JP3601727B2 - 湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の技術分野】
本発明は基板上に、感光層、シリコーンゴム層を設けた湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法に関し、特に、経時安定性に優れたシリコーンゴム層の塗布液を用いた湿し水不要感光性平版印刷版(以下「水なし平版印刷版」ともいう。)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
湿し水を用いないで平版印刷を行うための水なし平版印刷版に関しては種々のものが提案されている。特に、基板上に感光層およびインキ反撥層を塗設したものが優れた性能を有している。その中でも、ポジ型やネガ型、インキ反撥層上層型やインキ反撥層下層型等、様々な提案がなされている。例えば、ポジ型のインキ反撥層上層型については、特公昭44−23042号および特公昭54−26923号公報等に、ポジ型のインキ反撥層下層型については、特開昭64−74541号および特開平1−149043号公報等に記載されている。また、ネガ型においてもインキ反撥層上層型については、特公昭46−16044号、特公昭61−54222号および特開昭63−88556号公報等に、インキ反撥層下層型については、特公昭47−2361号、特公昭56−14976号および特開平1−173027号公報等に記載されている。このような水なし平版印刷版に用いられるインキ反撥層としてシリコーンゴムを用いたものが、例えば特公昭54−26923号、特公昭55−22781号、特公昭56−23150号および特開平2−236550号公報等に、フッ素樹脂を用いたものが、例えば特開昭58−215411号および特開平2−103047号公報等に記載されているが、インキ反撥性の観点よりシリコーンゴムを用いた方が好ましい。
【0003】
これらの水なし平版印刷版に用いられるシリコーンゴム層は、通常ポリシロキサンを主たる骨格とする高分子重合体を、架橋剤を用いて部分的に架橋硬化したものが用いられている。このシリコーンゴム層の硬化法としては、下記の縮合型の方法が好ましく用いられている。
【0004】
縮合型:両末端水酸基のポリシロキサンを、ケイ素原子に直接結合した加水分解性官能基を3官能以上有するシラン化合物により架橋してシリコーンゴムとする方法(特公昭56−23150号、特開昭54−54702号、特開昭61−230151号公報等に記載されている)。
【0005】
しかし、この縮合型シリコーンゴム層を製造する際、シリコーンゴム層の塗布液が、溶液状態のままで架橋反応が進み、塗布前に数時間内でゲル化してしまうという欠点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な経時安定性を有する縮合型シリコーンゴム層の塗布液を用い、これを塗布して架橋硬化することにより良好な性能のシリコーンゴム層を得ることができる湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)の構成によって達成される。
(1)基板上に感光層とシリコーンゴム層とを積層した湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法であって、前記シリコーンゴム層を、(A)両末端に水酸基を有する線状オルガノポリシロキサンを100重量部、(B)下記一般式(I)で表される3官能または4官能の縮合型架橋剤を3〜40重量部、(C)触媒を0.01〜40重量部、(D)下記一般式(II)で表される2官能の縮合型架橋剤を成分(B)に対して重量比で0.1〜1.5、および(E)炭化水素系溶媒を100〜5000重量部含有し、成分(B)および成分(D)の合計含有量が60重量部以下である溶液を塗布することにより形成する湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法。
一般式(I)
(R1 )p・Si・(X)q
〔一般式(I)において、R1 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。Xは−OCOR2 または−OR2 (ここでR2 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。)を表す。pは0または1、qは3または4であり、p+qは4である。〕
一般式( II )
(R 7 ) 2 ・Si・(X) 2
〔一般式( II )において、R 7 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。Xは−OCOR 8 または−OR 8 (ここでR 8 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。)を表す。〕
【0012】
【具体的構成】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0013】
本発明の湿し水不要感光性平版印刷版は、基板上に感光層とシリコーンゴム層とを有するものであり、基板上に必要に応じプライマー層を形成し、この上に感光層、シリコーンゴム層を順次形成して得られたものである。
【0014】
まず、シリコーンゴム層について説明する。
【0015】
[シリコーンゴム層]
本発明ではシリコーンゴム層として、下記の成分(A)〜(E)を下記の量比で含有する溶液である塗布液を用い、これにより形成した塗布膜を硬化して形成した皮膜である縮合型シリコーンゴムを使用する。
