JP4055297B2 - 伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、駆動力を伝達する走行ポジションと駆動力を伝達しない非走行ポジションもしくは停止ポジションを選択可能で、電動機によって駆動されるオイルポンプで発生させた油圧によって動作することにより係合装置を係合させて駆動力の伝達をおこない、あるいは変速比を設定する駆動装置を搭載している車両の制御装置に関し、特にそのオイルポンプの電動機による駆動を制御するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両用の変速機として、車両の走行状態に基づいて制御される自動変速機が知られている。この自動変速機には、変速比が不連続的(段階的)に変化する有段式の変速機や、変速比が連続的(無段階的)に変化する無段変速機が含まれるが、これらいずれの自動変速機であっても変速比の制御のために油圧が広く使用されている。例えば有段式の自動変速機であれば、エンジンの出力を変速機構に伝達するための入力クラッチや、変速段を設定するためのクラッチあるいはブレーキを油圧サーボ機構によって係合および解放するように構成している。また、無段変速機であれば、その変速機構に対して動力を入力する入力クラッチを油圧によって係合する構成とし、また変速機構を油圧によって動作させるように構成している。
【0003】
一方、車両に搭載されている内燃機関(エンジン)は、走行のための動力源であると同時に、発電のための動力源であり、さらには前記油圧のための動力源とされている。したがって内燃機関が駆動されている間は、オイルポンプが内燃機関によって駆動され、所定の油圧が発生するので、自動変速機を適宜に制御することができ、変速機構に対して動力を伝達し、あるいは所定の変速比を設定して出力軸にトルクを伝達することができる。
【0004】
ところで、最近では、排ガスの削減のために、電動モータを動力源とするいわゆる電気自動車が提案されており、このような電気自動車においては、電動モータによりオイルポンプを駆動することができるように構成されている。このように、電動モータによりオイルポンプを駆動することのできる油圧制御装置の一例が、特開平7−174218号公報に記載されている。
【0005】
この公報に記載された油圧制御装置においては、電動モータのモータ軸が、電磁クラッチを介してCVTユニットの変速機軸に接続できるように構成されているとともに、変速用油圧ポンプ(電動オイルポンプ)の貫通軸が、電動モータのモータ軸に直結されている。また、変速機軸にはプライマリプーリ(係合装置)が取り付けられており、出力軸にはセカンダリプーリ(係合装置)が取り付けられているとともに、両プーリにベルト(係合装置)が巻き掛けられている。さらに、両プーリの油圧室に対して、変速用油圧ポンプの油圧を供給することができるように構成されている。
【0006】
そして、電動モータにより変速用油圧ポンプが駆動されると、プライマリプーリの油圧室に油圧が供給されて変速制御がおこなわれ、かつ、セカンダリプーリの油圧室にライン圧が供給されて、ベルトの張力がトルク伝達に必要な状態に制御される。一方、シフトレバーがパーキングポジションまたはニュートラルポジションにセットされ、かつ、ハンドブレーキが引かれ、さらにはアクセルペダルが踏み込まれていない状態においては、電動モータを停止することにより、バッテリの消費を抑制することができるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の公報に記載された油圧制御装置においては、上記の条件が成立したときに電動モータが停止されているが、車両の周囲の環境や道路状況によっては、上記の条件が成立したとしても、車両の停止状態が継続されない場合がある。その結果、運転者の車両操作意図に対して、係合装置に供給される油圧が適さない場合があり、結果的に係合装置の耐久性の低下や応答性の低下を招く可能性があった。例えば、走行ポジションと非走行ポジションとの切り換え操作が頻繁におこなわれる、いわゆるガレージシフトの際に、非走行ポジションが選択された時点で電動モータが停止されると、再度走行ポジションに切り換えられたときに油圧の立ち上がりが遅れてベルトの滑りが生じ、耐久性の低下や応答性の低下を招く問題があった。
【0008】
なお、このような問題は、遊星歯車を有する変速機構と、変速機構のトルク伝達経路を切り換える摩擦係合装置とを備え、この摩擦係合装置に作用する油圧を、電動機により駆動されるオイルポンプにより発生させることのできる構成の有段式の自動変速機においても、同様にして発生していた。すなわち、シフトポジションの切り換えにともなう油圧の立ち上がりの遅れにより摩擦係合装置の滑りが生じ、耐久性の低下や応答性の低下を招く問題があった。
【0009】
この発明は、上記の事情を背景としてなされたものであり、運転者の意図や道路状況と電動オイルポンプの状態とを可及的に適合させることのできる装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、この発明は、車両の動作状態あるいは運転者による操作状態もしくは自車両の前後の状況に基づいて車両が停止状態に維持されることを推定し、その推定の結果に基づいて電動機によるオイルポンプの駆動を低減もしくは停止して、動力の消費を削減するように構成したことを特徴とするものである。
【0011】
より具体的には、請求項1の発明は、駆動力の伝達をおこなうことのできる走行ポジションと駆動力を伝達しない非走行ポジションとを選択可能で、駆動力を伝達する係合装置もしくは変速比を設定する係合装置を有する駆動装置と、前記係合装置を係合するための油圧を供給し、かつ、電動機により駆動されるオイルポンプとを備え、車両の停止要求がある場合に、前記電動機によるオイルポンプの駆動を低下させることのできる伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置において、前記車両の停止要求が発生したか否かを判断する停止要求判断手段と、前記車両の停止要求が発生した場合は、その車両の停止要求が継続的な車両の停止を意図したものであると判断できる所定時間が経過した後に、前記電動機によるオイルポンプの駆動を低下させる遅延手段とを備え、前記停止要求判断手段は、非走行ポジションが選択された場合に前記車両の停止要求が発生したと判断する手段を含み、前記遅延手段は、前記非走行ポジションが選択されるまでのシフト履歴に基づいて前記所定時間を設定する手段を含むことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明によれば、車両の停止要求が発生したか否かが判断され、非走行ポジションが選択された場合に、車両の停止要求が発生したと判断される。また、その車両の停止要求が継続的な車両の停止を意図したものであると判断できる所定時間が経過した後に、電動機により駆動されるオイルポンプの駆動が低下される。つまり、車両の停止要求が発生してから所定時間が経過するまでの間に、直ぐに車両が発進する可能性がある場合には、オイルポンプの駆動が低下されない。なお、前記所定時間は、非走行ポジションが選択されるまでのシフト履歴に基づいて設定される。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。図3はこの発明で対象とする車両のパワープラントの一例を示しており、内燃機関1の出力側に電動機(MG)2が接続されている。その内燃機関1は、要は、燃料を燃焼させて動力を出力する装置であって、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン、ガスエンジンなどを採用することができ、またその形式は、レシプロタイプのもの以外にタービン型のエンジンであってもよい。なお、以下の説明では、内燃機関1をエンジン1と記す。また、電動機2は、要は、電力が供給されてトルクを出力する装置であり、直流モータや交流モータを採用することができ、さらには固定永久磁石型同期モータなどの発電機能を兼ね備えたいわゆるモータ・ジェネレータを使用することができる。なお、以下の説明では、電動機2をモータ・ジェネレータ2と記す。
【0026】
そのモータ・ジェネレータ2の出力側に自動変速機3が接続されている。この自動変速機3は、車両の走行状態に基づいて、変速比を段階的(不連続的)に設定するように構成された有段式自動変速機であって、油圧式のトルクコンバータ(T/C)4を介して変速機構5に対してトルクを入力するように構成されている。また、これらトルクコンバータ4と変速機構5との間には、トルクコンバータ4の入力要素に連結されている機械式オイルポンプ6が配置されている。このオイルポンプ6とは別に、電動機によって駆動される電動オイルポンプ110が設けられている。
【0027】
さらに、前記変速機構5は、油圧によって変速制御されるように構成されており、その制御をおこなう油圧制御部7が設けられている。この油圧制御部7は、従来知られているものと同様に構成されており、電気的に制御される電磁弁やその電磁弁から供給される油圧によって切換動作するシフト弁(それぞれ図示せず)などを備えている。なお、自動変速機3の詳細については後述する。
【0028】
前記エンジン1は、スロットル開度や燃料噴射量あるいは点火時期、バルブの開閉タイミングなどを電気的に制御できるように構成されており、その制御のための電子制御装置(E/G−ECU)8が設けられている。このエンジン用電子制御装置8は、マイクロコンピュータを主体に構成され、アクセル開度や車速、変速信号、エンジン水温などの入力データに基づいて予め記憶しているプログラムに従って演算をおこない、その演算結果に基づいて制御信号を出力するように構成されている。
【0029】
図3に示す例ではモータ・ジェネレータ2として固定永久磁石型同期モータが採用され、その制御のためにインバータ9を介してバッテリ10が接続されている。そして、そのインバータ9およびバッテリ10を制御するための電子制御装置(MG−ECU)11が設けられている。このモータ・ジェネレータ用電子制御装置11は、マイクロコンピュータを主体に構成され、入力されるデータに基づいて演算をおこなって、モータ・ジェネレータ2に供給する電流や周波数、モータ・ジェネレータ2からバッテリ10に充電する電力などを制御するように構成されている。
【0030】
さらに、自動変速機用電子制御装置(A/T−ECU)12が設けられている。この自動変速機用電子制御装置12は、マイクロコンピュータを主体に構成され、アクセル開度や車速などの車両の走行状態を示すデータが入力され、その走行状態に応じた変速段を設定するように前記油圧制御部7に制御信号を出力するように構成されている。
【0031】
