JP6563206B2 - 車輪速回転変動パターン抽出装置 - Google Patents
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この他に、図13〜図15に示すように、エンコーダ2aの基準信号を逓倍したパルスを出力する回転検出装置で、逓倍出力に含まれる誤差を、逓倍パルスの識別情報を用いて補正する補正手段を備えたものが提示されている(例えば、特許文献3)。図15はその補正前後のパルス周期の変動を示す。
実際に走行したときの回転信号には駆動輪では駆動系に起因する信号成分も重畳する。 また、低速走行中の回転信号には、タイヤ1aのトレッドパターンの情報が含まれるが、タイヤ1aのねじり共振周波数を超えるような高速走行中では、路面からの入力がタイヤ1aの減衰性によって減衰するため、高周波のトレッドパターン情報が除去される。そのため高速走行中の回転信号からは、センサ固有のピッチ誤差と駆動系に起因する誤差成分が、選択的に抽出される。この回転信号のデータを積算して前記誤差補正用パターンを生成し、回転センサ2の回転信号を補正すると、回転センサ2に固有の信号成分と駆動系に起因する信号成分が除去され、タイヤ1aや路面に起因した回転速度変動成分を高いS/N比で取得することができる。
前記速度しきい値については、例えば80km/h以上と高くすると、確実にねじり共振周波数を超えることになるが、一般道の走行では出すことができず、採取できる場合が少なくなる。前記速度しきい値を39km/h〜41km/hの定めた値とすれば、ほぼ前記ねじり共振周波数を超える高速走行となり、かつ通常に採取でき、いつでも前記誤差補正用パターンを生成できる。
このように誤差補正用パターンは問題がないかを確認した上で記憶することで、精度の不十分な誤差補正による支障を未然に防止できる。また、記憶しておく誤差補正用パターンを最新の状態に更新しておくことで、状況の変化に応じた適切な補正が行える。
回転に同期した回転速度変動パターンには、タイヤの空気圧の低下、タイヤの摩耗、トレッドの異常、およびタイヤ種の種類によって生じる情報が含まれており、回転速度変動パターンからこれら空気圧低下等の判断が行える。その場合に、回転速度変動パターンの精度が低いと上記の判断の精度が低下するが、この発明の車輪速回転変動パターン抽出装置によると、前記のように生成した誤差補正用パターンで補正することにより、精度良く回転速度変動パターンが求まる。そのため、タイヤの空気圧の低下、タイヤの摩耗、トレッドの異常、およびタイヤ種の種類判別のいずれについても、精度良く判断することができる。
誤差補正用パターン作成手段9は、例えば次のステップ(1),(2)で誤差補正用パターンを作成する(1回転あたりNパルスとして記述した)。
(1)規定の速度を超える一定速度条件で回転している状態において、1回転中の各回転パルスの周期T(1) 〜T(N) を、それぞれ数回転〜数十回転にわたって測定する
(2)測定した複数回転分のパルス周期データから、それぞれの回転パルスの平均周期を算出し、得られたデータを平均値で規格化して一回転分の平均周期変動パターンを求める。その結果、ランダムな外乱を抑制し、回転同期の回転速度変動パターンが得られる。
例えば、チェック手段10は、前記回転速度変動パターンの前記回転センサ2に起因する誤差が、十分に除去されるか否かを確認し、除去されると確認できた場合に、その確認された誤差補正用パターンで誤差補正用パターン記憶手段11の記憶内容を更新する。
図1に示した信号処理ユニット3では、回転センサ2の回転信号を用いて走行中のタイヤ1aの回転速度を測定し、タイヤ1aの回転に同期した回転速度変動パターンを、回転速度変動パターン抽出手段8によって抽出する。
ここで、回転センサ2に用いられる磁気エンコーダ2aなどの検出ターゲットには、製造上のばらつきなどによるセンサ固有のピッチ誤差が含まれている。このため、S/N比の高い回転速度情報を抽出するには、規定の速度を超える一定速の条件の回転速度変動パターンを誤差補正用パターンとして誤差補正用パターン記憶手段11に記憶しておき、回転信号に重畳する微小な誤差成分を、前記誤差補正用パターンを用いて前記誤差補正手段6によって補正する。
低速走行中の回転信号には、タイヤ1aのトレッドパターンの情報が含まれるが、高速走行中(タイヤのねじり共振周波数を超える)では、路面からの入力がタイヤ1aの減衰性によって減衰するため、高周波のトレッドパターン情報が除去される。
そのため、高速走行中のデータからは、センサ固有のピッチ誤差と駆動系に起因する誤差成分が、選択的に抽出される。
信号処理においては、ノイズ成分やセンサ誤差成分を抑制するために、フィルタ処理(LPF,HPF)し、回転信号からタイヤのトレッドパターンに起因する成分を抽出する。また、路面の凹凸などによる回転非同期の外乱の影響を排除するために、ある程度の回転回数にわたる期間の回転信号を収集し、平均化または積算処理して特定の回転速度変動パターンを抽出する。
抽出処理に平均化処理や積算処理を適用することで、効果的にタイヤの回転に同期しないランダムな回転変動の影響が排除される。
タイヤ1aのねじり共振周波数を超える速度で走行したときの車輪速のセンサ信号である回転信号では、タイヤ1aと路面の接触に起因する高周波の回転変動成分が減衰した状態であるため、タイヤ1aに起因する成分(図3のB)が消えた回転信号を取得できる。このとき取得した回転信号より、回転センサ2に固有の信号成分と駆動系(デフやCVJ(等速ジョイント))に起因する信号成分(図3のA)が抽出できる。これを使って生成した誤差補正用パターンで回転信号を補正すると、回転センサ2に固有の信号成分と駆動系に起因する信号成分が除去され、タイヤ1aや路面に起因した回転速度変動成分を高いS/N比で取得することができる。
