JP6540641B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制動装置に関する。
車両用制動装置は、一例として、マスタシリンダ内に摺動可能に配置されたピストンを駆動させるピストン駆動部と、マスタシリンダに形成されたマスタ室とホイールシリンダとの間に配置され、ピストンの駆動に応じて発生するマスタ室内の液圧であるマスタ圧に基づいて、ホイールシリンダ内の液圧であるホイール圧を調圧するアクチュエータと、ブレーキ操作を検出する検出部と、を備えている。通常、ピストンの駆動を制御してマスタ圧を増減圧する車両用制動装置においては、コスト削減等の観点からアクチュエータに加圧機能がなく、ホイール圧の増圧はマスタ圧の増圧が前提で実現されている。つまり、この構成では、加圧源はピストン駆動部のみとなる。このようなピストン駆動部とアクチュエータを備える車両用制動装置としては、例えば特開2015−85872号公報に記載されている。
特開2015−85872号公報
しかしながら、上記のような加圧源が1つである構成では、システムとして加圧構成の冗長性に乏しい。そこで、本発明者は、アクチュエータに加圧機能を持たせ、ピストン駆動部とアクチュエータの2つの加圧源によりホイール圧を発生させる構成を新たに開発した。
ここで、上記のように上下流の両側に加圧源がある構成では、異なる2つの加圧源を制御するために、独立した2つの制御部(例えばECU)が設けられる。したがって、例えば横滑り防止制御、ABS制御、又は回生協調制御等の制御が実行される場合に、上下流間での加圧量の調整が複雑になる可能性がある。また一方で、このような構成であっても、急制動操作時には、高い応答性が求められる。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、上下流間での加圧量の調整を容易にするとともに、急制動操作時の応答性を向上させることができる車両用制動装置を提供することを目的とする。
本発明の車両用制動装置は、マスタシリンダ内に摺動可能に配置されたピストンを駆動させるピストン駆動部と、前記マスタシリンダに形成されたマスタ室とホイールシリンダとの間に配置され、前記ピストンの移動に応じて発生する前記マスタ室内の液圧であるマスタ圧に基づいて、前記ホイールシリンダ内の液圧であるホイール圧を調整するアクチュエータと、ブレーキ操作に関する情報を検出する検出部と、を備える車両用制動装置において、前記検出部の検出結果に基づき、前記ブレーキ操作が急制動操作に該当するか否かを判定する判定部と、前記検出部に接続され、前記アクチュエータに対する制御を実行する第1制御部と、前記検出部に接続され、前記ピストン駆動部に対する制御を実行する第2制御部と、をさらに備え、前記アクチュエータは、前記ホイール圧を加圧可能に構成され、前記第1制御部と前記第2制御部とは、通信可能に接続されており、前記第1制御部及び前記第2制御部の一方は、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記ホイール圧の目標値である第1目標ホイール圧を算出し、前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、前記第1制御部及び前記第2制御部の他方は、前記判定部の判定結果が否定的である場合には、前記第1制御部及び前記第2制御部の一方から受信した前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、前記判定部の判定結果が肯定的である場合には、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記ホイール圧の目標値である第2目標ホイール圧を算出し、前記第2目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行する。
本発明によれば、ブレーキ操作が急制動操作に該当しない場合、制御部間の通信により、第1制御部及び第2制御部の目標ホイール圧は、一方の制御部で演算された第1目標ホイール圧で共通化される。これにより、横滑り防止制御等の各種制御が実行された際でも、上下流の液圧が実質1つの目標値で制御されているため、上下流間での加圧量の調整は容易となる。また一方で、ブレーキ操作が急制動操作に該当する場合には、各制御部が、取得した検出部の検出結果に基づいて独自に目標ホイール圧を算出し、当該算出結果に基づいて対応する装置を制御する。つまり、制御部間で通信される情報によらずに、各装置の制御が実行される。これにより、通信により発生する受信側制御部の情報取得の遅れが応答性に影響することは、排除される。つまり、本発明によれば、急制動操作時の応答性を向上させることができる。
第一実施形態の車両用制動装置の構成を示す構成図である。 第一実施形態のアクチュエータの構成を示す構成図である。 差圧制御弁を説明するための概念図である。 第一実施形態の目標ホイール圧の設定を説明するための説明図である。 第一実施形態の第2目標ホイール圧の勾配補正を説明するための説明図である。 第一実施形態の目標ホイール圧の設定の流れを説明するためのフローチャートである。 第二実施形態の第2目標ホイール圧の勾配補正を説明するための説明図である。 第三実施形態の第1ECU及び第2ECUの構成を示す構成図である。 第三実施形態の第1目標ホイール圧の嵩上げ処理を説明するための説明図である。 第一実施形態の変形態様における目標ホイール圧の設定を説明するための説明図である。 第一実施形態の変形態様を説明するための説明図である。
以下、本発明に係る車両用制動装置を車両に適用した一実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図面は概念図である。また、図1において、各種センサとECUとをつなぐ通信線の一部は、図示が省略されている。
第一実施形態の車両用制動装置100は、図1に示すように、ブレーキペダル11と、ストロークセンサ(「検出部」に相当する)11cと、マスタシリンダ12と、ストロークシミュレータ部13と、リザーバ14と、倍力機構(「ピストン駆動部」に相当する)15と、アクチュエータ5と、第1ECU(「第1制御部」に相当する)6と、第2ECU(「第2制御部」に相当する)7と、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrr(以下、まとめてホイールシリンダWCとも称する)と、を備えている。
ホイールシリンダWCは、車輪W(Wfl、Wfr、Wrl、Wrr)の回転を規制するものであり、キャリパCLに設けられている。ホイールシリンダWCは、アクチュエータ5からブレーキ液が供給され、ホイールシリンダWC内の液圧であるホイール圧に基づいて車両の車輪Wに制動力を付与する制動力付与機構である。ホイールシリンダWCにブレーキ液が供給されると、ホイールシリンダWCの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して車輪Wと一体回転する回転部材であるディスクロータDRを両側から挟み、その回転を規制する。なお、第一実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。
ブレーキペダル11は、ブレーキ操作部材の一種であり、操作ロッド11aを介してストロークシミュレータ部13およびマスタシリンダ12に接続されている。
ブレーキペダル11の近傍には、ブレーキペダル11の踏み込みによるブレーキ操作状態であるブレーキペダルストローク(操作量:以下、ストロークという場合もある。)を検出するストロークセンサ11cが設けられている。このストロークセンサ11cは、各ECU7に接続されており、検出信号(検出結果)が各ECU7に個別の通信線を介して出力されるように構成されている。
マスタシリンダ12は、ブレーキペダル11の操作量に応じてブレーキ液をアクチュエータ5に供給するものであり、シリンダボディー12a、入力ピストン12b、第一マスタピストン12c、および第二マスタピストン12d等により構成されている。
