以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、以下順次説明する第1〜第4の実施の形態に係るアイドルストップ付き車両について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、車体前部のエンジンルーム内にエンジン2が横方向に配置され、該エンジン2の出力が自動変速機3、差動装置4、車軸5a,5bを介して左右の前輪6a,6bに伝達されるように構成されたFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両である。また、この車両1は、燃費の向上や、環境汚染物質あるいは二酸化炭素の排出低減、及び騒音の抑制等を図るために、停車中等、後述する所定の条件が満たされたときにエンジン2を停止させる機能、いわゆるアイドルストップ機能を有するアイドルストップ付き車両であり、エンジンルーム内には、アイドルストップ時にエンジン2の始動用バッテリ7から電力供給を受けて作動し、電動モータ8a及びポンプ8b等からなる電動オイルポンプ8が配置されている。また、車室内には、アクセルペダル9やブレーキペダル10が配置されている。
次に、上記自動変速機3について図2を用いて詳しく説明する。
図2に示すように、この自動変速機3は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構として隣接配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
上記トルクコンバータ20は、エンジン2の出力軸2aに連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向して配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン2の出力軸2aとタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン2に駆動されるエンジン駆動式のオイルポンプ12が配置されている。
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,44とで構成されている。
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
さらに、第1遊星歯車機構30のリングギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリングギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置4の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置4のデフケース72に入力され、該差動装置4を介して左右の車軸5a,5bが駆動されるようになっている。
ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦要素51〜55の油圧供給状態及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、表1に示すようになる。ここで、この表1における○印は、摩擦要素51〜55においては作動油圧が供給されている状態であることを意味し、ワンウェイクラッチ56においてはロック状態であることを意味する。なお、摩擦要素51〜55のうち、フォワードクラッチ51、3−4クラッチ53、ローリバースブレーキ55、リバースクラッチ52は単一の油圧室を有し、該油圧室に作動油圧が供給されているときに当該摩擦要素が締結される。また、バンドブレーキでなる2−4ブレーキ54は、作動油圧が供給される油圧室として締結室54aと解放室54bとを有し、締結室54aのみに作動油圧が供給されているときに当該2−4ブレーキ54が締結され、解放室54bのみに作動油圧が供給されているとき、両室54a,54bとも作動油圧が供給されていないとき、及び両室54a,54bとも作動圧が供給されているときに、2−4ブレーキ54が解放されるようになっている。また、ワンウェイクラッチ56は、前進時(正駆動時)においては、1速でロック状態、2速〜4速でフリー状態となる。したがって、2速〜4速での逆駆動時においては、ワンウェイクラッチ56がロック状態となり、車軸5a,5bの車両後退方向回転がロックされる。
次に、上記自動変速機3が搭載されたアイドルストップ付き車両1のアイドルストップ制御について、第1〜第4の実施の形態を通して詳しく説明する。なお、既に説明したもの(エンジン2、自動変速機3等)については、第1〜第4の実施の形態を通して同一の符号を用いる。
まず、第1の実施の形態について説明すると、図3に示すように、当該アイドルストップ付き車両1には、アイドルストップ制御を行う制御回路100が備えられており、該制御回路100は、車両1の速度を検出する車速センサ101からの信号と、アクセルペダル9の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ102からの信号と、ブレーキペダル10が踏み込まれたときにオンとなるブレーキスイッチ103からの信号と、乗員により変速レバー等を介して選択された変速モードを検出する変速モード検出手段104からの信号と、乗員により変速レバー等を介して選択された変速段を検出する選択ギア検出手段105からの信号とを入力する。ここで、変速モード検出手段104としては、例えばモードスイッチを用いればよく、選択ギア検出手段105としては、例えばアップシフトスイッチ及びダウンシフトスイッチを用いればよい。
そして、制御回路100は、これらのスイッチやセンサからの信号に基いてアイドルストップ制御を実行し、上記変速機3の変速制御用アクチュエータ111…111(変速用ソレノイドバルブ等)と、バッテリ駆動式の電動オイルポンプ8と、エンジン2の燃料噴射弁121…121及び点火プラグ122…122とに制御信号を出力する。ここで、このバッテリ駆動式の電動オイルポンプ8は、前述したように、アイドルストップ時(エンジン停止中)に作動停止状態となるエンジン駆動式のオイルポンプ12に代わり、エンジン2の始動用バッテリ7から電力供給を受けて作動し、変速機3の摩擦要素51…55に作動油圧を供給する。なお、図示しないが、インパネ上には自動変速機3の現在の変速段を表示するギア段表示手段(ディスプレイ等)が備えられており、制御回路100は、ギア段表示手段に自動変速機3の変速段の表示信号を出力する。また、ギア段表示手段は制御回路100からの表示信号に基づいて、例えば、1速の場合「1」、2速の場合「2」、3速の場合「3」、4速の場合「4」と表示する。また、上記制御回路100等はエンジン2及び変速機3の制御装置の一部を記載したものであり、該制御装置の他の部分により、上記車速センサ101からの信号、アクセル開度センサ102からの信号等に基づく通常の変速制御やエンジン制御等が別途行われる。なお、この際、変速モード検出手段104からの信号によりオート変速モードが選択されていることが検出されたときは、車速センサ101からの信号、アクセル開度センサ102からの信号に応じて変速マップに基づき自動的に変速制御が行われ、マニュアル変速モードが選択されていることが検出されたときは、乗員のシフト操作に応じて出力される選択ギア検出手段105からの信号に応じて変速制御が行われる。
