JP4000735B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
車両の制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4000735B2 JP4000735B2 JP2000015831A JP2000015831A JP4000735B2 JP 4000735 B2 JP4000735 B2 JP 4000735B2 JP 2000015831 A JP2000015831 A JP 2000015831A JP 2000015831 A JP2000015831 A JP 2000015831A JP 4000735 B2 JP4000735 B2 JP 4000735B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- driving force
- vehicle
- engine
- clutch
- speed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/62—Hybrid vehicles
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/64—Electric machine technologies in electromobility
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/7072—Electromobility specific charging systems or methods for batteries, ultracapacitors, supercapacitors or double-layer capacitors
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数種類の駆動力源を搭載した車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複数種類の駆動力源、例えばエンジンと電動機とを搭載した車両、いわゆるハイブリッド車が実用化されている。このようなハイブリッド車においては、車両に対する駆動力の要求状態に応じてエンジンおよび電動機を駆動・停止させることにより、エンジンまたは電動機のうちの少なくとも一方の動力を車輪に伝達する制御や、車輪から入力される動力により電動機を発電機として機能させ、発生した電気エネルギをバッテリに充電する制御などをおこなうことにより、燃費の向上、騒音の低減、排気ガスの低減などを図ることができるものとされている。
【0003】
このようなハイブリッド車の一例が、特開平11−107799号公報に記載されている。この公報に記載されたハイブリッド車は、エンジンから車輪に至る動力伝達経路に無段変速機が設けられており、エンジンと無段変速機との間の動力伝達経路には第1クラッチが設けられている。また、無段変速機と車輪との間の動力伝達経路には第1モータが設けられている。さらに、補機を駆動する第2モータが設けられており、この第2モータによりエンジンを回転駆動させることができるように構成されている。なお、第2モータとエンジンとの間の動力伝達経路には、第2クラッチが設けられている。
【0004】
上記公報に記載されたハイブリッド車においては、第1クラッチが係合されている状態では、エンジンまたは第1モータの少なくとも一方の動力(言い換えればトルク)を車輪に伝達することができ、第1クラッチが解放されている状態では、第1モータの動力を車輪に伝達することができる。一方、車両の停止中、すなわち車速が零の状態では、エンジンが停止され、かつ、第1クラッチが解放されている。そして、ブレーキが作動状態から非作動状態になった場合は、第2クラッチを係合させ、かつ、第2モータによりエンジンが予備的に回転駆動される。その後、アクセルが踏み込まれた時点で燃料の供給および点火制御をおこなってエンジンを自律運転させるとともに、第1クラッチを係合させてエンジンの動力を車輪に伝達する。
【0005】
このように、上記公報に記載されているハイブリッド車においては、アクセルの踏み込み操作に先立ち、第2モータによってエンジンを予備的に回転駆動させている。このため、アクセルの踏み込み操作時に、エンジンを速やかに自律回転状態に移行させることができ、車両の発進時における加速性能を向上することができるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなハイブリッド車においては、エンジンおよび電動機が搭載されているために、車両の走行中における駆動力の要求状態に対応して、エンジンが停止される可能性がある。しかしながら、このようにエンジンが停止されている状態から駆動力要求が変化する場合に備えて、予めどのような制御をおこなうかについては考慮がなされておらず、この点で改善の余地が残されていた。
【0007】
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、車両に対して第1の駆動力源および第2の駆動力源が搭載され、この車両が惰力走行し、かつ、第1の駆動力源が停止している状態から、車両に対する駆動力要求の変化に基づいて第1の駆動力源の動力を車輪に伝達する場合に、車輪に対する第1の駆動力源の動力伝達の応答性を向上することのできる車両の制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために請求項1の発明は、車輪に動力を伝達する第1の駆動力源および第2の駆動力源と、前記第1の駆動力源と前記車輪との間におけるトルクの伝達状態を制御するクラッチとを有し、車両に対する駆動力要求に応じて前記第1の駆動力源および前記第2の駆動力源の出力を制御する車両の制御装置において、前記第1の駆動力源を回転させる回転装置が設けられており、前記車両が惰力走行して前記第1の駆動力源が非駆動状態にある場合に、前記車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、予め前記第1の駆動力源を回転させる際に、車速が所定値未満である場合は、前記クラッチを係合させて前記車輪から入力される動力を前記第1の駆動力源に伝達して、その第1の駆動力源を回転させる一方、前記車速が所定値以上である場合は、前記クラッチを解放させ、かつ、前記回転装置により前記第1の駆動力源を回転させる第1の複合制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明によれば、車両が惰力走行して第1の駆動力源が非駆動状態にある場合に、車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、予め第1の駆動力源を回転させる際に、車速が所定値以上である場合は、クラッチが解放されるとともに、回転装置により第1の駆動力源が回転される。したがって、駆動力要求の変化にともない第1の駆動力源を始動させる際に、第1の駆動力源の始動性が向上する。
【0011】
また、車両における駆動力要求が変化する場合に備えて、予め第1の駆動力源を回転させる際に、車速が所定値未満である場合は、車輪の動力により第1の駆動力源が回転されるため、第1の駆動力源の始動性が向上するとともに、第1の駆動力源の始動後に、第1の駆動力源の動力を車輪に伝達し易くなる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第2の駆動力源が、前記車輪から入力される動力により電気エネルギを発生する発電機としての機能を有しているとともに、前記車両が惰力走行し、かつ、車速が所定車速以上である場合は、前記車輪の動力を前記第2の駆動力源に伝達して発電させる一方、車両が惰力走行し、かつ、車速が所定車速以下である場合は、前記第2の駆動力源による発電を中止させる発電制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じるほかに、車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値以上の場合は、第2駆動力源による発電がおこなわれる一方、車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値以下である場合は、第2の駆動力源による発電を中止して、駆動力要求の変化に備える。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1の構成に加えて、車両に対する駆動力要求が増加した場合は、前記第1の駆動力源および前記第2の駆動力源の動力を前記車輪に伝達する第1の駆動力源制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じるほかに、車両に対する駆動力要求が増加した場合は、車輪に伝達するべきトルクの一部が第2の駆動力源のトルクにより補われる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1または請求項3の構成に加えて、前記クラッチは、変速機に設けられ、この変速機の変速段を設定するために係合・解放される変速段設定用クラッチであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4の発明によれば、変速機のクラッチを、動力伝達可能な状態(つまり係合状態)または動力伝達不可能な状態(つまり解放状態)に制御することにより、請求項1または3の発明と同様の作用が生じる。そして、このような変速機が搭載されている車両においては、新たに別のクラッチを追加することなく、動力伝達可能な状態と動力伝達不可能な状態とを相互に切り換えることができる。また、第2の駆動力源が発電機としての機能を備えており、かつ、変速機と車輪との間に第2の駆動力源が配置されている車両において、所定車速以下で変速機のクラッチが動力伝達不可能な状態となるような制御をおこなった場合は、第2の駆動力源による発電量を増加させることができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記変速機は、所定の変速段を設定し、かつ、車両が惰力走行する際に、前記変速用クラッチが解放されるように構成されており、前記車両が惰力走行する際に、前記変速機の変速段を前記所定の変速段に設定することにより、前記変速機を動力伝達が不可能な状態に制御する変速機制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
