JP4629853B2 - 自覚式検眼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、実行する検査内容と検査手順とを事前に登録して、登録された手順、内容に沿って自動的に検眼検査を進行させることのできる自覚式検眼装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自覚式検眼装置には、実行する検査内容と検査手順とを事前に登録する登録手段と、この登録手段によって登録された検査内容、検査手順を記憶する記憶手段とを備え、この登録された検査内容、検査手順に従って次の検査ステップに移行させることができるものが知られている。
【0003】
この種の自覚式検眼装置は、視標提示装置、コントローラ、左右対称形のフォロプタから大略構成されている。その各フォロプタの内部には例えば回転ディスクが設けられ、この回転ディスクには検査用光学素子、検査用補助光学素子が回転方向に適宜間隔をあけて設けられ、検査内容に応じてその検査内容に対応する検査用光学素子がそのフォロプタの検眼窓にそれぞれセットされるようにされている。
【0004】
被検者はその検眼窓を通じて視標提示装置に提示されている視標チャートを見つつ、検者の質問に応答することによって検査を受けるものである。
【0005】
この自覚式検眼装置では、裸眼視力検査、乱視検査(放射線視標チャートの提示による検査、点群チャートとクロスシリンダーとを用いる検査)、レッド・グリーンチャートを提示してのレッド・グリーン検査、両眼バランス検査、十字斜位検査、不透視像検査等の各種の検査を行うことができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、放射線チャートを用いての乱視検査では、被検者の視力が0.1程度になるまで検査用光学素子としての球面レンズの度数を増加させて一旦被検者に雲霧をかけ、その後、被検者の視力が0.5程度になるまで球面レンズの度数を−0.25Dずつ減少させて、放射線視標チャートを被検者に提示する検査を行っている。
【0007】
また、例えば、十字斜位検査では、補助光学素子としての偏光フィルター(右眼135度方向、左眼45度方向)又はロータリープリズムを検眼窓にセットし、十字斜位視標チャートを被検者に提示する検査を行っている。
【0008】
ところが、球面レンズ、ロータリープリズムを検眼窓にセットする過程で、検眼窓を通じて視標提示装置に提示された視標が被検者に見える状態であると、その検査用光学素子のセットの過程で被検者が無意識のうちに調節を働かせることがある。このように検査開始前に調節が働いている状態では、その検査について精度の高い検査を行うことができないという問題がある。
【0009】
そこで、従来、熟練の検者は、手動で検眼窓を遮蔽する遮蔽板を検眼窓にセットしたり、被検者の眼前を手で覆い隠す等の手段をとっているが、自覚式の検眼検査は、被検者と検者との間での質問・応答が繰り返されつつ複雑な手順を経て進行するものであるから、検査手順が複雑化すると、熟練の検者をもってしても、検査効率が低下すると共に、精度の高い検査を期待できない結果を招くことになる。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、検眼窓の遮蔽が一旦必要な検査を実行する時には検査開始前に検者が逐一手動で検眼窓を遮蔽することなく、自動的に検眼窓を一旦遮蔽することができるようにした自覚式検眼装置を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の自覚式検眼装置は、実行する検査内容を事前に登録する登録手段と、この登録手段によって登録された検査内容を記憶する記憶手段とを備え、この登録された検査内容に基づき検査を実行する自覚式検眼装置において、
検査開始前に検眼窓を一旦遮蔽することが必要な検査内容か否かの判断を行う判断手段と、