シリンダボディー12aは、有底略円筒状に形成されている。シリンダボディー12aの内周部には、内向きフランジ状に突出する隔壁部12a2が設けられている。隔壁部12a2の中央には、前後方向に貫通する貫通孔12a3が形成されている。シリンダボディー12aの内周部には、隔壁部12a2より前方の部分に、軸方向に沿って液密かつ移動可能に第一マスタピストン12cおよび第二マスタピストン12dが配設されている。
シリンダボディー12aの内周部には、隔壁部12a2より後方の部分に、軸方向に沿って液密かつ移動可能に入力ピストン12bが配設されている。入力ピストン12bは、ブレーキペダル11の操作に応じてシリンダボディー12a内を摺動するピストンである。
入力ピストン12bには、ブレーキペダル11に連動する操作ロッド11aが接続されている。入力ピストン12bは、圧縮スプリング11bによって第一液圧室R3を拡張する方向すなわち後方(図面右方向)に付勢されている。ブレーキペダル11が踏み込み操作されたとき、操作ロッド11aは、圧縮スプリング11bの付勢力に抗して前進する。操作ロッド11aの前進に伴い、入力ピストン12bも連動して前進する。なお、ブレーキペダル11の踏み込み操作が解除されたとき、入力ピストン12bは、圧縮スプリング11bの付勢力によって後退し、規制凸部12a4に当接して位置決めされる。
第一マスタピストン12cは、前方側から順番に加圧筒部12c1、フランジ部12c2、および突出部12c3が一体となって形成されている。加圧筒部12c1は、前方に開口を有する有底略円筒状に形成され、シリンダボディー12aの内周面との間に液密かつ摺動可能に配設されている。加圧筒部12c1の内部空間には、第二マスタピストン12dとの間に付勢部材であるコイルスプリング12c4が配設されている。コイルスプリング12c4により、第一マスタピストン12cは後方に付勢されている。換言すると、第一マスタピストン12cは、コイルスプリング12c4により後方に付勢され、最終的に規制凸部12a5に当接して位置決めされる。この位置が、ブレーキペダル11の踏み込み操作が解除されたときの原位置(予め設定されている)である。
フランジ部12c2は、加圧筒部12c1よりも大径に形成されており、シリンダボディー12a内の大径部12a6の内周面に液密かつ摺動可能に配設されている。突出部12c3は、加圧筒部12c1よりも小径に形成されており、隔壁部12a2の貫通孔12a3に液密に摺動するように配置されている。突出部12c3の後端部は、貫通孔12a3を通り抜けてシリンダボディー12aの内部空間に突出し、シリンダボディー12aの内周面から離間している。突出部12c3の後端面は、入力ピストン12bの底面から離間し、その離間距離は変化し得るように構成されている。
第二マスタピストン12dは、シリンダボディー12a内の第一マスタピストン12cの前方側に配置されている。第二マスタピストン12dは、前方に開口を有する有底略円筒状に形成されている。第二マスタピストン12dの内部空間には、シリンダボディー12aの内底面との間に、付勢部材であるコイルスプリング12d1が配設されている。コイルスプリング12d1により、第二マスタピストン12dは後方に付勢されている。換言すると、第二マスタピストン12dは、設定された原位置に向けてコイルスプリング12d1により付勢されている。
また、マスタシリンダ12には、第一マスタ室R1、第二マスタ室R2、第一液圧室R3、第二液圧室R4、およびサーボ室(液圧室)R5が形成されている。説明において、第一マスタ室R1及び第二マスタ室R2は、まとめてマスタ室R1、R2と記載する場合がある。第一マスタ室R1は、シリンダボディー12aの内周面、第一マスタピストン12c(加圧筒部12c1の前側)、および第二マスタピストン12dによって、区画形成されている。第一マスタ室R1は、ポートPT4に接続されている油路21を介してリザーバ14に接続されている。また、第一マスタ室R1は、ポートPT5に接続されている油路22を介してアクチュエータ5に接続されている。
第二マスタ室R2は、シリンダボディー12aの内周面、および第二マスタピストン12dの前側によって、区画形成されている。第二マスタ室R2は、ポートPT6に接続されている油路23を介してリザーバ14に接続されている。また、第二マスタ室R2は、ポートPT7に接続されている油路24を介してアクチュエータ5に接続されている。
第一液圧室R3は、隔壁部12a2と入力ピストン12bとの間に形成されており、シリンダボディー12aの内周面、隔壁部12a2、第一マスタピストン12cの突出部12c3、および入力ピストン12bによって区画形成されている。第二液圧室R4は、第一マスタピストン12cの加圧筒部12c1の側方に形成されており、シリンダボディー12aの内周面の大径部12a6の内周面、加圧筒部12c1、およびフランジ部12c2によって区画形成されている。第一液圧室R3は、ポートPT1に接続されている油路25およびポートPT3を介して第二液圧室R4に接続されている。
サーボ室R5は、隔壁部12a2と第一マスタピストン12cの加圧筒部12c1との間に形成されており、シリンダボディー12aの内周面、隔壁部12a2、第一マスタピストン12cの突出部12c3、および加圧筒部12c1によって区画形成されている。サーボ室R5は、ポートPT2に接続されている油路26を介して出力室R12に接続されている。
圧力センサ26aは、サーボ室R5に供給されるサーボ圧を検出するセンサであり、油路26に接続されている。圧力センサ26aは、検出信号(検出結果)を各ECU6、7に送信する。圧力センサ26aで検出されるサーボ圧は、サーボ室R5の液圧の実際値であり、以下、実サーボ圧(実液圧)と称する。
ストロークシミュレータ部13は、シリンダボディー12aと、入力ピストン12bと、第一液圧室R3と、第一液圧室R3と連通されているストロークシミュレータ13aとを備えている。
第一液圧室R3は、ポートPT1に接続された油路25,27を介してストロークシミュレータ13aに連通している。なお、第一液圧室R3は、図示しない接続油路を介してリザーバ14に連通している。
ストロークシミュレータ13aは、ブレーキペダル11の操作状態に応じた大きさのストローク(反力)をブレーキペダル11に発生させるものである。ストロークシミュレータ13aは、シリンダ部13a1、ピストン部13a2、反力液圧室13a3、およびスプリング13a4を備えている。ピストン部13a2は、ブレーキペダル11を操作するブレーキ操作に伴ってシリンダ部13a1内を液密に摺動する。反力液圧室13a3は、シリンダ部13a1とピストン部13a2との間に区画されて形成されている。反力液圧室13a3は、接続された油路27,25を介して第一液圧室R3および第二液圧室R4に連通している。スプリング13a4は、ピストン部13a2を反力液圧室13a3の容積を減少させる方向に付勢する。
なお、油路25には、ノーマルクローズタイプの電磁弁である第一電磁弁25aが設けられている。油路25とリザーバ14とを接続する油路28には、ノーマルオープンタイプの電磁弁である第二電磁弁28aが設けられている。第一電磁弁25aが閉状態であるとき、第一液圧室R3と第二液圧室R4とが遮断される。これにより、入力ピストン12bと第一マスタピストン12cとが一定の離間距離を保って連動する。また、第一電磁弁25aが開状態であるとき、第一液圧室R3と第二液圧室R4とが連通される。これにより、第一マスタピストン12cの進退に伴う第一液圧室R3および第二液圧室R4の容積変化が、ブレーキ液の移動により吸収される。
また、油路25には、圧力センサ(「検出部」に相当する)25bが設置されている。圧力センサ25bは、第二液圧室R4および第一液圧室R3の反力液圧を検出するセンサである。圧力センサ25bは、ブレーキペダル11に対する操作力を検出する操作力センサでもあり、ブレーキペダル11の操作量と相互関係を有する。圧力センサ25bは、第一電磁弁25aが閉状態の場合には第二液圧室R4の圧力を検出し、第一電磁弁25aが開状態の場合には連通された第一液圧室R3の圧力(または反力液圧)も検出することになる。圧力センサ25bは、検出信号(検出結果)を各ECU6、7に送信する。