請求項5の発明によれば、変速機の変速段を所定の変速段に設定するためにクラッチを解放することにより、請求項4の発明と同様の作用が生じる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第2の駆動力源が、前記車輪から入力される動力により回生制動力を発生させる機能を有しているとともに、前記クラッチを係合と解放とで切り換える際に、前記回生制動力を、前記第1の駆動力源の回転数に基づいて制御する回生制動力制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じるほか、クラッチを係合と解放とで変更する場合の過渡時において、第1駆動力源の回転抵抗によるブレーキ力の急激な変化に対応して回生制動力が制御され、車両全体に作用する制動力の変化を抑制することができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項3の構成に加えて、前記第1の駆動力源がエンジンであり、このエンジンから前記車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、前記第1の複合制御手段は、前記エンジンで燃料噴射がおこなわれていない非駆動状態にある場合に、前記車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、燃料を噴射する前に前記エンジンを回転させる手段を含み、前記第2の複合制御手段は、前記車両の駆動力要求が変化した場合に、前記エンジンで燃料を噴射して始動させ、かつ、エンジン回転数を車速および前記変速機の変速比に基づいて決定される同期回転数に制御する手段を含むことを特徴とするものである。
【0025】
請求項7の発明によれば、請求項3の発明と同様の作用が生じるほかに、エンジンで燃料噴射がおこなわれていない非駆動状態にある場合に、車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、燃料を噴射する前にエンジンが回転される。そして、車両の駆動力要求が変化した場合に、エンジンで燃料を噴射して始動させ、かつ、エンジン回転数を車速および前記変速機の変速比に基づいて決定される同期回転数に制御する。
【0026】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を添付図面を参照してより具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車のパワートレーンの概略構成を示す図である。車両における第1の駆動力源であるエンジン1としては、内燃機関、例えばガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジン等を用いることができる。以下、この実施形態においては、エンジン1として、便宜上ガソリンエンジンを用いた場合について説明する。
【0027】
このエンジン1は、燃料噴射量制御装置40、吸気装置41、排気装置42、点火時期制御装置43、冷却装置44等を備えた公知の構造のものである。また、吸気装置41の吸気管41Aには電子スロットルバルブ45が設けられており、電子スロットルバルブ45の開度を電気的に制御するアクチュエータ46が設けられている。
【0028】
さらに、エンジンルーム内には第1モータ・ジェネレータ(第1MG)47が設けられている。第1モータ・ジェネレータ47は、発電機としての機能(回生機能)と電動機としての機能(力行機能)とを備えている。この第1モータ・ジェネレータ47としては、例えば交流同期型のものを用いることができる。この第1モータ・ジェネレータ47と、前記エンジン1のクランクシャフト48との間のトルク伝達経路には第1クラッチ49が配置されている。第1クラッチ49としては、摩擦式クラッチまたは流体式クラッチまたは電磁式クラッチなどを用いることができる。
【0029】
また、第1モータ・ジェネレータ47と補機装置50とがトルク伝達可能に接続されている。この補機装置50としては、例えばエアコン用コンプレッサなどが挙げられる。そして、第1モータ・ジェネレータ47には、インバータ51を介してバッテリ52が接続されている。さらに、インバータ51およびバッテリ52を制御するコントローラ53が設けられている。
【0030】
したがって、バッテリ52の電力を第1モータ・ジェネレータ47に供給して第1モータ・ジェネレータ47を駆動させ、そのトルクを補機装置50に伝達することができる。また、第1クラッチ48を係合させて第1モータ・ジェネレータ47のトルクをクランクシャフト48に伝達し、かつ、燃料噴射制御および点火時期制御をおこなうことにより、エンジン1を始動させることができる。さらに、エンジン1の駆動中に、第1クラッチ48を係合させてエンジントルクを第1モータ・ジェネレータ47に伝達して発電をおこない、その電気エネルギをバッテリ52に充電することもできる。なお、コントローラ53により、第1モータ・ジェネレータ47の回転数およびトルク、バッテリ52の充電量などが検知および制御される。
【0031】
一方、クランクシャフト48における第1モータ・ジェネレータ47とは異なる側のトルク伝達経路には、第2クラッチ54を介してトルクコンバータ2および第2モータ・ジェネレータ(第2MG)3ならびに自動変速機4が配置されている。第2クラッチ54としては、摩擦式クラッチまたは流体式クラッチまたは電磁式クラッチなどを用いることができる。
【0032】
トルクコンバータ2は、流体式動力伝達装置の一種であり、トルクコンバータ2の作動油としてAFT(オートマチックトランスミッションフルード)が用いられている。このトルクコンバータ2は、ポンプインペラ7に一体化させたフロントカバー8と、タービンランナ9を一体に取付けたハブ10と、ロックアップクラッチ11とを有している。また、ロックアップクラッチ11は、フロントカバー8とハブ10とを選択的に係合・解放するためのものである。なお、ロックアップクラッチ11を所定の係合圧で滑らせるスリップ制御をおこなうことも可能である。さらに、ポンプインペラ7およびタービンランナ9の内周側には、ステータ13が設けられている。このステータ13は、ポンプインペラ7からタービンランナ9に伝達されるトルクを増幅するためのものである。さらに、ハブ10には、自動変速機4側の入力軸14が接続されている。
【0033】
前記第2モータ・ジェネレータ3は、電動機としての機能と発電機としての機能とを備えている。この第2モータ・ジェネレータ3としては、例えば交流同期型のものを用いることができる。前記フロントカバー8にはトルク伝達軸55が連結されており、このトルク伝達軸55と第2モータ・ジェネレータ3のロータとが連結されている。そして、トルク伝達軸55とクランクシャフト48との間に第2クラッチ54が配置されている。また、第2モータ・ジェネレータ3には、インバータ56を介してバッテリ57が接続されている。さらに、インバータ56およびバッテリ57を制御するコントローラ58が設けられている。
【0034】
したがって、バッテリ57の電力を第2モータ・ジェネレータ3に供給して第2モータ・ジェネレータ3を駆動させ、そのトルクをトルク伝達軸55に伝達することができる。また、トルク伝達軸55のトルクにより第2モータ・ジェネレータ3で発電をおこない、その電気エネルギをバッテリ57に充電することもできる。そして、コントローラ58により、第2モータ・ジェネレータ3を電動機として駆動した場合の回転数およびトルクと、もしくは第2モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させた場合の回生トルクと、バッテリ52の充電量とが検知および制御される。なお、前記ポンプインペラ7にはオイルポンプ59が接続されているとともに、このオイルポンプ59を駆動するモータ60が設けられている。したがって、オイルポンプ59は、ポンプインペラ7のトルクまたはモータ60のトルクのいずれかにより駆動される。このオイルポンプ59の駆動により、ATFが汲み上げられる。
【0035】