当該検査内容が選択されたときに前記判断手段の判断結果に基づき検査開始前に前記検眼窓を一旦遮蔽し、検査用光学素子をセットした後、検眼窓の遮蔽を解除する遮蔽・解除手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の自覚式検眼装置は、前記登録手段が、検者が検査内容毎に検眼窓を遮蔽するか否かを個別に指定して登録可能であることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の自覚式検眼装置は、前記検眼窓の遮蔽が一旦必要な検査内容が、両眼で実行される検査内容であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の自覚式検眼装置は、前記登録手段が、一連の検査に使用する視標チャートの種類とその視標チャートの提示順序とをあらかじめ登録可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の自覚式検眼装置は、前記登録手段が、あらかじめ準備された検査名の中から検査内容を選択可能であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係わる自覚式検眼装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
[全体]
図1において、10は自覚式検眼装置を示し、自覚式検眼装置10は、視標提示装置11、コントローラ12、左右対称形のフォロプタ13から大略構成されている。
【0018】
コントローラ12は図8に示すようにその内部にCPU12’とメモリ69とを有する。CPU12’はインターフェースを介してフォロプタ13の駆動制御部、視標提示装置11の駆動制御部に接続されている。フォロプタ13の各パルスモータM1〜M6はそのコントローラー12の登録された検査内容によって制御され、視標提示装置11の駆動制御部も同様である。
[コントローラ12]
コントローラ12は検眼テーブル14に載置されている。検眼テーブル14には上下方向に伸縮可能の支柱15が設けられ、支柱15には支持アーム16が回動可能に設けられている。フォロプタ13はその支持アーム16に支持されている。
【0019】
コントローラ12は操作盤17とモニター用の液晶表示盤18とマウス19とから大略構成されている。その操作盤17、マウス19によって視標提示装置11の視標チャート20の選択、フォロプタ13の制御を行うことができるようになっている。
[フォロプタ13]
フォロプタ13には、検眼窓13L、13Rが設けられている。被検者21はこの検眼窓13L、13Rを通じて視標チャート20を見ることにより視力検査を受けるものである。
【0020】
フォロプタ13は周知の通り左右対称構造であるので、左側部分(被検者21の左眼Eを検査する部分)についてのみ図2を参照しつつ説明する。
【0021】
その図2において、22は左眼対応部のケースを示す。そのケース22内には軸24が設けられ、この軸24に回転ディスク25〜29が回転可能に設けられている。各回転ディスク25〜29には図3に示すように周回り方向に等間隔を開けて円形開口30が設けられ、その各回転ディスク25〜29の外周部にはギヤ25G〜29Gが形成されている。
【0022】
各ギヤ25G〜29Gには駆動ギヤK1〜K5が噛み合わされ、駆動ギヤK1〜K5はパルスモータM1〜M5(M1〜M4は図2には示されていない)によって回転駆動される。
【0023】
回転ディスク25の複数の円形開口30には、検査用光学素子として、0.25Dずつ球面度数が異なる複数の球面度数レンズが一枚ずつ嵌合され、回転ディスク26の複数の円形開口30には、3Dずつ球面度数の異なる複数の球面度数レンズが1枚ずつ嵌合され、回転ディスク27の各円形開口30には、検査用光学素子として、乱視レンズがそれぞれ嵌合され、回転ディスク28の各円形開口30には、検査用補助光学素子としての遮光板、ピンホール、マドックスレンズ、レッドフィルタ、グリーンフィルタ(レッドグリーンフィルタ)、ロータリプリズムがそれぞれ嵌合されている。
【0024】
回転ディスク29には、図4に示すように、クロスシリンダ検査を行うためのクロスシリンダ41と偏光板40及び遮光板30Bが装着されるものである。
【0025】
回転ディスク29は太陽歯車31を備えている。太陽歯車31は、大径歯車32と小径歯車33とから構成され、小径歯車33には駆動ギヤK6が噛み合わされ、その小径歯車33はパルスモータM6によって回転駆動される。
