本発明は、a)ポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、(d)一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物を含有する感光性シロキサン組成物である。本発明を以下に説明する。
本発明で用いる(a)ポリシロキサンは、一般式(2)で表されるオルガノシランの1種以上を混合、反応させることによって得られるポリシロキサン、あるいは一般式(3)で表される直鎖状ポリシロキサンの1種以上を混合、反応させることによって得られるポリシロキサン、あるいは一般式(2)で表されるオルガノシランを1種以上と一般式(3)で表される直鎖状ポリシロキサンおよび/またはシリカ粒子1種以上とを混合、反応させることによって得られるポリシロキサンが挙げられる。
R4は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R5は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR5はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。mは0から3の整数を表す。
R6、R7、R8、R9はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR6、R7はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R10、R11はそれぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。kは1から1000の範囲を表す。
一般式(2)で表されるオルガノシランにおいて、R4は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(2)のR5は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR12はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
一般式(2)のmは0から3の整数を表す。m=0の場合は4官能性シラン、m=1の場合は3官能性シラン、m=2の場合は2官能性シラン、m=3の場合は1官能性シランである。
一般式(2)で表されるオルガノシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシランなどの4官能性シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシランなどの3官能性シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシランジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン、トリメチルメトキシシラン、トリn−ブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルジメチルメトキシシランなどの1官能性シランが挙げられる。なお、これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのオルガノシランの中でも、硬化膜の耐クラック性と硬度の点から3官能性シランが好ましく用いられる。
一般式(3)で表される直鎖状ポリシロキサンにおいて、R6、R7、R8、R9は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR6、R7はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(3)のR10、R11は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表す。これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
一般式(3)のkは1から1000の範囲であり、好ましくは2〜100の範囲、さらに好ましくは3〜50の範囲である。kが1000より大きいと、塗布膜が白濁し、高透明性の膜を得ることが困難である。
一般式(3)で表される直鎖状ポリシロキサンの具体例として、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、下記に示すゲレスト社製シラノール末端ポリジメチルシロキサン(以下商品名を示す)“DMS−S12”(分子量400〜700)、“DMS−S15”(分子量1500〜2000)、“DMS−S21”(分子量4200)、“DMS−S27”(分子量18000)、“DMS−S31”(分子量26000)、“DMS−S32”(分子量36000)、“DMS−S33”(分子量43500)、“DMS−S35”(分子量49000)、“DMS−S38”(分子量58000)、“DMS−S42”(分子量77000)、下記に示すゲレスト社製シラノール末端ジフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー“PSD−0332”(分子量35000、ジフェニルシロキサンを2.5〜3.5モル%共重合している)、“PDS−1615”(分子量900〜1000、ジフェニルシロキサンを14〜18モル%共重合している)、ゲレスト社製シラノール末端ポリジフェニルシロキサン“PDS−9931”(分子量1000〜1400)が挙げられる。なお、これらの直鎖状ポリシロキサンは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
直鎖状ポリシロキサンを用いると、組成物の保存安定性が向上する。これは、直鎖部分が橋かけ的に存在することによって、未反応シラノール基同士が近づきにくく、組成物を貯蔵している間に副反応である縮合反応が起こりにくくなるためと考えられる。
一般式(2)で表されるオルガノシランと、一般式(3)で表される直鎖状ポリシロキサンを混合して用いる場合の混合比率は特に制限されないが、好ましくはSi原子モル数でオルガノシラン/直鎖状ポリシロキサン=100〜50/0〜50である。直鎖状ポリシロキサンが50モル%より多いと相分離を起こし、塗布膜が白濁して透明性が低下する。
また、硬化膜の耐クラック性と硬度を両立させる観点から、ポリシロキサン中にあるフェニル基の含有率はSi原子に対して5〜70モル%が好ましく、さらに好ましくは10〜60モル%である。フェニル基の含有率が70モル%より多いと硬度が低下し、フェニル基含有率が5モル%より少ないと耐クラック性が低下する。フェニル基の含有率は、例えば、ポリシロキサンの29Si−核磁気共鳴スペクトルを測定し、そのフェニル基が結合したSiのピーク面積とフェニル基が結合していないSiのピーク面積の比から求めることができる。なおここで言うフェニル基とはフェノール、アニリンなど、有機基で置換された芳香環を含む。
また、本発明で用いるポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、好ましくはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)で測定されるポリスチレン換算で1000〜100000、さらに好ましくは2000〜50000である。Mwが1000より小さいと塗膜性が悪くなり、100000より大きいとパターン形成時の現像液に対する溶解性が悪くなる。
本発明で用いるポリシロキサンは共重合体であり、該ポリシロキサンの少なくとも一部に化学的に結合したシリカ粒子を含んでいてもよい。ポリシロキサンは、シリカ粒子1種類以上を混合、反応させることによって得られるポリマーであり、一部が、シリカ粒子と共有結合していることにより、ポリシロキサンの流動性を低下させることができるため、硬化後のパターン形状が維持され、また高解像度も得ることができる。
本発明で用いられるシリカ粒子の数平均粒子径は、好ましくは2nm〜200nmであり、さらに好ましくは5nm〜70nmである。2nmより小さいとパターン解像度の向上が十分ではなく、200nmより大きいと硬化膜が光散乱し透明性が低下する。ここで、シリカ粒子の数平均粒子径は、比表面積換算法により測定することができる。シリカ粒子を乾燥後、焼成した粉末をBET法で比表面積を測定して、粒子径に換算することができる。用いる機器は特に限定されないが、アサップ2020(Micromeritics社製)などを用いることができる。