つぎに、自動変速機4の構成を図3のスケルトン図に基づいて説明する。自動変速機4は、副変速部15および主変速部16から構成されている。副変速部15は、オーバドライブ用の遊星歯車機構17を備えており、遊星歯車機構17のキャリヤ18に対して入力軸14が連結されている。この遊星歯車機構17を構成するキャリヤ18とサンギヤ19との間には、多板クラッチC0 と一方向クラッチF0 とが設けられている。この一方向クラッチF0 は、サンギヤ19がキャリヤ18に対して相対的に正回転、つまり、入力軸14の回転方向に回転した場合に係合するようになっている。そして、副変速部15の出力要素であるリングギヤ20が、主変速部16の入力要素である中間軸21に接続されている。また、サンギヤ19の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
【0036】
したがって、副変速部15は、多板クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態で遊星歯車機構17の全体が一体となって回転する。このため、中間軸21が入力軸14と同速度で回転し、低速段となる。また、ブレーキB0 を係合させてサンギヤ19の回転を止めた状態では、リングギヤ20が入力軸14に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0037】
他方、主変速部16は、三組の遊星歯車機構22,23,24を備えており、三組の遊星歯車機構22,23,24を構成する回転要素が、以下のように連結されている。すなわち、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25と、第2遊星歯車機構23のサンギヤ26とが互いに一体的に連結されている。また、第1遊星歯車機構22のリングギヤ27と、第2遊星歯車機構23のキャリヤ29と、第3遊星歯車機構24のキャリヤ31とが連結されている。さらに、キャリヤ31に出力軸32が連結されている。この出力軸32は、プロペラシャフト(図示せず)およびデファレンシャル(図示せず)などを介して車輪61に接続されている。さらにまた、第2遊星歯車機構23のリングギヤ33が、第3遊星歯車機構24のサンギヤ34に連結されている。
【0038】
この主変速部16の歯車列においては、後進側の1つの変速段と、前進側の4つの変速段とを設定することができる。このような変速段を設定するための摩擦係合装置、つまりクラッチおよびブレーキが、以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、リングギヤ33およびサンギヤ34と、中間軸21との間に第1クラッチC1 が設けられている。また、互いに連結されたサンギヤ25およびサンギヤ26と、中間軸21との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0039】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構22のサンギヤ25、および第2遊星歯車機構23のサンギヤ26の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ25,26とケーシング35との間には、第1一方向クラッチF1 と、多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されている。第1一方向クラッチF1 はサンギヤ25,26が逆回転、つまり入力軸14の回転方向とは反対方向に回転しようとする際に係合するようになっている。
【0040】
また、第1遊星歯車機構22のキャリヤ37とケーシング35との間に、多板ブレーキである第3ブレーキB3 が設けられている。そして第3遊星歯車機構24はリングギヤ38を備えており、リングギヤ38の回転を止めるブレーキとして、多板ブレーキである第4ブレーキB4 と、第2一方向クラッチF2 とが設けられている。第4ブレーキB4 および第2一方向クラッチF2 は、ケーシング35とリングギヤ38との間に相互に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ38が逆回転しようとする際に係合するように構成されている。さらに、自動変速機4の入力回転数を検出する入力回転数センサ(言い換えればタービン回転数センサ)62と、自動変速機4の出力軸32の回転数を検出する出力回転数センサ(言い換えれば車速センサ)63とが設けられている。
【0041】
また、図2のように、自動変速機4およびロックアップクラッチ11を制御する油圧制御装置64が設けられている。この油圧制御装置64にはシフトレバー65が接続されている。油圧制御装置64により、自動変速機4における変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ11の係合・解放やスリップ制御、油圧回路のライン圧の制御、摩擦係合装置の係合圧の制御などがおこなわれる。
【0042】
この油圧制御装置64は電気的もしくは機械的に制御されるもので、シフトレバー65の操作により油路を切り換えるマニュアルバルブ(図示せず)と、自動変速機4の変速を実行するための第1ないし第3のシフトソレノイドバルブ(図示せず)と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブ(図示せず)とを備えている。さらに、油圧制御装置64は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ(図示せず)と、自動変速機4の変速過渡時におけるアキュームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ(図示せず)と、ロックアップクラッチ11や所定の摩擦係合装置の係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブ(図示せず)とを備えている。
【0043】
また、この実施例では、シフトレバー65のマニュアル操作により、各種のシフトポジションを設定することが可能である。例えば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションの各ポジションを設定可能になっている。ここで、Dポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションが前進段を設定するためのポジションである。そして、Dポジションが選択されている場合は、自動変速機4において、第1速ないし第5速のいずれかを設定可能であり、4ポジションが選択されている場合は、第1速ないし第4速のいずれかを設定可能であり、3ポジションが選択されている場合は、第1速ないし第3速のいずれかを設定可能であり、2ポジションが選択されている場合は、第1速または第2速のいずれかを設定可能であり、Lポジションが選択されている場合は第1速に固定される。
【0044】
自動変速機4においては、上記した各種の変速段および各シフトポジションに対応して、各クラッチや各ブレーキなどの摩擦係合装置が、図4の動作図表に示すように係合・解放することにより、前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図4において○印は摩擦係合装置が係合されることを示し、◎印は、エンジンブレーキポジション選択時に摩擦係合装置が係合されることを示している。また、△印は摩擦係合装置が係合・解放のいずれでもよいこと、言い換えれば、摩擦係合装置が係合されてもトルクの伝達には無関係であることを示し、空欄は摩擦係合装置が解放されることを示している。
【0045】
なお、Dポジションでは、前進段の第1速が設定され、かつ、車両が惰力走行状態、言い換えればコースト状態になると、第2一方向クラッチF2 が解放される。また、前進段の第3速が設定され、かつ、コースト状態になると、第1一方向クラッチF1 が解放される。つまり、自動変速機4の入力軸14と出力軸32との間でトルクの伝達がおこなわれない状態、いわゆるニュートラル状態になる。
【0046】
図5は、上記ハイブリッド車の制御系統を示すブロック図である。電子制御装置(ECU)66は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入力・出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。この電子制御装置66には、エンジン回転数センサ67の信号、エンジン水温センサ68の信号、イグニッションスイッチ69の信号、コントローラ53,58の信号、エアコンスイッチ70の信号、車速センサ63の信号、ATFの温度を検出する油温センサ71の信号、シフトレバー65の操作位置を検出するシフトポジションセンサ72の信号などが入力されている。
【0047】
また、電子制御装置66には、パーキングブレーキスイッチ73の信号、フットブレーキペダル74Aの操作状態を検出するフットブレーキスイッチ74の信号、触媒温度センサ75の信号、アクセルペダル76Aの操作状態を検出するアクセル開度センサ76の信号、電子スロットルバルブ45の開度を検知するスロットル開度センサ77の信号、タービン回転数センサ62の信号等が入力されている。なお、フットブレーキペダル74Aの操作により動作する制動装置74Bは、ブレーキブースタ、マスタシリンダ、ブレーキチューブ、車輪に設けられているホイールシリンダなどを有する公知のものであり、この制動装置74Bは油圧によりブレーキ力を発生する。
【0048】
