JP4659328B2 - 被検査体を温度制御するプローブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にウェハ状の基板上に配置された被検査体を温度制御下で検査するプローブ装置及びプローブ検査方法に関し、更に詳しくは、被検査体の電気的特性をより的確に行うプローブ装置及びプローブ検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン基板等のウェハ状の基板(以下、「ウェハ」と称す。)上に配置された集積回路や液晶表示装置などの電気的特性を検査する場合にはプローブ装置が用いられる。従来のプローブ装置は、図13に示すようにプローブカード14、プローブカードに備えられた複数のプローブ26、ウェハWを載置するためのメインチャック6、メインチャックをX、Y、Z及びθ方向に移動させるための移動機構12、被検査体をプローブカードと位置合わせするための上カメラ39と下カメラ38、テストヘッドTH、及びテスタTなどを備えている。メインチャック6は、移動機構12により3次元方向に移動可能であると共に、ウェハWを保持する保持機構が設けられている。
【0003】
プローブ装置のメインチャック6は、測定される被検査体の温度を所定の温度に制御可能になっているものがある。この制御によって測定時の温度条件が変えられることにより、被検査体が実際に使用される環境に準じた環境で該試験が行われる。この様なプローブ装置として、特許文献1には、メインチャックの中心部に設けた温度検出手段により検出したメインチャックの温度に基づいて、メインチャックに備えられた抵抗発熱体の温度を制御する装置が開示されている。この特許文献1には、複数のゾーンに分割した抵抗発熱体の各々の温度を制御することにより、精度の高い温度下で上記試験を行うことが可能である旨が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、複数の領域に分割したメインチャックの載置面と、これらの分割領域のそれぞれに設けられた溝と、これらの溝において開口する給排路と、上記各給排路に互いに切り替え可能に接続された熱伝導性に優れた流体の供給源、及び真空排気手段を備えた装置が開示されている。この装置は、熱伝導性に優れた流体を供給することで熱交換を行い、真空排気によってウェハを吸着保持する構造を備えている。
【0005】
しかしながら、上記のプローブ装置は、メインチャックの比較的広範囲を加熱または冷却することから、被検査体を個別に温度制御することは困難であるという課題があつた。また、該装置はエネルギー消費量が大きいという課題があった。さらに、該装置は、温度制御に要する時間が長いという課題があった。
【0006】
通常、プローブを用いた検査においては、メインチャック上に載置されたウェハに対してプローブから大きな針圧が掛かる。従来のプローブ装置においては、ウェハの周縁部に配置された被検査体を検査する場合には、図14の一点鎖線で誇張して示すように、メインチャック6が該針圧のために傾く結果、ウェハ上の所定位置にプローブが接触できない虞があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−186112号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−230308号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本願の1つの観点にしたがった発明は、プローブ検査における被検査体の温度制御を的確に実施できるプローブ装置及びプローブ方法を提供することを目的とする。
本願の他の観点にしたがった発明は、敏速且つ能率的にプローブ検査することができるプローブ装置及びプローブ方法を提供することを目的とする。
本願の他の観点に従った発明は、プローブにより印加される圧力によりメインチャックが傾くことを防止するプローブ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点に従って、下記を具備する、ウェハ状の基板上に配置された複数の被検査体を温度制御下で検査するプローブ装置が提供される。
