JP4632601B2 - 昇華精製装置、昇華精製方法および有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

昇華精製装置、昇華精製方法および有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華精製装置、昇華精製方法および該昇華精製方法により精製された材料を使用した有機電界発光素子の製造方法に関するものである。詳しくは、真空チャンバー内に配置された熱源を有する昇華精製装置、該昇華精製装置を用いる昇華精製方法、該昇華精製方法により精製された有機化合物を使用した有機電界発光素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
常圧または減圧下で分解することなく、気化することができる固体は、適当な温度と圧力のもとでは、原理的に全て昇華精製することができることが知られている。しかし、昇華速度が遅いと、精製効率が低いことから、ごく限られた固体の精製に使用されているに過ぎない。しかしながら、蒸留や再結晶精製が困難な固体の精製には有用であり、特に沸点付近の温度では分解が生じるような化合物の精製には有用である。このため、昇華精製装置としては、実験室的な装置は「実験化学講座」等の一般的な文献に記載されているが、工業的な装置に関しては、特開平07−24205号公報、特開平07−204402号公報、特開平11−171801号公報、特開2000−93701号公報等にいくつか示されている。
【0003】
昇華精製装置には、その形状から垂直型、水平型等があり、昇華方法からガス随伴型昇華装置、真空昇華装置等に大別される。これらを適宜汲み合わせることにより、様々な昇華精製装置が作られ、精製すべき昇華精製物質の熱安定性、その蒸気圧と蒸発の容易性、精製量、収率、目的物質の純度などにより昇華精製装置の種類が大別される。
【0004】
しかしながら、このような従来の昇華精製装置では、精製すべき固体が比較的多量である場合、これを短時間で加熱して昇華させることが困難であり、この間に昇華すべき固体が分解したり、変性する可能性が増大する。また、昇華部及び捕集部の温度をある一定範囲にわたって正確に制御することも困難であり、このため、分解または変性が生じるだけでなく、充分純度が向上しない。また、昇華条件によっては、高真空条件を必要とすることがあり、昇華精製装置自体の材質としても金属材料等を使用した場合、真空状態中でイオン等が発生し、昇華精製する有機化合物を汚染することがあった。そのため、実験室等では、通常ガラスや石英を使用して昇華精製装置を形成することが一般的であった。しかしながら工業的な規模の装置ではガラスを使用して真空装置を作成した場合、亀裂、傷等により装置自体が破損する危険性が大きいという問題があった。工業的規模の装置として、例えば、特開平07−204402号に記載された装置は材質に関する記載がないが、該装置をガラス等で作成した場合、真空状態を保持した際の装置の破損の危険性が大きく、また、金属等で作成した場合には不純物の混入が避けられないという問題がある。また、特開平11−171801号公報に記載された装置においても、全体をガラス等で作成することは危険性が高く、また、金属等で作成した場合には不純物の混入があるという問題点を有する。
【0005】
また、特開2000−93701号公報に記載された装置は金属性材料からなり、これも不純物混入の点から好ましくない。
【0006】
一方、近年開発が進められている有機電界発光素子においては、実用化の最大の課題として、長時間の駆動に伴う有機電界発光素子の発光輝度の減衰を抑制し、実用にも耐え得るものとする技術を確立することが挙げられる。この点、「月間ディスプレイ、9月号、15頁(1995)」や、「応用物理、第66間、第2号、114〜115頁(1997)」によれば、有機電界発光素子を作成するために用いる各種有機化合物の純度が、発光効率や発光輝度の減衰に強く影響を及ぼすことが知られている。有機電界発光素子は、イオン等や無機物等の不純物が含まれた材料を使用すると、該不純物が正孔もしくは電子伝導を妨げるトラップあるいは正孔と電子の再結合を妨げるトラップとして作用するので、良好な発光輝度や長寿命を発現させることは困難であった。そこで、近年では、電界発光素子用の有機化合物の精製方法として昇華精製法が広く用いられている。
【0007】
しかしながら、従来の昇華精製方法では昇華に係る時間が長いことや、装置の材質の点で種々の問題があり、その改善が望まれている。
【0008】
また、有機電界発光素子とは蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極間に挟持した構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシントン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V〜数十V程度の直流の低電圧で発光が可能であり、また、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は種々の発光素子、表示素子等への応用が期待されている。しかしながら、一般に、有機電界発光素子は、安定性、耐久性に乏しいなどの欠点を有している。
【0009】
現在では、安定性、耐久性に優れた有機電界発光素子が求められており、そのため、有機電界発光素子として使用した際に優れた特性を示す高純度な化合物が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術の課題を解決し、有機電界発光素子などに用いられる有機化合物を効率的(高収率、短時間)に高純度するための昇華精製装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果本発明の昇華精製装置昇華精製方法、および有機電界発光素子の製造方法を見出すに至った。すなわち、本発明は、
1)設置された箱状又は筒状の昇華部とガラスからなる箱状又は筒状の、熱源と別の位置に昇華部と連続して配置された捕集室と、をその内部に有する真空チャンバーを備え、熱源により加熱された有機化合物を捕集室に昇華捕集する昇華精製装置、
2)真空チャンバーが金属材料から構成される1)記載の昇華精製装置、
3)真空チャンバー内を油拡散ポンプ、クライオポンプあるいはターボポンプにより真空状態とする1)または2)に記載の昇華精製装置、
4)熱源が金属材料内にヒータを埋め込んだブロックヒータである1)〜3)のいずれかに記載の昇華精製装置
)不活性ガス導入口を有し、微量の不活性ガスを導入しつつ、所望により排気量を制御し、真空チャンバー内の真空度を一定に設定することができる1)〜のいずれかに記載の昇華精製装置、
)1)〜のいずれかに記載の昇華精製装置を使用して有機化合物を精製することを特徴とする昇華精製方法、
有機化合物が、有機電界発光素子の正孔注入輸送層、電子注入輸送層、及び発光層の少なくともいずれかの構成成分として用いられる有機化合物である6)に記載の昇華精製方法、
