JP4400128B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制動制御技術に関し、特に、目標液圧となるように制御液圧を調整する電磁流量制御弁を有する車両用制動制御装置に関する。
自動車等の車両用の制動制御装置として、油圧導管の途中にモータ駆動されるオイルポンプを設け、そのオイルポンプの吐出側の作動液をアキュムレータに蓄積してアキュムレータ圧を高圧に保つものが知られている。この高圧の作動液は、運転者のブレーキペダル操作に応じ、各輪に設けられた電磁流量制御弁のうち増圧弁および作動液通路を経由してホイールシリンダに導入され、所望の制動力が発揮される。こうした制動力を的確に発生するために、マイクロコンピュータによってホイールシリンダの目標液圧を演算し、電磁流量制御弁にフィードフォワード電流とフィードバック電流を流すことによって制御液圧を目標液圧に近づける技術が知られている。(例えば特許文献1参照)。
特開平10−278764号公報
上述の従来の技術によると、フィードバック電流だけでなく、フィードフォワード電流も発生させるため、一般には制動力を迅速に発生させることができる。しかし、同じフィードフォワード電流を同じ型式の電磁流量制御弁に流しても、作動液通路やホイールシリンダの液圧に対する性質が異なれば、制御液圧が上昇する振る舞いも異なる。フィードフォワード電流は、この性質に依拠して定めることが望ましい。
本発明者はこうした課題を認識して本発明をなしたものであり、その目的は、より適切なフィードフォワード電流を流すことにより、制動制御の迅速性と的確性を高める車両用制動制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用制動制御装置は、目標液圧となるように制御液圧を調整する電磁流量制御弁を有するものであり、ホイールシリンダの増圧開始に先立ち、前記電磁流量制御弁と前記ホイールシリンダを結ぶ作動液通路において液圧伝達が開始されるために必要な作動液量が供給されるよう前記電磁流量制御弁へ流すべきフィードフォワード電流を導出する電流演算手段を有する。前記電流演算手段は、前記作動液通路および前記ホイールシリンダによって形成される空間の容量と、前記空間の液圧に対する初期剛性とに応じて前記フィードフォワード電流の大きさを定めるとともに、前記フィードフォワード電流を停止させるときには前記作動液通路に設けられた液圧センサの出力値が第1制御液圧に到達すると前記フィードフォワード電流の電流値を徐減させ、前記液圧センサの出力値が前記第1制御液圧より大きい第2制御液圧に到達すると前記フィードフォワード電流を停止させる
この構成によれば、作動液通路やホイールシリンダによる空間が増圧に対して応答性または追従性が悪くても、その応答性または追従性の悪い分を予めフィードフォワード電流の供給によって充当できるため、制御液圧の目標液圧への接近を早めることができる。また、ホイールシリンダによって形成される空間の容量が大きいほど増圧応答性が悪いため、より大きなフィードフォワード電流を流すことで応答性を改善することができる。また、液圧センサは作動液通路に設けられているため、その液圧センサがホイールシリンダに設けられている場合と、タイミング上のずれが生じる。すなわち、液圧センサはホイールシリンダよりも上流で液圧を検出するため、仮に検出した液圧の値が大きくても、そうした液圧はまだホイールシリンダには達していないことが多い。そのため、本当にホイールシリンダ圧を目標液圧まで上げようとすれば、液圧センサの出力値が目標液圧に達した後も、しばらくはある程度のフィードフォワード電流を流すことが望ましい。このため、フィードフォワード電流をいちどにゼロにするのではなく、徐減することにより、制御の的確性向上を実現することができる。ホイールシリンダには例えばキャリパなどが設けられ、キャリパはディスクその他の部材を内蔵している。これらの部材は、例えばゴムなどの弾性材で作られていると、その部材を取り囲む液圧によって収縮し、結果的に増圧応答性を悪化させる。そのため、作動液通路とホイールシリンダによって形成される空間の液圧に対する初期剛性に配慮し、その初期剛性が低い場合ほどフィードフォワード電流を大きくとることにより、増圧応答性を改善することができる。
