JP3840824B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、動力伝達装置の摩擦係合装置に油圧を供給するために、複数のオイルポンプが設けられている車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の変速機として、車両の走行状態に基づいて制御される自動変速機が知られている。この自動変速機には、有段式の変速機や変速比が連続的に変化する無段変速機が含まれるが、これらいずれの自動変速機であっても変速比の制御のために油圧が広く使用されている。例えば有段式の自動変速機であれば、エンジンの出力を変速機構に伝達するための入力クラッチや、変速段を設定するためのクラッチあるいはブレーキを油圧サーボ機構によって係合および解放するように構成している。また、無段変速機であれば、その変速機構に対して動力を入力する入力クラッチを油圧によって係合する構成とし、また変速機構を油圧によって動作させるように構成している。
【0003】
一方、車両に搭載されている内燃機関(エンジン)は、走行のための動力源であると同時に、発電のための動力源であり、さらには前記油圧を発生させるオイルポンプのための動力源とされている。したがって内燃機関が駆動されている間は、オイルポンプが内燃機関によって駆動され、所定の油圧が発生するので、自動変速機を適宜に制御することができ、変速機構に対して動力を伝達し、あるいは所定の変速比を設定して出力軸にトルクを伝達することができる。
【0004】
ところで、最近では、排ガスの削減や燃費の向上のために、車両の停止時に所定の条件が成立した場合に、内燃機関を自動的に停止するいわゆるエコランシステムが開発されている。この種のシステムを採用している車両では、内燃機関の停止と同時にオイルポンプが停止し、油圧が発生しなくなるので、変速機に対する油圧の供給が停止する。その結果、走行途中での一時的な停車時に内燃機関が自動停止すると同時に、変速機がいわゆるニュートラル状態になってしまい、再発進時に入力クラッチが解放状態から係合状態に切り替わったり、またニュートラル状態から所定の変速比の設定状態に急激に変化することにより、出力トルクが急激に増大し、ショックが生じるなどの可能性がある。
【0005】
従来、このような不都合を解消するための装置が特開平8−14076号公報に記載されている。この公報に記載された装置は、内燃機関の出力によって駆動されるオイルポンプのほかに、電動機によって駆動することのできるオイルポンプを備えている。そして、車両が一時的に停止して内燃機関が自動停止された場合に、電動機によってオイルポンプを駆動することにより、変速機に対して必要な油圧を供給するように構成されている。
【0006】
また、排ガスの削減や燃費の向上のために、動力源としてエンジンおよび電動機を搭載したハイブリッド車が提案されている。このハイブリッド車においては、例えば車速およびアクセル開度に基づいて、エンジンおよび電動機の駆動・停止が制御されている。このようなハイブリッド車の一例が、特開平6−38303号公報に記載されている。このハイブリッド車においても、エンジンまたは電動機の動力によりオイルポンプが駆動されて油圧が発生し、この油圧が所定圧に制御されて変速機の摩擦係合装置に供給される。このような公報に記載されたハイブリッド車においては、エンジン効率の低い負荷領域においては、電動機の動力により車両を発進させることが可能であるが、電動機の回転数が低いために、オイルポンプの吐出圧もしくは吐出量が低く、摩擦係合装置に供給するべき油圧を得られない可能性がある。
【0007】
そこで、特開平8−14076号公報の技術を、特開平6−38303号公報のハイブリッド車に適用し、電動機により車両が発進する場合に、別に設けられている電動機により駆動される電動オイルポンプにより、摩擦係合装置に供給するべき油圧の不足分を補うことが考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなシステムおよび制御を採用すれば、動力源としての内燃機関および電動機の自動停止時にも、変速機が所定の変速比を設定した状態を維持でき、したがって、車両の発進時に、電動機から変速機に対して次第にトルクを伝達することにより、円滑な発進をおこなうことができる。
【0009】
しかしながら、電動機の動力により車両が発進する場合に、常時電動オイルポンプを駆動すれば、電動オイルポンプを駆動させる電動機に供給する電気エネルギが増加し、バッテリのSOC(state of charge:充電状態)が低下する。そして、内燃機関によって発電機を駆動し、バッテリに充電するとすれば、結局は、燃料の消費量が多くなって、排ガスの削減や燃費の向上などの本来の目的に反することになる。