(倍力機構)
倍力機構15は、ブレーキペダル11の操作量に応じたサーボ圧を発生するものである。倍力機構15は、入力された入力圧(第一実施形態ではパイロット圧)が作用して出力圧(第一実施形態ではサーボ圧)を出力する液圧発生装置である。倍力機構15は、レギュレータ15aおよび圧力供給装置15bを備えている。
レギュレータ15aは、シリンダボディー15a1と、シリンダボディー15a1内を摺動するスプール15a2とを有して構成されている。レギュレータ15aには、パイロット室R11、出力室R12、および第三液圧室R13が形成されている。
パイロット室R11は、シリンダボディー15a1、およびスプール15a2の第二大径部15a2bの前端面によって区画形成されている。パイロット室R11は、ポートPT11に接続されている減圧弁15b6および増圧弁15b7に(油路31に)接続されている。また、シリンダボディー15a1の内周面には、スプール15a2の第二大径部15a2bの前端面が当接して位置決めされる規制凸部15a4が設けられている。
出力室R12は、シリンダボディー15a1、およびスプール15a2の小径部15a2c、第二大径部15a2bの後端面、および第一大径部15a2aの前端面によって区画形成されている。出力室R12は、ポートPT12に接続されている油路26およびポートPT2を介してマスタシリンダ12のサーボ室R5に接続されている。また、出力室R12は、ポートPT13に接続されている油路32を介してアキュムレータ15b2に接続可能である。
第三液圧室R13は、シリンダボディー15a1、およびスプール15a2の第一大径部15a2aの後端面によって区画形成されている。第三液圧室R13は、ポートPT14に接続されている油路33を介してリザーバ15b1に接続可能である。また、第三液圧室R13内には、第三液圧室R13を拡張する方向に付勢するスプリング15a3が配設されている。
スプール15a2は、第一大径部15a2a、第二大径部15a2bおよび小径部15a2cを備えている。第一大径部15a2aおよび第二大径部15a2bは、シリンダボディー15a1内を液密に摺動するように構成されている。小径部15a2cは、第一大径部15a2aと第二大径部15a2bとの間に配設されるとともに、第一大径部15a2aと第二大径部15a2bとに一体的に形成されている。小径部15a2cは、第一大径部15a2aおよび第二大径部15a2bより小径に形成されている。
また、スプール15a2には、出力室R12と第三液圧室R13とを連通する連通路15a5が形成されている。
圧力供給装置15bは、スプール15a2を駆動させる駆動部でもある。圧力供給装置15bは、低圧力源であるリザーバ15b1と、高圧力源でありブレーキ液(「流体」に相当する)を蓄圧するアキュムレータ15b2と、リザーバ15b1のブレーキ液を吸入しアキュムレータ15b2に圧送するポンプ15b3と、ポンプ15b3を駆動させる電動モータ15b4と、を備えている。リザーバ15b1は大気に開放されており、リザーバ15b1の液圧は大気圧と同じである。低圧力源は高圧力源よりも低圧である。圧力供給装置15bは、アキュムレータ15b2から供給されるブレーキ液の圧力を検出して第2ECU7に出力する圧力センサ15b5を備えている。
さらに、圧力供給装置15bは、減圧弁15b6と増圧弁15b7とを備えている。具体的に、減圧弁15b6は、非通電状態で開く構造(ノーマルオープンタイプ)の電磁弁であり、第2ECU7の指令により流量が制御されている。減圧弁15b6の一方は油路31を介してパイロット室R11に接続され、減圧弁15b6の他方は油路34を介してリザーバ15b1に接続されている。増圧弁15b7は、非通電状態で閉じる構造(ノーマルクローズタイプ)の電磁弁であり、第2ECU7の指令により流量が制御されている。増圧弁15b7の一方は油路31を介してパイロット室R11に接続され、増圧弁15b7の他方は、油路35および油路35が接続されている油路32を介してアキュムレータ15b2に接続されている。
ここで、レギュレータ15aの作動について簡単に説明する。減圧弁15b6および増圧弁15b7からパイロット室R11にパイロット圧(パイロット室R11の液圧)が供給されていない場合、スプール15a2はスプリング15a3によって付勢されて原位置にある(図1参照)。スプール15a2の原位置は、スプール15a2の前端面が規制凸部15a4に当接して位置決め固定される位置であり、スプール15a2の後端面がポートPT14を閉塞する直前の位置である。
このように、スプール15a2が原位置にある場合、ポートPT14とポートPT12とは連通路15a5を介して連通するとともに、ポートPT13はスプール15a2によって閉塞されている。
減圧弁15b6および増圧弁15b7によってブレーキペダル11の操作量に応じて形成されるパイロット圧が増大される場合、スプール15a2は、スプリング15a3の付勢力に抗して後方(図1の右方)に向かって移動する。そうすると、スプール15a2は、スプール15a2によって閉塞されていたポートPT13が開放される位置まで移動する。また、開放されていたポートPT14はスプール15a2によって閉塞される。この状態のスプール15a2の位置を「増圧位置」とする。このとき、ポートPT13とポートPT12とは、出力室R12を介して連通する。
そして、スプール15a2の第二大径部15a2bの前端面の押圧力と、サーボ圧に対応する力およびスプリング15a3の付勢力の合力とがつりあうことで、スプール15a2は位置決めされる。このとき、スプール15a2の位置を「保持位置」とする。保持位置において、ポートPT13とポートPT14とがスプール15a2によって閉塞される。
また、減圧弁15b6および増圧弁15b7によってブレーキペダル11の操作量に応じて形成されるパイロット圧が減少される場合、保持位置にあったスプール15a2は、スプリング15a3の付勢力によって前方に向かって移動する。そうすると、スプール15a2によって閉塞されていたポートPT13は、閉塞状態が維持される。また、閉塞されていたポートPT14は開放される。この状態のスプール15a2の位置を「減圧位置」とする。このとき、ポートPT14とポートPT12とは連通路15a5を介して連通する。
上述した倍力機構15は、減圧弁15b6および増圧弁15b7によってブレーキペダル11のストロークに応じてパイロット圧を形成し、そのパイロット圧によってブレーキペダル11のストロークに応じたサーボ圧を発生させる。発生したサーボ圧は、マスタシリンダ12のサーボ室R5に供給され、マスタシリンダ12は、ブレーキペダル11のストロークに応じて発生されるマスタ圧をホイールシリンダWCに供給する。減圧弁15b6および増圧弁15b7は、サーボ室R5に対するブレーキ液の流入出を調整する弁部を構成している。
このように、第一実施形態の車両用制動装置100は、バイワイヤ方式で構成されている。つまり、車両用制動装置100は、ブレーキペダル(ブレーキ操作部材)11の操作とは独立してマスタ圧の調整が可能である構成であり、マスタ圧の変動がブレーキペダル11に直接影響しない構成となっている。
(アクチュエータ)
アクチュエータ5は、第2ECU7の指示に応じて、ホイールシリンダWCの液圧(ホイール圧)を調整する装置である。具体的に、アクチュエータ5は、図2に示すように、油圧回路5Aと、モータ8と、を備えている。油圧回路5Aは、第1配管系統50aと、第2配管系統50bと、を備えている。第1配管系統50aは、後輪Wrl、Wrrに加えられる液圧(ホイール圧)を制御する系統である。第2配管系統50bは、前輪Wfl、Wfrに加えられる液圧(ホイール圧)を制御する系統である。また、各車輪Wに対して、車輪速度センサSが設置されている。
第1配管系統50aは、主管路Aと、差圧制御弁51と、増圧弁52、53と、減圧管路Bと、減圧弁54、55と、調圧リザーバ56と、還流管路Cと、ポンプ57と、補助管路Dと、オリフィス部41と、ダンパ部42と、を備えている。説明において、管路は、例えば液圧路、流路、油路、又は配管等に置換可能である。