なお、前記電磁流量制御弁は線形動作特性を有するリニア弁であってもよい。リニア弁は印加電流によって開弁圧、すなわちこのリニア弁が開き始める弁両側の差圧を調整できるため、液圧のきめ細かな制御ができる。
本発明の車両用制動制御装置によれば、制動要求時の増圧応答性を高め、または適切にすることができる。
まず、実施の形態が適用される油圧システム100と電子制御ユニット200の全体構成を説明し、つぎに本発明者が認識した課題を説明し、しかる後、実施の形態による制御を説明する。なお、以下の説明において、電子制御ユニット200単独で制動制御装置と捉えてもよいし、油圧システム100またはその一部と電子制御ユニット200の組合せを制動制御装置と捉えてもよい。
図1は油圧システム100と電子制御ユニット200の全体構成を示す。油圧システム100は主にアクチュエータ80とアクチュエータ80以外のマスタシリンダ14などを備える。
ブレーキペダル12にはその踏み込みストロークを検出するストロークセンサ46が設けられている。マスタシリンダ14は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込み操作に応じ、作動液であるブレーキオイルを圧送する。ブレーキペダル12とマスタシリンダ14との間にはドライストロークシミュレータ13が設けられている。
マスタシリンダ14には右前輪用のブレーキ油圧制御導管16及び左前輪用のブレーキ油圧制御導管18の一端が接続され、これらのブレーキ油圧制御導管はそれぞれ、右前輪及び左前輪の制動力を発揮する右前輪用及び左前輪用のホイールシリンダ20FR、20FLに接続されている。右前輪用及び左前輪用のブレーキ油圧制御導管16、18の途中にはそれぞれ通常は開状態(以下これを「常開型」という)の右電磁開閉弁22FR及び左電磁開閉弁22FLが間挿され、また、それぞれ右前輪側及び左前輪側のマスタシリンダ圧を計測する右マスタおよび左マスタ圧力センサ48FR、48FLが設けられている。運転者によってブレーキペダル12が踏まれたとき、ストロークセンサ46によりその踏み込みが検出されるが、ストロークセンサ46の故障を想定し、右マスタおよび左マスタ圧力センサ48FR、48FLによるマスタシリンダ圧の計測によってもブレーキペダル12の踏み込みが検出される。マスタシリンダ圧をふたつの圧力センサで監視するのは、フェイルセイフの観点による。
マスタシリンダ14にはリザーバタンク26が接続され、また、開閉弁23を介してウェットストロークシミュレータ24が接続され、リザーバタンク26には油圧給排導管28の一端が接続される。油圧給排導管28にはモータ32により駆動されるオイルポンプ34が設けられている。オイルポンプ34の吐出側は高圧導管30になっており、アキュムレータ50とリリーフバルブ53が設けられている。アキュムレータ50はオイルポンプ34によって例えば16〜21.5MPaという範囲(以下「制御範囲」という)の高圧にされたブレーキオイルを蓄積する。リリーフバルブ53は、アキュムレータ圧が異常に高く、例えば30MPaといった高圧になったとき開き、油圧給排導管28へ高圧のブレーキオイルを逃がす。
高圧導管30にはアキュムレータ圧を計測するアキュムレータ圧センサ51が設けられる。後述の電子制御ユニット200はアキュムレータ圧センサ51の出力であるアキュムレータ圧を入力し、このアキュムレータ圧が制御範囲に収まるようモータ32を制御する。
高圧導管30は、それぞれ通常は閉じた状態(これを「常閉型」という)にあり、必要なときにホイールシリンダの増圧用に利用される電磁流量制御弁、すなわちリニア弁である増圧弁40FR、40FL、40RR、40RLを介し、右前輪のホイールシリンダ20FR、左前輪のホイールシリンダ20FL、右後輪用のホイールシリンダ20RR、左後輪用のホイールシリンダ20RLに接続されている。以下、増圧弁40FR、40FL、40RR、40RLを総称するときは符号40を用いる。