【0010】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、動力源とは別に設けられている電動機によりオイルポンプを駆動するにあたり、電気エネルギの消費を抑制することの可能な車両の制御装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するためにこの発明は、車両の動力源としてのエンジンおよび第1の電動機と、このエンジンおよび第1の電動機から出力される動力の伝達経路に配置され、かつ、油圧により動作して変速比が制御される変速機と、前記第1の電動機から出力された動力により駆動されて前記変速機の変速比を制御する油圧を発生するオイルポンプと、第2の電動機の動力により駆動されて前記変速機の変速比を制御する油圧を発生する電動オイルポンプとを有する車両の制御装置において、前記第1の電動機の動力により車両が走行する際に前記第1のオイルポンプおよび第2のオイルポンプの油圧により前記変速機の変速比を制御する場合は、前記第1の電動機の回転数に基づいて前記第2の電動機の回転数を制御する電動機制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、第1の電動機の動力により車両が発進する際に、第1のオイルポンプおよび第2のオイルポンプにより発生した油圧により変速機の変速比を制御する場合は、第1の電動機の回転数に基づいて第2の電動機の回転数が制御される。例えば、第1の電動機の回転数の増加にともない第2の電動機の回転数を低下させれば、第2の電動機により消費される電気エネルギが低下する。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図3はこの発明で対象とするハイブリッド車両のパワープラントの一例を示しており、内燃機関1の出力側に電動機(MG)2が接続されている。その内燃機関1は、要は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ガスエンジンなどを採用することができ、またその形式は、レシプロタイプのもの以外にタービン型のエンジンであってもよい。なお、以下の説明では、内燃機関1をエンジン1と記す。また、電動機2は、要は、電力が供給されてトルクを出力する装置であり、直流モータや交流モータを採用することができ、さらには固定永久磁石型同期モータなどの発電機能を兼ね備えたいわゆるモータ・ジェネレータを使用することができる。なお、以下の説明では、電動機2をモータ・ジェネレータ2と記す。
【0014】
そのモータ・ジェネレータ2の出力側に自動変速機3が接続されている。この自動変速機3は、車両の走行状態に基づいて変速比を設定するように構成された装置であって、油圧式のトルクコンバータ(T/C)4を介して変速機構5に対してトルクを入力するように構成されている。また、これらトルクコンバータ4と変速機構5との間には、トルクコンバータ4の入力要素に連結されているオイルポンプ6が配置されている。このオイルポンプ6とは別に、電動機110Aによって駆動される電動オイルポンプ110が設けられている。
【0015】
そして、電動オイルポンプ110を駆動するためのモータ・ジェネレータ(MG)110Aが設けられている。モータ・ジェネレータ110Aとして固定永久磁石型同期モータが採用され、その制御のためにインバータ110Cを介してバッテリ110Bが接続されている。そして、そのインバータ110Cおよびバッテリ110Bを制御するコントローラとしての電子制御装置(ECU)110Dが設けられている。この電子制御装置110Dは、マイクロコンピュータを主体に構成され、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、モータ・ジェネレータ110Aに供給する電流や周波数を制御するように構成されている。なお、モータ・ジェネレータ110Aとエンジン1とは、相互に動力伝達が可能に構成されている。なお、バッテリ110Bとバッテリ10とをDC/DCコンバータなどを介して電気的に接続することも可能である。また、バッテリ110Bとバッテリ10とを単一の構成にすることも可能である。
【0016】
さらに、前記変速機構5は、油圧によって変速制御されるように構成されており、その制御をおこなう油圧制御部7が設けられている。この油圧制御部7は、従来知られているものと同様に構成されており、電気的に制御される電磁弁やその電磁弁から供給される油圧によって切換動作するシフト弁(それぞれ図示せず)などを備えている。なお、自動変速機3の詳細については後述する。
【0017】
前記エンジン1は、スロットル開度や燃料噴射量あるいは点火時期、バルブの開閉タイミングなどを電気的に制御できるように構成されており、その制御のための電子制御装置(E/G−ECU)8が設けられている。このエンジン用電子制御装置8は、マイクロコンピュータを主体に構成され、アクセル開度や車速、変速信号、エンジン水温などの入力データに基づいて予め記憶しているプログラムに従って演算をおこない、その演算結果に基づいて制御信号を出力するように構成されている。
【0018】
図3に示す例ではモータ・ジェネレータ2として固定永久磁石型同期モータが採用され、その制御のためにインバータ9を介してバッテリ10が接続されている。そして、そのインバータ9およびバッテリ10を制御するコントローラとしての電子制御装置(MG−ECU)11が設けられている。このモータ・ジェネレータ用電子制御装置11は、マイクロコンピュータを主体に構成され、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、モータ・ジェネレータ2に供給する電流や周波数、モータ・ジェネレータ2からバッテリ10に充電する電力などを制御するように構成されている。
【0019】
上記構成により、エンジン1の動力の一部をモータ・ジェネレータ2またはモータ・ジェネレータ110Aの少なくとも一方に伝達することにより、モータ・ジェネレータ2,110Aを発電機として機能させ、その電気エネルギをバッテリ10,110Bに充電することが可能である。また、車両の減速時には車輪から入力される運動エネルギをモータ・ジェネレータ2に伝達して発電し、その電気エネルギをバッテリ10に充電することも可能である。
【0020】
