JP5104406B2 - ハイブリッド車両のエンジン始動制御装置 - Google Patents
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Description
これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間を第1クラッチにより結合可能とし、
モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間を第2クラッチにより断接可能とし、
第2クラッチとして、モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間に介在させた自動変速機内における変速摩擦要素を用いるようにしたものである。
第1クラッチおよび第2クラッチを共に締結するとき、エンジンからの動力のみを用いて、或いはエンジン動力とモータ/ジェネレータからの動力とを併用して、つまりエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行を行うことができる(HEVモード)。
従って、小低負荷・低車速のもと電気走行(EV)モードでの走行中にアクセルペダルの踏み込みや、車速の上昇で大負荷・高車速運転状態になると、ハイブリッド走行(HEV)モードへのモード切り替えのため、エンジンを始動させる必要が生ずる。
かかるエンジン始動ショックを軽減する技術として特許文献1,2には、エンジン始動時に第2クラッチの伝達トルク容量を低下させ、エンジン始動ショックとなる上記のトルク変動が発生するとき、第2クラッチのスリップにより当該トルク変動を吸収して駆動車輪に向かうことのないようにし、これによりエンジン始動ショックを軽減する技術が提案されている。
エンジン始動時に発生した自動変速機の入力トルク変動による第2クラッチのスリップが生起し難く、当該トルク変動の大部分が変速機出力トルクとして駆動車輪に向かうことになるため、狙い通りにエンジン始動ショックを軽減することができない。
先ず前提となるハイブリッド車両を説明するに、これは、
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータをタンデムに具え、
これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間の結合を第1クラッチの締結により可能とし、
モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間に介在する遊星歯車機構の回転要素間の結合または前記回転要素の固定を第2クラッチの締結により可能とし、
第1クラッチを解放すると共に第2クラッチを締結してモータ/ジェネレータのみによる電気走行を行っている状態でのエンジン始動に際し、第2クラッチの伝達トルク容量を低下すると共に第1クラッチを締結し、モータ/ジェネレータの駆動トルクによりエンジンをクランキングすることでエンジン始動を行うようにしたものである。
上記のエンジン始動によりエンジン回転数がモータ/ジェネレータの回転数に対し所定範囲まで接近すると判定した時より、第1クラッチの伝達トルク容量を低下させる第1クラッチ伝達トルク容量低下手段と、
エンジン始動の際の、第2クラッチの伝達トルク容量低下による、駆動車輪に伝達される駆動車輪伝達トルクへの影響が大きいか小さいかを判定する第2クラッチ伝達トルク容量低下状態判定手段と、
該手段により、前記第2クラッチの伝達トルク容量低下による前記駆動車輪伝達トルクへの影響が小さいと判定されるとき、前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段を作動させ、前記第2クラッチの伝達トルク容量低下による前記駆動車輪伝達トルクへの影響が大きいと判定されるとき、前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段を非作動にする第1クラッチ伝達トルク容量低下可否判定手段とを設けたことを特徴とするものである。
エンジン始動時にエンジン回転数がモータ/ジェネレータ回転数に対し所定範囲まで接近すると判定した時から第1クラッチの伝達トルク容量を低下させるため、
エンジン始動ショック軽減用に行う第2クラッチのスリップ制御時における伝達トルク容量が、エンジン始動ショックを軽減可能な程度まで小さくならない運転状態においても、
上記のごとく伝達トルク容量を低下された第1クラッチがスリップによりエンジン始動時トルク変動を吸収してエンジン始動ショックを軽減することができる。
後者のように、第2クラッチの伝達トルク容量低下制御で第2クラッチがエンジン始動ショックを軽減可能な容量低下状態になっているのに、エンジン始動ショック軽減用に第1クラッチの伝達トルク容量低下制御が行われてしまう事態を回避することができる。
