JP4639813B2 - 液圧制御装置および作動特性取得装置 - Google Patents
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Description
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、(iv)その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部とを含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって前記データ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その漏れが検出された際に取得されたデータ対を使用しないで、前記作動特性を取得する部分を含むものとされる。
その電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった瞬間の供給電流である開閉作動電流と前後の差圧との関係である作動特性を取得する作動特性取得装置と、
その作動特性取得装置によって取得された作動特性を記憶する記憶部と、
その記憶部に記憶された前記作動特性取得装置によって取得された作動特性に基づいて、前記コイルへの供給電流を制御することによって、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧を制御する供給電流制御装置と
を含む液圧制御装置であって、
前記作動特性取得装置が、前記作動特性を取得する際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部を含むことを特徴とする液圧制御装置。
本項に記載の液圧制御装置においては、電磁制御弁のコイルへの供給電流の制御により高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧が制御される。コイルへの供給電流の制御は、作動特性取得装置によって取得された作動特性に基づいて制御される。作動特性は、電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった瞬間の前後の差圧と供給電流である開閉作動電流との関係で表される。開閉作動電流は、電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わった瞬間の供給電流としても開状態から閉状態に切り換わった瞬間の供給電流としてもよい。
また、作動特性を取得する際に、電磁制御弁における漏れの有無が検出される。漏れがある場合には、実際には電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わっていなくても、開状態に切り換わったと誤って検出されることがあり、真の作動特性に近い特性を取得することができない。それに対して、作動特性が漏れ検出部による検出結果を考慮して取得されるようにすれば、考慮しない場合に比較して、電磁制御弁の真の作動特性に近い特性を取得することができ、作動特性に基づく供給電流の制御による液圧の制御精度を向上させることができる。
例えば、漏れが有ることが検出された場合には、その際に取得されたデータ対(開閉作動電流と前後の差圧とから成る)が作動特性の作成の際に使用されないようにしたり(例えば、取得されたデータ対が無視されたり、一旦記憶されたデータ対が消去されたりするようにすること等が該当する)、データ対を構成する前後の差圧と開閉作動電流値との少なくとも一方が補正されたりするようにすること等ができる。
また、作動特性が作成されないようにしたり、作成された作動特性が修正されたり、作成された作動特性が無効であるとされたりするようにすること等もできる。
さらに、漏れが有ることが検出された場合に、データ対が取得されないようにすることもできる。そのようにすれば、漏れの影響を含むデータ対が取得されることを未然に防止することができる。また、漏れ解消制御が行われるようにすることができる。漏れ解消制御が行われた後にデータ対が取得されるようにすれば、漏れの影響を含まないデータ対を取得することができる。
(2)前記作動特性取得装置が、前記コイルへの供給電流を制御することにより、互いに異なる複数の開閉作動電流と前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、そのデータ対取得部によって取得された複数のデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部とを含む(1)項に記載の液圧制御装置。
データ対取得部は、電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧を検出する液圧検出部と、高圧側と低圧側との少なくとも一方の側における作動液の流れの状態を検出する流れ状態検出部との少なくとも一方を含み、コイルへの供給電流の制御状態において液圧の変化や流れの状態の変化が検出される。そして、液圧の変化や流れの状態の変化に基づいて、電磁制御弁が開閉させられたことが検出された場合に、その時点の前後の差圧が検出されるとともに、供給電流量が取得されて、データ対が取得される。前後の差圧は、高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさであるが、電磁制御弁の高圧側と低圧側とのいずれか一方の液圧は、ほぼ一定で、かつ、予めわかっていることがある。その場合には、高圧側と低圧側との他方の側の液圧を検出すれば、前後の差圧を検出することができる。作動特性は、そのように取得された複数のデータ対に基づいて取得される。作動特性は少なくとも2つの互いに異なるデータ対に基づいて作成することができるが、3つ以上の互いに異なるデータ対に基づいて作成することが望ましい。
電磁制御弁のコイルへの供給電流は、閉状態にある電磁制御弁が開状態に切り換わるように制御されたり、開状態にある電磁制御弁が閉状態に切り換わるように制御されたりする。供給電流は漸増させられる場合と漸減させられる場合とがある。
例えば、電磁制御弁のコイルへの供給電流が上述のように制御される状態において、液圧検出部によって検出された液圧の変化勾配が設定値以上変化した場合(例えば、変化勾配が0とみなし得る大きさから設定値以上になった場合、変化勾配が設定値以上の状態から0とみなし得る大きさになった場合等が該当する)には、電磁制御弁が開状態と閉状態との間で切り換えられたと考えることができる。また、流れ状態検出部によって、作動液の流れ始め、流れの終わりが検出された場合に、電磁制御弁が開状態と閉状態とで切り換えられたと考えることができる。
なお、以下、本明細書において、作動特性の取得および漏れの検出において、液圧の変化と作動液の流れの状態の変化とは同じ現象であると考える。閉空間(大気から遮断された空間)においては、作動液の流れに伴って液圧が変化するからである。
(3)前記漏れ検出部が、前記データ対取得部による前記データ対の取得毎に漏れを検出するデータ対取得時漏れ検出部を含む(2)項に記載の液圧制御装置。
漏れの有無は、データ対の取得前に検出されても、取得後に検出されてもよい。
データ対の取得前に漏れが有ると検出された場合に、データ対が取得されないようにしたり、漏れ解消制御が行われ、漏れ解消制御が行われた後にデータ対が取得されるようにしたりすれば、漏れの影響を含むデータ対が取得されることを未然に防止することができる。また、電磁制御弁の開閉作動の判定しきい値が変更されるようにすれば、漏れを考慮して、データ対を取得することができる。さらに、取得されたデータ対を構成する前後の差圧と供給電流量との少なくとも一方を補正し、補正されたデータ対に基づいて作動特性が作成されるようにすることもできる。
データ対の取得後に漏れが有ると検出された場合、すなわち、データ対の取得時に漏れが有ったと考えられる場合には、そのデータ対が無効であるとしたり、データ対を構成する少なくとも一方のデータを補正したりすること等ができる。
(4)前記作動特性取得部が、前記データ対検出部によってデータ対が検出された際に、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対を無視し、前記漏れが検出されない場合に検出されたデータ対に基づいて前記作動特性を取得する漏れ無しデータ対応作動特性取得部を含む(2)項または(3)項に記載の液圧制御装置。
このように、データ対が検出された際に漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対が無視されるため、漏れが有ると検出された場合に取得されたデータ対が作動特性が取得される場合に使用されることがない。したがって、漏れがない状態で取得されたデータ対に基づいて作動特性を取得することが可能となり、電磁制御弁の真の作動特性に近い特性を取得することができる。
(5)前記作動特性取得部が、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、前記データ対取得部によって検出されたデータ対を構成する前後の差圧と開閉作動電流との少なくとも一方を補正し、その補正されたデータ対に基づいて前記作動特性を取得する補正データ対応作動特性取得部を含む(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
例えば、異物等が介在するとそれに起因して作動液が流れ、実際には、電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わっていなくても、閉状態から開状態に切り換わったと誤って検出されることがある。また、実際には、開状態から閉状態に切り換わったはずであるにも係わらず、閉状態のままであるとされることがある。したがって、データ対が電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わる際に取得される場合においては、開状態に切り換わったことが実際より早い時期に検出され、開状態から閉状態に切り換わる際に取得される場合においては、閉状態に切り換わったことが実際より遅い時期に検出される。これらを考慮すれば、供給電流と前後の差圧との少なくとも一方を、真に開閉させられた時期の大きさに補正することができる。