さらに、自動変速機用電子制御装置(A/T−ECU)12が設けられている。この自動変速機用電子制御装置12は、マイクロコンピュータを主体に構成され、アクセル開度や車速などの車両の走行状態を示すデータが入力され、その走行状態に応じた変速段を設定するように前記油圧制御部7に制御信号を出力するように構成されている。
【0021】
ここで、モータ・ジェネレータ2の具体的な構成について図4を参照して説明する。前記トルクコンバータ4を収容しているトランスミッションハウジング20のエンジン1側の端部に、アダプタ21が取り付けられている。このアダプタ21は、トランスミッションハウジング20の開口端とほぼ等しい外径の円筒状の部材であって、トランスミッションハウジング20の端部とエンジン1との間に挟み込んだ状態でこれらトランスミッションハウジング20とエンジン1とに連結されて固定されている。このアダプタ21の内周面で軸線方向での中間部には、半径方向に沿いかつ中心部に向けて適宜に屈曲して延びた隔壁部22が一体に形成されている。その隔壁部22には、トルクコンバータ4の中心軸線と軸線を一致させた貫通孔が形成されている。
【0022】
前記アダプタ21の内周側の空間部のうち隔壁部22によって仕切られたエンジン1側の空間部に、エンジン1の出力部材であるクランクシャフト23の先端部が延びており、そのクランクシャフト23の先端部にフライホイール24がボルト25によって固定されている。このフライホイール24の正面(エンジン1とは反対側の面)にダンパ26が取り付けられている。したがってフライホイール24とダンパ26とが、アダプタ21の内周側で隔壁部22によって仕切られたエンジン1側の空間部に収容されている。
【0023】
ダンパ26は、半径方向で外側に延びた平板部を有する中空円板状の第1のプレートとその中心側の部分に対向して取り付けられかつ第1のプレートと共に円周方向に沿う窓孔部を形成する第2のプレートとからなる駆動側部材27と、その駆動側部材27における各プレートの間に相対回転可能に延ばした板状の突出部を円筒状のボス部28の外周側に一体化させ、かつその板状の突出部に前記窓孔部と一致する窓孔部を形成した従動側部材29と、それらの窓孔部に保持させ、駆動側部材27と従動側部材29とが相対回転することによってこれらの部材27,29によって圧縮されるダンパスプリング30とによって構成されている。そしてその駆動側部材27における半径方向で外側に延びた平板部が、フライホイール24の正面にボルト31によって固定されている。すなわち駆動側部材27がダンパ26の入力側部材となり、かつ従動側部材29がダンパ26の出力側部材となっている。
【0024】
前記隔壁部22の内周側の端部は、軸線方向に延びた比較的短い円筒状に形成され、この円筒状の部分32に軸受33が嵌合させられており、この軸受33は、前記円筒状の部分32の内周面に取り付けた固定用部材であるスナップリング34によって固定されている。そしてこの軸受33の内周側に入力軸35が嵌合させられ、したがってこの入力軸35が軸受33を介して隔壁部22によって回転自在に支持され、また軸線方向に対しては固定されている。
【0025】
この入力軸35の先端部(図4での左側端部)が、前記ダンパ26の内周部にまで延びており、かつ前記ダンパ26における従動側部材29のボス部28に挿入されている。そして、これら入力軸35と従動側部材29とが、それぞれに形成されたスプライン36によって連結されている。
【0026】
入力軸35の後端部(図4での右側端部)は、隔壁部22における円筒状の部分32の先端近傍にあってその円筒状の部分32より半径方向で外側に延び、その半径方向で外側に突出した部分にハブ部37が形成されている。したがってこのハブ部37は、前記隔壁部22を挟んで前記ダンパ26とは反対側の空間部に収容されており、また、前記円筒状の部分32の外周側で該円筒状部分32と同心円上の位置に配置されている。そしてそのハブ部37には、モータ・ジェネレータ2のロータ(回転子)38と、トルクコンバータ4のフロントカバー39とが一体的に連結されている。
【0027】
このロータ38は、円板状の部材の外周部に永久磁石を取り付けたものであって、その円板状部材の内周部を、前記ハブ部37の円筒部37Aの外周面に対して、溶接などの固定手段によって一体化させることにより、ハブ部37に取り付けられている。なお、入力軸35が前記軸受33を介して隔壁部22によって軸線方向に位置決めされていることにより、ロータ38も入力軸35と共に軸受33を介して隔壁部22によって軸線方向での位置が決められている。
【0028】
このロータ38の外周側、すなわちトルクコンバータ4の回転中心軸線から半径方向で外側に最も離れた位置にステータ(固定子)40が配置されている。このステータ40は、積層鉄心とコイルとからなるものであって、前記アダプタ21の内周面に固定されている。そしてその積層鉄心がロータ38における永久磁石と半径方向で接近して対向しており、これに対してコイルが積層鉄心に対して軸線方向に張り出している。したがってモータ・ジェネレータ2は、コイルが軸線方向に突出し、これに対してロータ38の永久磁石の部分がコイルよりも軸線方向で内側に大きく入り込んでおり、さらに永久磁石を取り付けてある円板状の部分が最も薄くて軸線方向に更に入り込んでいる。前記隔壁部22は、モータ・ジェネレータ2におけるこのような輪郭形状に沿って屈曲している。
【0029】