次に、制御回路100による制御を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1で、上記センサやスイッチからの各検出値を入力したうえで、ステップS2で、アイドルストップ中か否かを判定する。その結果、アイドルストップ中でない場合(NO)は、ステップS3で、車速がゼロ(車速が所定車速以下、ほぼゼロも含む)であり、かつブレーキスイッチ103がオンであるか否か、つまりエンジン2の自動停止条件が満足されているか否かを判定する。その結果、満足されていない場合(NO)は、そのままリターンし、満足されている場合(YES)は、ステップS4で、エンジン2を自動停止する。すなわち、燃料噴射弁121…121による燃料供給及び点火プラグ122…122による火花点火を停止する。
次いで、ステップS5で、現在の変速段が2速か否かを判定する。その結果、2速でない場合(NO)は、ステップS6で、変速段を1速から2速に制御する。すなわち、変速制御用アクチュエータ111…111を制御して、フォワードクラッチ51の油圧室及び2−4ブレーキ54の締結室54aに作動油圧を供給し、フォワードクラッチ51及び2−4ブレーキ54を締結状態とさせる。なお、このとき、エンジン2の自動停止に伴い、エンジン駆動式のオイルポンプ12は停止状態となって作動油圧の生成が停止するため、制御回路100は、バッテリ駆動式の電動オイルポンプ8を作動させる。
次いで、ステップS7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
一方、上記ステップS5の判定が2速の場合(YES)は、ステップS8で、現在実行中の変速モードがマニュアル変速モードか否かを判定する。その結果、マニュアル変速モードの場合(YES)は、ステップS9で、フラグFmに1を設定し、オート変速モードの場合(NO)は、上記ステップS7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
これに対し、上記ステップS2で、アイドルストップ中である場合(YES)は、ステップS10で、ブレーキがオフ操作されたか否か、すなわちブレーキスイッチ103がオフとなったか否か、及び車速が所定車速より大きいか否か、つまりエンジン2の再始動条件が満足されているか否かを判定する。ここで、車速が所定車速より大きくなったときとは、例えば、ブレーキペダル10の踏み込みの緩みや、ブレーキペダル10は踏み込んでいるものの、背景技術で説明したようなブレーキ液圧の低下により、下り坂等で車両1が前進し始めた場合等である。そして、ステップS10で、満足されていない場合(NO)は、そのままリターンし、満足されている場合(YES)は、ステップS11で、エンジン2を再始動する。すなわち、燃料噴射弁121…121による燃料供給及び点火プラグ122…122による火花点火を再開する。また、このエンジン2の再始動に伴い、エンジン駆動式のオイルポンプ12がエンジン2で再駆動されて該ポンプ12による作動油圧の生成が再開するため、制御回路100は、バッテリ駆動式の電動オイルポンプ8の作動を停止させる。
次いで、ステップS12で、マニュアル変速モードが選択されているか否かを判定し、マニュアル変速モードが選択されていない場合(NO)は、ステップS13で、前述したフラグFmが1か否かを判定する。その結果、フラグFmが1でない場合(NO)は、さらに、ステップS14で、アクセル開度が所定開度より大きいか否かを判定する。その結果、アクセル開度が所定開度より大きい場合(YES)、つまり乗員が急発進を望んでいる場合は、大きな加速力が得られるように、ステップS15で、変速段を2速から1速に制御する。すなわち、変速制御用アクチュエータ111…111を制御して、フォワードクラッチ51の油圧室に作動油圧を供給し、フォワードクラッチ51を締結状態とさせる。
一方、ステップS14でアクセル開度が所定開度以下の場合(NO)、つまり乗員が緩発進を望んでいる場合は、ステップS16で、2速を維持する。なお、2速の状態は、変速マップに基づく2−3シフトアップ変速が生じるまで維持される。
これに対し、ステップS12で、マニュアル変速モードが選択されている場合(YES)は、ステップS17で、マニュアル変速操作(変速段の変更操作)があったか否かを判定する。その結果、マニュアル変速操作がない場合(NO)は、オート変速モードが選択されている場合同様、上記ステップS13以後の制御を行う。一方、マニュアル変速操作があった場合(YES)は、ステップS18で、マニュアル変速操作に応じた変速段に制御する。なお、ステップS16では、車速等に基づいてシフトアップの制限を行ってもよい。
次に、第1の実施の形態に係るアイドルストップ制御の作用について説明する。
まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合について説明する。 例えば、車両1がDレンジの4速で走行しているものとする。そのとき、乗員によりブレーキペダル10が踏み込まれると、徐々に車速が低下すると共に、車両1の運転状態に応じて、変速段が変速マップに従って4速→3速→2速→1速、または4速→3速→2速というように低速段側に制御される。また、ブレーキペダル10の踏み込みによりブレーキスイッチ103がONとなっている。そして、車速がゼロとなると、例えば車速がゼロとなったときからのブレーキスイッチ103のONの継続時間が所定時間に達すると、エンジン2が自動停止される。
そして、エンジン2の自動停止後、自動変速機3の現在の変速段が1速に制御されている場合は、変速段が1速から2速に制御され、もともと変速段が2速に制御されている場合は、そのまま2速で保持される。
そして、このアイドルストップ中に、乗員によるブレーキペダル10の踏み込みが解除されてブレーキスイッチ103がOFFとなると、エンジン2の再始動条件が満たされ、エンジン2が再始動される。また、このとき、アクセルペダル9が踏み込まれると、そのアクセル開度が所定開度より大きいときは2速から1速に制御され、所定開度以下のときは2速で維持されることとなる。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合について説明する。例えば、車両1がMレンジの4速で走行しているものとする。そのとき、乗員によりブレーキペダル10が踏み込まれると、徐々に車速が低下し、また、変速レバーのダウンシフト操作が行われると、該シフト操作に応じて変速段が低速段側に制御される。ブレーキペダル10の踏み込みによりブレーキスイッチ103がONとなっている。そして、車速がゼロとなると、例えば車速がゼロとなったときからのブレーキスイッチ103のONの継続時間が所定時間に達すると、エンジン2が自動停止される。