【0016】
上記成分を上記量比で含有する塗布液を用いることによって、塗布液での架橋反応の進行を阻止することができ、十分に安定な塗布液となり、かつ塗布膜が形成しやすくなり、しかも膜質に優れたシリコーンゴム層が得られる。これに対し、成分(B)が3重量部未満となると塗布膜の硬化性が劣化し、40重量部を超えると塗布膜の硬化性が過度に高くなり、水なし平版印刷版として重要なインキ反撥性が低下してしまう。また、成分(C)が0.01重量部未満となると、塗布膜の硬化性が劣化し、40重量部を超えると塗布液がゲル化しやすくなり、数時間内にゲル化してしまう。また、成分(B)に対する成分(D)の重量比、成分(D)/成分(B)が、0.1未満では塗布液が数時間内にゲル化してしまい、1.5を超えると塗布膜の硬化性が劣化してしまう。さらに、成分(B)と成分(D)との合計含有量が60重量部を超えると、塗布膜の硬化性が過度に高くなり、水なし平版印刷版として重要なインキ反撥性が低下してしまう。また、炭化水素系溶媒が100重量部未満となっても、また5000重量部を超えても塗布膜の形成が困難になる。
【0017】
以下に成分(A)〜(E)について述べる。
【0018】
成分(A):両末端に水酸基を有する線状ジオルガノポリシロキサン
本発明に用いられる成分(A)のジオルガノポリシロキサンは、下記化5で表されるような繰り返し単位を有するポリマーで、R13およびR14は各々炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、ビニル基、アリール基(例えばフェニル)であり、またこれらの置換基はさらに他の置換基(例えばフッ素等のハロゲン、フェニル等のアリール基、アクリロイルオキシ等のエステル基)を有していてもよい。また、成分(A)のジオルガノポリシロキサンは繰り返し単位が同じホモポリマーであっても、R13、R14が異なる繰り返し単位を含むコポリマーであってもよいが、一般的にはR13およびR14の60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニル基、ハロゲン化フェニル基などであるものが好ましい。
【0019】
【化5】
【0020】
また、成分(A)のジオルガノポリシロキサンは数平均分子量Mnが3,000〜200,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。
【0021】
これらの具体例としては、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン等が挙げられ、以下の構造式のものを例示することができる。
【0022】
【化6】
【0023】
これらの成分(A)は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0024】
成分(B):3官能および/または4官能の縮合型架橋剤
本発明に用いられる3官能または4官能の縮合型の架橋剤は、次の一般式(I)で表される。
【0025】
一般式(I)
(R1 )p・Si・(X)q
【0026】
一般式(I)において、R1 は炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基(例えばメチル、エチル)、置換基を有していてもよいビニル基または置換基を有していてもよいアリール基(例えばフェニル)を表し、Xは−OCOR2 または−OR2 (ここでR2 はR1 と同義)を表し、好ましくは、−OCOR2 である。pは0または1、qは3または4であり、p+qは4である。
【0027】
これらの具体例としては、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン(特開昭54−54702号公報に記載)、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0028】
これらの成分(B)は単独で用いても、また2種以上を併用してもよく、3官能と4官能の縮合型架橋剤を併用してもよい。
【0029】
成分(C):触媒
本発明に用いられる触媒としては、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガンなどの金属カルボン酸塩、例えば、酢酸ジブチル錫、オクチル酸ジブチル錫、ラウリン酸ジブチル錫、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛など、あるいは塩化白金酸等のような公知のものが挙げられる。
【0030】
これらの成分(C)は、単独で用いても、また2種以上を併用してもよい。
【0031】
成分(D):2官能の縮合型架橋剤
本発明に用いられる2官能の縮合型架橋剤は、次の一般式(II)で表される。
【0032】
一般式(II)
(R7 )2 ・Si・(X)2
【0033】
一般式(II)において、R7 は炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基(例えばメチル、エチル)、置換基を有していてもよいビニル基または置換基を有していてもよいアリール基(例えばフェニル)を表し、Xは−OCOR8または−OR8 (ここでR8 はR7 と同義)を表す。
【0034】
これらの具体例としては、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、メチルフェニルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、メチルビニルジアセトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0035】
