JP3704934B2 - 流体継ぎ手の締結力制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクコンバータなどの流体継ぎ手に備えられるロックアップクラッチの締結力制御装置に関し、車両用自動変速機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、流体継ぎ手の一種であるトルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキなどの複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したものであるが、上記トルクコンバータに、そのエンジンからの入力要素と、変速歯車機構への出力要素とを直結するロックアップクラッチが設けられることがある。
【0003】
すなわち、トルクコンバータは、エンジン出力軸に連結されて該出力軸と一体回転するポンプ(入力要素)と、このポンプに対向配置されたタービン(出力要素)と、これらのポンプとタービンとの間に介設されてトルク増大作用を図るステータとを有し、上記ポンプの回転を作動油を介してタービンに伝達し、この伝達された回転を該タービンと連結されたタービンシャフトにより変速歯車機構側に出力するように構成したものであるが、このような構成に加えて、ポンプ側部材とタービン側部材との間に摩擦要素であるロックアップクラッチを介設して、このロックアップクラッチの締結によりトルクコンバータの入力側すなわちポンプないしエンジン出力軸と出力側すなわちタービンないしタービンシャフトとを直結させて、これらを一体回転させることができるように構成されているのである。
【0004】
その場合に、この種の車両には、予めスロットル開度や車速などの走行状態をパラメータとして上記ロックアップクラッチの締結解放の状態が特性マップとして設定されており、この特性マップと上記走行状態の検出結果とに基づいて現在の走行状態に適したロックアップクラッチの締結状態が決定されるようになっている。
【0005】
すなわち、例えば車両の走行状態が高負荷低車速領域にあるときには、トルクコンバータのトルク増大作用や変速動作中におけるショック吸収作用などが要求されるので、ロックアップクラッチは完全に解放されて所謂コンバータ状態とされる一方、上記のような作用がそれほど要求されない低負荷高車速領域などでは、主としてトルクコンバータの動力伝達効率を高めてエンジンの燃費性能を向上させることを目的として、ロックアップクラッチは完全に締結されて所謂ロックアップ状態とされる。
【0006】
また、このようなロックアップクラッチを非締結状態とするコンバータ領域や完全締結状態とするロックアップ領域に加えて、上記特性マップに、該ロックアップクラッチをスリップ状態とするスリップ領域が設けられることがある。このスリップ領域では、良好な燃費性能を確保しながら振動を吸収するなどのために、ロックアップクラッチのスリップ量を所定の目標スリップ量に維持するスリップ制御が行なわれる。
【0007】
ところで、車両が走行中に登坂路に入った場合には、路面勾配により走行抵抗が大きくなって減速するため、運転者の心理として車速を維持するためにアクセルペダルが踏み込まれることが多い。その場合に、アクセルペダルの踏込操作に連動するスロットル開度の増大に起因して、当該車両の走行状態がロックアップ領域やスリップ領域からコンバータ領域に移行すると、ロックアップクラッチがロックアップ状態やスリップ状態などの締結状態から解放されることから、エンジン回転数や駆動力が急激に増大して運転者に違和感を感じさせることになる。
【0008】
この問題に対しては、例えばスリップ制御中に登坂状態を検出すると、目標スリップ量を路面勾配に応じて大きくすることが提案されている。これによれば、登坂路においては目標スリップ量が大きい値に補正されることから、スロットル開度の増大によってスリップ領域からコンバータ領域に移行したとしても、スリップ制御中の実スリップ量と解放直後の実スリップ量との差が小さくなって、エンジン回転数の急激な変動が抑制されることになる。その反面、登坂路に入ると目標スリップ量が直ちに大きくされることから、その目標スリップ量に追従するように実スリップ量が増大制御されることになって、アクセルペダルの踏込操作がないにもかかわらずエンジン回転数が増大して、この場合においても運転者に違和感を感じさせることになる。
【0009】
また、加速走行中に登坂路に差し掛かった場合においても、路面勾配による走行抵抗によって生じる駆動力不足を補うためにアクセルペダルが踏み込まれると、ロックアップ領域あるいはスリップ領域からコンバータ領域に移行してロックアップクラッチが解放されて駆動力が増大し、これを抑制するためにアクセルペダルを戻すと、今度は走行状態がロックアップ領域あるいはスリップ領域に戻って駆動力不足になるという一種のハンチングが生じることになる。
【0010】
このような問題に対しては、例えば特開平9−60718号公報には、登坂走行中にスロットル開度が所定のスリップ領域からコンバータ領域に移行すると、ロックアップクラッチのコンバータ状態からスリップ状態への移行を禁止する技術思想が開示されている。これによれば、登坂走行中にロックアップクラッチが一旦解放状態にされると、その後は解放状態のまま維持されることから、ロックアップクラッチの締結解放の繰り返しが防止されることから、上記の不具合が回避されるという利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の従来技術においては、アクセルペダルの踏込量、即ちスロットル開度が所定値以上になるまではスリップ制御が解除されないので、次のような問題を生じることになる。
【0012】
すなわち、例えばロックアップクラッチのスリップ制御状態で登坂路を走行している場合に、何らかの原因で運転者が当該車両を加速させるためにアクセルペダルを踏み込んだとしても、スロットル開度が所定値以上になるまではスリップ制御が解除されずロックアップクラッチの締結状態が維持される。このため、解放状態におけるトルク増大作用が得られず、駆動力の不足により運転者に違和感を感じさせることになる。
【0013】
同様な問題は、ロックアップ制御状態における加速のためのアクセルペダルの踏込時に発生することになる。
【0014】
この発明は、ロックアップクラッチを有する流体継ぎ手における上記の問題に対処するもので、登坂走行時に運転者の操作を適切に反映したロックアップクラッチの締結力の制御を実現し、運転者の違和感を解消することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するために次のように構成したことを特徴とする。
【0016】
すなわち、本願の請求項1に係る発明(以下、「第1発明」という)は、エンジンに連結された入力要素と駆動輪側部材に連結された出力要素との間に設けられて、これらの入出力要素を締結する状態と両要素を解放する状態とに選択的に設定されるロックアップクラッチを有する流体継ぎ手と、上記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調整手段と、エンジンのスロットル開度に関する値を検出するスロットル開度検出手段と、当該車両の車速に関する値を検出する車速検出手段と、スロットル開度に関する値と車速に関する値とをパラメータとして予め設定された締結力特性と上記両検出手段の検出結果とに基づいて上記締結力調整手段を制御する締結力制御手段とが備えられた流体継ぎ手の締結力制御装置において、当該車両の登坂状態を検出する登坂検出手段を設けると共に、上記締結力制御手段を、上記ロックアップクラッチの締結状態において登坂状態が検出された場合に、その検出後におけるスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときに、ロックアップクラッチが解放状態となるように上記締結力調整手段を制御するように構成したことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に係る発明(以下、「第2発明」という)は、上記第1発明における締結力制御手段を、登坂検出後のスロットル開度の最小値を該開度の増加量の計算起点として保持すると共に、スロットル開度の値が保持している計算起点よりも小さいときに、その値をスロットル開度の増加量の計算起点として更新するように構成したことを特徴とする。