ここで、モータ・ジェネレータ2の具体的な構成について図4を参照して説明する。前記トルクコンバータ4を収容しているトランスミッションハウジング20のエンジン1側の端部に、アダプタ21が取り付けられている。このアダプタ21は、トランスミッションハウジング20の開口端とほぼ等しい外径の円筒状の部材であって、トランスミッションハウジング20の端部とエンジン1との間に挟み込んだ状態でこれらトランスミッションハウジング20とエンジン1とに連結されて固定されている。このアダプタ21の内周面で軸線方向での中間部には、半径方向に沿いかつ中心部に向けて適宜に屈曲して延びた隔壁部22が一体に形成されている。その隔壁部22には、トルクコンバータ4の中心軸線と軸線を一致させた貫通孔が形成されている。
【0032】
前記アダプタ21の内周側の空間部のうち隔壁部22によって仕切られたエンジン1側の空間部に、エンジン1の出力部材であるクランクシャフト23の先端部が延びており、そのクランクシャフト23の先端部にフライホイール24がボルト25によって固定されている。このフライホイール24の正面(エンジン1とは反対側の面)にダンパ26が取り付けられている。したがってフライホイール24とダンパ26とが、アダプタ21の内周側で隔壁部22によって仕切られたエンジン1側の空間部に収容されている。
【0033】
ダンパ26は、半径方向で外側に延びた平板部を有する中空円板状の第1のプレートとその中心側の部分に対向して取り付けられかつ第1のプレートと共に円周方向に沿う窓孔部を形成する第2のプレートとからなる駆動側部材27と、その駆動側部材27における各プレートの間に相対回転可能に延ばした板状の突出部を円筒状のボス部28の外周側に一体化させ、かつその板状の突出部に前記窓孔部と一致する窓孔部を形成した従動側部材29と、それらの窓孔部に保持させ、駆動側部材27と従動側部材29とが相対回転することによってこれらの部材27,29によって圧縮されるダンパスプリング30とによって構成されている。そしてその駆動側部材27における半径方向で外側に延びた平板部が、フライホイール24の正面にボルト31によって固定されている。すなわち駆動側部材27がダンパ26の入力側部材となり、かつ従動側部材29がダンパ26の出力側部材となっている。
【0034】
前記隔壁部22の内周側の端部は、軸線方向に延びた比較的短い円筒状に形成され、この円筒状の部分32に軸受33が嵌合させられており、この軸受33は、前記円筒状の部分32の内周面に取り付けた固定用部材であるスナップリング34によって固定されている。そしてこの軸受33の内周側に入力軸35が嵌合させられ、したがってこの入力軸35が軸受33を介して隔壁部22によって回転自在に支持され、また軸線方向に対しては固定されている。
【0035】
この入力軸35の先端部(図4での左側端部)が、前記ダンパ26の内周部にまで延びており、かつ前記ダンパ26における従動側部材29のボス部28に挿入されている。そして、これら入力軸35と従動側部材29とが、それぞれに形成されたスプライン36によって連結されている。
【0036】
入力軸35の後端部(図4での右側端部)は、隔壁部22における円筒状の部分32の先端近傍にあってその円筒状の部分32より半径方向で外側に延び、その半径方向で外側に突出した部分にハブ部37が形成されている。したがってこのハブ部37は、前記隔壁部22を挟んで前記ダンパ26とは反対側の空間部に収容されており、また、前記円筒状の部分32の外周側で該円筒状部分32と同心円上の位置に配置されている。そしてそのハブ部37には、モータ・ジェネレータ2のロータ(回転子)38と、トルクコンバータ4のフロントカバー39とが一体的に連結されている。
【0037】
このロータ38は、円板状の部材の外周部に永久磁石を取り付けたものであって、その円板状部材の内周部を、前記ハブ部37における図4での左側端部に溶接などの固定手段によって一体化させることにより、ハブ部37に取り付けられている。なお、入力軸35が前記軸受33を介して隔壁部22によって軸線方向に位置決めされていることにより、ロータ38も入力軸35と共に軸受33を介して隔壁部22によって軸線方向での位置が決められている。
【0038】
このロータ38の外周側、すなわちトルクコンバータ4の回転中心軸線から半径方向で外側に最も離れた位置にステータ(固定子)40が配置されている。このステータ40は、積層鉄心とコイルとからなるものであって、前記アダプタ21の内周面に固定されている。そしてその積層鉄心がロータ38における永久磁石と半径方向で接近して対向しており、これに対してコイルが積層鉄心に対して軸線方向に張り出している。したがってモータ・ジェネレータ2は、コイルが軸線方向に突出し、これに対してロータ38の永久磁石の部分がコイルよりも軸線方向で内側に大きく入り込んでおり、さらに永久磁石を取り付けてある円板状の部分が最も薄くて軸線方向に更に入り込んでいる。前記隔壁部22は、モータ・ジェネレータ2におけるこのような輪郭形状に沿って屈曲している。
【0039】
モータ・ジェネレータ2のロータ38におけるハブ部37に対する取付部には、エンジン1側に突出した円筒部41が形成されており、その円筒部41の外周面に、レゾルバ42におけるロータ43が固着されている。隔壁部22は、モータ・ジェネレータ2のロータ38に円筒部41が形成されていることに伴い、その円筒部41の先端側に位置するように形成され、したがってロータ38に対して軸線方向にわずかずれている。そしてその隔壁部22の内周部に円筒状の部分32が形成され、この円筒状の部分32が円筒部41の内周側に延びている。したがってこの円筒状の部分32に嵌合させた軸受33が、レゾルバ42に対してその半径方向で内周側に位置している。
【0040】
さらに隔壁部22の内面側(モータ・ジェネレータ2側)には、円周方向に所定の間隔をあけて複数のインロー嵌合部44が突設されている。そのインロー嵌合部44には、隔壁部22を貫通したボルト孔が形成され、インロー嵌合部44に嵌合させたステータ45がこのボルト孔に挿入したボルト46によって固定されている。なお、そのボルト孔は円周方向に向けた長孔であり、ボルト46をゆるめた状態でステータ45の円周方向での取付位置を微調整できるように構成されている。したがってレゾルバ42は、軸受33によって封止された隔壁部22の内面側の空間部に収容され、かつモータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内周側に配置されている。
【0041】
したがって上記の構成では、軸受33およびレゾルバ42ならびにロータ2さらにはステータ40が半径方向にオーバーラップして配置されているので、軸線方向に沿って配列する部品数が少なくなり、その結果、軸長の短縮化が図られている。また、レゾルバ42のロータ38を、モータ・ジェネレータ2におけるロータ38の内周側端部に円筒部41を形成してその円筒部41に取り付けた構造としてあるために、ロータ38の入力軸35への取付箇所すなわちハブ部37への溶接箇所は、ロータ38に対して軸線方向へずれた位置であり、結局、軸受33に対して軸線方向へずれた位置となる。したがって、入力軸35における軸受33の取付面が入力軸35に対するロータ38の溶接箇所とは軸線方向にずれているから、その軸受33の取付面(摺動面)の加工が容易になる。
【0042】
一方、フロントカバー39は、トルクコンバータ4におけるポンプシェル47と一体化されてトルクコンバータ4の外側を覆う部材であって、図4に示すような異形断面の円板状の部材である。このフロントカバー39の中心部分および半径方向での中間部分は、半径方向に沿う比較的単純な平板形状であり、これに対して外周側の部分は、軸線方向に張り出している前記コイルの内周側を通ってそのコイルの軸線方向の側面に到るように屈曲した形状に成形されている。そしてこの屈曲した外周部の先端部でポンプシェル47の先端部に溶接などの固定手段で一体化され、また内周側の端部で前記ハブ部37の軸線方向での他端部(図4での右端部)に溶接などの固定手段で一体化されている。
【0043】
ポンプシェル47は、従来のトルクコンバータのポンプシェルと同様に、回転中心から半径方向に延びた部分が、いわゆる椀形断面に湾曲した形状を成しており、その椀形に湾曲した部分の内面に、ポンプブレードが固定されてポンプインペラを構成している。そしてこのポンプシェル47の他方の端部(図4での右側の端部)は、前記入力軸35と中心軸線を一致させた円筒軸48となっている。そしてこの円筒軸48がオイルポンプ6のボデー49におけるボス部50の内周側に挿入され、そのボス部50の内周部に挿入したブッシュ51によって軸線方向に移動し得る状態で回転可能に保持されている。なお、このブッシュ51は滑り軸受であり、これに替えて軸線方向への移動を許容できるころがり軸受を使用することもできる。
【0044】
このオイルポンプボデー49は、トランスミッションハウジング20の内周面に固定されるとともに、その内部にロータ52を回転自在に収容しており、前記ポンプシェル47における円筒軸48の先端部がそのロータ52に係合している。すなわち入力軸35に伝達された動力によってオイルポンプ6を駆動するように構成されている。なお、ボス部50の先端部と円筒軸48の外周面との間にオイルシール53が配置されている。したがって前記軸受33をシール構造のものとすることにより、モータ・ジェネレータ2が収容されている空間部が液密状態に維持されている。
【0045】
上記の円筒軸48の内周側に、円筒状の固定軸54が、同一軸線上に配置されている。この固定軸54は、オイルポンプ6のボデー49に一体化された支持用の軸であって、その先端部がトルクコンバータ4の内部にまで延びている。そしてこの固定軸54の先端部外周に一方向クラッチ55のインナーレースがスプライン嵌合して取り付けられており、またその一方向クラッチ55のアウターレースにステータ56が取り付けられている。
【0046】
さらに固定軸54の内周側には変速機入力軸57が挿入され、固定軸54の内周面との間に配置した軸受58によって回転自在に支持されている。この変速機入力軸57の先端部は、前記固定軸54の先端部方向に突出しており、その先端部にハブ59がスプライン嵌合されている。なお、このハブ59と変速機入力軸57との間はオイルシール60によって液密状態に封止されている。
【0047】
ハブ59には、タービンランナ61とロックアップクラッチ(直結クラッチ)62とが連結されている。タービンランナ61は、椀形に湾曲したシェルの内面に複数のブレードを固定した構造であって、前記ポンプインペラとほぼ対称形状を成しており、前記ステータ56を挟んでポンプインペラと対向して配置されている。
【0048】
ロックアップクラッチ62は、多板構造のクラッチであって、前記フロントカバー39の内面に対向した位置に設けられている。すなわちフロントカバー39の中間部で半径方向に沿う平板状の部分の正面に対向してクラッチドラム63が配置されている。このクラッチドラム63は、ほぼ有底円筒状を成す部材であって、フロントカバー39の中間部の内面に対向する位置に配置されるとともに、その内周側の端部でハブ59にリベットによって固定・一体化されている。