これらの成分(D)は、単独で用いても、また2種以上を併用してもよい。
【0036】
成分(E):炭化水素系溶媒
本発明で用いられる塗布溶媒は炭化水素系溶媒であり、より具体的には、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE,G,H”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等の脂肪族炭化水素類であることが好ましい。これらの脂肪族炭化水素は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
さらに、上記の脂肪族炭化水素を主成分とする溶媒に、20重量部を限度として次のようなより極性の高い溶媒を添加することもできる。このような溶媒としては、水、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、カルボン酸類などが用いられる。
【0038】
その他の成分
なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤などの接着助剤や光重合開始剤、特開平1−179047号公報に開示されるような芳香族置換ポリジメチルシロキサン、更に、シリコーンオイルを添加してもよい。従って、これらの成分を必要に応じ塗布液に添加することができる。
【0039】
本発明におけるシリコーンゴム層は、上記成分(A)〜(D)と成分(E)の溶媒とを含有し、さらに必要に応じて他の成分が添加された塗布液を用いて塗布膜を形成し乾燥して得られる。乾燥は80〜170℃程度の温度で30秒〜5分程度行うことが好ましい。
【0040】
本発明におけるシリコーンゴム層は、薄すぎるとインキ反撥性が低下し、傷が入りやすい等の問題があり、厚すぎると現像性が悪くなることから、厚みとしては0. 5〜5g/m2が好ましく、より好ましくは1〜3g/m2である。
【0041】
次に、感光層について説明する。
【0042】
[感光層]
本発明において使用される感光層としては、露光の前後で現像液に対する溶解性やシリコーンゴム層との接着力に変化を生じるものであれば光可溶化型感光層や光不溶化型感光層等いかなるものでも可能である。具体的には、例えば、光可溶化型感光層としては通常ポジ型PS版、ワイポン版、フォトレジスト等に用いられているo−キノンジアジド化合物、o−ニトロベンジルカルビノールエステル化合物等を含む感光層、ジアゾ化合物の無機酸や有機酸とのコンプレックスを含む感光層、酸発生剤および酸分解性基をもつ化合物を含む感光層等が挙げられる。さらにそのような光可溶化型感光性化合物を多官能性化合物で架橋させて、現像液に難溶もしくは不溶とすることにより得られる光剥離型感光層も用いられる。
【0043】
また、光不溶化型感光層としては、光重合性感光層、光架橋型感光層、およびジアゾ樹脂とバインダー樹脂等からなる感光層が挙げられる。
【0044】
前述のo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1つのo−キノンジアジド基、好ましくはo−ベンジキノンジアジド基またはo−ナフトキノンジアジド基を有する化合物であって、種々の構造の公知の化合物、例えばジェイ・コサー著「ライトセンシティブシステムズ」(ジョン・ウィリィ・アンド・サンズ社 1965年発行)第339頁〜第353頁に記載されている化合物を包含する。例えば、種々のヒドロキシル化合物とベンゾキノン−1,2−ジアジドスルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジドスルホン酸等とのエステルが挙げられる。用いられるヒドロキシル化合物としては、フェノール、クレゾール、ピロガロール等のフェノール類とホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン等のカルボニル基含有化合物との縮合樹脂に、特に、酸性触媒下での縮合により得られる樹脂が挙げられる。
【0045】
ジアゾ化合物の無機酸や有機酸とのコンプレックスとしては、例えば、ジアゾフェニルアミンとリンタングステン酸との感光性コンプレックス等が挙げられる。
【0046】
また、酸発生剤および酸分解性基をもつ化合物を含む感光層の酸分解性基をもつ化合物としては、例えば、オルトカルボン酸エステルおよびアセタール等が挙げられる。このタイプの感光層組成物は、例えば西ドイツ国特許第2610842号明細書(=米国特許第4101323号明細書)、西ドイツ国特許第2718254号明細書(=米国特許第4247611号明細書)、欧州特許出願公開第0022571号明細書(=米国特許第4311782号明細書)に記載されている。
【0047】
光重合性感光層は少なくとも(1)少なくとも1個の光重合可能なエチレン性不飽和基を含むモノマー、オリゴマーまたはマクロモノマー、(2)光重合開始剤および(3)フィルム形成能を有する高分子化合物を含む。
【0048】
成分(1):少なくとも1個の光重合可能なエチレン性不飽和基を含むモノマー、オリゴマーまたはマクロマー
【0049】
本発明に用いることのできる上記モノマー、オリゴマーまたはマクロマーとしては、例えば、