プローバ室、該プローバ室内に配置されたステージベース、該ステージベース上に配置されたX−Yステージ(該X−Yステージは、該X−Yステージを少なくともX−Y方向に移動させるためのX−Yステージ駆動機構を具備する)、該X−Yステージ上に配置されたZステージ(該Zステージは該Zステージを昇降させるためのZステージ昇降機構を具備する)、該Zステージ上に配置されたメインチャック(該メインチャックは、メインチャックをθ方向に回転させるための回転駆動機構、複数の加熱装置、熱交換器、及び温度制御装置を具備し、該複数の加熱装置の各々は、該複数の被検査体の各々及び該複数の被検査体よりなる群の各々のいずれかを加熱するのに適した大きさであり、該複数の加熱装置のそれぞれは温度センサを備える、また該熱交換器は該複数の加熱装置により加熱された被検査体を冷却する、また該温度制御装置は、該温度センサの検出結果に基づいてそれぞれの加熱装置、及び該熱交換器の少なくとも1つを制御する)、プローブカード(該プローブカードは、該プローバ室内において該メインチャックと対向して配置され、かつ複数のプローブを有する)。
本願発明の上記の観点に基づく上記プローブ装置は、下記のさらに好ましい構成のいずれか、あるいはこれらの内のいずれかの組み合わせを具備することができる。
該複数の加熱装置の各々は、該複数の被検査体の各々に対応したセル構造、及び該複数の被検査体よりなる群に対応したセル構造、のいずれかのセル構造を有し、該セル構造は、それぞれ個別の熱交換器を具備し、該温度制御装置は該加熱装置及び該熱交換器の少なくとも1つを制御することによって、各セル構造の温度を制御する。
該複数のセルの構造は、互いのセルを仕切るための断熱材を具備する。
該メインチャックは、該Zステージ上にθステージを介して配置され、該回転駆動機構は、該θステージ上でメインチャックをθ方向に回転させる。
本発明の他の観点に従って、下記を具備する、ウェハ状の基板上に配置された複数の被検査体を検査するプローブ装置が提供される。
プローバ室、該プローバ室内に配置されたステージベース、該ステージベース上に配置されたZステージ(該Zステージは、該Zステージを昇降させるためのZステージ昇降機構を具備する)、該Zステージ上に配置されたX−Yステージ(該X−Yステージは第1の枠構造であって、その中心に第1の空間を有し、該X−Yステージを少なくともX及びY方向に移動させるためのX−Y移動駆動機構を具備する)、該X−Yステージ上に配置された基板固定機構(該基板固定機構は、第2の枠構造であって、その中心に該第1の空間と連続する第2の空間を有する)、プローブカード(該プローブカードは、該プローバ室内において該メインチャックと対向して配置され、かつ複数のプローブを有する)、該Zステージ上に固定されたプロービングステージ昇降機構、該プロービングステージ昇降機構に取り付けられ、かつ該第1の空間内に配置されたプロービングステージ該プロービングステージは、その軸心が該プローブカードのプローブ中心から垂下した延長線と一致するように配置され、該プロービングステージの上部平面の広さは、該第1の空間及び第2の空間の広さよりも狭く、該上部平面は該プロービングステージが該プロービング昇降機構により上昇した際に、該基板の底面に接触して該基板を下方から支持する)。
本願発明の上記の観点に基づく上記プローブ装置は、下記のさらに好ましい構成のいずれか、あるいはこれらの内のいずれかの組み合わせを具備することができる。
該プロービングステージの上部平面の広さは、プローブカードの複数のプローブの先端が占める領域に対応している。
該プロービングステージの上部平面の広さは、1つの被検査体の大きさに対応する大きさである。
該プロービングステージは、該複数の被検査体の内で、該プローブカードの複数のプローブが電気的に接触する少なくとも1つの被検査体を加熱するための加熱装置と、これら被検査体の温度及び加熱装置の温度の少なくとも1つを測定するための温度センサを備える。
該プロービングステージは、さらに被検査体を冷却するための熱交換器を備える。
該基板固定機構は、チャックプレート、チャックプレート固定機構、及び該チャックプレート固定機構をθ方向に回転させるための回転駆動機構を具備する。
該プロービングステージは着脱可能にプロービングステージ昇降機構に取り付けられる。
該チャックプレートは該チャックプレート固定機構に着脱可能に取り付けられる。
該X−Yステージ駆動機構は、X−YステージをZステージ上で少なくともX−Y方向に移動するX−Yステージ移動機構、及びX−YステージをZステージ上で円滑に移動可能に支持するX−Yステージ支持機構を備える。
該X−Yステージ移動機構はリニアモーター機構を具備する。
該X−Yステージ支持機構はエアベアリング機構を具備する。
該チャックプレートは、基板を固定するための複数の押さえ具機構、及び基板を吸引固定する機構、及び基板を押さえるためのリング機構、のうちの少なくとも一つの機構を具備する。
本発明の他の観点に従って、下記を具備する、プローブ装置における被検査体Wを検査する方法が提供される。
