJB に変化した場合、及び外乱オブザーバ52
のうちリム側部28の慣性モーメントJR がJR +ΔJ
R に変化した場合の外乱をそれぞれ推定する部分も同様
にして構成することができる。
【0093】前処理部54は相関演算部56に於ける演
算の前処理を行う部分である。検出されたリム側28の
角速度ωR と外乱オブザーバ52に於て推定されたベル
ト側部30の角速度推定値ωBpとから角速度ωR ′と角
速度推定値ωBp′とが求められる。
【0094】上記外乱w2p、角速度ωR 、ωBp、角速度
ωR ′、ωBp′、ねじり角θRBp 等を用いて相関演算部
56に於て相関演算が行われ、正規化部58に於て正規
化が行われ、ねじりばね32のばね定数Kの変化が求め
られる。
【0095】まず相関演算部56に於て、図16のフロ
ーチャートにより表されるばね定数変化取得用相関演算
ルーチンが実行される。S21の初期設定に於ては、整
数iが1にリセットされ、前記(8)式にて表される外
乱w2 の推定値w2pとねじり角推定値θRBp との相互相
関C(w2p,θRBp )及びねじり角推定値θRBp の自己
相関C(θRBp ,θRBp )が0にリセットされる。即ち
RAM50の相互相関メモリ及び自己相関メモリの内容
が0にされる。
【0096】次いでS22に於て現時点の外乱推定値W
2p(i) 及びねじり角推定値θRBp(i)が読込まれ、S23
に於て外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)
の積が演算され、その積が相互相関C(w2p,θRB)に
加算される。ただし最初にS23が実行される際には相
互相関C(w2p,θRBp )が0であるため、相互相関メ
モリに外乱推定値w2p(i) とねじり角推定値θRBp(i)
の積が格納されるのみである。
【0097】同様にS24に於てねじり角推定値θ
RBp(i)の二乗が演算され、自己相関メモリの自己相関C
(θRBp ,θRBp )に加算される。
【0098】S25に於て整数iが予め定められた整数
M以上になったか否かの判定が行われるが、当初は判定
がNOであるため、S26に於て整数iが1インクリメ
ントされ、再びS22〜S24が実行される。これらの
ステップがM回繰返し実されるとS25の判定がYE
Sとなり、ばね定数変化取得用相関演算ルーチンの1回
の実行が終了する。
【0099】相関演算部56に於て以上のようにして相
互相関C(W2p,θRBp )と自己相関C(θRBp ,θ
RBp )とが求められた後、正規化部58に於て(21)
式によりLK 値が求められ、RAM50のLK 値メモリ
に格納される。 LK =C(W2p,θRBp )/C(θRBp ,θRBp )・・・(21)
【0100】このLK 値は前記(8)式に基づき下記の
(22)式にて表される。
【0101】 LK =(−1/JB )C0 +ΔK/JB ・・・(22) ただし、C0 はC(Tdp,θRBp )/C(θRBp ,θ
RBp )にて表される値であり、ばね定数Kの変化とは無
関係であるので、タイヤ空気圧が正常の状態で予め求め
ておくことによって補償することができる。また、C
(Tdp,θRBp )は外乱トルクTd の推定値とねじり角
θRBの推定値との相互相関を表している。
【0102】定数補正部60に於ては、以上のようにし
て取得され各L K 値メモリに格納されているLK=C(W
2p,θRBp)/C(θRBp,θRBp)に基づいてねじりば
ね32のばね定数Kの補正が行われる。
【0103】LK は前述のように、 LK =(−1/JB )C0 +ΔK/JB にて表されるため、予めLK とΔKとの関係がばね定数
変化テーブルとしてROM49に格納されており、この
テーブルに基づいてばね定数変化量ΔKが求められ、こ
の変化量だけ外乱オブザーバ52のばね定数Kが補正さ
れる。
【0104】車輌のキースイッチがONにされて後初め
て外乱オブザーバ52が作動される際にはばね定数K、
慣性モーメントJR 及び慣性モーメントJB として正規
の値が使用されるが、一旦補正が行われればばね定数K
として補正後の値が使用される。従ってその状態にて得
られたばね定数変化量ΔKは補正後の値からの補正量と
なる。しかるに、判定部62に於ては正規の値からの変
化量が必要であるので、キースイッチがONにされたと
き、ばね定数補正値メモリがクリアされ、定数補正部6
0に於て補正が行われる毎に補正値ΔKがメモリの内容
に加算される。判定部62に於ては、ばね定数補正値メ
モリに記憶されている補正値ΔKがROM49に格納さ
れている基準値ΔK0 と比較される。補正値ΔKが負の
値である基準値ΔK0 より小さい場合にはタイヤ26の
空気圧が異常に低いと判定されて表示装置66により運
転者に知らされる。尚補正値ΔKと空気圧変化量ΔPと