【0018】
そして、請求項3に係る発明(以下、「第3発明」という)は、上記第1、第2発明における締結力制御手段を、スロットル開度の増加速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に係る発明(以下、「第4発明」という)は、上記第1、第2発明の構成に加えて、路面勾配に関する値を検出する路面勾配検出手段を設けると共に、締結力制御手段を、路面勾配が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0020】
そして、請求項5に係る発明(以下、「第5発明」という)は、上記第1、第2発明の構成に加えて、当該車両の加減速度に関する値を検出する加減速度検出手段を設けると共に、締結力制御手段を、当該車両の減速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項6に係る発明(以下、「第6発明」という)は、上記第1、第2発明における締結力制御手段を、車速が高いほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば次のような作用が得られる。
【0023】
すなわち、第1発明によれば、平地走行時においては、例えば当該車両の走行状態(スロットル開度及び車速)がスロットル開度及び車速をパラメータとして設定された所定の締結領域に属するときには、ロックアップクラッチが締結状態とされて良好な燃費性能が得られることになる。
【0024】
そして、ロックアップクラッチの締結状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、スロットル開度の大きさにかかわらずロックアップクラッチが解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【0025】
また、第2発明によれば、登坂検出後のスロットル開度の最小値が該開度の増加量の計算起点として保持されるので、例えばアクセルペダルを踏み込んでは小さく戻すという操作を繰り返したとしても、スロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、ロックアップクラッチの締結状態が確実に解除され、これにより制御の信頼性が向上することになる。
【0026】
そして、例えば登坂走行中にアクセルペダルを大きく戻したときのスロットル開度の値が、保持している計算起点よりも小さいときには、その値がスロットル開度の増加量の計算起点として更新されることになるので、アクセルペダルのわずかな踏込操作によりロックアップクラッチが不用意に解放されるという事態も回避されることになる。
【0027】
そして、第3発明によれば、スロットル開度の増加速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、アクセルペダルの踏込速度が大きいほどロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が得られることになる。
【0028】
また、第4発明によれば、路面勾配が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、路面勾配が大きいときには路面勾配が小さいときに比べて締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が確保されることになる。
【0029】
そして、第5発明によれば、当該車両の減速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態とするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、車速の低下に打ち勝って当該車両を加速させることが可能となる。
【0030】
さらに、第6発明によれば、車速が高いほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、高車速時においても空気抵抗などに打ち勝って当該車両を速やかに加速させることが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
【0033】
この自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速機構として隣接配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキなどの複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0034】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0035】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0036】
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったインターナルギヤ34,44とで構成されている。
【0037】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0038】
さらに、第1遊星歯車機構30のインターナルギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のインターナルギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0039】
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置70を介して左右の車軸73,74が駆動されるようになっている。
【0040】
ここで、上記各クラッチやブレーキなどの摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0041】
【表1】
なお、図1の骨子図に示すトルクコンバータ20は、具体的には図2に示すように構成されており、これを詳しく説明すると、このトルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に取り付けられたケース21内の反エンジン側の半部に該ケース21に一体的に設けられた多数の羽根でなるポンプ22と、ケース21内のエンジン側の半部に該ケース21に対して回転自在にかつ上記ポンプ22に対向させて配置された同じく多数の羽根でなるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間の内周部に配置されて、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されて所定方向にのみ回転可能とされた同じく多数の羽根でなるステータ25とを有する。そして、上記タービン23のボス23aがタービンシャフト27にスプライン結合され、該タービンシャフト27を介してタービン23の回転が反エンジン側に取り出されるようになっている。
【0042】
また、ケース21内には、上記タービン23と一体回転し、かつ該タービン23に対して軸方向にスライド可能とされたロックアップクラッチ26が内蔵されている。このロックアップクラッチ26は、ケース21内のエンジン側の平面部21aに対向するように配置されており、該ロックアップクラッチ26が上記ケース平面部21aに締結されたときに、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービンシャフト27とが結合されるようになっている。
【0043】