図1は、本発明の一実施例になるエンジン始動制御装置を内蔵するハイブリッド駆動装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両のパワートレーンを、その制御系とともに示し、1はエンジン、2は自動変速機、3はモータ/ジェネレータである。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様にエンジン1の車両前後方向後方に自動変速機2をタンデムに配置し、エンジン1(詳しくはクランクシャフト1a)からの回転を自動変速機2の入力軸4へ伝達する軸5に結合してモータ/ジェネレータ3を設ける。
モータ/ジェネレータ3は、ロータ3bの中心に上記の軸5を貫通して結着し、この軸5をモータ/ジェネレータ軸として利用する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
自動変速機2は、その変速機構部分が周知の遊星歯車式自動変速機と同様なものであるが、これからトルクコンバータを排除して、その代わりにモータ/ジェネレータ3を変速機入力軸4に直接結合したものとする。
自動変速機2は、入力軸4に同軸突き合わせ関係に配置した出力軸7を具え、これら入出力軸4,7上にエンジン1(モータ/ジェネレータ3)の側から順次フロントプラネタリギヤ組Gf、センタープラネタリギヤ組Gm、およびリヤプラネタリギヤ組Grを載置して具え、これらを自動変速機2における遊星歯車変速機構の主たる構成要素とする。
次にエンジン1(モータ/ジェネレータ3)に近いセンタープラネタリギヤ組Gmは、センターサンギヤSm 、センターリングギヤRm 、これらに噛合するセンターピニオンPm 、および該センターピニオンを回転自在に支持するセンターキャリアCm よりなる単純遊星歯車組とし、
エンジン1(モータ/ジェネレータ3)から最も遠いリヤプラネタリギヤ組Grは、リヤサンギヤSr 、リヤリングギヤRr 、これらに噛合するリヤピニオンPr 、および該リヤピニオンを回転自在に支持するリヤキャリアCr よりなる単純遊星歯車組とする。
フロントサンギヤSfは、フロントブレーキFr/Bにより変速機ケース2aに適宜固定可能にする。
フロントキャリアCfおよびリヤリングギヤRrを相互に結合し、センターリングギヤRmおよびリヤキャリアCrを相互に結合する。
センターキャリアCmは出力軸7に結合し、センターサンギヤSmおよびリヤサンギヤSr間は、ハイ・アンド・ローリバースクラッチH&LR/Cにより相互に結合可能とする。
センターサンギヤSmは更に、フォワードブレーキFWD/Bにより変速機ケース2aに適宜固定可能にする。
本実施例においては、自動変速機2内に既存する前記した6個の変速摩擦要素Fr/B,I/C,H&LR/C,D/C,R/B,FWD/Bのうち、後述のごとくに選択した変速摩擦要素を第2クラッチとして流用する。
図1のパワートレーンにおいては、停車状態からの発進時などを含む低負荷・低車速時に用いられる電気走行(EV)モードが要求される場合、第1クラッチ6を解放し、自動変速機2を所定変速段が選択された動力伝達状態にする。
変速機出力軸4からの回転はその後、図示せざるディファレンシャルギヤ装置を経て左右駆動輪に至り、車両をモータ/ジェネレータ3のみによって電気走行(EV走行)させることができる。(EVモード)
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ3からの出力回転の双方が変速機入力軸4に達することとなり、自動変速機2が当該入力軸4への回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸7より出力する。
変速機出力軸7からの回転はその後、図示せざるディファレンシャルギヤ装置を経て左右駆動輪に至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ3の双方によってハイブリッド走行させることができる。(HEVモード)
第2クラッチは、エンジン始動に際して始動ショック軽減用に伝達トルク容量を低下制御(スリップ制御)する必要があり、また、エンジン始動要求がエンジン負荷増大時のEVモード→HEVモード切り替えに伴って発生するため、エンジン負荷の増大に呼応した自動変速機のダウンシフトを生ずることがあり、
従って、当該ダウンシフトの有無、および、エンジン負荷を代表する運転者のアクセル操作との関連において、変速摩擦要素Fr/B,I/C,H&LR/C,D/C,R/B,FWD/Bのうちの何れを第2クラッチとして流用するかを決定する。