(6)前記作動特性取得部が、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合には、作成された作動特性を補正する作動特性補正部を含む(2)項ないし(5)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
作動特性を補正すれば、電磁制御弁の真の作動特性に近い特性を取得することができる。
(7)前記供給電流制御装置が、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、前記電磁制御弁における漏れが解消されるように、前記コイルへの供給電流を制御する漏れ解消制御部を含み、前記データ対取得部が、前記漏れ解消制御部による漏れ解消制御が行われた後に、前記コイルへの供給電流を制御して、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得する手段を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
(8)前記漏れ解消制御部が、前記コイルへの供給電流を、前記電磁制御弁の開度が設定開度以上となる大きさとする開度拡大部を含む(7)項に記載の液圧制御装置。
電磁制御弁の開度が設定開度以上である場合には設定開度より小さい場合より、前後の差圧が同じ場合に、電磁制御弁に大きな流量で作動液を流すことができ、異物を良好に除くことができる。また、電磁制御弁が弁子と弁座とを含むシーティング弁である場合に、弁子の弁座に対する相対姿勢を正規の姿勢に正すことができる。電磁制御弁が常閉弁である場合には、開度が設定開度となる供給電流である設定値以上の電流が供給され、電磁制御弁が常開弁である場合には、設定値以下の電流が供給される。
なお、開度が最大となる大きさの電流が供給されるようにすることもできる。このようにすれば、より確実に異物を除去することができる。
また、設定開度以上の状態が第1設定時間以上保たれるようにすれば、異物をより確実に除去することができる。さらに、設定開度以上の状態が保たれる時間を第2設定時間以下とすれば、漏れ解消制御による電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧変化を小さくすることができる。これらの事情を考慮して、設定開度以上の状態を保持する時間を決定することが望ましい。
(9)前記漏れ検出部が、前記電磁制御弁のコイルへの電流の制御状態と、前記高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧の変化状態とに基づいて前記漏れの有無を検出する検出部を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
漏れがない場合において、電磁制御弁の開状態においては(例えば、常閉弁である場合において、開弁電流以上の電流が供給された状態においては)、電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧は、供給電流の変化勾配に応じた勾配で変化する。また、電磁制御弁の閉状態において供給電流が一定に保たれる場合には、定常状態において、高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧はほぼ一定に保たれる。厳密いえば、実施例において説明するように、ブレーキシリンダの液圧はキャリパの膨張等に起因して変化するが、漏れに起因する変化に比較して小さいため、ほぼ一定に保たれると考えることもできる。
それに対して、漏れがある場合には、少なくとも一方の側の液圧が、供給電流の変化勾配に応じて変化しなかったり、供給電流が一定に保たれているにも係わらず変化したりする。これらの事情に基づけば、漏れを検出することができる。
(10)前記漏れ検出部が、前記コイルへの供給電流が漸変させられることにより前記電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わった後における、前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧の変化に基づいて前記漏れの有無を検出する開状態漏れ検出部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
本項に記載の液圧制御装置において、コイルへの供給電流は予め定められた規則に従って変化させられるようにすることが望ましい。漏れがない場合に、供給電流の変化に応じて液圧がどのように変化するかが予めわかればよい。しかし、供給電流が一定の勾配で変化させられるようにした方が漏れの検出において望ましい。
(11)前記漏れ検出部が、前記コイルに一定の大きさの電流が供給されている状態における前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧が予め定められた設定液圧以上変化した場合に、漏れが有ると検出する保持状態漏れ検出部を含む(1)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
例えば、電磁制御弁の高圧側、低圧側の少なくとも一方の側の液圧が、漏れ判定時間内に漏れ判定しきい値以上変化した場合には、漏れが有るとすることができる。
(12)前記閉状態漏れ検出部が、前記電磁制御弁の漏れが大きい状態を検出する大漏れ検出部と、前記電磁制御弁の漏れが小さい状態を検出する小漏れ検出部との少なくとも一方を含む(11)項に記載の液圧制御装置。
漏れが大きい状態は、電磁制御弁を流れる作動液の流量が第1設定流量以上の状態であり、漏れが小さい状態は、作動液の流量が第2設定流量以下の状態である。流量が大きい場合は小さい場合より、設定時間内に流れる作動液の量が大きくなり、高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧の変化量が大きくなる。
例えば、電磁制御弁への供給電流が一定の大きさに保持された状態において、漏れ判定時間内に液圧変化量が漏れ判定しきい量以上である場合に、漏れが有るとされる場合において、漏れが大きい場合は小さい場合より、漏れ判定しきい量が同じである場合に、漏れ判定時間が短くても検出できる。
具体的には、供給電流が一定の大きさに保持されている状態において、第1設定時間が経過した場合と、第1設定時間より長い第2設定時間が経過した場合との少なくとも2回漏れが検出されるようにすることができる。第1設定時間の経過後と、第2設定時間の経過後とで、漏れ判定しきい値が同じ大きさにされた場合において、漏れが大きい場合は、第1設定時間が経過した場合に検出できるのであり、早期に検出することができる。漏れが小さい場合は、第1回目には検出できないが、第2回目には検出できる。このように、1回目に大きな漏れが検出され、2回目に小さな漏れが検出されるように、漏れ判定時間、漏れ判定しきい値を設定すれば、大きな漏れをより早期に検出し、小さな漏れでも確実に検出することが可能となる。
(13)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能に設けられた弁子とを含むとともに、前記電磁駆動力が前記弁子を前記弁座に着座させる向きに作用する常開弁であり、前記漏れ検出部が、前記電磁駆動力が最大値より小さくされた状態で、前記漏れの有無を検出する押付力低下時漏れ検出部を含む(1)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
弁子を弁座に押し付ける力が小さい場合は大きい場合より異物に起因する漏れが生じ易くなる。そのため、漏れを検出する際には、押し付け力を小さくすることが望ましい。
また、電磁制御弁を閉状態から開状態に切り換える際に、供給電流が小さくされる場合には、供給電流が大きい状態から漸減を開始させるより、小さい状態から漸減を開始させる方が開状態に至るまでの時間を短くすることができる。
電磁駆動力の最大値は、当該電磁制御弁へ最大の電流が供給された場合に出力される電磁駆動力の大きさであり、最大の電流は、電磁制御弁の諸言によって決まる許容される最大の電流である。
また、漏れの有無は、電磁駆動力が、最大値より小さく、その時点の前後の差圧で決まる電磁制御弁を閉状態に保つのに必要な最小の電磁駆動力(開弁電流に対応する電磁駆動力であり、以下、開弁対応電磁駆動力と称する)より大きい状態で検出される。
上述の漏れの有無が検出される場合の電磁駆動力は、最大の電磁駆動力と開弁対応電磁駆動力との中間の大きさとされるが、最大の電磁駆動力と開弁対応電磁駆動力との中間値より開弁対応電磁駆動力に近い大きさとしたり、これらの間の1/3より開弁対応電磁駆動力に近い大きさとしたり、これらの間の1/4より開弁対応電磁駆動力に近い大きさとしたりすることができる。
また、漏れの有無が検出される場合の電磁駆動力は、開弁対応電磁駆動力Fopenに最大の電磁駆動力Fmaxに係数γ(γ<1)を掛けた値(Fmax・γ)を加えた大きさ(Fopen+Fmax・γ)以下とすることができる。この場合において、係数γは0.2以下、0.15以下、0.1以下、0.07以下、0.05以下、0.02以下とすることが望ましい。
(14)前記供給電流制御装置が、前記コイルへの供給電流を最大値とする最大電流供給部と、その最大値より小さい値とする中間電流供給部とを含み、前記漏れ検出部が、前記中間電流供給部によって前記電磁制御弁への供給電流が制御されている場合に、前記漏れの有無を検出する中間電流供給時漏れ検出部を含む(13)項に記載の液圧制御装置。
最大電流供給部によって最大の電流が供給されることにより、弁子の弁座への押付力を大きくすれば、弁子を弁座に確実に着座させることができる。また、弁子と弁座との間に異物が介在していた場合に、その異物を切断すること等が可能となる。
そして、中間電流供給時漏れ検出部によって中間の電流が供給される状態で、漏れの有無が検出される。