シリカ粒子の具体例としては、イソプロパノールを分散剤とした粒子径12nmのIPA−ST、メチルイソブチルケトンを分散剤とした粒子径12nmのMIBK−ST、イソプロパノールを分散剤とした粒子径45nmのIPA−ST−L、イソプロパノールを分散剤とした粒子径100nmのIPA−ST−ZL、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散剤とした粒子径15nmのPGM−ST(以上、商品名、日産化学工業(株)製)、γ−ブチロラクトンを分散剤とした粒子径12nmのオスカル101、γ−ブチロラクトンを分散剤とした粒子径60nmのオスカル105、ジアセトンアルコールを分散剤とした粒子径120nmのオスカル106(以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散剤とした粒子径16nmのクォートロンPL−2L−PGME、γ−ブチロラクトンを分散剤とした粒子径17nmのクォートロンPL−2L−BL、ジアセトンアルコールを分散剤とした粒子径17nmのクォートロンPL−2L−DAA(以上、商品名、扶桑化学工業(株)製)などが挙げられる。なお、これらのシリカ粒子は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シリカ粒子を用いる場合の混合比率は、Si原子モル数でポリマー全体のSi原子モル数に対して1%〜40が好ましい。シリカ粒子が40%より多いと、硬化後のパターンが矩形となりITO蒸着による断線が生じることがあり、1%より少ないと流動抑制が不十分となりパターン崩れが生じることがある。なお、ポリマー全体のSi原子モル数に対するシリカ粒子のSi原子モル比は、IRにおいてSi−C結合由来のピークとSi−O結合由来のピークの積分比から求めることができる。ピークの重なりが多く求められない場合は、1H−NMR、13C−NMR、IR、TOF−MSなどにより粒子以外のモノマーの構造を決定し、さらに元素分析法において発生する気体と残存する灰(すべてSiO2と仮定する)の割合から求めることができる。
本発明におけるポリシロキサンは、上述のオルガノシラン、および/または直鎖状ポリシロキサン、および/またはシリカ粒子を加水分解および部分縮合させることにより得られる。加水分解および部分縮合には一般的な方法を用いることができる。例えば、混合物に溶媒、水、必要に応じて触媒を添加し、50〜150℃で0.5〜100時間程度加熱攪拌する。なお、攪拌中、必要に応じ、蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)の留去を行ってもよい。
上記の反応溶媒は特に制限されないが、通常は後述する溶剤と同様のものが用いられる。溶媒の添加量はオルガノシランと直鎖状ポリシロキサンの混合物100重量部に対して10〜1000重量部が好ましい。また加水分解反応に用いる水の添加量は、加水分解性基1モルに対して0.5〜2モルが好ましい。
必要に応じて添加される触媒は特に制限されないが、酸触媒、塩基触媒が好ましく用いられる。酸触媒の具体例としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂が挙げられる。塩基触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基を有するアルコキシシラン、イオン交換樹脂が挙げられる。触媒の添加量はオルガノシランと直鎖状ポリシロキサンの混合物100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましい。なおシリカ粒子を用いた場合においても触媒の好ましい使用量は上記と同量である。
また、組成物の保存安定性の観点から、加水分解、部分縮合後のポリシロキサン溶液には触媒が含まれないことが好ましく、必要に応じて触媒の除去を行うことができる。除去方法は特に制限されないが、好ましくは水洗浄、および/またはイオン交換樹脂の処理が挙げられる。水洗浄とは、ポリシロキサン溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄して得られた有機層をエバポレーターで濃縮する方法である。イオン交換樹脂の処理とは、ポリシロキサン溶液を適当なイオン交換樹脂に接触させる方法である。
本発明の感光性シロキサン組成物は、(b)キノンジアジド化合物を含有する。キノンジアジド化合物を含有する感光性シロキサン組成物は、露光部が現像液で除去されるポジ型を形成する。用いるキノンジアジド化合物は特に制限されないが、好ましくはフェノール性水酸基を有する化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステル結合した化合物であり、当該化合物のフェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位がそれぞれ独立して水素、もしくは一般式(4)で表される置換基のいずれかである化合物が用いられる。
R12、R13、R14はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。また、R12、R13、R14で環を形成してもよい。
一般式(4)のR12、R13、R14はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。アルキル基は無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。また、フェニル基に置換する置換基としては、水酸基が挙げられる。また、R12、R13、R14で環を形成してもよく、具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、フルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基のオルト位、およびパラ位が上記以外、例えばメチル基の場合、熱硬化によって酸化分解が起こり、キノイド構造に代表される共役系化合物が形成され、硬化膜が着色して無色透明性が低下する。なお、これらのキノンジアジド化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとのエステル化反応により合成することができる。
フェノール性水酸基を有するキノンジアジド化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる(いずれも本州化学工業(株)製)。
ナフトキノンジアジドスルホン酸は、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸を用いることができる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物はi線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物は広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長における露光に適している。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を選択することが好ましい。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化合物を混合して用いることもできる。
キノンジアジド化合物の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して0.1〜15重量部であり、さらに好ましくは1〜10重量部である。キノンジアジド化合物の添加量が0.1重量部より少ない場合、露光部と未露光部との溶解コントラストが低すぎて、現実的な感光性が発現しない場合がある。また、さらに良好な溶解コントラストを得るためには1重量部以上が好ましい。一方、キノンジアジド化合物の添加量が15重量部より多い場合、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪くなることによる塗布膜の白化が起こったり、熱硬化時に起こるキノンジアジド化合物の分解による着色が顕著になるために、硬化膜の無色透明性が低下する。また、さらに高透明性の膜を得るためには10重量部以下が好ましい。