そして、エンジン2の自動停止後、乗員のシフト操作に応じて自動変速機3の現在の変速段が1速に制御されている場合は、変速段が1速から2速に制御され、乗員のシフト操作に応じて変速段が2速に制御されている場合は、そのまま2速で保持される。
そして、このアイドルストップ中に、乗員によるブレーキペダル10の踏み込みが解除されてブレーキスイッチ103がOFFとなると、エンジン2の再始動条件が満たされ、エンジン2が再始動される。
また、このとき、アイドルストップ中の乗員によるマニュアル変速操作の有無に応じて異なった制御が行われる。すなわち、乗員によるマニュアル変速操作があったときは、変速段がマニュアル変速操作に応じた変速段に制御される。他方、乗員によるマニュアル変速操作がない場合においては、エンジン自動停止時に乗員によりマニュアル変速モードで2速が選択されていたとき(上記フラグFmが1のとき)は、変速段が2速で維持され、そうでないとき(上記フラグFmが0のとき)は、オート変速モードが選択されている場合と同様、アクセル開度が所定開度より大きいときは2速から1速に制御され、アクセル開度が所定開度以下のときは2速で維持されることとなる。
以上のように、第1の実施の形態によれば、変速モードとして、車両の走行状態に応じて自動的に変速するオート変速モード(第1のモード)と、乗員のシフト操作に応じて変速するマニュアル変速モード(第2のモード)とを有するアイドルストップ付き車両1において、エンジン2の自動停止中は自動変速機3の変速段が変速段が車両の後退を阻止可能な2速(所定変速段)に制御されることにより例えば上り坂等で停車中にブレーキ圧が低下した場合でも車両の後退が防止されると共に、2速への制御状態においてアクセルペダル9が踏み込まれたときは原則として変速段が1速(最低速段)に制御される一方で、エンジン2の自動停止中にマニュアル変速モード(第2のモード)で乗員のシフト操作に応じて変速段が2速に制御されている場合は、上記アクセルペダル9が踏み込まれたときの1速への制御が禁止されるから、2速で発進しようとして意図的にマニュアル変速モード及び2速を選択した乗員の意思に反した制御が行われることがなく、乗員に違和感を与えることがない。
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態において、そのフローチャートのステップS8とステップS9との間に、図5に示すように新たにステップS19を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第1の実施の形態の図3に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ101で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項3に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、上記ステップS19では、車両が減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップS9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップS7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第1の実施の形態と比較すると、第1の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップS5,S8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第2の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ車両が減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップS5,S8,S19の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第1の実施の形態と同一であり、ステップS1で各検出値を入力したうえで、第1の実施の形態同様、ステップS2,S3,S5,S8,S10,S12,S13,S14,S17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップS4でのエンジン停止、ステップS11でのエンジン再始動、ステップS6での変速段の1速から2速への制御、ステップS15での変速段の2速から1速への制御、ステップS16での変速段の2速維持、ステップS18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第2の実施の形態の作用について説明すると、まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合については、第1の実施の形態同様の制御が行われるが、詳細の説明は省略する。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合については、第1の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、乗員により、減速中、変速レバーのシフト操作(マニュアル変速操作)がなかった場合においては、異なった制御が行われる。
すなわち、例えば、4速で走行中に、減速を開始してから停車するまでの間に例えば4速→3速→2速というようにシフト操作があった場合は、第1の実施の形態同様、そのシフト操作に応じて4速→3速→2速とシフトダウンされる。そして、その後、アイドルストップ実行条件が成立すると、エンジン2が自動停止される。なお、エンジン2の自動停止中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれたときは、変速段は2速で維持される。
これに対し、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合は、停車するまでの間に強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされる。そして、その後、アイドルストップ実行条件が成立すると、エンジン2が自動停止される。なお、エンジン2の自動停止中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれたときは、変速段が2速から1速に制御される。