そして、このロックアップクラッチ26は、ケース21内における該クラッチ26の背部の室、即ちリヤ室26a内の作動油の圧力によりケース平面部21aに対して締結方向に付勢されていると共に、該ロックアップクラッチ26とケース平面部21aとの間に設けられた室、即ちフロント室26bに供給される作動圧により解放され、また、このフロント室26bに供給される作動圧を調整することにより、スリップ状態に制御されるようになっている。
【0044】
ここで、当該自動変速機10に備えられた油圧回路のうちの上記ロックアップクラッチ26の制御用部分の構成を簡単に説明すると、図2に示すように、この油圧回路80には、ロックアップクラッチ26のリヤ室26a及びフロント室26bに対する作動圧の給排を制御するロックアップコントロールバルブ81が備えられ、該バルブ81に、油圧源から一定圧に調整されたコンバータ圧を供給するライン82と、パイロット圧を供給するライン83と、デューティソレノイドバルブ84で生成された制御圧を供給するライン85とが接続されている。
【0045】
そして、上記ライン83からパイロット圧が供給されていないときには、図示のように、スプール81aがスプリング81bの付勢力により図面上の右側に位置して、上記ライン82からのコンバータ圧をライン86を介してロックアップクラッチ26のフロント室26bに供給することにより、該クラッチ26が解放されるようになっている(コンバータ状態)。また、上記パイロット圧が供給されると、スプール81aがスプリング81bの付勢力に抗して図面上の左側に移動することにより、上記コンバータ圧がライン87を介してロックアップクラッチ26のリヤ室26aに供給され、これにより、該クラッチ26が締結されるようになっている(ロックアップ状態)。
【0046】
そして、この締結状態においては、デューティソレノイドバルブ84で生成されてライン85を介して供給された制御圧がロックアップコントロールバルブ81及びライン86を介してフロント室26bに供給され、これにより、ロックアップクラッチ26のリヤ室26aに一定のコンバータ圧が供給されている状態でフロント室26bに制御圧が供給されることになって、該クラッチ26の締結力ないしトルクコンバータ20のポンプ22とタービン23との間のスリップ量が上記制御圧の大きさに応じて制御されることになる(スリップ状態)。
【0047】
一方、この自動変速機10には、図3に示すように、変速制御と上記のようなロックアップクラッチ26の制御とを行なうコントロールユニット100が備えられている。このコントロールユニット100に、当該車両の車速を検出する車速センサ101からの信号、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ102からの信号、運転者により選択されているシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置センサ103からの信号、トルクコンバータ20の入力回転数であるエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ104からの信号、トルクコンバータ20の出力回転数であるタービン回転数を検出するタービン回転数センサ105からの信号などが入力されるようになっている。
【0048】
そして、このコントロールユニット100は、上記各センサ101〜105からの信号が示す当該車両の走行状態、特に車速Vs及びスロットル開度Tvoと、同じく車速及びスロットル開度をパラメータとして予め設定された変速マップとに基づいて変速段を設定し、その変速段が得られるように油圧回路80に備えられた複数の変速用ソレノイドバルブ110…110に制御信号を出力するようになっている。
【0049】
また、このコントロールユニット100は、同じく上記各センサ101〜105からの信号が示す当該車両の走行状態、特に車速Vs及びスロットル開度Tvoと、例えば図4に示すように車速及びスロットル開度をパラメータとして予め設定された締結力特性マップとに基づいてロックアップクラッチ26の制御領域を判定し、その領域に応じて該ロックアップクラッチ26をコンバータ状態、ロックアップ状態またはスリップ状態のいずれかに制御するように、上記油圧回路80のロックアップ用デューティソレノイドバルブ84に制御信号を出力するようになっている。
【0050】
その場合に、図示したように、トルクコンバータ36のトルク増大作用や変速動作中におけるショック吸収作用などが要求される高負荷低車速領域はコンバータ領域とされ、ロックアップクラッチ26は完全に解放される。また、上記のような作用がそれほど要求されない低負荷高車速領域はロックアップ領域とされ、ロックアップクラッチ26は完全に締結されてエンジンの燃費性能の向上が図られる。そして、低負荷低車速領域はスリップ領域とされ、この領域ではロックアップクラッチ26のスリップ量を所定の目標スリップ量に維持するスリップ制御が行なわれて、エンジン振動を吸収しつつ燃費性能の向上も図られる。
【0051】
そして、この実施の形態においては、ロックアップクラッチ26の締結力制御に対する割込処理を図3のフローチャートに従って実行するようになっている。
【0052】
すなわち、コントロールユニット100は、ステップS1で上記各センサ101〜105からの各種信号を読み込んだ上で、ステップS2を実行して走行路面の勾配値Grを算出する。つまり、走行中における車両は空気抵抗や路面抵抗などの各種の走行抵抗に打ち勝って走行するようになっている。そして、登坂時においては、登坂路の勾配に比例する勾配抵抗が走行抵抗に負荷されることになる。したがって、走行中における当該車両の運動方程式を立てれば、概ね、次式(1)が成立する。
【0053】
MAc=(走行動力)−(空気抵抗)−(勾配抵抗)−(路面抵抗)−(その他の抵抗) …(1)
ここで、Mは当該車両の質量、Acは前後加速度を示す。また、走行動力はエンジン出力から変速比や機械抵抗などを考慮して導き出される変数である。なお、空気抵抗は車速Vsの2乗に比例する変数である。
【0054】
今、勾配値Grが知りたいのであるから、上記式1を変形して、空気抵抗やその他のパラメータを変数として解けば容易に計算できることになる。
【0055】
勾配値Grを算出すると、コントロールユニット100はステップS3に進んで当該車両の走行状態がスリップ領域に属するか否かを判定して、走行状態がスリップ領域に属しないと判定したときにはステップS4に進んでスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして所定の初期設定値Tmxを設定する。なお、この実施の形態においてはスロットル開度の全開値が初期設定値Tmxとして用いられるようになっている。
【0056】
一方、コントロールユニット100は、上記ステップS3において走行状態がスリップ領域に属すると判定したときには、ステップS5に移って勾配値Grが所定値Goよりも大きいか否かを判定する。つまり、当該車両が登坂中か否かを判定するのである。
【0057】
コントロールユニット100は、上記ステップS5において勾配値Grが所定値Goよりも大きいと判定したときには、ステップS6に進んで上記計算起点Tvxの前回値がスロットル開度Tvoの今回値よりも大きいか否かを判定し、判定結果がYESのときにはステップS7を実行してスロットル開度Tvoの今回値を計算起点Tvxとして更新した後、ステップS8を実行してスロットル開度Tvoから計算起点Tvxを減算することによりスロットル開度増加量Dtvを算出する一方、判定結果がNOのときには上記ステップS7をスキップしてステップS8に移り、スロットル開度増加量Dtvを算出する。つまり、コントロールユニット100は、登坂検出後のスロットル開度Tvoの最小値をスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持すると共に、スロットル開度Tvoの値が保持している計算起点Tvxよりも小さいときに、その値を新たに計算起点Tvxとして更新して、スロットル開度増加量Dtvを算出することになる。なお、登坂判定時には登坂フラグFuが1にセットされるようになっている。