本発明の感光性シロキサン組成物は(c)溶剤を含有する。用いられる溶剤は特に制限されないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物、および/またはカルボニル基を有する環状化合物が用いられる。これらの溶剤を用いると、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物とが均一に溶解し、組成物を塗布成膜しても膜は白化することなく、高透明性が達成できる。
また用いる溶剤の沸点は大気圧下において110〜250℃であることが好ましい。沸点が250℃より高いと膜中の残存溶剤量が多くなってしまい、キュア時の膜収縮が大きくなり、良好な平坦性が得られなくなる。一方、沸点が110℃より低いと、塗膜時の乾燥が速すぎて膜表面が荒れるなど塗膜性が悪くなる。
アルコール性水酸基を有する化合物の具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールが挙げられる。これらの中でも、さらにカルボニル基を有する化合物が好ましく、特にジアセトンアルコールが好ましく用いられる。なお、これらのアルコール性水酸基を有する化合物は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
カルボニル基を有する環状化合物の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンが挙げられる。これらの中でも、特にγ−ブチロラクトンが好ましく用いられる。なお、これらのカルボニル基を有する環状化合物は、単独、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上述のアルコール性水酸基を有する化合物とカルボニル基を有する環状化合物は、単独でも、あるいは各々混合して用いても良い。混合して用いる場合、その重量比率は特に制限されないが、好ましくはアルコール性水酸基を有する化合物/カルボニル基を有する環状化合物=99〜50/1〜50、さらに好ましくは97〜60/3〜40である。アルコール性水酸基を有する化合物が99重量%より多い(カルボニル基を有する環状化合物が1重量%より少ない)と、ポリシロキサンとキノンジアジド化合物との相溶性が悪く、硬化膜が白化して透明性が低下する。また、アルコール性水酸基を有する化合物が50重量%より少ない(カルボニル基を有する環状化合物が50重量%より多い)と、ポリシロキサン中の未反応シラノール基の縮合反応が起こり易くなり、保存安定性が悪くなる。
また、本発明の感光性シロキサン組成物は、本発明の効果を損なわない限り、その他の溶剤を含有してもよい。その他の溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル類が挙げられる。
上記の溶剤の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量部に対して、加える溶剤の総量が0〜1000重量部の範囲が好ましい。
通常、ポリシロキサンを用いた組成物に、シランカップリング剤に代表されるオルガノシラン化合物を添加すると、さらに接着性が向上する効果が見られるが、一方でシランカップリング剤とポリシロキサンとの反応が急速に進行し、保存安定性が悪くなることが知られている。しかしながら、本発明の感光性シロキサン組成物が有する(d)一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物は、接着性向上に加えて、特異的にポリシロキサン組成物の保存安定性を向上させ、室温放置下における感度や残膜率の変化量を小さくすることができる。これは一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物を添加することによって、ポリシロキサンのシラノール基と一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物が反応し、シラノール基を封止または低反応性シラノール基へと変換するためと考えられる。
R1、R2は同じでも異なってもよく水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR1、R2はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R3は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR3はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。nは2または3を表す。
R1、R2は、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基などのアルキル基、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基などのアリール基が挙げられる。中でも、硬化時の酸化による着色を少なくすることができることから、水素、エチル基、tert−ブチルが好ましい。
R3は、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などのアルキル基、アセチル基などのアシル基、n−プロピル基などのアリール基が挙げられる。中でも、アルコキシ基の加水分解性が高いことからR3はメチル基、エチル基が特に好ましい。
一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の具体例としては、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジn−ブトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ビス(4−メチルフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジエトキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(4−メチルフェニル)シランジオール、ビス(4−ビフェニル)ジメトキシシラン、ビス(4−ビフェニル)ジエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノオールなどが挙げられる。これらのうち、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリフェニルシラノオール、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルシランジオールが特に好ましい。これらのオルガノシランは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物の含有量は、ポリシロキサン100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましい。さらに好ましくは0.01重量部〜5重量部である。0.01重量部より少ないと保存安定性が得られない場合がある。5重量部を超えると残膜率が大きく低下したり、露光部に現像液に不溶な現像残り(スカム)が現れる場合がある。
さらに、本発明では、次にあげる架橋促進剤を添加してもよい。架橋促進剤から発生した酸または塩基は、後述する熱架橋性化合物の触媒にもなる。架橋促進剤は架橋させるための触媒であり、ポリシロキサン骨格中に取り込まれないが、熱架橋性化合物はポリシロキサンを架橋する化合物でありポリマー骨格中に取り込まれる。酸や塩基などの架橋促進剤はポリシロキサン中に残存すると、イオン不純物となり、電気特性(特に絶縁性)が低下するので、本発明で用いる架橋促進剤はポリシロキサン骨格中に取り込まれずに揮発または分解することが好ましい。
ポリシロキサンの架橋促進剤は特に限定されないが、熱または光により酸を発生する化合物は、熱硬化時に効率的に酸または塩基を発生し、ポリシロキサンの架橋を効率的に促進するので、熱硬化後の膜強度を高める点より好ましい。熱により酸または塩基を発生する化合物を用いる場合、当該化合物の酸または塩基を発生する温度は70〜200℃、好ましくは80℃〜150℃であることが好ましい。70℃以上で酸または塩基が発生する架橋促進剤を用いると塗液の保存安定性が向上し、200℃以下で酸または塩基が発生する架橋促進剤を用いると熱硬化時に効果的にパターン硬化を促進することができる。また、光により酸または塩基を発生する化合物を用いる場合、パターニングの露光光源である超高圧水銀灯(特にi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm))に対して量子収率の高くないものを用いる。露光により、酸または塩基が大量に発生するとシロキサンが架橋し、ネガ型の作用を引きおこし、キノンジアジド化合物を用いた場合は、キノンジアジド化合物が有するポジ型の感光性能に悪影響を及ぼすためである。従って、本発明で用いる架橋促進剤は、現像後のブリーチング露光中、または熱硬化中に効率よく架橋促進剤を発生するものが好ましい。