▲1▼アルコール類(例えば、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、グリセリン、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリエチレングリコール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール等、更にグリセリン、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、またはそれらの混合付加物)のアクリル酸またはメタクリル酸部分エステル、
▲2▼アミン類(例えば、エチルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、キシリレンジアミン、エタノールアミン、アニリン、特開平6−118629号公報に記載されているオキシエチレンジアミン類やオキシプロピレンジアミン類、特願平6−328730号に記載されているキシリレンジアミンとエチレンオキシドとの付加物等)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルまたはアリルグリシジルとの反応生成物、
▲3▼カルボン酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸等)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルまたはアリルグリシジルとの反応生成物、
▲4▼アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、キシリレンジアクリルアミド等)、
▲5▼スチレン誘導体(例えば、p−ヒドロキシスチレン、p−メチロールスチレン等)、
などを挙げることができる。
【0050】
さらに具体的には、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート、米国特許第4540649号明細書に記載のN−メチロールアクリルアミド誘導体を挙げることができる。さらに、日本接着剤協会Vol.20、No. 7、300〜308ページ(1984年)等に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして記載されているもの、 P.Dreyfuss & R.P.Quirk, Encycl.Polym.Sci.Eng., 7,551(1987)、化学工業,38,56(1987)、高分子加工,35,262,(1986)等に記載されているマクロモノマーも使用することができる。ただし、これらに限定されるものではなく、多官能モノマーにおいて、不飽和基はアクリル、メタクリル、アリル、ビニル基等が混在して存在していてもよい。また、これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。その使用量は、光重合性感光層の総固形分重量に対して、5〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量%である。
【0051】
成分(2):光重合開始剤
本発明に用いられる光重合開始剤としては、増感系、非増感系を問わず、光によりラジカルを発生する化合物であればよい。代表的な例として次のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
(イ)ベンゾフェノン誘導体、例えば、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、ジエチルアミノベンゾフェノン、キサントン、アンスロン、チオキサントン、アクリドン、2−クロロアクリドン、2−クロロ−N−n−ブチルアクリドン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン等、
(ロ)ベンゾイン誘導体、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等、
(ハ)キノン類、例えば、p−ベンゾキノン、β−ナフトキノン、β−メチルアントラキノン等、
(ニ)イオウ化合物、例えば、ジベンジルジサルファイド、ジ−n−ブチルジサルファイド等、
(ホ)アゾあるいはジアゾ化合物、例えば、2−アゾビスイソブチロニトリル、1−アゾ−ビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、p−ジアゾベンジルエチルアニリン、コンゴーレッド等、
(ヘ)ハロゲン化合物、例えば、四臭化炭素、臭化銀、α−クロロメチルナフタリン、トリハロメチル−s−トリアジン系化合物、トリハロメチルオキサジアゾール系化合物等、
(ト)過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル等、
を挙げることができる。
【0053】
これらは単独で用いてもよく、組み合わせで用いてもよい。これらの光重合開始剤の添加量は全光重合性感光層組成物に対して0.1〜25重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0054】
成分(3):フィルム形成能を有する高分子化合物
本発明に用いられるフィルム形成能を有する高分子化合物としては、次のようなポリマー、コポリマーを使用することができる。
【0055】
i)ビニルポリマー、例えばポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等、およびこれらのコポリマー。
【0056】
ii)(メタ)アクリル酸エステルポリマーおよびアルキル(メタ)アクリルアミドポリマー、例えばポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリt−ブチルアクリルアミド、ポリジアセトンアクリルアミド等、およびこれらのコポリマー。