【0011】
(a)該チャックプレート上に被検査体を載置する、(b)該X−Yステージ駆動機構が該X−YステージをX、及びY方向に移動することにより、及び該回転駆動機構が該ウェハ固定機構を回転することにより、プローブカードと被検査体とを位置合わせする、この位置合わせの結果、被検査体は、その軸心が該プローブカードのプローブ中心から垂下した延長線と常に実質的に一致するように配置されているチャックプレートとも位置合わせされる、(c)該プロービングステージ昇降機構がプロービングステージを上昇させることにより、該プロービングステージとウェハ底面を接触させる、(d)該Zステージ昇降機構が該ZステージをZ方向に上昇させることにより、プローブに被検査体を接触させる、(e)該ZステージをさらにZ方向に上昇させることにより、被検査体をオーバードライブさせる、(f)被検査体の電気的特性を検査する、(g)該Zステージ昇降機構及び該プロービングステージ昇降機構の少なくとも1つの機構が該プロービングステージをZ方向に降下させることにより、プローブ、被検査体及びチャックプレートの間の接触を解除する、及び、(h)上記工程(b)乃至(g)を繰り返すことにより、所定の被検査体の全ての電気的特性を検査する。
上記方法は、さらに下記構成のいずれかを、或いは下記構成のいずれかを組み合わせて具備することが好ましい。
(f)において、被検査体をオーバードライブさせる機構は、該Zステージ昇降機構及び該プロービングステージ昇降機構のうちの少なくとも一つである。
該プロービングステージは、該複数の被検査体の内で、該プローブカードの複数のプローブが電気的に接触する被検査体を加熱するための加熱装置と、これら被検査体の温度及び加熱装置の温度の少なくとも1つを測定するための温度センサを備えており、該(f)被検査体の電気的特性を検査するに先立って、被検査体は、該加熱装置及び温度センサにより所定の温度に維持される。
さらに被検査体を冷却するための熱交換器を備え、該(f)被検査体の電気的特性を検査するに先立って、被検査体は、該加熱装置、温度センサ及び熱交換器により所定の温度に維持される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本願発明の第一の実施例におけるプローブ装置100の本体断面図である。本実施例によるプローブ装置100は、プローバ室29を有する。このプローバ室29の下部にはステージベース2が備えられる。ステージベースの上には、X−Yステージ12、Zステージ10、及びメインチャック6が、Z方向に並んで配置される。またプローバ室29内の上部には、プローブカード14がメインチャック6と対向して配置され得る。プローブカード14は複数のプローブ26を有し、この複数のプローブ26を使用して、メインチャック6に載置された被検査体の電気的特性を検査する。本願発明において、X−Yステージとは、X及びY方向に移動可能なステージを表す。このステージは、X方向に移動する構造体とY方向に移動する構造体との組み合わせでもよいが、一の構造体がX及びYの両方向に移動する構造体でもよい。
【0013】
図2は、図1のプローブ装置の主要部を拡大した図である。ステージベース2の上にはX−Yステージ12がX−Yステージ駆動機構16を介して配置される。X−Yステージ12はXステージ12a及びYステージ12bを具備し、X−Yステージ駆動機構16は、Xガイドレール及び駆動機構16a並びにYガイドレール及び駆動機構16bを具備する。X−Yステージ12は、X−Yステージ駆動機構16によりX及びY方向に移動することが可能である。
【0014】
本実施例において、Yステージ12bは、ステージベース2上にYガイドレール及び駆動機構16bを介して取り付けられ、Yガイドレールに沿って移動することが可能である。また、Xステージ12aは、Yステージ上においてXガイドレール及び駆動機構16aを介して取り付けられ、Xガイドレールに沿って移動することが可能である。
【0015】
Zステージ10は、Xステージ12aの上にZステージ昇降機構31を介して取り付けられている。Zステージ昇降機構31は、Zステージガイド15及びZステージ駆動機構8を具備する。Zステージガイド15は、Zステージの昇降をガイドするZガイド15aと、Z方向と平行にX−Yステージ12に取り付けられたZガイドレール15bと、Xステージに固定されたZガイドレール15bを支持する補強具15cとから構成されることができる。Zステージ駆動機構8は、例えばXステージ上に配置されたモーター8aと、モーターにより回転駆動されるボールネジ8bと、ボールネジ8bと勘合しZステージに固定されたナット部材8cから構成されることができる。モーター8aがボールネジ8bを回転させることによって、ナット部材8cはボールネジ8bに沿って上下に移動する。この移動によりZステージはZガイド15aを介してZガイドレール15bに従って昇降する。Zガイド15aには例えばベアリングなどを用いることができる。