さらに、感光性を損なうことなくポリシロキサンの架橋促進剤としての効果を引き出すには、ポリシロキサンの架橋促進剤の添加量は、ポリシロキサンに対して0.01〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。0.01重量%より少ないとポリシロキサンの架橋促進剤としての機能が発揮されず低硬度となり、10重量%より多いとポジ型の感光性、特に感度が低下したり、クラックが発生したり、無色透明性が低下する場合があり、注意を要する。
また、架橋促進剤は熱硬化時に効率的に酸または塩基を発生し、ポリシロキサンの架橋を効率的に促進するので、熱硬化後の膜強度を高める点から、熱により酸または塩基を発生する化合物がより好ましい。なお、本発明において用いられるキノンジアジド化合物も光によって酸を発生する化合物であり、前述したキノンジアジド化合物を架橋促進剤として用いてもよい。
ポリシロキサンの架橋促進剤のうちの、熱または光により酸を発生する化合物(酸発生剤)は、イオン性化合物と非イオン性化合物がある。イオン性化合物としては、重金属、ハロゲンイオンを含まないものがよく、トリオルガノスルホニウム塩系化合物が好ましい。具体的には、トリフェニルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、や1−ジメチルチオナフタレンのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、1−ジメチルチオ−4−ヒドロキシナフタレンのメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、1−ジメチルチオ−4、7−ジヒドロキシナフタレンのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンジルスルホニウム塩である、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L(以上、商品名、三新化学工業(株)製)などが挙げられる。
非イオン性の酸発生剤としては、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、リン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物、スルホンベンゾトリアゾール化合物等を用いることができる。
ハロゲン含有化合物の具体例としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物等が挙げられる。好ましいハロゲン含有化合物としては、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(ベンゾイル)ジアゾメタン等が挙げられる。
スルホン化合物の具体例としては、β−ケトスルホン化合物、β−スルホニルスルホン化合物、ジアリールジスルホン化合物等が挙げられる。好ましいスルホン化合物としては、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−クロロフェニル−4−メチルフェニルジスルホン化合物等が挙げられる。
スルホン酸エステル化合物の具体例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等が挙げられる。好ましい具体例として、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2,6−ジニトロベンジルベンゼンスルホネート等が挙げられる。イミノスルホネートの具体例として、PAI−101(みどり化学(株)製)、PAI−106(みどり化学(株)製)、CGI−1311(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)が挙げられる。
カルボン酸エステル化合物としては、カルボン酸o−ニトロベンジルエステルが挙げられる。
スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド(SI−105(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド(SI−106(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド(SI−101(みどり化学(株)製))、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド(PI−105(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(フェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(NDI−100(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(NDI−101(みどり化学(株)製))、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(NDI−105(みどり化学(株)製))、N−(ノナフルオロブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(NDI−109(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド(NDI−106(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−105(みどり化学(株)製))、N−(カンファスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−106(みどり化学(株)製))、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−101(みどり化学(株)製))、N−(フェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−100(みどり化学(株)製))、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ペンタフルオロエチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプタフルオロプロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−109(みどり化学(株)製))、N−(エチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(プロピルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ブチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(NAI−1004(みどり化学(株)製))、N−(ペンチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘキシルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ヘプチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(オクチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド、N−(ノニルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド等が挙げられる。
上記酸発生剤の中でも、ポリシロキサンを効率よく架橋させるために、発生する酸は強いことが望ましく、酸のpkaは3以下、好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下であることが好ましい。本発明においては発生する酸の強さの点から、発生する酸はベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸、リン酸が好ましい。以上のなかでも、パターンの解像度の点からスルホニウム塩、スルホンイミド化合物が好ましい。