【0026】
回転ディスク29の各円形開口30には、図4に示すようにホルダー34、35〜39が回転可能に設けられている。ホルダー34には検査用補助光学素子としての偏光板40が設けられ、ホルダー35〜39には検査用光学素子としての度数の異なるクロスシリンダー41が設けられている。
【0027】
そのホルダー34〜39の外周部にはギヤ42が設けられ、各ギヤ42には大径歯車32が噛み合わされ、ホルダー34〜39はパルスモータM6によって検査光軸43の回りに回転可能とされている。
【0028】
なお、各回転ディスク25〜29の円形開口30には、矯正力をかけない状態での検眼検査を行うために素通しとされているものが少なくとも1個ある。この素通しの開口30に符号30Aを付する。また、各回転ディスク25〜29の円形開口30には素通し開口30Aに隣接して被検者21が視標チャート20を視認することができないようにするため、遮蔽板30Bが設けられている。
【0029】
左眼検査用の偏光板40の偏光方向は基準位置では水平方向に対しての偏光方向が135度方向を向くように設定されている。これに対して、右眼検査用の偏光板(図示を略す)の偏光方向は45度方向を向くように設定され、右眼用の偏光板と左眼用の偏光板とは互いに直交する状態で、検眼窓13L、13Rにセットされる。
[視標提示装置11]
図5に示すように、視標提示装置11にはその本体42内に視標光学系43が設けられている。視標光学系43は、光源44、コンデンサレンズ45、拡散板46、視標パネル47からなる。視標パネル47はその拡散板46によって均一に照明される。その視標パネル47は複数種類準備され、検査の種類に応じて図示を略す切り替え機構によって視標光学系43の光路内に挿入される。その視標パネル47は視標提示窓48を通じて被検者に提示される。
【0030】
各視標パネル47には、図6に示すように、ランドルト環視標チャート47a(図6(a)参照)、乱視テスト用視標チャート47b(図6(b)参照)、クロスシリンダーテスト用視標チャート(点群チャート)47c(図6(c)参照)、十字斜位視標チャート47d(図6(d)参照)、不透視像視標チャート47e(図6(e)参照)等が準備されている。
【0031】
その十字斜位視標チャート47d、不透視像視標チャート47eには偏光フィルタが取り付けられている。例えば、十字斜位視標チャート47dには、その縦線部47fに偏光方向が水平方向に対して45度の偏光フィルタが取り付けられ、横線部47gに偏光方向が水平方向に対して135度の偏光フィルタが取り付けられている。
(コントローラ12)
コントローラ12は、操作部50を有する。この操作部50は図7に拡大して示すようにチャート選択スイッチ部51、基本操作スイッチ部52、機能選択スイッチ部53、比較スイッチ部54、特殊機能スイッチ部55、56からなる。
【0032】
チャート選択スイッチ部51は視標チャートを指定するスイッチ群で、このスイッチ群のいずれか一つを操作すると、その操作されたスイッチに対応する視標パネル47が視標光学系43の光路内に挿入されると共に、液晶表示盤18の画面に対応する視標チャートが表示される。
【0033】
基本操作スイッチ部52は球面、乱視度数、乱視軸の検査を行うためのスイッチ群とクロスシリンダーテストを行うためのスイッチ群からなり、測定眼指定スイッチ57、左眼開閉スイッチ58、右眼開閉スイッチ59、検査コース指定スイッチ60、「1」スイッチ61、「2」スイッチ62、ダイヤル63、その他のスイッチから構成されている。
【0034】
測定眼指定スイッチ57は測定眼が左眼であるのか、右眼であるのか、両眼であるのかを選択するためのスイッチであり、左眼開閉スイッチ58は検眼窓13Lに遮蔽板を挿入して被検者の左眼で視標チャート20を見えなくするためのスイッチであり、右眼開閉スイッチ59は検眼窓13Rに遮蔽板を挿入して被検者の右眼で視標チャート20を見えなくするためのスイッチである。また、検査コース指定スイッチ60はプログラムを開始するためのスイッチで、検査コース指定スイッチ60を押すと液晶表示盤18の画面に実行可能なプログラム一覧が表示される。