【0016】
Zステージ上にはθステージ13が配置されることができる。θステージ13上に回転駆動機構17が配置されることができる。さらに、θステージ13の上にウェハを載置するためのメインチャック6が配置される。メインチャック6は、θガイドレール21を介してθステージ13に取り付けられ、回転駆動機構17によってθガイドレール21に沿って回転させられる。本実施例においては、回転駆動機構17はθステージ13上に取り付けられたが、Zステージに直接取り付けられることもできる。この場合、θステージ13を省略することができるが、Zステージの上部平面は大きくすることが好ましい。
【0017】
メインチャック6は、載置されたウェハを保持するための基板固定機構23を具備することができる。基板固定機構23の一実施例を図3に示した。図3において、メインチャック6は、例えばその表面に形成された溝23a及び該溝23aに接続する給排気用の管23bを備える。真空ポンプ22によって給排気用の管23bを介して溝23aを真空引きすることにより、ウェハはメインチャック6の表面に吸引固定されることができる。基板固定機構としてはその他に、静電気を用いた吸着機構や機械的な固定機構などを用いることができる。
【0018】
図2において、メインチャック6は、メインチャックに載置されたウェハ上の被検査体を加熱するための複数の加熱装置18を備える。それぞれの加熱装置は温度センサ19を備えることができる。各加熱装置は、一つの被検査体或いは複数の被検査体からなる一群を加熱するのに適した大きさを有し、ウェハ上の被検査体の配置に対応した配置で備えられる。即ち、一つの加熱装置は、載置された被検査体の一つ或いは一群に相当する大きさであり、一つの加熱装置と一つ或いは一群の被検査体が合致するように配置される。これにより、一つの加熱装置が一つ或いは一群の被検査体を的確に加熱することが可能である。
【0019】
さらに、メインチャック6は被検査体を冷却するための熱交換器20を備えることができる。熱交換器20は、流体給排路20a及び流体供給器20bを備え、熱伝導性に優れた流体を流体給排路20a内に循環させることにより、加熱装置により加熱された被検査体を冷却する。また、高温度に発熱する集積回路の電気的特性を検査する場合などには、被検査体の過熱を防ぐために熱交換器20が用いられることもできる。
【0020】
また、本実施例によるプローブ装置は温度制御装置27を備える。温度制御装置は、それぞれの加熱装置18、温度センサ19、及び熱交換器20と接続される。温度制御装置27は、温度センサ19の検出結果に基づいてそれぞれの加熱装置或いは熱交換器の少なくとも1つを制御し、被検査体を所定の温度にすることができる。
【0021】
図4に、本願発明の第二の実施例におけるプローブ装置100の主要部を示す。第二の実施例は、第一の実施例のプローブ装置100に加えて、メインチャックに備えられた加熱装置がセル構造9を有する。それぞれのセル構造9には、加熱装置、温度センサ、及び熱交換器が配置されることができる。温度制御装置27は、各セルの加熱装置18、温度センサ19、及び熱交換器20と接続され、温度センサの検出結果に基づいて、各セルを個別に温度制御することができる。
【0022】
図4のA−A線におけるメインチャック6の横断面図を図5に示した。それぞれのセル構造9は、メインチャック6に載置された被検査体の配置に対応した配置、或いは複数の被検査体からなる一群の配置に対応した配置とすることが好ましい。即ち、一つのセル或いは複数のセルが、メインチャック上に載置された被検査体の一つ或いは一群に合致するように配置される。各セルには加熱装置、温度センサ及び熱交換器が配置されているため、一つ或いは一群の被検査体を的確に加熱或いは冷却することができる。さらに、それぞれのセル構造9は、互いを仕切るための断熱材40を具備することによって、隣接するセルの温度に影響され難い環境で被検査体を所定の温度に制御することが可能である。
【0023】
次に、第一及び第二の実施例の動作について説明する。図1において、搬送機構(図示せず)によってカセットC内から取り出されたウェハWは、メインチャック6上へ移動され、載置される。上記した基板固定機構23がウェハを固定した後、プローバ室29内に備えられた上下のカメラ39,38を用いてウェハの位置合わせが行われる。ウェハの位置合わせは、Yステージ12bをYガイドレール16bに従って移動させて、またXステージ12aをXガイドレール16aに従って移動させて行う。X及びY方向の位置合わせと前後して、θ方向の位置合わせを行う。θ方向の位置合わせは、回転駆動機構17がメインチャック6をθガイドレール17bに従って回転させて行う。