具体例としては、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムの、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウムのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L(以上、商品名、三新化学工業(株)製)、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、NDI−101、NDI−105、NDI−109、NAI−101、NAI−105、NAI−109(以上、商品名、みどり化学(株)製)が挙げられる。
ポリシロキサンの架橋促進剤のうちの、熱または光により塩基を発生する化合物(塩基発生剤)は、コバルトなど遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類などを例示することができる。
光照射により発生する塩基の種類としては有機、無機の塩基のいずれの場合も好ましく用いることができるが、光照射による発生効率、ポリシロキサンの架橋における触媒効果、ポリシロキサン溶液への溶解性などの点から有機アミン類が特に好ましい。発生する有機アミン類の種類としては脂肪族、芳香族のいずれでも良く、また、1官能でも多官能でも良い。紫外線照射により発生するアミン類の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、デシルアミン、セチルアミン、ヒドラジン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチルテトラミン、ピペリジン、ピペラジンなどを列挙することができる。
好ましい塩基発生剤の具体例として、遷移金属錯体としては、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩などがあげられる。
オルトニトロベンジルカルバメート類としては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどがあげられる。
α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類としては、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどがあげられる。
アシルオキシイミノ類としては、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルベンゾフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルベンゾフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アクロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシムなどがあげられる。上記の塩基発生剤の中でも、ポリシロキサンを効率よく架橋させるために発生する塩基は強いことが望ましく、塩基のpkaは11以上、好ましくは12以上、さらに好ましくは13以上であることが好ましい。特に好ましいものとしては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミンがあげられる。
本発明の感光性シロキサン組成物は、熱架橋性化合物を含有してもよい。熱架橋性化合物は熱硬化時にポリシロキサンを架橋する化合物であり、架橋によりポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物である。熱硬化性化合物を含有することによって硬化膜の架橋度が高くなる。これによって硬化膜の耐薬品性が向上し、かつ熱硬化時の微細パターンのリフローによるパターン解像度の低下が抑制される。
熱架橋性化合物は熱硬化時にポリシロキサンを架橋し、ポリシロキサン骨格中に取り込まれる化合物であれば特に制限されないが、好ましくは一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物、および/または一般式(6)で表される化合物が用いられる。
R15は水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のR15はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
R16は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR16はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R17は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。Lは0から3の整数を表す。
一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物において、R15は水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のR15はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。また、一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のようなメラミン誘導体や尿素誘導体(商品名、三和ケミカル(株)製)、およびフェノール性化合物(商品名、本州化学工業(株)製)が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物において、R16は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR16はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
一般式(6)のR17は水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアシル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR17はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アシル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基が挙げられる。
一般式(6)で表される化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリn−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリn−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジn−ブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどが挙げられる。なお、これらの化合物は単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(6)で表される化合物はオルガノシラン化合物であり、ポリシロキサンとの相溶性が良好であり、硬化膜の透明性を低下することなく耐溶剤性やパターン解像度が向上する。
熱架橋性化合物の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100重量%に対して0.1〜10重量%の範囲である。熱架橋性化合物の添加量が0.1重量%より少ない場合、ポリシロキサンの架橋が不十分で効果が少ない。一方、熱架橋性化合物の添加量が10重量%より多い場合、硬化膜の無色透明性が低下したり、組成物の保存安定性が低下する。
本発明の感光性シロキサン組成物は、増感剤を含有してもよい。このときの増感剤は熱処理により気化する、および/または樹脂膜に残存した場合においても、光照射によって退色する増感剤が好ましい。