主管路Aは、油路24とホイールシリンダWCrl、WCrrとを接続する管路である。差圧制御弁51は、主管路Aに設けられ、主管路Aを連通状態と差圧状態に制御する電磁弁である。差圧状態は、弁により流路が制限された状態であり、絞り状態ともいえる。差圧制御弁51は、第1ECU6の指示に基づく制御電流に応じて、自身を中心としたマスタシリンダ12側の液圧とホイールシリンダWCrl、WCrr側の液圧との差圧(以下、「第一差圧」とも称する)を制御する。換言すると、差圧制御弁51は、主管路Aのマスタシリンダ12側の部分の液圧と主管路AのホイールシリンダWCrl、WCrr側の部分の液圧との差圧を制御可能に構成されている。
差圧制御弁51は、非通電状態で連通状態となるノーマルオープンタイプである。差圧制御弁51に印加される制御電流が大きいほど、第一差圧は大きくなる。差圧制御弁51が差圧状態に制御されてポンプ57が駆動している場合、制御電流に応じて、マスタシリンダ12側の液圧よりもホイールシリンダWCrl、WCrr側の液圧のほうが大きくなる。
差圧制御弁51に対しては、逆止弁51aが設置されている。主管路Aは、ホイールシリンダWCrl、WCrrに対応するように、差圧制御弁51の下流側の分岐点Xで2つの管路A1、A2に分岐している。
ここで、差圧制御弁51の構成について概念的に説明する。図3に示すように、差圧制御弁51は、主に、弁座511と、ボール弁512と、スプリング513と、ソレノイド514と、流路51Aと、を備えている。差圧制御弁51は、弁座511に対してボール弁512が着座すると流路51Aが遮断され、離座すると流路51Aが連通するように構成されている。流路51Aは、差圧制御弁51のマスタシリンダ12側の管路と差圧制御弁51のホイールシリンダWCrl、WCrr側の管路とを接続する流路である。ボール弁512は、弁座511のマスタシリンダ12側に配置され、弁座511から離座した状態でスプリング513に固定されている。ボール弁512は、ソレノイド514に制御電流が印加されると、電磁力により弁座511側が押圧される。ボール弁512が電磁力により弁座511に当接(着座)すると、流路51Aは遮断される。ボール弁512は、ソレノイド514に制御電流が印加されていない状態では、スプリング513により初期位置に戻され、流路51Aは連通する。
差圧制御弁51が差圧状態、すなわち目標差圧に応じた制御電流が印加された状態において、ポンプ57が駆動された場合を考える。この場合、差圧制御弁51のホイールシリンダWCrl、WCrr側の液圧が、差圧制御弁51のマスタシリンダ12側の液圧よりも大きく且つ当該差圧が目標差圧よりも大きくなると、ボール弁512に対する当該差圧による押圧力が電磁力による押圧力よりも大きくなり、ボール弁512が若干マスタシリンダ12側に移動して離座する。それにより、ボール弁512の離座によりブレーキ液が流路51Aを通ってマスタシリンダ12側に移動し、ホイールシリンダWCrl、WCrr側の液圧が減少する。そして、差圧による押圧力が下がり、またボール弁512が着座する。これを繰り返すことで、目標差圧が維持される。
増圧弁52、53は、第1ECU6の指示により開閉する電磁弁であって、非通電状態で開状態(連通状態)となるノーマルオープンタイプの電磁弁である。増圧弁52は管路A1に配置され、増圧弁53は管路A2に配置されている。増圧弁52、53は、増圧制御時に非通電状態で開状態となってホイールシリンダWCと分岐点Xと連通させ、保持制御及び減圧制御時に通電されて閉状態となりホイールシリンダWCと分岐点Xとを遮断する。なお、増圧弁52、53は、差圧制御弁51同様、第1ECU6の指示に基づき連通状態と差圧状態とが切り替わる電磁弁であっても良い。この場合、増圧弁52、53は、例えば、図3における「ホイールシリンダ側」が「差圧制御弁側」となり、「マスタシリンダ側」が「ホイールシリンダ側」となるように配置される。
減圧管路Bは、管路A1における増圧弁52とホイールシリンダWCrlの間と調圧リザーバ56とを接続し、管路A2における増圧弁53とホイールシリンダWCrrの間と調圧リザーバ56とを接続する管路である。増圧弁52、53は、例えば、減圧制御時には、閉状態に制御され、マスタシリンダ12とホイールシリンダWCrl、WCrrを遮断する。
減圧弁54、55は、第1ECU6の指示により開閉する電磁弁であって、非通電状態で閉状態(遮断状態)となるノーマルクローズタイプの電磁弁である。減圧弁54は、ホイールシリンダWCrl側の減圧管路Bに配置されている。減圧弁55は、ホイールシリンダWCrr側の減圧管路Bに配置されている。減圧弁54、55は、主に減圧制御時に通電されて開状態となり、減圧管路Bを介してホイールシリンダWCrl、WCrrと調圧リザーバ56とを連通させる。調圧リザーバ56は、シリンダ、ピストン、及び付勢部材を有するリザーバである。
還流管路Cは、減圧管路B(又は調圧リザーバ56)と、主管路Aにおける差圧制御弁51と増圧弁52、53の間(ここでは分岐点X)とを接続する管路である。ポンプ57は、吐出ポートが分岐点X側で吸入ポートが調圧リザーバ56側に配置されるように、還流管路Cに設けられている。ポンプ57は、モータ8によって駆動されるピストン式の電動ポンプである。ポンプ57は、還流管路Cを介して、調圧リザーバ56からマスタシリンダ12側又はホイールシリンダWCrl、WCrr側にブレーキ液を流動させる。
ポンプ57は、ブレーキ液を吐出する吐出過程と、ブレーキ液を吸入する吸入過程と、を繰り返すように構成されている。つまり、ポンプ57は、モータ8により駆動されると、吐出過程と吸入過程とを交互に繰り返して実行する。吐出過程では、吸入過程で調圧リザーバ56から吸入したブレーキ液が、分岐点Xに供給される。モータ8は、第1ECU6の指示により、リレー(図示せず)を介して通電され、駆動する。ポンプ57とモータ8は、併せて電動ポンプともいえる。なお、ポンプ57は、車両起動中、常時駆動させても良い。
オリフィス部41は、還流管路Cのポンプ57と分岐点Xとの間の部分に設けられた、絞り形状部位(いわゆるオリフィス)である。ダンパ部42は、還流管路Cのポンプ57とオリフィス部41との間の部分に接続されたダンパ(ダンパ機構)である。ダンパ部42は、還流管路Cのブレーキ液の脈動に応じて、当該ブレーキ液を吸収・吐出する。オリフィス部41及びダンパ部42は、脈動を低減(減衰、吸収)する脈動低減機構といえる。
補助管路Dは、調圧リザーバ56の調圧孔56aと、主管路Aにおける差圧制御弁51よりも上流側(又はマスタシリンダ12)とを接続する管路である。調圧リザーバ56は、ストローク増加による調圧孔56aへのブレーキ液の流入量増加に伴い、弁孔56bが閉塞されるように構成されている。弁孔56bの管路B、C側にはリザーバ室56cが形成される。
ポンプ57の駆動により、調圧リザーバ56又はマスタシリンダ12内のブレーキ液が、還流管路Cを介して主管路Aにおける差圧制御弁51と増圧弁52、53の間の部分(分岐点X)に吐出される。そして、差圧制御弁51及び増圧弁52、53の制御状態に応じて、ホイール圧が加圧される。このようにアクチュエータ5では、ポンプ57の駆動と各種弁の制御により加圧制御が実行される。つまり、アクチュエータ5は、ホイール圧を加圧可能に構成されている。なお、主管路Aの差圧制御弁51とマスタシリンダ12の間の部分には、当該部分の液圧(マスタ圧)を検出する圧力センサYが設置されている。圧力センサYは、検出結果を第1ECU6及び第2ECU7に送信する。
第2配管系統50bは、第1配管系統50aと同様の構成であって、前輪Wfl、WfrのホイールシリンダWCfl、WCfrの液圧を調整する系統である。第2配管系統50bは、主管路Aに相当し油路22とホイールシリンダWCfl、Wfrとを接続する主管路Abと、差圧制御弁51に相当する差圧制御弁91と、増圧弁52、53に相当する増圧弁92、93と、減圧管路Bに相当する減圧管路Bbと、減圧弁54、55に相当する減圧弁94、95と、調圧リザーバ56に相当する調圧リザーバ96と、還流管路Cに相当する還流管路Cbと、ポンプ57に相当するポンプ97と、補助管路Dに相当する補助管路Dbと、オリフィス部41に相当するオリフィス部43と、ダンパ部42に相当するダンパ部44と、を備えている。第2配管系統50bの詳細構成については、第1配管系統50aの説明を参照できるため、説明を省略する。なお、配管構成は、X配管でも前後配管でも良い。