以上のように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した作用効果に加え、マニュアル変速モード(第2のモード)の実行中において、車両1が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制シフトダウンのみが行われて停車したときは、アクセルペダル9が踏み込まれたときにおける1速(最低速段)への制御が実行されることとなるが、このように乗員によるシフト操作が行われない原因としては、例えば乗員のシフト操作忘れ、換言すれば、乗員が意図的に変速段をコントロールしようという意思を有していないこと、例えば2速(所定変速段)での発進を望んでいないことが考えられる。そこで、上記のように乗員にによるシフト操作がなく、強制シフトダウンのみが生じた場合は、アクセルペダル9が踏み込まれたときの1速への制御を実行することにより、意図しない2速での発進となって発進加速性が損なわれるのを防止するのである。
次に、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、第1の実施の形態において、そのフローチャートのステップS8とステップS9との間に、図6に示すように新たにステップS19′を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第1の実施の形態の図3に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ101で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、上記ステップS19′では、第2所定車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の第2の所定車速。例えば30km/h)以上で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップS9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップS7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第1の実施の形態と比較すると、第1の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップS5,S8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第3の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ第2所定車速以上で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップS5,S8,S19′の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第1の実施の形態と同一であり、ステップS1で各検出値を入力したうえで、第1の実施の形態同様、ステップS2,S3,S5,S8,S10,S12,S13,S14,S17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップS4でのエンジン停止、ステップS11でのエンジン再始動、ステップS6での変速段の1速から2速への制御、ステップS15での変速段の2速から1速への制御、ステップS16での変速段の2速維持、ステップS18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第3の実施の形態の作用について説明すると、まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合については、第1の実施の形態同様の制御が行われるが、詳細の説明は省略する。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合については、第1の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、乗員により、減速中、変速レバーのシフト操作(マニュアル変速操作)がなかった場合においては、異なった制御が行われる。
すなわち、例えば、4速で走行中に、減速を開始してから停車するまでの間に例えば4速→3速→2速というようにシフト操作があった場合は、第1の実施の形態同様、そのシフト操作に応じて4速→3速→2速とシフトダウンされる。そして、その後、アイドルストップ実行条件が成立すると、エンジン2が自動停止される。なお、エンジン2の自動停止中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれたときは、変速段は2速で維持される。
これに対し、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合は、停車するまでの間に強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされる。そして、その後、アイドルストップ実行条件が成立すると、エンジン2が自動停止される。なお、エンジン2の自動停止中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれた場合に、上記減速が第2所定車速以上からの減速であるときは、変速段が2速から1速に制御され、第2所定車速未満からの減速であるときは、変速段が2速で維持される。
以上のように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した作用効果に加え、車両1が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制シフトダウンして停車した場合において、第2所定車速以上からの減速で停車した場合は、第2の実施の形態の作用で説明したように乗員の操作忘れが考えられるので、アクセルペダル9が踏み込まれたときにおける1速(最低速段)への制御を実行し、これにより、意図しない2速(所定変速段)での発進となるのを防止すると共に発進加速性が損なわれるのを防止するのである。
一方、車両1が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制シフトダウンして停車した場合において、第2所定車速未満からの減速で停車した場合は、例えば雪道等を走行中であることに起因して、乗員が意図的に車速を第2所定車速未満に抑制しかつシフト操作を行っていないことが考えられる。そこで、このような場合は、1速への制御を禁止し、これにより1速への制御を望んでいないと考えられる乗員に違和感を与えるのを防止するのである。