)1対の電極間にに記載の昇華精製方法で精製された有機化合物を少なくとも一種含む層を少なくとも一層挟持することを含む有機電界発光素子の製造方法、に関するものである
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関し詳細に説明する。
【0013】
本発明の昇華精製装置は真空チャンバー内に熱源を有することを特徴とする昇華精製装置である。
(図1)および(図2)に本発明の昇華精製装置の断面概略図の一例を挙げた。
【0014】
本発明は真空チャンバーC内に熱源G近傍の昇華部A及び捕集室Bを有する昇華精製装置であって、昇華精製可能な有機化合物を昇華部Aに装入し、真空チャンバーC内を真空状態とした後に、熱源Gにより昇華部Aを加熱し、有機化合物を昇華させ、これを捕集室Bに導入し、目的の昇華性有機化合物を捕集することを特徴とする昇華精製装置および該昇華精製装置を使用することを特徴とする昇華精製方法である。
【0015】
本発明にかかる真空チャンバーCとは、常圧の外部と、真空状態の内部を隔てるためのものであり、その材質は特に限定されるものではないが、通常、ガラス、金属等の無機材料、耐熱性高分子等の有機材料を使用することができる。好ましくは、金属であり、金属としては、低合金高張力鋼、炭化W合金、特殊白鋳鉄、焼結炭化物合金、WC−Co系、WC−TiC−Co系、WC−TiC−TaC−Co系等の超硬合金、Fe−W−Co形、Fe−W−Mo系、Fe−Mo−Co系等の析出硬化合金、銅および銅合金、鉛、錫および亜鉛とその合金、ニッケルおよびその合金、例えば、フェライト系(SUS430、SUS405等)、マルテンサイト系(SUS410、SUS403、SUS410等)等のCr系ステンレス鋼、オーステナイト系(SUS304、SUS304L、SUS321、SUS316、SUS316L、SUS302、SUS347等)、析出硬化系(SUS630、SUS631等)等のCr−Ni系ステンレス鋼、
低Cr系耐熱鋼、中Cr系耐熱鋼、、高Cr系耐熱鋼、Cr−Ni系耐熱鋼(18−8ステンレス鋼、15Cr−14Ni−2W−2Si系合金、21Cr−4Ni−9Mn−0.45N系合金、25Cr−20Ni系合金等)、Fe−Cr−Ni−Co系耐熱鋼(refractaloy 26、LCN−155、SUH661、G18B等)、超耐熱合金(例えば、Haynes alloy 25、Vitallium HS-31等のCo系、K42B、Nimonic 80A、JIS G 4901 NCF 1B等のNi系、サーメット)等の耐熱鋼、
純アルミニウム、Al−Mn系合金、Al−Si系合金(シルミン、γ−シルミン等)、Al−Mg系合金(ヒドロナリウム等)、Al−Cu−Mg系合金、Al−Si−Mg系合金、Al−Zn−Mg系合金等のジュラルミン系合金、Al−Cu−Ni−Mg系合金(Y合金、RR合金等)、Al−Si−Cu−Ni−Mg系合金(例えば、ローエックス合金)等、Al−Cu系合金(ラウタル等)、Al−Si−Cu系合金等のアルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、チタンおよびその合金等を使用することができる。
【0016】
またこれらの金属は必要に応じて、脱ガスのためのベーキングを行ったり、表面処理をすることができる。例えば、金属が、ステンレス鋼である場合、通常、脱ガスのために、ベーキングを行うことが好ましい、ベーキングの条件は通常、数時間から数十時間、場合によっては数百時間のベーキングを行うまた、ベーキングの前処理として、表面偏析、材料中の溶存ガス等の拡散放出を目的として高温プリベーキングを行うことも好ましい。高温プリベーキングは通常、400〜1000℃の温度範囲で、1×10-4Pa程度以下の真空中で実施する。また、さらには、大気中等で加熱により酸化層を形成させるドライ酸化法等によってもガス放出量を低減することができる。また、ステンレス鋼の表面処理としては、電界研磨、または電界機械複合研磨(中性電界液を用いる電界研磨と砥粒を用いる機械研磨を同じに行う方法)等を用いることができる。さらには、ステンレス鋼に窒素あるはボロンナイトライド(BN)を微量添加して適切な析出条件でBN析出を行い、ガス放出速度を低下させることもできる。また、通常の研磨方法により真空チャンバーC内を鏡面仕上げにすることも好ましい。
【0017】
一方、アルミニウムおよびその合金を用いる場合は、表面処理として、例えば、EX押し出し加工法(素材製造時に、純度の高いArとO2の混合ガスを送り込みながら熱間押し出しを行う方法)で加工された、アルミニウムおよびその合金、ArとO2の混合ガス雰囲気で空冷しながら切削を行う方法(EX加工法)や、エタノールを吹きつけながら湿式で加工する方法(EL加工法)などで表面処理加工されたアルミニウムおよびその合金を使用することが好ましい。または、電界研磨、乾燥窒素雰囲気中での乾式切削加工による表面処理を行ったアルミニウムおよびその合金を使用することが好ましく、また、それらの表面処理方法を併用して表面処理したアルミニウムおよびその合金をしようすることも好ましい。また、純アルミニウムに強度や腐食性の大きいアルミニウム合金をクラッドで合板にした材料等を使用することも可能である。
【0018】
本発明の真空チャンバーCの形状としては、特に限定されるものではないが、例えば、箱状、筒状、円柱型、タンク型、立方体型等の任意の形状を挙げることができ、また、その断面形状としては円形、四角形、半円形等の形状を挙げることができ、また、その形状は、真空チャンバーC中で、一定であってもよく、また、部分的に断面形状が異なっていても良い。
【0019】
また、試料の装入および取り出しのために、必要に応じて、フランジを所望の位置に取りつけた形状の真空チャンバーCであることも好ましい。フランジの大きさは特に限定されるものではなく、試料および捕集部を真空チャンバーCから外部に取り出すのに適した大きさであることが好ましい。
【0020】
次ぎに本発明の真空チャンバーCを真空に保つための、真空ポンプDに関して説明する。
【0021】
本発明の真空チャンバーCを真空に保つための、真空ポンプDとしては、特に限定されるものではないが、通常、粗引きポンプと、超高真空ポンプの組み合わせが用いられる。ここで、粗引きポンプとしては、例えば、油回転ポンプ〔例えば、回転翼形(ゲーテ形)油回転ポンプ、カム形(センコ形)油回転ポンプ、揺動ピストン形(キニー形)油回転ポンプ〕、メカニカルブースタポンプ(ルーツポンプ)、ドライポンプ〔例えば、スクリュー形ドライポンプ、クロー形ドライポンプ、スクロール形ドライポンプ、多段ルーツ形ドライポンプ等の容積移送型ドライポンプ、ターボ形ドライポンプ等の運動量輸送形ドライポンプ〕、ソープションポンプ等の1×103〜1×10-2Pa程度までの作動圧力を有するポンプを挙げることができ、超真空ポンプとしては、拡散ポンプ〔例えば、油拡散ポンプ、水銀拡散ポンプ〕、ターボ分子ポンプ〔例えば、磁気軸受ターボ分子ポンプ、広域形(複合)ターボ分子ポンプ〕、スパッタイオンポンプ、クライオポンプ、ゲッタポンプ〔例えば、Ti室温型ゲッタポンプ、Ti液体窒素型ゲッタポンプ〕等の1〜1×10-8Pa以上までの作動圧力を有する超高真空ポンプ等を挙げることができる。