モータ・ジェネレータ2のロータ38におけるハブ部37に対する取付部には、エンジン1側に突出した円筒部41が形成されており、その円筒部41の外周面に、レゾルバ42におけるロータ43が固着されている。隔壁部22は、モータ・ジェネレータ2のロータ38に円筒部41が形成されていることに伴い、その円筒部41の先端側に位置するように形成され、したがってロータ38に対して軸線方向にわずかずれている。そしてその隔壁部22の内周部に円筒状の部分32が形成され、この円筒状の部分32が円筒部41の内周側に延びている。したがってこの円筒状の部分32に嵌合させた軸受33が、レゾルバ42に対してその半径方向で内周側に位置している。
【0030】
さらに隔壁部22の内面側(モータ・ジェネレータ2側)には、円周方向に所定の間隔をあけて複数のインロー嵌合部44が突設されている。そのインロー嵌合部44には、隔壁部22を貫通したボルト孔が形成され、インロー嵌合部44に嵌合させたステータ45がこのボルト孔に挿入したボルト46によって固定されている。なお、そのボルト孔は円周方向に向けた長孔であり、ボルト46をゆるめた状態でステータ45の円周方向での取付位置を微調整できるように構成されている。したがってレゾルバ42は、軸受33によって封止された隔壁部22の内面側の空間部に収容され、かつモータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内周側に配置されている。
【0031】
したがって上記の構成では、軸受33およびレゾルバ42ならびにロータ2さらにはステータ40が半径方向にオーバーラップして配置されているので、軸線方向に沿って配列する部品数が少なくなり、その結果、軸長の短縮化が図られている。また、レゾルバ42のロータ38を、モータ・ジェネレータ2におけるロータ38の内周側端部に円筒部41を形成してその円筒部41に取り付けた構造としてあるために、ロータ38の入力軸35への取付箇所すなわちハブ部37への溶接箇所は、ロータ38に対して軸線方向へずれた位置であり、結局、軸受33に対して軸線方向へずれた位置となる。したがって、入力軸35における軸受33の取付面が入力軸35に対するロータ38の溶接箇所とは軸線方向にずれているから、その軸受33の取付面(摺動面)の加工が容易になる。
【0032】
一方、フロントカバー39は、トルクコンバータ4におけるポンプシェル47と一体化されてトルクコンバータ4の外側を覆う部材であって、図4に示すような異形断面の円板状の部材である。このフロントカバー39の中心部分および半径方向での中間部分は、半径方向に沿う比較的単純な平板形状であり、これに対して外周側の部分は、軸線方向に張り出している前記コイルの内周側を通ってそのコイルの軸線方向の側面に到るように屈曲した形状に成形されている。そしてこの屈曲した外周部の先端部でポンプシェル47の先端部に溶接などの固定手段で一体化され、また内周側の端部で前記ハブ部37の軸線方向での他端部(図4での右端部)に溶接などの固定手段で一体化されている。
【0033】
ポンプシェル47は、従来のトルクコンバータのポンプシェルと同様に、回転中心から半径方向に延びた部分が、いわゆる椀形断面に湾曲した形状を成しており、その椀形に湾曲した部分の内面に、ポンプブレードが固定されてポンプインペラを構成している。そしてこのポンプシェル47の他方の端部(図4での右側の端部)は、前記入力軸35と中心軸線を一致させた円筒軸48となっている。そしてこの円筒軸48がオイルポンプ6のボデー49におけるボス部50の内周側に挿入され、そのボス部50の内周部に挿入したブッシュ51によって軸線方向に移動し得る状態で回転可能に保持されている。なお、このブッシュ51は滑り軸受であり、これに替えて軸線方向への移動を許容できるころがり軸受を使用することもできる。
【0034】
このオイルポンプボデー49は、トランスミッションハウジング20の内周面に固定されるとともに、その内部にロータ52を回転自在に収容しており、前記ポンプシェル47における円筒軸48の先端部がそのロータ52に係合している。すなわち入力軸35に伝達された動力によってオイルポンプ6を駆動するように構成されている。なお、ボス部50の先端部と円筒軸48の外周面との間にオイルシール53が配置されている。したがって前記軸受33をシール構造のものとすることにより、モータ・ジェネレータ2が収容されている空間部が液密状態に維持されている。
【0035】
上記の円筒軸48の内周側に、円筒状の固定軸54が、同一軸線上に配置されている。この固定軸54は、オイルポンプ6のボデー49に一体化された支持用の軸であって、その先端部がトルクコンバータ4の内部にまで延びている。そしてこの固定軸54の先端部外周に一方向クラッチ55のインナーレースがスプライン嵌合して取り付けられており、またその一方向クラッチ55のアウターレースにステータ56が取り付けられている。
【0036】
さらに固定軸54の内周側には変速機入力軸57が挿入され、固定軸54の内周面との間に配置した軸受58によって回転自在に支持されている。この変速機入力軸57の先端部は、前記固定軸54の先端部方向に突出しており、その先端部にハブ59がスプライン嵌合されている。なお、このハブ59と変速機入力軸57との間はオイルシール60によって液密状態に封止されている。
【0037】
ハブ59には、タービンランナ61とロックアップクラッチ(直結クラッチ)62とが連結されている。タービンランナ61は、椀形に湾曲したシェルの内面に複数のブレードを固定した構造であって、前記ポンプインペラとほぼ対称形状を成しており、前記ステータ56を挟んでポンプインペラと対向して配置されている。
【0038】