次に、第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、第3の実施の形態において、図7に示すように、新たにエンジン回転数検出手段106を設けると共に、第3の実施の形態のステップS19′に代えて、図8に示すようにステップS19″を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第1の実施の形態の図3に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ101で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、上記ステップS19″では、エンジン回転数が所定回転数以上の状態で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップS9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップS7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第1の実施の形態と比較すると、第1の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップS5,S8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第4の実施の形態では、エンジン2の自動停止時(ステップS4)に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ所定エンジン回転数以上で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップS5,S8,S19″の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第1の実施の形態と同一であり、ステップS1で各検出値を入力したうえで、第1の実施の形態同様、ステップS2,S3,S5,S8,S10,S12,S13,S14,S17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップS4でのエンジン停止、ステップS11でのエンジン再始動、ステップS6での変速段の1速から2速への制御、ステップS15での変速段の2速から1速への制御、ステップS16での変速段の2速維持、ステップS18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第4の実施の形態の作用について説明すると、第3の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、マニュアル変速モードが選択されている場合において、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合に、異なった制御が行われる。
すなわち、減速を開始してから停車するまでの間に上記シフト操作がなかった場合、強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされる。そして、その後、アイドルストップ実行条件が成立すると、エンジン2が自動停止される。なお、エンジン2の自動停止中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれた場合に、上記減速が所定エンジン回転数以上からの減速であるときは、変速段が2速から1速に制御され、所定エンジン回転数未満からの減速であるときは、変速段が2速で維持されるのである。
以上のように、第4の実施の形態によれば、第51実施の形態で説明した作用効果に加え、エンジン回転数を検出することにより第3の実施の形態同様の変速制御が行われることとなり、第3の実施の形態で説明したのと同様の作用効果が得られることとなる。
次に、第5〜第8の実施の形態について説明する。
まず、第5〜第8の実施の形態に係る車両について説明すると、この車両1′は、第1〜第4の実施の形態に係るアイドルストップ付き車両1から、アイドルストップ機能を削除したものであり、図9に示すように、車体前部のエンジンルーム内にエンジン2′が横方向に配置され、該エンジン2′の出力が自動変速機3′、差動装置4′、車軸5a′,5b′を介して左右の前輪6a′,6b′に伝達されるように構成されたFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両である。また、車室内にはアクセルペダル9′やブレーキペダル10′が配置されている。なお、本車両1′は、アイドルストップ機能を持たないため、電動オイルポンプを有していない。
なお、自動変速機3′は、第1〜第4の実施の形態に係る自動変速機3と同一の構成とされており、その説明は省略する。なお、以下の説明において必要な場合は、第1〜第4の実施の形態で用いた符号に「′」を付して説明する。
次に、上記自動変速機3′が搭載された車両1′の制御について、第5〜第8の実施の形態を通して詳しく説明する。なお、既に説明したもの(エンジン2′、自動変速機3′等)については、第5〜第8の実施の形態を通して同一の符号を用いる。
まず、第5の実施の形態について説明すると、図10に示すように、当該車両1′には、制御回路200が備えられており、該制御回路200は、車両1′の速度を検出する車速センサ201からの信号と、アクセルペダル9′の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ202からの信号と、ブレーキペダル10′が踏み込まれたときにオンとなるブレーキスイッチ203からの信号と、乗員により変速レバー等を介して選択された変速モードを検出する変速モード検出手段204からの信号と、乗員により変速レバー等を介して選択された変速段を検出する選択ギア検出手段205からの信号とを入力する。ここで、変速モード検出手段204としては、例えばモードスイッチを用いればよく、選択ギア検出手段205としては、例えば、アップシフトスイッチ及びダウンシフトスイッチを用いればよい。
そして、制御回路200は、これらのスイッチやセンサからの信号に基いて後述する制御を実行し、上記変速機3′の変速制御用アクチュエータ111′…111′(変速用ソレノイドバルブ等)と、エンジン2′の燃料噴射弁121′…121′及び点火プラグ122′…122′とに制御信号を出力する。なお、図示しないが、インパネ上には自動変速機3′の現在の変速段を表示するギア段表示手段(ディスプレイ等)が備えられており、制御回路200は、ギア段表示手段に自動変速機3′の変速段の表示信号を出力する。また、ギア段表示手段は制御回路200からの表示信号に基づいて、例えば、1速の場合「1」、2速の場合「2」、3速の場合「3」、4速の場合「4」と表示する。また、上記制御回路200等はエンジン2′及び変速機3′の制御装置の一部を記載したものであり、該制御装置の他の部分により、上記車速センサ201からの信号、アクセル開度センサ202からの信号等に基づく通常の変速制御やエンジン制御等が別途行われる。なお、この際、変速モード検出手段204からの信号によりオート変速モードが選択されていることが検出されたときは、車速センサ201からの信号、アクセル開度センサ202からの信号に応じて変速マップに基づき自動的に変速制御が行われ、マニュアル変速モードが選択されていることが検出されたときは、乗員のシフト操作に応じて出力される選択ギア検出手段205からの信号に応じて変速制御が行われる。