例えば、最大電流供給部によって供給電流が最大の状態が予め定められた設定時間保持された後に、中間電流供給部によって供給電流が中間の大きさとされ、供給電流が中間の大きさである場合に、漏れが検出されるようにすることができる。
(15)前記電磁制御弁が、車両の車輪と共に回転するブレーキ回転体に摩擦部材をブレーキシリンダの液圧により押し付けることにより前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキの前記ブレーキシリンダの液圧を制御可能な液圧制御弁であり、前記作動特性取得装置が、前記作動特性を取得するのに先だって、前記ブレーキシリンダの液圧を予め定められた設定圧以上として、前記摩擦部材とブレーキ回転体との間のクリアランスを小さくするクリアランス減少部を含む(1)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
ブレーキシリンダの液圧を設定圧以上とすれば、摩擦部材とブレーキ回転体との間のクリアランスを小さくすることができる。設定圧は、クリアランスが0となる大きさとすることができるが、0にならなくても小さくなる大きさとすればよい。
また、ブレーキシリンダの液圧を上記設定圧より大きい液圧まで増加させた後に、上記設定圧まで戻すことができる。液圧ブレーキにおいて、摩擦等により、ブレーキシリンダの液圧を増加させても、それに伴って摩擦部材がブレーキ回転体に接近するとは限らないからである。
(16)前記作動特性取得装置が、前記コイルへの供給電流を制御することにより、互いに異なる複数の開閉作動電流と前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、そのデータ対取得部によって取得された複数のデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部とを含むとともに、その作動特性取得部が、複数の前記データ対の相関関係の度合いを表す相関係数の絶対値が設定値以上である場合に、前記複数の前記データ対に基づいて前記作動特性を取得する相関係数勘案決定部を含む(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。
電磁制御弁の種類によって、前後の差圧と開閉作動電流との関係が正の相関を示す場合と負の相関を示す場合とがある。いずれにしても相関係数の絶対値が大きい場合は小さい場合より作動特性を正確に取得することができる。
(17)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって前記データ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その漏れが検出された際に取得されたデータ対を使用しないで、前記作動特性を取得する部分を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(18)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によってデータ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対を構成する前後の差圧と開閉作動電流との少なくとも一方を補正して、前記作動特性の取得に使用する手段を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(19)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によってデータ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対を無視し、前記漏れが検出されない場合に取得されたデータ対に基づいて前記作動特性を取得する漏れ無しデータ対応作動特性取得部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(20)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって前記データ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その漏れが検出された際に取得されたデータ対を含む複数の互いに異なるデータ対に基づいて取得された前記作動特性を修正する作動特性修正部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(21)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記作動特性を取得する際に、前記電磁制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記コイルへの供給電流を制御して、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の圧力が開閉作動判定しきい値に達した場合に、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わったと判定して、その時の供給電流である開閉作動電流を取得するとともに、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧を取得し、これら開閉作動電流と前後の差圧との組をデータ対として取得するデータ対取得部であって、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、前記電磁制御弁の開閉作動判定しきい値を、漏れが検出されなかった場合とは異なる値に変更する部分を備えたものと、
そのデータ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて、前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(22)前記漏れ検出部が、前記コイルへの供給電流が漸変させられることにより前記電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わった後における、前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧の変化に基づいて前記漏れの有無を検出する開状態漏れ検出部を含む(17)項ないし(21)項のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
(23)前記漏れ検出部が、前記コイルに一定の大きさの電流が供給されている状態において、前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧が予め定められた設定液圧以上変化した場合に、漏れが有ると検出する保持状態漏れ検出部を含む(17)項ないし(22)項のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
(24)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能に設けられた弁子とを含むとともに、前記電磁駆動力が前記弁子を前記弁座に着座させる向きに作用する常開弁であり、前記漏れ検出部が、前記電磁駆動力が最大値より小さくされた状態で、前記漏れの有無を検出する押付力低下時漏れ検出部を含む(17)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
(25)前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって取得された複数の前記データ対の相関の度合いを表す相関係数の絶対値が設定値以上である場合に、前記複数の前記データ対に基づいて前記作動特性を取得する相関係数勘案決定部を含む(17)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
(26)電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対の相関の度合いを表す相関係数の絶対値が設定値以上である場合に、前記複数のデータ対に基づいて前記作動特性を取得する相関係数勘案決定部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。
本項に記載の作動特性取得装置には、(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(27)車両の車輪と共に回転するブレーキ回転体に摩擦部材をブレーキシリンダの液圧により押し付けることにより前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキと、
少なくとも、前後の差圧に応じた差圧作用力と、コイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉する複数の電磁制御弁を含む電磁制御弁装置と、
前記複数の電磁制御弁の各々について、閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と前後の差圧との関係である作動特性を取得する作動特性取得装置と、
その作動特性取得装置によって取得された作動特性に基づいて、前記複数の電磁制御弁の各々のコイルへの供給電流を制御することによって、前記ブレーキシリンダの液圧を制御するブレーキ液圧制御装置と
を含むブレーキ装置であって、
前記作動特性取得装置が、前記作動特性を取得する際に、前記電磁制御弁各々における漏れの有無を検出する漏れ検出部を含むことを特徴とするブレーキ装置。
本項に記載のブレーキ装置には、(1)項ないし(26)項のいずれか1つに記載の技術的特徴を採用することができる。
(28)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能に設けられた弁子と、その弁子を前記弁座から離間させる向きに付勢するスプリングとを含むとともに、前記電磁駆動力が前記弁子を前記弁座に着座させる向きに作用するものである常開の液圧制御弁である(27)項に記載のブレーキ装置。