の関係が予めROM49に格納されており、その関係に
従って今回の補正値ΔKに対応する空気圧変化量ΔPが
演算される。
【0105】車輪速度出力部64に於ては、リム側部回
転速度演算・補正部45から供給される回転速度vが外
乱オブザーバ52により推定された外乱に基づいて補正
された上で出力される。
【0106】前述の如く、外乱オブザーバ52の(1
1)式に基づいて構成される部分により推定される外乱
2pは、(8)式に示されている如くw2p=(−1/J
B )Td +(ΔK/JB )θRBにて表されるが、この式
の右辺の第2項は定数補正部60に於て前述の如く継続
的に補正され且つ急激に変化するものではないので、第
1項に比して無視できるほどに小さい。従って車輪速度
出力部64に於ては、外乱オブザーバ52の(11)式
に基づいて構成される部分によって推定される外乱w2p
が(−1/JB )Td であると見なして回転速度vの補
正が行われる。
【0107】具体的には、外乱w2p=(−1/JB )T
d に−JB を掛けて外乱トルクTdが求められ、下記
(27)式により、その外乱トルクTd にのみ起因する
リム側部28の角速度推定値ωRpが求められる。 ωRp(s) ={[D](s[I]−[E])-1[F]}Td (s) ・・・(27) ただし、 [I] :単位行列 s :ラプラス演算子 ωRp(s) :角速度推定値ωRpをラプラス変換した値 Td (s) :外乱トルクTd をラプラス変換した値
【0108】また[D]、[E]、[F]はそれぞれ次
式にて表されるベクトル及び行列である。
【数15】 上記角速度推定値ωRpは、車輪14の回転速度vの乱れ
のうち路面から車輪14に加えられる外乱による成分で
あるので、この角速度推定値ωRpを車輪14の周速度に
換算した値だけリム側部回転速度演算・補正部45から
供給される回転速度vが補正され、これにより路面から
の外乱に起因する回転速度vのノイズが除去される。
【0109】尚付言すれば、この実施例に於ては、リム
側部回転速度演算・補正部45から出力される回転速度
信号がそのまま外乱オブザーバ52に供給されてその外
乱オブザーバ52に於て外乱等の推定が行われるような
っているが、それらリム側部回転速度演算・補正部45
と外乱オブザーバ52との間に前処理フィルタが設けら
れ、リム部回転速度演算・補正部45から出力される回
転速度信号の複数の周波数成分のうち設定周波数範囲内
に於けるもののみが前処理フィルタによって外乱オブザ
ーバ52に供給されることが好ましい。何故ならば、回
転速度信号の周波数特性と外乱オブザーバ52が外乱等
を推定する際の推定精度との間には一定の関係があり、
特定の周波数成分のみが選択的に強調されて外乱オブザ
ーバ52に供給されるようにすれば、外乱オブザーバ5
2が用いる車輪の力学モデルの構成を複雑にすることな
く十分に高い推定精度を確保し得るからである。
【0110】次に図17に示されたフローチャートを参
照してゲイン設定ルーチンについて説明する。
【0111】S71に於ては車体速度センサ70により
検出され又はコンピュータ20により演算された車体速
度Vの読込みが行われ、S72に於てはコンピュータ4
7により演算された路面凹凸度Rの読込みが行われる。
【0112】S73に於ては車体速度Vに基づき図18
に示されたグラフに対応するマップより第一のゲイン成
1が演算されると共に、路面凹凸度Rに基づき図1
9に示されたグラフに対応するマップより第二のゲイン
成分g2が演算される。
【0113】S74に於てはm1 及びm2 (0<m1
2 )をそれぞれ第一及び第二のゲイン成分に対する重
みとして g=(m1 1 +m2 2 )/(m1 +m2 ) に従って重付け平均の演算が行われることにより所定の
ゲインgが演算され、RAM44のゲインメモリに記憶
される。
【0114】かくしてこの実施例によれば、車体速度V
が高いほど所定のゲインgが大きく設定され、また路面
凹凸度Rが大きいほど所定のゲインgが小さく設定され
るので、図5に示された回転速度演算・補正ルーチンの
S61に於て車体速度V及び路面凹凸度Rに応じて出力
yを最適に演算することができ、これによりS62に於
て車体速度や路面凹凸度に拘らず最終的回転速度vを
正確に演算することができる。
【0115】例えば図20乃至図22は図6及び図13
の場合と同様タイヤ半径が約330mm、タイヤ空気圧が
0.2MPa である走行状況下に於て得られた回転速度の
周波数特性をそれぞれ車体速度が60km/h、90km/h、
150km/hである場合について示している。またこれら
の図に於て(A)及び(B)はそれぞれ前輪及び後輪を
示しており、破線は本発明の回転速度演算・補正技術が
実施されない場合の周波数特性を示している。
【0116】図20乃至図22及び図13より、車体速
