JP5659561B2 - 感光性シロキサン組成物、それから形成された硬化膜、および硬化膜を有する素子 - Google Patents
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一般式(1)で表されるオルガノシランにおいて、R3は、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15のアリール基のいずれかを表し、複数のR3はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。また、これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基はいずれも無置換体、置換体のどちらでもよく、組成物の特性に応じて選択できる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基が挙げられる。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、3−アクリロキシプロピル基、3−メタクリロキシプロピル基が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、p−ヒドロキシフェニル基、1−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル基、4−ヒドロキシ−5−(p−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基、ナフチル基が挙げられる。
フルオレン化合物は高耐熱、高透明の化合物であるとともに、エポキシ基などの反応基を有することで、フルオレン化合物同士で反応したり、ポリシロキサンと反応することで、硬化膜の架橋度が高くなり耐薬品性が向上する。
フルオレン化合物の添加量が5質量部より少ない場合、耐薬品性向上の効果が小さい。一方、フルオレン化合物の添加量が20質量部より多い場合、プリベークでも若干の架橋が起こり、感度が低下する。
一般式(5)で表される基を2個以上有する化合物において、R12は水素、炭素数1〜10のアルキル基のいずれかを表す。なお、化合物中の複数のR12はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−デシル基が挙げられる。
架橋剤の添加量は特に制限されないが、好ましくはポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲である。架橋剤の添加量が0.1質量部より少ないと、樹脂の架橋が不十分で効果が少ない。一方、架橋剤の添加量が10質量部より多いと、硬化膜の無色透明性が低下したり、組成物の貯蔵安定性が低下する。
DAA:ダイアセトンアルコール
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル。
アルミカップにポリシロキサン(アクリル樹脂)溶液を1g秤取し、ホットプレートを用いて250℃で30分間加熱して液分を蒸発させた。加熱後のアルミカップに残った固形分を秤量して、ポリシロキサン(アクリル樹脂)溶液の固形分濃度を求めた。
重量平均分子量はGPC(Waters社製996型デテクター、展開溶剤:テトラヒドロフラン、)にてポリスチレン換算により求めた。
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを54.48g(0.4mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、ダイアセトンアルコール(以下、DAAと略する)を163.35g仕込み、室温で攪拌しながら水54gにリン酸0.535g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(a)を得た。なお、加熱攪拌中、窒素を0.05l(リットル)/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサン溶液(a)の固形分濃度は40質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は6500であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基含有率はSi原子に対して50モル%であった。
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを40.86g(0.3mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.5mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを12.32g(0.05mol)、Mシリケート51(多摩化学工業(株)製)を17.63g(シラン原子モル数で0.15mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略する)を153.66g仕込み、室温で攪拌しながら水53.55gにリン酸0.51g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(b)を得た。なお、加熱攪拌中、窒素を0.05l(リットル)/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサン溶液(b)の固形分濃度は40質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は10000であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基含有率はSi原子に対して50モル%であった。
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを88.53g(0.65mol)、フェニルトリメトキシシランを49.58g(0.25mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを24.64g(0.1mol)、DAAを144.83g仕込み、室温で攪拌しながら水54gにリン酸0.081g(仕込みモノマーに対して0.05質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(c)を得た。なお、加熱攪拌中、窒素を0.05l(リットル)/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサン溶液(c)の固形分濃度は40質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は9000であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基含有率はSi原子に対して25モル%であった。