かかる解放側変速摩擦要素(第2クラッチ)を伝達トルク容量低下制御によりスリップさせて、エンジン始動ショックの軽減作用に供する。
かかる変速摩擦要素(第2クラッチ)を伝達トルク容量低下制御によりスリップさせて、エンジン始動ショックの軽減作用に供する。
かかる入力トルク変動遮断率の最も高い変速摩擦要素(第2クラッチ)を伝達トルク容量低下制御によりスリップさせて、エンジン始動ショックの軽減作用に供する。
他の変速段についても個々に、同様の要領で対応する各変速摩擦要素のクラッチトルク変化による変速機出力トルクへの寄与度と、変速機入力トルク変化による変速機出力トルクへの寄与度との比率を予め求めておく。
従って、変速摩擦要素A,B,Cの締結により選択される変速段を自動変速機2が保ってダウンシフトを伴うことのないEV→HEVモード切り替え時(エンジン始動時)は、入力トルク変動遮断率(入力トルク変動遮断効果)の最も高い変速摩擦要素Bを第2クラッチとして流用し、
かかる入力トルク変動遮断率の最も高い変速摩擦要素(第2クラッチ)Bを伝達トルク容量低下制御によりスリップさせて、エンジン始動ショックの軽減作用に供する。
この制御システムは、パワートレーンの動作点を統合制御する統合コントローラ11を具え、該パワートレーンの動作点を、目標エンジントルクtTeと、目標モータ/ジェネレータトルクtTmと、第1クラッチ6の目標伝達トルク容量tTc1と、第2クラッチCL2の目標伝達トルク容量tTc2とで規定する。
エンジン1の回転数Neを検出するエンジン回転センサ12からの信号と、
モータ/ジェネレータ3の回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ13からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ14からの信号と、
変速機出力回転数No(車速)を検出する出力回転センサ15からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ16からの信号と、
モータ/ジェネレータ3用の電力を蓄電しておくバッテリ(図示せず)の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出する蓄電状態センサ17からの信号とを入力する。
なお目標モータ/ジェネレータトルクtTmが、モータ/ジェネレータ3に回生ブレーキ作用を要求するようなものである場合、モータ/ジェネレータコントローラ22はインバータを介し、センサ17で検出したバッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)との関連においてバッテリが過充電とならないような発電負荷をモータ/ジェネレータ3に与え、
モータ/ジェネレータ3が回生ブレーキ作用により発電した電力を交流−直流変換してバッテリに充電する。
本実施例においては、第1クラッチ6を解放した電気走行(EV)モードでの走行中にアクセルペダルの踏み込みや、車速の上昇で大負荷・高車速運転状態になったり、バッテリ蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)が低下して、ハイブリッド走行(HEV)モードへのモード切り替えが要求された時のエンジン始動を、図1の制御システムが図4,5に示す制御プログラムに沿って以下のように行うものとする
これら図4に示す第1クラッチ6の伝達トルク容量制御および図5に示す第2クラッチCL2の伝達トルク容量制御は、例えば図6に示すごとくにアクセル開度APOを増大したことで、EV→HEVモード切り替え要求(エンジン始動要求)が発生した瞬時t1に同時並行的に開始されるものとする。
このとき図示しなかったが、モータ/ジェネレータトルクもクランキングトルク対応値となるよう増大させ、このモータ/ジェネレータトルクは後述の第2クラッチスリップ判定瞬時t2以降、モータ/ジェネレータ回転数Nmがエンジン始動用の目標値tNmとなるようフィードバック制御する。
かくて、エンジン1は第1クラッチ6を介してモータ/ジェネレータ3によりクランキングされ、エンジン回転数Neが図6に示すごとくに上昇する。
次のステップS26においては、エンジン回転数Neが自立運転によりモータ/ジェネレータ回転数Nm以上になったか否かをチェックし、Ne≧Nmになるまで制御をステップS25に戻して第2クラッチCL2の上記伝達トルク容量低下制御(スリップ制御)を継続する。
この場合における第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下制御も、車両の要求駆動力が駆動車輪へ向かうことを優先させ、その範囲内で行うことを旨とする。