【0022】
超真空ポンプとして、好ましくは、拡散ポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオポンプを上げることができる。
【0023】
これらの真空ポンプDを使用して、真空チャンバーC内を真空状態に保つが、本発明の真空チャンバーCにおいて、真空度は、通常、1〜1×10-8Pa、好ましくは、1×10-1〜1×10-7Pa、より好ましくは、1×10-2Pa〜1×10-6Paである。
本発明に係る真空チャンバーCの真空度を測定する方法としては、隔膜真空計、ブルドン管、マクラウド真空計、ピラニー真空計、三極管形電離真空計、B−A形電離真空計、エクストラクター形真空計、ヘルマー真空計等の全圧測定法、磁界形、マスフィルタ等の分圧測定法、レーザー蛍光法、光ガルバノ分光法、コヒーレント反ストークスラマン分光法(Choherento Anti-Stokes Raman Spectroscopy:CARS)法等の活性粒子計測法、粒子束(フラックス)測定法、ラングミュアプローブ、ダブルプローブ等のプラズマ計測法および荷電粒子速度計測法等を使用することができる。
【0024】
次ぎに、本発明において、真空チャンバーC内に設置する熱源Gに関し詳細に説明する。
【0025】
本発明において使用する熱源Gは、有機化合物を真空チャンバーC内で加熱するためのものであり、その加熱方法としては、特に限定されるものではないが、抵抗加熱法(金属系、非金属系等)、光加熱法(赤外線加熱法、アーク輻射加熱、レーザー輻射加熱等)、誘導加熱法、プラズマ加熱法、アーク加熱法、フレーム加熱法等の加熱法を挙げることができる。
【0026】
好ましくは、抵抗加熱法、光加熱法または誘導加熱法であり、より好ましくは、抵抗加熱法である。
抵抗加熱法を用いる場合、その熱源としては、例えば、Fe−Cr−Al系合金およびNi−Cr系合金等の合金系抵抗発熱体、白金系抵抗発熱体、モリブデン、タングステン、タンタルなどの高融点金属系抵抗発熱体、炭素系非金属系抵抗発熱体、SiC、MoSi2等の化合物系金属(セラミック)系抵抗発熱体を挙げることができる。
【0027】
これらの発熱体は、抵抗発熱体自体をそのまま使用することも可能であり、また、所望により、金属材料等の基材で被服または、基材に挿入して使用することも可能である。
【0028】
また、熱源Gの形状は、特に限定されるものではなく、ホットプレート状等の平面形状、金属材料内にヒータを埋め込んだブロックヒーター(図4)、ブロックヒーター等の基材に多数の穴をあけた形状のもの、さらには、立方体の五面を平面状の熱源で被った形状のものであってもよい(図1および図3)。
【0029】
また、光加熱法を用いる場合、その熱源としては、白熱ランプやハロゲンランプを用いる赤外線加熱体、カーボン・アークランプやキセノンショート・アークランプ等を使用するアーク輻射加熱体、YAGレーザー、ルビーレーザー、CO2レーザーあるいはNdガラスレーザーを使用したレーザー輻射加熱体等を上げることができる。
【0030】
本発明で用いる有機化合物は、熱源Aと接触または非接触状態で加熱され、真空チャンバーC内の熱源Aと別の位置に配置された捕集室Bに昇華される。
有機化合物を熱源Aと非接触状態で加熱する際には、通常、昇華ボートと呼ばれるボート状の試料入れ(有機化合物の設置部)を使用することも好ましい。昇華ボートの材質としては、特に限定されるものではないが、通常、ガラス(例えば、天然石英,人口石英、パイレックス(登録商標)、ソーダガラス、ボロシリケート等)、高分子有機化合物(例えば、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリパラキシレン、ポリエステル、ポリカーボネート等の材質を挙げることができる。好ましくは、昇華温度において、安定であり、且つ昇華性有機化合物への不純物の混入の可能性が低い材質であり、より好ましくは、ガラス、テフロン(登録商標)等の材質であり、さらに好ましくは、ガラスである。
【0031】
本発明の昇華精製装置において、捕集室Bは材質として、特に限定されるもではないが、昇華ボートと同様の昇華性有機化合物への不純物の混入の可能性が低い材質を用いたものであることが好ましい。
【0032】
また、その形状は特に限定されるものではないが、例えば、箱状、筒状等を挙げることができる。
熱源Gを有する昇華部Aと、捕集室Bの位置関係は、例えば、(図1)に示すように、連続した筒状の形状を有する捕集室Bと、熱源を有する昇華部A、(図2)に示すように熱源Gを有する昇華部Aとその上部に位置する捕集部B等の位置関係を例示することが可能であるが、その他の位置関係であっても良い。
また、捕集室Bの温度は、目的の昇華性有機化合物の融点以下で、昇華ガスに含まれる不純物の凝固温度以上の温度に設定することが好ましい。
【0033】
熱源Gは温度制御器Fにより制御される。制御方法としては特に限定されるものではないが、リレースイッチ、交流電流のオン・オフ、インバーター制御、PID制御等を挙げることができる。
【0034】
本発明で使用する有機化合物としては、特に限定はないが、昇華精製温度付近で、分解または変質(結晶形の変質等も含む)するおそれのある有機化合物等も使用することが可能である。例えば、微量の不純物や結晶形の相違または変質が製品特性に大きな影響を与えることがある電気・電子材料、発光材料等の光学材料用の有機化合物も有用に使用することができる。このような物質としては、エレクトロルミネッセンス素子材料、化合物半導素子材料、絶縁膜材料等を挙げることができる。また、本発明で使用する有機材料としては、これらに限定されるものではなく、アントラキノン、無水ピロメリット酸等の通常の用途に用いられることの多い有機化合物も使用することができる。
【0035】
また、本発明の昇華精製装置においては、有機化合物を加熱する熱源G近傍に不活性ガスの導入口Gb(図3)を設置し、ここから、微量の不活性ガスを導入することにより、昇華した有機化合物の昇華ガスを捕集室に効率的に移動させることも好ましく使用可能である。また、この際、所望により真空ポンプDの排気量を制御し、真空チャンバーC内の真空度を一定に設定することも可能である。
【0036】
昇華精製する有機化合物は、粉末等の形で連続的に昇華部Aに装入してもよく、また、昇華ボート等に載せて間欠的に装入してもよい。また、有機化合物が熱により変質しやすい場合は、連続的に装入したり、少量づつ間欠的に装入することも好ましい。
【0037】
昇華温度は、沸点以下であるが、融点以上であっても、融点以下であってもよく、所定の蒸気圧が得られる温度であればよい。通常、この蒸気圧は1〜700mHg程度である。捕集室Bへ移動した昇華ガスは目的の昇華性有機化合物の融点以下に設定された捕集室Bにおいて、冷却され、目的物質のみが凝縮、捕集される。この捕集室Bの温度設定は不純物の凝固点以上であり、可及的に低い温度であることが好ましいが、不純物が多数存在し、微量の混入が許容される不純物である場合、更に温度を低く設定することも可能である。昇華性有機化合物の不純物の内、設定した昇華温度以下で昇華もしくは蒸発する不純物は、捕集室Bで捕集されることなく、真空チャンバー内から、真空ポンプDへと移動し、その過程でトラップEにより捕集される。また、昇華性有機化合物に含まれる非昇華性不純物は昇華性有機化合物を装入する昇華部Aに釜残として残る。