上記の熱処理により気化する、および/または光照射によって退色する増感剤の具体例としては、3,3’−カルボニルビス(ジエチルアミノクマリン)などのクマリン、9,10−アントラキノンなどのアントラキノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、ベンズアルデヒドなどの芳香族ケトン、ビフェニル、1,4−ジメチルナフタレン、9−フルオレノン、フルオレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、アントラセン、9−フェニルアントラセン、9−メトキシアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(4−メトキシフェニル)アントラセン、9,10−ビス(トリフェニルシリル)アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン(DPA、川崎化成(株)製)、9,10−ジブトキシアントラセン(DBA、川崎化成(株)製)、9,10−ジペンタオキシアントラセン、2―t−ブチル−9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ビス(トリメチルシリルエチニル)アントラセンなどの縮合芳香族などが挙げられる。
これらの増感剤の中で、熱処理により気化する増感剤は、好ましくは熱処理により昇華、蒸発、熱分解による熱分解物が昇華または蒸発する増感剤である。また、増感剤の気化温度としては、好ましくは130℃〜400℃、さらに好ましくは150℃〜250℃である。増感剤の気化温度が130℃より低いと、増感剤がプリベーク中に気化して露光プロセス中に存在しなくなり高感度化が達成されない。また、プリベーク中の気化を極力抑えるためには、増感剤の気化温度は150℃以上が好ましい。一方、増感剤の気化温度が400℃より高いと、増感剤が熱硬化時に気化せず硬化膜中に残存して、無色透明性が低下する。また、熱硬化時に完全に気化させるためには、増感剤の気化温度は250℃以下が好ましい。
一方、光照射によって退色する増感剤は、透明性の観点から可視光領域における吸収が光照射によって退色する増感剤が好ましい。また、さらに好ましい光照射によって退色する化合物は、光照射によって二量化する化合物である。光照射によって二量化することによって、分子量が増大して不溶化するので、耐薬品性向上、耐熱性向上、透明硬化膜からの抽出物の低減という効果が得られる。
また、増感剤は高感度を達成できるという点、光照射によって二量化して退色するという点からアントラセン系化合物が好ましく、さらに、9,10位が水素であるアントラセン系化合物は熱に不安定であるので、9,10−二置換アントラセン系化合物であることが好ましい。さらに、増感剤の溶解性の向上と光二量化反応の反応性の観点から一般式(7)で表される9,10−ジアルコキシアントラセン系化合物であることが好ましい。
R18〜R25はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、エチニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。R26、R27は炭素数1〜20のアルコキシ基およびその他の有機基で置換されたアルコキシ基を表す。
一般式(7)のR18〜R25は、それぞれ独立して水素、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アシル基、およびそれらが置換された有機基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられる。アシル基の具体例としては、アセチル基が挙げられる。化合物の気化性、光二量化の反応性の点から、R18〜R25は水素、または炭素数は1〜6までの有機基であることが好ましい。さらに好ましくは、R18、R21、R22、R25は水素であることが好ましい。
一般式(7)のR26、R27は炭素数1〜20のアルコキシ基、およびその他の有機基で置換されたアルコキシ基を表す。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基が挙げられるが、化合物の溶解性と光二量化による退色反応の点から、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
増感剤を用いる場合、ポリシロキサンに対して0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.005〜1重量%の範囲で添加するのが好ましい。この範囲を外れると、透明性が低下したり、感度が低下したりするので注意を要する。
本発明の感光性シロキサン組成物は必要に応じて、溶解促進剤、溶解抑止剤、架橋剤、界面活性剤、安定剤、消泡剤などの添加剤を含有することもできる。
溶解促進剤は感度を向上する目的でよく用いられる。溶解促進剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物や、N−ヒドロキシジカルボキシイミド化合物が好ましく用いられる。具体例としては、キノンジアジド化合物の合成に用いた上記フェノール性水酸基を有する化合物やN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド誘導体が挙げられる。
本発明の感光性シロキサン組成物を用いた硬化膜の形成方法について説明する。本発明の感光性シロキサン組成物をスピンナー、ディッピング、スリットなどの公知の方法によって下地基板上に塗布し、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置でプリベークする。プリベークは、50〜150℃の範囲で30秒〜30分間行い、プリベーク後の膜厚は、0.1〜15μmとするのが好ましい。
プリベーク後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(PLA)などの紫外可視露光機を用い、10〜6000J/m2程度(波長365nm露光量換算)を所望のマスクを介してパターニング露光する。また、本発明の感光性シロキサン組成物は、PLAによる露光での感度が100〜6000J/m2であることが好ましい。感度が6000J/m2より大きいと、パターン形成時の放射線露光時間が長くなるために生産性が低下したり、放射線露光量が多くなるために下地基板からの反射量が多くなりパターン形状が悪化する。
前記のPLAによるパターニング露光での感度は、例えば以下の方法により求められる。組成物をシリコンウェハスピンコーターを用いて任意の回転数でスピンコートし、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークし、膜厚3.3μmの膜を作製する。作製した膜をPLA(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介して露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で任意の時間パドル現像し、次いで水で30秒間リンスする。
パターニング露光後、現像により露光部が溶解し、ポジ型のパターンを得ることができる。現像方法としては、シャワー、ディッピング、パドルなどの方法で現像液に5秒〜10分間浸漬することが好ましい。現像液としては、公知のアルカリ現像液を用いることができる。具体的例としてはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの無機アルカリ、2−ジエチルアミノエタノール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の4級アンモニウム塩を1種あるいは2種以上含む水溶液等が挙げられる。
現像後、水でリンスすることが好ましく、つづいて50〜150℃の範囲で乾燥ベークを行うこともできる。
その後、ブリーチング露光を行うことが好ましい。ブリーチング露光を行うことによって、膜中に残存する未反応のキノンジアジド化合物が光分解して、膜の光透明性がさらに向上する。ブリーチング露光の方法としては、PLAなどの紫外可視露光機を用い、100〜4000J/m2程度(波長365nm露光量換算)を全面に露光する。
その後、この膜をホットプレート、オーブンなどの加熱装置で150〜450℃の範囲で1時間程度熱硬化することで、パターンの形状が崩れたりせず、発泡、皺の発生がなく、高解像度のスルーホールなどのパターンが形成された硬化膜を得ることができる。解像度は、好ましくは10μm以下である。この硬化膜は表示素子におけるTFT用平坦化膜、半導体素子における層間絶縁膜、あるいは光導波路におけるコアやクラッド材等に好適に使用される。
本発明の素子は、上述のような高解像度、高硬度、高透明性、高耐熱性、低誘電率性の硬化膜を有する表示素子、半導体素子、あるいは光導波路材を指し、特に、TFT用平坦化膜として有する液晶、ならびに有機EL表示素子は、本発明の硬化膜が画面の明るさと信頼性に優れる点において、有効に用いうる。