【0024】
ウェハの位置合わせが終了し、Zステージ10が上昇することによってプローブとウェハが接触する。この接触後、Zステージをさらに上昇させてオーバードライブされた状態で検査を開始する。温度制御装置による被検査体の温度制御は、検査直前或いは位置合わせの最中から行われ、被検査体が所定の温度に達した後にプローブを使用して被検査体の電気的特性が検査される。
【0025】
図6に、本願発明の第三の実施例におけるプローブ装置100の主要部を示す。第三の実施例によるプローブ装置は、プローバ室29の下部にステージベース2を備え、その上にZステージ10がZステージ昇降機構31を介して取り付けられる。Zステージ昇降機構31は、上記第一の実施例とは異なりステージベース2上に配置されることができるが、その他の構成及び動作は、上記第一の実施例と同様である。Zステージ昇降機構31を構成するZステージ駆動機構8は、図6及び7に示すようにステージベース2の中央に一箇所備えられることもできるが、図8及び9に示すように、複数箇所に備えられることもできる。
【0026】
図6において、Zステージ10の上にはX−Yステージ12が配置される。このX−Yステージは、X−Yステージ駆動機構16を具備し、Zステージ上をX及びY方向に移動することができる。X−Yステージ駆動機構16は、X−YステージをZステージ上でX−Y方向に移動するX−Yステージ移動機構16c、及びX−YステージをZステージ上で円滑に移動可能に支持するX−Yステージ支持機構16dを備えることができる。このX−Yステージ移動機構16cとしては例えばリニアモーター機構などを採用することができる。また、X−Yステージ支持機構16dとしては例えばエアベアリング機構などを採用することができる。X−Yステージ駆動機構16は、ZステージとX−Yステージとの間に備えられても良いが、ZステージとX−Yステージのそれぞれに組み込まれ、各ステージと一体で構成されても良い。本実施例では、X−Yステージ駆動機構16としてHIWIN CORPORATION製のLMSPを改良して採用することができる。LMSPは、エアベアリングを備えたリニアモーター式の制御システムである。LMSPを採用したステージ駆動機構16は、ステージの下面から圧縮空気を噴き出すことで、ステージをわずかに浮上させ支持する。この状態でステージに備えられたリニアモーター機構がステージをX,Y方向に移動させる。
【0027】
X−Yステージ12は中心に空間を有する枠状構造をしており、これを第1の枠状構造、その中心の空間を第1の空間11aとすることができる。この第1の枠状構造は、特に円環状構造であることが好ましい。このX−Yステージ12上に、ウェハを保持するための基板固定機構23が備えられる。基板固定機構23も枠状構造をしており、これを第2の枠状構造とすることができる。第2の枠状構造の中心にあり、該第1の空間に連続する空間を第2の空間11bとすることができる。基板固定機構23は、第2の空間11bを覆う配置でウェハを保持するために、ウェハを保持するチャックプレート5、チャックプレートが固定されたチャックプレート固定機構4を具備することができる。チャックプレート5及びチャックプレート固定機構4の両者或いは、少なくともチャックプレート5は、枠状構造であることが好ましく、この枠状構造は、特に円環状構造であることが好ましい。チャックプレート固定機構4は、θガイドレール21を介してX−Yステージに取り付けられることができ、同じくX−Yステージ上に配置された回転駆動機構17によってθ方向に回転されることができる。
【0028】
ウェハWはチャックプレート5に保持される。チャックプレート5はウェハWを保持するための構造を有し、その構造の実施例が図10乃至図12bに示されている。図10はチャックプレートの一つの実施例であり、チャックプレートにヒンジ37により回転可能に取り付けられた押さえ具34が、チャックプレートに載置されたウェハを固定する。押さえ具34はマニュアルで上下することができるが、自動化されることも可能である。押さえ具34の上下を自動化する場合、駆動機構30によって押さえ具34が上げられた状態においてチャックプレート5上にウェハが載置され、続いて該駆動機構が押さえ具を下げることによりウェハが固定される。この押さえ具34は、チャックプレート5の複数箇所に備えられることができる。図11はチャックプレート5の他の実施例である。チャックプレート5はその内部に吸排気口36及び吸排気管35を備える。ウェハがチャックプレート上に載置された状態で、真空ポンプ22が吸排気口36及び吸排気管35を真空引きすることにより、ウェハはチャックプレートに吸引固定されることができる。