常開の液圧制御弁について作動特性が作成される。
(29)前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能に設けられた弁子と、その弁子を前記弁座に着座させる向きに付勢するスプリングとを含むとともに、前記電磁駆動力が前記弁子を前記弁座から離間させる向きに作用するものである常閉の液圧制御弁である(28)項に記載のブレーキ装置。
常閉の液圧制御弁について作動特性が作成される。
(30)前記電磁制御弁装置が、動力の供給により液圧を発生可能な動力式液圧源と前記ブレーキシリンダとの間に設けられた増圧制御弁と、前記ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧制御弁とを含み、前記作動特性取得装置が、前記ブレーキシリンダの液圧を増加・減少させつつ、前記増圧制御弁と前記減圧制御弁とのそれぞれについての作動特性を取得する液圧増減時作動特性取得部を含む(27)項ないし(29)項のいずれか1つに記載のブレーキ装置。
動力式液圧源とブレーキシリンダとの間に設けられた増圧制御弁についてのデータ対は、ブレーキシリンダの液圧を増加させつつ取得され、ブレーキシリンダと低圧源との間に設けられた減圧制御弁についてのデータ対は、ブレーキシリンダの液圧を減少させつつ取得される。このように、ブレーキシリンダの液圧を増・減させることにより増圧制御弁についてのデータ対と減圧制御弁についてのデータ対との両方が取得されるのであり、ブレーキシリンダ液圧の増加と減少とがそれぞれ別に行われる場合より、データ対を取得するのに要する時間を短縮することができる。
なお、増圧制御弁としては常閉の電磁液圧制御弁が使用されることが多く、減圧制御弁としては常閉の電磁液圧制御弁が使用されたり、常開の電磁液圧制御弁が使用されたりする。
図2に示す液圧ブレーキ装置は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル10,2つの加圧室を含むマスタシリンダ12,動力により作動させられる動力式液圧源としてのポンプ装置14,左右前後に位置する車輪にそれぞれに設けられた液圧ブレーキ16〜19等を含む。本実施例においては、液圧ブレーキ16〜19がディスクブレーキとされる。
液圧ブレーキ16〜19は、それぞれ、図3に示すように、ブレーキシリンダ20の液圧により作動させられる。ブレーキシリンダ20の液圧によって、キャリパ21に軸線方向に相対移動可能に保持された摩擦部材としてのパッド22が車輪と一体的に回転させられるブレーキ回転体としてのロータ23に押し付けられる。これらの摩擦係合により車輪の回転が抑制される。
また、ポンプ装置14には、4つのブレーキシリンダ20がポンプ通路36を介して接続される。左右前輪のブレーキシリンダ20がマスタシリンダ12から遮断された状態で、4輪のブレーキシリンダ20にポンプ装置14から液圧が供給されて、液圧ブレーキ16〜19が作動させられる。ブレーキシリンダ20の液圧は液圧制御弁装置38により制御される。
また、ポンプ56の吐出側と吸入側とがリリーフ通路66によって接続され、リリーフ通路66にはリリーフ弁68が設けられる。リリーフ弁68は、高圧側であるアキュムレータ側の液圧が設定圧を越えると閉状態から開状態に切り換えられる。
前後左右の各輪に対応して設けられた増圧リニアバルブ80〜83,左右前輪に対応して設けられた減圧リニアバルブ90,91は、コイル100に電流が供給されない間は、閉状態にある常閉弁であるが、左右後輪に対応する減圧リニアバルブ92,93は、コイル102に電流が供給されない間は開状態にある常開弁である。
コイル100に電流が供給されない場合には、スプリング108の付勢力Fsにより弁子105が弁座106に着座させられる閉状態にある。コイル100に電流が供給されると、電流に応じた電磁駆動力Fdがプランジャ103に加えられ、弁子105を弁座106から離間させる向きに作用する。また、前後の差圧に応じた差圧作用力Fpが弁子105を弁座106から離間させる向きに作用する。弁子105の弁座106に対する相対位置は、これら電磁駆動力Fd、差圧作用力Fpおよびスプリングの付勢力Fsの関係で決まる。
この常閉弁である増圧リニアバルブ80〜83,減圧リニアバルブ90,91についての作動特性を図5に示す。上述のように、電磁駆動力Fd と差圧作用力Fpとが同じ向きに、かつ、スプリング108の付勢力Fsと逆向きに作用するため、スプリング108の付勢力がほぼ一定であると考えた場合には、これらリニアバルブを閉状態に保つのに必要な電磁駆動力Fdは、差圧作用力Fpが大きい場合は小さい場合より小さくなる。換言すれば、リニアバルブを閉状態から開状態に切り換えるのに必要な電磁駆動力Fdは、差圧作用力Fpが大きい場合は小さい場合より小さくてよいことになる。このリニアバルブを閉状態から開状態に切り換えるのに必要な電磁駆動力Fdに対応する供給電流を開弁電流と称する。本実施例においては、作動特性が、差圧作用力Fpに対応する差圧ΔPと、開弁電流値Iopenとの関係で表される。
減圧リニアバルブ92,93は、左右後輪のブレーキシリンダ20とリザーバ62との間に、ブレーキシリンダ20とリザーバ62との間の差圧に応じた差圧作用力Fpが弁子114に加わる状態で設けられる。コイル102に電流が供給されない間は、差圧作用力Fpおよびスプリング118の付勢力Fsにより弁子114が弁座116から離間させられた開状態にある。コイル102に電流が供給されると、電流に応じた電磁駆動力Fdが弁子114を弁座116に着座させる向きに作用する。これらスプリング118の付勢力Fsおよび差圧作用力Fpと、電磁駆動力Fdとの関係で弁子114の弁座116に対する相対位置が決まる。
なお、閉弁電流と上述の開弁電流とを総称して開閉作動電流と称することもある。
記憶部204には、図5,7のマップで表される作動特性テーブル、図8のフローチャートで表される供給電流制御プログラム、図9のフローチャートで表される作動特性学習プログラム等が格納されている。
ブレーキシリンダ20の目標液圧は、通常制動時には、運転者によるブレーキペダル10の操作状態に基づいて決定される。ブレーキペダル10の操作ストロークと操作力(マスタ圧に対応)との少なくとも一方に基づいて要求制動力が求められ、要求制動力が得られるように決定される。各輪のブレーキシリンダ20における目標液圧は同じ大きさとしても、左右前輪のブレーキシリンダ20についての目標液圧を同じとし、左右後輪のブレーキシリンダ20についての目標液圧を同じとし、これら左右前輪の目標液圧と左右後輪の目標液圧との比率が前後制動力配分線に沿った比率となるように決定されるようにしてもよい。
アンチロック制御中においては、前後左右の各ブレーキシリンダ20の目標液圧が、それぞれ、車輪の制動スリップ状態が路面の摩擦係数に対して適した状態となるように決定され、ビークルスタビリティ制御中においては、車輪の横スリップ状態が摩擦係数に対して適した状態となるように決定される。これらの場合には、ブレーキシリンダ毎に(車輪毎に)決定される。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキペダル10の操作ストローク等のブレーキ操作状態が検出され、S2において、車輪のスリップ状態、旋回状態等の車両の走行状態が検出される。S3において、これらに基づいて各車輪について目標液圧が決定され、S4において、各車輪毎の実際のブレーキシリンダ20の液圧がそれぞれ検出される。S5において、制御対象輪および制御対象バルブが決定されて、制御対象バルブへの供給電流が記憶部206に記憶された作動特性テーブルに基づいて決定される。
なお、ポンプ装置14においては、フローチャートの記載を省略するが、アキュムレータ圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように、ポンプモータ58が制御される。
ブレーキシリンダ液圧は、増圧リニアバルブ80〜83の制御により増加させられ、減圧リニアバルブ90〜93の制御により減少させられる。増圧リニアバルブ80〜83,減圧リニアバルブ90〜93への供給電流の制御により、実際のブレーキシリンダ20の液圧が図19の実線に示すように変化させられる。作動特性の学習においては、ブレーキシリンダ液圧の増減が予め定められた設定回数繰り返される。設定回数繰り返し実行されることにより、データ対が複数個取得されるが、それら複数個のデータ対が作動特性を取得するのに適したデータ対であるか否かが判定される。取得された複数個のデータ対が、作動特性を作成するのに適切なデータ対であるとされた場合に、それら複数個のデータ対に基づいて作動特性が作成され、適切でないとされた場合には、作動特性が作成されることがない。本明細書において、作動特性の学習が行われる際の1回のブレーキシリンダ液圧の増減を「山」と称することがある。
増圧リニアバルブ80,81への供給電流が断続的に制御される場合には、減圧リニアバルブ90,91への供給電流は0に保たれ、減圧リニアバルブ90,91への供給電流が断続的に制御される場合には、増圧リニアバルブ80,81への供給電流は0に保たれる。
増圧リニアバルブ80,81について、供給電流が増加させられて、実液圧が目標液圧に達すると、供給電流が0とされる。供給電流は、予め定められた設定時間の間0に保たれる。設定時間は、図21の第2設定時間に対応し、後述する第1漏れ判定時間と第2漏れ判定時間とを合わせた時間である。本実施例においては、この設定時間の間に漏れの有無が検出されるため、設定時間を、設定漏れ判定時間と称することができる。また、設定時間の間は、コイル100への供給電流が一定に保たれるため、保持時間と称することもでき、この状態を、保持状態、漏れ判定状態と称することができる。
電流探索状態が設定された場合においては、その時点における前後の差圧と現に記憶部206に記憶されている作動特性とに基づいて決まる開弁電流より設定値だけ小さい値の電流が加えられ、その後、予め定められた一定の勾配で増加させられる。設定勾配は、増圧リニアバルブ80,81が閉状態から開状態に切り換えられたことを検出し得る勾配とされる。