アクチュエータ5によるホイール圧の調圧は、マスタ圧をホイールシリンダWCに提供する増圧制御、ホイールシリンダWCを密閉する保持制御、ホイールシリンダWC内のフルードを調圧リザーバ56に流出させる減圧制御、又は差圧制御弁51による絞りとポンプ57の駆動によりホイール圧を加圧する加圧制御を実行することで為されている。
(ECU)
第1ECU6は、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットである。第1ECU6は、ホイール圧の目標値である目標ホイール圧に基づいて、アクチュエータ5に対する制御を実行する。第1ECU6は、目標ホイール圧に基づいて、アクチュエータ5に対して、増圧制御、減圧制御、保持制御、又は加圧制御を実行する。
ホイールシリンダWCrlに対する制御を例に第1ECU6による各制御状態について簡単に説明すると、増圧制御では、差圧制御弁51及び増圧弁52が開状態となり、減圧弁54が閉状態となる。減圧制御では、増圧弁52が閉状態となり、減圧弁54が開状態となる。保持制御では、増圧弁52及び減圧弁54が閉状態となる。加圧制御では、差圧制御弁51が差圧状態(絞り状態)となり、増圧弁52が開状態となり、減圧弁54が閉状態となり、ポンプ57が駆動する。
第1ECU6には、ストロークセンサ11c、圧力センサY、25b、及び車輪速度センサS等の各種センサが接続されている。第1ECU6は、これらセンサから、ストローク情報、マスタ圧情報、反力液圧情報、及び車輪速度情報等を取得する。各種センサと第1ECU6とは、例えば通信線(CAN通信)により接続されている。第1ECU6は、状況や要求に応じて、アクチュエータ5に対し、横滑り防止制御やABS制御を実行する。また、第1ECU6は、例えば通信線により、第2ECU7と通信可能に接続されている。第1ECU6における目標ホイール圧の設定については後述する。
第2ECU7は、第1ECU6同様、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットである。第2ECU7は、ホイール圧の目標値である目標ホイール圧に基づいて、倍力機構15に対する制御を実行する。第2ECU7は、目標ホイール圧に基づいて、倍力機構15に対して、増圧制御、減圧制御、又は保持制御を実行する。ホイールシリンダWCrlに対する制御を例に第2ECU7の各制御について簡単に説明すると、増圧制御では、増圧弁15b7が開状態となり、減圧弁15b6が閉状態となる。減圧制御では、増圧弁15b7が閉状態となり、減圧弁15b6が開状態となる。保持制御では、増圧弁15b7及び減圧弁15b6が閉状態となる。
第2ECU7には、ストロークセンサ11c、圧力センサY、25b、26a、15b5、及び車輪速度センサS等の各種センサが接続されている。第2ECU7は、これらセンサから、ストローク情報、マスタ圧情報、反力液圧情報、サーボ圧情報、及び車輪速度情報等を取得する。上記センサと第2ECU7とは、例えば通信線により接続されている。第2ECU7における目標ホイール圧の設定についても後述する。なお、第一実施形態において、ストロークセンサ11cと第1ECU6とは例えば通信線Z1で接続され、ストロークセンサ11cと第2ECU7とは例えば通信線Z2で接続され、第1ECU6と第2ECU7とは通信線Z3で接続されている。その他の通信線については、図1での表示を省略する。
このように、第一実施形態の車両用制動装置100は、マスタシリンダ12内に摺動可能に配置されたマスタピストン12c、12dを駆動させる倍力機構15と、マスタシリンダ12に形成されたマスタ室R1、R2とホイールシリンダWCとの間に配置され、マスタピストン12c、12dの移動に応じて発生するマスタ室R1、R2内の液圧であるマスタ圧に基づいて、ホイールシリンダWC内の液圧であるホイール圧を調整するアクチュエータ5と、ブレーキ操作に関する情報を検出するストロークセンサ11c及び圧力センサ25bと、ストロークセンサ11c及び圧力センサ25bに接続され、アクチュエータ5に対する制御を実行する第1ECU6と、ストロークセンサ11c及び圧力センサ25bに接続され、倍力機構15に対する制御を実行する第2ECU7と、を備えている。
(目標ホイール圧の設定)
ここで、第1ECU6及び第2ECU7における目標ホイール圧の設定について説明する。第1ECU6は、機能として、目標演算部61と、ホイール圧推定部62と、作動制御部63と、送信部64と、を備えている。
目標演算部61は、取得したストロークセンサ11c及び/又は圧力センサ25bの検出結果に基づいて、第1目標ホイール圧を算出する。目標演算部61には、例えば、ストローク(及び/又は反力液圧)と第1目標ホイール圧との関係を示す第1マップが記憶されている。
ホイール圧推定部62は、主に圧力センサYから受信したマスタ圧情報とアクチュエータ5の制御状態とに基づいて、現在のホイール圧を推定する。つまり、ホイール圧推定部62は、推定ホイール圧を算出する。作動制御部63は、基本的に、第1目標ホイール圧と推定ホイール圧とに基づいて、推定ホイール圧が第1目標ホイール圧に近づくように、アクチュエータ5の各部を制御する。送信部64は、目標演算部61が算出した第1目標ホイール圧を第2ECU7に送信する。信号(情報)は同期クロックに合わせて周期的に送信される。
第2ECU7は、機能として、判定部71と、目標演算部72と、作動制御部73と、目標補正部74と、を備えている。判定部71は、受信したストロークセンサ11cの検出結果(ストローク情報)、圧力センサ25bの検出結果(反力液圧情報)、及び車輪速度センサSの検出結果(車輪速度情報)に基づいて、ブレーキ操作が急制動操作に該当するか否かを判定する。
具体的に、判定部71は、開始判定条件が満たされた場合に、ブレーキ操作が急制動操作に該当すると判定する。換言すると、開始判定条件が満たされると、判定部71の判定結果は肯定的になる。第一実施形態の開始判定条件は、車輪速度が第1判定速度以上であって、且つ、ストロークの増加勾配が第1所定値以上であるか又は反力液圧の増加勾配が第2所定値以上であることである。一方、開始判定条件が満たされていない場合、判定部71は、ブレーキ操作が急制動操作に該当しないと判定する。換言すると、開始判定条件が満たされていないと、判定部71の判定結果は否定的になる。
また、判定部71は、ブレーキ操作が急制動操作に該当すると判定した後、上記の各種情報に基づいて、急制動操作が解除されたか否かを判定する。具体的に、判定部71は、肯定的な判定をした後に解除判定条件が満たされた場合、急制動操作(肯定的な判定)が解除されたと判定する。第一実施形態の解除判定条件は、車輪速度が第2判定速度未満であって、且つ、ストロークの増加勾配が第3所定値未満であるか又は反力液圧の増加勾配が第4所定値未満であることである。第2判定速度は第1判定速度より小さく、第3所定値は第1所定値よりも小さく、第4所定値は第2所定値よりも小さい。一方、解除判定条件が満たされていない場合、判定部71は、急制動操作が解除されていないと判定する。判定部71の各判定は、周期的に行われる。
目標演算部72は、判定部71の判定結果が肯定的である場合、すなわち急制動操作時に、受信したストロークセンサ11c及び/又は圧力センサ25bの検出結果に基づいて、第2目標ホイール圧を算出する。目標演算部72には、例えば、ストローク(及び/又は反力液圧)と第2目標ホイール圧との関係を示す第2マップが記憶されている。第2マップは第1マップと同じである。目標演算部72は、判定部71の判定結果が否定的である場合、第2目標ホイール圧の算出を停止する。つまり、通常のブレーキ操作が為されている場合、目標演算部72の機能は停止している。