次に、制御回路200による制御を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップT1で、上記センサやスイッチからの各検出値を入力したうえで、ステップT2で、フラグFが1か否かを判定する。ここで、このフラグFが1であることは前制御周期において車両1′が停車中であることを示し、フラグFが1でないことは前制御周期において車両1′が停車中でないことを示す。この判定の結果、フラグFが1でない場合(NO)は、ステップT3で、車速がゼロ(車速が所定車速以下、ほぼゼロも含む)であり、かつブレーキスイッチ203がオンであるか否か、つまり車両1′が現在停車しているか否かを判定する。その結果、停車していない場合(NO)は、そのままリターンし、停車している場合(YES)は、ステップT4で、フラグFに1を設定する。
次いで、ステップT5で、現在の変速段が2速か否かを判定する。その結果、2速でない場合(NO)は、ステップT6で、変速段を1速から2速に制御する。すなわち、変速制御用アクチュエータ111′…111′を制御して、フォワードクラッチ51′の油圧室及び2−4ブレーキ54′の締結室54a′に作動油圧を供給し、フォワードクラッチ51′及び2−4ブレーキ54′を締結状態とさせる。
次いで、ステップT7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
一方、上記ステップT5の判定が2速の場合(YES)は、ステップT8で、現在実行中の変速制御モードがマニュアル変速モードか否かを判定する。その結果、マニュアル変速モードの場合(YES)は、ステップT9で、フラグFmに1を設定し、オート変速モードの場合(NO)は、上記ステップT7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
これに対し、上記ステップT2で、フラグFが1である場合(YES)は、ステップT10で、ブレーキがオフ操作されたか否か、すなわちブレーキスイッチ203がオフとなったか否かを判定する。その結果、満足されていない場合(NO)は、そのままリターンし、満足されている場合(YES)は、ステップT11で、フラグFに0(ゼロ)を設定する。
次いで、ステップT12以後、第1〜第4の実施の形態のステップS12以後と同様の制御を行う。すなわち、ステップT12で、マニュアル変速モードが選択されているか否かを判定し、マニュアル変速モードが選択されていない場合(NO)は、ステップT13で、前述したフラグFmが1か否かを判定する。その結果、フラグFmが1でない場合(NO)は、さらに、ステップT14で、アクセル開度が所定開度より大きいか否かを判定する。その結果、アクセル開度が所定開度より大きい場合(YES)、つまり乗員が急発進を望んでいる場合は、大きな加速力が得られるように、ステップT15で、変速段を2速から1速に制御する。すなわち、変速制御用アクチュエータ111′…111′を制御して、フォワードクラッチ51′の油圧室に作動油圧を供給し、フォワードクラッチ51′を締結状態とさせる。
一方、ステップT14でアクセル開度が所定開度以下の場合(NO)、つまり乗員が緩発進を望んでいる場合は、ステップT16で、2速を維持する。なお、2速の状態は、変速マップに基づく2−3シフトアップ変速が生じるまで維持される。
これに対し、ステップT12で、マニュアル変速モードが選択されている場合(YES)は、ステップT17でマニュアル変速操作(変速段の変更操作)があったか否かを判定する。その結果、マニュアル変速操作がない場合(NO)は、オート変速モードが選択されている場合同様、上記ステップT13以後の制御を行う。一方、マニュアル変速操作があった場合(YES)は、ステップT18で、マニュアル変速操作に応じた変速段に制御する。なお、ステップT18では、車速等に基づいてシフトアップの制限を行ってもよい。
次に、第5の実施の形態に係るアイドルストップ制御の作用について説明する。
まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合について説明する。 例えば、車両1′がDレンジの4速で走行しているものとする。そのとき、乗員によりブレーキペダル10′が踏み込まれると、徐々に車速が低下すると共に、車両1′の運転状態に応じて、変速段が変速マップに従って4速→3速→2速→1速、または4速→3速→2速というように低速段側に制御される。また、ブレーキペダル10′の踏み込みによりブレーキスイッチ203がONとなっている。そして、車速がゼロとなると、例えば車速がゼロとなったときからのブレーキスイッチ203のONの継続時間が所定時間に達すると、フラグFに1が設定される。
そして、停車後、自動変速機3′の現在の変速段が1速に制御されている場合は、変速段が1速から2速に制御され、もともと変速段が2速に制御されている場合は、そのまま2速で保持される。
そして、この停車中に、乗員によるブレーキペダル10′の踏み込みが解除されてブレーキスイッチ203がOFFとなると、フラグFに0(ゼロ)が設定される。また、このとき、アクセルペダル9′が踏み込まれると、そのアクセル開度が所定開度より大きいときは2速から1速に制御され、所定開度以下のときは2速で維持されることとなる。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合について説明する。例えば、車両1′がMレンジの4速で走行しているものとする。そのとき、乗員によりブレーキペダル10′が踏み込まれると、徐々に車速が低下し、また、変速レバーのダウンシフト操作が行われると、該シフト操作に応じて変速段が低速段側に制御される。ブレーキペダル10′の踏み込みによりブレーキスイッチ203がONとなっている。そして、車速がゼロとなると、例えば車速がゼロとなったときからのブレーキスイッチ203のONの継続時間が所定時間に達すると、フラグFに1が設定される。
そして、停車後、乗員のシフト操作に応じて自動変速機3′の現在の変速段が1速に制御されている場合は、変速段が1速から2速に制御され、乗員のシフト操作に応じて変速段が2速に制御されている場合は、そのまま2速で保持される。
そして、停車中に、乗員によるブレーキペダル10′の踏み込みが解除されてブレーキスイッチ203がOFFとなると、フラグFに0が設定される。
また、このとき、停車中の乗員によるマニュアル変速操作の有無に応じて異なった制御が行われる。すなわち、乗員によるマニュアル変速操作があったときは、変速段がマニュアル変速操作に応じた変速段に制御される。他方、乗員によるマニュアル変速操作がない場合においては、停車時に乗員によりマニュアル変速モードで2速が選択されていたとき(上記フラグFmが1のとき)は、変速段が2速で維持され、そうでないとき(上記フラグFmが0のとき)は、オート変速モードが選択されている場合と同様、アクセル開度が所定開度より大きいときは2速から1速に制御され、アクセル開度が所定開度以下のときは2速で維持されることとなる。