増圧リニアバルブ80,81が閉状態から開状態に切り換えられると目標液圧が増加させられる。実液圧が目標液圧に近づくように増圧リニアバルブ80,81への供給電流が制御される。本実施例においては、実液圧が目標液圧に近づくように制御される場合においても、電流探索状態における場合と同様の勾配でコイル100への供給電流が漸増させられる。後述するように、増圧リニアバルブ80,81について閉状態から開状態に切り換えられたことが検出された後に漏れの有無が検出されるからである。また、目標液圧は予め定められた設定量ずつ増加させられる。換言すれば、階段状に変化させられる場合の目標液圧の増加量は同じにされるのである。
漏れの有無は、データ対が取得される毎、すなわち、開弁ポイント毎に、開弁ポイントに対応して検出される。本実施例においては、保持時間の間に(保持状態において)2回検出されるとともに、開弁後の供給電流が漸増させられる状態において1回検出される。
図21に示すように、増圧リニアバルブ80,81への供給電流が増加させられた後に0にされた場合には、キャリパ21の弾性変形、熱膨張等に起因して、ブレーキシリンダ液圧は実線で示すように低下する。それに対して、増圧リニアバルブ80,81に漏れが有る場合(例えば、増圧リニアバルブ80,81に異物等が介在する場合)には、二点鎖線に示すようにブレーキシリンダ液圧が増加するか、減少勾配が実線に示す場合より小さくなる。また、減圧リニアバルブ90,91に漏れがある場合(例えば、減圧リニアバルブ90,91に異物等が介在する場合)には、ブレーキシリンダ液圧は破線で示すように実線で示す場合より大きな勾配で減少する。
そして、第1漏れ判定時間の経過後と、第2漏れ判定時間の経過後とにそれぞれ漏れの有無が検出される。増圧リニアバルブ80,81において大きな漏れが有る場合には、第1漏れ判定時間経過後に漏れを検出することができる。また、漏れが小さい場合は、第1漏れ判定時間経過後には検出できなくても第2漏れ判定時間の経過後には検出することができる。換言すれば、第1漏れ判定時間は、大きな漏れが有る場合に検出可能な時間であり、第2漏れ判定時間は漏れが小さくても検出可能な時間である。
第2漏れ判定時間経過後に、実液圧P*から基準液圧Pm1を引いた値が増圧バルブ用第2漏れ判定しきい値ΔPa2より大きい場合(P*−Pm1=ΔP*>ΔPa2)には、増圧リニアバルブ80,81に漏れがあると判定される。また、第2漏れ判定時間経過後の実液圧P*は、開弁判定しきい値を決める場合の基準の液圧とされるため、開弁判定基準液圧Pm2とされ、記憶される(P*→Pm2)。
このように、増圧リニアバルブ80,81への供給電流が0に保持される状態において、第1漏れ判定時間経過後と、第2漏れ判定時間経過後とにそれぞれ漏れの有無が検出されるが、第1漏れ判定時間より第2漏れ判定時間の方が長く設定されているため、2つの増圧バルブ用判定しきい値ΔPa1,ΔPa2は同じ大きさとすることもできる。それに対して、第2漏れ判定時間経過後に使用される増圧バルブ用判定しきい値ΔPa2の方を小さくすることもできる。第2漏れ判定時間を長くしたり、増圧バルブ用判定しきい値ΔPa2を小さくしたりすれば、より小さな漏れでも検出することが可能となる。本実施例において、増圧バルブ用判定しきい値ΔPa2は、0より大きい設定値(0に近い大きさ)とされる。
2つの減圧バルブ用漏れ判定しきい値ΔPr1,ΔPr2については、増圧バルブ用漏れ判定しきい値と同様に、同じ大きさであっても、第2漏れ判定しきい値ΔPr2の方を小さくしてもよい。
以下、第1漏れ判定時間経過後に行われる漏れ判定を保持中第1漏れ判定と称し、第2漏れ判定時間経過後に行われる漏れ判定を保持中第2漏れ判定と称する。
減圧リニアバルブ90,91については、開弁判定基準液圧Pm2から開弁判定変化量ΔPopenを引いた値が開弁判定しきい値Popenとされ、実液圧P*が開弁判定しきい値Popenより小さくなった場合(P*<Pm2−ΔPopen)に、減圧リニアバルブ90,91が閉状態から開状態に切り換えられたとされる。
なお、実液圧P*が開弁判定しきい値Popenを1回越えた場合に、閉状態から開状態に切り換えられたとしても、予め定められた設定回数以上越えた場合に、切り換えられたとしてもよい。また、増圧リニアバルブ80,81についての開弁判定変化量ΔPopenと減圧リニアバルブ90,91についての開弁判定変化量ΔPopenとは同じ大きさであっても、異なる大きさであってもよい。
なお、減圧リニアバルブ90,91についても同様に、開弁後の液圧変化状態に基づいて漏れの有無が検出される。
本実施例においては、ブレーキシリンダ液圧を学習前第1設定圧以上になるまで増加させた後に、学習前第2設定圧(クリアランスを小さくし得る設定圧であり、例えば、ファーストフィルが終了する場合の液圧、あるいは、ファーストフィルが終了する場合の液圧より多少大きい液圧)まで減少させる。
このように、ブレーキシリンダ液圧が学習前第1設定圧以上とされて、パッド22に大きな押付力が付与されれば、パッド22をロータ23に確実に接近させることができ、その後に、供給電流を小さくした場合に、クリアランスを確実に0にすることができる。
パッド22とロータ23との間のクリアランスが大きい場合は、図23に示すように、ブレーキシリンダ20への作動液の供給され始めにおいて、ブレーキシリンダの液圧の増加勾配が小さくなり、増圧リニアバルブ80,81に漏れが無いにも係わらず、誤って漏れが有ると検出されるおそれがある。それに対して、クリアランスが小さくされた後に作動特性の取得が開始されるようにすれば、ブレーキシリンダ20への作動液の供給開始時のブレーキシリンダ液圧の増加勾配が小さくなることを回避することができる。
このクリアランスを小さくする制御を学習前制御(プレ制御)、クリアランス減少制御と称することができる。
減圧リニアバルブ90,91について漏れが検出された場合にも同様に漏れ解消制御が行われる。弁子105と弁座106との間の距離で決まる開度が最大となるようにコイル100に電流が供給される。
後述するように、減圧リニアバルブ92,93について漏れが検出された場合には、供給電流が0とされる。それによって、弁子114と弁座116との間の距離で決まる開度が最大とされる。
減圧リニアバルブ92,93については、図25に示すように、供給電流が制御される。減圧リニアバルブ92,93への供給電流の減少により、ブレーキシリンダ液圧が目標液圧に達した後に、供給電流が増加させられ、その大きさに保持される。目標液圧に達してから第3設定時間の間は、ブレーキシリンダ液圧を保持するのに充分な大きさの電流が供給される。それによって、弁子114と弁座116との間に介在していた柔らかい材料の異物(例えば、アルミニウム材料を含む異物)を切断することができる。第3設定時間の間は、弁子114を弁座116に押し付ける力である電磁駆動力が設定駆動力以上となる電流(例えば、最大となる大きさの電流とすることができる)が供給される。
第3設定時間が経過して第4設定時間が経過するまでの間は、供給電流が小さくされる。弁子114を弁座116に着座させる向きの電磁駆動力Fdが小さくされるのである。弁子114を弁座116に押し付ける力が小さくされれば、異物によって開き易くなり、漏れを検出し易くなる。第4設定時間の間は、その時点の前後の差圧で決まる開弁電流より設定値だけ大きい電流が供給される。換言すれば、減圧リニアバルブ92,93を閉状態に保つのに必要な電磁駆動力より設定値だけ大きい駆動力が得られる大きさの電流が供給されるのである。
第4設定時間が経過した場合の実液圧P*(開弁判定基準液圧Pm2)が基準液圧Pm1(第3設定時間が経過した場合の実液圧P*)より増圧バルブ用漏れ判定しきい値ΔPa2より大きい場合(P*−Pm1>ΔPa2)には増圧リニアバルブ82,83に漏れがあるとされ、実液圧P*が基準液圧Pm1より減圧バルブ用漏れ判定しきい値ΔPr2より大きい場合(Pm1−P*>ΔPr2)には減圧リニアバルブ92,93に漏れがあるとされる。常開の減圧リニアバルブ92,93については、保持中漏れ検出が1回行われることになる。
また、増圧リニアバルブ82,83の制御によりブレーキシリンダ20の液圧が段階的に大きくされる場合に、減圧リニアバルブ92,93への供給電流も大きくされる。作動特性の学習が行われる場合において、減圧リニアバルブ92,93への供給電流がブレーキシリンダ20の液圧が最大になっても閉状態に保ち得る大きさに保持されるようにすることができるが、そのようにした場合には、消費電力量が多くなり望ましくない。そこで、本実施例においては、減圧リニアバルブ92,93への供給電流がブレーキシリンダ20の液圧の増加に伴って増加させられるようにされている。
S21において、作動特性学習許可条件が満たされるか否かが判定される。例えば、システムが正常であること、テストモードにあること、車両が停止状態にあること等の予め定められた学習許可条件が満たされた場合に、S21の判定がYESとなり、S22以降が実行される。
S22において、学習前制御が行われ、S23において、データ対の取得が行われる。図19に示すように、山の数が設定個となるまで、ブレーキシリンダ20の液圧が繰り返し増加・減少させられ、増圧リニアバルブ80〜83、減圧リニアバルブ90〜93が閉状態から開状態に切り換えられる瞬間の供給電流値、前後の差圧から成るデータ対が複数個取得される。
S24においてそれぞれ取得された複数個のデータ対についての適否が判定され、適切である場合にはS25の判定がYESとなり、S26において作動特性が作成される。この作成された作動特性を表すテーブルが新たに記憶される。その後、増圧リニアバルブ80〜83,減圧リニアバルブ90〜93についての供給電流が、それまで記憶された作動特性に代わって、新しい作動特性に基づいて制御される。