図4に誤差補正をしていない回転速度パターンを示す。横軸が回転パルス番号、縦軸が規格化したパルス周期誤差で、平均パルス周期に対する比率で示されている。パルス番号100付近と700付近に、特徴的な誤差パターンが見えている。
図5は時速80km/hで50回転分のデータから求めた誤差補正用パターンの例である。 図6は誤差補正用パターンでの補正後の回転速度変動パターンの例である。パルス番号100と700付近の特徴的なパターンが消えていることが分かる。
・磁気エンコーダ2aの着磁誤差などに起因するピッチ誤差は個体差があるため、この誤差成分を取り除くには各々の誤差補正用パターンを用意する必要がある。しかし、この実施形態によれば、走行中に誤差補正用パターンを取得できるので、予め測定し用意して、回転センサ2の回転信号の位相と誤差補正用パターンの位相との対応関係を管理する必要がなくなるため、運用自由度が上がり工数も削減される
・車輪用軸受を交換した際にも、同様の効果がある
・走行中に回転センサ2に固有の信号成分(ピッチ誤差)と駆動系に起因する信号成分を取得し、誤差補正用パターンを作成することができるため、予め用意した場合ではできなかった補正が可能となり、路面から入力される外力による回転速度変動パターンを効率良く抽出できる。
これら磁気エンコーダ2aやギヤ型のパルサリングを用いた磁気式の回転センサ2によると、温度変化や汚れなどの劣悪な環境に強い。磁気式の場合、光学式に比べて磁極を細かく設けることが困難であるが、逓倍回路2caを有すると、回転速度変動パターンを検出するために必要な分解能の回転信号が得られる。
1a…タイヤ
2…回転センサ
2a…ターゲット
2b…磁気センサ
2c…逓倍手段
3…信号処理ユニット
4…タイヤ回り情報判断ユニット
5…電子処理装置
6…誤差補正手段
7…フィルタ処理手段
8…回転速度変動パターン抽出手段
9…誤差補正用パターン作成手段
10…チェック手段
11…誤差補正用パターン記憶手段
12…回転速度領域判別手段
Claims (6)
- 車輪の回転速度を検出する回転センサと、この回転センサの出力する回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
前記信号処理ユニットは、前記回転センサの検出した複数回転にわたる回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを抽出する回転速度変動パターン抽出手段と、この手段で走行中に抽出した前記回転速度変動パターンから設定規則に従って誤差補正用パターンを生成する誤差補正用パターン作成手段と、この手段で生成した誤差補正用パターンを記憶する誤差補正用パターン記憶手段と、この手段に記憶された誤差補正用パターンを用い前記回転センサで出力されて前記回転速度変動パターン抽出手段に入力される回転信号を補正する誤差補正手段とを備え、
前記誤差補正用パターン作成手段は、前記回転速度変動パターン抽出手段で検出した前記回転速度変動パターンから、設定された速度しきい値以上のデータを抽出し、その抽出したデータを積算して前記誤差補正用パターンを生成する
ことを特徴とする車輪速回転変動パターン抽出装置。 - 請求項1に記載の車輪速回転変動パターン抽出装置おいて、前記誤差補正用パターン作成手段は、前記速度しきい値を、車輪回転速度が39km/ h〜41km/ h内の定めた値とする車輪速回転変動パターン抽出装置。
- 車輪の回転速度を検出する回転センサと、この回転センサの出力する回転信号を処理する信号処理ユニットとを備え、
前記信号処理ユニットは、前記回転センサの検出した複数回転にわたる回転信号から回転に同期した回転速度変動パターンを抽出する回転速度変動パターン抽出手段と、この手段で走行中に抽出した前記回転速度変動パターンから設定規則に従って誤差補正用パターンを生成する誤差補正用パターン作成手段と、この手段で生成した誤差補正用パターンを記憶する誤差補正用パターン記憶手段と、この手段に記憶された誤差補正用パターンを用い前記回転センサで出力されて前記回転速度変動パターン抽出手段に入力される回転信号を補正する誤差補正手段とを備え、
前記回転速度変動パターンの前記回転センサに起因する誤差が、定められた条件を満たすように除去されるか否かを確認するチェック手段を有する車輪速回転変動パターン抽出装置。 - 請求項3に記載の車輪速回転変動パターン抽出装置において、前記チェック手段は、前記補正して得られた回転信号の特定周波数帯域の信号を確認したときに前記回転センサの誤差成分が出力されていないかを確認する機能を備える車輪速回転変動パターン抽出装置。
- 請求項3または請求項4に記載の車輪速回転変動パターン抽出装置において、前記チェック手段は、このチェック手段による確認の結果が、前記定められた条件を満たすときに、前記誤差補正用パターン記憶手段に記載されている誤差補正用パターンを、前記確認が行われた誤差補正用パターンで更新する機能を備える車輪速回転変動パターン抽出装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車輪速回転変動パターン抽出装置において、前記回転速度変動パターン抽出手段で抽出した回転速度変動パターンから、タイヤの空気圧の低下、タイヤの摩耗、タイヤのトレッドの異常、タイヤ種の種類判別のうちの、一つ以上の情報を抽出するタイヤ回り情報抽出手段を備える車輪速回転変動パターン抽出装置。
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- 2015-02-09 JP JP2015023008A patent/JP6563206B2/ja active Active
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