作動制御部73は、判定部71の判定結果が否定的である場合(通常操作時)、第1ECU6から受信した第1目標ホイール圧に基づいて、倍力機構15の各部を制御する。つまり、通常のブレーキ操作が為されている場合、第1ECU6と第2ECU7では、共通の目標ホイール圧(第1目標ホイール圧)が設定される。
一方、判定部71の判定結果が肯定的である場合(急制動操作時)、図4に示すように、作動制御部73は、第1目標ホイール圧ではなく、目標演算部72が算出した第2目標ホイール圧に基づいて、倍力機構15を制御する。そして、作動制御部73は、判定部71が肯定的な判定をした後に当該肯定的な判定を解除した場合、すなわち急制動操作が終了した場合、通常のブレーキ操作時同様、第1目標ホイール圧に基づいて倍力機構15の制御を実行する。このように、第2ECU7の目標ホイール圧は、通常のブレーキ操作時には第1目標ホイール圧に設定され、急制動操作時には第2目標ホイール圧に設定される。なお、図面には、判定部71が肯定的な判定を行った場合を「急操作判定ON」と記載し、判定部71が否定的な判定を行った場合又は肯定的な判定を解除した場合を「急操作判定OFF」と記載する。
作動制御部73は、詳細には、設定された目標ホイール圧(第1目標ホイール圧又は第2目標ホイール圧)に基づいて、目標サーボ圧(又は目標マスタ圧)を算出する。ホイール圧はマスタ圧に関連しており、マスタ圧はサーボ圧に関連しているため、目標ホイール圧は目標サーボ圧(又は目標マスタ圧)に変換することができる。作動制御部73は、目標サーボ圧と圧力センサ26aの検出結果(実サーボ圧)とに基づいて、実サーボ圧が目標サーボ圧に近づくように倍力機構15を制御する。なお、目標サーボ圧には、不感帯が設定される。不感帯は、目標サーボ圧よりも低圧の不感帯下限値から目標サーボ圧よりも高圧の不感帯上限値までの領域である。実サーボ圧が不感帯内の値である場合、保持制御が実行され、実サーボ圧が不感帯下限値よりも低圧である場合、増圧制御が実行され、実サーボ圧が不感帯上限値よりも高圧である場合、減圧制御が実行される。
ここで、第1ECU6及び第2ECU7は、ストロークセンサ11c及び/又は圧力センサ25bからそれぞれ直接的に操作情報を取得するため、取得する操作情報間に差が生じ得る。つまり、マップが同じでも、入力情報が異なれば、算出される第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧とは異なる。第一実施形態において、急制動操作中、第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧が異なる場合、各装置別個の制御により、ホイール圧は、結果的に、両目標ホイール圧のうち大きいほうの目標ホイール圧に近づくように制御される。
目標補正部74は、判定部71の判定結果が肯定的であり(急制動操作時)且つ第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧より大きい場合であって、所定条件が満たされた場合の第2目標ホイール圧の勾配を、目標演算部72で算出される第2目標ホイール圧の勾配よりも小さくする。第一実施形態の所定条件には、「第2目標ホイール圧が所定圧以上であること」が含まれている。つまり、目標補正部74は、急制動操作時に第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧より大きい場合、第2目標ホイール圧が所定圧以上になると、第2目標ホイール圧の勾配を小さくする。
目標補正部74には、補正後の第2目標ホイール圧の勾配について、例えば、補正目標勾配、目標演算部72で算出された第2目標ホイール圧の勾配から減算する勾配減算値、又は目標演算部72で算出された第2目標ホイール圧の勾配に乗算するゲイン値(ゲイン値<1)が設定されている。
第一実施形態の目標補正部74には、補正目標勾配が設定されている。目標補正部74は、例えば図5に示すように、所定条件が満たされた際に、第2目標ホイール圧の勾配が補正目標勾配になるように第2目標ホイール圧を補正する。補正目標勾配は、急制動操作時に想定される第2目標ホイール圧の勾配よりも十分に小さい値に設定されている。目標補正部74は、補正後の第2目標ホイール圧を作動制御部73に送信する。目標補正部74は、急制動操作が終了するまで、すなわち判定部71による肯定的な判定が解除されるまで、上記勾配補正により第2目標ホイール圧の勾配を継続的に制限する。目標補正部74は、上記の状況下において、所定条件が満たされた後の第2目標ホイール圧を制限するともいえる。
作動制御部73は、目標補正部74による補正があった場合、当該補正後の第2目標ホイール圧に基づいて倍力機構15の制御を実行する。目標補正部74における所定圧、補正目標勾配、勾配減算値、及び/又はゲイン値は、予め実施された演算(推定)やシミュレーション等に基づき、急制動操作が解除される前に、第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧以下となるように設定されている。
第2ECU7での目標ホイール圧の設定の流れの一例について図6を参照して簡単に説明する。第2ECU7は、判定部71の判定結果が肯定的である場合(S101:Yes)、自身で演算した第2目標ホイール圧を目標ホイール圧として設定し、第2目標ホイール圧に基づいて制御を実行する(S102)。そして、第2ECU7は、第2目標ホイール圧に基づく制御を実行中、受信した第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧とを比較する(S103)。第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧より大きい場合(S103:Yes)、第2ECU7は、所定条件が満たされたか否かを判定する(S104)。所定条件が満たされた場合(S104:Yes)、第2ECU7は、第2目標ホイール圧の勾配を補正し小さくする(S105)。そして、第2ECU7は、肯定的な判定が解除されると(S106:Yes)、目標ホイール圧の値を第2目標ホイール圧から第1目標ホイール圧に変更する(S107)。
一方、判定部71の判定結果が否定的である場合(S101:No)、第2ECU7は、第1ECU6から受信した第1目標ホイール圧を目標ホイール圧として設定する(S107)。なお、第2ECU7は、判定部71が肯定的な判定をした後は、当該肯定的な判定が解除されたか否かを監視している。また、第1ECU6と第2ECU7とは、双方向に通信可能に構成されており、第2ECU7から第1ECU6に情報を送信することも可能である。
第一実施形態によれば、急制動操作でない通常のブレーキ操作時には、第1ECU6及び第2ECU7の目標ホイール圧が、通信により、第1ECU6で演算された第1目標ホイール圧で共通化される。これにより、ABS制御等の各種制御が実行された際でも、上下流の液圧が実質1つの目標値で制御されているため、上下流間での加圧量の調整は容易となる。
また一方で、ブレーキ操作が急制動操作に該当する場合には、第2ECU7は、ストロークセンサ11c及び圧力センサ25bから取得した検出結果に基づいて独自に第2目標ホイール圧を算出し、当該算出結果に基づいて倍力機構15を制御する。つまり、第1ECU6から送信される第1目標ホイール圧によらずに、倍力機構15の制御が実行される。これにより、通信により発生する受信側ECU(ここでは第2ECU7)の情報取得の遅れがブレーキの応答性に影響することは、排除される。ECU間の通信では、同期クロックに応じた通信がなされ、少なくとも当該クロック周期分の通信遅れが生じる。なお、通常のブレーキ操作では、目標ホイール圧の勾配が比較的緩やかであり、通信遅れによる制御や応答性への影響はほぼないといえる。このように、第一実施形態によれば、上下流間での加圧量の調整は容易にし、且つ急制動操作時の応答性を向上させることができる。