取得された複数個のデータ対が適切でない場合には、S25の判定がNOとなり、S27において、ブレーキシリンダ液圧が1回増加・減少させられ、データ対が取得される。S28において、S23において取得されたデータ対とS27において取得されたデータ対とを合わせた複数個のデータ対の適否が判定され、適切である場合には、S26において作動特性が取得され、適切でない場合には、S30において山の数Nyが予め定められた設定個(データ対の取得の際に実行される増減の許容最大回数)Nymaxを越えたか否かが判定される。山の数Nyが許容最大回数Nymaxを越えるまでは、取得された複数個のデータ対が適切であると判定されるまでブレーキシリンダ液圧の増減が繰り返し実行されるのであるが、許容最大回数Nymaxを越えても適切なデータ対が得られない場合には、S31において、エラー処理が行われる。
学習前制御が、左右前輪の液圧ブレーキ16,17について行われる場合には、S40において、減圧リニアバルブ90,91への供給電流が設定値0(Ib←0:設定値)とされ、閉状態にされる。減圧リニアバルブ90,91は、増圧リニアバルブ80,81への供給電流の制御中は閉状態に保たれるのである。S41において、増圧リニアバルブ80、81への供給電流が増加させられ(Ia←Ia+ΔIa)、S42において、ブレーキシリンダ20の実液圧P*が学習前第1設定圧Pref1に達したか否かが判定される。実液圧P*が学習前第1設定圧Pref1以上になると、S42の判定がYESとなり、S43において増圧リニアバルブ80,81への供給電流が0とされ(Ia←0)、ブレーキシリンダ液圧が保持される。
次に、S44において、ブレーキシリンダ液圧が学習前第1設定圧Pref1以上である状態が設定時間保たれたか否かが判定され、設定時間保たれた場合には、S45において、減圧リニアバルブ90,91への供給電流Ibが増加させられる(Ib←Ib+ΔIb)ことによりブレーキシリンダ20の液圧が減少させられる。実液圧P*がほぼ学習前第2設定圧Pref2まで低下すると、S47において、減圧リニアバルブ90,91への供給電流が0にされる(Ib←0=Ipre)。それによって、ブレーキシリンダ液圧は学習前第2設定圧Pref2に保たれる。この状態においては、パッド22とロータ23との間のクリアランスはほぼ0にある。
また、学習前制御において、ブレーキシリンダ液圧を増加させた後に減少させることは不可欠ではない。ブレーキシリンダ液圧が、クリアランスが確実に0になる液圧まで増加させられた後に、その値に保持されるようにすることができる。例えば、ファーストフィルが終了した場合の液圧、あるいは、その液圧より設定圧以上大きい液圧になるまで増加させ、その液圧から作動特性が学習が行われるようにするのである。特に、液圧ブレーキがドラムブレーキである場合等、リターンスプリングが含まれる場合には、ブレーキシリンダ液圧が減少させられないようにする方が望ましい。
さらに、学習前制御においては、ブレーキシリンダ液圧をクリアランスが0になるまで増加させることは不可欠ではない。ブレーキシリンダ液圧を、クリアランスが小さくされるまで増加させれば、学習前制御が行われない場合に比較して、作動特性をより正確に取得することができる。
また、学習前制御が終了した場合に減圧リニアバルブ92,93に供給される電流は、一旦増加させた後に、クリアランスをほぼ0とし得る液圧を保持し得る大きさまで減少させることができる。
S51においてパラメータの初期化が行われる。データ対の取得に使用されるフラグ、カウンタ等がリセットとされ、初期値が代入される。
S52において、増圧リニアバルブ80〜83についてデータ対が取得され、S53において、減圧リニアバルブ90〜93についてデータ対が取得される。S54,55において、増圧バルブ終了フラグ、減圧バルブ終了フラグがセット状態にあるか否かが判定される。増圧バルブ終了フラグがセット状態にない場合にはS52が実行され、増圧バルブ終了フラグがセット状態にあるが、減圧バルブ終了フラグがセット状態にない場合にはS53が実行される。
増圧バルブ終了フラグは、図19に示す1つの山において、ブレーキシリンダ液圧が予め定められた上限値まで増加させられた場合にセットされるフラグであり、減圧バルブ終了フラグは、1つの山において、ブレーキシリンダ液圧が予め定められた下限値まで減少させられた場合にセットされるフラグである。増圧バルブ終了フラグ、減圧バルブ終了フラグの両方がセットされた状態にある場合には、図19における1つの山が終了したことになる。
本実施例においては、山の数Nyが予め定められた設定個Ny0となるまでデータ対の取得が行われる。カウント値Nyが設定値Ny0より小さい場合には、S58において、終了フラグがリセットされて、S52以降が実行される。S52、53はカウント値Nyが、設定値Ny0以上になるまで繰り返し実行される。
まず、前輪側の常閉弁である増圧リニアバルブ80,81、減圧リニアバルブ90,91についてデータ対が取得される場合について説明する。
データ対取得対象バルブが増圧リニアバルブ80,81である場合について、図12のフローチャートに基づいて説明する。
S70において実液圧P*が検出され、S71において初期処理フラグがセットされているか否かが判定される。最初にS71が実行される場合には、初期処理フラグがリセット状態にあるため、判定がNOとなる。S72において実液圧P*が開弁判定基準液圧Pm2とされ、開弁判定しきい値Poepn が開弁基準液圧Pm2に開弁判定変化量ΔPopen を加えた大きさ(Popen←Pm2+ΔPopen)とされ、S73において、初期処理フラグ、電流探索中フラグがセットされる。なお、供給電流Iが、その時点の前後の差圧に応じて決まる開弁電流Iopenより設定値ΔIsだけ小さい値(I←Iopen−ΔIs)に決定される。
最初にS74以降が実行される場合には、保持フラグがリセット状態にあり、電流探索中フラグがセット状態にあるため、S75における判定がYESとなり、S77において、増圧リニアバルブ80,81のコイル100への供給電流が図20に示すように増加させられる。前述のように、供給電流は、一定の勾配で増加させられるのであり、S73において決定された供給電流Iに増加量ΔIを加えた値とされる。
そして、S78において、実液圧P*が開弁判定しきい値Popen を越えたか否かが判定される。実液圧P*が開弁判定しきい値Popen以下である間は、S70,71,74,75,77,78が繰り返し実行されることにより、増圧リニアバルブ80,81への供給電流が漸増させられる。実液圧P*が開弁判定しきい値Popen を越えた場合には、S78の判定がYESとなり、S79において、その瞬間の前後の差圧、供給電流値が読みとられ、これらが対応付けられてデータ対として仮記憶される。前後の差圧は、液圧源液圧センサ220による検出値Paccからブレーキシリンダ圧センサ216による検出液圧(実液圧)P*を引いた値である。その後、S80において、電流探索中フラグがリセットされ、S81において、目標液圧Prefが開弁判定基準液圧Pm2に設定値ΔPrefを加えた大きさ(Pref←Pm2+ΔPref)とされる。本実施例においては、目標液圧は段階的に変化させられるのであり、開弁判定基準液圧Pm2に予め定められた一定の設定変化量ΔPrefを加えた値とされる
また、開弁後漏れ判定においては、実液圧P*の変化量が設定変化量ΔPsになるまでに要する時間が設定時間より長い場合に漏れが有るとすることができる。
S90において、供給電流が0とされてからの経過時間が第2設定時間を超えたか否か、S91において、基準液圧Pm1の今回値が記憶されたか否か、S92において、第1設定時間を超えたか否かが、それぞれ、判定される。
最初にS90〜92が実行される場合には、すべてのステップにおける判定がNOとなる。
そのうち、第1設定時間を超えると、S92の判定がYESとなり、S93において、実液圧P*が基準液圧Pm1として記憶される。S94において、液圧偏差ΔPeが取得され(ΔPe1=Pref−Pm1)。S95において、液圧偏差ΔPeが増圧バルブ用漏れ判定しきい値ΔPa1より小さいか否か{Pref−Pm1<ΔPa1(負)(Pm1−Pref>ΔPa1(正))}、減圧バルブ用漏れ判定しきい値ΔPr1より大きいか否か(Pref−Pm1>ΔPr1(正))が判定される。このS94,95の実行を保持中第1漏れ判定と称する。
なお、目標液圧Prefと実液圧P*との偏差でなく、正常である場合の第1設定時間経過後の想定液圧(図21の実線で示す値)との差に基づいて漏れ判定が行われるようにすることもできる。
そのうちに、第2設定時間を超えると、S90の判定がYESとなり、S96において、実液圧P*が開弁判定基準液圧Pm2とされて記憶され、S97において、S81において決定された目標液圧Prefが予め定められた目標液圧の最大値Pmax(上限値)以上になったか否かが判定される。目標液圧の最大値Pmaxは、例えば、アキュムレータ圧Pacc等に基づいて決定することができる。最大値Pmaxは、その都度決定されても、予め定められた値としてもよい。
目標液圧Prefが最大値Pmaxより小さい場合には、S98において、開弁判定しきい値(Popen←Pm2+ΔPopen)が決定され、S99,100において、保持中第2漏れ判定が行われる。実液圧P*が基準液圧Pm1より増圧バルブ用第2漏れ判定しきい値ΔPa2より増加した場合には、増圧リニアバルブ80,81に漏れが有ると検出され、基準液圧Pm1より減圧バルブ用第2漏れ判定しきい値ΔPr2以上減少した場合には、減圧リニアバルブ90,91に漏れがあるとされる。
すなわち、実液圧P*から基準液圧Pm1を引いた値ΔP*が増圧バルブ用第2漏れ判定しきい値ΔPa2より大きい場合{P*−Pm1>ΔPa2(正)(Pm1−P*<ΔPa2(負)]には増圧リニアバルブ80,81において液漏れがあるとされ、基準液圧Pm1から実液圧P*を引いた値ΔP*が減圧バルブ用第2漏れ判定しきい値ΔPr2より大きい場合(Pm1−P*>ΔPr2)には減圧リニアバルブ90,91において液漏れがあるとされるのである。
次に、S52が実行される場合には、S75の判定がYESとなり、S77以降において増圧リニアバルブ80,81への供給電流が漸増させられる等、以下、同様に実行される。
漏れが有ると検出された場合には、S102において、異物除去制御が行われた後に、S101が実行され、保持フラグがリセットされて、探索中フラグがセットされる。
以下、同様に、増圧リニアバルブ80,81への供給電流の制御によりブレーキシリンダ20の液圧が段階的に増加させられる。