ロックアップクラッチ62は、多板構造のクラッチであって、前記フロントカバー39の内面に対向した位置に設けられている。すなわちフロントカバー39の中間部で半径方向に沿う平板状の部分の正面に対向してクラッチドラム63が配置されている。このクラッチドラム63は、ほぼ有底円筒状を成す部材であって、フロントカバー39の中間部の内面に対向する位置に配置されるとともに、その内周側の端部で前記ハブ59にリベットによって固定されている。
【0039】
このクラッチドラム63の円筒状を成す外周部の内面に摩擦板64がスプライン嵌合されている。またこの摩擦板64を挟んでフロントカバー39の内面と対向する位置に他の摩擦板65が配置され、この他の摩擦板65は、フロントカバー39の内面に取り付けたリング状のリテーナ66の外周側に嵌合されている。さらにこれらの摩擦板64,65を挟んでフロントカバー39の内面に対向する位置にピストン67が軸線方向に前後動するように配置されている。このピストン67は、環状の板状体であって、その内周部によって前記ハブ59に液密状態を維持して摺動自在に嵌合するとともに、外周部がクラッチドラム63の円筒状部分の内周面に摺接している。
【0040】
上述したフロントカバー39およびポンプシェル47によって区画されている空間部すなわちトルクコンバータ4の内部にはオイル(オートマチックトランスミッションフルード)が充填されており、入力軸35と共にポンプインペラが回転して生じるオイルの螺旋流がタービンランナ61に供給されてタービンランナ61が回転し、その結果、入力軸35から変速機入力軸57に動力が伝達される。したがって入力軸35がトルクコンバータ4の入力側の部材になっている。
【0041】
また、ピストン67の背面側すなわち摩擦板64,65とは反対側の油圧を、正面側すなわち摩擦板64,65側の油圧より高くすることにより、ピストン67が摩擦板64,65をフロントカバー39の内面との間に挟み付け、その結果、フロントカバー39からこれらの摩擦板64,65を介してクラッチドラム63ならびにハブ59および変速機入力軸57に動力が伝達される。すなわちロックアップクラッチ62が係合することにより、このロックアップクラッチ62を介して入力軸35から変速機入力軸57に直接動力が伝達される。
【0042】
このようにロックアップクラッチ62が設けられている位置は、フロントカバー39の中間部であって半径方向に沿う平板部分に対向する位置であり、これは、フロントカバー39が図に示すように屈曲していることにより、モータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内周側、より正確にはステータ40におけるコイルの内周側の位置である。言い換えれば、流体伝動装置であるトルクコンバータ4の外周側の一部がステータ40の内径より小さくなるように半径方向で内側に窪まされて凹部を形成しており、このようにして外径を縮小した部分すなわち小径部68が、回転中心軸線方向でモータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内側に入り込まされている。言い換えれば、トルクコンバータ4の外周側の一部に凹部が形成され、その凹部にステータ40のコイルの一部が配置されている。
【0043】
したがって上記のパワープラントでは、エンジン1のクランクシャフト23に入力軸35が連結され、その入力軸35にモータ・ジェネレータ2のロータ38が連結されている。そしてその入力軸35がトルクコンバータ4のフロントカバー39およびポンプシェル47ならびに円筒軸48を介してオイルポンプ6に連結されている。そのため、オイルポンプ6に対してはエンジン1およびモータ・ジェネレータ2のいずれからもトルクを伝達してオイルポンプ6を駆動することができるように構成されている。
【0044】
上記のパワープラントは、基本的には、走行のための動力をエンジン1によって出力し、またエンジン1によって減速し、モータ・ジェネレータ2は走行のための駆動力あるいは制動力を補助するために使用される。したがって前記自動変速機3は後進段を含む複数の変速段を設定することができるように構成されている。その変速機構5の一例を図5に示してある。
【0045】
ここに示す構成では、前進5段・後進1段の変速段を設定するように構成されている。すなわちここに示す自動変速機3は、トルクコンバータ4およびオイルポンプ6に続けて副変速部81と、主変速部82とを備えている。その副変速部81は、いわゆるオーバードライブ部であって1組のシングルピニオン型遊星歯車機構83によって構成され、キャリヤ84が前記変速機入力軸57に連結され、またこのキャリヤ84とサンギヤ85との間に一方向クラッチF0 と一体化クラッチC0 とが並列に配置されている。なお、この一方向クラッチF0 はサンギヤ85がキャリヤ84に対して相対的に正回転(変速機入力軸57の回転方向の回転)する場合に係合するようになっている。またサンギヤ85の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。そしてこの副変速部81の出力要素であるリングギヤ86が、主変速部82の入力要素である中間軸87に接続されている。
【0046】
したがって副変速部81は、一体化クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊星歯車機構83の全体が一体となって回転するため、中間軸87が変速機入力軸57と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ85の回転を止めた状態では、リングギヤ86が変速機入力軸57に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0047】