【0038】
トラップEとしては、特に限定されるものではないが、昇華精製過程で生じる不純物を真空ポンプDへ移動させないために、通常室温以下の低温で表面積の大きなトラップを使用する。その材質としては、特に限定されるものではないが、真空チャンバーCの材料として例示した金属材料、昇華ボートの材料として例示したガラス、高分子有機化合物を挙げることができる。
【0039】
次ぎに本発明の昇華精製方法に関し説明する。本発明の昇華精製方法は、本発明に係る昇華精製装置を使用することを特徴とするものである。昇華精製は、通常、以下の工程よりなる。▲1▼昇華性有機化合物を所望により昇華ボート等に装入し、この昇華ボートを熱源Gに接触させる。次ぎに▲2▼真空チャンバーC内を真空ポンプDにより高真空状態とし、その後、▲3▼熱源Gを温度制御器を介して稼動させ、昇華性有機化合物を加熱し、昇華せしめる。▲4▼有機化合物の昇華ガスが、該有機化合物の融点以下に設定された捕集室Bへ移動し、固体状態で捕集される。
▲5▼真空チャンバーCを常圧へと戻し、その後、捕集室Bに捕集された有機化合物を採取する。
【0040】
また、本発明の昇華装置は、有機電界発光素子の形成に用いる有機化合物の精製にも適しており、有機電界発光素子の形成に用いる有機化合物を本発明に係る昇華精製装置を使用して昇華精製することも本発明に包含されるものである。
【0041】
次ぎに、本発明の昇華精製方法により精製された有機化合物を使用した素子(以下、有機電界発光素子と記述する)に関して説明する。
【0042】
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極間に、本発明の昇華精製方法により精製された有機化合物を少なくとも1種含有する層を少なくとも一層挟持してなるものである。
【0043】
有機電界発光素子は、通常一対の電極間に少なくとも1種の発光成分を含有する発光層を少なくとも一層挟持してなるものである。発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入輸送成分を含有する電子注入輸送層を設けることもできる。
【0044】
例えば、発光層に使用する化合物の正孔注入機能、正孔輸送機能および/または電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層が正孔注入輸送層および/または電子注入輸送層を兼ねた型の素子構成として一層型の素子構成とすることができる。また、発光層が正孔注入機能および/または正孔輸送機能に乏しい場合には発光層の陽極側に正孔注入輸送層を設けた二層型の素子構成、発光層が電子注入機能および/または電子輸送機能に乏しい場合には発光層の陰極側に電子注入輸送層を設けた二層型の素子構成とすることができる。さらには発光層を正孔注入輸送層と電子注入輸送層で挟み込んだ構成の三層型の素子構成とすることも可能である。
【0045】
また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよく、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれの層において、注入機能を有する層と輸送機能を有する層を別々に設けて構成することもできる。
【0046】
本発明の有機電界発光素子において、本発明の精製方法により精製された有機化合物は、正孔注入輸送層および/または発光層の構成成分として使用することが好ましく、正孔注入輸送層の構成成分として使用することがより好ましい。
本発明の有機電界発光素子において、本発明の昇華精製方法で精製された有機化合物は、単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0047】
本発明の有機電界発光素子の構成としては、特に限定されるものではないが、例えば、(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図5)、(B)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極型素子(図6)、(C)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図7)、(D)陽極/発光層/陰極型素子(図8)、などを挙げることができる。さらには、発光層を電子注入輸送層で挟み込んだ形の(E)陽極/正孔注入輸送層/電子注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図9)とすることもできる。また、(D)の型の素子構成としては、発光層として発光成分を一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子、(F)発光層として正孔注入輸送成分、発光成分および電子注入成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図10)、(G)発光層として正孔注入輸送成分および発光成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図11)、(H)発光層として発光成分および電子注入成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図12)のいずれであってもよい。
【0048】
本発明の有機電界発光素子は、これらの素子構成に限定されるものではなく、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層を複数設けることも可能である。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層を発光層との間に、正孔注入輸送成分と発光成分の混合層および/または発光層と電子注入輸送層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けることもできる。
【0049】
好ましい有機電界発光素子の構成は、(A)型素子、(B)型素子、(E)型素子、(F)型素子または(G)型素子であり、より好ましくは、(A)型素子、(B)型素子または(G)型素子である。
【0050】
以下、本発明の有機電界発光素子の構成要素に関し、詳細に説明する。なお、例として(図5)に示す(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子を取り上げて説明する。
【0051】
(図5)において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
【0052】