この場合も、第2クラッチCL2の上記伝達トルク容量低下制御(スリップ制御)は、ステップS26でエンジン回転数Neが自立運転によりモータ/ジェネレータ回転数Nm以上になった(Ne≧Nmになった)と判定するまで継続する。
なお、エンジン回転数Neがモータ/ジェネレータ回転数Nmに対し所定範囲まで接近するか否かの判定は、ステップS12のようなエンジン1の完爆判定により行う代わりに、
エンジン1の燃料噴射の開始判定により当該判定を行なったり、エンジン回転数Neの設定回転数(例えば500rpm)への上昇判定により当該判定を行ってもよい。
図6に示すように、第2クラッチCL2のスリップ判定瞬時t2が完爆判定瞬時t3よりも先である場合、ステップS13は、完爆判定瞬時t3に第2クラッチCL2が既にスリップしているから、制御をステップS14に進める。
従ってステップS14は、本発明における第2クラッチ伝達トルク容量低下状態判定手段に相当する。
図3につき前述した、第2クラッチCL2のクラッチトルク変化による変速機出力トルクへの影響度が小さく、第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下では狙い通りにエンジン始動ショックを軽減し得ない場合や、
車両の要求駆動力が実現されることを優先して第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下を行うために第2クラッチCL2の伝達トルク容量が十分低下されず、第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下では狙い通りにエンジン始動ショックを軽減し得ない場合に生ずる。
第2クラッチCL2の上記スリップ分の入力トルク変動吸収効果のみによりエンジン始動ショックを狙い通りに軽減し得て、第1クラッチ6のスリップによるエンジン始動ショック軽減作用が不要であるから、制御をステップS15に進め、第1クラッチ6の目標伝達トルク容量tTc1を図6にε1で示すように上昇させ、この制御を、ステップS16において第1クラッチ6が完全締結したと判定する図6の瞬時t5まで継続させることにより、第1クラッチ6を完全締結させる。
第1クラッチ6のスリップによるエンジン始動ショック軽減作用が必要であるから、制御をステップS17に進め、第1クラッチ6の目標伝達トルク容量tTc1を図6にε2で示すように低下させて第1クラッチ6のスリップによりエンジン始動ショックを狙い通りに軽減する。
従ってステップS17は、本発明における第1クラッチ目標伝達トルク容量低下手段に相当し、また、ステップS14は、前記した通り本発明における第2クラッチ伝達トルク容量低下状態判定手段に相当するだけでなく、本発明における第1クラッチ伝達トルク容量低下可否判定手段をも構成する。
この場合も制御をステップS17に進め、第1クラッチ6の目標伝達トルク容量tTc1を図6にε2で示すように低下させて第1クラッチ6のスリップによりエンジン始動ショックを軽減する。
そうでなければ、つまり、現在の変速段を選択する変速摩擦要素のうち入力トルク変動遮断効果が最大の変速摩擦要素を第2クラッチCL2としていれば(ステップS23)、ステップS28において、当該第2クラッチCL2の目標伝達トルク容量tTc2を図6にα2で示すように上昇させる。
この目標伝達トルク容量tTc2の上昇α2を、ステップS29で第2クラッチCL2が締結を終了したと判定するまで継続的に実行させ、この第2クラッチCL2を完全締結させる。
ダウンシフト要求が消失して発生していなければ、この変速を遂行させる必要がないから、制御をステップS28およびステップS29に進め、第2クラッチCL2(ダウンシフト時解放側変速摩擦要素)の目標伝達トルク容量tTc2を図6にγ2で示すごとくに増大させ、これにより第2クラッチCL2(ダウンシフト時解放側変速摩擦要素)を完全締結させる。
この目標伝達トルク容量tTc2の低下γ3を、ステップS32で上記のダウンシフトが終了したと判定するまで継続的に実行させ、これにより第2クラッチCL2(ダウンシフト時解放側変速摩擦要素)を完全解放させる。
エンジン始動(クランキング)中に、エンジンの完爆判定や(ステップS12)、エンジンの燃料噴射の開始判定や、エンジン回転数の上昇判定により、エンジン回転数Neがモータ/ジェネレータ回転数Nmに対し所定範囲まで接近すると判定した時t3から、第1クラッチ6の伝達トルク容量tTc1を図6にε2のように低下させるため(ステップS17)、
第2クラッチCL2のクラッチトルク変化による変速機出力トルクへの影響度が小さく、第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下では狙い通りにエンジン始動ショックを軽減し得ない場合や、