【0029】
図12a及び12bはさらに別の実施例であり、図12bに示されるようなリング状部材33によってウェハを固定する。リング状部材33はその外周の複数箇所、好ましくは2箇所に、支柱32を有する。この支柱32はチャックプレート5に昇降可能に配置される。図12aは、リング状部材33を具備するチャックプレート5の断面図である。駆動機構30が支柱32を持ち上げた状態で、チャックプレート5上にウェハが載置される。その後、駆動機構30が支柱32を降下させることにより、リング状部材33がウェハを押圧し、ウェハがチャックプレート上に固定されることができる。
【0030】
上記複数の実施例において、チャックプレート5はチャックプレート固定機構4に固定されているが、着脱可能に取り付けられることもできる。その場合、プローブ装置外で予めウェハが固定されたチャックプレート5を、チャックプレート固定機構4に取り付けることも可能である。このチャックプレート5に載置されたウェハWと対向するように、複数のプローブ26を有するプローブカード14がプローバ室内上部に配置されている。
【0031】
図6に示したように、第1の空間11a及び第2の空間11b内において、プロービングステージ3がZステージ上に配置される。プロービングステージ3は、その軸心が該プローブカード14のプローブ中心から垂下した延長線と一致するように配置されることが好ましい。プロービングステージ3はその下部にプロービングステージ3を昇降させるためのプロービングステージ昇降機構24を備えることができる。このプロービングステージ昇降機構によってプロービングステージ3が上昇すると、プロービングステージの上部平面3aがチャックプレート5に固定されたウェハWの底面に接触する。プロービングステージ3は、ウェハWに接触することによりプローブ検査時にウェハを下方から支持する。そのためプロービングステージ3の上部は平面である。プロービングステージ3の上部平面3aの広さは、第1の空間11a及び第2の空間11bの広さよりも狭く、プローブカードの複数のプローブの先端が占める領域、即ち一度に検査可能な最大領域、に対応する大きさである。ここで対応する大きさとは、該領域より広いことを表す。
【0032】
プロービングステージ昇降機構24はプロービングステージ3を昇降する。プロービングステージ昇降機構24は、Zステージ上に固定されており、例えばモーター24aと、モーター24aに固定されたボールネジ部材24bと、プロービングステージ3に固定されたナット部材24cとから構成されることができる。ボールネジ部材24bはナット部材24cに螺合する。モーター24aがボールネジ24bを回転することにより、プロービングステージ3は昇降する。モーター24aは、図6乃至図8に示したようにZステージ10上に配置されることができるが、図9に示したようにZステージ10内部に配置されることもできる。
【0033】
次に、第三の実施例の動作について説明する。図6において、搬送機構(図示せず)によってカセットC内から取り出されたウェハWは、チャックプレート5に載置される(a)。チャックプレート5がウェハを固定すると、上記した位置合わせ手段とX−Yステージ12をX及びY方向に移動させるX−Yステージ駆動機構16により、被検査体の位置合わせが行われる(b1)。この時、プロービングステージ3及びその昇降機構24はZステージ10に固定されているため移動しない。続いて回転駆動機構17がウェハ固定機構23を回転しつつ、位置合わせ機構と協働して、θ方向の位置が決定される(b2)。X,Y,及びθ方向の位置が決定されると、プロービングステージ3が昇降機構24によって上昇し、プロービングステージ3の上部平面がウェハWの底面に接触する(c)。Zステージ昇降機構31がZステージ10を上昇させることにより、被検査体がプローブと接触する(d)。この状態から、Zステージ昇降機構31又はプロービングステージ昇降機構24の少なくとも1つをさらに上昇させることにより、ウェハWをプローブカードに向けてオーバードライブさせる(e)。この状態で被検査体の検査が実施される(f)。検査が終了した後、Zステージ昇降機構31又はプロービングステージ昇降機構24の少なくとも1つを降下させることによりオーバードライブを解除し、さらにZステージ昇降機構31がZステージ10を降下させてプローブから被検査体を離す(g1)。続いて昇降機構24がプロービングステージ3をわずかに降下させ、その上部平面をウェハ底面から離す(g2)。そして、次に検査される被検査体のための位置合わせが再び行われ、同様の手順によって次の被検査体が検査される。
【0034】
X、Y、及びθ方向の位置合わせは、上記した順序に限らず、いずれの方向の位置合わせからでも行うことが可能である。また、上記の方法においてオーバードライブはZステージ10を上昇させて行われたが、プロービングステージ3がウェハWと接触し、また被検査体がプローブ26と接触している状態において、昇降機構24がプロービングステージ3をさらに上昇させることによりオーバードライブを行うことも可能である。
【0035】
上記プロービングステージ3は、プロービングステージ昇降機構を介してステージベース上に固定されているため、プローブカードの検査中心は常にプロービングステージ3に支持される。従って、従来のプローブ装置において課題であったメインチャック6の傾きが防止され、ウェハの周縁部に位置する被検査体でも安定したプローブ検査を行うことが可能である。
【0036】
図7乃至図9に、本願発明の第四の実施例におけるプローブ装置100の主要部を示す。第四の実施例は、第三の実施例のプローブ装置100のプロービングステージ3に、被検査体を温度制御するための機構を備えている。本実施例によるプロービングステージ3は、その上部表面の下部に加熱装置18を備え、さらに温度センサ19及び熱交換器20を備える。加熱装置18及び熱交換器20は、プローブカード14の複数のプローブ26が電気的に接触する複数の被検査体をそれぞれ加熱及び冷却し、温度センサは所定の被検査体の温度を測定する。所定の被検査体は、プローブが電気的に接触している個々の被検査体であることが好ましい。さらに、第一及び第二の実施例と同様に、本実施例によるプローブ装置も温度制御装置27を具備する。温度制御装置27は温度センサ19の検出結果に基づいて加熱装置及び熱交換器を制御することにより、被検査体或いは加熱装置18を所定の温度にする。
【0037】
プロービングステージ3に備えられた加熱装置18は、一つまたは複数であることができる。加熱装置が複数の場合は、上記第二の実施例と同様に、セル構造9を具備することができる。また、温度センサ19及び熱交換器20は、加熱装置18と同数を備えることができる。プロービングステージ3の上部平面の広さは、1つの被検査体或いは一度に検査される複数の被検査体の一群の大きさとほぼ同じ広さであることが好ましい。このような構成によって、検査される被検査体のみを温度制御することができ、被検査体の温度を上昇させる時間を短くできる。また、エネルギーの消費及び損失を減少することを可能にする。
【0038】
プロービングステージ3は、アルミなどの熱伝導性に優れた金属で作られることができ、着脱可能にプロービングステージ昇降機構に取り付けられる。従って、検査対象ごとに最適な大きさを有するものに交換することが可能である。プロービングステージ3を交換する場合は、プロービングステージに固定されたナット部材24cごとボールネジ24bから取り外しまたは取り付けることができる。
【0039】
第四の実施例の動作を、第三の実1施例の動作を元に説明する。ウェハWをプローブカードに向けてオーバードライブさせる工程(e)の後、被検査体はプロービングステージ3に備えられた加熱装置、温度センサ及び熱交換器により所定の温度に加熱され、維持される(T)。被検査体の温度制御は、オーバードライブする工程(e)の前に行われても良い。被検査体の温度が所定の温度に達した後、被検査体の電気的特性の検査(f)が行われる。第三及び第四の実施例の動作を図15のフローチャートに示した。
【0040】
上記実施例のようなプロービングステージ3は、従来のメインチャックと比べて上部平面の広さが限られるため、平面の反りや偏向が少なく製造及び使用が容易であるなどの優れた利点を具備することを容易とする。また、プロービングステージ3の表面の温度分布のばらつきを少なくすることが容易である。さらに、上記実施例では、プロービングステージ3の体積が比較的小さいこと、及び加熱装置の数が少ないことから、被検査体を加熱する際の熱の損失が抑えられ、被検査体を迅速に加熱することが容易であり、また被検査体を冷却する際には、加熱装置の余熱に妨げられずに速やかに冷却することを容易にすることができる。
【0041】
【発明の効果】
本願発明の実施例に拠れば、被検査体の各々を加熱するのに適した大きさを有する複数の加熱装置、温度センサ、熱交換器、及び温度制御装置を具備するメインチャックを備えた構成により、被検査体を効率よく温度制御できることを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、複数の加熱装置の各々が、複数の被検査体の各々に対応した配置、及び該複数の被検査体の内の複数の被検査体よりなる一群に対応した配置、のいずれかに配置されている構成により、被検査体を効率よく温度制御することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、複数の加熱装置が、複数の被検査体の各々に対応したセル構造、及び複数の被検査体の内の複数の被検査体よりなる一群に対応したセル構造、のいずれかのセル構造有し、温度制御装置によって各セルの温度が制御される構成により、被検査体を効率よく温度制御することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、セル構造が互いのセルを仕切るための断熱材を具備する構成により、隣接するセルの温度の影響を受け難く被検査体を効率よく温度制御することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、中心に空間を有し、X−Y移動機構を具備するX−Yステージ、基板固定機構、プロービングステージを具備する構成により、メインチャックの傾きをなくしウェハ周縁部の被検査体でも安定して検査することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、プロービングステージに加熱装置、熱交換器、温度制御装置を具備する構成により、メインチャックの傾きをなくしウェハ周縁部の被検査体でも安定して検査することができるとともに、被検査体を効率よく温度制御することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、プロービングステージの上部表面の広さを1つの被検査体の大きさに対応する広さとする構成により、被検査体を効率よく温度制御することが容易であるプローブ装置を提供することができる。
また、本願発明の実施例によれば、プロービングステージを交換可能とする構成により、検査対象に適したプロービングステージを選択することを容易とするプローブ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施例によるプローブ装置。
【図2】本願発明のプローブ装置の主要部の一実施例。
【図3】ウェハの吸引固定機構の一実施例。
【図4】本願発明のプローブ装置の主要部の他の実施例。
【図5】図4のA−A線におけるメインチャック6の横断面図。
【図6】本願発明のプローブ装置の主要部の他の実施例。
【図7】本願発明のプローブ装置の主要部の他の実施例。
【図8】本願発明のプローブ装置の主要部の他の実施例。
【図9】本願発明のプローブ装置の主要部の他の実施例。
【図10】ウェハ固定具の一実施例。
【図11】ウェハ固定具の他の実施例。
【図12】ウェハ固定具の他の実施例であり、(a)は断面図、(b)はウェハを固定するリング。
【図13】従来のプローブ装置。
【図14】従来のプローブ装置においてメインチャックの傾きを例示した模式図。
【図15】本発明の一実施例によるプローブ装置を用いて被検査体を検査する際のフローチャート。
【符号の説明】
2…ステージベース、3…プロービングステージ、4…チャックプレート固定機構、5…チャックプレート、6…メインチャック、7…Zユニット、9…セル構造、10…Zステージ、12…X−Yステージ、13…θステージ、14…プローブカード、16…X−Yステージ駆動機構、17…回転駆動機構、18…加熱装置、19…温度センサ、20…熱交換器、21…θガイドレール、23…基板固定機構、24…プロービングステージ昇降機構、25…流体給排路、27…温度制御装置、28…流体供給器、29…プローバ室、31…Zステージ昇降機構。
Claims (2)
- ウェハ状の基板上に配置された複数の被検査体を温度制御下で検査するプローブ装置、該プローブ装置は下記を具備する:
プローバ室;
該プローバ室内に配置されたメインチャック;
該メインチャックに設けた複数の温度調節装置、該複数の温度調節装置の各々は、該複数の被検査体の各々に対応したセル構造を有する;
前記セル構造の互いのセルを仕切るための断熱材;
温度制御装置、該温度制御装置は、それぞれの温度調節装置を制御する。 - 該温度調節装置は、各々加熱装置と熱交換装置を具備する、請求項1のプローブ装置。
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