【0049】
このクラッチドラム63の円筒状を成す外周部の内面に摩擦板64がスプライン嵌合されている。またこの摩擦板64を挟んでフロントカバー39の内面と対向する位置に他の摩擦板65が配置され、この他の摩擦板65は、フロントカバー39の内面に取り付けたリング状のリテーナ66の外周側に嵌合されている。さらにこれらの摩擦板64,65を挟んでフロントカバー39の内面に対向する位置にピストン67が軸線方向に前後動するように配置されている。このピストン67は、環状の板状体であって、その内周部によって前記ハブ59に液密状態を維持して摺動自在に嵌合するとともに、外周部がクラッチドラム63の円筒状部分の内周面に摺接している。
【0050】
上述したフロントカバー39およびポンプシェル47によって区画されている空間部すなわちトルクコンバータ4の内部にはオイル(オートマチックトランスミッションフルード)が充填されており、入力軸35と共にポンプインペラが回転して生じるオイルの螺旋流がタービンランナ61に供給されてタービンランナ61が回転し、その結果、入力軸35から変速機入力軸57に動力が伝達される。したがって入力軸35がトルクコンバータ4の入力側の部材になっている。
【0051】
また、ピストン67の背面側すなわち摩擦板64,65とは反対側の油圧を、正面側すなわち摩擦板64,65側の油圧より高くすることにより、ピストン67が摩擦板64,65をフロントカバー39の内面との間に挟み付け、その結果、フロントカバー39からこれらの摩擦板64,65を介してクラッチドラム63ならびにハブ59および変速機入力軸57に動力が伝達される。すなわちロックアップクラッチ62が係合することにより、このロックアップクラッチ62を介して入力軸35から変速機入力軸57に直接動力が伝達される。
【0052】
このようにロックアップクラッチ62が設けられている位置は、フロントカバー39の中間部であって半径方向に沿う平板部分に対向する位置であり、これは、フロントカバー39が図に示すように屈曲していることにより、モータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内周側、より正確にはステータ40におけるコイルの内周側の位置である。言い換えれば、流体伝動装置であるトルクコンバータ4の外周側の一部がステータ40の内径より小さくなるように半径方向で内側に窪まされて凹部を形成しており、このようにして外径を縮小した部分すなわち小径部68が、回転中心軸線方向でモータ・ジェネレータ2におけるステータ40の内側に入り込まされている。言い換えれば、トルクコンバータ4の外周側の一部に凹部が形成され、その凹部にステータ40のコイルの一部が配置されている。
【0053】
したがって上記のパワープラントでは、エンジン1のクランクシャフト23に入力軸35が連結され、その入力軸35にモータ・ジェネレータ2のロータ38が連結されている。そしてその入力軸35がトルクコンバータ4のフロントカバー39およびポンプシェル47ならびに円筒軸48を介してオイルポンプ6に連結されている。そのため、オイルポンプ6に対してはエンジン1およびモータ・ジェネレータ2のいずれからもトルクを伝達してオイルポンプ6を駆動することができるように構成されている。
【0054】
上記のパワープラントは、基本的には、走行のための動力をエンジン1によって出力し、またエンジン1によって減速し、モータ・ジェネレータ2は走行のための駆動力あるいは制動力を補助するために使用される。したがって前記自動変速機3は後進段を含む複数の変速段を設定することができるように構成されている。その変速機構5の一例を図5に示してある。
【0055】
ここに示す構成では、前進5段・後進1段の変速段を設定するように構成されている。すなわちここに示す自動変速機3は、トルクコンバータ4およびオイルポンプ6に続けて副変速部81と、主変速部82とを備えている。その副変速部81は、いわゆるオーバードライブ部であって1組のシングルピニオン型遊星歯車機構83によって構成され、キャリヤ84が前記変速機入力軸57に連結され、またこのキャリヤ84とサンギヤ85との間に一方向クラッチF0 と一体化クラッチC0 とが並列に配置されている。なお、この一方向クラッチF0 はサンギヤ85がキャリヤ84に対して相対的に正回転(変速機入力軸57の回転方向の回転)する場合に係合するようになっている。またサンギヤ85の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。そしてこの副変速部81の出力要素であるリングギヤ86が、主変速部82の入力要素である中間軸87に接続されている。
【0056】
したがって副変速部81は、一体化クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊星歯車機構83の全体が一体となって回転するため、中間軸87が変速機入力軸57と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ85の回転を止めた状態では、リングギヤ86が変速機入力軸57に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0057】
他方、主変速部82は三組の遊星歯車機構88,89,90を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構88のサンギヤ91と第2遊星歯車機構89のサンギヤ92とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機構88のリングギヤ93と第2遊星歯車機構89のキャリヤ94と第3遊星歯車機構90のキャリヤ95との三者が連結され、かつそのキャリヤ95に出力軸96が連結されている。さらに第2遊星歯車機構89のリングギヤ97が第3遊星歯車機構90のサンギヤ98に連結されている。
【0058】
この主変速部82の歯車列では後進段と前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されている第2遊星歯車機構89のリングギヤ97および第3遊星歯車機構90のサンギヤ98と中間軸87との間に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第1遊星歯車機構88のサンギヤ91および第2遊星歯車機構89のサンギヤ92と中間軸87との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0059】
つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構88および第2遊星歯車機構89のサンギヤ91,89の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ91,89(すなわち共通サンギヤ軸)とトランスミッションハウジング20との間には、第1一方向クラッチF1 と多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されており、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ91,89が逆回転(変速機入力軸57の回転方向とは反対方向の回転)しようとする際に係合するようになっている。多板ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構88のキャリヤ99とトランスミッションハウジング20との間に設けられている。そして第3遊星歯車機構90のリングギヤ100の回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブレーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがトランスミッションハウジング20との間に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ100が逆回転しようとする際に係合するようになっている。
【0060】
上述した各変速部81,82の回転部材のうち副変速部81のクラッチC0 の回転数を検出するタービン回転数センサ101と、出力軸96の回転数を検出する出力軸回転数センサ102とが設けられている。
【0061】
上記の自動変速機3では、各クラッチやブレーキを図6の作動表に示すように係合・解放することにより前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図6において○印は係合状態、空欄は解放状態、◎印はエンジンブレーキ時の係合状態、△印は係合するものの動力伝達に関係しないことをそれぞれ示す。これらのクラッチやブレーキまたはロックアップクラッチ62がこの発明の係合装置に相当し、これらのクラッチやブレーキを有する変速機構5と、ロックアップクラッチ62を有するトルクコンバータ4とが設けられている自動変速機3が、この発明の駆動装置に相当する。
【0062】
図6に示すP(パーキング)、R(リバース:後進段)、N(ニュートラル)ならびに第1速(1st)ないし第5速(5th)の各シフト状態は、図示しないシフト装置のレバーをマニュアル操作することにより設定される。そのシフトレバーによって設定される各シフトポジションの配列は、図7に示すとおりであり、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジションが、ここに挙げた順序で車両の前後方向に沿って配列され、そのDポジションに対して車両の幅方向に隣接する位置に“4”ポジションが配置され、その“4”ポジションに対して車両後方側に隣接して“3”ポジションが配置され、さらにこの“3”ポジションの位置から車両の斜め後方に“2”ポジションおよびLポジションが順に配列されている。
【0063】
ここで、Dポジションは車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて前進第1速ないし第5速を設定するためのポジションであり、また“4”ポジションは、第1速ないし第4速、“3”ポジションは第1速ないし第3速、“2”ポジションは第1速および第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するためのポジションである。なお、“3”ポジションないしLポジションは、エンジンブレーキレンジを設定するポジションであり、それぞれのポジションで設定可能な変速段のうち最も高速側の変速段でエンジンブレーキを効かせるように構成されている。
【0064】