他方、主変速部82は三組の遊星歯車機構88,89,90を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構88のサンギヤ91と第2遊星歯車機構89のサンギヤ92とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機構88のリングギヤ93と第2遊星歯車機構89のキャリヤ94と第3遊星歯車機構90のキャリヤ95との三者が連結され、かつそのキャリヤ95に出力軸96が連結されている。さらに第2遊星歯車機構89のリングギヤ97が第3遊星歯車機構90のサンギヤ98に連結されている。
【0048】
この主変速部82の歯車列では後進段と前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されている第2遊星歯車機構89のリングギヤ97および第3遊星歯車機構90のサンギヤ98と中間軸87との間に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第1遊星歯車機構88のサンギヤ91および第2遊星歯車機構89のサンギヤ92と中間軸87との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0049】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構88および第2遊星歯車機構89のサンギヤ91,89の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ91,89(すなわち共通サンギヤ軸)とトランスミッションハウジング20との間には、第1一方向クラッチF1 と多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されており、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ91,89が逆回転(変速機入力軸57の回転方向とは反対方向の回転)しようとする際に係合するようになっている。多板ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構88のキャリヤ99とトランスミッションハウジング20との間に設けられている。そして第3遊星歯車機構90のリングギヤ100の回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブレーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがトランスミッションハウジング20との間に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ100が逆回転しようとする際に係合するようになっている。
【0050】
上述した各変速部81,82の回転部材のうち副変速部81のクラッチC0 の回転数を検出するタービン回転数センサ101と、出力軸96の回転数を検出する出力軸回転数センサ102とが設けられている。
【0051】
上記の自動変速機3では、各クラッチやブレーキを図6の作動表に示すように係合・解放することにより前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図6において○印は係合状態、空欄は解放状態、◎印はエンジンブレーキ時の係合状態、△印は係合するものの動力伝達に関係しないことをそれぞれ示す。
【0052】
図6に示すP(パーキング)、R(リバース:後進段)、N(ニュートラル)ならびに第1速(1st)ないし第5速(5th)の各シフト状態は、図示しないシフト装置のレバーをマニュアル操作することにより設定される。そのシフトレバーによって設定される各シフトポジションは、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションである。
【0053】
ここで、Dポジションは車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて前進第1速ないし第5速を設定するためのポジションであり、また4ポジションは、第1速ないし第4速、3ポジションは第1速ないし第3速、2ポジションは第1速および第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するためのポジションである。なお、3ポジションないしLポジションは、エンジンブレーキレンジを設定するポジションであり、それぞれのポジションで設定可能な変速段のうち最も高速側の変速段でエンジンブレーキを効かせるように構成されている。
【0054】
また、DポジションないしLポジションのいずれかをシフトレバーによって選択することにより、そのポジションに応じた変速段を設定することができるようになっている。すなわち、マニュアル操作によって変速段を設定する変速モードであって、これが前記のスポーツモードである。このスポーツモードを選択するスポーツモードスイッチ(図示せず)がインストルメントパネルもしくはセンターコンソール(それぞれ図示せず)などに設けられている。このスイッチ103をオン操作した状態で、シフトレバーをDポジションに設定すると前進第5速となり、また4ポジションに設定すると前進第4速、3ポジションに設定すると前進第3速、2ポジションに設定すると前進第2速、Lポジションに設定すると前進第1速の各変速段が設定される。