【0057】
iii )未加硫ゴム、例えば天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリネオプレン等、およびこれらのコポリマー。
【0058】
iv)ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等。
【0059】
v)ポリアミド、次に示すモノマー類のコポリマー、例えば、カプロラクタム、ラウロラクタム、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス−アミノシクロヘキシルメタン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジグリコール類、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等。
【0060】
vi)ポリエステル、例えばテレフタル酸、アジピン酸等とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール等との縮合物。
【0061】
vii )ポリウレタン、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等とエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエステルとのポリウレタン。また、鎖延長剤としてイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を用いてもよい。
【0062】
更に、フィルム形成能を有する高分子化合物として、側鎖に光重合可能なまたは光架橋可能なオレフィン性不飽和二重結合基を有する高分子化合物を使用することができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いてもよく、組み合わせで用いてもよい。
【0063】
高分子化合物は全光重合性感光層組成物に対して、10〜90重量%、好ましくは25〜75重量%で含有させることができる。
【0064】
その他の成分
以上の他に更に熱重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えばハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用であり、場合によっては感光層の着色を目的として染料もしくは顔料および焼きだし剤としてpH指示薬やロイコ染料を添加することもできる。目的によっては更に感光層中に少量のポリジメチルシロキサン、メチルスチレン変性ポリジメチルシロキサン、オレフィン変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、シランカップリン剤、シリコーンジアクリレート、シリコーンジメタクリレート等のシリコーン化合物を添加してもよい。塗布性向上のためにシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤を添加してもよい。更に感光層と後述のプライマー層との接着性を改善させるためにジアゾ樹脂を添加してもよい。その他、塗膜に柔軟性を付与するための可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、燐酸トリクレジル等)、安定剤(例えば、燐酸等)を添加してもよい。これらの添加剤の添加量は通常全光重合性感光層組成物に対して10重量%以下である。場合によっては(メタ)アクリロイル基やアリル基含有シランカップリング剤で処理した疎水性シリカ粉末を感光層組成物に対して10重量%以下の量添加してもよい。
【0065】
また、光架橋型感光層としては、例えば、重合体の主鎖または側鎖に感光基として−CH=CH−CH−CO−を含むポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類のような感光性重合体を主成分とするものが挙げられる。このようなものとしては、例えば、特公昭55−22781号、特開昭55−40415号等に記載されているようなフェニレンジアクリル酸またはそのエステルと多価アルコールとの重縮合反応により得られる感光性ポリエステル類、特開昭64−35547号に記載されているようなマレイミド基を側鎖に有するビニルポリマー類、米国特許第2956878号明細書中に記載されているようなシンナミリデンマロン酸等の(2−プロペニリデン)マロン酸化合物および二官能性グリコール類から誘導される感光性ポリエステル類等がある。
【0066】
さらに、ジアゾ樹脂とバインダー樹脂等からなる感光層に用いられるジアゾ樹脂としては、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒドとの縮合物があり、このうち特に好ましいものとして、p−ジアゾジフェニルアミンとホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとの縮合物の塩、例えば、ヘキサフルオロ燐酸塩、テトラフルオロほう酸塩、過塩素酸塩または過ヨウ素酸塩と前記縮合物との反応生成物であるジアゾ樹脂無機塩や、米国特許第3200309号明細書中に記載されているような、前記縮合物とスルホン酸類の反応生成物であるジアゾ樹脂有機塩等が挙げられる。本発明のジアゾ樹脂の感光層中に占める割合は、20〜95重量%で、好ましくは35〜80重量%である。
【0067】