また、DポジションないしLポジションのいずれかをシフトレバーによって選択することにより、そのポジションに応じた変速段を設定することができるようになっている。すなわち、マニュアル操作によって変速段を設定する変速モードであって、これが前記のスポーツモードである。このスポーツモードを選択するスポーツモードスイッチ103がインストルメントパネルもしくはセンターコンソール(それぞれ図示せず)などに設けられている。このスイッチ103をオン操作した状態で、シフトレバーをDポジションに設定すると前進第5速となり、また“4”ポジションに設定すると前進第4速、“3”ポジションに設定すると前進第3速、“2”ポジションに設定すると前進第2速、Lポジションに設定すると前進第1速の各変速段が設定される。上記Dポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジション、Rポジションがこの発明の走行ポジションに相当し、Pポジション、Nポジションがこの発明の非走行ポジジョンに相当する。
【0065】
上記のエンジン1やモータ・ジェネレータ2ならびに自動変速機3などの各装置は、車両の状態を示す各種のデータに基づいて制御される。例えば図8に示すように、マイクロコンピュータを主体とする総合制御装置(ECU)104に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。この入力信号の例を挙げれば、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、イグニッションスイッチからの信号、バッテリSOC(State of Charge:充電状態)、ヘッドライトのオン・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号、車速信号、自動変速機(AT)油温、シフトレバーの操作位置を検出するシフトポジションセンサの信号、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、スポーツシフト信号、車両加速度センサからの信号、駆動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサからの信号、レゾルバ信号、自車両の前方および後方に向けて照射されたミリ波レーザー光の反射光を検知することにより、自車両の前方または後方に他車両があるか否かを検出するためのレーザーレーダーセンサの出力信号などである。
【0066】
また、出力信号の例を挙げると、点火信号、噴射(燃料の噴射)信号、スタータへの信号、モータ・ジェネレータ2のコントローラである電子制御装置11に対する信号、減速装置への信号、ATソレノイドへの信号、ATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、自動停止制御実施インジケータへの信号、自動停止制御未実施インジケータへの信号、スポーツモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックアップコントロールバルブへの信号、および電動オイルポンプ110への信号などである。なおここで、自動停止制御とは、車両が停止した場合に、所定の条件の成立によってエンジン1を自動停止する制御であり、燃費および排ガスの削減のための制御である。前記電動オイルポンプ110は、基本的には、エンジン1により駆動される前記オイルポンプ6による油圧を補完し、もしくはオイルポンプ6に替わって油圧を出力するように制御される。前記オイルポンプ6が油圧を出力していない場合であっても、車両の走行状態によっては油圧を出力しない。これは、不必要な駆動力の消費を可及的に防止して燃費を向上させるためである。
【0067】
上記のパワープラントでは、モータ・ジェネレータ2を備え、かつそのモータ・ジェネレータ2がエンジン1と共に入力軸35に連結されているので、モータ・ジェネレータ2によって発進することができ、またエンジン1を始動(クランキング)することができる。さらにオイルポンプ6が、入力軸35に連結されていてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2のいずれによってもオイルポンプ6を駆動し、自動変速機3で必要な油圧を発生させることができる。そこで、この発明の制御装置は、図1に示す制御を実行し、燃費を向上させる。
【0068】
この図1の制御例は、請求項1の発明に対応するものであり、先ず、入力信号の読み込みなどの処理をおこない(ステップS1)、ついでニュートラル(N)レンジ(ニュートラルポジション)が選択されているか否かが判断される(ステップS2)。これは、シフトポジション信号に基づいて判断することができる。このステップS2で否定判断された場合には、走行時のための制御を実行するので、この図1に示すルーチンからは抜ける。これに対してステップS2で肯定判断された場合には、図6に示すように第1および第2のクラッチC1 ,C2 が解放されていて出力軸96にトルクが現れていない状態になっている。したがって車両は停止するか、もしくは停止している状態である。
【0069】
この状態から発進するにあたり、エンジン1によって走行するか、あるいはモータ・ジェネレータ2によって走行するかが判断される。具体的には、モーター走行の条件が成立しているか否かが判断される(ステップS3)。一般に、発進時は低回転数で大きいトルクを必要とするので、このような条件でエンジン1を駆動すると、燃焼効率が悪いために、燃費が悪化したり、排ガスが悪化する。そこで、バッテリ10のSOC(充電状態)が所定値以上の場合に、モーター走行条件が成立していることが判断される。
【0070】
モーター走行条件が成立していることによりステップS3で肯定判断された場合、エンジン1の出力を使用しないから、エンジン1は停止状態に維持される。またこの場合、ブレーキONか否か、すなわち車両の制動がおこなわれているか否かが判断される(ステップS4)。
【0071】
このステップS4で肯定判断された場合には、自動変速機3がニュートラル状態にあって変速比が設定されていず、また制動操作されているから、結局、直ちに発進もしくは加速することがないと推定される。したがって自動変速機3は、その摩擦係合装置が全て解放していても支障がないので、ステップS4で肯定判断された場合には、所定の遅延時間の経過を待って(ステップS5)、電動オイルポンプを停止(OFF)する(ステップS6)。上述したパワープラントを対象とする場合には、電動オイルポンプ110の駆動を停止する。
【0072】
したがって車両の停止状態で出力トルクを特には必要としない状況においては、電動オイルポンプ110を完全に停止するので、電動オイルポンプ110を駆動するためのエネルギの消費が回避され、その分、車両全体としての燃費が向上する。なお、ステップS5で所定の遅延時間の経過を待つこととしたのは、NレンジおよびブレーキONの条件の成立(つまり車両の停止要求の発生)が一時的であって車両の継続的な停止を意図したものではない場合があるので、このような状況と車両の停止を意図した状況とを確実に峻別し、車両の走行が予定されている場合に油圧が低下してしまうことを防止するためである。
【0073】
このような制御をおこなった場合のタイムチャートを図2に示してある。すなわちt1 時点にNレンジへのシフトが判定され、その後のt2 時点にモーター走行条件の成立が判断され、さらにその後のt3 時点にブレーキONの判定がおこなわれると、そのt3 時点から所定の遅延時間Δtが経過したt4 時点に電動オイルポンプの停止制御が実行され、その回転数が低下するとともに油圧が低下する。したがってその遅延時間Δt内にブレーキ油圧が低下してブレーキOFFが判定されたり、走行レンジ(走行ポジション)へのシフトが検出されるなど、走行することが推定される条件が成立すると、油圧が維持され、自動変速機3が通常のレンジ(ポジション)の切り換えと同様に制御されるので、ショックや応答遅れが生じない。
【0074】
一方、ステップS3で否定判断された場合、すなわちモーター走行条件が成立していない場合には、エンジン1の出力で走行することになる。この場合、エンジン1の動力がトルクコンバータ4を介してオイルポンプ6に伝達され、オイルポンプ6が駆動され続けるので、ステップS6に進んで電動オイルポンプ110の駆動を停止する。
【0075】
さらにステップS4で否定判断された場合、すなわち制動がおこなわれていない場合には、走行中であり、あるいは直ちに走行することが推定されるので、自動変速機3で所定の変速比を設定する必要がある。そこでこの場合は、電動オイルポンプをON制御する(ステップS7)。具体的には電動オイルポンプ110を駆動し、所定の油圧を発生させる。したがって、モーター走行をおこなう場合、モータ・ジェネレータ2の出力トルクを増大させることにより、それに応じた駆動力が直ちに得られるので、応答遅れが生じず、また駆動トルクが急激に増大することがないので、ショックを防止することができる。
【0076】
なお、上記のステップS6における電動オイルポンプの駆動停止は、要は、不必要に油圧を発生させる動力の消費を削減するための制御であるから、オイルポンプの完全な停止以外に、オイルポンプの駆動状態を低下させる制御であってもよい。具体的には、電動オイルポンプ110の回転数を低下させ最低限の油圧を発生させる制御が考えられる。
【0077】
上述した例は、エンジン1により駆動されるオイルポンプ6とは別に電動オイルポンプ110を備え、エンジン1の停止時に電動オイルポンプ110を駆動して油圧を発生させる構成の例であるが、この発明は、この例に限定されず、エンジン停止時に前記モータ・ジェネレータ2によってオイルポンプ6を駆動するように構成してもよい。この場合、モータ・ジェネレータ2によって駆動されるオイルポンプ6がこの発明における電動オイルポンプに相当する。この発明は、この他に、モータ・ジェネレータ2を備えていず、かつエンジン1が自動停止される車両を対象として実施することができるのであり、その例について次に説明する。
【0078】
図9は、駆動系統における電動オイルポンプ110の配置例を示すブロック図であり、エンジン1に続けて自動変速機3が配置され、そのトルクコンバータ4がエンジン1に連結されている。そして電動オイルポンプ110はこのトルクコンバータ4の外周側でかつ油圧制御部7に接近して配置されている。この電動オイルポンプ110は、ギヤポンプやベーンポンプなどのポンプとモータとを一体化した構成のものであって、図10に示すように、コントローラ111を介してバッテリ112が接続されている。そのコントローラ111は、前述した各電子制御装置8,11,12とデータ通信可能に接続され、入力されたデータに応じて電動オイルポンプ110の駆動・停止を制御するように構成されている。なお、そのバッテリ112としては、車両に通常搭載されている12V(ボルト)バッテリを使用することができる。
【0079】