一方、電子制御装置66からは、点火時期制御装置43を制御する信号、燃料噴射量制御装置40を制御する信号、コントローラ53,58を制御する信号、第1クラッチ49および第2クラッチ54の係合・解放を制御する信号、油圧制御装置64を制御する信号、アクチュエータ46を制御する信号などが出力されている。そして、電子制御装置66から油圧制御装置64に入力される信号に基づいて、自動変速機4の変速比が自動的に制御される。すなわち、電子制御装置66には、車両の走行状態、例えば車速およびアクセル開度をパラメータとして、自動変速機4の変速段を制御するための変速線図が記憶されている。この変速線図に基づいて、自動変速機4の変速段がアップシフトまたはダウンシフトされる。また、電子制御装置66にはロックアップクラッチ11の係合・解放・スリップを制御するためのロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。ロックアップクラッチ制御マップは、車速およびアクセル開度に基づいて、ロックアップクラッチ11の状態を設定している。
【0049】
ここで、上記実施形態の構成とこの発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、エンジン1がこの発明の第1の駆動力源に相当し、第2モータ・ジェネレータ3がこの発明の第2の駆動力源に相当し、第2クラッチ54がこの発明のクラッチに相当し、第1モータ・ジェネレータ47がこの発明の回転装置に相当し、自動変速機4がこの発明の変速機に相当する。
【0050】
上記ハイブリッド車の制御例を図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、アクセル開度が全閉であるか否かが判断される(ステップS1)。このステップS1で否定的に判断された場合、すなわち、駆動力要求がある場合はステップS2の制御をおこないリターンされる。
【0051】
このステップ2においては、駆動力要求、例えばアクセル開度および車速に基づいて、要求パワーが判断される。そして、この判断結果に基づいて、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3の駆動・停止を決定する各種の運転モードが選択される。上記判断結果に基づき前記運転モードを決定するために、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3を駆動・停止するための駆動力源制御マップが、電子制御装置66に記憶されている。
【0052】
この駆動力源制御マップは、例えば車速およびアクセル開度などをパラメータとして、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3の駆動領域および停止領域を設定している。この駆動力源制御マップに基づいて、エンジン1のみを駆動する第1の運転モード、またはエンジン1および第2モータ・ジェネレータ3を駆動する第2の運転モード、または第2モータ・ジェネレータ3のみを駆動する第3の運転モードのいずれかが選択される。
【0053】
さらに、ステップS2においては、上記運転モードの選択にともない、第2クラッチ54の係合・解放が制御される。すなわち、第1の運転モードが選択された場合は、第2クラッチ54が係合される。このため、エンジントルクがトルク伝達軸55および自動変速機4を経由して車輪61に伝達される。また、第2モードが選択された場合も、第2クラッチ54が係合される。このため、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3のトルクが、トルク伝達軸55および自動変速機4を経由して車輪61に伝達される。
【0054】
さらに第3の運転モードが選択された場合は、第2クラッチ54を係合または解放する制御がおこなわれる。第2クラッチ54を解放した場合は、第2モータ・ジェネレータ3のトルクによるエンジン1の連れ回しが発生しないため、第2モータ・ジェネレータ3の動力損失を抑制することができる。これに対して、第2クラッチ54を係合させた場合はエンジン1が空転するため、第3運転モードから第1運転モードまたは第2運転モードに切り換える際に、エンジン1の始動性が良好になる利点がある。
【0055】
一方、前記ステップS1の判断時点で惰力走行しており、そのステップS1で肯定的に判断された場合は、走行車速、つまり、実車速Vが、第2の基準車速V1以上であり、かつ、第3の基準車速V2以下であるか否かが判断される(ステップS3)。この第2の基準車速V1および第3の基準車速V2は、いずれも電子制御装置66に記憶されている。ここで、第2の基準車速V1は所定の低車速であり、第3の基準車速V2は第2の基準車速V1よりも高車速である。
【0056】
ステップS3で肯定的に判断された場合は第2クラッチ54を解放する(ステップS4)。ところで、車両の惰力走行時、言い換えれば減速時に、自動変速機4が前述したニュートラル状態でない場合には、車輪61の動力が自動変速機4を経由してトルク伝達軸55に伝達されるが、第2クラッチ54が解放されているため、車輪61から入力される動力はエンジン1に伝達されない。
【0057】
ステップS4についで、フットブレーキスイッチ74がオンされているか否かが判断される(ステップS5)。このステップS5で肯定的に判断された場合は、第1クラッチ49が解放され(ステップS6)、リターンされる。このように、ステップS1からステップS3,S4,S5を経由してステップS6に進んだ場合は、エンジン1に対して、クランクシャフト48を回転させる動力は入力されない。
【0058】
これに対して、ステップS5で否定的に判断された場合は、第1クラッチ49を係合し(ステップS7)、かつ、第1モータ・ジェネレータ47のトルクによりエンジン1のクランクシャフト48を回転させる(ステップS8)。なお、この時点では、燃料の噴射制御および点火制御はおこなわれていない。ついで、第1モータ・ジェネレータ47によりエンジン1の回転が開始されてからの時間が、所定時間を経過したか否かが判断される(ステップS9)。この所定時間は、電子制御装置66に記憶されている。この所定時間は、空転しているエンジン1を将来始動する際に、クランクシャフト2がどの回転角度になったときに、どの気筒に燃料噴射をおこない、かつ、点火制御をおこなうべきかという気筒判別を事前におこなうための時間である。
【0059】
ステップS9で否定的に判断された場合はそのままリターンされ、ステップS9で肯定的に判断された場合は、第1モータ・ジェネレータ47の回転数の制御によりエンジン回転数を低下させ(ステップS10)、リターンされる。
【0060】
ここで、ステップS10の制御がおこなわれた後、アクセルペダル76Aが踏み込まれた場合の制御を、図6のフローチャートおよび図7のタイムチャートにより説明する。アクセル開度が全閉であり、かつ、フットブレーキスイッチ74がオンされている時刻t1以前においては、電子スロットルバルブ45の開度が零に制御され、かつ、エンジン回転数が零になっている。また、第2クラッチ54が解放され、その伝達トルクが零に制御され、かつ、車両加速度は負の状態、つまり、減速状態にある。
【0061】
さらに、第1クラッチ49が解放されて、第1モータ・ジェネレータ47からエンジン1に伝達されるトルクも零になっている。さらにまた、車輪61から入力された動力が自動変速機4を経由して第2モータ・ジェネレータ3に伝達されているため、第2モータ・ジェネレータ3のトルクが負の状態になっている。つまり、第2モータ・ジェネレータ3は発電機として機能しており、その回生量がTmg1になっている。この時刻t1以前の状態は、図1のステップS4,S5,S6に対応する。
【0062】
時刻t1においてフットブレーキスイッチ74がオフされると、第1クラッチ49が係合(オン)されて、第1モータ・ジェネレータ47のトルクがエンジン1に伝達され、エンジン回転数が実線で示すように上昇し始める。そして、時刻t2以後はエンジン回転数がほぼ一定に制御されている。また、ある時点になってもアクセルペダル76Aが踏み込まれておらず、エンジン回転数を同期回転数(車速および変速比に基づいて決定される)に制御する必要がない場合、言い換えれば、エンジン回転数を同期回転数まで到達させる時間が許容されている場合は、時刻t3以降、第1モータ・ジェネレータ47の回転数およびトルクを低下し、エンジン回転数を低下させる。なお、エンジン回転数は、車速、具体的には自動変速機4の出力回転数に応じた値に制御することもできる。
【0063】
その後、時刻t4においてアクセルペダル76Aが踏み込まれて(ステップS101)、駆動力源制御マップの走行領域が、エンジン1および第2モータ・ジェネレータ3を駆動させるべき走行領域になったとする。すると、まず、第2モータ・ジェネレータ3が電動機として駆動され(つまり、第2モータ・ジェネレータ3のトルクが正側に切り換えられ)、車両加速度が零側に変化する(ステップS102)。ついで、時刻t5で車両加速度が零になるとともに、電子スロットルバルブ45が開放され、かつ、燃料噴射制御および点火制御がおこなわれ、時刻t6からエンジン回転数が上昇する(ステップS103)。また、時刻t6においては、第1クラッチ49がオフされて、第1モータ・ジェネレータ47からエンジン1に伝達されるトルクが零になる。
【0064】
時刻t7以降は第2モータ・ジェネレータ3のトルクがほぼ一定の値Tmg2に制御され、時刻t8でエンジン回転数が同期回転数に到達し、かつ、電子スロットルバルブ45の開度が低下されている。つまり、時刻t6から時刻t8までが、エンジン1が始動開始されてからエンジン回転数が同期回転数に到達する時間、いわゆる同期時間に相当する。また、第2クラッチ54が係合され、エンジントルクが、第2クラッチ54および自動変速機4を介して車輪61に伝達されるとともに、車両加速度がさらに実線で示すように上昇する。つまり、時刻8以降は、エンジントルクにより車両が駆動される、いわゆるエンジン駆動状態になる。なお、時刻t8以降は、第2モータ・ジェネレータ3のトルクが実線で示すように低下し、零に制御されている。