「1」スイッチ61、「2」スイッチ62は乱視軸検査、乱視度数検査においてクロスシリンダレンズを駆動するのに用いられ、ダイヤル63は主にフォロプター13中の回転ディスク25〜28を回転させ、検眼窓13L、13Rに配置される検査光学素子を切り替えるために使用される。なお、63’は検眼プログラムを現在実施中の検査から次の検査へ移行するための送りスイッチである。
【0035】
検査コース指定スイッチ60を押すと、液晶表示盤18の画面に予め登録されている検査コースの一覧が表示され、その一覧表の中から特定の検査プログラムをマウス19で選択すると、その検査コースが実行される。検査プログラムの進行手順は本発明とは直接関連しないので、その詳細な説明は省略する。
【0036】
コントローラ12のメモリ69には、検査コースを実行するための実行用プログラムと、実行する検査コースを事前に登録するための登録用プログラムとが記憶されている。
【0037】
マウス19により検査コースを事前に登録する登録プログラムを選択すると、検査コースを登録する登録画面64が図9に示すように表示される。
【0038】
その登録画面64の画面左側には使用可能な全ての視標チャート20の一覧表65が表示されると共に、画面右側には、検査実行順序リスト66が表示される。検査実行順序リスト66は、実行順序を意味する「No及び1、2、…の数字」と、選択された視標チャートを表示する表示欄67と、その選択された視標チャートにより実行される検査名を表示する表示欄68とからなっている。なお、図9中、符号Pはマウス19を用いて対象を選択するためのポインタである。
【0039】
検者70がマウス19を用いて選択したい視標チャート20上にポインタPを移動させ、マウス19の左ボタンをダブルクリックすると、検査実行順序リスト66に、その選択された視標チャート20により実行されるべき検査名と視標チャート20とが指定順に表示される。
【0040】
この登録画面64によれば、一連の検査に使用する視標チャート20の種類とその視標チャート20の提示順序とがあらかじめ登録可能である。この一連の検査に使用する視標チャート20の種類とその視標チャート20の提示順序とは図8に示す記憶手段としてのメモリ69に記憶される。
【0041】
上記検査コースは視標の種類等を変えて、複数種類登録できるようにしておき、検査の目的に応じて適宜選択できるようにしておくとよい。
【0042】
ここで、検査コースの登録が為された後、コントローラ12の検査コース指定スイッチ60を操作すると、登録済みのコースが小画面上に表示される。検者70は液晶表示盤18の表示画面上で表示された検査コースのうちから一つを選択する。これにより、前述の登録画面64で選択した視標チャート20が選択した通りの順序で提示され、検眼コースが実行されることになる。
【0043】
図10は選択された視標の種類に応じてフォロプタ13やコントローラ12をどのような状態に設定するかを検者70が決定するための第2の登録画面(設定画面)である。
【0044】
例えば、図9において、No.4の欄に表示された視標チャート20(0.5〜0.7のランドルト環)をマウス19の左ボタンでダブルクリックすると、図10に示す登録画面71となる。
【0045】
その図10において、72は検査名リストであり、ダブルクリックにより選択された視標に対応する検査名のみが反転表示されている。ここでは、「球面度テスト/遠用視力測定」が反転表示されている。73は登録を変更するために選択された視標チャート20を表示する表示部であり、チャートに縦一列のマスクをすることを設定するマスク設定部73a、同じく横一列のマスクを設定する設定部74bを有する。
【0046】
74は視標チャート20に対してレッドグリーンフィルタを常時使用するか否かの設定するための登録ボタンである。75は登録すべき視標チャート20に対応して検査内容のパラメータの詳細を指定するボックスであり、データ項目ボックス75a、被検眼項目ボックス75b、KB−ID項目ボックス75c、雲霧量項目ボックス75dからなっている。
【0047】
各ボックスの右端にはドロップダウン矢印があり、このドロップダウン矢印をクリックすると、そのボックスの下にプルダウンメニューが表示され、任意の項目を選択できるようになっている。
【0048】