またその電動オイルポンプ110の吐出口と吸入口とが油圧制御部7に連通されている。すなわち電動オイルポンプ110は、油圧制御部7における油圧回路の一部に接続され、自動変速機3におけるオイルポンプ6に替えて、もしくはそのオイルポンプ6と併せて油圧を発生し、油圧制御部7に供給するように構成されている。図11はそのための切換弁120を示している。
【0080】
この切換弁120は3つランドを有するスプール121によってポートの連通・遮断状態を切り換えるバルブであり、そのスプール121の一方の端部(図11の右側の端部)にスプリング122が配置され、そのスプリング122に対抗する押圧力を生じさせるため、スプール121の他方の端部に制御ポート123が形成されている。
【0081】
この制御ポート123には、第1プライマリレギュレータバルブ124がオリフィス125を介して接続されている。この第1プライマリレギュレータバルブ124は、自動変速機3におけるオイルポンプ(以下、仮に機械式オイルポンプと記す)6で発生した油圧を、スロットル開度などに応じた油圧に調圧するバルブである。
【0082】
前記制御ポート123に隣接した位置に、常時、開状態に維持されるポート126が形成されており、このポート126に前記第1プライマリレギュレータバルブ124が直接連通されている。また、このポート126は、逆止弁127を介してライン圧油路128に連通されている。また、ポート126に対して前記制御ポート123とは反対側に隣接する位置に出力ポート129が形成されている。この出力ポート129は、逆止弁130を介してライン圧油路128に接続されている。
【0083】
出力ポート129に対して前記ポート126とは反対側に隣接する位置に入力ポート131が形成され、この入力ポート131に第2プライマリレギュレータバルブ132を介して電動オイルポンプ110が連通されている。すなわち電動オイルポンプ110によって発生した油圧を、第2プライマリレギュレータバルブ132によってアクセル開度などに応じた油圧に調圧して入力ポート131に供給するように構成されている。
【0084】
したがって、前記ポート126と入力ポート131とは、出力ポート129を挟んだ両側に位置するように形成され、スプール121の位置に応じて出力ポート129がポート126もしくは入力ポート131に連通するようになっている。具体的には、機械式オイルポンプ6が出力する油圧が低いことにより、前記制御ポート123に供給される油圧が低く、そのためにスプール121が図11の上半分に示すように図11の左側に移動している状態では、入力ポート131が出力ポート129に連通し、その結果、機械式オイルポンプ6で出力した油圧と電動オイルポンプ110で出力した油圧との両方がライン圧油路128に供給され、これに対して機械式オイルポンプ6の出力する油圧が高いために、スプール121が図11の下半分に示すように図11の右側に移動している状態では、ポート126がポート127と出力ポート129とに連通し、機械式オイルポンプ6の出力した油圧のみがライン圧油路128に供給されるようになっている。
【0085】
さらに、入力ポート131に隣接した位置にドレーンポート133が形成され、入力ポート131が出力ポート129に対して遮断された場合に、その入力ポート131がドレーンポート133に連通するようになっている。すなわち電動オイルポンプ110の出力した油圧をドレーンするように構成されている。この状態では電動オイルポンプ110に対する負荷が低下する。
【0086】
一方、前記ライン圧油路128には、アキュームレータ134がオリフィス135を介して接続され、さらに、セカンダリーレギュレータバルブ136が接続されている。そのアキュームレータ134は、機械式オイルポンプ6と電動オイルポンプ110とが出力している油圧をライン圧油路128に供給している状態から、機械式オイルポンプ6の出力する油圧のみをライン圧油路128に供給する状態に切換弁120が切り替わった場合のライン圧油路128での油圧の変動を防止するために設けられたものである。したがってその特性は、図12に示すように、切換弁120の切り換え点圧力が、アキュームレータ134の動作中の圧力となるように設定されている。
【0087】
なお、エンジン1や自動変速機3などのための電子制御装置および変速機構の構成、ならびに制御のための入出力データ(信号)は、前述した具体例とほぼ同様に構成すればよく、したがってその詳細な説明は、上述した具体例での説明を参照することとして、ここでは省略する。
【0088】
上記の電動オイルポンプ110は、基本的には、機械式オイルポンプ6による油圧を補完し、もしくは機械式オイルポンプ6に替わって油圧を出力するように制御される。また、機械式オイルポンプ6が油圧を出力していない場合であっても、車両の走行状態によっては停止制御されて油圧を出力しない。これは、不必要な駆動を可及的に防止して燃費を向上させるためである。その制御例を図13に示してある。
【0089】
図13において、先ず、入力信号の読み込みなど入力信号の処理をおこなう(ステップS11)。ついで、バッテリ112のSOC(充電状態)が所定の基準値A%以上か否か、および電動オイルポンプ(EO)110が正常か否かが判断される(ステップS12)。すなわち電動オイルポンプ110を正常に動作させることができるか否かが判断される。
【0090】
電動オイルポンプ110を正常に動作させることができることによりステップS12で肯定判断された場合には、エンジン1が自動停止しているか否かが判断される(ステップS13)。このエンジン1の自動停止制御は、車両が停止した際にエンジン1を再始動することのできる状態が整っているなどの条件が成立している場合に、運転者の操作によらずにエンジン1を停止する制御であり、排ガスの削減と燃費の向上とを目的として実施される。このエンジン1の自動停止制御が実行されると、機械式オイルポンプ6が駆動されなくなって油圧を発生しなくなる。
【0091】
このステップS13で肯定判断された場合、すなわち機械式オイルポンプ6が停止している場合には、車両の停止を推定する。具体的には、自動変速機3のシフトポジションとして非駆動ポジション、例えばニュートラル(N)ポジション(もしくはパーキング(P)ポジション)が選択されているか否かが判断される(ステップS14)。非駆動ポジションが選択されていることによりステップS14で肯定判断された場合には、ブレーキオンか否か、すなわち制動がおこなわれているか否かが判断される(ステップS15)。なお、車両の停止の推定のために、アクセル・オンか否かを併せて判断することとしてもよい。
【0092】
これらのステップS14,S15は、図1に示す制御例でのステップS2およびステップS4と同様の制御であり、これら2つの判断プロセスで肯定判断された場合には、車両が停止し、もしくは停止状態を継続することが推定されるので、その場合、自動変速機3で変速比を設定する必要がない。すなわち自動変速機3における全ての摩擦係合装置が解放しても支障がないので、機械式オイルポンプ6と併せて電動オイルポンプ110の駆動が中断される(ステップS16)。その結果、不必要な油圧を発生するために動力(電力)が消費されることがなくなるので、バッテリ112の放電を防止するとともに、バッテリ112の充電のために消費される燃料を削減して燃費を向上させることができる。また、電動オイルポンプ110の耐久性を向上させることができる。
【0093】
なお、この電動オイルポンプ110の駆動の中断は、主として不必要なエネルギの消費を防止するためであるから、電動オイルポンプ110を完全に停止させる替わりに、吐出量を低下させるように電流を低下させてもよい。
【0094】
一方、車両の走行が予想される場合、すなわち自動変速機3でNポジション以外のシフトポジションが選択されていることによりステップS14で否定判断された場合や、制動がおこなわれていないことによりステップS15で否定判断された場合には、ステップS17に進んで電動オイルポンプ110を駆動する。すなわち自動変速機3は走行に備えた状態に維持する必要があるので、電動オイルポンプ110を駆動して自動変速機3に油圧を供給し、入力のためのクラッチや所定の変速段を設定するための摩擦係合装置を係合させる。このように制御すれば、エンジン1が始動されると同時にクリープトルクが発生し、その状態から出力軸トルクが次第に増大し、スムースな発進および加速を行うことが可能になる。
【0095】
なお、ステップS12で否定判断された場合には、電動オイルポンプ110の駆動を中止する(ステップS18)。すなわち電動オイルポンプ110を正常な状態で制御することができないので、電動オイルポンプ110を止める。また、その後に再度使用すること(再駆動)を禁止する。さらに、エンジン1の自動停止を禁止する(ステップS19)。すなわち、バッテリ112のSOCが低くエンジン1の再始動が困難な状態なので、自動停止の条件が整ってもエンジン1を停止させないようにする。
【0096】
図13に示す制御例は、図9に示す駆動系統を備えた車両を対象とするものであるが、図9に示す駆動系統を備えた車両であれば、エンジン1の停止に伴って機械式オイルポンプ6が停止している場合に、電動機によってオイルポンプを駆動して油圧を発生させ、もしくは電動機によるオイルポンプの駆動を停止することができるのであるから、図9に示す駆動系統を備えた車両を対象として図1に示す制御を実行することができる。その場合であっても、図1の制御例は図3に示すパワートレーンを備えた車両を対象とする場合と変わるところはない。
【0097】
上記の図13に示す制御例では、非駆動ポジションが選択され、かつ制動操作がおこなわれていることにより、車両の停止を推定するように構成したが、車両の停止の推定、言い換えれば、発進しないことの推定は、他の手段でおこなってもよい。図14はその一例を示しており、前述したステップS14での非駆動ポジションが選択されていることの判断の替わりに、パーキング(P)ポジションが選択されているか否かを判断し(ステップS14−1)、また前記のステップS15におけるブレーキ・オンの判断の替わりに、車速がゼロか否か、すなわち停車しているか否かを判断する(ステップS15−1)。他の制御は、図13に示す制御例と変わらないので、その説明を省略する。
【0098】
すなわち図14に示す制御例では、Pポジションが選択され、かつ停車している場合には、発進することがないと判断され、電動オイルポンプ110の駆動を停止する。発進のための操作がおこなわれてから電動オイルポンプ110を駆動して自動変速機3に油圧を供給しても支障がないと考えられるからである。これは、上述した図13に示す制御例においても同様である。これに対してステップS14−1もしくはステップS15−1で否定判断された場合には、車両が発進する可能性が高いので、電動オイルポンプ110を駆動する。
【0099】