【0055】
上記のエンジン1やモータ・ジェネレータ2ならびに自動変速機3などの各装置は、車両の状態を示す各種のデータに基づいて制御される。例えば図7に示すように、マイクロコンピュータを主体とする総合制御装置(ECU)104に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。この入力信号の例を挙げれば、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッションスイッチからの信号、バッテリSOC(State of Charge:充電状態)、ヘッドライトのオン・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速信号、自動変速機(AT)油温、シフトポジション、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフト信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサからの信号、レゾルバ信号などである。
【0056】
また、出力信号の例を挙げると、点火信号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータへの信号、前記コントローラ59への信号、減速装置への信号、ATソレノイドへの信号、ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、自動停止制御実施インジケータへの信号、自動停止制御未実施インジケータへの信号、スポーツモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックアップコントロールバルブへの信号、および電動オイルポンプ110を制御する電子制御装置110Dに対する信号などである。なおここで、自動停止制御とは、車両が停止した場合に、所定の条件の成立によってエンジン1を自動停止する制御であり、燃費および排ガスの削減のための制御である。前記電動オイルポンプ110は、基本的には、エンジン1もしくはモータ・ジェネレータ2により駆動される前記オイルポンプ6による油圧を補完し、もしくはオイルポンプ6に替わって油圧を出力するように制御される。
【0057】
ここで、この発明の構成と実施形態の構成との対応関係を説明する。モータ・ジェネレータ2がこの発明の第1の電動機に相当し、ロックアップクラッチ62または変速機構5の一部を構成する各種のクラッチやブレーキがこの発明の摩擦係合装置に相当し、トルクコンバータ4および自動変速機3がこの発明の動力伝達装置に相当し、オイルポンプ6がこの発明の第1のオイルポンプに相当し、モータ・ジェネレータ110Aが第2の電動機に相当し、電動オイルポンプ110がこの発明の第2のオイルポンプに相当する。
【0058】
上記のパワープラントでは、モータ・ジェネレータ2を備え、かつそのモータ・ジェネレータ2がエンジン1と共に入力軸35に連結されているので、モータ・ジェネレータ2によって発進することができ、またエンジン1を始動(クランキング)することができる。さらにオイルポンプ6が、入力軸35に連結されていてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2のいずれによってもオイルポンプ6を駆動し、自動変速機3で必要な油圧を発生させることができる。さらに、電動オイルポンプ110により上記油圧を発生させることも可能である。そこで、この発明の制御装置は、図1に示す制御を実行し、燃費を向上させる。
【0059】
すなわち図1において、先ず、入力信号の読み込みなどの処理をおこない(ステップ201)、モータ・ジェネレータ2の動力のみにより車両が走行する条件が成立しているか否かが判断される(ステップ202)。この実施形態のハイブリッド車においては、例えば車速およびスロットル開度をパラメータとするマップにより、モータ・ジェネレータ2の単独駆動モード、エンジン1の単独駆動モード、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2を駆動する駆動モードのいずれかが選択される。具体的には、車両の発進時などのように、エンジン効率が悪い低負荷状態においては、モータ・ジェネレータ2の単独駆動モードが選択され、アクセルペダルの踏み込みにより、所定の加速要求が発生した場合は、モータ・ジェネレータ2の駆動モードからエンジン1の駆動モードに切り換えられ、急激な加速要求が発生した場合は、エンジン1の動力をモータ・ジェネレータ2の動力により補う駆動モードが選択される。
【0060】
上記マップに基づいて、ステップ202で否定判断された場合はリターンされ、ステップ202で肯定判断された場合は、モータ・ジェネレータ2の回転数が所定値Nopm を越えているか否かが判断される(ステップ203)。このステップ203においては、車速が所定車速Vを越えているか否かを判断してもよい。ステップ203で否定判断された場合は、オイルポンプ6により発生する油圧(吐出圧)および吐出量が比較的低く、自動変速機3の摩擦係合装置の係合油圧を、必要な値まで高めることができない可能性がある。そこで、モータ・ジェネレータ110Aを所定回転数以上に制御し、必要な油圧に対する油圧の不足分を、電動オイルポンプ110により発生する油圧で補う制御をおこない(ステップ204)、リターンされる。
【0061】