度の増大につれて車輪に固有の周期的外乱が増大するの
に対し、図示の実施例によれば、車体速度に応じて所定
のゲイン及び調整ゲインが適宜に設定されることによ
り、車体速度に拘らず車輪に固有の周期的外乱を良好に
除去することができることが判る。
【0117】尚図示の実施例に於ては第一及び第二のゲ
イン成分に対する重みm1 及びm2はm1 <m2 に設定
されているが、これらはm1 =m2 又はm1 >m2 に設
定されてもよい。また所定のゲインgは第一のゲイン成
分g1 及び第二のゲイン成分g2 のうち小さい方の値に
設定されてもよい。
【0118】また図には示されてないが、車輪に固有の
周期的外乱は路面凹凸度Rが大きくなるほど小さくなる
が、図示の実施例によれば第二のゲイン成分g2 が路面
凹凸度が大きいほど小さくなるよう演算されるので、路
面凹凸度に拘らず車輪に固有の周期的外乱を良好に除去
することができる。
【0119】以上に於ては本発明を特定の実施例につい
て詳細に説明したが、本発明はかかる実施例に限定され
るものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例
が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0120】
【発明の効果】上述の請求項1の構成によれば、ゲイン
設定手段により車体速度が高いときには車体速度が低い
ときに比して所定のゲインが大きく設定されるので、車
体速度が低く車輪速度に対する周期的外乱の影響度合が
小さい場合に周期的外乱が過剰に除去されたり車体速度
が高く車輪速度に対する周期的外乱の影響度合が大き
場合に周期的外乱が過小に除去されたりすることを防止
することができ、また上述の請求項2の構成によれば、
ゲイン設定手段により車輪に対する路面入力の大きさが
大きいときには路面入力の大きさが小さいときに比して
所定のゲインが小さく設定されるので、路面入力の大き
さが小さく車輪速度に対する周期的外乱の影響度合が大
い場合に周期的外乱が過小に除去されたり路面入力の
大きさが大きく車輪速度に対する周期的外乱の影響度合
が小さい場合に周期的外乱が過剰に除去されたりするこ
とを防止することができ、従って本発明によれば車体速
度や路面入力の大きさに拘らず周期的外乱を適正に除去
して車輪速度を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明の一実施例である車輪速度検出
装置を含む外乱検出装置の機能ブロック図である。
【図2】図1に示された外乱検出装置の構成ブロック図
である。
【図3】図1に示された外乱検出装置により外乱が検出
される車輪の一部を示す断面図である。
【図4】図3に示された車輪の力学モデルを示す図であ
る。
【図5】図1に示された車輪速度検出装置の一構成要素
であるコンピュータのROMに格納されている制御プロ
グラムの回転速度演算・補正ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図6】車輪速度検出装置の周波数特性の一例を示すグ
ラフである。
【図7】図1に示された車輪速度検出装置に於ける周期
的外乱除去部の機能ブロック図である。
【図8】図7に示された周期的外乱除去部の特性の一例
を示すグラフである。
【図9】図1に示された車輪速度検出装置の一構成要素
である1回転分メモリの構成とその使用方法とを概念的
に示す図である。
【図10】遅延サンプリング回数が4である場合につい
て、図9に示された1回転分メモリに於ける記憶内容と
サンプリング周期との関係を説明するための図である。
【図11】遅延サンプリング回数が2である場合につい
て、図9に示された1回転分メモリに於ける記憶内容と
サンプリング周期との関係を説明するための図である。
【図12】図7に示された周期的外乱除去部の原理を概
念的に示すグラフである。
【図13】車体速度が120km/hである場合について図
7に示された周期的外乱除去部の効果の一例を示すグラ
フである。
【図14】図1に示された外乱検出装置に於ける外乱の
ダイナミックスの近似を説明するためのグラフである。
【図15】図1に示された外乱検出装置に於ける外乱オ
ブザーバを示すブロック線図である。
【図16】図1に示された外乱検出装置の一構成要素で
あるコンピュータのROMに格納されている制御プログ
ラムを示すフローチャートである。
【図17】制御プログラムのゲイン設定ルーチンを示す
フローチャートである。
【図18】車体速度Vと第一のゲイン成分g1 との間の
関係を示すグラフである。
【図19】路面凹凸度Rと第二のゲイン成分g2 との間
の関係を示すグラフである。
【図20】車体速度が60km/h である場合について図
7に示された周期的外乱除去部の効果の一例を示すグラ