以下に本発明をその実施例を用いて説明するが、本発明の様態はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成例1 ポリシロキサン溶液(a)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを74.91g(0.55mol)、フェニルトリメトキシシランを69.41g(0.35mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、ジアセトンアルコール(DAA)を150.36g仕込み、室温で攪拌しながら水55.8gにリン酸0.338g(仕込みモノマーに対して0.2重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計115g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が33重量%、溶剤組成がDAA/γ−ブチロラクトン(GBL)(80/20)となるようにDAAとGBLを加えてポリシロキサン溶液(a)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は5000であった。
合成例2 ポリシロキサン溶液(b)の合成
500mLの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを40.2g(0.295mol)、フェニルトリメトキシシランを119.0g(0.6mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを12.3g(0.05mol)、シリカ粒子であるPL−2L−DAA(商品名、扶桑化学工業(株)製)を13.2g(シラン原子モル数で0.055mol)、DAAを112.6g仕込み、室温で攪拌しながら水51.9gにリン酸0.315g(仕込みモノマーに対して0.18重量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて1時間攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌した(内温は100〜110℃)。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計118g留出した。得られたポリシロキサンのDAA溶液に、ポリマー濃度が33重量%、溶剤組成がDAA/GBL(80/20)となるようにDAAとGBLを加えてポリシロキサン溶液(b)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は6000であった。
合成例3 キノンジアジド化合物(c)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、エステル化率93%の下記構造のキノンジアジド化合物を得た。
合成例4 アクリルポリマー溶液(d)の合成
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)5g、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)200gを500mLの三口フラスコに仕込んだ。引き続きスチレン25g、メタクリル酸20g、メタクリル酸グリシジル45g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレート10gを仕込み、室温でしばらく攪拌した後、フラスコ内を窒素置換した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて、5時間加熱攪拌した。得られたアクリルポリマーのEDM溶液に、ポリマー濃度が30重量%、溶剤組成がEDM(100%)となるようにEDMを加えてアクリルポリマー溶液(d)を得た。なお、得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は15000であった。
合成例5 ノボラックポリマー溶液(e)の合成
冷却管と撹拌装置を装着した2Lのセパラブルフラスコに、m−クレゾール172.8g(1.6モル)、2.3−ジメチルフェノール36.6g(0.3モル)、3.4−ジメチルフェノール12.2g(0.1モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液12.6g(ホルムアルデヒド:1.5モル)、シュウ酸2水和物12.6g(0.1モル)及びメチルイソブチルケトン554gを加え、30分撹拌した後、1時間静置した。2層に分離した上層をデカンテーションによって除去し、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル(HPE)を加え、残存メチルイソブチルケトン、n−ヘプタン、水を減圧濃縮によって除去し、ノボラックポリマーの2−ヒドロキシプロピオン酸エチル溶液(e)を得た。得られたノボラックポリマーのMwは8600であった。このノボラックポリマーにHPEと3−エトキシプロピオン酸エチル(EPE)を加えて、ポリマー濃度が17.5重量部、溶剤組成がHPEとEPEが7対3になるように調整した。
実施例1
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(c)0.4654g(8重量部)、ジフェニルジメトキシシラン0.1163g(2重量部)をDAA/GBL(80/20)1.6902gに溶解させ、ポリシロキサン(a)溶液17.6281g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(BYK−Chemie社製)のDAA/GBL(80/20)1%溶液を0.1g(50ppm)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物1とする。
作製した組成物をテンパックスガラス板(旭テクノガラス板(株)製)、およびシリコンウェハにスピンコーター(ミカサ(株)製1H−360S)を用いて任意の回転数でスピンコートした後、ホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて95℃で2分間プリベークし、膜厚4μmの膜を作製した。作製した膜をパラレルライトマスクアライナー(以下PLAという)(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、超高圧水銀灯を感度測定用のグレースケールマスクを介して露光した後、自動現像装置(AD−2000、滝沢産業(株)製)を用いて2.38wt%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液であるELM−D(三菱ガス化学(株)製)で80秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間リンスした。その後、ブリーチング露光として、PLA−501F(キヤノン(株)製)を用いて、膜全面に超高圧水銀灯を6000J/m2(波長365nm露光量換算)露光した。その後、ホットプレートを用いて90℃で2分間ソフトベークし、次いでオーブン(タバイエスペック社製IHPS−222)を用いて空気中220℃で1時間キュアして硬化膜を作製した。また、組成物1および9はテンパックスガラス板を用いて同条件でソフトベークまで行った後、270℃でのキュアも行った。
評価結果を表2に示す。なお、表中の評価は以下の方法で行った。なお、下記の(1)、(2)、(3)、(4)、(5)の評価はシリコンウェハ基板を、(7)、(9)の評価はテンパックスガラス板を用いて行った。
(1)膜厚測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を用いて、屈折率1.50で測定を行った。
(2)残膜率
残膜率は以下の式に従って算出した。
残膜率(%)=現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100。
(3)感度
露光、現像後、10μmのラインアンドスペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
(4)解像度
最適露光量におけるキュア後の最小パターン寸法をキュア後解像度とした。
(5)感度および残膜率の経時変化評価