以上のように、第5の実施の形態によれば、変速モードとして、車両の走行状態に応じて自動的に変速するオート変速モード(第1のモード)と、乗員のシフト操作に応じて変速するマニュアル変速モード(第2のモード)とを有する車両1′において、停車中は自動変速機3′の変速段が車両の後退を阻止可能な2速(所定変速段)に制御されると共に、2速への制御状態においてアクセルペダル9′が踏み込まれたときは原則として変速段が1速(最低速段)に制御される一方で、停車中にマニュアル変速モード(第2のモード)で乗員のシフト操作に応じて変速段が2速に制御されている場合は、上記アクセルアクセルペダル9′が踏み込まれたときの1速への制御が禁止されるから、2速で発進しようとして意図的にマニュアル変速モード及び2速を選択した乗員の意思に反した制御が行われることがなく、乗員に違和感を与えることがない。
次に、第6の実施の形態について説明する。この第6の実施の形態は、第1の実施の形態に対する第2の実施の形態と同趣旨のもので、第5の実施の形態において、そのフローチャートのステップT8とステップT9との間に、図12に示すように新たにステップT19を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第5の実施の形態の図10に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ201で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項3に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、上記ステップT19では、車両が減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップT9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップT7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第5の実施の形態と比較すると、第5の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップT5,T8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第6の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ車両が減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップT5,T8,T19の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第5の実施の形態と同一であり、ステップT1で各検出値を入力したうえで、第5の実施の形態同様、ステップT2,T3,T5,T8,T10,T12,T13,T14,T17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップT6での変速段の1速から2速への制御、ステップT15での変速段の2速から1速への制御、ステップT16での変速段の2速維持、ステップT18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第6の実施の形態の作用について説明すると、まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合については、第5の実施の形態同様の制御が行われるが、詳細の説明は省略する。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合については、第5の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、乗員により、減速中、変速レバーのシフト操作(マニュアル変速操作)がなかった場合においては、異なった制御が行われる。
すなわち、例えば、4速で走行中に、減速を開始してから停車するまでの間に例えば4速→3速→2速というようにシフト操作があった場合は、第1の実施の形態同様、そのシフト操作に応じて4速→3速→2速とシフトダウンされ、停車中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9′が踏み込まれたときは、変速段は2速で維持される。
これに対し、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合は、停車するまでの間に強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされ、停車中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9′が踏み込まれたときは、変速段が2速から1速に制御される。
以上のように、第6の実施の形態によれば、第5の実施の形態で説明した作用効果に加え、マニュアル変速モード(第2のモード)の実行中において、車両1′が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制的にシフトダウンして停車したときは、アクセルペダル9′が踏み込まれたときにおける1速(最低速段)への制御が実行されることとなるが、このように乗員によるシフト操作が行われない原因としては、例えば乗員のシフト操作忘れ、換言すれば、乗員が意図的に変速段をコントロールしようという意思を有していないこと、例えば2速(所定変速段)での発進を望んでいないことが考えられる。そこで、上記のように乗員にによるシフト操作がなく、強制シフトダウンのみが生じた場合は、アクセルペダル9′が踏み込まれたときの1速への制御を実行することにより、意図しない2速での発進となって発進加速性が損なわれるのを防止するのである。
次に、第7の実施の形態について説明する。この第7の実施の形態は、第1の実施の形態に対する第3の実施の形態と同趣旨のもので、第5の実施の形態において、そのフローチャートのステップT8とステップT9との間に、図13に示すように新たにステップT19′を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第5の実施の形態の図10に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ201で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、ステップT19′では、第2所定車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の第2の所定車速。