【0065】
以上のように、車両の惰力走行中において、アクセルペダル76Aが踏み込まれる以前に、第1モータ・ジェネレータ47によりエンジン1を空転させ、かつ、気筒判別をおこなっている。このため、アクセルペダル76Aが踏み込まれてエンジン1を始動させる場合に、エンジン1が始動され、かつ、エンジン回転数が同期回転数に到達するまでの時間を短縮することができる。なお、アクセルペダル76Aが踏み込まれる以前のエンジン回転数は、車速に応じて変更してもよい。
【0066】
ところで、高車速であるほど、エンジン1を始動してからエンジン回転数が同期回転数に到達するまでに、エンジン回転数の変更幅が大きくなり、もたつき感を生じやすい。そこで、車速に応じてエンジン回転数を高く制御することにより、上記不都合を回避することができる。なお、アクセルペダル76Aが踏み込まれておらず、エンジン回転数を同期回転数に到達させるまでの時間が許容されていれば、気筒判別後にエンジン回転数を低下させ、第1モータ・ジェネレータ47に供給する電気エネルギを節約することもできる。また、エンジン回転数が同期回転数に到達するまでの間は、第2モータ・ジェネレータ3が力行制御され、そのトルクにより要求トルクが確保されている。したがって、駆動力不足が抑制され、走行性能およびドライバビリティを向上することができる。
【0067】
これに対して、アクセル開度の全閉中にはエンジンを停止(クランクシャフトが停止)させておき、アクセルペダルが踏み込まれてから、エンジンを始動させる場合の比較例を説明する。なお、この比較例の制御対象となる構成は、図2の構成と同様であるものとする。この比較例の制御をおこなった場合のシステムの状態は、図7のタイムチャートに破線で示されている。
【0068】
すなわち、時刻t4でアクセルペダルが踏み込まれると、第1モータ・ジェネレータのトルクによりエンジン回転数が零から上昇し始めるとともに、気筒判別がおこなわれる。また、アクセルペダルの踏み込みにより、第2モータ・ジェネレータのトルクが車輪に伝達されるが、エンジン回転数の増加程度が、実施形態におけるエンジン回転数の増加程度よりも低く、比較例の車両加速度の増加程度は、実施形態における車両加速度の増加程度よりも低い。
【0069】
そして、時刻8で気筒判別およびエンジン始動時間が終了し、ついで電子スロットルバルブが開放されるとともに、時刻t9でエンジン回転数が同期回転数に到達した時点から、第2クラッチが係合され、かつ、車両加速度の増加程度が大きくなる。すなわち、時刻t9からエンジン駆動状態になる。
【0070】
このように、比較例においては、アクセルペダルが踏み込まれてから気筒判別およびエンジン始動をおこなうため、エンジンが始動されてからエンジン回転数が同期回転数に到達するまでの時間が長くなる。したがって、駆動力要求に対応する駆動力が生じるまでに長時間を要し、走行性能およびドライバビリティが低下する可能性がある。
【0071】
比較例において、上記のような駆動力不足を解消するためには、エンジン回転数が同期回転数に到達するまでの間、第2モータ・ジェネレータのトルクにより、破線で示すようにトルク不足を補うことが考えられる。しかしながら、第2モータ・ジェネレータを駆動させる時間が可及的に長くなるために、第2モータ・ジェネレータの大型化、またはバッテリ容量の大型化が生じる。その結果、車両の大重量化および製造コストの上昇を招く問題がある。これに対して、この実施形態の制御によれば、上記のような不都合は生じない。
【0072】
なお、この実施形態においては、アクセルペダル76Aが踏み込まれる前に第1モータ・ジェネレータ47によりエンジン1を回転させているが、この場合の消費電力と、比較例のように第2モータ・ジェネレータを駆動させる場合の消費電力とを比較すると、実施形態の消費電力の方が少ない。また、この実施形態においては、ステップS5で否定的に判断された場合に限り、第1モータ・ジェネレータ47によりエンジン1を回転させており、ステップS5で肯定的に判断された場合は第1モータ・ジェネレータ47によるエンジン1の回転制御はおこなわれていない。したがって、フットブレーキペダル74Aが踏み込まれている減速状態においては、エンジン1を回転させるために電気エネルギが消費されることはない。
【0073】
ところで、前記ステップS3で否定的に判断された場合は、実車速Vが、第1の基準車速V0から第2の基準車速V1の範囲、または実車速Vが第3の基準車速V2以上の範囲、のいずれかの範囲にあるか否かが判断される(ステップS11)。第1の基準車速V0は、ほぼ車速零であり、この第1の基準車速V0は電子制御装置66に記憶されている。ステップS11で肯定的に判断された場合は、第2クラッチ54を係合させることにより、車輪61から入力される動力を自動変速機4を経由してエンジン1に伝達し、エンジン1を回転させる(ステップS12)。また、第1クラッチ49を解放し(ステップS13)、リターンする。
【0074】
なお、前記ステップS11で否定的に判断された場合、つまり車両が停止している場合は、第1クラッチ54を解放し(ステップS14)、かつ、第2クラッチ49を解放し(ステップS15)、リターンされる。このステップS14,S15の後にアクセルペダル76Aが踏み込まれ、第2モータ・ジェネレータ3のトルクのみにより車両が走行する運転モードが選択された場合は、第2クラッチ49が解放されているために、エンジン1の連れ回しによる動力損失が防止され、車両の発進性能が向上する。
【0075】
なお、図1のフローチャートは、第2モータ・ジェネレータ3により回生制動をおこなっている場合、または第2モータ・ジェネレータ3のトルクにより車両が走行している場合のいずれに対しても適用することができる。また、図1のステップS11においては、「V0≦V≦V1」に代えて、「V0≦V<V1」を用いることもできる。ここで、図1に示された機能的手段と、この発明との対応関係を説明すれば、ステップS1,S3,S11,S12がこの発明のクラッチ制御手段に相当する。また、ステップS1およびステップS3ないしS5、ならびにステップS7ないしS10がこの発明の第1および第2の複合制御手段に相当する。また、図6のステップS101ないしS103がこの発明の第2の複合制御手段に相当する。ここで、ステップS101で説明した「アクセルペダル76Aが踏み込まれた」が、この発明における「車両に対する駆動力要求が増加した」に相当する。さらに、第2の基準車速V1が、この発明の所定値に相当する。
【0076】
図8は、図2,図3,図5に示すハイブリッド車の他の制御例を示すフローチャートである。図8においては、まず、アクセル開度が全閉であるか否かが判断され(ステップS21)、ステップS21で否定的に判断された場合はステップS22の制御をおこないリターンされる。このステップS22の制御は、図1のステップS2の制御と同様である。
【0077】
ステップS21で否定的に判断された場合は、実車速Vが、第2の基準車速V1以上であり、かつ、第3の基準車速V2以下であるか否かが判断される(ステップS23)。このステップS23の制御は、図1のステップS3と同様である。
【0078】
ステップS23で肯定的に判断された場合はフットブレーキスイッチ74がオンされているか否かが判断される(ステップS24)。このステップS24で肯定的に判断された場合は第2クラッチ54を解放し(ステップS25)、かつ、第2モータ・ジェネレータ3による回生制動量(言い換えれば回生制動トルク)を上昇させ(ステップS26)、リターンする。
【0079】
これに対して、前記ステップS23またはステップS24で否定的に判断された場合は、第1クラッチ54を係合させ(ステップS27)、かつ、第2モータ・ジェネレータ3による回生制動量を低下させ(ステップS28)、リターンする。なお、ステップS28においては、第2モータ・ジェネレータ3による回生制動を中止、つまり、発電を中止することもできる。
【0080】
上記ステップS26,S28の具体的な制御内容を図9のフローチャートに基づいて説明する。図9のステップS24,S25,S27は、図8のステップS24,S25,S27に相当する。図9ではステップS25についで、
Ne≦Ne1+Δn
であるか否かが判断される(ステップS121)。ここで、Neは実エンジン回転数を意味し、Ne1は走行車速および所定変速比におけるエンジン1の同期回転数を意味し、Δnはエンジン回転数の変化量(言い換えれば変化率)を意味している。
【0081】
ステップS121で肯定的に判断された場合は、次式(1)に基づいて、第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクTmgを設定する(ステップS122)。
Tmg=Tmg2+(Tmg1−Tmg2)*(Ne1−Ne)/Ne1 ・・(1)式
(1)において、Tmg1はフットブレーキスイッチ74がオンされている際における第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクの目標値を意味し、Tmg2はフットブレーキスイッチ74がオフされている際における第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクの目標値を意味している。なお、Tmg1およびTmg2は車速に応じて予め電子制御装置66に記憶されている。これらTmg1およびTmg2は、車速が高速になるほど大きな値に設定される。