【0058】
コントロールユニット100は、スロットル開度増加量Dtvを算出すると、ステップS9に進んでスロットル開度増加量Dtvが所定の判定基準値Doよりも大きいか否かを判定し、スロットル開度増加量Dtvが判定基準値Doよりも大きいときにステップS10を実行してスリップ制御を解除する。その場合に、この実施の形態においては、図6のマップに示すようにスロットル開度増加量Dtvが大きいほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。
【0059】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
平地走行時においては、当該車両の走行状態が図4の締結力特性マップに設けられたスリップ領域に属するときには、ロックアップクラッチ26がスリップ状態とされて、エンジン振動の低減と燃費性能との両立が図られることになる。
【0061】
そして、スリップ量制御状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度増加量Dtvが判定基準値Do以上となったときには、スロットル開度Tvoの大きさにかかわらずロックアップクラッチ26が解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチ26の締結状態が速やかに解除されてコンバータ状態となり、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【0062】
その場合に、図6のマップに示すように、スロットル開度増加量Dtvが大きいほど判定基準値Doが小さくなるように設定されているので、スロットル開度Tvoの増加速度が大きいほど、つまりアクセルペダルの踏込速度が大きいほど判定基準値Doが小さくなる。これにより、急加速要求時にはスリップ量制御状態が速やかに解除され、良好な加速応答性が得られることになる。
【0063】
また、図5のフローチャートのステップS6,S7に示すように、登坂検出後のスロットル開度Tvoの最小値がスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持されるので、例えば図7に示すようにアクセルペダルを踏み込んでは小さく戻すという操作を繰り返したとしても、登坂判定時におけるスロットル開度Tvoの初期値Tvx1がスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持される。そして、この計算起点Tvx(Tvx1)を基準として、スロットル開度Tvoが判定基準値Do以上となったときに、ロックアップクラッチ26のスリップ制御状態が解除される。これにより制御の信頼性が確保されることになる。
【0064】
一方、例えば図8に示すように、登坂走行中にアクセルペダルが大きく戻されて、スロットル開度Tvoの検出値Tvx2が登坂判定時に計算起点Tvxとして設定されるスロットル開度Tvoの初期値Tvx1よりも小さくなったときには、該検出値Tvx2が新たに計算起点Tvxとして更新されることになる。これにより、アクセルペダルのわずかな踏込操作によりロックアップクラッチ26が不用意に解放されるという事態も回避されることになる。
【0065】
また、第4発明に対応する第2の実施の形態においては、図9のマップに示すように勾配値Grが大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。これによれば、路面勾配が大きいときには路面勾配が小さいときに比べて締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が確保されることになる。
【0066】
また、第5発明に対応する第3の実施の形態においては、図10に示すように、当該車両の前後加速度Acが零点を境としてマイナス方向に大きくなるほど、換言すれば減速度が大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。なお、前後加速度Acは例えば車速Vsから求められる。これによれば、車速の低下に打ち勝って当該車両を加速させることが可能となる。
【0067】
さらに、第6発明に対応する第4の実施の形態においては、図11のマップに示すように、車速Vsが大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。これによれば、高車速時においても空気抵抗などに打ち勝って当該車両を速やかに加速させることが可能となる。
【0068】
なお、本発明は、ロックアップクラッチ26がロックアップ制御中に登坂路に差し掛かった場合にも適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ロックアップクラッチを有する流体継ぎ手の締結力制御装置において、ロックアップクラッチの締結状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、スロットル開度の大きさにかかわらずロックアップクラッチが解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の構成を示す骨子図である。
【図2】 ロックアップクラッチ及びその制御用油圧回路図である。
【図3】 ロックアップクラッチの制御システム図である。
【図4】 ロックアップクラッチの制御領域を示すマップである。
【図5】 ロックアップクラッチの制御に対する割込処理を示すフローチャート図である。
【図6】 スロットル開度増加量をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図7】 本実施の形態の作用を示すタイムチャート図である。
【図8】 同じく本実施の形態の作用を示すタイムチャート図である。
【図9】 第2の実施形態で用いる勾配値をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図10】 第3の実施形態で用いる車両の前後加速度をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図11】 第4の実施形態で用いる車速をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【符号の説明】
20 トルクコンバータ
22 ポンプ
23 タービン
26 ロックアップクラッチ
84 デューティソレノイドバルブ
100 コントロールユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、トルクコンバータなどの流体継ぎ手に備えられるロックアップクラッチの締結力制御装置に関し、車両用自動変速機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車に搭載される自動変速機は、流体継ぎ手の一種であるトルクコンバータと変速歯車機構とを組み合わせ、この変速歯車機構の動力伝達経路をクラッチやブレーキなどの複数の摩擦要素の選択的作動により切り換えて、所定の変速段に自動的に変速するように構成したものであるが、上記トルクコンバータに、そのエンジンからの入力要素と、変速歯車機構への出力要素とを直結するロックアップクラッチが設けられることがある。
【0003】
すなわち、トルクコンバータは、エンジン出力軸に連結されて該出力軸と一体回転するポンプ(入力要素)と、このポンプに対向配置されたタービン(出力要素)と、これらのポンプとタービンとの間に介設されてトルク増大作用を図るステータとを有し、上記ポンプの回転を作動油を介してタービンに伝達し、この伝達された回転を該タービンと連結されたタービンシャフトにより変速歯車機構側に出力するように構成したものであるが、このような構成に加えて、ポンプ側部材とタービン側部材との間に摩擦要素であるロックアップクラッチを介設して、このロックアップクラッチの締結によりトルクコンバータの入力側すなわちポンプないしエンジン出力軸と出力側すなわちタービンないしタービンシャフトとを直結させて、これらを一体回転させることができるように構成されているのである。