これに対して、ステップ203で否定判断された場合は、自動変速機3の摩擦係合装置に供給するべき油圧を、モータ・ジェネレータ2の動力により駆動されるオイルポンプ6により確保しやすくなる。そこで、電動オイルポンプ110を駆動するモータ・ジェネレータ110Aの回転数を漸減させて停止させる制御をおこない(ステップ205)、リターンされる。ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、ステップ202,〜205がこの発明の電動機制御手段に相当する。
【0062】
図2は上記制御に対応するタイムチャートの一例である。すなわち、アクセルペダルがオフされている状態においては、モータ・ジェネレータ2の回転数が零に制御されており、オイルポンプ6の吐出量、すなわち、回転数が零に制御されている。一方、電動オイルポンプ110の吐出量、すなわちモータ・ジェネレータ110Aの回転数が所定値に制御され、電動オイルポンプ110により発生する油圧により、係合装置の油圧が所定値に制御されている。
【0063】
ついで時刻t1においてアクセルペダルが踏み込まれて発進要求が成立すると、モータ・ジェネレータ2が単独駆動されてその回転数が徐々に上昇するとともに、オイルポンプ6の吐出量(回転数)が徐々に上昇する。そして、時刻t2において、モータ・ジェネレータ2の回転数が所定値Npom を越えたことが判断されるとともに、モータ・ジェネレータ2の回転数がさらに上昇すると、時刻t3において電動オイルポンプ110を停止させる信号が出力され、電動オイルポンプ110の吐出量(モータ・ジェネレータ110Aの回転数)が徐々に低下され、時刻t4において電動オイルポンプ110の吐出量(モータ・ジェネレータ110Aの回転数)が零に制御されている。このようにして、オイルポンプ6または電動オイルポンプ110Aで発生する油圧が、油圧制御部7において所定圧に制御され、摩擦係合装置に供給される。
【0064】
以上のようにこの実施形態においては、車速の上昇にともなってオイルポンプ6の発生油圧を高めることが可能な状況においては、電動オイルポンプ110により発生する油圧を徐々に低下させる。言い換えれば、モータ・ジェネレータ110Aに供給される電気エネルギが低減され、その分、車両全体としての燃費が向上するとともに、モータ・ジェネレータ2の回転数の上昇により、摩擦係合装置に供給するべき油圧を確保することができ、車両の発進応答性が向上する。
【0065】
なお、この実施形態においては、歯車変速機構および摩擦係合装置を有し、その変速比を段階的に変更することの可能な有段式の自動変速機について説明しているが、変速比を無段階(連続的)に変更することの可能な無段変速機(CVT)に対して、この発明を適用することが可能である。また、第1の電動機の回転数の減少にともなって、第2の電動機の回転数を増加させる制御をおこなうことも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、第1の電動機の動力により車両が発進する際に、第1のオイルポンプおよび第2のオイルポンプにより発生した油圧により変速機の変速比を制御する場合は、第1の電動機の回転数に基づいて第2の電動機の回転数が制御される。例えば、第1のオイルポンプの発生油圧を高めることが可能な状況においては、第2のオイルポンプにより発生する油圧を低下させ、第2の電動機により消費される電気エネルギを低減することができる。したがって、その分、車両全体としての燃費が向上するとともに、第1の電動機の回転数の増加により、摩擦係合装置に供給するべき油圧を確保することができ、車両の発進応答性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置で実行される制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 図1に示す制御に対応するタイムチャートの一例である。
【図3】 この発明で対象とするパワートレーンおよび制御系統の一例を模式的に示すブロック図である。
【図4】 図3に示すモータ・ジェネレータの周辺の具体的な構成の例を示す部分断面図である。
【図5】 図3に示す自動変速機のギヤトレーンの一例を示すスケルトン図である。
【図6】 図3の自動変速機の各変速段を設定するためのクラッチおよびブレーキの係合・解放を示す図表である。
【図7】 この発明の一例における総合制御装置における入出力信号を示す図である。
【符号の説明】
2…モータ・ジェネレータ、 3…自動変速機、 6…オイルポンプ、 11…モータ・ジェネレータ用電子制御装置、 62…ロックアップクラッチ、 110…電動オイルポンプ、 110A…モータ・ジェネレータ。
Claims (1)
- 車両の動力源としてのエンジンおよび第1の電動機と、このエンジンおよび第1の電動機から出力される動力の伝達経路に配置され、かつ、油圧により動作して変速比が制御される変速機と、前記第1の電動機から出力された動力により駆動されて前記変速機の変速比を制御する油圧を発生するオイルポンプと、第2の電動機の動力により駆動されて前記変速機の変速比を制御する油圧を発生する電動オイルポンプとを有する車両の制御装置において、
前記第1の電動機の動力により車両が走行する際に前記第1のオイルポンプおよび第2のオイルポンプの油圧により前記変速機の変速比を制御する場合は、前記第1の電動機の回転数に基づいて前記第2の電動機の回転数を制御する電動機制御手段を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
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