バインダー樹脂としては種々の高分子化合物が使用できるが、好ましくは特開昭54−98613号に記載されているような芳香族性の水酸基を有する単量体、例えば、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−,m−またはp−ヒドロキシスチレン、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニルメタクリレート等と他の単量体との共重合体、米国特許第4123276号明細書中に記載されているようなヒドロキシエチル(メタ)アクリレート単位を主たる繰り返し単位として含むポリマー、特開平3−158853号に記載されているようなフェノール性水酸基を有するモノマー単位とアルコール性水酸基を有するモノマー単位とを有する共重合樹脂、シェラックまたはロジン等の天然樹脂、ポリビニルアルコール、米国特許第3751257号明細書中に記載されているようなポリアミド樹脂、米国特許第3660097号明細書中に記載されているような線状ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコールのフタレート化樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから縮合されたエポキシ樹脂、セルロースブチレートおよびセルロースアセテート等のセルロール類が用いられる。
【0068】
上記の光架橋型感光層やジアゾ樹脂を用いた感光層においても、染料、界面活性剤、可塑剤、安定剤等を添加することができる。
【0069】
本発明に用いる上述の感光層組成物は、例えば、水、2−メトキシエタノール、2−メトキシエチルアセテート、プロピレングリコールメチルエチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等の適当な溶剤の単独またはこれらの混合溶媒に溶解して、基板上に塗布される。その塗布重量は乾燥後の重量で0.1〜20g/m2の範囲が適当であり、好ましくは0.5〜10g/m2の範囲である。
【0070】
次に基板について説明する。
[基板]
本発明の水なし平版印刷版は通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従って、代表的な基板としては、コート紙、アルミニウムのような金属板、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチックフィルム、ゴムあるいはそれらを複合させたもの(例えば、紙の上下をアルミニウムで挟んだ複合板)を挙げることができ、より好ましくはアルミニウムおよびアルミニウム含有(例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアルミニウムとの合金)合金である。
【0071】
このようなアルミニウム板の表面の圧延油を除去するために、酸水溶液のシャワーリングまたは浸漬等による脱脂処理が行われる。このとき用いられる酸は金属洗浄用の酸として知られているものであれば何でもよいが、好ましくは硫酸または燐酸である。またこの酸処理の後、適当な時間水洗することが好ましい。脱脂処理の後、直接感光層などの塗膜を設けてもよいが、更に砂目立て、陽極酸化、珪酸ナトリウムまたは珪酸カリウムなどの珪酸塩の水溶液による処理(「シリケート処理」とも言う)といった表面処理を行ってもよい。なかでもシリケート処理することが好ましい。更に塗膜との密着性を向上させる目的でこの支持体をシランカップリング剤で表面処理することもできる。
【0072】
さらに、本発明の水なし平版印刷版においては支持体と感光層との間にプライマー層を設けてもよい。次にプライマー層について説明する。
【0073】
[プライマー層]
本発明に用いられるプライマー層としては、基板と光重合性感光層間の接着性向上、ハレーション防止、画像の染色や印刷特性向上のために種々のものを使用することができる。例えば、特開昭60−22903号公報に開示されているような種々の感光性ポリマーを感光層を積層する前に露光して硬化せしめたもの、特開昭62−50760号公報に開示されているエポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開昭63−133151号公報に開示されているゼラチンを硬膜せしめたもの、更に特開平3−200965号公報に開示されているウレタン樹脂とシランカップリング剤を用いたものや特開平3−273248号公報に開示されているウレタン樹脂を用いたもの等を挙げることができる。この他、ゼラチンまたはカゼインを硬膜させたものも有効である。更に、プライマー層を柔軟化させる目的で、前記のプライマー層中に、ガラス転移温度が室温以下であるポリウレタン、ポリアミド、スチレン/ブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル/ブタジエンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリマーを添加してもよい。その添加割合は任意であり、フィルム層を形成できる範囲内であれば、添加剤だけでプライマー層を形成してもよい。また、これらのプライマー層には前記の目的に沿って、染料、pH指示薬、焼き出し剤、光重合開始剤、接着助剤(例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤やアルミニウムカップリング剤)、顔料(例えば、TiO2 )やシリカ粉末等の添加物を含有させることもできる。また、塗布後、露光によって硬化させることもできる。一般に、プライマー層の塗布量は乾燥重量で0. 1〜20g/m2の範囲が適当であり、好ましくは1〜10g/m2である。