データ項目ボックス75aは、既に得られているデータのうち、どのデータに基づいて検査を行うかを指定するためのものであり、例えば、裸眼視力測定用データ、オートレフラクトメータで測定されたデータ、レンズメータで測定されたデータ、図示しないデータベースから転送された前回の処方データ、自覚検眼データ、処方データの中からいずれか1つを選択する。
【0049】
被検眼項目ボックス75bは、選択中の視標チャートにより、片眼検査、両眼検査のいずれを行うかを選択するためのボックスである。KB−1D項目ボックス75cは、選択中の視標チャートにより、球面度数検査、乱視度数検査、乱視軸検査、水平プリズム検査、垂直プリズム検査のいずれを行うかを選択可能にしたものである。また、雲霧量項目ボックス75dは、選択中の視標チャートを雲霧させて被検眼に提示するか否か、雲霧させるのであれば雲霧量をどの程度にするのかを選択するためのものであり、例えば、雲霧なし、0.25D、0.50D、0.75D、1.0D等を選択できるようにしたものである。
【0050】
検者は、このボックス75により各種項目を設定することにより、選択中の視標チャートをどのような検査に使用するのかを選択することができ、この選択を登録すると、次回より選択された通りの状態を得るように、各種光学素子が自動的に検眼窓13L、13R内に挿入される。
【0051】
この選択作業をしない場合には、装置の出荷時に、デフォルトとして予めメモリ69に記憶された設定内容に基づき、各種光学素子の検眼窓13への移動が行われる。
【0052】
例えば、0.5〜0.7のランドルト環が選択された場合には、データ項目ボックス75aは「遠用視力検査」、被検眼項目ボックス75bは「片眼検査」、KB−1D項目ボックスは「球面度数」、雲霧量項目ボックス75dは「雲霧なし」が表示されるよう、予め装置の出荷時に設定がなされ、検査コース実行時にはこの出荷時の設定に合わせた光学素子の移動が行われるようになっている。
【0053】
符号76は選択中の視標チャートに対応して検眼窓13L、13Rに配置すべき検査用補助光学素子(偏光板、ピンホール、遮光板等)をグラフィック表示する表示部を示しており、符号76aは左眼用補助光学素子のグラフィック表示部、符号76bは右眼用補助光学素子のグラフィック表示部である。
【0054】
この表示部76には、選択中の視標チャートを使用する場合に、通常使用される検査用補助光学素子が表示されており、実際に検査コースが実行され、その視標チャートが挿入される段階になったときには、当該表示されている検査用光学素子が自動的に検眼窓13L、13R内に挿入されるようになっている。
【0055】
例えば、図10に示すようなランドルト環チャートが選択されている場合には、開口を示すグラフィックが表示される。なお、本実施例においては、ランドルト環チャートに関し、上述の被検眼項目ボックス75bにより「片眼検査」が指定されるか「両眼検査」が指定されるかに拘わらず、左右両方の表示部76は開口を示す白い円板の表示としている。実際には、ボックス75bにより「片眼検査」が指定されている場合には、非検査側の検眼窓は遮光板により遮光される。しかし、本実施例では、検査側に関しては開口とされることが示されれば十分であるので、左右両方の表示部76を開口の表示としている。
【0056】
図6(d)に示すような十字斜位チャートを使用する場合には、通常左右の検眼窓13L、13Rにそれぞれ45度、135度の偏光板を使用するので、十字斜位チャートの場合には、表示部76には偏光板を示すグラフィック表示がなされる。
【0057】
こうした通常使用される補助光学素子をそのまま使用したいならば、検者は何も操作をする必要はない。一方、表示されている補助光学素子以外の補助光学素子を使用したい場合には、表示部76にポインタpを移動させ、マウス19の左ボタンをダブルクリックするか、又は、表示部76上方の「補助レンズ変更」アイコン76cをクリックする。すると、表示されていた補助光学素子以外の補助光学素子の図柄が小画面に現れるので、検者は、所望の補助光学素子をクリックする。
【0058】
こうして、ボックス75、表示部76の変更作業を完了し、変更内容を登録したい場合には、画面右上の「OK」のアイコンをクリックする。こうして、変更登録が完了する。
【0059】