例えば30km/h)以上で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップT9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップT7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第5の実施の形態と比較すると、第5の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップT5,T8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第7の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ第2所定車速以上で走行中に車両が減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップT5,T8,T19′の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第5の実施の形態と同一であり、ステップT1で各検出値を入力したうえで、第1の実施の形態同様、ステップT2,T3,T5,T8,T10,T12,T13,T14,T17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップT6での変速段の1速から2速への制御、ステップT15での変速段の2速から1速への制御、ステップT16での変速段の2速維持、ステップT18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第7の実施の形態の作用について説明すると、まず、乗員によりオート変速モードが選択されている場合については、第5の実施の形態同様の制御が行われるが、詳細の説明は省略する。
他方、乗員によりマニュアル変速モードが選択されている場合については、第5の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、乗員により、減速中、変速レバーのシフト操作(マニュアル変速操作)がなかった場合においては、異なった制御が行われる。
すなわち、例えば、4速で走行中に、減速を開始してから停車するまでの間に例えば4速→3速→2速というようにシフト操作があった場合は、第5の実施の形態同様、そのシフト操作に応じて4速→3速→2速とシフトダウンされ、停車中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9′が踏み込まれたときは、変速段は2速で維持される。
これに対し、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合は、停車するまでの間に強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされ、停車中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9′が踏み込まれた場合に、上記減速が第2所定車速以上からの減速であるときは、変速段が2速から1速に制御され、第2所定車速未満からの減速であるときは、変速段が2速で維持される。
以上のように、第7の実施の形態によれば、第5の実施の形態で説明した作用効果に加え、車両1′が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制シフトダウンして停車した場合において、第2所定車速以上からの減速で停車した場合は、第6の実施の形態の作用で説明したように乗員の操作忘れが考えられるので、アクセルペダル9′が踏み込まれたときにおける1速(最低速段)への制御を実行し、これにより、意図しない2速(所定変速段)での発進となるのを防止すると共に発進加速性が損なわれるのを防止するのである。
一方、車両1′が減速を開始してから停車するまでの間に乗員によるシフト操作がなく、2速まで強制的にシフトダウンして停車した場合において、第2所定車速未満からの減速で停車した場合は、例えば雪道等を走行中であることに起因して、乗員が意図的に車速を所定車速未満に抑制しかつシフト操作を行っていないことが考えられる。そこで、このような場合は、上記2速から1速への制御を禁止し、これにより1速への制御を望んでいないと考えられる乗員に違和感を与えるのを防止するのである。
次に、第8の実施の形態について説明する。この第8の実施の形態は、第3の実施の形態に対する第4の実施の形態と同趣旨のもので、第7の実施の形態において、図14に示すように、新たにエンジン回転数検出手段206を設けると共に、第7の実施の形態のステップT19′に代えて、図15に示すようにステップT19″を設けたものである。なお、制御装置のそれ以外の構成は、前述した第5の実施の形態の図10に示すものとほぼ同一であるが、マニュアル変速モードで、減速中、車速センサ201で検出された車速が変速段毎に予め定められた基準車速(特許請求の範囲の請求項4に記載の所定車速)よりも小さくなったときは強制的に変速段が順次2速までシフトダウンするように構成されている点で異なる。
すなわち、ステップT19″では、エンジン回転数が所定回転数以上の状態で走行中に減速を開始してから停車するまでの間に、乗員のシフト操作があったか否かを判定する。その結果、シフト操作があった場合(YES)は、ステップT9で、フラグFmに1を設定し、シフト操作がなかった場合(NO)は、ステップT7で、フラグFmに0(ゼロ)を設定する。
第5の実施の形態と比較すると、第5の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されている(ステップT5,T8の両方がYES)場合、フラグFmに1が設定されることとなるが、第8の実施の形態では、停車時に、マニュアル変速モードで2速に制御されかつ所定エンジン回転数以上で走行中に車両が減速を開始してから停車するまでの間に乗員のシフト操作があった場合(ステップT5,T8,T19″の全てがYES)に、フラグFmに1が設定されることとなる。
なお、その他のステップは第5の実施の形態と同一であり、ステップT1で各検出値を入力したうえで、第1の実施の形態同様、ステップT2,T3,T5,T8,T10,T12,T13,T14,T17等で各種の判定を行い、これらの判定結果に応じて、ステップT6での変速段の1速から2速への制御、ステップT15での変速段の2速から1速への制御、ステップT16での変速段の2速維持、ステップT18での変速段のマニュアル変速操作に応じた変速段への制御、または現在の変速段の維持等を行う。
次に、第8の実施の形態の作用について説明すると、第7の実施の形態とほぼ同様の制御が行われるが、マニュアル変速モードが選択されている場合において、減速を開始してから停車するまでの間にシフト操作がなかった場合に、異なった制御が行われる。
すなわち、減速を開始してから停車するまでの間に上記シフト操作がなかった場合、強制的に4速→3速→2速とシフトダウンされ、停車中、変速段は2速に維持される。そして、その後、アクセルペダル9が踏み込まれた場合に、上記減速が所定エンジン回転数以上からの減速であるときは、変速段が2速から1速に制御され、所定エンジン回転数未満からの減速であるときは、変速段が2速で維持される。
以上のように、第8の実施の形態によれば、第5の実施の形態で説明した作用効果に加え、エンジン回転数を検出することにより第7の実施の形態同様の変速制御が行われることとなり、第7の実施の形態で説明したのと同様の作用効果が得られることとなる。