【0074】
以上説明した水なし平版印刷版において、シリコーンゴム層の上には更に種々のインキ反撥層を塗工してもよい。また、光重合性感光層とシリコーンゴム層との間の接着力を上げる目的、もしくはシリコーンゴム層組成物中の触媒の被毒を防止する目的で、光重合性感光層とシリコーンゴム層との間に中間層を設けてもよい。
【0075】
更に、シリコーンゴム層の表面保護のために、シリコーンゴム層上に透明なフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン等をラミネートしたり、ポリマーのコーティングを施してもよい。これらのフィルムは延伸して用いてもよい。更に、このフィルムには画像露光時の焼き枠における真空密着性を改良するためマットを施してもよく、また、このフィルムの剥離性向上のためフィルムのシリコーンゴム層との接触面にコーティングを施してもよい。
【0076】
以上のように構成した本発明の水なし平版印刷版は所定の工程で処理されるが、次に処理方法について述べる。
【0077】
本発明の水なし平版印刷版は透明原画を通して露光した後、画像部(未露光部)の感光層の一部を溶解あるいは膨潤しうる現像液で現像される。
【0078】
本発明において用いられる現像液としては水なし平版印刷版の現像液として公知のものが使用できるが、水または水を主成分とする水溶性有機溶剤の水溶液が好ましい。安全性および引火性等を考慮すると水溶性溶剤の濃度は40重量%未満が望ましく、特に水のみによる現像が望ましい。公知のものとしては、例えば脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、“アイソパーE、G、H”(エッソ化学(株)製)、あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)に下記の極性溶媒を添加したものや極性溶媒そのものが挙げられる。このような極性溶媒は、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート等)、その他、トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等である。
【0079】
また、上記有機溶剤系現像液に水を添加したり、上記有機溶剤を界面活性剤等を用いて水に可溶化したものや、更にその上にアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加したものや単に水(水道水、純水、蒸留水等)等が挙げられる。
【0080】
また、クリスタルバイオレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッドなどの染料を現像液に加えて、現像と同時に画像部の染色を行うことができる。
【0081】
現像は、例えば上記のような現像液を含む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこするなど、公知の方法で行うことができる。現像液温は任意の温度で現像できるが、好ましくは10℃〜60℃である。これにより画像部のシリコーンゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。
【0082】
このようにして得られた刷版は、その画像形成性を確認するため露出画像部を染色液で染色し、検知しうるようにできる。現像液に露出画像部の染色のための染料を含有しない場合には、現像後に染色液で処理される。染色液を柔らかいパッドにしみこませ、画像部を軽くこすることにより、感光層の露出した画像部のみが染色され、これによりハイライト部まで現像が十分に行われていることを確認できる。染色液としては、水溶性の分散染料、酸性染料および塩基性染料のうちから選ばれる1種または2種以上を水、アルコール類、ケトン類、エーテル類などの単独または2種以上の混合液に溶解または分散せしめたものが用いられる。染色性を向上させるために、カルボン酸類、アミン類、界面活性剤、染色助剤、消泡剤等を加えることも効果的である。
【0083】
染色液により染色された刷版は、次いで水洗し、その後乾燥することが好ましく、これにより非画像部や版裏面に付着した染料を取り除いたり、版面のべとつきを抑えることができ、刷版の取扱性を向上させることができる。
【0084】
また、このように処理された刷版を積み重ねて保管する場合には、刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくことが好ましい。
【0085】
以上のような現像処理と染色処理、またはそれに続く水洗、乾燥処理は、自動処理機で行うことが好ましい。このような自動処理機の好ましいものは、特開平2−220061号公報に記載されている。
【0086】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに示し、本発明を具体的に説明する。
【0087】
実施例1〜7、比較例1〜5
以下のようにして水なし平版印刷版を作った。
【0088】
[プライマー層]
通常の方法で脱脂した0. 3mm厚のJIS A 1050材アルミ板をアミノシランカップリング剤であるKBM603(信越化学(株)製)1重量%水溶液に浸漬させた後、室温で乾燥させた。このアルミ板上に乾燥重量で4g/m2となるように、下記のプライマー層を塗布し、140℃、2分間加熱し乾燥させた。
【0089】
【0090】
その後、ヌアーク社製 FT261V UDNS ULTRA−PLUS FLIPTOP PLATE MAKER 真空露光機を用いて、20カウント露光した。