【0004】
その場合に、この種の車両には、予めスロットル開度や車速などの走行状態をパラメータとして上記ロックアップクラッチの締結解放の状態が特性マップとして設定されており、この特性マップと上記走行状態の検出結果とに基づいて現在の走行状態に適したロックアップクラッチの締結状態が決定されるようになっている。
【0005】
すなわち、例えば車両の走行状態が高負荷低車速領域にあるときには、トルクコンバータのトルク増大作用や変速動作中におけるショック吸収作用などが要求されるので、ロックアップクラッチは完全に解放されて所謂コンバータ状態とされる一方、上記のような作用がそれほど要求されない低負荷高車速領域などでは、主としてトルクコンバータの動力伝達効率を高めてエンジンの燃費性能を向上させることを目的として、ロックアップクラッチは完全に締結されて所謂ロックアップ状態とされる。
【0006】
また、このようなロックアップクラッチを非締結状態とするコンバータ領域や完全締結状態とするロックアップ領域に加えて、上記特性マップに、該ロックアップクラッチをスリップ状態とするスリップ領域が設けられることがある。このスリップ領域では、良好な燃費性能を確保しながら振動を吸収するなどのために、ロックアップクラッチのスリップ量を所定の目標スリップ量に維持するスリップ制御が行なわれる。
【0007】
ところで、車両が走行中に登坂路に入った場合には、路面勾配により走行抵抗が大きくなって減速するため、運転者の心理として車速を維持するためにアクセルペダルが踏み込まれることが多い。その場合に、アクセルペダルの踏込操作に連動するスロットル開度の増大に起因して、当該車両の走行状態がロックアップ領域やスリップ領域からコンバータ領域に移行すると、ロックアップクラッチがロックアップ状態やスリップ状態などの締結状態から解放されることから、エンジン回転数や駆動力が急激に増大して運転者に違和感を感じさせることになる。
【0008】
この問題に対しては、例えばスリップ制御中に登坂状態を検出すると、目標スリップ量を路面勾配に応じて大きくすることが提案されている。これによれば、登坂路においては目標スリップ量が大きい値に補正されることから、スロットル開度の増大によってスリップ領域からコンバータ領域に移行したとしても、スリップ制御中の実スリップ量と解放直後の実スリップ量との差が小さくなって、エンジン回転数の急激な変動が抑制されることになる。その反面、登坂路に入ると目標スリップ量が直ちに大きくされることから、その目標スリップ量に追従するように実スリップ量が増大制御されることになって、アクセルペダルの踏込操作がないにもかかわらずエンジン回転数が増大して、この場合においても運転者に違和感を感じさせることになる。
【0009】
また、加速走行中に登坂路に差し掛かった場合においても、路面勾配による走行抵抗によって生じる駆動力不足を補うためにアクセルペダルが踏み込まれると、ロックアップ領域あるいはスリップ領域からコンバータ領域に移行してロックアップクラッチが解放されて駆動力が増大し、これを抑制するためにアクセルペダルを戻すと、今度は走行状態がロックアップ領域あるいはスリップ領域に戻って駆動力不足になるという一種のハンチングが生じることになる。
【0010】
このような問題に対しては、例えば特開平9−60718号公報には、登坂走行中にスロットル開度が所定のスリップ領域からコンバータ領域に移行すると、ロックアップクラッチのコンバータ状態からスリップ状態への移行を禁止する技術思想が開示されている。これによれば、登坂走行中にロックアップクラッチが一旦解放状態にされると、その後は解放状態のまま維持されることから、ロックアップクラッチの締結解放の繰り返しが防止されることから、上記の不具合が回避されるという利点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の従来技術においては、アクセルペダルの踏込量、即ちスロットル開度が所定値以上になるまではスリップ制御が解除されないので、次のような問題を生じることになる。
【0012】
すなわち、例えばロックアップクラッチのスリップ制御状態で登坂路を走行している場合に、何らかの原因で運転者が当該車両を加速させるためにアクセルペダルを踏み込んだとしても、スロットル開度が所定値以上になるまではスリップ制御が解除されずロックアップクラッチの締結状態が維持される。このため、解放状態におけるトルク増大作用が得られず、駆動力の不足により運転者に違和感を感じさせることになる。
【0013】
同様な問題は、ロックアップ制御状態における加速のためのアクセルペダルの踏込時に発生することになる。
【0014】
この発明は、ロックアップクラッチを有する流体継ぎ手における上記の問題に対処するもので、登坂走行時に運転者の操作を適切に反映したロックアップクラッチの締結力の制御を実現し、運転者の違和感を解消することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するために次のように構成したことを特徴とする。
【0016】
すなわち、本願の請求項1に係る発明(以下、「第1発明」という)は、エンジンに連結された入力要素と駆動輪側部材に連結された出力要素との間に設けられて、これらの入出力要素を締結する状態と両要素を解放する状態とに選択的に設定されるロックアップクラッチを有する流体継ぎ手と、上記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調整手段と、エンジンのスロットル開度に関する値を検出するスロットル開度検出手段と、当該車両の車速に関する値を検出する車速検出手段と、スロットル開度に関する値と車速に関する値とをパラメータとして予め設定された締結力特性と上記両検出手段の検出結果とに基づいて上記締結力調整手段を制御する締結力制御手段とが備えられた流体継ぎ手の締結力制御装置において、当該車両の登坂状態を検出する登坂検出手段を設けると共に、上記締結力制御手段を、上記ロックアップクラッチの締結状態において登坂状態が検出された場合に、その検出後におけるスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときに、ロックアップクラッチが解放状態となるように上記締結力調整手段を制御するように構成したことを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に係る発明(以下、「第2発明」という)は、上記第1発明における締結力制御手段を、登坂検出後のスロットル開度の最小値を該開度の増加量の計算起点として保持すると共に、スロットル開度の値が保持している計算起点よりも小さいときに、その値をスロットル開度の増加量の計算起点として更新するように構成したことを特徴とする。
【0018】
そして、請求項3に係る発明(以下、「第3発明」という)は、上記第1、第2発明における締結力制御手段を、スロットル開度の増加速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0019】
また、請求項4に係る発明(以下、「第4発明」という)は、上記第1、第2発明の構成に加えて、路面勾配に関する値を検出する路面勾配検出手段を設けると共に、締結力制御手段を、路面勾配が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0020】
そして、請求項5に係る発明(以下、「第5発明」という)は、上記第1、第2発明の構成に加えて、当該車両の加減速度に関する値を検出する加減速度検出手段を設けると共に、締結力制御手段を、当該車両の減速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項6に係る発明(以下、「第6発明」という)は、上記第1、第2発明における締結力制御手段を、車速が高いほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするように構成したことを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば次のような作用が得られる。