本発明の有機電界発光素子は基板1に支持されていることが好ましく、基板としては、特に限定されるものではないが、透明ないし半透明である基板が好ましく、材質としては、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス等のガラスおよびポリエステル、ポリカーボネート、、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の透明性高分子が挙げられる。また、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートからなる基板を使用することもできる。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
【0053】
陽極2としては、仕事関数の比較的大きい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陽極に使用する電極材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化インジウム(In23)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛、ITO(インジウム・チン・オキサイド:Indium Tin Oxide)、ポリチオフェン、ポリピロールなどを挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
【0054】
陽極は、これらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。
また、陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω/□以下、より好ましくは、5〜50Ω/□程度に設定する。
陽極の厚みは使用する電極材料の材質にもよるが、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度に設定する。
【0055】
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0056】
正孔注入輸送層は、正孔注入輸送機能を有する化合物(例えば、フタロシアニン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)を少なくとも1種使用して形成することができる。
正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、または複数併用してもよい。
【0057】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、正孔注入輸送層に本発明の昇華精製方法で精製された有機化合物を含有する。本発明の有機電界発光素子において使用することができる。正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールアミン誘導体(例えば、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(4”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メトキシフェニル)アミノ〕ビフェニル、4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(1”−ナフチル)アミノ〕ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ビス〔N−フェニル−N−(3”−メチルフェニル)アミノ〕ビフェニル、1,1−ビス〔4’−[N,N−ジ(4”−メチルフェニル)アミノ]フェニル〕シクロヘキサン、9,10−ビス〔N−(4’−メチルフェニル)−N−(4”−n−ブチルフェニル)アミノ〕フェナントレン、3,8−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−6−フェニルフェナントリジン、4−メチル−N,N−ビス〔4”、4”’−ビス[N’,N’−ジ(4−メチルフェニル)アミノ]ビフェニル−4−イル〕アニリン、N,N’−ビス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−1,3−ジアミノベンゼン、N,N’−ビス〔4−(ジフェニルアミノ)フェニル〕−N,N’−ジフェニル−1,4−ジアミノベンゼン、5,5”−ビス〔4−(ビス[4−メチルフェニル]アミノ〕フェニル−2,2’:5’,2”−ターチオフェン、1,3,5−トリス(ジフェニルアミノ)ベンゼン、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリイル)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス〔N,N−ビス(4”’−tert−ブチルビフェニル−4””−イル)アミノ〕トリフェニルアミン、1,3,5−トリス〔N−(4’−ジフェニルアミノ〕ベンゼンなど、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体がより好ましい。
【0058】
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。
【0059】
発光層は、本発明の昇華精製方法で精製された有機化合物および/または本発明の昇華精製方法で精製された有機化合物以外の発光機能を有する化合物を少なくとも1種使用して形成することができる。
【0060】
発光機能を有する化合物としては、例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカサイクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4−ビス(9’−エチニルアントセニル)ベンゼン、4,4’−ビス(9”−エチニルアントラセニル)ビフェニル、ジベンゾ[f,f]ジインデノ[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン誘導体〕、トリアリールアミン誘導体(例えば、正孔注入輸送機能を有する化合物として前述した化合物を挙げることができる)、有機金属錯体〔例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4−ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3−ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−ビス[(1,1,2−トリフェニル)エテニル]ビフェニル〕、クマリン誘導体(例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500)、ピラン誘導体(例えば、DCM1、DCM2)、オキサゾン誘導体(例えば、ナイルレッド)、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール夕動体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等を挙げることができる。発光機能を有する化合物としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体およびスチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、有機金属錯体がより好ましい。これらの有機化合物は、本発明の昇華精製装置を使用した昇華精製方法により効率的且つ高純度に精製できる。