【0091】
[感光層]
上記プライマー層を塗設したアルミ板上に、下記組成の光重合性感光液を、乾燥重量3g/m2となるように塗布し、120℃、1分乾燥した。
【0092】
【0093】
[シリコーンゴム層]
下記の縮合型シリコーンゴム組成液を調液後、10g サンプルを採り静置して、塗布液のゲル化開始時間を調べた。また、200g サンプルを採り攪拌しつつ、塗布液の粘度を測定した。残りのシリコーンゴム組成液で、上記光重合性感光層上に、乾燥重量2g/m2になるよう塗布し、130℃、2分間乾燥した。乾燥後、硬化したシリコーンゴム層のアイソパーG(溶媒:エッソ化学(株)製)での膨潤度を測定した。
【0094】
【0095】
上記のようにして得られたシリコーンゴム層の表面に厚さ12μm の片面マット化二軸延伸ポリプロピレンフィルムをマット化されていない面がシリコーンゴム層と接するようにラミネートし、水なし平版印刷版(表1のサンプル)を得た。
【0096】
【表1】
【0097】
これらの印刷版を各々1枚用意し、これを200線/インチの網点画像を有するポジフィルムと光学濃度差0. 15であるグレースケール(G/S)を重ね、ヌアーク社製 FT261V UDNS ULTRA−PLUS FLIPTOP PLATE MAKER 真空露光機を用いて50カウント露光した。その後、ラミネートフィルムを剥し、直ちに下記現像処理を行った。
【0098】
[現像処理]
印刷版を35℃の水に浸漬しつつ、現像パッドによりこすって、未露光部のシリコーンゴム層を除去した。引き続き、下記組成の染色液にて染色し、感度(G/Sクリア感度)、網点再現性(再現可能なハイライトの網点面積、単位:%)を評価した。結果を表2に示す。なお、表2にはシリコーンゴム塗布液のゲル化開始時間、粘度および膨潤度を併記する。
【0099】
【0100】
【表2】
【0101】
表2より、本発明の水なし平版印刷版は、良好なシリコーンゴム層塗布膜硬化性、感度、網点再現性を維持したまま、シリコーンゴム層塗布液の経時安定性が著しく良化することがわかる。
【0102】
なお、実施例1〜7の各々において、両末端に水酸基を有する線状オルガノポリシロキサンを、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(重合度約1400)、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン(重合度約300)に各々かえたサンプルを作り、同様に特性を調べたところ、実施例1〜7と同様の結果が得られた。
【0103】
また、上記の各実施例において、触媒を酢酸ブチル錫にかえたサンプルを作り、同様に特性を調べたところ、上記の実施例と同様の結果が得られた。さらに、以上の各実施例において、実施例1〜7で用いたもののほか、3官能または4官能の縮合型架橋剤として、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、2官能の縮合型架橋剤として、ジエチルジアセトキシシラン、メチルフェニルジアセトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランを用い、これらの架橋剤のなかの1種または2種以上を用い、以上のサンプルとは各化合物の組合せが異なる種々のサンプルを作り、同様に特性を調べたところ、同様の結果が得られた。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布液中での縮合によるポリシロキサンのゲル化を抑制し、シリコーンゴム層塗布液の経時安定性を向上させることができる。また、この塗布液を用いて膜質に優れたシリコーンゴム層を有する湿し水不要感光性平版印刷版が得られる。
Claims (1)
- 基板上に感光層とシリコーンゴム層とを積層した湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法であって、前記シリコーンゴム層を、(A)両末端に水酸基を有する線状オルガノポリシロキサンを100重量部、(B)下記一般式(I)で表される3官能または4官能の縮合型架橋剤を3〜40重量部、(C)触媒を0.01〜40重量部、(D)下記一般式(II)で表される2官能の縮合型架橋剤を成分(B)に対して重量比で0.1〜1.5、および(E)炭化水素系溶媒を100〜5000重量部含有し、成分(B)および成分(D)の合計含有量が60重量部以下である溶液を塗布することにより形成する湿し水不要感光性平版印刷版の製造方法。
一般式(I)
(R1 )p・Si・(X)q
〔一般式(I)において、R1 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。Xは−OCOR2 または−OR2 (ここでR2 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。)を表す。pは0または1、qは3または4であり、p+qは4である。〕
一般式(II)
(R7 )2 ・Si・(X)2
〔一般式(II)において、R7 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。Xは−OCOR8 または−OR8 (ここでR8 は炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基またはアリール基を表す。)を表す。〕
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