【0082】
ついで、
Tmg≧Tmg1
であるか否かが判断され(ステップS123)、このステップS123で肯定的に判断された場合は、
Tmg=Tmg1
とし(ステップS124)、リターンする。なお、ステップS121,S123で否定的に判断された場合はそのままリターンされる。上記ステップS121ないしステップS124の内容が、図8のステップS26の制御に相当する。
【0083】
一方、図9のステップS27についで、
Ne≧ΔN
であるか否かが判断される(ステップS125)。ここで、ΔNは、エンジン1が回転を開始したか否かを判断するための微小回転数を意味している。ステップS125で肯定的に判断された場合は次式(2)により第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクTmgを設定する(ステップS126)。
Tmg=Tmg1−(Tmg1−Tmg2)*Ne/Ne1 ・・・(2)
【0084】
ついで、
Tmg≦Tmg2
であるか否かが判断され(ステップS127)、このステップS127で肯定的に判断された場合は、
Tmg=Tmg2
とし(ステップS128)、リターンする。なお、ステップS125,S127で否定的に判断された場合はそのままリターンされる。上記ステップS125ないしステップS128の内容が、図8のステップS28の制御に相当する。
【0085】
ここで、図8および図9に示す機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。図8のステップS23ないしステップS28がこの発明の発電制御手段に相当し、図8のステップS25ないしステップS28と、図9のステップS121ないしS128がこの発明の回生制動力制御手段に相当する。
【0086】
ところで、図9のステップS127,S128に代えて、図10に示す制御をおこなうこともできる。図10では、まず第1モータ・ジェネレータ47を駆動する(ステップS131)。この場合、
Tmg補機=ΔTmg補機
に制御される。
ここで、Tmg補機は、第1モータ・ジェネレータ47のトルクを意味しており、ΔTmg補機は、エンジン1の回転数の変化にともなうイナーシャトルクをキャンセル(緩和)するために必要なトルク、つまり、駆動トルクを意味している。ついで、ステップS132に進む。このステップS132の内容は、図9のステップS126の内容と同じである。
【0087】
さらに、
Ne≧Ne1−ΔN
であるか否かが判断され(ステップS133)、ステップS133で肯定的に判断された場合は第1モータ・ジェネレータ47の駆動を中止する(ステップS134)。
【0088】
その後、
Tmg=Tmg2
とし(ステップS135)、リターンする。なお、ステップS133で否定的に判断された場合もリターンされる。ここで、図10に示された機能的手段とこの発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS131ないしステップS135がこの発明の第4の複合制御手段に相当する。このように、第2クラッチ54を係合する際に、第1モータ・ジェネレータ47のトルクによりエンジン回転数を制御することにより、エンジン1の連れ回りによるイナーシャトルクがキャンセルされ、減速度の第2クラッチ54の係合を短時間で円滑におこなうことができる。
【0089】
図11および図12は、図8および図9の制御に対応するタイムチャートである。図11および図12においては、車両制動力および第2クラッチ54により伝達されるトルクならびにエンジン回転数の変化が示されている。図11は、フットブレーキスイッチ74がオンからオフに変更される場合に対応している。フットブレーキペダル74Aが踏み込まれている時刻t1以前においては、車両全体における制動力、つまり車両制動力が、第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクTmg1と、フットブレーキペダル74Aの踏み込みにより動作する制動装置74Bのブレーキ力Tbとにより確保されている。図11の例では、回生制動トルクTmg1とブレーキ力Tbとがほぼ等しい値に制御され、かつ、車両制動力がほぼ一定に制御されている。なお、フットブレーキペダル74Aが踏み込まれている状態では、第2クラッチ54が解放されるため、エンジンブレーキ力は発生していない。
【0090】
そして、時刻t1でフットブレーキペダル74Aの踏み込み量が減少してブレーキ力Tbが低下すると、車両制動力も低下し始める。その後、時刻t2でフットブレーキスイッチ74Aがオフされるか、または、制動装置74Bのブレーキ油圧が所定値以下になると、第2クラッチ54の係合が開始されて(第2クラッチ54の伝達トルクが零から上昇し始めて)エンジンブレーキ力が発生し始めるとともに、第2モータ・ジェネレータ3の回生制動トルクが低下し始める。ついで、時刻t3からエンジン回転数が上昇し始め、時刻t4でフットブレーキペダル74A解放操作が終了する。
【0091】
時刻t4以降は、ブレーキ力Tbおよび回生制動トルクTmg1がさらに低下し、かつ、エンジンブレーキ力は一層増加する。そして、時刻t5においてブレーキ力Tbが零になり、エンジンブレーキ力および回生制動トルクTmg2により、車両制動力がほぼ一定に制御されているとともに、エンジン回転数がほぼ一定に制御されている。なお、時刻t5以降は、回生制動トルクTmg2の方がエンジンブレーキ力よりも少なく制御されている。このように、フットブレーキスイッチ74がオンされている場合の回生制動トルクよりも、フットブレーキスイッチ74からオフされている場合の回生制動トルクの方が少ない値に制御される。また、フットブレーキスイッチ74がオンされている場合の車両制動力よりも、フットブレーキスイッチ74がオフされている場合の車両制動力の方が少なくなっている。
【0092】
図12は、フットブレーキスイッチ74がオフからオンに変更される場合に対応している。時刻t6以前においては、フットブレーキペダル74Aが解放されている。この状態では、回生制動トルクTmg2、エンジンブレーキ力、クラッチトルク、エンジン回転数が、図11の時刻t5以降の状態と同様に制御されている。
【0093】
時刻t6でフットブレーキペダル74Aの踏み込みが開始されると、ブレーキ力Tbが発生し始めて車両制動力が増加する。ついで、時刻t7で第2クラッチ54が解放されてクラッチトルクが低下し始めるとともに、時刻t8以降はエンジン回転数が低下し、かつ、エンジンブレーキ力が低下し始め、さらには、回生制動力が増加し始める。なお、エンジン回転数が低下し始める前のクラッチトルクの低下程度よりも、エンジン回転数が低下し始めてからのクラッチトルクの低下程度の方が緩やかになっている。その後、時刻t9においてクラッチトルクが零になり、かつエンジン回転数が零になるとともに、時刻t9以降は回生制動トルクTmg1およびブレーキ力Tbがほぼ一定に制御されている。つまり、車両制動力がほぼ一定になっている。
【0094】
このように、フットブレーキペダル74Aの操作状態の切り換えにともない、第2クラッチ54の係合と解放とが切り換えられる際には、エンジン回転数に応じて回生制動トルクが制御されている。このため、エンジンブレーキ力の変化により車両制動力が急激に変化することが抑制され、車両の減速度を滑らかに、かつ、ドライバーに違和感をもたせることなく制御することができる。
【0095】
図13は、フットブレーキペダル74Aが踏まれ、かつ、アクセルペダル76Aが解放されている状態から、フットブレーキペダル74Aが解放され、ついで、アクセルペダル76Aが踏み込まれた状態に移行する場合のシステムの状態をすタイムチャートである。なお、図13のタイムチャートは、ロックアップクラッチ11が係合されている場合を対象としている。
【0096】
まず、アクセルペダル76Aが解放(オフ)され、かつ、フットブレーキスイッチ74がオンされている場合は、第2クラッチ54が解放されてクラッチトルクが零に制御されているとともに、エンジン回転数が零に制御されている。また、車両の前後加速度は、負側、つまり、減速側の所定値に制御されている。
【0097】
その後、時刻t1でフットブレーキスイッチ74がオンからオフに切り換わると、この実施形態においては、実線で示すように、時刻t2から第2クラッチ54の係合が開始されてクラッチトルクが上昇し始め、かつ、実線で示すようにエンジン回転数も上昇し始める。この時刻T2から時刻t3までの間(つまり、時間T1の間)に気筒判別がおこなわれる。なお、時刻t2から時刻t3の間におけるエンジン回転数の上昇程度よりも、時刻t3以降におけるエンジン回転数の上昇程度の方が緩やかになっている。この時刻t3以降におけるエンジン回転数は、自動変速機4の変速比および車速に基づいて決定される同期回転数となるように制御される。
【0098】
時刻t4でアクセルペダル76Aが踏み込まれると、第2モータ・ジェネレータ3のトルクによる車輪61の駆動がおこなわれ、実線で示すように車両加速度が零側に向けて変化し始め、かつ、エンジン1の始動制御が開始される。その後、第2クラッチ54の係合が完了してクラッチトルクがほぼ一定に制御されるとともに、車両前後加速度が零を経由して正側、つまり加速側に変化している。ついで、時刻t5以降は車両加速度がほぼ一定に制御され、時刻t6でエンジン1の始動制御が終了し、その後、エンジン1が自律運転状態となり、車両前後加速度が正側で増加し始め、ついで、車両前後加速度がほぼ一定に制御されている。つまり、エンジン始動時間T2は、時刻t4から時刻t6までの間に設定されている。このように、実施形態の制御をおこなえば、図7のタイムチャートの場合と同様に、エンジン1の始動性を向上し、かつ、駆動力不足を補うことができ、車両の走行性能およびドライバビリティが向上する。