【0061】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、発光層に本発明の昇華精製方法で精製された有機化合物を含有する。
また、例えば、J.Appl.Phys.,65,3610(1989)、特開平5−214332号公報に記載のように、発光層をホスト化合物とゲスト化合物(ドーパント)とより構成することもできる。
【0062】
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能および/または注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。
【0063】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくは、本発明の昇華精製装置により昇華精製された電子注入輸送材料を少なくとも一種含有する層を少なくとも一層挟持してなる。
【0064】
電子注入輸送層に使用される電子注入機能を有する化合物としては、例えば、有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体などを挙げることができる。また、有機金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム等の有機アルミニウム錯体、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム等の有機ベリリウム錯体、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩等を挙げることができる。好ましくは、有機アルミニウム錯体であり、より好ましくは、置換または未置換の8−キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体である。
置換または未置換の8−キノリラート配位子を有する有機アルミニウム錯体としては、例えば、一般式(a)〜一般式(c)で表される化合物を挙げることができる。
【0065】
(Q)3−Al (a)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表す)
(Q)2−Al−O−L (b)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表し、O−Lはフェノラート配位子を表し、Lはフェニル基を有する炭素数6〜24の炭化水素基を表す)
(Q)2−Al−O−Al−(Q)2 (c)
(式中、Qは置換または未置換の8−キノリノラート配位子を表す)
【0066】
置換または未置換の8−キノリノラート配位子を有する有機アルミニウム錯体の具体例としては、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ-tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ-tert−ブチルフェノラート)アルミニウム、
【0067】
ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウムを挙げることができる。
【0068】
これらの有機化合物は、本発明の昇華精製装置を使用した昇華精製方法により効率的且つ高純度に精製することができる。
電子注入機能を有する化合物は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0069】
陰極6としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金または導電性化合物を電極材料として使用することが好ましい。陰極に使用する電極材料としては、例えば、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、グラファイト薄を挙げることができる。これらの電極材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。
【0070】
陰極はこれらの電極材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法により電子注入輸送層の上に形成することができる。
また、陰極は一層構造であってもよく、多層構造であってもよい。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/□以下とするのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極材料にもよるが、通常5〜1000nm、好ましくは、10〜500nmとする。本発明の有機電界発光素子の発光を高率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、発光光の透過率が70%以上となるように陽極または陰極の材料、厚みを設定することが好ましい。
【0071】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の形成方法に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、デイップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロジェット法、インクジェット法)を使用することができる。真空蒸着法により正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着の条件は。、特に限定されるものではないが、通常、10-5Torr程度以下の真空下で、50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.005〜50nm/sec程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層は、真空下で、連続して形成することが好ましい。連続で形成することにより諸特性に優れた有機電界発光素子を製造することが可能となる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を、複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
【0072】
溶液塗布法により各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等とを、溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、例えば、有機溶媒(ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒)、水を挙げることができる。