また、電流探索中において漏れが検出された場合には、開弁判定しきい値Popen を大きくすることができる。また、保持状態において漏れが検出された場合には、漏れ解消制御を行わないで、開弁判定しきい値Popenを大きくすることができる。
S119において、増圧バルブ終了フラグがセット状態にあるか否かが判定される。セット状態にない場合には、S120以降が実行されることはない。
増圧バルブ終了フラグがセット状態にある場合には、S120において実液圧P*が取得され、S121〜123において初期処理が行われる。データ対の取得対象が減圧リニアバルブ90,91であるため、S122において、開弁判定しきい値が、実液圧P*から開弁判定変化量ΔPopenを引いた値(Popen←Pm2−ΔPopen)とされる。
保持フラグがリセットされ、探索中フラグがセットされている場合には、S125の判定がYESとなり、S127において、減圧リニアバルブ90,91への供給電流が漸増させられる。実液圧P*が開弁判定しきい値Popenより小さくなると、S129においてデータ対が記憶され、S131において目標液圧Prefが決定される。減圧リニアバルブ90,91においては、前後の差圧が実液圧P*となるため、実液圧P*と供給電流量とが対応付けて記憶される。また、目標液圧Prefは開弁判定基準液圧Pm2から設定変化量ΔPrefだけ小さい値(Pref=Pm2−ΔPref)とされる。
そして、S133〜135において、開弁後漏れ判定が行われる。ここでは、開弁時の実液圧P*openからの実際の低下量ΔP*が設定時間ΔTs内に設定量ΔPs以上にならない場合に漏れがあるとされる。漏れがある場合には、S137において、異物除去制御が行われる。
この意味において、S133〜135の実行、S144,145の実行、S149,150の実行は不可欠ではない。換言すれば、個別液圧制御弁装置に含まれる一対の増圧リニアバルブと減圧リニアバルブとにおいて、一方のリニアバルブについてデータ対が取得される際に漏れの有無の検出が行われれば、他方のリニアバルブについてデータ対が取得される際に漏れの有無が検出されることは不可欠ではない。一方についてデータ対が取得される際に、両方のリニアバルブについての漏れが検出されるからである。
また、目標液圧が目標液圧の最低値Pmin以下になると、S153において、減圧バルブ終了フラグがセットされる。図19の第1の山の下りの部分に対応する制御が終了したのである。最低値Pminは、大気圧としたり、ファーストフィルが終了した場合の大きさとしたり、それらの値より設定圧だけ大きい値としたりすること等ができる。
S52の増圧リニアバルブ82,83についてのデータ対の取得は図14のフローチャートで表す。S70〜S104までの処理は前輪の個別液圧制御弁装置70,71における場合と同じであるため説明を省略する。ここでは、実液圧P*が設定圧より大きい場合は小さい場合より、減圧リニアバルブ92,93のコイル102への供給電流が大きくされる。減圧リニアバルブ92,93は常開弁であるため、増圧リニアバルブ82,83の制御により後輪のブレーキシリンダ20の液圧が高くなり、減圧リニアバルブ92,93の前後の差圧が大きくなると閉状態に保つために大きな電流が必要となるからである。
S171において、実液圧P*が設定圧Ph以上であるか否かが判定される。設定圧以上である場合には、S172において、減圧リニアバルブ92,93のコイル102への供給電流が大きくされ(I=Ih1)、設定圧より小さい場合には、S173において、小さくされる(I=Ih2<Ih1)。
S123′において決定される供給電流Iは、その時点の前後の差圧に応じて決まる開弁電流より設定値大きい値とされる(I←Iopen+ΔIs)。
また、電流探索中において、実液圧P*が目標液圧Pref以上である場合には、減圧リニアバルブ92,93のコイル102への供給電流がS127′,132′において漸減させられる。そして、実液圧P*が開弁判定しきい値Popenより小さくなると、開状態に切り換えられたとされる。
この押付力が小さくされた状態において、液漏れが検出される。また、基準液圧Pm1は、S185において取得される。
図25に示すように、保持状態において、弁子114を弁座115に強く押し付けることにより、これらの間の異物を切断することが可能となる。また、その後、供給電流が小さくされて、押付力が小さくされることにより、漏れが検出され易くされる。また、開弁電流を検出する際にも、電流Iaから減少させるより電流Ibから減少させた方が、検出時間が短くなるという利点もある。
いずれにしても、第3設定時間が経過した後に供給される電流Ibは、漏れの検出が可能で、かつ、減圧リニアバルブ92,93が開状態に切り換えられたことが早期に検出可能な大きさとすることができる。
増圧リニアバルブ80,81について漏れ解消制御が行われた場合には、ブレーキシリンダ液圧が増加し、減圧リニアバルブ90,91において漏れ解消制御が行われた場合には、ブレーキシリンダ液圧が減少する。そこで、漏れ解消制御が行われた場合には、その後、漏れ解消制御が行われない場合のブレーキシリンダ液圧(あるいは、漏れ解消制御が行われる以前の液圧)となるように、増圧リニアバルブ80,81および減圧リニアバルブ90,91の両方が制御されるようにするのである。
また、増圧リニアバルブにおいて異物を除去する際に、減圧リニアバルブも開状態にされれば閉状態に保たれる場合より、作動液の流量を大きくできる場合がある。同様に、減圧リニアバルブにおいて異物を除去する際に、増圧リニアバルブも開状態にされれば、大きな流量で作動液を流すことが可能となる。
S222の判定がYESの場合には、S223において相関係数γが演算され、S224において、相関係数の絶対値|γ|が設定値γ0以上であるか否かが判定される。常開弁である場合には正の相関があり、常閉弁である場合には負の相関があるからである。作動特性を取得する際には、相関係数の絶対値|γ|が大きく、前後の差圧と供給電流量との相関関係の度合いが強いことが望ましい。
X(i)=ΔP*open(i)−<ΔP*open>
ただし、<ΔP*open>=(ΣΔP*open(i))/Md
とし、
Y(i)=Iopen(i)−<Iopen>
ただし、<Iopen>=(ΣΔIopen(i))/Md
とした場合に、式
γ={(ΣX(i)・Y(i))/Md}/{√(ΣX(i)2)・√(ΣY(i)2)}
に従って取得される。
適切である場合には、S26において作動特性が取得される。例えば、複数のデータ対の前後の差圧、供給電流のデータの各々に基づいて直線の傾き、切片が取得されて、1つの直線で表される作動特性を取得することができる。
例えば、傾きKは、式
K=[Σ(ΔP*open(i)・Iopen(i))−{(ΣΔP*open(i)・ΣIopen(i))/Md}]
/{ΣΔP*open(i)2−(ΣΔP*open(i))2/Md}
に従って取得し、切片Ioffsetは式
Ioffset={ΣIopen(i)+K・(−ΣΔP*open(i))}/Md
に従って取得することができる。
S28(図9参照)のデータ対の適否判定においては、図18のフローチャートに示すように、取得されたデータ対の個数は、S23において取得された個数とS27において取得された個数との和となり、S251において、山の数が、S23における山の数Ny0と追加して行われた山の数Nmとを合わせた数(Ny0+Nm)となるため、データ対の数Mdが(Ny0+Nm+α)以上か否かが判定されることになる。S27の実行回数が1回である場合には、Nmは1であるが、複数回実行された場合には、その回数となる。S223において、取得された(データ対の数は増えることが多い)データ対について相関係数γが演算により取得され、以下同様に実行される。
また、データ対が取得される以前に、漏れが検出された場合には、漏れ解消制御が行われるため、その後のデータ対の取得が無駄になることを回避し、データ対の取得に要する時間を短縮することができる。さらに、データ対が取得された時に、漏れがあったと検出された場合に、データ対がキャンセルされるため、漏れに起因する誤差を含むデータ対に基づいて作動特性が作成されることを回避することができる。
さらに、データ対が取得される以前に液圧ブレーキ16〜19において、ブレーキシリンダ20の液圧を設定圧以上として、パッド22とロータ23との間のクリアランスが小さくされるため、ブレーキシリンダ液圧が増加させられる場合に、最初にデータ対が取得される場合に、誤って漏れが有ると判定されることを回避することができる。換言すれば、最初のデータ対を正確に取得することができるのである。特に、パッド22を交換した後等に有効である。
また、複数のデータ対について、相関係数が取得され、相関係数の絶対値が大きい場合に、複数のデータ対が適切であるとされて、作動特性が作成されるため、作動特性を真の特性に近づけることが可能となる。
作動特性取得装置のうちの、図12〜15のフローチャートのS83〜85(S133〜135)、S94,95(S144,145)、S99,100(S149,150)を記憶する部分、実行する部分等により漏れ検出部が構成される。漏れ検出部のうちのS83〜85(S133〜135)を記憶する部分、実行する部分等により開状態漏れ検出部が構成され、S94,95,99,100(S144,145,149,150)を記憶する部分、実行する部分等により保持状態漏れ検出部が構成され、図15のフローチャートのS186、S149,150を記憶する部分、実行する部分等により押付力低下時漏れ検出部が構成される。
また、図12〜15のフローチャートのS79(S129)を記憶する部分、実行する部分等によりデータ対取得部が構成され、S86(S136),図9のフローチャートのS26を記憶する部分、実行する部分等により漏れ無しデータ対応作動特性取得部が構成され、図12〜15のフローチャートのS87(S137)を記憶する部分、実行する部分等により開度拡大部が構成される。
さらに、図9のフローチャートのS22を記憶する部分、実行する部分等によりクリアランス減少部が構成され、S24,28,26を記憶する部分、実行する部分等により相関係数勘案決定部が構成される。