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを20.43g(0.15mol)、フェニルトリメトキシシランを158.64g(0.8mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを12.32g(0.05mol)、DAAを179.54g仕込み、室温で攪拌しながら水54gにリン酸0.383g(仕込みモノマーに対して0.2質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから3時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(d)を得た。なお、加熱攪拌中、窒素を0.05l(リットル)/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサン溶液(d)の固形分濃度は40質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は7000であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基含有率はSi原子に対して80モル%であった。
500mlの三口フラスコにメチルトリメトキシシランを68.10g(0.5mol)、フェニルトリメトキシシランを99.15g(0.5mol)、DAAを149.91g仕込み、室温で攪拌しながら水54gにリン酸0.502g(仕込みモノマーに対して0.3質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて30分攪拌した後、オイルバスを30分かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液(e)を得た。なお、加熱攪拌中、窒素を0.05l(リットル)/min流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計120g留出した。得られたポリシロキサン溶液(e)の固形分濃度は40質量%、ポリシロキサンの重量平均分子量は6500であった。なお、ポリシロキサン中のフェニル基含有率はSi原子に対して50モル%であった。
500mlのフラスコに2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を5g、PGMEAを150g仕込んだ。その後、メタクリル酸を27g、ベンジルメタクリレートを38g、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルメタクリレートを35g仕込み、室温でしばらく攪拌し、フラスコ内を窒素置換した後、70℃で5時間加熱攪拌した。次に、得られた溶液にメタクリル酸グリシジルを15g、ジメチルベンジルアミンを1g、p−メトキシフェノールを0.2g添加し、90℃で4時間加熱攪拌し、アクリル樹脂溶液(a)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(a)の固形分濃度は43質量%、アクリル樹脂の重量平均分子量は31400であった。
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.23g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(a)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.87g(0.1mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン11.13g(0.11mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(b)を得た。
乾燥窒素気流下、Ph−cc−AP−MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(c)を得た。
合成例1で得られたポリシロキサン溶液(a)25.51g、合成例9で得られたキノンジアジド化合物(c)0.92g、フルオレン化合物として9,9−ビス〔4−グリシジルオキシエチルオキシフェニル〕フルオレン1.02g、シランカップリング剤としてKBM303(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、商品名、信越化学工業(株)製)0.20g、架橋促進剤としてCGI−MDT(商品名、チバジャパン(株)製)0.10g、増感剤としてDPA(9,10−ジプロポキシアントラセン、商品名、川崎化成工業(株)製)0.05g、溶剤としてDAA3.44g、PGMEA18.75gを黄色灯下で混合、攪拌して均一溶液とした後、0.2μmのフィルターで濾過して組成物1を製造した。なお、架橋促進剤として用いたCGI−MDTは下記に示した構造の化合物である。
ラムダエースSTM−602(商品名、大日本スクリーン製)を用いて、屈折率1.50で測定を行った。
残膜率は以下の式に従って算出した。
残膜率(%)=現像後の未露光部膜厚÷プリベーク後の膜厚×100。
露光、現像後、10μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(以下、これを最適露光量という)を感度とした。
最適露光量における現像後の最小パターン寸法を現像後解像度、キュア後の最小パターン寸法をキュア後解像度とした。
組成物をアルミセルに約100mg入れ、熱重量測定装置(TGA−50、(株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分で300℃まで加熱し、そのまま1時間加熱硬化させ、その後昇温速度10℃/分で400℃までで昇温した時の、重量減少率を測定した。300℃に到達したときの重量を測定し、さらに400℃に到達した時の重量を測定し、300℃時の重量との差を求め、減少した重量分を重量減少率として求めた。
MultiSpec−1500(商品名、(株)島津製作所)を用いて、まずOA−10ガラス板のみを測定し、その紫外可視吸収スペクトルをリファレンスとした。次にOA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、このサンプルをシングルビームで測定し、3μmあたりの波長400nmでの光透過率を求め、リファレンスとの差異を硬化膜の光透過率とした。
OA−10ガラス板上に組成物の硬化膜を形成(パターン露光は行わない)し、その硬化膜に1mm間隔にてカッターナイフで10×10のマス目を作製した。その後、ITOエッチング液(塩酸/塩化カリウム/水=6/8/84(重量比))に50℃×300秒浸漬した。その後、マス目上にセロハンテープを貼り付け、剥がした時のマス目上の硬化膜の剥がれ率が、0%:◎、5%以下:○、5〜35%:△、35%以上:×とした。
組成物2〜11を表1に記載の組成の通りに、組成物1と同様にして製造した。なお、シランカップリング剤として用いたKBM403(商品名、信越化学工業(株)製)、架橋剤として用いたニカラックMX−270、ニカラックMW−30HM(商品名、三和ケミカル(株)製)は下記に示した構造の化合物である。
Claims (4)
- (a)一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)一般式(2)で表されるフルオレン化合物を含有し、前記(d)フルオレン化合物の含有量が、前記(a)ポリシロキサン100質量部に対して5〜20質量部であることを特徴とする感光性シロキサン組成物。
- (a)一般式(1)で表されるオルガノシランの1種以上を反応させることによって合成されるポリシロキサン、(b)キノンジアジド化合物、(c)溶剤、および(d)一般式(2)で表されるフルオレン化合物を含有することを特徴とする感光性シロキサン組成物。
- 請求項1または2記載の感光性シロキサン組成物から形成された硬化膜であって、波長400nmにおける膜厚3μmあたりの光透過率が90%以上である硬化膜。
- 請求項3記載の硬化膜を具備する素子。
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