したがって図14に示すように制御しても、自動変速機3で変速比を設定する必要がない状態で電動オイルポンプ110の駆動を停止してエネルギの消費を防止するので、燃費を向上させ、また排ガスを削減でき、さらには電動オイルポンプ110の耐久性を向上させることができる。
【0100】
図15は、この発明で対象とするパワートレーンおよび制御系統の他の構成例を模式的に示すブロック図である。図15において、図3と同様の構成については同様の符号が付されている。具体的には機械式オイルポンプ6と電動オイルポンプ110とは、共に、自動変速機3に対する油圧源となっており、そのための油圧回路が図16に示すように構成されている。すなわち2つの入力ポート137,138と、1つの出力ポート139とを備えるチェックボール機構140が設けられている。そして、その一方の入力ポート137に機械式オイルポンプ6の吐出口が連通され、また他方の入力ポート138に電動オイルポンプ110の吐出口が連通されている。さらに油圧制御部7には、ライン圧をスロットル開度あるいはアクセル開度に応じた圧力に調圧するプライマリレギュレータバルブ141が設けられており、このプライマリーレギュレータバルブ141に前記チェックボール機構140の出力ポート139が連通されている。
【0101】
このチェックボール機構140は、各ポート137,138,139によって囲われている空間部分に、入力ポート137,138の内側に押し付けられることによりその入力ポート137,138を封止するボール147を移動自在に配置したバルブ機構である。したがって、ポンプ6,110のうちいずれか一方の吐出圧が高い場合に、吐出圧の低いポンプが接続されている入力ポートの内側にボール147が押し付けられる。その結果、吐出圧の高いポンプから出力ポート139を介してプライマリレギュレータバルブ141に油圧を供給するように構成されている。
【0102】
また図15においては、エンジン1のクランクシャフトには駆動装置142を介してモータ・ジェネレータ(MG)143が連結されている。駆動装置142は、複数のプーリ、およびこれらのプーリに掛け回されたベルトなどにより構成された減速装置(図示せず)を有する。このモータ・ジェネレータ143には、インバータ144を介してバッテリ145が電気的に接続されているとともに、インバータ144およびバッテリ145を制御する電子制御装置(MG−ECU)146が設けられている。
【0103】
この電子制御装置146は、電子制御装置8および総合制御装置104に対して、相互にデータ通信可能に接続されている。また、総合制御装置104における入出力信号は、図8の場合と同様である。なお、図15のシステムの場合は、図8の総合制御装置104の出力信号の一つであるコントローラ制御信号に、電子制御装置11に対する信号および電子制御装置146に対する信号が含まれる。上記モータ・ジェネレータ143は、エンジン1を始動する始動装置としての機能と、エアコン用コンプレッサなどの補機を駆動する機能と、エンジン1の動力により駆動されてバッテリ145に充電するための電気エネルギを発生する発電機としての機能とを有している。
【0104】
一方、図15のパワートレーンにおいては、車両の駆動力源としてのエンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が、図17に示すような、車速およびアクセル開度をパラメータとするマップに基づいて制御される。なお、図15のシステムにおいて、モータ・ジェネレータ2および自動変速機3の構成は、図4および図5と同様に構成されているとともに、自動変速機3の摩擦係合装置の係合・解放も図6と同様に設定される。さらには、図15の自動変速機3で設定可能なシフトポジションも図7と同様である。
【0105】
上記図15,16に示すシステムにおいて、車両の状態により電動オイルポンプ110の状態を制御する場合の具体例を、図18のフローチャートに基づいて説明する。先ず入力信号の読み込みなどの処理をおこない(ステップS21)、ついで、自車両が停車中である(つまり車速が零である)か否かが判断される(ステップS22)。ステップS22で否定的に判断された場合は、自車両が走行しており、エンジン1によりオイルポンプ6が作動しているので(ステップS23)、リターンされる。
【0106】
一方、ステップS22で肯定的に判断された場合は、フットブレーキがオンされているか否かが判断される(ステップS24)。ステップS24で否定的に判断された場合は、自車両の発進が予測されるためステップS23に進んで電動オイルポンプ110を駆動し、リターンされる。これに対して、ステップS24で肯定的に判断された場合は、自動変速機3のシフトポジションが非走行ポジジョン(NポジションまたはPポジション)であるか否かが判断される(ステップS25)。このように、ステップS22,24を経由し、かつ、ステップS25で肯定的に判断された場合は、自車両の停車が継続される可能性が大きいため、自車両の周囲の前方または後方における他車両の有無に関係なく、電動オイルポンプ110を停止し(ステップS26)、リターンされる。
【0107】
前記ステップ25で否定的に判断された場合は、選択されている走行ポジジョンがDポジションであるか否かが判断される(ステップS27)。ステップS27で肯定的に判断された場合は、自車両が前進走行する可能性があるため、自車両の前方に他車両があるか否かが判断される(ステップS28)。ステップS28で否定的に判断された場合は、エンジン1を自動停止するとともに、電動オイルポンプ110を駆動し(ステップS29)、リターンされる。
【0108】
ところで、ステップS28で肯定的に判断された場合は、自車両が即座に前進走行する可能性が少ないため、電動オイルポンプ110を停止し(ステップS30)、リターンされる。なお、上記のように、自車両の前方に他車両があるか否かに基づいて、電動オイルポンプ110の停止または駆動を選択する他に、自車両の前方に他車両がある場合は電動オイルポンプ110の回転数を所定の低回転数にキープさせる一方、自車両の前方に他車両がない場合は電動オイルポンプ110のを駆動を所定の高回転数以上にキープさせる制御をおこなうことも可能である。このように、電動オイルポンプ110の回転数を所定の低回転数(零ではないが、自車両走行時の設定回転数よりも低い値)にキープした場合は、電動オイルポンプ110の吐出油圧が、ステップ29の場合に比べて低圧になる、いわゆる低圧待機状態になる。
【0109】
前記ステップ27で否定的に判断された場合は、走行ポジションとしてRポジションが選択されているか否かが判断される(ステップS31)。ステップS31で肯定的に判断された場合は、自車両の後方に他車両があるか否かが判断される(ステップS32)。ステップS32で肯定的に判断された場合は自車両が即座に後退走行する可能性が少ないため、ステップS30に進む。
【0110】
これに対して、ステップS32で否定的に判断された場合は、自車両が即座に後退走行する可能性があるため、電動オイルポンプ110を駆動し(ステップS33)、リターンされる。また、前記ステップS31で否定的に判断された場合も、シフトポジションの判別がおこなわれていない可能性があるために、ステップS33に進む。
【0112】
このように、図18の制御例においては、自車両が停車し、かつ、フットブレーキがオンされ、かつ、走行ポジションが選択され、かつ、自車両の前方または後方に他車両がある場合は、自車両が即座に発進する可能性は少ない。このため、電動オイルポンプ110を停止させたとしても、自車両の走行には支障が生じることはなく、消費電力を低減もしくは節約することができる。また、電動オイルポンプ110を駆動するモータが、同期モータなどのように、スリップリングにブラシを備えたモータである場合は、上記制御例のようにモータの駆動頻度を減少させることにより、ブラシの摩耗が抑制されてその耐久性が向上する。
【0113】
なお、図17に示すマップに基づいてエンジン1を停止・始動させる、いわゆる駆動力源の切り換え制御システムの起動中に、エンジン1の始動後に一旦マニュアルシフトされてエンジンが自動停止し、再作動禁止ロジックが働いた場合には、図18の制御例のステップS28,32において、自車両の前方または後方の車両の有無を確認する必要はない。ここで、再作動禁止ロジックとは、車速およびアクセル開度の頻繁な変化により、エンジン1の始動と停止とが交互に頻繁に切り換えられる事態を禁止する目的で、一旦エンジン1を停止した後は、自車両が所定距離を走行しない限り、再びエンジン1を始動・停止させないロジックである。
【0114】
つぎに、自車両の停車中に、電動オイルポンプ110を駆動する場合のタイムチャートを図19に示す。すなわち停車中にエンジン1を停止する条件が成立してその停止制御が実行される場合、エンジン停止指令の出力が予想されるt1 時点より所定時間(TL秒)前のt0 時点に電動オイルポンプ110のオン制御を実行する。これは、エンジン1が停止して機械式オイルポンプ6による油圧が低下する場合に、電動オイルポンプ110の油圧のいわゆる立ち上がりの遅れを回避するためである。この図19において、実線で示す電動オイルポンプ110の制御状態は、ステップ29,33(つまり、自車両の前進または後退が予測される場合)に対応する内容であり、電動オイルポンプ110の回転数が所定の高回転数以上に制御されることを意味している。
【0115】
ついで、時刻t1でエンジン1の停止指令が出力されるとほぼ同時に、モータ・ジェネレータ2のトルクを増大させる制御を実行し、その過程のt2 時点にエンジン回転数がほぼゼロとなり、これとほぼ同時にロックアップクラッチ18を係合(オン)させる制御が開始される。そして、t3 時点にモータ・ジェネレータ2のトルクが所定のトルクに達し、その後にロックアップクラッチ18が完全に係合した状態になる。
【0116】
一方、発進や発電などのためにエンジン1を始動する場合には、そのエンジン1の始動指令の出力が予想されるt5 時点より前のt4 時点に、モータ・ジェネレータ2のトルクを低下させる制御が開始される。そしてエンジン回転数が所定の回転数に達したt6 時点に電動オイルポンプ110の停止制御が実行される。これに対して、自車両の前方または後方に他車両があり、自車両の前進または後退の可能性が少ない場合は、前記ステップ30のような内容で電動オイルポンプ110が制御される。すなわち、図19に一点鎖線で示すように電動オイルポンプ110を停止させる制御、または電動オイルポンプ110の回転数を所定の低回転数にキープすることにより、図19に二点鎖線で示すように電動オイルポンプ110を低圧待機状態にする制御のいずれかを選択することが可能である。
【0117】
なお、図18の制御例においては、Dポジションが選択されている状態で、自車両の後方に他車両のあることが検出された場合、またはRポジションが選択されている状態で、自車両の前方に他車両のあることが検出された場合であっても、いずれも自車両を即座に走行させることが可能であるために、電動オイルポンプ110は停止しない。