また、漏れが検出された場合には、取得されたデータ対を構成する前後の差圧と供給電流量との少なくとも一方が補正され、その補正されたデータ対に基づいて作動特性が取得されるようにしたり、作成された作動特性が補正されたりするようにすることもできる。
さらに、作動特性は、リニアバルブの供給電流のフィードバック制御に利用されても、フィードフォワード制御に利用されてもよい。
また、上記実施例においては、ブレーキシリンダ液圧の制御において、目標液圧がリニアバルブが閉状態から開状態に切り換えられた場合に変化させられるようにされていたが、電流探索状態に切り換えられる場合に変化させられるようにすることもできる等、リニアバルブへの供給電流の制御の態様は、上記実施例におけるそれに限らない。
その他、液圧ブレーキはドラムブレーキとする等本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (13)
- 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって前記データ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その漏れが検出された際に取得されたデータ対を使用しないで、前記作動特性を取得する部分を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によってデータ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対を構成する前後の差圧と開閉作動電流との少なくとも一方を補正して、前記作動特性の取得に使用する手段を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によってデータ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その取得されたデータ対を無視し、前記漏れが検出されない場合に取得されたデータ対に基づいて前記作動特性を取得する漏れ無しデータ対応作動特性取得部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって前記データ対が取得された際に前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、その漏れが検出された際に取得されたデータ対を含む複数の互いに異なるデータ対に基づいて取得された前記作動特性を修正する作動特性修正部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記作動特性を取得する際に、前記電磁制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記コイルへの供給電流を制御して、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の圧力が開閉作動判定しきい値に達した場合に、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わったと判定して、その時の供給電流である開閉作動電流を取得するとともに、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧を取得し、これら開閉作動電流と前後の差圧との組をデータ対として取得するデータ対取得部であって、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、前記電磁制御弁の開閉作動判定しきい値を、漏れが検出されなかった場合とは異なる値に変更する部分を備えたものと、
そのデータ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて、前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 前記漏れ検出部が、前記コイルへの供給電流が漸変させられることにより前記電磁制御弁が閉状態から開状態に切り換わった後における、前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧の変化に基づいて前記漏れの有無を検出する開状態漏れ検出部を含む請求項1ないし5のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
- 前記漏れ検出部が、前記コイルに一定の大きさの電流が供給されている状態において、前記高圧側と前記低圧側との少なくとも一方の側の液圧が予め定められた設定液圧以上変化した場合に、漏れが有ると検出する保持状態漏れ検出部を含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
- 前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に着座・離間可能に設けられた弁子とを含むとともに、前記電磁駆動力が前記弁子を前記弁座に着座させる向きに作用する常開弁であり、前記漏れ検出部が、前記電磁駆動力が最大値より小さくされた状態で、前記漏れの有無を検出する押付力低下時漏れ検出部を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
- 前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって取得された複数の前記データ対の相関の度合いを表す相関係数の絶対値が設定値以上である場合に、前記複数の前記データ対に基づいて前記作動特性を取得する相関係数勘案決定部を含む請求項1ないし8のいずれか1つに記載の作動特性取得装置。
- 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
当該作動特性取得装置が、
前記コイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって前記データ対が取得される際に、前記電磁制御弁における漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
その作動特性取得部によって取得された作動特性を記憶する記憶部と
を含み、かつ、前記作動特性取得部が、前記データ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対の相関の度合いを表す相関係数の絶対値が設定値以上である場合に、前記複数のデータ対に基づいて前記作動特性を取得する相関係数勘案決定部を含むことを特徴とする作動特性取得装置。 - 前記請求項1ないし10のいずれか1つに記載の作動特性取得装置と、
前記記憶部に記憶された前記取得された作動特性に基づいて、前記コイルへの供給電流を制御することによって、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧を制御する供給電流制御装置と
を含むことを特徴とする液圧制御装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置と、
その作動特性取得装置によって取得された作動特性を記憶する記憶部と、
その記憶部に記憶された作動特性に基づいて、前記電磁制御弁のコイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧を制御する供給電流制御装置と
を含む液圧制御装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、
前記作動特性取得装置が、前記作動特性を取得する際に、前記電磁制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部を含み、
前記供給電流制御装置が、前記漏れ検出部によって漏れが検出された場合に、前記コイルへの供給電流を、前記電磁制御弁の開度が設定開度以上となる大きさとする漏れ解消制御を行う漏れ解消制御部を含み、
前記作動特性取得装置が、前記漏れ解消制御部による漏れ解消制御が行われた後に、前記コイルへの供給電流を制御して、前記電磁制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記電磁制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて、前記作動特性を取得する作動特性取得部とを含むことを特徴とする液圧制御装置。 - 電磁制御弁の作動特性を取得する作動特性取得装置と、
その作動特性取得装置によって取得された作動特性を記憶する記憶部と、
その記憶部に記憶された作動特性に基づいて、前記電磁制御弁のコイルへの供給電流を制御することにより、前記電磁制御弁の高圧側と低圧側との少なくとも一方の側の液圧を制御する供給電流制御装置と
を含む液圧制御装置であって、
前記電磁制御弁が、その電磁制御弁の高圧側の液圧から低圧側の液圧を引いた大きさである前後の差圧に応じた差圧作用力とコイルへの供給電流に応じた電磁駆動力との関係により開閉するものであり、かつ、車両の車輪と共に回転するブレーキ回転体に摩擦部材をブレーキシリンダの液圧により押し付けることにより前記車輪の回転を抑制する液圧ブレーキの前記ブレーキシリンダの液圧を制御可能な液圧制御弁であり、
前記作動特性取得装置が、
前記作動特性を取得する際に、前記液圧制御弁における液漏れの有無を検出する漏れ検出部と、
前記コイルへの供給電流を制御して、前記液圧制御弁が閉状態と開状態との間で切り換わった場合の供給電流である開閉作動電流と、その時点の前記液圧制御弁の前記前後の差圧とのデータ対を取得するデータ対取得部と、
そのデータ対取得部によって取得された複数の互いに異なるデータ対に基づいて、前記作動特性を取得する作動特性取得部と、
前記作動特性を取得するのに先だって、前記ブレーキシリンダの液圧を予め定められた設定圧以上として、前記摩擦部材とブレーキ回転体との間のクリアランスを小さくするクリアランス減少部と
を含むことを特徴とする液圧制御装置。
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