車両の要求駆動力が実現されることを優先して行われるために第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下が十分でない場合においても、
上記のごとく伝達トルク容量tTc1を低下された第1クラッチ6がスリップによりエンジン始動時のトルク変動を吸収し得てエンジン始動ショックを軽減することができる。
エンジン始動ショック軽減用の第1クラッチ6の上記スリップ制御をエンジン始動時に無条件に行うのでは、当該スリップを行っている時間が長くなって、第1クラッチ6が発熱により耐久性を低下されるという問題を生ずる。
第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下制御(ステップS25)により該第2クラッチCL2がエンジン始動ショックを狙い通りに軽減可能な状態になっていると判定される時は(ステップS14)、上記第1クラッチ6の伝達トルク容量低下制御を行わせないようにする(ステップS15)。
このため、後者のように、第2クラッチCL2の伝達トルク容量低下制御で第2クラッチCL2がエンジン始動ショックを狙い通りに軽減可能な容量低下状態になっているのに、エンジン始動ショック軽減用に第1クラッチ6の伝達トルク容量低下制御が行われてしまう事態を回避することができる。
上記した第1クラッチ伝達トルク容量tTc1の低下を、本当にエンジン始動時トルク変動(エンジン始動ショック)が発生するタイミングに調時して行わせることができて、上記の作用効果を顕著なものにすることができる。
第2クラッチCL2として、ダウンシフト時に最も入力トルク変動遮断効果(エンジン始動ショック軽減効果)の高い解放側変速摩擦要素を用いることになって、第1クラッチ6のスリップ制御頻度を更に低下させることができ、前記の作用効果を一層顕著なものにすることができる。
第2クラッチCL2として、非変速時に最も入力トルク変動遮断効果(エンジン始動ショック軽減効果)の高い変速摩擦要素を用いることになって、第1クラッチ6のスリップ制御頻度を更に低下させることができ、前記の作用効果を一層顕著なものにすることができる。
第2クラッチCL2の入力トルク変動遮断効果を数値化して、第2クラッチCL2がエンジン始動ショックを軽減可能か否かをチェックするステップS14での判定を容易なものにすることができる。
エンジン始動によりエンジン回転数Neがモータ/ジェネレータ回転数Nmに対し所定範囲まで接近すると判定した時(ステップS12の完爆判定瞬時t3)に未だ第2クラッチCL2がスリップしていない場合(ステップS13)、第2クラッチCL2のトルク変動遮断効果判定結果(ステップS14)に関係なく、第1クラッチ6の伝達トルク容量低下制御(ステップS17)を遂行するため、以下の作用効果が奏し得られる。
このことは、アクセルペダルの踏み込みに呼応してエンジン始動要求(EV→HEVモード切り替え要求)が発生することを考えると、運転者に大いなるエンジン始動応答(駆動力増大応答)の悪さを感じさせることになる。
ところで当該制御によれば、エンジン始動によりエンジン回転数Neがモータ/ジェネレータ回転数Nmに対し所定範囲まで接近する時(ステップS12の完爆判定瞬時t3)に未だ第2クラッチCL2がスリップしていないことがあり、この場合、当該瞬時近辺でエンジン始動に伴う入力トルク変動が最も大きくなることもあって、大きなエンジン始動ショックが発生する懸念を払拭し得ない。
第2クラッチCL2がスリップしていない場合でも、第1クラッチ6の伝達トルク容量低下制御(ステップS17)により、エンジン始動時のトルク変動(エンジン始動ショック)を軽減することができ、上記エンジン始動応答(駆動力増大応答)の悪さに関する不満解決と、確実なエンジン始動ショック軽減作用とを両立させることができる。
2 自動変速機
3 モータ/ジェネレータ(動力源)
4 変速機入力軸
6 第1クラッチ
7 変速機出力軸
Fr/B フロントブレーキ(第2クラッチ)
I/C インプットクラッチ(第2クラッチ)
H&LR/C ハイ・アンド・ローリバースクラッチ(第2クラッチ)
D/C ダイレクトクラッチ(第2クラッチ)
FWD/B フォワードブレーキ(第2クラッチ)
11 統合コントローラ
12 エンジン回転センサ
13 モータ/ジェネレータ回転センサ
14 変速機入力回転センサ
15 変速機出力回転センサ
16 アクセル開度センサ
17 蓄電状態センサ
21 エンジンコントローラ
22 モータ/ジェネレータコントローラ
23 第1クラッチコントローラ
24 変速機コントローラ
Claims (8)
- 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータをタンデムに具え、
これらエンジンおよびモータ/ジェネレータ間の結合を第1クラッチの締結により可能とし、