【0118】
さらにまた、図15に示すシステムにおいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止を制御する場合に、図20に示すようなマップを用いることも可能である。すなわち、図20のマップはアクセル開度および車速をパラメータとして、エンジン1の駆動領域とモータ・ジェネレータ2の駆動領域とが設定されているとともに、モータ・ジェネレータ2の駆動領域においては自動変速機3の第1速〜第3速が設定され、エンジン1の駆動領域においては自動変速機3の第1速〜第5速が設定される。なお、図17に示すマップまたは図20に示すマップを、前述した図3,4,5,6,7,8のシステムにおいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止を制御する場合に適用することも可能である。
【0119】
図21のフローチャートは、図3,9,15のシステムに適用することが可能である。この図21の制御例は単独でおこなうことが可能であるほか、図21の制御例と、図1,13,14,18のうちのいずれかの制御例とを組み合わせて使用することも可能である。図21においては、まず、入力信号の処理がおこなわれ(ステップS41)、ついで、車速が零であり、かつ、フットブレーキがオンされているか否かが判断される(ステップS42)。すなわち、ステップS42においては、停車中に運転者の制動意志の有無が判断される。
【0120】
ステップS42で肯定的に判断された場合は、シフトポジションセンサがフェールしているか否かが判断される(ステップS43)。例えば、2つのシフトポジションに対応する2つの接点が同時にオンしている状態、または全てのシフトポジションに対応する接点が同時にオンしている状態の少なくとも一方が検出された場合は、ステップS43で肯定的に判断される。ついで、エンジン1が駆動されているか否かが判断される(ステップS44)。
【0121】
ステップS44で否定的に判断された場合は、電動オイルポンプ110を駆動し(ステップS45)、リターンされする。すなわち、NポジションまたはPポジションが選択されていれば、停車中であるために本来は電動オイルポンプ110を駆動する必要はないが、Dポジションが選択されている可能性もあるため、車両の発進に備えて電動オイルポンプ110を駆動している。なお、ステップS42で否定的に判断された場合もステップS45に進む。
【0122】
これに対して、ステップS44で否定的に判断された場合について説明する。通常は、図17または図20に示すマップに基づいて、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が制御されるが、モータ・ジェネレータ2に電力を供給するバッテリ10のSOCが所定値以下であるために、このバッテリ10に充電することを目的としてエンジン1が駆動されている場合や、モータ・ジェネレータ2のフェールによりエンジン1が駆動されている場合は、エンジン1の動力により機械式オイルポンプ6が駆動されている。したがって、電動オイルポンプ110を駆動する必要はなく、この電動オイルポンプ110を停止し(ステップS46)、リターンされる。
【0123】
一方、前記ステップ43で否定的に判断された場合は、NポジションまたはPポジションが選択されているか否かが判断される(ステップS47)。ステップS47で肯定的に判断された場合は、電動オイルポンプ110を停止、または低圧待機状態に制御し(ステップS48)、リターンされる。このステップS48の具体的な制御内容は、図18のステップS30の制御内容と同様である。
【0124】
これに対して、ステップS47で否定的に判断された場合は、車両の発進に備えて電動オイルポンプ110を駆動させ(ステップS49)、リターンされる。すなわち、走行ポジションが選択されているために車両の発進性を優先して、第1クラッチC1 を係合するための油圧を確保する。
【0125】
このように、図21の制御例においても、車両が停止し、かつ、車両の制動が検出され、かつ、非走行ポジジョンが選択されている場合は、車両の発進に支障がない範囲で電動オイルポンプ110の駆動が低下される。したがって、消費電力を低減することができる。
【0126】
一方、ステップS42で肯定的に判断された場合でも、その後に走行ポジジョンが選択されると、解放されていた第1クラッチC1 が係合されて車両が発進する可能性がある。ここで、シフトポジションセンサがフェールしており、非走行ポジジョンから走行ポジジョンに切り換えられたことを検出することができない場合(言い換えれば車両が走行するか否かを判断することができない場合)は、第1クラッチC1 が係合油圧の立ち上げが遅れ、車両の発進性が低下するとともに、第1クラッチC1 のスリップが促進されてその耐久性が低下する可能性がある。
【0127】
これに対して、図21の制御例においては、シフトポジションセンサのフェールが検出され、かつ、エンジン1の停止が検出された場合は、電動オイルポンプ110が駆動されるために、第1クラッチC1 の係合油圧が迅速に立ち上げられ、車両の発進性および第1クラッチC1 の耐久性を向上することができる。言い換えれば、電動オイルポンプ110を駆動するために必要な消費電力の低減と、シフトポジションセンサのフェールセイフ機能とを両立させることができる。
【0128】
図22の制御例は図3,9,15のシステムに適用することが可能である。この図22の制御例は単独でおこなうことができるほか、図22の制御例と、図1,13,14,18のうちのいずれかの制御例とを組み合わせて使用することもできる。なお、図22のステップS51の内容は、図21のステップS41の内容と同様であり、ステップS52の内容はステップS42の内容と同様であり、ステップS53の内容はステップS43の内容と同様であり、ステップS54の内容はステップS44の内容と同様であり、ステップS55の内容はステップS45の内容と同様であり、ステップS56の内容はステップS46の内容と同様であるため説明を省略する。
【0129】
ところで、図22のステップS53で否定的に判断された場合は、Nポジションが選択されているか否かが判断され(ステップS57)、ステップS57で肯定的に判断された場合は、車両の停止要求が発生(Nポジションが選択され、かつ、車両が停止し、かつ、ブレーキがONされ、かつ、アクセルがOFFされた状態)してから電動オイルポンプ110の駆動低下制御を開始するまでの所定時間TNSを、Nポジションが選択されるまでのシフト履歴に基づいて設定する(ステップS58)。
【0130】
このシフト履歴には、Nポジションに切り換えられる前の走行ポジションの種類や、Nポジションに切り換えられる前の走行ポジションの継続時間などが含まれている。例えば、DポジションからNポジションに切り換えられた場合と、RポジションからNポジションに切り換えられた場合とが、異なるシフト履歴として区別される。そして、例えば、DポジションからNポジションに切り換えられた場合の所定時間TNSを5秒に設定し、RポジションからNポジションに切り換えられた場合の所定時間TNSを10秒に設定することができる。
【0131】
また、RポジションからNポジションに切り換えられた場合であっても、Rポジションの継続時間により、異なるシフト履歴として区別することができる。そして、例えば、Rポジションの継続時間が1秒以下である場合の所定時間TNSを5秒に設定し、Rポジションの継続時間が1秒〜10秒である場合の所定時間TNSを10秒に設定し、Rポジションの継続時間が10秒以上である場合の所定時間TNSを5秒に設定することができる。
【0132】
つまり、Rポジションと所定の走行ポジションとの相互の切り換えが頻繁におこなわれる、いわゆるガレージシフト時には、たとえRポジションからNポジションに変更されたとしても、すぐに走行ポジションに切り換えられて車両が発進する可能性がある。そこで、このような状況では電動オイルポンプ110の駆動状態の頻繁な変更を避けることを目的として、所定時間TNSを可及的に長く設定し、電動オイルポンプ110の油圧を低下しにくくしているのである。
【0133】
上記のようにして所定時間TNSを設定した後、この所定時間TNSの経過後に電動オイルポンプ110の駆動を低下させる制御をおこない(ステップS59)、リターンされる。このステップS59の内容は、図18のステップS30と同様であるため説明を省略する。
【0134】
前記ステップS57で否定的に判断された場合は、Pポジションが選択されているか否かが判断され(ステップS60)、ステップS60で否定的に判断された場合は、車両の発進に備えて電動オイルポンプ110を駆動させ(ステップS61)、リターンされる。すなわち、走行ポジションが選択されているために車両の発進性を優先して第1クラッチC1 を係合するための油圧を確保する。
【0135】
また、ステップS60で肯定的に判断された場合は、運転者が明らかに停車継続を意図しているものと判定し、シフト履歴に関係なく、すなわち、前述の所定時間TNSを設定することなく、電動オイルポンプ110の駆動を停止、または低圧待機させる制御をおこない(ステップS62)、リターンする。
【0136】
ここで、図22に示された機能的手段とこの発明との対応関係を説明する。ステップ57が、この発明の停止要求判断手段に相当し、ステップS58,S59が、この発明の遅延手段に相当する。
【0137】
つぎに、図22の制御例に対応するタイムチャートの一例を図23に示す。すなわち、図20に示すマップに基づいてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止が制御されている際に、エンジン運転指令がOFFされるとエンジン回転数が徐々に低下するとともに、停止していた電動オイルポンプ110が時刻t1で駆動を開始し、その吐出油圧が所定値まで上昇する。その後、エンジン1回転数が零になるとともに、時刻T1から時間TLが経過した時刻t2において、車速Vが零になる。
【0138】
また、時刻t3において、DポジションからNポジションに切り換えられると、モータ・ジェネレータ2のトルクが低下し始め、その後、このトルクが零になる。ついで、時刻t3から所定時間TNSが経過した時刻t4において、電動オイルポンプ110の駆動が低下される。電動オイルポンプ110の駆動の低下態様としては、一点鎖線で示すように停止する制御、または、二点鎖線で示すように低圧待機制御のいずれかが選択される。
【0139】
その後、時刻t5において、アクセルがONされて車両の停止要求が解除されると、時刻t6においてエンジン運転指令がONされるとともに、エンジン回転数が上昇を開始する。さらに、時刻t7において、エンジン回転数が所定の値に到達すると、時刻t4以降に電動オイルポンプ110が低圧待機、または停止のいずれの制御がおこなわれていたとしても、電動オイルポンプ110が停止状態に制御される。