【0073】
溶媒は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層の成分を溶媒に分散させる場合には、分散方法として、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を使用して微粒子状に分散する方法を使用することができる。
【0074】
また、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層に使用しうるバインダー樹脂としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアリーレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などの高分子化合物を挙げることができる。バインダー樹脂は単独で使用してもよく、また、複数併用してもよい。塗布液の濃度は、特に限定されるものではないが、実施する塗布法により所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、通常、0.1〜50重量%、好ましくは、1〜30重量%に設定する。バインダー樹脂を使用する場合、その使用量は特に限定されるものではないが、通常、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を形成する成分とバインダー樹脂の総量に対してバインダー樹脂の含有率が(一層型の素子を形成する場合には各成分の総量に対して)、5〜99.9重量%、好ましくは、10〜99重量%となるように使用する。
【0075】
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常、5nm〜5μmとする。
【0076】
また、上記の条件で作製した本発明の有機電界発光素子は、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また、素子を不活性物質中(例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油)に封入して保護することができる。保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイアモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物)、さらには、光硬化性樹脂を挙げることができる。保護層に使用する材料は単独で使用してもよく、また複数併用してもよい。保護層は一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
【0077】
また、本発明の有機電界発光素子は、電極に保護膜として金属酸化物膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。
【0078】
本発明の有機電界発光素子は、陽極の表面に界面層(中間層)を設けることもできる。界面層の材質としては、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。
さらに、電極、例えば、陽極はその表面を、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
【0079】
本発明の有機電界発光素子は、通常、直流駆動型の素子として使用することができるが、交流駆動型の素子としても使用することができる。また、本発明の有機電界発光素子は、セグメント型、単純マトリック駆動型等のパッシブ駆動型であってもよく、TFT(薄膜トランジスタ)型、MIM(メタル−インスレーター−メタル)型等のアクティブ駆動型であってもよい。駆動電圧は通常、2〜30Vである。本発明の有機電界発光素子は、パネル型光源(例えば、時計、液晶パネル等のバックライト)、各種の発光素子(例えば、LED等の発光素子の代替)、各種の表示素子〔例えば、情報表示素子(パソコンモニター、携帯電話・携帯端末用表示素子)〕、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
【0080】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0081】
実施例1
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、α−NPDと記述する)を(図1)に示す昇華精製装置により精製した。昇華部Aには、一辺が300mmのパイレックス(登録商標)製昇華ボートを設置し、ここにα−NPD100gを装入した。また、熱源Gとしてはステンレスにヒーターを埋め込んだブロックヒーターを5面(昇華ボート下部、上部、側面×3)使用した箱型の熱源(図3)を使用し、昇華部Aを形成した。昇華部Aと、パイレックス(登録商標)製捕集室Bはステンレス製フランジを介して直結した。真空ポンプにより1×10-4Paまで真空チャンバーを減圧にし、その後、熱源Gを温度制御器Fを介して稼動させ、ブロックヒーターの温度を320℃とし、捕集室Bの温度を150℃とした。捕集室Bから回収されたα−NPDは純度99.99%以上、その歩留は78%であった。
【0082】
実施例2
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、α−NPDと記述する)を(図1)に示す昇華精製装置により精製した。昇華部Aには、一辺が50mmのパイレックス(登録商標)製昇華ボートを設置し、ここにα−NPD6gを装入した。また、熱源Gとしてはステンレスにヒーターを埋め込んだブロックヒーターを5面(昇華ボート下部、上部、側面×3)使用した箱型の熱源(図3)を使用し、昇華部Aを形成した。昇華部Aと、パイレックス(登録商標)製捕集室Bはステンレス製フランジを介して直結した。真空ポンプにより1×10-4Paまで真空チャンバーを減圧にし、その後、熱源Gを温度制御器Fを介して稼動させ、ブロックヒーターの温度を320℃とし、捕集室Bの温度を150℃とした。捕集室Bから回収されたα−NPDは純度99.99%以上、その歩留は55%であった。
【0083】
実施例3
N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3”−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、TPDと記述する)を(図1)に示す昇華精製装置により精製した。昇華部Aには、一辺が300mmのパイレックス(登録商標)製昇華ボートを設置し、ここにTPD100gを装入した。また、熱源Gとしてはステンレスにヒーターを埋め込んだブロックヒーターを5面(昇華ボート下部、上部、側面×3)使用した箱型の熱源(図3)を使用し、昇華部Aを形成した。昇華部Aと、パイレックス(登録商標)製捕集室Bはテフロン(登録商標)製フランジを介して直結した。真空ポンプにより1×10-4Paまで真空チャンバーを減圧にし、その後、熱源Gを温度制御器Fを介して稼動させ、ブロックヒーターの温度を300℃とし、捕集室Bの温度を150℃とした。捕集室Bから回収されたTPDは純度99.99%以上、その歩留は67%であった。