フである。
【図21】車体速度が90km/hである場合について図7
に示された周期的外乱除去部の効果の一例を示すグラフ
である。
【図22】車体速度が150km/hである場合について図
7に示された周期的外乱除去部の効果の一例を示すグラ
フである。
【符号の説明】
10…ロータ 12…電磁ピックアップ 14…車輪(タイヤ付きホイール) 19…周期的信号発生装置 20…コンピュータ 24…ホイール 26…タイヤ 28…リム側部 30…ベルト側部 32…ねじりばね 47…コンピュータ 52…外乱オブザーバ
フロントページの続き (72)発明者 河井 弘之 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小島 弘義 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 浅野 勝宏 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 梅野 孝治 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 内藤 俊治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地日本電 装株式会社内 (72)発明者 小野木 伸好 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地日本電 装株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01P 3/481 G01D 5/245 102 G01P 3/489

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輌の車輪と共に回転する回転体の回転を
    検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に応じた周
    期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該装置によ
    り発生された周期的信号に基づき除去されるべき周期的
    外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリング周期毎
    に演算する誤差値演算手段と、前記誤差値を前記車輪の
    回転位置に関連付けて記憶する記憶手段と、今回のサン
    プリング周期に対して前記車輪の1回転前に演算され前
    記記憶手段に記憶されている前回の誤差値と所定のゲイ
    ンとの積と今回のサンプリング周期に於ける周期的信号
    とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手段と、車
    体速度検出手段と、車体速度が高いときには車体速度が
    低いときに比して前記所定のゲインを大きく設定するゲ
    イン設定手段とを有する車輪速度検出装置。
  2. 【請求項2】車輌の車輪と共に回転する回転体の回転を
    検出して前記車輪の回転速度である車輪速度に応じた周
    期的信号を発生する周期的信号発生装置と、該装置によ
    り発生された周期的信号に基づき除去されるべき周期的
    外乱の周期的変化を表わす誤差値をサンプリング周期毎
    に演算する誤差値演算手段と、前記誤差値を前記車輪の
    回転位置に関連付けて記憶する記憶手段と、今回のサン
    プリング周期に対して前記車輪の1回転前に演算され前
    記記憶手段に記憶されている前回の誤差値と所定のゲイ
    ンとの積と今回のサンプリング周期に於ける周期的信号
    とに基づき回転速度を演算する回転速度演算手段と、前
    記車輪に対する路面入力の大きさを検出する手段と、路
    面入力の大きさが大きいときには路面入力の大きさが小
    さいときに比して前記所定のゲインを小さく設定するゲ
    イン設定手段とを有する車輪速度検出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016080378A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 Ntn株式会社 回転速度情報検出装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016080378A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 Ntn株式会社 回転速度情報検出装置

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