また、第一実施形態によれば、通常のブレーキ操作時には、比較的細かな増減圧制御に対応できるアクチュエータ5への制御目標(第1目標ホイール圧)が、両ECU6、7で共通化されるため、ホイール圧の精度良い制御が可能となる。アクチュエータ5に対する制御では、例えば、不感帯が設定されておらず、よりダイレクトな制御が可能である。そして、急制動操作時には、比較的素早い増減圧制御に対応できる倍力機構15に対して、送信遅れのない独自の演算による第2目標ホイール圧が制御目標として設定されるため、より素早い増圧制御が可能となる。倍力機構15に対する制御では、予め蓄圧されたアキュムレータ15b2を用いるため、素早い制御が可能である。
また、急制動操作中に第2目標ホイール圧が第1目標ホイールより大きい場合、マスタ圧が第2目標ホイール圧に基づき制御され、アクチュエータ5では加圧制御が為されず、ホイール圧は第2目標ホイール圧に基づいて上昇する。そして、急制動操作が解除されて、第2ECU7の目標ホイール圧が第2目標ホイール圧から第1目標ホイール圧に変更された際に、目標ホイール圧の急な減少、すなわち目標サーボ圧の急な減少が生じ、運転者が予期せぬ減速度変化を感じるおそれがある。急制動操作が解除されるのは目標ホイール圧が一定になった後であることが多く、ブレーキ操作によらない目標サーボ圧の急変はブレーキフィーリングに影響が出やすい。
これに対して、第一実施形態では、急制動操作が解除される前に所定条件下で目標補正部74が予め第2目標ホイール圧の勾配を小さくするため、急制動操作が解除される頃には、補正後の第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧以下になっているか、あるいは少なくとも第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧に近づいていることになる。これにより、目標サーボ圧(又は目標マスタ圧)の急な減少が抑制され、ブレーキフィーリングの悪化は抑制される。
<第二実施形態>
第二実施形態の車両用制動装置は、第一実施形態と比較して、勾配補正の仕方の点で異なっている。したがって、当該異なる点について説明する。第二実施形態の説明において、第一実施形態の説明及び図面を適宜参照することができる。
第二実施形態の目標補正部74に設定された所定条件は、「第2目標ホイール圧の勾配が減少側に変動したこと」を含んで構成されている。目標補正部74は、急制動操作中で第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧より大きい場合、第2目標ホイール圧の勾配が減少側に変動すると、第2目標ホイール圧にゲイン値を乗算し、第2目標ホイール圧を小さくする。
目標補正部74は、第2目標ホイール圧の勾配変動を監視し、勾配の減少が検出されると、第2目標ホイール圧を補正する。これにより、例えば図7に示すように、第2目標ホイール圧がある急勾配で一定の状態から減少側にカーブし始めた際に、補正が開始され、補正後の第2目標ホイール圧の勾配も補正前同様にカーブし、ブレーキ操作に応じた補正が為される。当該補正により、第2目標ホイール圧が第1目標ホイールに近づき、急制動操作解除前に第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧以下になる。このように第二実施形態によっても、第一実施形態と同様の効果が発揮される。
なお、目標補正部74に設定される所定条件は、「第1目標ホイール圧の勾配が減少側に変動したこと」で構成されても良い。この場合、目標補正部74は、受信した第1目標ホイール圧の勾配を監視し、当該勾配の減少が検出されると、第2目標ホイール圧を補正する。また、この所定条件は、「判定部71が肯定的な判定を行ってから所定時間経過したこと」で構成されても良い。急制動操作の継続時間は演算等で予め推定することもでき、適切に所定時間を設定することで上記同様の効果が発揮される。
<第三実施形態>
第三実施形態の車両用制動装置は、第一実施形態と比較して、勾配補正の仕方の点で異なっている。したがって、異なる点について説明する。第三実施形態の説明において、第一実施形態の説明及び図面を適宜参照することができる。
第三実施形態の第1ECU6は、図8に示すように、機能として、さらに目標補正部65を備えている。第三実施形態では、第2ECU7の目標補正部74が省かれている。目標補正部65は、判定部71の判定結果が肯定的であり且つ第2目標ホイール圧が第1目標ホイール圧より大きい場合であって、所定条件が満たされた場合に、第1目標ホイール圧が第2目標ホイール圧に一致するように第1目標ホイール圧を嵩上げする。所定条件には、「判定部71の肯定的な判定が解除されたこと(急制動操作が終了したこと)」が含まれている。
目標補正部65は、図9に示すように、判定部71の肯定的な判定が解除されたことを第2ECU7から受信すると、目標演算部61で算出された第1目標ホイール圧に対して嵩上げ処理を実行する。嵩上げ処理は、第1目標ホイール圧を嵩上げ量だけ嵩上げする処理である。嵩上げ量は、第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧との差に基づいて設定される。第三実施形態の目標補正部65は、第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧との差を演算し、当該差を嵩上げ量に設定する。
第三実施形態によれば、急制動操作が終了した際に、第1目標ホイール圧を嵩上げして第2目標ホイール圧に合わせるため、第2目標ホイール圧の急な減少によるブレーキフィーリングの悪化は抑制される。ただし、目標ホイール圧は大きい方の第2目標ホイール圧で維持されるため、制動力は比較的大きく維持される。なお、第三実施形態において、第1ECU6に判定部71と同機能の判定部を設けても良い。この場合、目標補正部65は、第2ECU7との通信なく、急制動操作に関する判定結果を取得することができる。
また、目標補正部65に設定される所定条件(嵩上げ開始に関する所定条件)は、例えば「第1目標ホイール圧が一定であること」又は「判定部71が肯定的な判定を行ってから所定時間経過したこと」を含んで構成されても良い。第1目標ホイール圧が一定である場合(勾配=0)、急制動操作が終了していると推定できるため、そのタイミングで嵩上げ処理をすることで上記同様の効果が発揮される。また、急制動操作の継続時間は演算等で予め推定することもでき、適切に所定時間を設定することで上記同様の効果が発揮される。
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、目標補正部74に設定される所定条件に「判定部71が肯定的な判定を行ってから所定時間経過したこと」が含まれる場合、当該所定時間は、ホイール圧が0(大気圧)から所定閾値に達するまでの到達時間に設定されても良い。到達時間は、目標ホイール圧の勾配とホイールシリンダWCのPV特性に基づいて算出することができる。また、ホイール圧は、推定ホイール圧でも良く、ホイール圧を検出する圧力センサが設けられている場合には当該圧力センサで検出されたホイール圧でも良い。
例えば第2ECU7は、機能として、さらに所定時間設定部(7)を備えても良い。第2ECU7(所定時間設定部)は、第2目標ホイール圧の勾配に基づいて到達時間を算出し、当該到達時間を所定時間に設定する。さらには、所定時間が、車輪W周りのブレーキ機構の構造に起因する無効制動期間(例えばブレーキパッドがディスクロータDRに接触するまでの期間)よりも大きくなるように、所定閾値が設定されることが好ましい。これにより、少なくとも無効制動期間中、補正前の第2目標ホイール圧の勾配により素早く増圧が為され、応答性の面で有利である。
また、第一〜第三実施形態において、第1ECU6が倍力機構15を制御し、第2ECU7がアクチュエータ5を制御する構成であっても良い。つまり、通常のブレーキ操作時に、第1目標ホイール圧を演算し他方のECUに送信するのは、倍力機構15を制御するECUであっても良い。これによっても、上下流間での加圧量の調整を容易にするとともに、急制動操作時の応答性を向上させることができる。