【0140】
このように、図22,23の制御例においても、車両の制動がおこなわれ、かつ、非走行ポジションが選択された場合(つまり、停止要求が発生した場合)には電動オイルポンプ110の駆動が低下されるため、電動オイルポンプ110を駆動させるための消費電力を低下することができる。
【0141】
また、非走行ポジションが選択され、かつ、車両の制動がおこなわれてから所定時間TNSが経過した後に、電動オイルポンプ110の駆動が低下される。つまり、所定時間TNSが経過するまでの間に、非走行ポジションから走行ポジションへの切り換えや、制動の解除がおこなわれて車両がすぐに発進する可能性がある場合には、電動オイルポンプ110の駆動が低下されない。したがって、第1のクラッチC1 を係合させる油圧の立ち上がり遅れが回避され、車両の発進応答性が向上する。また、第1クラッチC1 のスリップが抑制され、その耐久性を向上させることができる。
【0142】
さらに、シフト履歴、具体的には、Nポジションが選択される前の走行ポジションの種類、またはNポジションが選択される前の走行ポジションの継続時間から、すぐに車両が発進する可能性があるか否かが判断され、その判断結果に基づいて電動オイルポンプ110の駆動を低下するまでの所定時間TNSが変更される。したがって、運転者の車両操作意図と、電動オイルポンプ110の駆動状態、具体的には、第1のクラッチC1 に供給される油圧とを適合させることができる。
【0143】
以上、この発明を具体例を参照して説明したが、この発明は上述した具体例に限定されないのであって、変速比を不連続(段階的)に変更することの可能な有段変速機以外に、変速比を連続的(無段階)に変更することの可能な無段変速機を搭載した車両を対象として実施することができる。また、この発明は、エンジンの出力を変速機構に伝達するための入力クラッチ(つまり、駆動装置)の油圧を、電動オイルポンプにより立ち上げるように構成された車両に対しても適用可能である。
【0144】
ここで、上記の具体例に基づいて開示されたこの発明の特徴的な構成を列挙すれば以下のとおりである。すなわち、第一の手段は、駆動力の伝達をおこなうことのできる走行ポジションと駆動力を伝達しない非走行ポジションとを選択可能で、駆動力を伝達する係合装置もしくは変速比を設定する係合装置を有する駆動装置に、前記係合装置を係合するための油圧を、電動機によって駆動されるオイルポンプから供給する伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置において、自車両が停車していることを検出する停車検出手段と、前記走行ポジションが選択されていることを検出する走行ポジション検出手段と、前記自車両の走行予定方向に他車両があることを検出する他車両検出手段と、前記自車両が停車していることが前記停車検出手段により検出され、かつ、前記走行ポジションが選択されていることが前記走行ポジション検出手段で検出され、かつ、前記自車両の走行予定方向に他車両があることが前記他車両検出手段により検出された場合は、前記電動機によるオイルポンプの駆動を低下させるオイルポンプ駆動低下手段とを有することを特徴とする伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置。この第一の手段において、走行ポジションが自車両を後退させるためのポジジョンである場合は、自車両の前方に他車両があることが検出された場合でも、オイルポンプの駆動を低下させないオイルポンプ駆動低下禁止手段を備えることも可能である。
【0145】
また、第二の手段は、駆動力の伝達をおこなうことのできる走行ポジションと駆動力を伝達しない非走行ポジションとを選択可能で、駆動力を伝達する係合装置もしくは変速比を設定する係合装置を有する駆動装置に、前記係合装置を係合するための油圧を、電動機によって駆動されるオイルポンプから供給する伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置において、前記駆動装置のポジションに基づいて前記電動機の駆動・停止を制御する第一の電動機制御手段と、前記駆動装置のシフトポジションを判断することができない場合は前記電動機を駆動制御する第二の電動機制御手段とを有することを特徴とする伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置。前記第二の手段において、車両の駆動力源としてのエンジンと、このエンジンの動力により駆動される機械式オイルポンプとが設けられており、前記シフトポジションを判断することができない場合でも、前記エンジンが駆動している場合は前記電動機を停止させる第三の電動機制御手段を有することを特徴とする伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置。
【0146】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、車両の停止要求が発生したか否かが判断され、非走行ポジションが選択された場合に、車両の停止要求が発生したと判断される。また、車両の停止要求がある場合でも、すぐに車両が発進する可能性がある場合には、電動機により駆動されるオイルポンプの駆動が低下されない。そして、車両の停止要求が継続的な車両の停止を意図したものであると判断できる所定時間が経過した後に、電動機により駆動されるオイルポンプの駆動が低下される。つまり、運転者の車両操作意図と、係合装置に供給される油圧とを適合させることができる。したがって、車両の発進時に係合装置を係合させるための油圧の立ち上がり遅れが回避され、係合装置の応答性が向上し、かつ、係合装置の耐久性を向上させることができる。
【0147】
より具体的には、車両の停止要求が発生したと判断された場合は、非走行ポジションが選択されるまでのシフト履歴に基づいて、停車中の車両がすぐに発進するか否かを判断することができ、その判断結果に基づいて電動機により駆動されるオイルポンプの駆動を低下するまでの所定時間が変更される。したがって、運転者の車両操作意図と係合装置に供給される油圧とを適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置で実行される制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 図1に示す制御でモータ・ジェネレータによるオイルポンプの駆動を停止する場合のタイムチャートである。
【図3】 この発明で対象とするパワートレーンおよび制御系統の一例を模式的に示すブロック図である。
【図4】 図3に示すモータ・ジェネレータの周辺の具体的な構成の例を示す部分断面図である。
【図5】 図3に示す自動変速機のギヤトレーンの一例を示すスケルトン図である。
【図6】 図3の自動変速機の各変速段を設定するためのクラッチおよびブレーキの係合・解放を示す図表である。
【図7】 図3の自動変速機におけるシフトポジションの一例を示す配置図である。
【図8】 この発明の一例における総合制御装置における入出力信号を示す図である。
【図9】 この発明で対象とする駆動系統の他の例を示すブロック図である。
【図10】 図9に示す電動オイルポンプの制御系統を説明するためのブロック図である。
【図11】 油圧の供給源と機械式オイルポンプと電動オイルポンプとに切り換える切換弁の一例を示す模式図である。
【図12】 図11に示すアキュームレータの特性を示す線図である。
【図13】 この発明の他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図14】 この発明の更に他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図15】 この発明で対象とするパワートレーンおよび制御系統の他の構成例を模式的に示すブロック図である。
【図16】 図15のシステムにおいて、機械式オイルポンプと電動オイルポンプとを切り換えてプライマリレギュレータバルブに接続するための機構の一例を示す模式図である。
【図17】 この発明で対象とするパワートレーンにおいて、エンジンの駆動領域と、モータ・ジェネレータの駆動領域とを設定した制御マップの一例である。
【図18】 この発明の制御装置で実行される更に他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図19】 図18の制御例において、自車両の停車中に他車両の有無に基づいて電動オイルポンプを制御する場合のタイムチャートである。
【図20】 この発明で対象とするパワートレーンにおいて、エンジンの駆動領域と、モータ・ジェネレータの駆動領域とを設定した制御マップの他の例である。
【図21】 この発明の制御装置で実行される更に他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図22】 この発明の制御装置で実行される更に他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図23】 図22の制御例に対応するタイムチャートである。
【符号の説明】
1…エンジン、 2…モータ・ジェネレータ、 3…自動変速機、 4…トルクコンバータ、 5…変速機構、 6…オイルポンプ、 11…モータ・ジェネレータ用電子制御装置、 62…ロックアップクラッチ、 110…電動オイルポンプ、 C1 …第1クラッチ。
Claims (1)
- 駆動力の伝達をおこなうことのできる走行ポジションと駆動力を伝達しない非走行ポジションとを選択可能で、駆動力を伝達する係合装置もしくは変速比を設定する係合装置を有する駆動装置と、前記係合装置を係合するための油圧を供給し、かつ、電動機により駆動されるオイルポンプとを備え、車両の停止要求がある場合に、前記電動機によるオイルポンプの駆動を低下させることのできる伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置において、
前記車両の停止要求が発生したか否かを判断する停止要求判断手段と、
前記車両の停止要求が発生した場合は、その車両の停止要求が継続的な車両の停止を意図したものであると判断できる所定時間が経過した後に、前記電動機によるオイルポンプの駆動を低下させる遅延手段とを備え、
前記停止要求判断手段は、非走行ポジションが選択された場合に前記車両の停止要求が発生したと判断する手段を含み、
前記遅延手段は、前記非走行ポジションが選択されるまでのシフト履歴に基づいて前記所定時間を設定する手段を含むことを特徴とする伝動装置用電動オイルポンプを備えた車両の制御装置。
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