なお、各種の検査の中には、補助光学素子の挿入前に、一旦検眼窓13L、13Rを遮光板により遮光し、必要な補助光学素子の検眼窓への挿入を終えてから遮光板を離脱させるようにしたほうが、正確な検眼作業が期待できる場合がある。例えば、プリズムを使用した斜位検査では、被検者が視標を見得る状態でプリズムを挿脱することは、被検眼の調整を誘発し、測定値の信頼度が低下するという問題がある。
【0060】
このため、本実施例の自覚式検眼装置では、実行される検査の種類その他の情報に基づいて、検査開始前に一旦遮光板を挿入して検眼窓を遮光するか否かをコントローラ12内のCPUが自動的に判断する機能を持っており、遮光すべきと判断された場合には、次の動作が行われる。
【0061】
例えば、両眼検査を行う場合、特に、斜位検査のように、水平プリズム、垂直プリズムを使用する検査が選択された場合に、まず回転ディスク29を回転させ、遮光板を検眼窓13L、13Rの前に配置し、視界を遮断した後、回転ディスク28を回転させ、ロータリープリズムを検眼窓13L、13R前に配置し、図示しない駆動機構によりロータリプリズムを所望のプリズム量となるまで回転させる。
【0062】
こうして、検査ができる状態が完了したら、再び回転ディスク29を回転させて遮光板を離脱させると共に、同じく回転ディスク29上にある偏光板を検眼窓13R、13Lの前に配置する。遮光板から偏光板の切り換えは素早く行う必要があるので、遮光板と偏光板とは互いに隣り合った円形開口に配置するのが好ましい。このように、プリズムの設定をしている際は、遮光板により被検者の視界が遮断され、被検者はプリズムが動いていく様子、及びそれにより斜位視標の見え方が変わって行くのを見ることはないので、正確な検眼をすることができる。
【0063】
検査開始前に一旦遮光板を挿入して検眼窓を遮光するか否かをの自動判断は、検査名リストが何かによって行ってもよいし、また、ボックス75cにより、水平プリズム又は垂直プリズムのいずれかが選択されているか否かにより行ってもよい。
【0064】
また、ボックス75dにより、自動雲霧がなされるように設定されているときには、雲霧動作中に被検者が視標を見られるような状態にされていると、被検眼に調節力が働いて正確な検眼を行うことができなくなる虞がある。
【0065】
そこで、雲霧動作中は回転ディスク29上の遮光板を検眼窓13L、13Rの前に配置し、被検者の視標の見え方が変わって行くのを見えないようにし、雲霧動作が終わってから遮光板を検眼窓13L、13Rの前から離脱させるようにする。これにより、正確な検眼をすることができる。
【0066】
次に、上記のような設定動作が完了した後の、検査コースの進行について、特に検査開始前に検査窓を一旦遮光する動作を中心に説明する。
【0067】
検査コース指定スイッチ60により所望の検査コースが選択されると、メモリ69に記憶されている実行用プログラムに沿って、検査コースが実行される。すなわち、図9、図10で説明した登録用プログラムにより設定された情報に基づいて、選択された視標チャート20が所定の手順で提示されるとともに、フォロプタ13内の回転ディスク25〜29が駆動制御され、これにより指定された光学素子が検眼窓13L、13R内に挿入、離脱される。
【0068】
また、提示されようとする視標チャートに関し、検査開始前に一旦検眼窓13L、13Rを遮光する旨の登録が登録プログラムにおいてなされているときは、これに基づき、CPU12’からフォロプタ13’に向けて回転ディスク29を回転させて遮光板30Bを挿入させる旨の駆動信号が出力される。
【0069】
例えば、実行用プログラムにおいて、十字斜位チャートの使用時には、水平プリズム(又は垂直プリズム)を使用することが、KB−1D項目ボックス75cにより設定されている場合には、CPU12’からCPU13’に向けて駆動信号が出力され、これに基づき回転ディスク29が駆動制御され、遮光板が検眼窓13L、13Rの前に一旦挿入され、視界を遮断する。
【0070】