得られた組成物を、作製した日から3日間冷凍庫に保管した後、23℃に保たれた部屋に遮光袋中で放置した。放置開始日を0日として、放置開始日、放置開始日から3日後、10日後の各々の残膜率と感度を上記の方法を用いて評価した。
(6)重量減少率
組成物をアルミセルに約100mg入れ、熱重量測定装置TGA−50((株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で300℃まで加熱し、そのまま1時間加熱硬化させ、その後昇温速度10℃/分で400℃までで昇温した時の、重量減少率を測定した。300℃に到達したときの重量を測定し、さらに400℃に到達した時の重量を測定し、300℃時の重量との差を求め、減少した重量分を重量減少率として求めた。
(7)光透過率の測定
MultiSpec−1500((株)島津製作所製)を用いて、まずテンパックスガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次に各キュア膜をテンパックスガラスに形成し、これをサンプルとし、サンプルを用いてシングルビームで測定し、3μmあたりの波長400nmでの光透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の透過率とした。
(8)誘電率の測定
アルミ基板に、組成物を塗布、プリベーク、露光、キュア処理し、薄膜を形成した。その後この薄膜上部にアルミ電極を形成し、1kHzにおける静電容量をアジレント・テクノロジー社製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により誘電率(ε)を求めた。なお誘電率測定の際、組成物は現像処理していないものを用いた。
ε=C・d/ε0・S
但し、Cは静電容量、dは試料膜厚、ε0は真空中の誘電率、Sは上部電極面積である。
(9)接着性の評価
テンパックスガラス板に、組成物を塗布、プリベーク、露光、キュア処理し、薄膜を形成する。JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて測定した。テンパックスガラス板上の薄膜表面に、カッターナイフでガラス板の素地に到達するように、直交する縦横11本ずつの平行な直線を1mm間隔で引いて、1mm×1mmのマス目を100個作製した。切られた薄膜表面にセロハン粘着テ−プ(幅=18mm、粘着力=3.7N/10mm)を張り付け、消しゴム(JISS−6050合格品)で擦って密着させ、テープの一端を持ち、板に直角に保ち瞬間的に剥離した際のマス目の残存数を目視によって評価した。
なお、表2に示した硬化膜の評価結果は放置開始日(0日後)における組成物の硬化膜を用いて得られたものである。
実施例2
ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物2とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
実施例3
ジフェニルジメトキシシランをジフェニルジエトキシシラン0.1163g(2重量部)に換え、ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液17.6281g(100重量部)に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物3とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
実施例4
ジフェニルジメトキシシランをビス(4−メチルフェニル)ジメトキシシラン0.1163g(2重量部)に換え、ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液17.6281g(100重量部)に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物4とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
実施例5
ジフェニルジメトキシシランをトリフェニルエトキシシラン0.1163g(2重量部)に換え、ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液17.6281g(100重量部)に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物5とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例1
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(c)0.474g(8重量部)をDAA/GBL(80/20)1.6902gに溶解させ、ポリシロキサン(b)溶液17.9545g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(BYK−Chemie社製)のDAA/GBL(80/20)1%溶液を0.1g(50ppm)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物6とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例2
ジフェニルジメトキシシランをフェニルトリメトキシシラン0.1163g(2重量部)に換え、ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液17.6281g(100重量部)に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物7とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例3
ジフェニルジメトキシシランをビニルトリメトキシシラン0.1163g(2重量部)に換え、ポリシロキサン(a)溶液をポリシロキサン(b)溶液17.6281g(100重量部)に換えた以外は実施例1と同様に行い、ポジ型感光性シロキサン組成物を得た。得られた組成物を組成物8とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例4
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(c)1.3844g(30重量部)をEDM3.1336gに溶解させ、アクリルポリマー(d)溶液15.3828g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(BYK−Chemie社製)のEDM1%溶液を0.1000g(50ppm)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、ポジ型感光性アクリル組成物を得た。得られた組成物を組成物9とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例5
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(c)1.3634g(30重量部)、ビニルトリメトキシシラン0.0909g(2重量部)をEDM3.2967gに溶解させ、合成例4で得られたアクリルポリマー(d)溶液15.149g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(BYK−Chemie社製)のEDM1%溶液を0.1000g(50ppm)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、組成物10を得た。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
比較例6
黄色灯下にてキノンジアジド化合物(c)2.6778g(45重量部)、ビニルトリメトキシシラン0.119g(2重量部)をHPE/EPE(70/30)12.9493gに溶解させ、ノボラック樹脂(e)溶液34.0039g(100重量部)、シリコーン系界面活性剤であるBYK−333(BYK−Chemie社製)のHPE/EPE(70/30)1%溶液を0.25g(50ppm)加え、撹拌した。次いで0.2μmのフィルターでろ過を行い、ポジ型感光性ノボラック組成物を得た。得られた組成物を組成物10とする。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った。
組成物1〜11の各組成比を表1に、実施例1〜5、比較例1〜6の結果を表2に示した。