前記モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間に介在する遊星歯車機構の回転要素間の結合または前記回転要素の固定を第2クラッチの締結により可能とし、
前記第1クラッチを解放すると共に前記第2クラッチを締結して前記モータ/ジェネレータのみによる電気走行を行っている状態でのエンジン始動に際し、前記第2クラッチの伝達トルク容量を低下すると共に前記第1クラッチを締結し、前記モータ/ジェネレータの駆動トルクにより前記エンジンをクランキングすることでエンジン始動を行うようにしたハイブリッド車両において、
前記エンジン始動によりエンジン回転数が前記モータ/ジェネレータの回転数に対し所定範囲まで接近すると判定した時より、前記第1クラッチの伝達トルク容量を低下させる第1クラッチ伝達トルク容量低下手段と、
前記エンジン始動の際の、前記第2クラッチの伝達トルク容量低下による、前記駆動車輪に伝達される駆動車輪伝達トルクへの影響が大きいか小さいかを判定する第2クラッチ伝達トルク容量低下状態判定手段と、
該手段により、前記第2クラッチの伝達トルク容量低下による前記駆動車輪伝達トルクへの影響が小さいと判定されるとき、前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段を作動させ、前記第2クラッチの伝達トルク容量低下による前記駆動車輪伝達トルクへの影響が大きいと判定されるとき、前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段を非作動にする第1クラッチ伝達トルク容量低下可否判定手段とを具備して成ることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記モータ/ジェネレータおよび駆動車輪間に自動変速機を介在させることで、該自動変速機内における遊星歯車機構の伝動経路を選択する変速摩擦要素を前記第2クラッチとして流用するものであることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段は、エンジン回転数がモータ/ジェネレータ回転数に対し前記所定範囲まで接近するとの判定を、エンジンの完爆判定により行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段は、エンジン回転数がモータ/ジェネレータ回転数に対し前記所定範囲まで接近するとの判定を、エンジンの燃料噴射の開始判定により行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段は、エンジン回転数がモータ/ジェネレータ回転数に対し前記所定範囲まで接近するとの判定を、エンジン回転数の設定回転数への上昇判定により行うよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項2〜5のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
エンジン始動時に前記自動変速機のダウンシフトが要求される場合、若しくは、該ダウンシフト要求が発生するであろうアクセル操作が行われた場合は、該ダウンシフト時に締結状態から解放状態へ切り替えるべき解放側変速摩擦要素を前記第2クラッチとして流用するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項2〜6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
エンジン始動時に前記自動変速機のダウンシフトが要求されない場合、若しくは、該ダウンシフト要求が発生する可能性のないアクセル操作が行われた場合は、現在の変速段を選択するために締結している変速摩擦要素のうち、伝達トルク容量制御による変速機出力トルクへの影響が最も高い変速摩擦要素を前記第2クラッチとして流用するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両のエンジン始動制御装置において、
エンジン始動時に行う前記第2クラッチの伝達トルク容量低下と第1クラッチの締結とを同時並行的に開始させ、
前記第1クラッチ伝達トルク容量低下手段は、エンジン始動によりエンジン回転数がモータ/ジェネレータ回転数に対し所定範囲まで接近すると判定した時に未だ第2クラッチがスリップしていない場合、前記第2クラッチ伝達トルク容量低下状態判定手段による判定結果に関係なく前記第1クラッチ伝達トルク容量低下制御を遂行するものであることを特徴とするハイブリッド車両のエンジン始動制御装置。
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