その後、回転ディスク28を回転させ、ロータリープリズムを検眼窓13L、13Rの前に配置し、図示をしない駆動機構により、ロータリープリズムを所望のプリズム量となるまで回転させる。こうして、検査ができる状態が完了したら、再び回転ディスク29を回転させて遮光板を離脱させると共に、同じく回転ディスク29上にある偏光板を検眼窓13R、13Lの前に配置する。このように、プリズムの設定をしている際は、遮光板により被検者の視界が遮断され、被検者はプリズムが動いていく様子、及びそれにより斜位視標の見え方が変わって行くのを見ることはないので、正確な検眼をすることができる。
【0071】
以上、発明の実施の形態では、検査用補助光学素子を検眼窓13L、13Rにセットする前に一旦被検者21の視界を遮るか否かを自動的に判断させることにしたが、図11に示すように、遮蔽チェックボタン項目78を設け、検者70に遮蔽の有無を登録させ、その登録した検査を行うときにのみ検査用補助光学素子をセットする前に一旦被検者21の視界を遮るために遮蔽板30Bを検眼窓13L、13Rにセットする構成とすることもできる。
【0072】
また、実施例においては、回転ディスク29に配置された遮光板29により検眼窓の一旦遮蔽を行うことにしたが、別のディスクや遮光板専用のディスクを設け、これにより遮蔽動作を行うようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、検眼窓の遮蔽が一旦必要な検査を実行する時には検査開始前に検者が逐一手動で検眼窓を遮蔽することなく、自動的に検眼窓を一旦遮蔽することができるようにしたので、検査に不慣れな検者の場合には、検査の精度の向上を期待でき、熟練の検者の場合には、迅速にかつ効率よく検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる自覚式検眼装置の斜視図である。
【図2】 図1に示すフォロプタの内部構造の一例を示す図である。
【図3】 図2に示す回転ディスクの構成の一例を示す図である。
【図4】 図2に示す太陽歯車を備えた回転ディスクの一例を示す図である。
【図5】 図1に示す視標提示装置の内部構成の概要を示す図である。
【図6】 図1に示す視標提示装置に提示される視標チャートの一例を示す図であって、(a)はランドルト環、(b)は放射線チャート、(c)は点群チャート、(d)は十字斜位チャート、(e)は不透視像チャートをそれぞれ示す。
【図7】 図1に示すコントローラの操作部の平面図である。
【図8】 図1に示すコントローラとフォロプタと液晶表示盤と視標提示装置との通信接続関係の概略を示すブロック図である。
【図9】 液晶表示盤に表示された検査順序の指定登録画面の一例を示す説明図である。
【図10】 液晶表示盤に表示された登録画面の一例を示す説明図である。
【図11】 液晶表示盤に表示された登録画面の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
10…自覚式検眼装置
12…コントローラ(登録手段、判断手段)
59…記憶手段
13L、13R…検眼窓
M1〜M6…パルスモータ(遮蔽解除手段)

Claims (5)

  1. 実行する検査内容を事前に登録する登録手段と、この登録手段によって登録された検査内容を記憶する記憶手段とを備え、この登録された検査内容に基づき検査を実行する自覚式検眼装置において、
    検査開始前に検眼窓を一旦遮蔽することが必要な検査内容か否かの判断を行う判断手段と、
    当該検査内容が選択されたときに前記判断手段の判断結果に基づき検査開始前に前記検眼窓を一旦遮蔽し、検査用光学素子をセットした後、検眼窓の遮蔽を解除する遮蔽・解除手段とを備えていることを特徴とする自覚式検眼装置。
  2. 前記登録手段は、検者が検査内容毎に検眼窓を遮蔽するか否かを個別に指定して登録可能であることを特徴とする請求項1に記載の自覚式検眼装置。
  3. 前記検眼窓の遮蔽が一旦必要な検査内容が、両眼で実行される検査内容であることを特徴とする請求項1に記載の自覚式検眼装置。
  4. 前記登録手段は、一連の検査に使用する視標チャートの種類とその視標チャートの提示順序とをあらかじめ登録可能であることを特徴とする請求項1に記載の自覚式検眼装置。
  5. 前記登録手段は、あらかじめ準備された検査名の中から検査内容を選択可能であることを特徴とする請求項1に記載の自覚式検眼装置。
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