【0084】
実施例4
8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(以下、Alq3と記述する)を(図1)に示す昇華精製装置により精製した。昇華部Aには、一辺が300mmのパイレックス(登録商標)製昇華ボートを設置し、ここにAlq3:100gを装入した。また、熱源Gとしてはステンレスにヒーターを埋め込んだブロックヒーターを5面(昇華ボート下部、上部、側面×3)使用した箱型の熱源(図3)を使用し、昇華部Aを形成した。昇華部Aと、パイレックス(登録商標)製捕集室Bはテフロン(登録商標)製フランジを介して直結した。真空ポンプにより1×10-5Paまで真空チャンバーを減圧にし、その後、熱源Gを温度制御器Fを介して稼動させ、ブロックヒーターの温度を320℃とし、捕集室Bの温度を150℃とした。捕集室Bから回収されたAlq3は純度99.99%以上、その歩留は82%であった。
【0085】
実施例5:有機電界発光素子の作製
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、セミコクリーン(フルウチ化学製)、超純水、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。この基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定し、蒸着槽を3×10-6Torrに減圧した。先ず、ITO透明電極上に、本発明の精製方法により精製したTPDを蒸着速度0.2nm/secで75nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層を形成した。次に、正孔注入輸送層の上にトリス(8−キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を兼ね備えた発光層を形成した。さらに、その上に、陰極としてマグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。尚、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cm2の定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.3V、輝度350cd/m2の緑色の発光が確認された。輝度の半減期は20時間であった。
【0086】
比較例1
実施例5において、正孔注入輸送層の形成に際して、本発明の精製方法により精製したTPDを使用する代わりに、未精製のTPD(東京化成製:試薬)を使用した以外は実施例5に記載の操作に従い、有機電界発光素子を作製した。素子からは緑色の発光が確認された。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、50℃、乾燥雰囲気下、10mA/cm2の定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.6V、輝度300cd/m2の緑色の発光が確認された。輝度の半減期は5時間であった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の昇華精製装置を使用した昇華精製方法によれば、不純物を含有する昇華性物質を安定性の低い物質でも高純度の製品を高い歩留で精製することが可能になる。また、精製装置も微量のものから多量のものまで取り扱うことができ、さらに、有機電界発光素子に使用する有機化合物を効率的に精製することが可能である。
【0088】
また、本発明の精製方法により精製された有機電界発光素子用材料は、有機電界発光素子として使用した際に素子寿命および発光効率の向上が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】昇華精製装置の一例の断面概略図である。
【図2】昇華精製装置の一例の断面概略図である。
【図3】本発明の昇華精製装置に用いる熱源の一例の断面概略図である。
【図4】本発明の昇華精製装置に用いる熱源の一例の断面概略図である。
【図5】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図6】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図7】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図8】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図9】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図10】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図11】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【図12】有機電界発光素子の一例の断面概略図である。
【符号の説明】
A:昇華部
B:捕集室
C:真空チャンバー
D:真空ポンプ
E:トラップ
F:温度制御器
G:熱源
Ga:熱源
Gb:不活性ガス導入口
Gc:ヒーター
Gd:金属ブロック
1:基板
2:陽極
3:正孔注入輸送層
3a:正孔注入輸送成分
4:発光層
4a:発光成分
5:電子注入輸送層
5”:電子注入輸送層
5a:電子注入輸送成分
6:陰極
7:電源

Claims (6)

  1. 熱源が設置された箱状又は筒状の昇華部と、
    ガラスからなる箱状又は筒状の、前記熱源と別の位置に前記昇華部と連続して配置された捕集室と、をその内部に有する真空チャンバーを備え、
    前記熱源により加熱された有機化合物を前記捕集室に昇華捕集する昇華精製装置。
  2. 前記真空チャンバーが金属材料から構成される請求項1記載の昇華精製装置。
  3. 前記真空チャンバー内を拡散ポンプ、ターボ分子ポンプあるいはクライオポンプにより真空状態とする請求項1または請求項2に記載の昇華精製装置。
  4. 前記熱源が金属材料内にヒータを埋め込んだブロックヒータである請求項1〜3のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
  5. 不活性ガス導入口を有し、微量の不活性ガスを導入しつつ、所望により排気量を制御し、前記真空チャンバー内の真空度を一定に設定することができる請求項1〜4のいずれか一項に記載の昇華精製装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の昇華精製装置を使用して有機化合物を精製することを特徴とする昇華精製方法。
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