【0099】
これに対して、アクセルペダルが踏み込まれてからエンジンの始動制御をおこなう比較例について説明する。図13においては比較例が破線で示されている。すなわち、時刻t4でアクセルペダルが踏み込まれてから時刻t8に至るまでの間に、気筒判別およびエンジン始動制御がおこなわれている。このため、時刻t4以後に、エンジン回転数が零から上昇を開始し、時刻t8以降に同期回転数に到達している。このように比較例においては、時刻t4でアクセルペダルが踏み込まれてから時刻t8に到達してようやくエンジン回転数が同期回転数に到達する。つまり、気筒判別時間T1およびエンジン始動時間T2が、時刻t4ないし時刻t8の間に相当する。このように、比較例においては、時刻t4から時刻t8の間は駆動力が不足し、ドライバーがもたつき感を持つ問題がある。
【0100】
図14は、ハイブリッド車の他の構成例を示す図である。図14においては、第2モータ・ジェネレータ3のロータ(図示せず)と、自動変速機4の出力軸32とが、直接トルク伝達可能に接続されている。また、クランクシャフト48に対してフロントカバー8が連結されている。なお、図3の自動変速機4の構成および図4ならびに図5の内容は、図14のハイブリッド車にも適用される。図14の構成とこの発明の構成との対応関係を説明すれば、第1クラッチC1 または第1一方向クラッチF1 がこの発明のクラッチに相当する。
【0101】
そして、図8の制御をおこなう場合は、ステップS25において、第5速から第3速にダウンシフトさせることにより第1一方向クラッチF1 を解放するか、または第1クラッチC1 を解放することにより、図2の構成と同様の効果を得られる。また、ステップS27においては、第3速から第5速にアップシフトさせることにより第1一方向クラッチF1 を係合するか、または第1クラッチC1 を係合することにより、図2の構成と同様の効果を得られる。
【0102】
なお、図14のハイブリッド車に対して、図1の制御、または図6の制御、または図8ないし図10の制御を適用することもできる。この場合、図1のステップS4および図8のステップS25が、この発明の変速機制御手段に相当する。そして、図14の実施形態においては、第1一方向クラッチF1 を係合するか、または第1クラッチC1 を係合することにより、新たに別のクラッチを追加することなく、動力伝達可能な状態と動力伝達不可能な状態とを相互に切り換えることができる。また、上記実施形態においては、駆動力要求発生装置として、足により操作されるアクセルペダルが例示されているが、他の構成のもの、例えば、手動操作されるレバー式、または押しボタン式、またはタッチパネル式、ダイヤル式などの構成を採用することもできる。
【0103】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、車両が惰力走行し、かつ、第1の駆動力源が非駆動状態である場合に、車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、予め第1の駆動力源を回転させる際に、車速が所定値以上である場合は、クラッチが解放されるとともに、回転装置により第1の駆動力源が回転される。したがって、駆動力要求の変化にともない第1の駆動力源を始動させる際に、第1の駆動力源の始動性が向上する。
【0104】
一方、車速が所定値未満である場合は、車輪の動力により第1の駆動力源が回転される。このため、駆動力要求の変化にともない第1の駆動力源を始動させる際に、第1の駆動力源の始動性が向上するとともに、第1の駆動力源の始動後に、第1の駆動力源の動力を車輪に伝達し易くなり、車両の走行性能およびドライバビリティが向上する。
【0106】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られるほか、車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値以上の場合は、第2駆動力源による発電がおこなわれる一方、車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値以下である場合は、第2の駆動力源による発電を中止して、駆動力要求の変化に備える。
【0107】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られるほか、車両に対する駆動力要求が増加した場合は、車輪に伝達するべきトルクの一部が第2の駆動力源のトルクにより補われる。したがって、駆動力不足が解消されてドライバビリティが向上する。
【0108】
請求項4の発明によれば、変速機のクラッチを、動力伝達可能な状態(つまり係合状態)または動力伝達不可能な状態(つまり解放状態)に制御することにより、請求項1または3の発明と同様の効果を得られる。そして、このような変速機が搭載されている車両においては、新たに別のクラッチを追加することなく、動力伝達可能な状態と動力伝達不可能な状態とを相互に切り換えることができる。また、第2の駆動力源が発電機としての機能を備えている車両が惰力走行中に、所定車速以下で変速機のクラッチが動力伝達不可能な状態となるように制御した場合には、第2の駆動力源による発電量を増加させることができる。
【0109】
請求項5の発明によれば、変速機の変速段を所定の変速段に設定するためにクラッチを解放することにより、請求項4の発明と同様の効果を得られる。
【0110】
請求項6の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られるほか、クラッチを係合と解放とで変更する場合の過渡時において、第1駆動力源の回転抵抗によるブレーキ力の急激な変化に対応して回生制動力が制御される。したがって、車両全体に作用する制動力の変化を抑制することができ、ドライバーが違和感を持つことを回避できる。
【0111】
請求項7の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られるほか、エンジンで燃料噴射がおこなわれていない非駆動状態にある場合に、車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、燃料を噴射する前にエンジンが回転される。そして、車両の駆動力要求が変化した場合に、エンジンで燃料を噴射して始動させ、かつ、エンジン回転数を車速および前記変速機の変速比に基づいて決定される同期回転数に制御する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一制御例を示すフローチャートである。
【図2】 この発明が適用されたハイブリッド車の概略構成を示す図である。
【図3】 図2に示されたハイブリッド車のパワートレーンの構成を示すスケルトン図である。
【図4】 図3に示された自動変速機で各変速段を設定するための摩擦係合装置の作動状態を示す図表である。
【図5】 図2に示されたハイブリッド車の制御系統を示すブロック図である。
【図6】 この発明のほかの制御例を示すフローチャートである。
【図7】 図1の制御例に対応するタイムチャートである。
【図8】 この発明のほかの制御例を示すフローチャートである。
【図9】 図8のフローチャートの一部を詳細に説明するフローチャートである。
【図10】 図9のフローチャートの一部のステップを、他の内容のステップに変更した例を示すフローチャートである。
【図11】 図8ないし図10のフローチャートに対応するシステムの状態を示すタイムチャートである。
【図12】 図8ないし図10のフローチャートに対応するシステムの状態を示すタイムチャートである。
【図13】 この発明の実施形態の他の制御例を示すタイムチャートである。
【図14】 この発明の制御例を適用することのできるハイブリッド車の他の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、 3…第2モータ・ジェネレータ、 4…自動変速機、 47…第1モータ・ジェネレータ、 54…第2クラッチ、 61…車輪、 C1 …第1クラッチ、 F1 …第1一方向クラッチ。
Claims (7)
- 車輪に動力を伝達する第1の駆動力源および第2の駆動力源と、前記第1の駆動力源と前記車輪との間におけるトルクの伝達状態を制御するクラッチとを有し、車両に対する駆動力要求に応じて前記第1の駆動力源および前記第2の駆動力源の出力を制御する車両の制御装置において、
前記第1の駆動力源を回転させる回転装置が設けられており、
前記車両が惰力走行して前記第1の駆動力源が非駆動状態にある場合に、前記車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、予め前記第1の駆動力源を回転させる際に、車速が所定値未満である場合は、前記クラッチを係合させて前記車輪から入力される動力を前記第1の駆動力源に伝達して、その第1の駆動力源を回転させる一方、前記車速が所定値以上である場合は、前記クラッチを解放させ、かつ、前記回転装置により前記第1の駆動力源を回転させる第1の複合制御手段を備えていることを特徴とする車両の制御装置。 - 前記第2の駆動力源が、前記車輪から入力される動力により電気エネルギを発生する発電機としての機能を有しているとともに、