右前輪のホイールシリンダ20FRと左前輪のホイールシリンダ20FLは、それぞれ常閉型で、必要なときに減圧用に利用される電磁流量制御弁、すなわちリニア弁である減圧弁42FR、42FLを介して油圧給排導管28へ接続されている。また、右後輪用のホイールシリンダ20RR、左後輪用のホイールシリンダ20RLは、それぞれ常開型の減圧弁42RR、42RLを介して油圧給排導管28へ接続されている。
右前輪、左前輪、右後輪、左後輪のホイールシリンダ20FR、20FL、20RR、20RL付近には、それぞれホイールシリンダ内の液圧を計測する右前輪用、左前輪用、右後輪用、左後輪用の圧力センサ44FR、44FL、44RR、44RLが設けられている。
電子制御ユニット200は、電磁開閉弁22FR、22FL、モータ32、4個の増圧弁40FR、40FL、40RR、40RL、および4個の減圧弁42FR、42FL、42RR、42RLを制御する。なお、減圧弁42FR、42FL、42RR、42RLを総称するときは符号42を用いる。電子制御ユニット200はマイクロコンピュータによる演算ユニット202、各種制御プログラムを格納するROM204、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM206を備える。
詳細は図示しないが、演算ユニット202には、右前輪用、左前輪用、右後輪用、左後輪用の圧力センサ44FR、44FL、44RR、44RLより、それぞれ、右前輪のホイールシリンダ20FR内の圧力信号、左前輪のホイールシリンダ20FL内の圧力信号、右後輪用のホイールシリンダ20RR内の圧力信号、左後輪用のホイールシリンダ20RL内の圧力信号(以下、総括的にホイールシリンダ圧信号という)が入力され、ストロークセンサ46よりブレーキペダル12の踏み込みストロークを示す信号(以下ストローク信号という)が入力され、右マスタおよび左マスタ圧力センサ48FR、48FLよりマスタシリンダ圧を示す信号(以下マスタシリンダ圧信号という)、アキュムレータ圧センサ51よりアキュムレータ圧を示す信号(以下アキュムレータ圧信号という)が入力される。
電子制御ユニット200のROM204は所定の制動制御フローを記憶している。演算ユニット202はストローク信号とマスタシリンダ圧信号に基づき車輌の目標減速度を演算し、演算された目標減速度に基づき各輪の目標ホイールシリンダ圧(以下、目標液圧Prefともいう)を演算し、各輪のホイールシリンダ圧(以下、制御液圧Pwcともいう)が目標液圧Prefになるようフィードフォワード制御およびフィードバック制御する。
図2は、演算ユニット202による液圧制御に係る機能ブロック図である。演算ユニット202は、フィードフォワード制御部220とフィードバック制御部222とを有し、目標液圧Prefの入力を受けて、増圧弁40および減圧弁42(以下、これらを単にリニア弁ともいう)に供給する制御電流Iを算出する。制御電流Iにより駆動されたリニア弁40、42の動作により得られた制御液圧Pwcは演算ユニット202にフィードバックされる。
フィードフォワード制御部220は、目標液圧Prefの入力を受け、リニア弁40、42の物理特性および負荷モデルにもとづいて、既知の手法で目標液圧の傾きや開弁電流などからフィードフォワード電流IFを所定のゲインのもとで算出して、出力する。ただし、フィードフォワード制御部220は、フィードフォワード電流IFの算出に当たり、実施の形態に特徴的な方法で、ホイールシリンダ系の液圧に対する性質を反映する。ホイールシリンダ系とは、制動中の増圧モードの際、増圧弁40からホイールシリンダに至る、高圧のブレーキオイルが満たされる空間をいうものとする。
具体的には、1)ホイールシリンダ系の容量が所定の基準容量よりも大きければフィードフォワード電流に容量ベースの補正量ΔI1を乗せ、2)ホイールシリンダ系の液圧に対する初期剛性が所定の基準剛性よりも低い場合にはフィードフォワード電流に剛性ベースの補正量ΔI2を乗せる。液圧で収縮する配管中のゴム部材や、液圧がかかると構造上の孔や隙間からブレーキオイルが内部に進入するようなクリアランスや、液圧がかかると径が大きくなる配管状やタンク状の部材などがあると、液圧に対する初期剛性は低くなる。ふたつの補正は同時に行ってもよく、フィードフォワード制御部220は、以下の計算を内部で実行する。
IF←IF+ΔI1+ΔI2
ここで、「所定の基準容量」と「所定の基準剛性」は、過去に実験で求められているものを利用し、それらの基準値からの差分で補正量を決めればよい。補正量は差分の大小に応じて大小可変であってもよい。ただし当然ながら、基準値からの補正量を求めるほかに、最初から実験で最適なフィードフォワード電流IFの値を導いてもよい。なお、剛性が問題になる部材も、ある程度高い液圧がかかると形状の変化がなくなり、応力等で釣り合いになるため、剛性が問題になるのは比較的液圧が低いときである。このため、本実施の形態のごとく、増圧モードの初期段階で実施されるフィードフォワード制御でホイールシリンダ系の初期剛性を考慮することは有用である。
図2に戻り、減算部234は目標液圧Prefから制御液圧Pwcを減じて液圧差Perrorを出力する。フィードバック制御部222は、減算部234から液圧差Perrorの入力を受け、PID制御等により、液圧差Perrorを0に近づけるためのフィードバック電流IBを所定のゲインのもとで算出して出力する。加算部230はフィードフォワード電流IFとフィードバック電流IBを加算し、リニア弁40、42に供給すべき制御電流Iを算出して出力する。
以上の構成における制動制御の概要を説明する。まず、運転者がイグニションスイッチをオンにする前、すなわち各電磁弁に対する通電前においては、各電磁弁は内蔵しているバネの付勢力により、図1の状態にある。このとき、マスタシリンダ14から大気圧のブレーキオイルが右および左電磁開閉弁22FR、22FLを介して、それぞれ右前輪と左前輪のホイールシリンダ20FR、20FLに達している。一方、右後輪と左後輪のホイールシリンダ20RR、20RLにも、油圧給排導管28と常開型の減圧弁42RR、42RLを介して、リザーバタンク26内の液圧と同じ大気圧のブレーキオイルが到達している。この時点では、4つすべてのホイールシリンダ圧が大気圧であり、制動力は発生しない。ただし、通電前であっても、運転者がブレーキペダル12を踏めば、その踏込力に応じた制動力が右前輪と左前輪のホイールシリンダ20FR、20FLに直接作用し、これら右前輪と左前輪には制動力が生じる。
運転者がイグニションスイッチをオンすると、必要に応じてモータ32が作動し、アキュムレータ圧が適切な高圧となる。この後、通常走行に入ったときも各電磁弁は図1の状態にある。つづいて、運転者がブレーキペダル12を踏むと、まずマスタシリンダ14が押し込まれ、マスタシリンダ14とリザーバタンク26の連通が遮断される。また、右および左電磁開閉弁22FR、22FLが閉じられ、開閉弁23が開かれ、マスタシリンダ14から右前輪および左前輪のホイールシリンダ20FR、20FLへの大気圧のブレーキオイルの連通が遮断される。また、右後輪用、左後輪用の減圧弁42RR、42RLが閉じられ、4個の増圧弁40FR、40FL、40RR、40RLが開けられる。各電磁弁の開度は、後述する各種演算を経て算出された各輪の目標ホイールシリンダ圧をもとに制御される。
図3は制動制御の際に演算する目標液圧Prefと制御の結果出力される制御液圧Pwcの様子を示す。同図の制御は一般的なものであり、同図に本実施の形態に特徴的な処理は明示的には現れないが、本実施の形態はフィードフォワード制御のあとにフィードバック制御が続き、両制御によって制動制御がなされるため、まず制動制御の全体像を説明する。なお、同図は見やすさのために制御液圧Pwcの振る舞いを比較的緩やかに描いている。一般には、制御液圧Pwcの曲線は同図のものよりも小刻みに変動する。
図3において、横軸は時間、縦軸は液圧である。目標液圧Prefは後述のごとく制動要求から各種演算を経て各輪の目標ホイールシリンダ圧Prefとして定まる。一方、制御液圧Pwcは現実のホイールシリンダ圧Pwcである。この制御のために、大まかにいえば、目標液圧Prefを中央値付近に含み、下限圧Plと上限圧Puで定まる幅を不感帯として設ける。制御液圧Pwcが不感帯に入っているときは増圧も減圧もせず、保持モードとして各リニア弁を閉じる。制御液圧Pwcが不感帯の下限圧Plを下回れば増圧弁を開け、制御液圧Pwcを高める。これが増圧モードである。逆に、制御液圧Pwcが不感帯の上限圧Puを上回れば減圧弁を開け、制御液圧Pwcを下げる。これが減圧モードである。ただし、電磁弁の開閉タイミングに関する厳密な説明は図5で行う。
図4は図3の制動制御を実施するプログラムの処理の流れを示す。この制動制御フローは所定の時間間隔で継続的に実行される。制動制御に先立ち、運転者がブレーキペダル12を踏んだとき、まず右および左電磁開閉弁22FR、22FLが閉じられ、開閉弁23が開かれ、マスタシリンダ14から右前輪および左前輪のホイールシリンダ20FR、20FLへの大気圧のブレーキオイルの連通、およびマスタシリンダ14とリザーバタンク26の連通が遮断される。この状態において、まずストローク信号が読み込まれ(S30)、マスタシリンダ圧信号が読み込まれ(S32)、これらの信号から演算ユニット202によって既知の手法で目標減速度が演算される(S34)。
つづいて演算ユニット202は、目標減速度に対する各輪の目標液圧Prefを演算し(S36)、各輪のホイールシリンダ20FR、20FL、20RR、20RL内の液圧Pwcを圧力センサ44FR、44FL、44RR、44RLから読み込む(S38)。以上の情報をもとに各リニア弁を制御する(S40)。すなわち、フィードフォワード制御部220は、S36で求められた目標液圧Prefから、前述の方法により、ホイールシリンダ系の初期剛性等を反映したフィードフォワード電流IFを計算する。一方、フィードバック制御部222は、目標液圧Prefと現実のホイールシリンダ圧である制御液圧Pwcの差からフィードバック電流IBを計算する。フィードフォワード電流IFとフィードバック電流IBは加算され、リニア弁に供給される。
図5(a)は、図3の制動制御の原点付近の拡大図、図5(b)は図5(a)の液圧制御のためにリニア弁に流すべき電流を示す。図5(a)、図5(b)において、記号は以下の意味を有する。
Pf1:フィードフォワード電流の供給を停止する制御液圧
Pf0:フィードフォワード電流の供給を徐減し始める制御液圧
IF:フィードフォワード電流
IB:フィードバック電流
Pwc:制御液圧、ただし圧力センサの出力値
Pwc2:実際にホイールシリンダにおいて発生している液圧
Pref:目標液圧
Pl:増圧側の不感帯の下限値で、増圧を開始する制御液圧
Pl2:増圧側の不感帯に関するパラメータで、増圧を終了する制御液圧
図3では、単に不感帯をPlからPuとしたが、より厳密な制御のために、Pl2というパラメータを導入する。制御液圧PwcがPlを下回ると増圧が開始され、制御液圧PwcがPl2に到達すると増圧を終了する。さらに、制御液圧についても、Pwc2というパラメータを導入する。Pwc2は、実際にホイールシリンダにて発生している液圧である(これを「真の制御液圧Pwc2」とよび、いままでの制御液圧Pwcを必要に応じて「仮の制御液圧Pwc」ともよぶ)。この実施の形態では、真の制御液圧Pwc2を直に計測するセンサはない。いままで説明した制御液圧Pwcは、あくまでもホイールシリンダ圧をアクチュエータ80内部の圧力センサ44FR、44FL、44RR、44RLで計測したものであり、真の制御液圧Pwc2は仮の制御液圧Pwcよりも反応が遅れる。その遅れは、ブレーキオイルが流通し、アキュムレータ系の初期剛性の低い部分が充当されるにしたがって見えなくなる。
まず、制動要求が発生すると、図4の手続により、目標液圧Prefが逐次定まっていく。目標液圧Prefがゼロではなくなる時刻t0においてフィードフォワード制御部220によるフィードフォワード電流IFの供給が開始される。つづいて、制御液圧Pwcが時刻t1でPf0に到達すると、フィードフォワード電流IFが徐減され始め、時刻t2でPf1に到達するとフィードフォワード電流IFが遮断される。時刻t1からt2まで、フィードフォワード電流IFは漸減し、ホイールシリンダ系に対する液圧伝達遅延分をカバーしている。フィードフォワード制御は時刻t2で完了する。真の制御液圧Pwc2は仮の制御液圧Pwcに時刻t3で追いつく。なお、図5(b)では、流すべき電流波形の立ち上がり等を理想化して描いているが、実際には電流の振る舞いは垂直的ではなく、傾斜がつく。
この後、制御液圧Pwcは増圧されず、時刻t4で不感帯の下限Plまで落ちてくる。この時刻にはフィードバック制御部222が動作をはじめ、増圧のためにフィードバック電流IBを流すため、制御液圧Pwcは再度上昇を開始する。時刻t5で制御液圧PwcはPl2に達し、フィードバック電流IBが遮断され、増圧が終了する。以下、フィードバック制御が不感帯との関係で継続して行われる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。本発明はこの実施の形態に限定されることなく、そのさまざまな変形例もまた本発明に含まれることは、当業者には理解されるところである。以下、そうした変形例を説明する。
実施の形態では、フィードフォワード制御のあと、フィードバック制御がある程度時間をおいて発生したが、制御はこれに限る必要はない。フィードフォワード制御とフィードバック制御が時間的に重なってもよい。
実施の形態では、フィードフォワード電流を徐減する期間を設けたが、この期間はなくても足りる場合がある。その場合、フィードフォワード電流の供給を停止する制御液圧Pf1を少し高めにとることで対応可能な場合もある。
実施の形態では、フィードフォワード電流を直線的に徐減したが、当然これは曲線でもよい。ひとつの方法として、徐減の率を高めていく、すなわち上に凸な曲線で徐減してもよい。
以上、実施の形態によれば、ホイールシリンダ系の容量が大きく、または初期剛性が低い場合でも制動要求に良好な応答性が得られる。例えば、対向型キャリパなど、容積が大きなものがホイールシリンダ系にある場合など、本実施の形態による改善効果は大きい。なお、本実施の形態によれば、フィードフォワード電流を適切に流すことが容易となるため、逆に言えば、フィードバック電流の急激な印加による車両の不連続な制動感を回避する効果もある。
実施の形態に係る車両用制動制御装置の全体構成図である。 図1の演算ユニットの内部構成図である。 実施の形態において、現実のホイールシリンダ圧を目標ホイールシリンダ圧に合わせるための制動制御を示す図である。 図3の制動制御の処理を示すフローチャートである。 図5(a)は図3の原点付近の拡大図、図5(b)は図5(a)の制御液圧を実現するためにリニア弁に流す電流を示す図である。
符号の説明
12 ブレーキペダル、 14 マスタシリンダ、 20FR,20FL,20RR,20RL ホイールシリンダ、 22FR 右電磁開閉弁、 22FL 左電磁開閉弁、 26 リザーバタンク、 32 モータ、 34 オイルポンプ、 40FR,40FL,40RR,40RL 増圧弁、 42FR,42FL,42RR,42RL 減圧弁、 44FR,44FL,44RR,44RL 各輪の圧力センサ、 48FR 右マスタ圧力センサ、 48FL 左マスタ圧力センサ、 50 アキュムレータ、 51 アキュムレータ圧センサ、 80 アクチュエータ、 100 油圧システム、 200 電子制御ユニット、 202 演算ユニット、 204 ROM、 206 RAM、 220 フィードフォワード制御部、 222 フィードバック制御部。

Claims (1)

  1. 目標液圧となるように制御液圧を調整する電磁流量制御弁を有する車両用制動制御装置において、
    ホイールシリンダの増圧開始に先立ち、前記電磁流量制御弁と前記ホイールシリンダを結ぶ作動液通路において液圧伝達が開始されるために必要な作動液量が供給されるよう前記電磁流量制御弁へ流すべきフィードフォワード電流を導出する電流演算手段を有し、
    前記電流演算手段は、前記作動液通路および前記ホイールシリンダによって形成される空間の容量と、前記空間の液圧に対する初期剛性とに応じて前記フィードフォワード電流の大きさを定めるとともに、
    前記フィードフォワード電流を停止させるときには前記作動液通路に設けられた液圧センサの出力値が第1制御液圧に到達すると前記フィードフォワード電流の電流値を徐減させ、前記液圧センサの出力値が前記第1制御液圧より大きい第2制御液圧に到達すると前記フィードフォワード電流を停止させることを特徴とする車両用制動制御装置。
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