【0023】
すなわち、第1発明によれば、平地走行時においては、例えば当該車両の走行状態(スロットル開度及び車速)がスロットル開度及び車速をパラメータとして設定された所定の締結領域に属するときには、ロックアップクラッチが締結状態とされて良好な燃費性能が得られることになる。
【0024】
そして、ロックアップクラッチの締結状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、スロットル開度の大きさにかかわらずロックアップクラッチが解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【0025】
また、第2発明によれば、登坂検出後のスロットル開度の最小値が該開度の増加量の計算起点として保持されるので、例えばアクセルペダルを踏み込んでは小さく戻すという操作を繰り返したとしても、スロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、ロックアップクラッチの締結状態が確実に解除され、これにより制御の信頼性が向上することになる。
【0026】
そして、例えば登坂走行中にアクセルペダルを大きく戻したときのスロットル開度の値が、保持している計算起点よりも小さいときには、その値がスロットル開度の増加量の計算起点として更新されることになるので、アクセルペダルのわずかな踏込操作によりロックアップクラッチが不用意に解放されるという事態も回避されることになる。
【0027】
そして、第3発明によれば、スロットル開度の増加速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、アクセルペダルの踏込速度が大きいほどロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が得られることになる。
【0028】
また、第4発明によれば、路面勾配が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、路面勾配が大きいときには路面勾配が小さいときに比べて締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が確保されることになる。
【0029】
そして、第5発明によれば、当該車両の減速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態とするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、車速の低下に打ち勝って当該車両を加速させることが可能となる。
【0030】
さらに、第6発明によれば、車速が高いほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくするようになっているので、高車速時においても空気抵抗などに打ち勝って当該車両を速やかに加速させることが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
まず、図1の骨子図により本実施の形態に係る自動変速機10の全体の機械的な概略構成を説明する。
【0033】
この自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速機構として隣接配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキなどの複数の摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0034】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0035】
ここで、このトルクコンバータ20の反エンジン側には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1に駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0036】
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったインターナルギヤ34,44とで構成されている。
【0037】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0038】
さらに、第1遊星歯車機構30のインターナルギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のインターナルギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0039】
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置70を介して左右の車軸73,74が駆動されるようになっている。
【0040】
ここで、上記各クラッチやブレーキなどの摩擦要素51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0041】
【表1】
なお、図1の骨子図に示すトルクコンバータ20は、具体的には図2に示すように構成されており、これを詳しく説明すると、このトルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に取り付けられたケース21内の反エンジン側の半部に該ケース21に一体的に設けられた多数の羽根でなるポンプ22と、ケース21内のエンジン側の半部に該ケース21に対して回転自在にかつ上記ポンプ22に対向させて配置された同じく多数の羽根でなるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間の内周部に配置されて、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されて所定方向にのみ回転可能とされた同じく多数の羽根でなるステータ25とを有する。そして、上記タービン23のボス23aがタービンシャフト27にスプライン結合され、該タービンシャフト27を介してタービン23の回転が反エンジン側に取り出されるようになっている。
【0042】
また、ケース21内には、上記タービン23と一体回転し、かつ該タービン23に対して軸方向にスライド可能とされたロックアップクラッチ26が内蔵されている。このロックアップクラッチ26は、ケース21内のエンジン側の平面部21aに対向するように配置されており、該ロックアップクラッチ26が上記ケース平面部21aに締結されたときに、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービンシャフト27とが結合されるようになっている。
【0043】
そして、このロックアップクラッチ26は、ケース21内における該クラッチ26の背部の室、即ちリヤ室26a内の作動油の圧力によりケース平面部21aに対して締結方向に付勢されていると共に、該ロックアップクラッチ26とケース平面部21aとの間に設けられた室、即ちフロント室26bに供給される作動圧により解放され、また、このフロント室26bに供給される作動圧を調整することにより、スリップ状態に制御されるようになっている。
【0044】
ここで、当該自動変速機10に備えられた油圧回路のうちの上記ロックアップクラッチ26の制御用部分の構成を簡単に説明すると、図2に示すように、この油圧回路80には、ロックアップクラッチ26のリヤ室26a及びフロント室26bに対する作動圧の給排を制御するロックアップコントロールバルブ81が備えられ、該バルブ81に、油圧源から一定圧に調整されたコンバータ圧を供給するライン82と、パイロット圧を供給するライン83と、デューティソレノイドバルブ84で生成された制御圧を供給するライン85とが接続されている。
【0045】
そして、上記ライン83からパイロット圧が供給されていないときには、図示のように、スプール81aがスプリング81bの付勢力により図面上の右側に位置して、上記ライン82からのコンバータ圧をライン86を介してロックアップクラッチ26のフロント室26bに供給することにより、該クラッチ26が解放されるようになっている(コンバータ状態)。また、上記パイロット圧が供給されると、スプール81aがスプリング81bの付勢力に抗して図面上の左側に移動することにより、上記コンバータ圧がライン87を介してロックアップクラッチ26のリヤ室26aに供給され、これにより、該クラッチ26が締結されるようになっている(ロックアップ状態)。
【0046】
そして、この締結状態においては、デューティソレノイドバルブ84で生成されてライン85を介して供給された制御圧がロックアップコントロールバルブ81及びライン86を介してフロント室26bに供給され、これにより、ロックアップクラッチ26のリヤ室26aに一定のコンバータ圧が供給されている状態でフロント室26bに制御圧が供給されることになって、該クラッチ26の締結力ないしトルクコンバータ20のポンプ22とタービン23との間のスリップ量が上記制御圧の大きさに応じて制御されることになる(スリップ状態)。
【0047】
一方、この自動変速機10には、図3に示すように、変速制御と上記のようなロックアップクラッチ26の制御とを行なうコントロールユニット100が備えられている。このコントロールユニット100に、当該車両の車速を検出する車速センサ101からの信号、エンジンのスロットル開度を検出するスロットル開度センサ102からの信号、運転者により選択されているシフト位置(レンジ)を検出するシフト位置センサ103からの信号、トルクコンバータ20の入力回転数であるエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ104からの信号、トルクコンバータ20の出力回転数であるタービン回転数を検出するタービン回転数センサ105からの信号などが入力されるようになっている。
【0048】
そして、このコントロールユニット100は、上記各センサ101〜105からの信号が示す当該車両の走行状態、特に車速Vs及びスロットル開度Tvoと、同じく車速及びスロットル開度をパラメータとして予め設定された変速マップとに基づいて変速段を設定し、その変速段が得られるように油圧回路80に備えられた複数の変速用ソレノイドバルブ110…110に制御信号を出力するようになっている。
【0049】
また、このコントロールユニット100は、同じく上記各センサ101〜105からの信号が示す当該車両の走行状態、特に車速Vs及びスロットル開度Tvoと、例えば図4に示すように車速及びスロットル開度をパラメータとして予め設定された締結力特性マップとに基づいてロックアップクラッチ26の制御領域を判定し、その領域に応じて該ロックアップクラッチ26をコンバータ状態、ロックアップ状態またはスリップ状態のいずれかに制御するように、上記油圧回路80のロックアップ用デューティソレノイドバルブ84に制御信号を出力するようになっている。
【0050】
その場合に、図示したように、トルクコンバータ36のトルク増大作用や変速動作中におけるショック吸収作用などが要求される高負荷低車速領域はコンバータ領域とされ、ロックアップクラッチ26は完全に解放される。また、上記のような作用がそれほど要求されない低負荷高車速領域はロックアップ領域とされ、ロックアップクラッチ26は完全に締結されてエンジンの燃費性能の向上が図られる。そして、低負荷低車速領域はスリップ領域とされ、この領域ではロックアップクラッチ26のスリップ量を所定の目標スリップ量に維持するスリップ制御が行なわれて、エンジン振動を吸収しつつ燃費性能の向上も図られる。
【0051】
そして、この実施の形態においては、ロックアップクラッチ26の締結力制御に対する割込処理を図3のフローチャートに従って実行するようになっている。
【0052】
すなわち、コントロールユニット100は、ステップS1で上記各センサ101〜105からの各種信号を読み込んだ上で、ステップS2を実行して走行路面の勾配値Grを算出する。つまり、走行中における車両は空気抵抗や路面抵抗などの各種の走行抵抗に打ち勝って走行するようになっている。そして、登坂時においては、登坂路の勾配に比例する勾配抵抗が走行抵抗に負荷されることになる。したがって、走行中における当該車両の運動方程式を立てれば、概ね、次式(1)が成立する。
【0053】
MAc=(走行動力)−(空気抵抗)−(勾配抵抗)−(路面抵抗)−(その他の抵抗) …(1)
ここで、Mは当該車両の質量、Acは前後加速度を示す。また、走行動力はエンジン出力から変速比や機械抵抗などを考慮して導き出される変数である。なお、空気抵抗は車速Vsの2乗に比例する変数である。
【0054】
今、勾配値Grが知りたいのであるから、上記式1を変形して、空気抵抗やその他のパラメータを変数として解けば容易に計算できることになる。
【0055】
勾配値Grを算出すると、コントロールユニット100はステップS3に進んで当該車両の走行状態がスリップ領域に属するか否かを判定して、走行状態がスリップ領域に属しないと判定したときにはステップS4に進んでスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして所定の初期設定値Tmxを設定する。なお、この実施の形態においてはスロットル開度の全開値が初期設定値Tmxとして用いられるようになっている。
【0056】
一方、コントロールユニット100は、上記ステップS3において走行状態がスリップ領域に属すると判定したときには、ステップS5に移って勾配値Grが所定値Goよりも大きいか否かを判定する。つまり、当該車両が登坂中か否かを判定するのである。
【0057】
コントロールユニット100は、上記ステップS5において勾配値Grが所定値Goよりも大きいと判定したときには、ステップS6に進んで上記計算起点Tvxの前回値がスロットル開度Tvoの今回値よりも大きいか否かを判定し、判定結果がYESのときにはステップS7を実行してスロットル開度Tvoの今回値を計算起点Tvxとして更新した後、ステップS8を実行してスロットル開度Tvoから計算起点Tvxを減算することによりスロットル開度増加量Dtvを算出する一方、判定結果がNOのときには上記ステップS7をスキップしてステップS8に移り、スロットル開度増加量Dtvを算出する。つまり、コントロールユニット100は、登坂検出後のスロットル開度Tvoの最小値をスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持すると共に、スロットル開度Tvoの値が保持している計算起点Tvxよりも小さいときに、その値を新たに計算起点Tvxとして更新して、スロットル開度増加量Dtvを算出することになる。なお、登坂判定時には登坂フラグFuが1にセットされるようになっている。
【0058】
コントロールユニット100は、スロットル開度増加量Dtvを算出すると、ステップS9に進んでスロットル開度増加量Dtvが所定の判定基準値Doよりも大きいか否かを判定し、スロットル開度増加量Dtvが判定基準値Doよりも大きいときにステップS10を実行してスリップ制御を解除する。その場合に、この実施の形態においては、図6のマップに示すようにスロットル開度増加量Dtvが大きいほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。
【0059】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0060】
平地走行時においては、当該車両の走行状態が図4の締結力特性マップに設けられたスリップ領域に属するときには、ロックアップクラッチ26がスリップ状態とされて、エンジン振動の低減と燃費性能との両立が図られることになる。
【0061】
そして、スリップ量制御状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度増加量Dtvが判定基準値Do以上となったときには、スロットル開度Tvoの大きさにかかわらずロックアップクラッチ26が解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチ26の締結状態が速やかに解除されてコンバータ状態となり、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【0062】
その場合に、図6のマップに示すように、スロットル開度増加量Dtvが大きいほど判定基準値Doが小さくなるように設定されているので、スロットル開度Tvoの増加速度が大きいほど、つまりアクセルペダルの踏込速度が大きいほど判定基準値Doが小さくなる。これにより、急加速要求時にはスリップ量制御状態が速やかに解除され、良好な加速応答性が得られることになる。
【0063】
また、図5のフローチャートのステップS6,S7に示すように、登坂検出後のスロットル開度Tvoの最小値がスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持されるので、例えば図7に示すようにアクセルペダルを踏み込んでは小さく戻すという操作を繰り返したとしても、登坂判定時におけるスロットル開度Tvoの初期値Tvx1がスロットル開度増加量Dtvの計算起点Tvxとして保持される。そして、この計算起点Tvx(Tvx1)を基準として、スロットル開度Tvoが判定基準値Do以上となったときに、ロックアップクラッチ26のスリップ制御状態が解除される。これにより制御の信頼性が確保されることになる。
【0064】
一方、例えば図8に示すように、登坂走行中にアクセルペダルが大きく戻されて、スロットル開度Tvoの検出値Tvx2が登坂判定時に計算起点Tvxとして設定されるスロットル開度Tvoの初期値Tvx1よりも小さくなったときには、該検出値Tvx2が新たに計算起点Tvxとして更新されることになる。これにより、アクセルペダルのわずかな踏込操作によりロックアップクラッチ26が不用意に解放されるという事態も回避されることになる。
【0065】
また、第4発明に対応する第2の実施の形態においては、図9のマップに示すように勾配値Grが大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。これによれば、路面勾配が大きいときには路面勾配が小さいときに比べて締結状態が速やかに解除され、これにより良好な加速応答性が確保されることになる。
【0066】
また、第5発明に対応する第3の実施の形態においては、図10に示すように、当該車両の前後加速度Acが零点を境としてマイナス方向に大きくなるほど、換言すれば減速度が大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。なお、前後加速度Acは例えば車速Vsから求められる。これによれば、車速の低下に打ち勝って当該車両を加速させることが可能となる。
【0067】
さらに、第6発明に対応する第4の実施の形態においては、図11のマップに示すように、車速Vsが大きくなるほど判定基準値Doが小さくなるように設定されている。これによれば、高車速時においても空気抵抗などに打ち勝って当該車両を速やかに加速させることが可能となる。
【0068】
なお、本発明は、ロックアップクラッチ26がロックアップ制御中に登坂路に差し掛かった場合にも適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ロックアップクラッチを有する流体継ぎ手の締結力制御装置において、ロックアップクラッチの締結状態において当該車両が登坂路に差し掛かると、登坂検出後のスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときには、スロットル開度の大きさにかかわらずロックアップクラッチが解放状態とされる。これにより、例えば当該車両を加速させるために運転者がアクセルペダルを踏み込んだときには、ロックアップクラッチの締結状態が速やかに解除され、これにより運転者に違和感を感じさせることのない加速応答性が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る自動変速機の構成を示す骨子図である。
【図2】 ロックアップクラッチ及びその制御用油圧回路図である。
【図3】 ロックアップクラッチの制御システム図である。
【図4】 ロックアップクラッチの制御領域を示すマップである。
【図5】 ロックアップクラッチの制御に対する割込処理を示すフローチャート図である。
【図6】 スロットル開度増加量をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図7】 本実施の形態の作用を示すタイムチャート図である。
【図8】 同じく本実施の形態の作用を示すタイムチャート図である。
【図9】 第2の実施形態で用いる勾配値をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図10】 第3の実施形態で用いる車両の前後加速度をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【図11】 第4の実施形態で用いる車速をパラメータとする判定基準値のマップの説明図である。
【符号の説明】
20 トルクコンバータ
22 ポンプ
23 タービン
26 ロックアップクラッチ
84 デューティソレノイドバルブ
100 コントロールユニット
Claims (6)
- エンジンに連結された入力要素と駆動輪側部材に連結された出力要素との間に設けられて、これらの入出力要素を締結する状態と両要素を解放する状態とに選択的に設定されるロックアップクラッチを有する流体継ぎ手と、上記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調整手段と、エンジンのスロットル開度に関する値を検出するスロットル開度検出手段と、当該車両の車速に関する値を検出する車速検出手段と、スロットル開度に関する値と車速に関する値とをパラメータとして予め設定された締結力特性と上記両検出手段の検出結果とに基づいて上記締結力調整手段を制御する締結力制御手段とが備えられた流体継ぎ手の締結力制御装置であって、当該車両の登坂状態を検出する登坂検出手段が設けられていると共に、上記締結力制御手段は、上記ロックアップクラッチの締結状態において登坂状態が検出された場合に、その検出後におけるスロットル開度の増加量が所定の判定基準値以上となったときに、ロックアップクラッチが解放状態となるように上記締結力調整手段を制御することを特徴とする流体継ぎ手の締結力制御装置。
- 締結力制御手段は、登坂検出後のスロットル開度の最小値を該開度の増加量の計算起点として保持すると共に、スロットル開度の値が保持している計算起点よりも小さいときに、その値をスロットル開度の増加量の計算起点として更新することを特徴とする請求項1に記載の流体継ぎ手の締結力制御装置。
- 締結力制御手段は、スロットル開度の増加速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体継ぎ手の締結力制御装置。
- 路面勾配に関する値を検出する路面勾配検出手段が設けられていると共に、締結力制御手段は、路面勾配が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体継ぎ手の締結力制御装置。
- 当該車両の加減速度に関する値を検出する加減速度検出手段が設けられていると共に、締結力制御手段は、当該車両の減速度が大きいほどロックアップクラッチを解放状態にする際のスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体継ぎ手の締結力制御装置。
- 締結力制御手段は、車速が高いほどロックアップクラッチを解放状態にするスロットル開度の増加量の判定基準値を小さくすることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体継ぎ手の締結力制御装置。
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