また、判定部71は、ブレーキペダル11の操作速度にかかわらず、ブレーキ操作が開始された時点で、ブレーキ操作が急制動操作であると判定しても良い。つまり、この場合の開始判定条件は、ブレーキ操作があったことを検出したこと、例えばストロークが少しでも増えたことに設定されている。この場合、ブレーキ操作が開始されると、操作速度にかかわらず判定部71の判定結果が肯定的なものとなり、第2ECU7は、第2目標ホイール圧を算出し、当該第2目標ホイール圧に基づいて倍力機構15を制御する。その後、解除判定条件が満たされると、判定部71の判定結果が否定的なものとなり、第2ECU7は、受信した第1目標ホイール圧に基づいて倍力機構15を制御する。
この構成によれば、図10に示すように、ブレーキ操作が開始されてから判定部71が肯定的な判定を行うまでの判定時間をなくすことができ、急制動操作時に、時間ロスなく第2目標ホイール圧による制御が開始される。この構成によれば、急制動操作時当初における第1目標ホイール圧から第2目標ホイール圧への切り替えをなくすことでき、目標ホイール圧のよりスムーズな上昇を可能とし、さらなる応答性の向上を図ることができる。
また、目標演算部72は、判定部71の結果にかかわらず、第2目標ホイール圧を算出しても良い。この場合、作動制御部73は、判定部71の判定結果に応じて、第1目標ホイール圧と第2目標ホイール圧とを切り替える。また、第1マップと第2マップは異なるものでも良い。また、ホイール圧を検出する圧力センサが設けられている場合は、推定ホイール圧に代えて当該圧力センサの検出結果を用いても良い。この場合、ホイール圧推定部62を省くことができる。また、判定部71の判定は、ストローク又は反力液圧のみに基づいて判定しても良い。また、急制動操作が終了したか否かの判定は、目標補正部74、65で行われても良い。また、所定条件、開始判定条件、及び解除判定条件は、上記以外の条件で構成されても良い。また、目標ホイール圧の用語は、目標液圧制動力や目標液圧制動トルクと同等の意味であり、目標液圧制動力や目標液圧制動トルクを含む概念といえる。
また、車両用制動装置100は、図11に示すように、回生制動装置Hを備えていても良い。回生制動装置Hは、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換して得る回生制動力を車輪Wに付与する装置であって、図示しないが、ECU、発電機、インバータ、及びバッテリ等を備えている。この場合、例えば、第1ECU6が、検出されたストローク及び/又は反力液圧に基づいて要求制動力を算出する。第1ECU6は、算出した要求制動力を回生制動装置Hに送信する。回生制動装置Hは、要求制動力を目標回生制動力として回生制御を実行し、実際に出力された回生制動力である実行回生制動力を算出し第1ECU6に送信する。第1ECU6は、要求制動力から実行回生制動力を引いた差分を目標液圧制動力とし、目標液圧制動力に対応するホイール圧を目標ホイール圧に設定する。回生制動装置Hと第2ECU7との間でも上記同様の通信が可能である。また、倍力機構15は、例えば、モータの駆動により直接第一マスタピストン12cを移動させる電動ブースタでも良い。
12…マスタシリンダ、12c…第一マスタピストン、12d…第二マスタピストン、R1…第一マスタ室、R2…第二マスタ室、WC…ホイールシリンダ、5…アクチュエータ、11c…ストロークセンサ(検出部)、25b…圧力センサ(検出部)、6…第1ECU(第1制御部)、7…第2ECU(第2制御部)、71…判定部、74、65…目標補正部。

Claims (6)

  1. マスタシリンダ内に摺動可能に配置されたピストンを駆動させるピストン駆動部と、
    前記マスタシリンダに形成されたマスタ室とホイールシリンダとの間に配置され、前記ピストンの移動に応じて発生する前記マスタ室内の液圧であるマスタ圧に基づいて、前記ホイールシリンダ内の液圧であるホイール圧を調整するアクチュエータと、
    ブレーキ操作に関する情報を検出する検出部と、
    を備える車両用制動装置において、
    前記検出部の検出結果に基づき、前記ブレーキ操作が急制動操作に該当するか否かを判定する判定部と、
    前記検出部に接続され、前記アクチュエータに対する制御を実行する第1制御部と、
    前記検出部に接続され、前記ピストン駆動部に対する制御を実行する第2制御部と、
    をさらに備え、
    前記アクチュエータは、前記ホイール圧を加圧可能に構成され、
    前記第1制御部と前記第2制御部とは、通信可能に接続されており、
    前記第1制御部及び前記第2制御部の一方は、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記ホイール圧の目標値である第1目標ホイール圧を算出し、前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、
    前記第1制御部及び前記第2制御部の他方は、前記判定部の判定結果が否定的である場合には、前記第1制御部及び前記第2制御部の一方から受信した前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、前記判定部の判定結果が肯定的である場合には、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記ホイール圧の目標値である第2目標ホイール圧を算出し、前記第2目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行する車両用制動装置。
  2. 前記第1制御部は、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記第1目標ホイール圧を算出し、前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、
    前記第2制御部は、前記判定部の判定結果が否定的である場合には、前記第1制御部から受信した前記第1目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行し、前記判定部の判定結果が肯定的である場合には、前記検出部から取得した検出結果に基づいて前記第2目標ホイール圧を算出し、前記第2目標ホイール圧に基づいて前記制御を実行する請求項1に記載の車両用制動装置。
  3. 前記判定部の判定結果が肯定的であり且つ前記第2目標ホイール圧が前記第1目標ホイール圧より大きい場合であって、所定条件が満たされた場合の前記第2目標ホイール圧の勾配を、前記検出部の検出結果に基づいて算出される前記第2目標ホイール圧の勾配よりも小さくする目標補正部をさらに備え、
    前記所定条件には、前記第2目標ホイール圧が所定圧以上であること、前記第1目標ホイール圧の勾配が減少側に変動したこと、前記第2目標ホイール圧の勾配が減少側に変動したこと、又は前記判定部が肯定的な判定を行ってから所定時間経過したこと、が含まれる請求項2に記載の車両用制動装置。
  4. 前記判定部の判定結果が肯定的であり前記第2目標ホイール圧が前記第1目標ホイール圧より大きい場合であって、所定条件が満たされた場合に、前記第1目標ホイール圧が前記第2目標ホイール圧に一致するように前記第1目標ホイール圧を嵩上げする目標補正部をさらに備え、
    前記所定条件には、前記判定部の肯定的な判定が解除されたこと、前記第1目標ホイール圧が一定であること、又は前記判定部が肯定的な判定を行ってから所定時間経過したこと、が含まれる請求項2に記載の車両用制動装置。
  5. 前記ホイール圧が0から所定閾値に達するまでの到達時間に基づき前記所定時間を設定する所定時間設定部をさらに備え、
    前記所定条件には、前記判定部が肯定的な判定を行ってから前記所定時間経過したことが含まれる請求項3に記載の車両用制動装置。
  6. 前記判定部は、前記ブレーキ操作が開始された時点で肯定的な判定を行い、前記検出部の検出結果が予め設定された解除判定条件を満たした時点で否定的な判定を行う請求項2に記載の車両用制動装置。
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