前記車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値以上である場合は、前記車輪の動力を前記第2の駆動力源に伝達して発電させる一方、前記車両が惰力走行し、かつ、車速が所定値未満である場合は、前記第2の駆動力源による発電を中止させる発電制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記車両に対する駆動力要求が増加した場合は、前記第1の駆動力源および前記第2の駆動力源の動力を前記車輪に伝達する第2の複合制御手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。
- 前記クラッチは、変速機に設けられ、この変速機の変速段を設定するために係合・解放される変速段設定用クラッチであることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記変速機は、所定の変速段を設定し、かつ、車両が惰力走行する際に、前記変速用クラッチが解放されるように構成されており、
前記車両が惰力走行する際に、前記変速機の変速段を前記所定の変速段に設定することにより、前記変速機を動力伝達が不可能な状態に制御する変速機制御手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。 - 前記第2の駆動力源が、前記車輪から入力される動力により回生制動力を発生させる機能を有しているとともに、
前記クラッチを係合と解放とで切り換える際に、前記回生制動力を、前記第1の駆動力源の回転数に基づいて制御する回生制動力制御手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 - 前記第1の駆動力源がエンジンであり、このエンジンから前記車輪に至る動力伝達経路に変速機が設けられており、
前記第1の複合制御手段は、前記エンジンで燃料噴射がおこなわれていない非駆動状態にある場合に、前記車両の駆動力要求が変化する場合に備えて、燃料を噴射する前に前記エンジンを回転させる手段を含み、
前記第2の複合制御手段は、前記車両の駆動力要求が変化した場合に、前記エンジンで燃料を噴射して始動させ、かつ、エンジン回転数を車速および前記変速機の変速比に基づいて決定される同期回転数に制御する手段を含むことを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000015831A JP4000735B2 (ja) | 2000-01-25 | 2000-01-25 | 車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000015831A JP4000735B2 (ja) | 2000-01-25 | 2000-01-25 | 車両の制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001206105A JP2001206105A (ja) | 2001-07-31 |
JP4000735B2 true JP4000735B2 (ja) | 2007-10-31 |
Family
ID=18543063
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000015831A Expired - Fee Related JP4000735B2 (ja) | 2000-01-25 | 2000-01-25 | 車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4000735B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4257608B2 (ja) * | 2004-10-25 | 2009-04-22 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | ハイブリッド車用駆動装置及びその制御方法 |
KR100819978B1 (ko) * | 2006-08-01 | 2008-04-07 | 현대자동차주식회사 | 하이브리드 및 전기 차량의 브레이크 시스템과 그 제어방법 |
JP5176421B2 (ja) * | 2007-08-03 | 2013-04-03 | 日産自動車株式会社 | ハイブリッド車両の制御装置 |
JP6110621B2 (ja) * | 2012-09-27 | 2017-04-05 | 富士重工業株式会社 | ハイブリッド車両の駆動装置 |
JP6204702B2 (ja) * | 2013-05-30 | 2017-09-27 | 株式会社Subaru | 車両用制御装置 |
JP6186943B2 (ja) * | 2013-06-27 | 2017-08-30 | アイシン精機株式会社 | 車両用駆動装置 |
CN106143479B (zh) * | 2015-03-25 | 2019-04-19 | 比亚迪股份有限公司 | 混合动力汽车及其驱动控制方法和装置 |
CN106143477B (zh) * | 2015-03-25 | 2019-03-29 | 比亚迪股份有限公司 | 混合动力汽车及其驱动控制方法和装置 |
CN106143476B (zh) * | 2015-03-25 | 2019-11-08 | 比亚迪股份有限公司 | 混合动力汽车及其驱动控制方法和装置 |
-
2000
- 2000-01-25 JP JP2000015831A patent/JP4000735B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001206105A (ja) | 2001-07-31 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3893778B2 (ja) | ロックアップクラッチ制御装置 | |
JP3915698B2 (ja) | ハイブリッド車輌の制御装置 | |
JP3927325B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP3931810B2 (ja) | 車輌の制御装置 | |
JP2002213266A (ja) | 車両の駆動力制御装置 | |
JP3945045B2 (ja) | 回生制動トルクの制御装置 | |
JP3978899B2 (ja) | 車両用回生制動装置 | |
JP4470234B2 (ja) | 駆動制御装置 | |
JP4765945B2 (ja) | ロックアップクラッチ制御装置 | |
JP4000735B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP3780717B2 (ja) | 車両用回生制動装置 | |
JP2000145946A (ja) | 車両の駆動系制御装置 | |
JP4086077B2 (ja) | 内燃機関の始動制御装置 | |
JP3988311B2 (ja) | 車両の駆動制御装置 | |
JP2000170903A (ja) | パワートレーンの制御装置 | |
JP4055804B2 (ja) | ロックアップクラッチ制御装置 | |
JP3861486B2 (ja) | ハイブリッド車の制御装置 | |
JP3906604B2 (ja) | 車両の駆動制御装置 | |
JP3840824B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP2007151397A (ja) | 車両用回生制動装置 | |
JP3952651B2 (ja) | 車両の減速制御装置 | |
JP3963047B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP3855510B2 (ja) | ハイブリッド車の制御装置 | |
JP3948138B2 (ja) | 回生制動力の制御装置 | |
JP2000197209A (ja) | ハイブリッド車の制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061128 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070410 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070607 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070724 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070806 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100824 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110824 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110824 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120824 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130824 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |