JP2001132832A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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JP2001132832A
JP2001132832A JP2000246477A JP2000246477A JP2001132832A JP 2001132832 A JP2001132832 A JP 2001132832A JP 2000246477 A JP2000246477 A JP 2000246477A JP 2000246477 A JP2000246477 A JP 2000246477A JP 2001132832 A JP2001132832 A JP 2001132832A
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shift
speed
speed ratio
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automatic transmission
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Atsushi Tabata
淳 田端
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速走行時の動力源の回転数を低下させるこ
とができるとともに、ビジーシフトを回避できる自動変
速機用の制御装置を提供する。 【解決手段】 車両の走行状態に応じて変速比を決定す
る自動モードと、変速比を人為的な操作によって設定す
る手動モードとに変更できる自動変速機の制御装置であ
って、前記自動モードで設定される最も小さい変速比よ
りも、前記手動モードで人為的に選択できる最も小さい
変速比を、小さい値にする最高速比制御手段(ステップ
6)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、動力源に対する
負荷や車速などの走行状態に基づいて変速比を設定する
ことのできる自動変速機に関し、特に、オーバードライ
ブ変速比を設定することのできる自動変速機の制御装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、車両に使用される内燃機
関や電動機などの動力源の出力特性は、発進から高速走
行に到る各走行状態で要求される出力に必ずしも一致し
ないので、動力源の出力側に変速機を配置して駆動トル
クを増大させたり、あるいは動力源の回転数を低下させ
るなどの制御をおこなっている。その変速機として、最
近では、車両の走行状態に応じて自動的に変速が実行さ
れる自動変速機が多用されており、また、動力源の出力
特性の改善や燃費の低減要求などに伴って、設定可能な
最も小さい変速比を“1”より小さいオーバードライブ
変速比とすることにより、高速走行時の動力源の回転数
を低下させるようになってきている。
【0003】このような背景の下に、有段式の自動変速
機の多段化が図られており、その一例が特開平8−17
7994号公報に記載されている。この公報に記載され
た自動変速機は、3組の遊星歯車機構を主体として構成
され、第5速と第6速とがオーバードライブ段となり、
かつその第6速において回転要素の回転数を抑制するよ
うに構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の公報に記載され
た自動変速機では、最高速段での変速比が、前進5段の
変速段を設定可能な自動変速機に比較して小さくなるか
ら、高速走行時のエンジン回転数を低下させて燃費を向
上させることができる。また回転要素が過剰に高速回転
することを防止できるので、この点でも燃費や耐久性の
点で有利である。
【0005】しかしながら、最高速段である第6速での
変速比が小さいことにより、第6速での走行時の駆動ト
ルクが小さくなり、そのため、第6速は、エンジン負荷
(スロットル開度もしくはアクセル開度)が小さく、か
つ車速がかなり高車速の場合に設定することになる。し
たがって第6速で走行している際に車速がわずか低下し
たり、あるいはアクセルペダルが踏み込まれてエンジン
負荷がわずか増大した場合であっても、車両の走行状態
が第5速の領域に入り、その結果、ダウンシフトが生じ
ることになる。またその後、車速が増大したり、あるい
はそれに伴ってアクセルペダルが戻されてエンジン負荷
が低下すると、走行状態が第6速の領域に入り、アップ
シフトが生じることになる。
【0006】このように自動変速機の変速段を多段化す
ることに伴って燃費などの点で有利になる反面、走行状
態に基づいた変速段領域が細分化されるために、走行状
態の僅かな変化によってアップシフトやダウンシフトが
頻繁に発生し、いわゆるビジーシフトによる違和感が生
じる可能性があった。
【0007】この発明は、上記の技術的課題に着目して
なされたものであり、最高変速比を小さくすることによ
るビジーシフトを防止するとともに、その最高変速比を
有効に使用することのできる自動変速機の制御装置を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、車両の走行状
態に応じて変速比を決定する自動モードと、変速比を人
為的な操作によって設定する手動モードとに変更できる
自動変速機の制御装置であって、前記手動モードで設定
できる最も小さい変速比を、前記自動モードで設定され
る最も小さい変速比よりも、小さい値にする最高速比制
御手段を備えていることを特徴とする制御装置である。
【0009】したがって請求項1の発明では、自動モー
ドで設定される最高変速比の領域がある程度広くなるの
で、走行状態の変化に基づく変速が生じにくくなり、い
わゆるビジーシフトが防止される。その場合、更に小さ
い変速比を使用することができないが、手動モードでは
その更に変速比の小さい最高変速比を設定することがで
き、そのため動力源の回転数を低下させて燃費を改善す
ることができる。
【0010】なお、その手動変速モードは、請求項2に
記載されているように、車両の走行状態に基づいて自動
的に設定される変速比の範囲すなわち変速レンジを手動
操作によって選択して設定するように構成することがで
きる。その場合、変速レンジの選択は、請求項3に記載
されているように、手動操作に基づく電気的な処理によ
っておこなうように構成することができる。
【0011】これに替え、前記手動モードは、請求項4
に記載されているように、人為的な操作に応じた変速比
を設定するように構成することができる。その場合、変
速比の設定は、請求項5に記載されているように、手動
操作に基づく電気的な処理によっておこなうように構成
することができる。
【0012】また、請求項6の発明は、出力軸にトルク
が生じない駆動状態を設定するための非走行ポジション
と、最も小さい最高速比の設定を禁止するための最高速
比禁止ポジションと、その最高速比の設定を許可するた
めの最高速比許可ポジションと、前記最高速比禁止ポジ
ションで設定可能な最も小さい変速比より大きい低速側
の所定の変速比および該所定の変速比より大きい変速比
を設定するための中速ポジションとを選択可能な自動変
速機の制御装置であって、前記非走行ポジションと最高
速比許可ポジションと中速ポジションとが、最高速比禁
止ポジションから互いに異なる方向に分岐して配置され
ていることを特徴とする制御装置である。
【0013】したがって請求項6の発明では、非走行ポ
ジションから選択される走行ポジションは、最高速比禁
止ポジションである。その場合、自動変速機で設定可能
な最も小さい最高速比が設定されないので、低負荷での
高速走行状態から走行状態がわずか変化してもダウンシ
フトが生じず、ビジーシフトが回避される。これに対し
て、最高速比許可ポジションは、最高速比禁止ポジショ
ンを経由して設定されるから、この最高速比許可ポジシ
ョンおよび最も変速比の小さい最高速比は、意図的な人
為操作によって設定される。言い換えれば、その最高変
速比を人為的に解除することができるので、走行状態の
比較的頻繁な変化およびそれに伴う最高変速比と他の変
速比との間の比較的頻繁な切り換えすなわちビジーシフ
トが生じる場合には、人為的操作によってこれを回避す
ることが可能になる。さらに、最高変速比を設定して走
行している状態で変速が生じるとしても、意図して設定
した変速段からの変速であるから、違和感を生じること
が回避される。
【0014】さらに、請求項7の発明は、複数の変速比
を設定することのできる自動変速機の制御装置であっ
て、走行抵抗が、所定値以上に大きい場合と前記所定値
より小さい他の所定値以下に小さい場合とのいずれかの
場合に、前記変速比のうち変速比が最も小さい最高速比
を禁止する最高速比禁止手段を備えていることを特徴と
する制御装置である。
【0015】したがって請求項7の発明では、登坂路を
走行している場合のように走行抵抗が大きい場合、ある
いは降坂路を走行している場合のように走行抵抗が小さ
い場合には、最も小さい変速比が禁止される。そのた
め、例えば登坂路で駆動力を増大させるために加速操作
してもダウンシフトが生じず、あるいは降坂路で車速を
低下させるために加速操作を解除してもアップシフトが
生じず、結局、実際に設定可能な変速比のうちで最も小
さい変速比の領域がある程度広くなるので、駆動トルク
が要求される走行状態での変速が生じにくくなり、ビジ
ーシフトを回避することができる。
【0016】その複数の変速比が、請求項8に記載され
ているように、2段以上のオーバードライブ変速比を含
むように構成することができる。
【0017】このような構成の場合、禁止される変速比
がオーバードライブ変速比のうちの最も変速比が小さい
オーバードライブ変速比となり、したがってビジーシフ
トをより効果的に回避でき、あるいは駆動力もしくは動
力源制動力を確保できる。
【0018】さらに、請求項9に記載されているよう
に、その最も変速比の小さいオーバードライブ変速比の
禁止を、車速が所定以上の高車速の場合に実行するよう
に構成することができる。
【0019】このような構成であれば、最高速比が高車
速・低負荷時に設定されるので、最高速比の禁止による
効果が顕著になる。
【0020】さらにまた、請求項10の発明は、走行予
定路とその走行予定路の道路状況とを検出可能な走行誘
導システムを備え、その走行誘導システムから得られる
走行予定路の道路状況に基づいて変速比を制御可能な自
動変速機の制御装置であって、前記走行誘導システムか
ら得られる走行予定路の道路状況が、車速が所定車速以
上の高速走行状態でかつ走行抵抗が所定値以上もしくは
その所定値より小さい他の所定値以下になる道路状況の
場合に、オーバードライブ変速比のうち最も小さい最高
速比を禁止する最高速比禁止手段を備えていることを特
徴とする制御装置である。
【0021】したがって請求項10の発明では、高速走
行が要求もしくは可能な走行路であってある程度大きい
駆動トルクが要求される道路状況、あるいは反対に要求
される駆動トルクが小さい道路状況が走行予定路中にあ
ることが検出された場合、その道路状況に到る前に最高
変速比が禁止される。すなわちその道路状況の走行予定
路を走行する場合には、駆動トルクを確保し、あるいは
エンジンブレーキ力を生じさせる駆動状態とすることが
できるので、車速の低下やそれに伴うダウンシフトおよ
びその後のアップシフト、あるいは反対に車速が増大す
ることによるアップシフトやその後の制動操作に伴うダ
ウンシフトなどのビジーシフトを事前に回避することが
でき、またアクセル操作と制動操作との頻繁な繰り返し
などを回避することができる。
【0022】その走行誘導システムは、請求項11に記
載されているように、予め記憶している道路情報に基づ
いて登坂路もしくは降坂路を予測するように構成するこ
とができ、あるいは請求項12に記載されているように
検出された加速度に基づいて登坂路もしくは降坂路を予
測するように構成することができる。これらいずれの場
合であっても、その予測の結果に基づいて最高速比が禁
止されて、駆動力もしくは動力源制動力が確保される。
【0023】この請求項10の発明に対して請求項13
の発明は、前記最高速比禁止手段によって最高速比が禁
止される際もしくは最高速比の禁止が解除される際に、
その最高速比の禁止もしくはその禁止の解除に伴って変
速が生じるか否かを判断する変速発生手段を更に備え、
この変速発生判断手段によって前記変速が生じないこと
が判断された場合に前記最高速比禁止手段による最高速
比の禁止もしくはその禁止の解除をおこなうように構成
されていることを特徴とする制御装置である。
【0024】また請求項10の発明に対して請求項14
の発明は、前記最高速比禁止手段によって最高速比が禁
止される際もしくは最高速比の禁止が解除される際に、
その最高速比の禁止もしくはその禁止の解除に伴って変
速が生じるか否かを判断する変速発生手段を更に備え、
この変速発生判断手段によって前記変速が生じることが
判断された場合に前記最高速比禁止手段による最高速比
の禁止もしくはその禁止の解除を一時保留するように構
成されていることを特徴とする制御装置である。
【0025】したがってこれら請求項13の発明あるい
は請求項14の発明によれば、最高速比の禁止もしくは
その禁止の解除の判断の成立のみによって変速が生じな
いので、すなわち車両の走行状態の変化や人為的な変速
操作などがない状態で変速が生じることがないので、違
和感を未然に防止することができる。
【0026】そして、請求項15の発明は、前方を走行
している車両に追従して走行するよう車両の各部を制御
する追従走行の可能な車両における自動変速機の制御装
置であって、前記追従制御が実行されている場合に、最
も小さい最高速比を禁止する最高速比禁止手段を備えて
いることを特徴とする制御装置である。
【0027】したがって請求項15の発明では、追従制
御中では最高変速比が設定されないので、常時、充分な
駆動トルクを確保でき、その結果、前方車両に対する追
従性あるいは追従応答性を向上させることができる。
【0028】なお、その追従制御は、請求項16に記載
されているように、ドライブポジション以外のシフトポ
ジションが選択されている場合には禁止することができ
る。
【0029】このような構成であれば、設定可能な変速
比に制限を設けた場合にその変速比の制限に伴う駆動力
や動力源制動力を反映した走行をおこなうことができ、
また追従走行の場合には設定可能な全ての変速比を有効
に使用できるので、追従走行が円滑になる。
【0030】そして、この発明では、請求項17に記載
されているように、自動変速機で設定可能な最も小さい
変速比を、オーバードライブ変速比とすることができ
る。
【0031】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。先ずこの発明で対象とすることのできる自
動変速機について説明する。図2はその一例を示すスケ
ルトン図であって、ここに示す自動変速機は、2組のシ
ングルピニオン型遊星歯車機構と1組のダブルピニオン
型遊星歯車機構と、複数の摩擦係合手段とを主体とした
主変速部G1と、1組のシングルピニオン型遊星歯車機
構と複数の摩擦係合手段とを主体とした副変速部G2と
によって、前進6段・後進1段の変速段を設定できるよ
うに構成されている。
【0032】先ず、主変速部G1について説明すると、
第1の遊星歯車機構1は、アウターギヤであるサンギヤ
S1と、このサンギヤS1と同心円上に配置されたイン
ナーギヤであるリングギヤR1と、これらのサンギヤS
1およびリングギヤR1に噛合するピニオンギヤP1を
自転かつ公転自在に保持しているキャリヤC1とを備え
たシングルピニオン型の遊星歯車機構である。また、第
2遊星歯車機構2は、アウターギヤであるサンギヤS2
と、このサンギヤS2と同心円上に配置されたインナー
ギヤであるリングギヤR2と、そのサンギヤS2に噛合
したピニオンギヤP2およびこのピニオンギヤP2とリ
ングギヤR2とに噛合したピニオンギヤP2とを自転か
つ公転自在に保持しているキャリヤC2とを備えたダブ
ルピニオン型の遊星歯車機構である。さらに、第3の遊
星歯車機構3は、アウターギヤであるサンギヤS3と、
このサンギヤS3と同心円上に配置されたインナーギヤ
であるリングギヤR3と、これらのサンギヤS3および
リングギヤR3に噛合するピニオンギヤP3を自転かつ
公転自在に保持しているキャリヤC3とを備えたシング
ルピニオン型の遊星歯車機構である。
【0033】これらの遊星歯車機構1,2,3における
回転要素同士が以下のように連結されている。すなわち
各遊星歯車機構1,2,3は同一軸線上に、ここに挙げ
た順序で配列されており、その第1遊星歯車機構1にお
けるキャリヤC1と第2遊星歯車機構2におけるキャリ
ヤC2とが、互いに一体となって回転するように連結さ
れている。また、第1遊星歯車機構1のリングギヤR1
と第2遊星歯車機構2のリングギヤR2と第3遊星歯車
機構3のキャリヤC3との三者が、互いに一体となって
回転するように連結されている。さらに、第2遊星歯車
機構2のサンギヤS2と第3遊星歯車機構3のサンギヤ
S3とが、互いに一体となって回転するように連結され
ている。
【0034】つぎに主変速部G1における摩擦係合手段
について説明すると、上記の第1遊星歯車機構1側に
は、第1遊星歯車機構1と同一軸線上に中空軸もしくは
中実軸などからなる中間軸4が配置されており、この中
間軸4と、互いに一体的に連結された前記第2遊星歯車
機構2のサンギヤS2および第3遊星歯車機構3のサン
ギヤS3とを選択的に連結する第1クラッチK1が設け
られている。また、中間軸4と第1遊星歯車機構1のサ
ンギヤS1とを選択的に連結する第2クラッチK2が設
けられている。さらに、中間軸4と、互いに連結されて
いる第1遊星歯車機構1のキャリヤC1および第2遊星
歯車機構2のキャリヤC2とを選択的に連結する第3ク
ラッチK3が設けられている。これらのクラッチK1,
K2,K3は、要は、選択的にトルクを伝達することの
できるものであればよく、油圧によって係合・解放させ
られる多板クラッチや乾式の単板クラッチ、もしくはこ
れらと一方向クラッチを組み合わせた構成のものなどを
適宜に使用することができる。
【0035】また、第1遊星歯車機構1のサンギヤS1
の回転を選択的に止めるバンドブレーキである第1ブレ
ーキB1が設けられている。さらに、そのサンギヤS1
の特定の方向の回転を選択的に止めるための互いに直列
に配列された一方向クラッチF1と多板ブレーキである
第2ブレーキB2とが、サンギヤS1とケーシングなど
の固定部5との間に配置されている。そして、互いに連
結された第1遊星歯車機構1のキャリヤC1および第2
遊星歯車機構2のキャリヤC2の回転を選択的に止める
多板ブレーキからなる第3ブレーキB3が、第1遊星歯
車機構1のキャリヤC1と固定部5との間に設けられて
いる。またさらに、第3遊星歯車機構3のリングギヤR
3の回転を選択的に止める多板ブレーキからなる第3ブ
レーキB3が、このリングギヤR3と固定部5との間に
配置されている。この第3ブレーキB3と並列に第2の
一方向クラッチF2が設けられ、リングギヤR3の特定
の方向の回転をこの第2の一方向クラッチF2によって
阻止するようになっている。そして、出力軸6が、第3
遊星歯車機構3におけるキャリヤC3に一体となって回
転するように連結されている。
【0036】一方、副変速部G2は、1組のシングルピ
ニオン型遊星歯車機構7を主体にして、高低2段の変速
状態に設定できるように構成されている。すなわちキャ
リヤC0が入力要素になっていてこのキャリヤC0に入
力軸8が連結されている。またキャリヤC0とキャリヤ
C0によって保持しているピニオンギヤP0が噛合する
アウターギヤであるサンギヤS0との間には、多板クラ
ッチK0と一方向クラッチF0とが、互いに並列の関係
となるように配置されている。なお、この一方向クラッ
チF0は、サンギヤS0がキャリヤC0に対して正回転
方向に相対的に回転しようとする際に係合するよう構成
されている。さらに、サンギヤS0を選択的に固定する
ための多板ブレーキB0が、サンギヤS0とハウジング
などの固定部5との間に設けられている。そして、リン
グギヤR0が、主変速部G1を構成している歯車変速機
構における中間軸4に連結されている。
【0037】さらに、副変速部G2の入力側にロックア
ップクラッチ付きのトルクコンバータ9が設けられてい
る。このトルクコンバータ9は、従来知られている構成
のものであって、フロントカバー10とポンプインペラ
11のシェルとによって密閉容器が形成され、その内部
にオイル(ATフルード)が封入されている。また、そ
の容器の内部でポンプインペラ11に対向する位置にタ
ービンランナ12が配置され、そのタービンランナ12
が前記入力軸8に一体的に連結されている。さらに、こ
れらポンプインペラ11とタービンランナ12との間で
その回転中心側の部分には、一方向クラッチ13で保持
したステータ14が配置されている。そして、ロックア
ップクラッチ15は、入力側の部材と出力側の部材とを
直接連結するためのものであって、フロントカバー10
の内面に対向しかつ接触・離隔自在に配置されており、
さらにタービンランナ12もしくはこれが取り付けられ
た部材に一体回転するように連結されている。
【0038】なお、自動変速機の入力回転数としてター
ビン回転数を検出するための回転数センサ16と、出力
回転数を検出するための回転数センサ17とが設けられ
ている。
【0039】上記の自動変速機Atは、図3に示すよう
に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどのエン
ジンEgもしくはエンジンEgと電動機とを組み合わせ
た動力源の出力側に連結された状態で車両に搭載され、
アクセル開度やスロットル開度によって判断されるエン
ジン負荷や車速あるいはタービン回転数などに基づいて
定まる走行状態に応じて、また手動操作に基づいて変速
段が電気的に制御されて設定されるようになっている。
すなわち、油圧の給排を電気的に制御される油圧制御装
置Bbが設けられていて、その油圧制御装置Bbを電子
制御装置ECUからの出力信号によって制御することに
より、自動変速機Atでの変速段を制御するようになっ
ている。その電子制御装置ECUは、従来の自動変速機
用電子制御装置と同様に、マイクロコンピュータを主体
として構成されており、車速信号Vやアクセル開度信号
Accなどの走行状態を示す入力信号と、予め記憶してい
る変速マップとに基づいて変速段を判断するようになっ
ている。また併せて、ロックアップクラッチ15の係合
・解放ならびに半係合(スリップを伴う係合状態)の制
御をおこなうようになっている。
【0040】また、油圧制御装置Bbでの油圧の給排状
態や供給経路を変更して走行ポジションや非走行ポジシ
ョンなどをシフトレバーLvによって選択するシフト装
置Srが設けられており、このシフト装置Srは、油圧
制御装置Bbにおけるマニュアルバルブなどの特定のバ
ルブに機械的に連結される一方、そのシフト装置Srに
設けられたスイッチなどのセンサが前記電子制御装置E
CUに電気的に接続されている。さらに、ステアリング
ホイールに設けられたスイッチが電子制御装置ECUに
電気的に接続され、そのスイッチの出力する信号を電子
制御装置ECUに入力するようになっている。
【0041】自動変速機Atにおける各変速段は、シフ
ト装置Srによって前進走行ポジションを選択した状態
で、電子制御装置ECUから出力される信号によって油
圧制御装置Bbが動作し、前述した摩擦係合手段を適宜
に係合・解放させることにより設定される。その走行ポ
ジションや、停止状態を維持するためのパーキング
(P)ポジション、後進走行のためのリバース(R)ポ
ジション、ならびにニュートラル(N)ポジションなど
の各ポジションは、シフト装置Srによって選択するよ
うになっている。各ポジションおよび変速段を設定する
ために電子制御装置ECUによって制御される各摩擦係
合手段の係合・解放の状態をまとめて示せば図4のとお
りである。
【0042】図4において、P,N,Rの各符号は、シ
フト装置Srによって選択されるパーキング、ニュート
ラル、リバースの各ポジションであり、また1stから
6thは、前進走行のためのポジションが選択されてい
る場合に設定される変速段を示す。また、図4におい
て、〇印は係合状態、◎印はエンジンブレーキ時に係合
状態、△印は係合しても動力の伝達に関与しないこと、
空欄は解放状態をそれぞれ示す。
【0043】この図4に示すように、上記の自動変速機
Atは、前進6段の変速段を設定することができ、その
前進段のうち第1速ないし第4速および第6速は、副変
速部G2を低速段、すなわちクラッチC0を係合させた
直結状態とし、かつ主変速部G1の各摩擦係合手段を適
宜に係合・解放させることにより設定される。また、第
5速は、主変速部G1を直結状態(主変速部G1の全体
が一体となって回転する状態)とし、かつ副変速部G2
を高速段として設定される。そして、その第5速と第6
速との変速比は、“1”より小さくなり、これらの変速
段が共にいわゆるオーバードライブ段となっている。
【0044】また、上記の自動変速機Atでは、エンジ
ン負荷や車速もしくはタービン回転数などの車両の走行
状態に基づいて変速段を決定する自動モードと人為的な
操作に基づいて変速段を決定する手動モードとに切り換
えることができるように構成されている。その手動モー
ドの一例が、スイッチ操作によってシフトレンジを切り
換えるモードであって、シフト装置Srによって特定の
ポジションを選択した状態でスイッチ操作することによ
りシフトレンジを切り換えるように構成されている。
【0045】具体的には、シフト装置Srでのシフトポ
ジションが図5に示すように配列して設けられている。
すなわち図5の上側が車両の前方側もしくは車両の上下
方向での上側であって、パーキング(P)、リバース
(R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)の各ポジ
ションが、ここに挙げた順序に直線的に配列されてい
る。そのドライブポジションに対して車両の横方向(幅
方向)に隣接する位置にマニュアル(M)ポジションが
設けられ、そのマニュアルポジションに対して車両の後
ろ方向もしくは下側に“4”ポジションが配置されてい
る。この“4”ポジションに対して斜め後方もしくは斜
め下側に“3”ポジションと“2”ポジションとが順に
配列されている。そしてその“2”ポジションに対して
車両の横方向(幅方向)に隣接する位置にLポジション
が設けられている。これらの各ポジションの選択は、図
3に示すシフトレバーLvによっておこなうように構成
されており、したがって各ポジションはシフトレバーL
vをガイドするための溝などの移動経路18によって連
結されている。
【0046】上記のMポジションは、スイッチを手動操
作することによりシフトレンジを切り換えためのポジシ
ョンであり、このMポジションが選択されることにより
動作可能となるダウンスイッチ19とアップスイッチ2
0とが設けられている。これらのスイッチ19,20の
設置位置は必要に応じて適宜に決めることができるが、
その一例を示すと、図6に示すように、ステアリングホ
イール21のスポーク部分に設けることができる。その
場合、ダウンスイッチ19を運転者に向けた表面側、ア
ップスイッチ20をこれとは反対の裏面側に設けること
が好ましい。
【0047】上記の例とは異なり、シフトポジションの
選択とシフトレンジの切り換えとの両方の操作をシフト
レバーLvによっておこなうように構成することもでき
る。その例を図7に示してある。ここに示す例では、上
述したMポジションを除くパーキングポジションからL
ポジションまでの各ポジションが、車両の前後方向もし
くは上下方向に沿って直線的に配列され、かつそれらの
ポジションがシフトレバーLvをガイドする溝などの移
動経路18によって連結されている。そのドライブポジ
ションに対して車両の横方向(幅方向)に隣接する位置
にマニュアル(M)ポジションが設けられ、さらにその
Mポジションに対して車両の前後方向もしくは上下方向
の両側に、アップ(+)ポジションとダウン(−)ポジ
ションとが設けられている。そして、特には図示しない
が、これらのアップポジションとダウンポジションとに
スイッチが設けられ、シフトレバーによってこれらのス
イッチがオン動作させられてシフトレンジを切り換える
ためのアップ信号およびダウン信号が出力されるように
なっている。
【0048】上記の各シフトポジションは、設定可能な
変速段の範囲すなわちシフトレンジを選択するためのも
のであり、各ポジション毎のシフトレンジ(変速レン
ジ)は図8に示すように構成されている。先ず、ドライ
ブポジションは、シフトレバーをこのポジションに移動
させることにより設定され、このドライブポジションで
設定可能な変速段は前進第1速ないし第5速の5つの変
速段である。また、“4”ポジションでは第1速ないし
第4速、“3”ポジションでは第1速ないし第3速、
“2”ポジションでは第1速および第2速、Lポジショ
ンでは第1速がそれぞれ設定され、いずれもドライブポ
ジションよりも選択可能な変速比の範囲が狭くなってい
る。これらのポジションで設定可能な変速段は、エンジ
ン負荷や車速などの走行状態に基づいて電子制御装置E
CUによって決定され、その変速段への変速が実行され
る。したがってこれらのポジションでの変速は、シフト
レバーLvをそれぞれのポジションに固定した状態で走
行状態に応じてのみ実行される自動モードでの変速とな
る。
【0049】これに対してMポジションは、シフトレバ
ーLvをドライブポジションもしくは“4”ポジション
から移動させた後、アップスイッチ20を手動でON操
作し、もしくはシフトレバーをアップ(+)ポジション
に1回手動で移動させることによって設定されるポジシ
ョンである。したがって人為的な手動操作を介在させる
必要があるシフトポジションであることにより、手動モ
ードでの変速となる。すなわちこのMポジションでは、
図9に示すように、第2のオーバードライブ段である第
6速を含めた前進6速の変速段を設定することが可能に
なる。言い換えれば、ドライブポジションの第5速で走
行している際に車速が増大し、それに伴ってMポジショ
ンに手動でシフトし、かつアップシフトのスイッチ操作
をすることにより、第5速から第6速へのアップシフト
を実行することができ、これは手動での変速と同様の状
況である。
【0050】また、Mポジションをシフトレバーで選択
した状態で、前述したダウンスイッチ19を手動でON
操作する都度、もしくはシフトレバーをダウン(−)ポ
ジションに移動させる都度、シフトポジションが低速側
のポジションに切り替わる。すなわちドライブ(D)ポ
ジション、“4”ポジション、“3”ポジション、
“2”ポジション、Lポジションの順に切り替わる。ま
た、Lポジションからはアップスイッチ20を手動でオ
ン動作する都度、もしくはアップ(+)ポジションにシ
フトレバーLvを移動する都度、これとは反対の順序で
シフトポジションが切り替わる。その場合の各シフトポ
ジションで設定可能な変速段の幅すなわちシフトレンジ
は、図8あるいは図9に示すように、自動モードの場合
と同様である。
【0051】したがって自動モードでは、シフトレバー
LvをMポジションに固定したまま、設定可能な最高速
段をスイッチ操作によって人為的に切り換えることがで
きる。一般に車両が定速走行している場合には、自動変
速機の変速段はその時点のシフトポジションでの最高速
段が設定されているから、手動でスイッチ操作すること
により設定可能な最高速段が変更され、それに伴う変速
が生じる。したがってMポジションでのシフトレンジの
切り換えは、実質的に手動変速となる。なお、これらの
自動モードで切り換えられたシフトレンジごとの最高速
段では、エンジンブレーキが効くように摩擦係合手段の
係合・解放状態が制御される。具体的には、図4に◎印
で示す摩擦係合手段が係合させられる。
【0052】上述した第2のオーバードライブ段である
第6速は、シフトレバーをドライブポジションに設定す
ることによる自動モードで設定することができず、すな
わち禁止され、これに対してシフトレバーをMポジショ
ンに設定し、かつレンジアップのためのスイッチ操作を
おこなう手動モードで設定することができ、すなわち許
可される。このような第6速の禁止と許可との切り換え
の制御は、変速段領域をスロットル開度(もしくはアク
セル開度)と車速とによって決めた変速マップを変更す
ることにより実行される。図10には、第6速の変速段
領域を設定した変速マップの一部を示してある。
【0053】この図10において、実線がアップシフト
線であり、また破線がダウンシフト線であって、走行状
態がこれらの変速線を横切って変化することにより変速
が実行される。これは、通常の自動変速機と同様であ
る。この図10に示すように、第6速の変速段領域は、
第5速の変速段領域よりも高車速側でかつ比較的小さい
スロットル開度領域に設定されている。したがって第6
速は、エンジン負荷が小さくかつ車速がかなり高い(例
えば120〜130km/h以上)領域で設定される。
これに対して第5速までの変速段が設定されるシフトポ
ジションもしくはシフトレンジが選択されている場合に
は、図10における第6速の変速段領域のない変速線図
が採用され、その変速線図に従って変速が実行される。
すなわち第6速が設定されることはない。
【0054】なお、図11には、ロックアップクラッチ
15の係合・解放を制御するためのロックアップ線図の
一部を示してある。これは、第6速が設定されることに
合わせてロックアップクラッチ15を制御するためのも
のであり、第6速が設定される際にロックアップクラッ
チ15を係合させる領域が、高車速・低スロットル開度
領域に設定されている。この図11において、実線が係
合線を示し、破線が解放線を示しており、第6速での走
行状態がこれらの線を横切って変化することによりロッ
クアップクラッチ15が係合されあるいは解放されるよ
うになっている。
【0055】上述した例は、Mポジションでのシフトレ
ンジをスイッチの手動操作によって切り換えるように構
成した例であるが、シフトレンジを手動操作で切り換え
る替わりに、変速段を切り換えるように構成することも
できる。すなわち、ドライブポジションないしLポジシ
ョンの各シフトポジションでは、走行状態に応じて各変
速段を設定する自動モードとして制御し、これに対して
Mポジションでは、アップスイッチ20やダウンスイッ
チ19もしくはこれらに対応するアップポジションやダ
ウンポジションのスイッチが動作させられるごとに、変
速段を1段アップし、もしくはダウンするように、手動
モードとして構成することができる。具体的には、それ
らのスイッチからの信号に基づいて、現状の変速段に対
して1段高速側の変速段もしくは低速側の変速段への変
速信号を電子制御装置ECUから出力するように構成す
ることができる。
【0056】その場合、図9に示すように、自動モード
では第5速を最高速段(最高変速比)とし、これに対し
てMポジションが選択されている際に設定される手動モ
ードでは、第6速を最高速段(最高変速比)として制御
される。すなわち第6速は運転者による人為的操作によ
ってのみ設定可能となるように構成される。
【0057】上述した各シフトポジションでの変速制御
およびMポジションでのスイッチ操作に基づくシフトレ
ンジの切換制御、ロックアップクラッチ15の係合・解
放の制御ならびにそれらの制御を成立させるための油圧
の制御をおこなうために、電子制御装置ECUには以下
に挙げる信号が入力され、また出力されている。すなわ
ち図12に示すように、タービン回転数センサ16から
の信号、ABS(アンチロックブレーキ)コンピュータ
からの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュ
ータからの信号、エンジン回転数NE 、エンジン水温、
イグニッションスイッチからの信号、バッテリSOC
(State of Charge:充電状態)、ヘッドライトのオン
・オフ信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンの
オン・オフ信号、車速信号、自動変速機(AT)油温、
シフトポジション、サイドブレーキのオン・オフ信号、
フットブレーキのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触
媒)温度、アクセル開度、カム角センサからの信号、ア
ップスイッチ20からの信号((+)信号)、ダウンス
イッチ19からの信号((−)信号)、車両加速度セン
サからの信号、レーザ信号、レーザクルーズセット信号
などが、電子制御装置ECUに入力されている。なお、
バッテリSOCは、上記の自動変速機Atをハイブリッ
ド車に搭載した場合に、動力源としての電動機を駆動す
るバッテリもしくは回生制御の際に蓄電するためのバッ
テリの状態を検出し、その検出結果に基づいた制御をお
こなうために入力されている。また、レーザ信号および
レーザクルーズセット信号は、レーザレーダを使用して
前方車両を検出し、その前方車両との間に所定の車間距
離を維持しつつ前方車両に追従して自動走行するレーザ
クルーズ制御もしくは追従制御のための信号である。
【0058】また、出力信号の例を挙げると、点火信
号、噴射(燃料の噴射)信号、ATソレノイドへの信
号、入力クラッチ用ソレノイドバルブに対する信号、A
Tライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSア
クチュエータへの信号、スポーツモードインジケータへ
の信号、VSCアクチュエータへの信号、ATロックア
ップコントロールソレノイドバルブへの信号、第6速で
ある第2オーバードライブ段インジケータへの信号など
である。ここで、入力クラッチとは、ハイブリッド車も
しくは一時的な停車時にエンジンの自動停止・再始動を
おこなうエコラン車において、エンジンと駆動系統とを
選択的に連結・遮断するためのクラッチである。
【0059】上述したように第6速は、変速比が“1”
の直結段よりも2段、高速側のオーバードライブ段であ
り、その変速比がかなり小さく、得られる駆動トルクが
小さくなる。そのため、第6速の変速段領域は、高車速
・低スロットル開度の領域として設定されている。その
ため、高速走行時のエンジン回転数を低く抑えて高速燃
費を向上させることができるが、その反面、スロットル
開度で表されるエンジン負荷がわずか増大したり、車速
がわずか低下することによりダウンシフトが生じ易く、
またその後にアップシフトが生じるビジーシフトとなり
易い。
【0060】そこでこの発明に係る上述した構成の制御
装置では、第2オーバードライブ段である第6速の制御
を以下のように実行する。図1はその制御の一例を説明
するためのフローチャートであり、先ず、データの読み
込みなどの入力信号の処理(ステップS1)をおこな
い、ついでシフトレバーで選択されているシフトポジシ
ョンがD、“4”、“3”、“2”、Lのいずれかのポ
ジションか否かが判断される(ステップS2)。この判
断は、例えばシフト装置Srに設けたスイッチから出力
される信号に基づいて判断することができる。これらの
シフトポジションは自動モードで変速段が設定されるポ
ジションである。これらいずれかのシフトポジションが
シフトレバーLvによって選択されていることによりス
テップS2で肯定判断された場合には、その選択されて
いるシフトポジションに対応する変速段列(ギヤ段列)
が設定される(ステップS3)。すなわち図8の自動モ
ードの欄に示す変速段の領域を定めた変速マップが読み
出されてその変速マップに基づいた変速制御が実行され
る。
【0061】これに対してステップS2で否定判断され
た場合には、MポジションがシフトレバーLvによって
選択されているか否かが判断される(ステップS4)。
このステップS4で否定判断された場合には、前進走行
する状態とはなっていないので、特に制御をおこなうな
うことなくリターンする。またMポジションが選択され
ていることによりステップS4で肯定判断された場合に
は、ドライブ(D)ポジションからのアップレンジ操作
(+オン)されたか否かが判断される(ステップS
5)。このアップレンジ操作は、図5および図6に示す
例では、シフトレバーをMポジションに移動させた状態
で、アップスイッチ20を1回、オン操作することによ
り実行される。また図7に示す例では、シフトレバーを
Mポジションからアップ(+)ポジションに1回、移動
させることにより実行される。
【0062】このようなアップレンジ操作が実行された
場合、すなわちステップS5で肯定判断された場合、手
動モードとなって第2のオーバードライブ段である第6
速を含む前進6段の変速段を設定可能な変速パターンが
設定される(ステップS6)。すなわち図8の手動モー
ドの欄のうち最上段に記載されている変速段の領域を設
定した変速マップ(図10に一部を示してある変速マッ
プ)が読み出され、その変速マップに従って変速制御が
実行される。また併せてロックアップクラッチ15の制
御パターンが図11に示すパターンに変更される。
【0063】したがってこの制御では、第6速を設定
し、もしくは設定可能な状態とする操作がスイッチによ
る手動操作となり、その結果、シフトレンジが選択され
た状態となるので、それ以降の変速は、車両の走行状態
および変速マップに基づいて自動的に実行される。な
お、ステップS6で第6速までの変速が可能になると、
そのことを示す表示(例えば第2オーバードライブ段O
Nの表示)がおこなわれる(ステップS7)。
【0064】このようにして設定される第2オーバード
ライブ段である第6速は変速比が小さいので、第6速で
走行している状態では、駆動トルクに余裕がなく、アク
セルペダルの僅かな踏み込みなどによってダウンシフト
が生じる。しかしながら、そのような状態は、上述した
ように手動によるスイッチ操作によって設定される駆動
状態であり、走行状態に基づく頻繁な変速を回避するこ
とを望む場合には、ダウンスイッチ19を操作し、もし
くはダウン(−)ポジションにシフトレバーLvを1回
操作することにより、第6速を設定しない変速パターン
に切り換えることができるので、ビジーシフトやそれに
伴う違和感を回避できる。
【0065】これに対してMポジションが選択されてい
るものの、アップ操作がおこなわれないことにより、ス
テップS4で否定判断された場合には、各シフトレンジ
に対応した変速段が設定される(ステップS8)。すな
わち図8の手動モードの欄のうち第2段目以下に示す変
速段を設定することのできる変速マップが、選択されて
いるシフトレンジに応じて読み出され、その変速マップ
に従った変速制御が実行される。そして、第6速を設定
できない状態であることの表示(例えば第2オーバード
ライブ段OFFの表示)がおこなわれる(ステップS
9)。
【0066】なお、上記の制御例は、変速レンジを手動
操作で切り換える例であるが、シフトレバーLvによっ
てMポジションを選択している状態でアップスイッチ2
0もしくはダウンスイッチ19を操作することにより、
変速段自体を切り換えるように構成することができる。
その場合の変速段列は、図9の手動モードの欄に示すと
おり第6速ないし第1速の前進6段の変速段である。こ
れに対してMポジション以外の前進走行のためのポジシ
ョンでは走行状態に基づいて変速段が設定される自動モ
ードとなり、その場合の変速段は、図9の自動モードの
欄に示すとおり、最高速段を第5速とした前進5段の変
速段である。したがって各シフトレンジの替わりに各変
速段を、手動操作によって選択するように構成した場合
であっても、第2オーバードライブ段である第6速は、
手動操作によって選択して設定することになり、そのた
め、変速比が小さいことによる不都合が感じられれば、
第6速を設定しないことを選択でき、そのような不都合
を回避できる。
【0067】ここで上記の具体例とこの発明との関係を
説明すると、図1に示すステップS6の制御を実行する
機能的手段が、請求項1の発明における最高速比制御手
段に相当する。
【0068】上述した具体例から知られるように第2の
オーバードライブ段である第6速では、変速比が小さい
ことにより高速走行時のエンジン回転数を低下させて燃
費を向上させることができる反面、第6速が設定されて
いる状態での余裕駆動力が少ないために、アクセルペダ
ルの僅かな踏み込みなどによって第6速からのダウンシ
フトが生じやすい。そこで、第6速は、意図的な選択操
作によって設定することが好ましく、上記の具体例で
は、手動モードにおいてのみ設定可能としている。この
ような構成に替えて、自動モードで第6速を設定可能な
特別な変速パターンを、他の一連の変速パターンから独
立して設けることにより、第6速を設定するためには、
人為的な手動操作を必要とするように構成することがで
きる。
【0069】その例を以下に説明すると、図13はシフ
トレバーで選択できるシフトポジションの配列を示す図
であり、第5速までの変速段を設定可能な第1ドライブ
ポジションD5が非走行ポジションであるニュートラル
(N)ポジションに続けて配置されている。これは、上
述した具体例や通常の自動変速機におけるシフト装置と
同様である。この第1ドライブポジションD5の横方向
に隣接して“4”ポジションが配置され、これに続けて
“3”ポジションおよび“2”ポジションならびにLポ
ジションが連続して配置され、かつシフトレバーをガイ
ドする溝などの移動経路18によって接続されている。
なお、“4”ポジションは第4速までの変速段を設定す
るポジション、“3”ポジションは第3速までの変速段
を設定するポジション、“2”ポジションは第2速まで
の変速段を設定するポジション、Lポジションは第1速
を設定するポジションであり、これらは上述した具体例
あるいは通常の自動変速機と同様である。
【0070】これに対して第2のオーバードライブ段で
ある第6速までの変速段を設定することのできる第2ド
ライブポジションD6が、第1ドライブポジションD5
に対して、“4”ポジションとは反対側に隣接して配置
され、かつシフトレバーLvの移動経路18によって接
続されている。言い換えれば、第1ドライブポジション
D5から互いに異なる三方向に非走行ポジションである
ニュートラルポジションと、“4”ポジションと、第2
ドライブポジションD6とが配置され、かつ移動経路1
8によって接続されている。
【0071】車両の通常の走行では、シフトレバーをパ
ーキングポジションから第1ドライブポジションD5に
シフトし、また加減速のために“4”ポジションないし
Lポジションにシフトレバーをシフトする。これらのパ
ーキングポジションからLポジションまでの各シフトポ
ジションは、一部屈曲しているものの一連の移動経路1
8によって接続された状態で配置されている。これに対
して、第6速までの変速段を設定することのできる第2
ドライブポジションD6は、その一連の移動経路18か
ら第1ドライブポジションD5の部分で分岐した状態で
配置されている。
【0072】上記のシフトポジションを備えた制御装置
による制御例を説明すると、図14において、先ず、入
力信号の処理(ステップS11)をおこない、ついで第
1ドライブポジションD5がシフトレバーLvによって
選択されているか否かが判断される(ステップS1
2)。このステップS12で肯定判断された場合には、
第1のオーバードライブ段である第5速までの変速段を
設定することのできる変速パターン(OD1段パター
ン)が設定される(ステップS13)。具体的には第5
速までの変速段領域を設定した変速マップが読み込ま
れ、その変速マップに従った変速制御が実行される。そ
の場合、最高速段が第5速であって駆動力に余裕がある
ので、ビジーシフトが発生しない。
【0073】一方、第1ドライブポジションD5が選択
されていないことによりステップS12で否定判断され
た場合には、第2ドライブポジションD6が選択されて
いるか否かが判断される(ステップS14)。第2ドラ
イブポジションD6が選択されていることによりこのス
テップS14で肯定判断された場合には、第6速までの
変速段を設定することのできる変速パターン(OD2段
パターン)が設定される(ステップS15)。具体的に
は、前述した図10に示す第6速の変速段領域が設定さ
れた変速マップが読み込まれ、その変速マップに従った
変速制御が実行される。その場合、同時にロックアップ
パターンとして図11に示すパターンが設定される。そ
の結果、高車速時には第6速が設定され、その変速比が
小さいことによりエンジン回転数が低下し、燃費が良好
になる。また、第6速では余裕駆動力が少なく、アクセ
ル開度の僅かな増大や車速の僅かな低下によってダウン
シフトが生じやすくなる。
【0074】なお、第2ドライブポジションD6以外の
シフトポジションが選択されていることによりステップ
S14で否定判断された場合には、実際に選択されてい
るそれぞれのポジションに応じたシフトパターンが設定
される(ステップS16)。
【0075】したがって上記の制御例においては、第2
のオーバードライブ段である第6速は、第1ドライブポ
ジションD5から通常の“4”ポジションとは反対方向
の第2ドライブポジションD6が選択されることにより
設定可能となる。そしてこの第2ドライブポジションD
6は、通常の走行時や加減速もしくは前後進を頻繁に繰
り返すガレージシフト時などにおいて使用されるシフト
レバーLvの操作経路から外れて配置されている。その
ため、第6速を設定するためには、意図的な人為操作が
必要になる。これは、上述した具体例と同様であり、し
たがって第6速で走行したり、その際の余裕駆動力の不
足による変速が生じたりすることは、運転者が既に認識
もしくは了解していることである。そのため、意図しな
い走行状態が生じるわけではないので、違和感が生じる
ことがなく、またその走行状態を回避するためには、第
2ドライブポジションD6から第1ドライブポジション
D5にシフトすることにより第6速を禁止すればよく、
この点でも走行中での違和感を回避することができる。
【0076】なお、第2ドライブポジションD6は、M
ポジションのあるシフト装置にも設けることができる。
その例を図15に示してある。ここに示す例において
も、第2ドライブポジションD6は、第1ドライブポジ
ションD5から“4”ポジションとは異なる方向に分岐
した移動経路18上に設けられている。したがってこの
ような構成であっても、第6速を設定するためには意図
的な操作を必要とするので、第6速での走行やその際の
変速の頻度などは運転者が了解したものとなり、あるい
は走行ポジションを切り換えることにより、第6速やそ
れに伴うビジーシフトを解消することができる。
【0077】ここで、図13ないし図15に示す具体例
とこの発明との関係とを説明すると、第1ドライブポジ
ションD5が請求項6の発明における最高速段禁止ポジ
ションに相当し、また第2ドライブポジションD6が請
求項6の発明における最高速段許可ポジションに相当
し、“4”ポジションが請求項6の発明における中速ポ
ジションに相当し、さらにニュートラルポジションが請
求項6の発明における非走行ポジションに相当する。
【0078】ところで自動変速機Atにおける変速制御
は、一例として上述したように変速マップに基づいて実
行され、したがってその変速マップを変更すれば、異な
る変速パターンで変速を実行することができる。その変
速マップの切り換えには、変速段領域の異なるもの、す
なわち設定可能な変速段数の異なるものも含まれる。そ
して、その変速マップは電子制御装置に予め記憶されて
いるものを読み込むことにより切り換えることができ
る。以下に説明する具体例は、このような機能を利用し
て第2のオーバードライブ段である第6速を選択的に設
定するように構成した例である。
【0079】この具体例におけるシフトレバーLvで選
択されるシフトポジションは図16に示すように配列さ
れている。すなわちパーキング(P)、リバース
(R)、ニュートラル(N)、ドライブ(D)、
“5”、“4”、“3”、“2”、Lの各ポジションが
直列的に配列され、かつシフトレバーLvをガイドする
溝などの移動経路18によって接続されている。これら
のポジションのうち前進走行のためのドライブポジショ
ンないしLポジションで設定される変速段は、図17に
示すとおりである。すなわちドライブポジションが選択
されている場合に第1速から第6速までの変速段が走行
状態に応じて設定され、以下、“5”ポジションからL
ポジションに従ってそれぞれの最高速段が1段ずつ低い
変速段となるように構成されている。これらの各シフト
ポジションの切り換えは、具体的には、それぞれに応じ
た変速段領域を設定してある変速マップを読み込むこと
により実行され、あるいはこれに相当する信号の処理を
おこなうことにより実行される。
【0080】その変速マップもしくは変速パターンの変
更制御の例を次に説明する。図18はその一例を説明す
るためのフローチャートであり、入力信号の処理(ステ
ップS21)をおこなった後に、ドライブポジションが
選択されているか否かが判断される(ステップS2
2)。ドライブポジション以外のポジションが選択され
ている場合には、その選択されているポジションに応じ
た変速パターンを設定すればよいので、この図18のル
ーチンから抜ける。これとは反対にドライブポジション
が選択されていることによりステップS22で肯定判断
された場合には、第2のオーバードライブ段である第6
速を設定しない変速パターン(OD2カットパターン)
が設定されているか否かが判断される(ステップS2
3)。すなわちシフトレバーLvをドライブポジション
に設定したまま電気的な処理によって第6速を禁止する
変速パターンが設定されているか否かが判断される。
【0081】このステップS23で否定判断された場
合、すなわち第6速を設定することができる変速パター
ンとなっている場合には、ナビゲーションシステムによ
って高車速登坂路が走行予定路にあるか否かが判断され
る(ステップS24)。このナビゲーションシステム
は、電子化した地図情報を予め記憶するとともに、グロ
ーバルポジショニングシステム(GPS)やジャイロを
使用した自律航法などによって地図上の自車両位置を検
出して所定のディスプレイに表示し、また目的地を入力
することにより現在位置からの推奨走行路を求めて表示
し、さらにはこのようにして求められた推奨走行路ある
いは走行予定路の道路状況すなわちカーブの有無やその
程度、道路の種別、登降坂路の区別やその勾配、道路の
舗装の状態、路面摩擦係数などを出力するように構成さ
れている。なお、このナビゲーションシステムとしては
従来知られているものを採用することができる。ナビゲ
ーションシステムは、このように走行予定路とその道路
状況を検出できるので、ステップS24でその道路情報
に基づいて高速走行路であってかつ所定以上の勾配の登
坂路が走行予定路にあるか否かが判断される。
【0082】その時点では設定可能な最高速段である第
6速で走行しており、したがってこのステップS24で
肯定判断された場合には、第6速を禁止することに伴っ
て変速が発生するか否かが判断される(ステップS2
5)。高速登坂路の走行に備えた第6速の禁止制御のた
めの予備的な判断であり、第6速を禁止することに伴っ
て変速(ダウンシフト)が発生するとすれば、その変速
は、現在の走行状態や意図的な変速操作によるものでは
ないから、違和感の原因となる。そこでステップS25
で肯定判断された場合には、そのような違和感を避ける
ために特に制御をおこなうことなくリターンする。これ
に対して変速が生じないことが判断された場合、すなわ
ちステップS25で否定判断された場合には、第2のオ
ーバードライブ段である第6速を禁止した変速パターン
(OD2カット変速パターン)が設定される(ステップ
S26)。具体的には第6速の変速段領域のない変速マ
ップが読み込まれ、その変速マップに基づいて変速制御
が実行される。
【0083】一方、ステップS24で否定判断された場
合には、実際の走行状態から高速登坂路を判定する(ス
テップS27)。すなわち高速状態は実際の車速が所定
の判断基準車速以上か否かによって判断することがで
き、また所定以上の勾配の登坂路であることは、実加速
度がスロットル開度に応じた基準加速度より小さいこと
によって判断することができる。なお、高速道路の勾配
は急激には増大しないので、加速度の低下率に基づいて
高速登坂路が走行予定路にあることを予測してもよい。
【0084】このステップS27の判断はナビゲーショ
ンシステムによる判断に替わるものであるから、ステッ
プS27で肯定判断された場合には、ステップS24で
肯定判断された場合と同様に、ステップS25に進ん
で、第6速を禁止した場合に変速が生じるか否かが判断
され、変速が生じないと判断された場合には第6速を禁
止する変速パターンが設定され、反対に変速が生じると
判断された場合には、リターンする。
【0085】なお、上記のステップS24およびステッ
プS27は、要は、走行抵抗の大小を判定するステップ
であり、したがってナビゲーションシステムで得られる
勾配情報もしくは実加速度を走行抵抗として数値化し、
これを判断基準として予め定めた所定値と比較すること
としてもよい。
【0086】また、前記ステップS26が既に実行され
ていることによりステップS23で肯定判断された場合
には、第6速を禁止する制御からの復帰のための制御を
おこなう。すなわち、先ず、ナビゲーションシステムに
よって高速登坂路が判定される(ステップS28)。高
速登坂路が走行予定路にあることによりステップS28
で肯定判断された場合には、第2のオーバードライブ段
である第6速を禁止しておくために、すなわち従前の制
御を継続するために、特に制御をおこなうことなくリタ
ーンする。
【0087】これに対してナビゲーションシステムによ
って高速登坂路が判定されていないことによりステップ
S28で否定判断された場合には、実際の走行状態すな
わち実車速および実加速度から高速登坂路の有無が判定
される(ステップS29)。なおこの場合も、高速道路
の勾配は急激には低下しないので、加速度の増大率に基
づいて高速登坂路が終了することを予測してもよい。高
速登坂路が終了していないことによりステップS29で
肯定判断された場合には、ステップS28で肯定判断さ
れた場合と同様に、第2のオーバードライブ段である第
6速を禁止しておくために、すなわち従前の制御を継続
するために、特に制御をおこなうことなくリターンす
る。
【0088】これとは反対にステップS29で否定判断
されれば、ナビゲーションシステムによる判断と実加速
度に基づく判断との両方から高速登坂路が終了したこと
になり、したがってその場合には、第6速を禁止する制
御からの復帰制御をおこなうための予備的な判断とし
て、第6速を設定できる変速パターンに切り換えた場合
に変速が生じるか否かが判断される(ステップS3
0)。第6速を設定できる変速パターンに切り換えるこ
とに伴って変速が生じることによりステップS30で肯
定判断された場合には、意図しない変速が生じることを
避けるために、特に制御をおこなうことなくリターンす
る。これに対して変速が生じないことによりステップS
30で否定判断された場合には、第2のオーバードライ
ブ段である第6速を設定することのできる変速パターン
に変更する(ステップS31)。具体的には、前述した
図10に示す変速マップが読み込まれ、その変速マップ
に従った変速制御が実行される。その場合、ロックアッ
プクラッチ15を制御するロックアップマップを図11
に示すものに変更してもよい。
【0089】なお、上記のステップS28およびステッ
プS29は、要は、走行抵抗の大小を判定するステップ
であり、したがってナビゲーションシステムで得られる
勾配情報もしくは実加速度を走行抵抗として数値化し、
これを判断基準として予め定めた他の所定値と比較する
こととしてもよい。
【0090】したがって上述した制御をおこなうことに
より、高速登坂路を走行する場合には、駆動力に余裕の
ある第1のオーバードライブ段である第5速で走行する
ことになり、その結果、車速を維持するなどのためにア
クセルペダルをわずか踏み込んでもダウンシフトが生じ
ることがなく、ビジーシフトを回避することができる。
また、高速登坂路の終了に伴って第2のオーバードライ
ブ段である第6速を設定することが可能になるので、高
速走行時のエンジン回転数を低下させて燃費を向上させ
ることができる。
【0091】上述した図18に示す例は、高速での登坂
時にアクセルペダルを僅かに踏み込んでもダウンシフト
が生じないようにする制御例であるが、この発明では高
速での降坂時に第5速から第6速へのアップシフトを生
じないようにして車速を維持するように制御し、ひいて
は高速降坂時のビジーシフトを回避することもできる。
その例を図19に示してある。
【0092】図19はその一例を説明するためのフロー
チャートであり、このルーチンは、上記の図18に示す
ルーチンと類似する制御ステップを備えており、したが
って図19の各制御ステップには、図18に示す対応す
る制御ステップの番号に“100”を加えた番号を付し
てある。すなわち、図19において、入力信号の処理
(ステップS121)をおこなった後に、ドライブポジ
ションが選択されているか否かが判断される(ステップ
S122)。ドライブポジション以外のポジションが選
択されている場合には、その選択されているポジション
に応じた変速パターンを設定すればよいので、この図1
9のルーチンから抜ける。
【0093】これとは反対にドライブポジションが選択
されていることによりステップS122で肯定判断され
た場合には、第2のオーバードライブ段である第6速を
設定しない変速パターン(OD2カットパターン)が設
定されているか否かが判断される(ステップS12
3)。すなわちシフトレバーLvをドライブポジション
に設定したまま電気的な処理によって第6速を禁止する
変速パターンが設定されているか否かが判断される。
【0094】このステップS123で否定判断された場
合、すなわち第6速を設定することができる変速パター
ンとなっている場合には、ナビゲーションシステムによ
って高車速降坂路が走行予定路にあるか否かが判断され
る(ステップS124)。このナビゲーションシステム
は、電子化した地図情報を予め記憶するとともに、グロ
ーバルポジショニングシステム(GPS)やジャイロを
使用した自律航法などによって地図上の自車両位置を検
出して所定のディスプレイに表示し、また目的地を入力
することにより現在位置からの推奨走行路を求めて表示
し、さらにはこのようにして求められた推奨走行路ある
いは走行予定路の道路状況すなわちカーブの有無やその
程度、道路の種別、登降坂路の区別やその勾配、道路の
舗装の状態、路面摩擦係数などを出力するように構成さ
れている。なお、このナビゲーションシステムとしては
従来知られているものを採用することができる。ナビゲ
ーションシステムは、このように走行予定路とその道路
状況を検出できるので、ステップS124でその道路情
報に基づいて高速走行路であってかつ所定以上の下り勾
配(例えば−5%以上の下り勾配)の降坂路が走行予定
路にあるか否かが判断される。
【0095】その時点では設定可能な最高速段である第
6速で走行しており、したがってこのステップS124
で肯定判断された場合には、第6速を禁止することに伴
って変速が発生するか否かが判断される(ステップS1
25)。高速降坂路の走行に備えた第6速の禁止制御の
ための予備的な判断であり、第6速を禁止することに伴
って変速(ダウンシフト)が発生するとすれば、その変
速は、現在の走行状態や意図的な変速操作によるもので
はないから、違和感の原因となる。そこでステップS1
25で肯定判断された場合には、そのような違和感を避
けるために特に制御をおこなうことなくリターンする。
これに対して変速が生じないことが判断された場合、す
なわちステップS125で否定判断された場合には、第
2のオーバードライブ段である第6速を禁止した変速パ
ターン(OD2カット変速パターン)が設定される(ス
テップS126)。具体的には第6速の変速段領域のな
い変速マップが読み込まれ、その変速マップに基づいて
変速制御が実行される。
【0096】一方、ステップS124で否定判断された
場合には、実際の走行状態から高速降坂路を判断する
(ステップS127)。すなわち高速状態は実際の車速
が所定の判断基準車速以上か否かによって判断すること
ができ、また所定以上の下り勾配の降坂路であること
は、実加速度がスロットル開度に応じた基準加速度より
大きいことによって判断することができる。なお、高速
道路の下り勾配は急激には増大しないので、加速度の増
大率に基づいて高速降坂路が走行予定路にあることを予
測してもよい。
【0097】このステップS127の判断はナビゲーシ
ョンシステムによる判断に替わるものであるから、ステ
ップS127で肯定判断された場合には、ステップS1
24で肯定判断された場合と同様に、ステップS125
に進んで、第6速を禁止した場合に変速が生じるか否か
が判断され、変速が生じないと判断された場合には第6
速を禁止する変速パターンが設定され、反対に変速が生
じると判断された場合には、リターンする。
【0098】なお、上記のステップS124およびステ
ップS127は、要は、走行抵抗の大小を判定するステ
ップであり、したがってナビゲーションシステムで得ら
れる勾配情報もしくは実加速度を走行抵抗として数値化
し、これを判断基準として予め定めた所定値と比較する
こととしてもよい。
【0099】また、前記ステップS126が既に実行さ
れていることによりステップS123で肯定判断された
場合には、第6速を禁止する制御からの復帰のための制
御をおこなう。すなわち、先ず、ナビゲーションシステ
ムによって高速降坂路が判定される(ステップS12
8)。高速降坂路が走行予定路にあることによりステッ
プS128で肯定判断された場合には、第2のオーバー
ドライブ段である第6速を禁止しておくために、すなわ
ち従前の制御を継続するために、特に制御をおこなうこ
となくリターンする。
【0100】これに対してナビゲーションシステムによ
って高速降坂路が判定されていないことによりステップ
S128で否定判断された場合には、実際の走行状態す
なわち実車速および実加速度から高速降坂路の有無が判
断される(ステップS129)。なおこの場合も、高速
道路の下り勾配は急激には低下しないので、加速度の減
少率に基づいて高速降坂路が終了することを予測しても
よい。高速登降坂路が終了していないことによりステッ
プS129で肯定判断された場合には、ステップS12
8で肯定判断された場合と同様に、第2のオーバードラ
イブ段である第6速を禁止しておくために、すなわち従
前の制御を継続するために、特に制御をおこなうことな
くリターンする。
【0101】これとは反対にステップS129で否定判
断されれば、ナビゲーションシステムによる判断と実加
速度に基づく判断との両方から高速降坂路が終了したこ
とになり、したがってその場合には、第6速を禁止する
制御からの復帰制御をおこなうための予備的な判断とし
て、第6速を設定できる変速パターンに切り換えた場合
に変速が生じるか否かが判断される(ステップS13
0)。第6速を設定できる変速パターンに切り換えるこ
とに伴って変速が生じることによりステップS130で
肯定判断された場合には、意図しない変速が生じること
を避けるために、特に制御をおこなうことなくリターン
する。これに対して変速が生じないことによりステップ
S130で否定判断された場合には、第2のオーバード
ライブ段である第6速を設定することのできる変速パタ
ーンに変更する(ステップS131)。具体的には、前
述した図10に示す変速マップが読み込まれ、その変速
マップに従った変速制御が実行される。その場合、ロッ
クアップクラッチ15を制御するロックアップマップを
図11に示すものに変更してもよい。
【0102】なお、上記のステップS128およびステ
ップS129は、要は、走行抵抗の大小を判定するステ
ップであり、したがってナビゲーションシステムで得ら
れる勾配情報もしくは実加速度を走行抵抗として数値化
し、これを判断基準として予め定めた他の所定値と比較
することとしてもよい。
【0103】したがって上述した制御をおこなうことに
より、高速降坂路を走行する場合には、エンジンブレー
キの効き易い第1のオーバードライブ段である第5速で
走行することになり、その結果、車速を維持するなどの
ためにアクセルペダルを戻してもアップシフトが生じる
ことがなく、ビジーシフトを回避することができる。ま
た、高速降坂路の終了に伴って第2のオーバードライブ
段である第6速を設定することが可能になるので、高速
走行時のエンジン回転数を低下させて燃費を向上させる
ことができる。
【0104】なおここで、上述した具体例とこの発明の
との関係を説明すると、上記のナビゲーションシステム
が請求項10ないし14の発明における走行誘導システ
ムに相当する。また上記の図18におけるステップS2
6の制御もしくは図19におけるステップS126の制
御を実行する機能的手段が、請求項7ないし9の発明あ
るいは請求項10ないし14の発明における最高速比禁
止手段に相当する。さらに、図18におけるステップS
25およびステップS30、あるいは図19におけるス
テップS125およびステップS130の機能的手段
が、請求項13もしくは請求項14の発明における変速
発生判断手段に相当する。
【0105】この発明に係る制御装置を搭載する車両
は、追従走行(追従制御)をおこなうように構成するこ
とができる。その追従走行とは、レーザレーダなどのレ
ーダシステムによって前方車両を検出し、前方車両との
間に所定の車間距離を維持しつつ前方車両に追従して走
行する走行形態であり、車速および車間距離を維持する
ためにスロットル開度や変速段(変速比)が制御され
る。この追従走行あるいはレーザクルーズをおこなう場
合、加減速制御の応答性がよいことが望まれるので、以
下に述べるように制御される。
【0106】図20は、その制御例を説明するためのフ
ローチャートであり、この制御が実行される追従走行車
両における自動変速機は、前述したように第5速と第6
速とをオーバードライブ段とした前進6速を設定可能な
自動変速機であり、それらの変速段を設定するシフトポ
ジションが、例えば図21に示すように構成されてい
る。すなわち前進走行のためのポジションとしてドライ
ブ(D)ポジション、“4”ポジション、“3”ポジシ
ョン、“2”ポジション、Lポジションが設定されてお
り、各ポジションで設定可能な変速段は図21に示すと
おりである。なお、この具体例では、ドライブポジショ
ンにおいて設定可能な変速段が前述した各具体例におけ
るドライブポジションで設定できる変速段とは異なって
おり、第1速ないし第6速の前進6段の変速段を設定で
き、また、“5”ポジションが設けられていない。
【0107】図20において入力信号の処理(ステップ
S41)をおこなった後、シフトレバーによってドライ
ブポジションが選択されているか否かが判断される(ス
テップS42)。このドライブポジションでは図21に
示すように、第1速ないし第6速の前進段が車両の走行
状態に基づいて設定される。ドライブポジション以外の
シフトポジションが選択されていることによりステップ
S42で否定判断された場合には、追従走行が禁止され
る(ステップS43)。非走行ポジションが選択されて
いる場合には当然、追従走行が禁止され、またたとえ前
進走行ポジションであっても、ドライブポジション以外
のいわゆるエンジンブレーキポジションでは、第4速も
しくはそれより低速側の変速段が最高速段となるので、
追従走行には適さず、そのため、ドライブポジション以
外のポジションが選択されている場合には、追従走行自
体が禁止される。
【0108】これに対してドライブポジションが選択さ
れていることによりステップS42で肯定判断された場
合には、レーザクルーズスイッチがオンか否かが判断さ
れる(ステップS44)。すなわちレーザレーダによっ
て前方車両を検出し、その前方車両との車間距離を所定
の距離に維持しつつ前方車両に追従して走行する制御を
おこなうことが、スイッチ操作によって選択されている
か否かが判断される。レーザクルーズスイッチがオン操
作されていないことにより、すなわち追従走行制御が実
行されないことによりステップS44で否定判断された
場合には、第2のオーバードライブ段である第6速を設
定することのできる変速パターンが選択される(ステッ
プS45)。これに対して追従走行のための制御が実行
されることによりステップS44で肯定判断された場合
には、第1のオーバードライブ段である弟5速を最高速
段とした変速パターンすなわち第6速を禁止した変速パ
ターンが設定される(ステップS46)。
【0109】具体的には、ドライブポジションが選択さ
れていて追従走行をおこなわない場合には、図10に示
す第6速の変速段領域を設定してある変速マップを読み
込んで変速制御をおこなう。これと同時に図11に示す
ロックアップマップを読み込んで、第6速を設定した場
合のロックアップクラッチ15の制御をおこなう。その
結果、高速走行時にはエンジン回転数を低下させること
ができるので、燃費を向上させることができる。これに
対して追従走行をおこなう場合には、図10に示す変速
マップから第6速の変速段領域を削除した変速マップが
読み込まれ、その変速マップに基づいて変速制御が実行
される。したがって最高速段が第5速になるので、高速
走行時での変速比が“1”より小さくても特には小さく
ならず、ある程度の駆動力を確保できるので、追従走行
性能あるいは追従応答性が良好になる。
【0110】ここでこの具体例とこの発明との関係を説
明すると、図20に示すステップS46の制御を実行す
る機能的手段が、請求項15の発明における最高速比禁
止手段に相当し、またステップS43の制御を実行する
機能的手段が、請求項16の発明における追従走行禁止
手段に相当する。
【0111】以上、この発明を図に示す具体例に基づい
て説明したが、この発明は、上述した各具体例に限定さ
れない。例えば、この発明で対象とする自動変速機は、
変速比が“1”より小さいいわゆるオーバードライブ段
を2つ以上設定することのできる自動変速機であってよ
く、図2に示す歯車列を備えたものに限定されない。ま
た、この発明で対象とする自動変速機は、上述した有段
式の変速機以外に、変速比が連続的に変化する無段変速
機であってもよい。さらに、それらの変速機を搭載した
車両は、内燃機関以外に電動機やモータ・ジェネレータ
を駆動力源として搭載している車両であってもよい。そ
して、この発明において、シフトポジションを選択する
シフトレバーは、要は、自動変速機の油圧制御装置にお
けるマニュアルバルブすなわち各シフトポジションに応
じて油圧の供給経路を変更するバルブを操作するもので
あり、したがってそのシフトレバーはそのマニュアルバ
ルブに機械的に連結された操作機構以外に、スイッチレ
バーのように手動操作されることによりシフトポジショ
ンを切り換えるための電気信号を出力するものであって
もよい。すなわちこの発明は、いわゆるシフト・バイ・
ワイヤー式の自動変速機を対象とする制御装置にも適用
することができる。そしてまた、この発明では、手動操
作に基づいて設定される変速比は、前述した所定の範囲
すなわちシフトレンジに含まれる複数の変速比もしくは
連続した変速比であってもよく、あるいは特定の固定さ
れた変速比もしくは変速段であってもよい。このように
固定された変速比を手動操作に基づいて設定する手動モ
ードが、請求項4もしくは請求項5の発明における手動
モードに相当する。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし5
の発明によれば、自動モードで設定される最高変速比
が、自動変速機の全体として設定可能な最も小さい変速
比より大きくてその領域がある程度広くなるので、走行
状態の変化に基づく変速が生じにくくなり、いわゆるビ
ジーシフトが防止される。その場合、更に小さい変速比
を使用することができないが、手動モードではその更に
変速比の小さい最高変速比を設定することができ、その
ため動力源の回転数を低下させて燃費を改善することが
できる。
【0113】また、請求項6の発明によれば、非走行ポ
ジションから選択される走行ポジションは、最高速比禁
止ポジションであり、その場合、自動変速機で設定可能
な最も小さい最高速比が設定されないので、低負荷での
高速走行状態から走行状態がわずか変化してもダウンシ
フトが生じず、ビジーシフトが回避される。これに対し
て、最高速比許可ポジションは、最高速比禁止ポジショ
ンを経由して設定されるから、この最高速比許可ポジシ
ョンおよび最も変速比の小さい最高速比は、意図的な人
為操作によって設定される。言い換えれば、その最高変
速比を人為的に解除することができるので、走行状態の
比較的頻繁な変化およびそれに伴う最高変速比と他の変
速比との間に比較的頻繁な切り換えすなわちビジーシフ
トが生じる場合には、人為的操作によってこれを回避す
ることが可能になる。さらに、最高変速比を設定して走
行している状態で変速が生じるとしても、意図して設定
した変速段からの変速であるから、違和感を生じること
が回避される。
【0114】さらに、請求項7ないし9の発明によれ
ば、登坂路を走行している場合のように走行抵抗が大き
い場合、あるいは降坂路を走行している場合のように走
行抵抗が小さい場合には、最も小さい変速比が禁止され
るため、例えば登坂路で駆動力を増大させるために加速
操作してもダウンシフトが生じず、あるいは降坂路で車
速を低下させるために加速操作を解除してもアップシフ
トが生じず、結局、実際に設定可能な変速比のうちで最
も小さい変速比の領域がある程度広くなるので、駆動ト
ルクが要求される走行状態での変速が生じにくくなり、
ビジーシフトを回避することができる。
【0115】さらにまた、請求項10ないし14の発明
によれば、高速走行が要求もしくは可能な走行路であっ
てある程度大きい駆動トルクが要求される道路状況、あ
るいは反対に要求される駆動トルクが小さい道路状況が
走行予定路中にあることが検出された場合、その道路状
況に到る前に最高変速比が禁止される。すなわちその道
路状況の走行予定路を走行する場合には、駆動トルクを
確保し、あるいはエンジンブレーキ力を生じさせる駆動
状態とすることができるので、車速の低下やそれに伴う
ダウンシフトおよびその後のアップシフト、あるいは反
対に車速が増大することによるアップシフトやその後の
制動操作に伴うダウンシフトなどのビジーシフトを事前
に回避することができ、またアクセル操作と制動操作と
の頻繁な繰り返しなどを回避することができる。
【0116】特に請求項12の発明によれば、実際の加
速度に基づいて登坂路もしくは降坂路を予測するので、
より正確な制御をおこなうことができる。
【0117】また、請求項13の発明あるいは請求項1
4の発明によれば、最高速比の禁止のみによって変速が
生じないので、すなわち車両の走行状態の変化や人為的
な変速操作などがない状態で変速が生じることがないの
で、違和感を未然に防止することができる。
【0118】そして、請求項15および16の発明によ
れば、追従制御中では最高変速比が設定されないので、
常時、充分な駆動トルクを確保でき、その結果、前方車
両に対する追従性あるいは追従応答性を向上させること
ができる。特に請求項16の発明によれば、設定可能な
変速比に制限を設けた場合にその変速比の制限に伴う駆
動力や動力源制動力を反映した走行をおこなうことがで
き、また追従走行の場合には設定可能な全ての変速比を
有効に使用できるので、追従走行が円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る制御装置によって実行される
制御例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 この発明で対象とすることのできる自動変速
機の歯車機構の一例を示すスケルトン図である。
【図3】 その自動変速機を含む駆動系統の模式図であ
る。
【図4】 自動変速機で各変速段を設定するための摩擦
係合手段の係合・解放の状態を示す図表である。
【図5】 シフト装置における各シフトポジションの配
列状態の一例を示す図である。
【図6】 ダウンスイッチとアップスイッチとの配置位
置の一例を示す図である。
【図7】 シフトレンジを切り換えるためのアップポジ
ションとダウンポジションとをシフト装置に設けた例に
おける各ポジションの配列を示す図である。
【図8】 各シフトポジションごとの変速段を示す図表
である。
【図9】 自動モードで設定可能な変速段と手動モード
で設定可能な変速段とを示す図表である。
【図10】 第2のオーバードライブ段である第6速の
変速段領域を設定した変速マップの一部を示す図であ
る。
【図11】 第6速が設定されることに伴って採用され
るロックアップマップの一部を示す図である。
【図12】 電子制御装置に対する入出力信号を示すブ
ロック図である。
【図13】 シフト装置における各シフトポジションの
配列状態の他の例を示す図である。
【図14】 この発明に係る制御装置によって実行され
る他の制御例を説明するためのフローチャートである。
【図15】 シフト装置における各シフトポジションの
配列状態の更に他の例を示す図である。
【図16】 シフト装置における各シフトポジションの
配列状態の他の例を示す図である。
【図17】 各シフトポジションで設定可能な変速段を
示す図表である。
【図18】 この発明に係る制御装置によって実行され
る高車速で登坂路を走行する場合の制御例を説明するた
めのフローチャートである。
【図19】 この発明に係る制御装置によって実行され
る他の制御例であって高車速で降坂路を走行する場合の
制御例を説明するためのフローチャートである。
【図20】 この発明に係る制御装置によって実行され
る他の制御例であって追従制御をおこなう場合の制御例
を説明するためのフローチャートである。
【図21】 シフト装置における各シフトポジションの
配列状態の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
18…(シフトレバーの)移動経路、 19…ダウンス
イッチ、 20…アップスイッチ、 Sr…シフト装
置、 Lv…シフトレバー、 At…自動変速機、 E
CU…電子制御装置。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態に応じて変速比を決定す
    る自動モードと、変速比を人為的な操作によって設定す
    る手動モードとに変更できる自動変速機の制御装置にお
    いて、 前記手動モードで設定できる最も小さい変速比を、前記
    自動モードで設定される最も小さい変速比よりも、小さ
    い値にする最高速比制御手段を備えていることを特徴と
    する自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記手動モードが、設定可能な変速比の
    範囲が互いに異なりかつそれぞれの範囲内の変速比が車
    両の走行状態に応じて自動的に設定される複数の変速レ
    ンジのいずれかを手動操作に基づいて選択するように構
    成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動変
    速機の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記変速レンジが、前記手動操作に基づ
    く電気的な処理によって選択されて設定されるように構
    成されていることを特徴とする請求項2に記載の自動変
    速機の制御装置。
  4. 【請求項4】 前記手動モードが、前記人為的な操作に
    基づきかつその人為的な操作に応じた変速比を設定する
    ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の自動変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記人為的な操作に応じた変速比が、前
    記手動操作に基づく電気的な処理によって選択されて設
    定されるように構成されていることを特徴とする請求項
    4に記載の自動変速機の制御装置。
  6. 【請求項6】 出力軸にトルクが生じない駆動状態を設
    定するための非走行ポジションと、最も小さい最高速比
    の設定を禁止するための最高速比禁止ポジションと、そ
    の最高速比の設定を許可するための最高速比許可ポジシ
    ョンと、前記最高速比禁止ポジションで設定可能な最も
    小さい変速比より大きい低速側の所定の変速比および該
    所定の変速比より大きい変速比を設定するための中速ポ
    ジションとを選択可能な自動変速機の制御装置におい
    て、 前記非走行ポジションと最高速比許可ポジションと中速
    ポジションとが、最高速比禁止ポジションから互いに異
    なる方向に分岐して配置されていることを特徴とする自
    動変速機の制御装置。
  7. 【請求項7】 複数の変速比を設定することのできる自
    動変速機の制御装置において、 走行抵抗が、所定値以上に大きい場合と前記所定値より
    小さい他の所定値以下に小さい場合とのいずれかの場合
    に、前記変速比のうち変速比が最も小さい最高速比を禁
    止する最高速比禁止手段を備えていることを特徴とする
    自動変速機の制御装置。
  8. 【請求項8】 前記複数の変速比が、2段以上のオーバ
    ードライブ変速比を含んでいることを特徴とする請求項
    7に記載の自動変速機の制御装置。
  9. 【請求項9】 前記最高速比禁止手段が、車速が所定車
    速以上の高速である場合に、前記オーバードライブ変速
    比のうち最も小さい変速比を禁止するように構成されて
    いることを特徴とする請求項8に記載の自動変速機の制
    御装置。
  10. 【請求項10】 走行予定路とその走行予定路の道路状
    況とを検出可能な走行誘導システムを備え、その走行誘
    導システムから得られる走行予定路の道路状況に基づい
    て変速比を制御可能な自動変速機の制御装置において、 前記走行誘導システムから得られる走行予定路の道路状
    況が、車速が所定車速以上の高速走行状態でかつ走行抵
    抗が所定値以上もしくはその所定値より小さい他の所定
    値以下になる道路状況の場合に、オーバードライブ変速
    比のうち最も小さい最高速比を禁止する最高速比禁止手
    段を備えていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  11. 【請求項11】 前記走行誘導システムが、予め記憶し
    ている道路情報から走行予定路の登坂路と降坂路との少
    なくともいずれか一方を予測するように構成され、かつ
    前記最高速比禁止手段が前記走行誘導システムによる登
    坂路の予測に基づいて前記最高速比を禁止するように構
    成されていることを特徴とする請求項10に記載の自動
    変速機の制御装置。
  12. 【請求項12】 前記走行誘導システムが、車両の加速
    度に基づいて登坂路と降坂路との少なくともいずれか一
    方を予測するように構成され、かつ前記最高速比禁止手
    段が前記走行誘導システムによる車両の加速度に基づく
    登坂路と降坂路との少なくともいずれか一方の予測に従
    って前記最高速比を禁止するように構成されていること
    を特徴とする請求項10に記載の自動変速機の制御装
    置。
  13. 【請求項13】 前記最高速比禁止手段によって最高速
    比が禁止される際もしくは最高速比の禁止が解除される
    際に、その最高速比の禁止もしくはその禁止の解除に伴
    って変速が生じるか否かを判断する変速発生手段を更に
    備え、この変速発生判断手段によって前記変速が生じな
    いことが判断された場合に前記最高速比禁止手段による
    最高速比の禁止もしくはその禁止の解除をおこなうよう
    に構成されていることを特徴とする請求項10に記載の
    自動変速機の制御装置。
  14. 【請求項14】 前記最高速比禁止手段によって最高速
    比が禁止される際もしくは最高速比の禁止が解除される
    際に、その最高速比の禁止もしくはその禁止の解除に伴
    って変速が生じるか否かを判断する変速発生手段を更に
    備え、この変速発生判断手段によって前記変速が生じる
    ことが判断された場合に前記最高速比禁止手段による最
    高速比の禁止もしくはその禁止の解除を一時保留するよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項10に記載
    の自動変速機の制御装置。
  15. 【請求項15】 前方を走行している車両に追従して走
    行するよう車両の各部を制御する追従走行の可能な車両
    における自動変速機の制御装置において、 前記追従制御が実行されている場合に、最も小さい最高
    速比を禁止する最高速比禁止手段を備えていることを特
    徴とする自動変速機の制御装置。
  16. 【請求項16】 前進走行のために選択される変速比が
    所定の範囲に設定されているドライブポジションと前進
    走行のために選択される変速比の範囲が前記ドライブポ
    ジションより狭い他のシフトポジションとを選択するシ
    フト機構と、そのシフト機構によって前記ドライブポジ
    ション以外のシフトポジションが選択されている場合に
    前記追従制御を禁止する追従走行禁止手段とを更に備え
    ていることを特徴とする請求項15に記載の自動変速機
    の制御装置。
  17. 【請求項17】 前記自動変速機で設定可能な最も小さ
    い変速比が、オーバードライブ変速比であることを特徴
    とする請求項1、7、10、15のいずれかに記載の自
    動変速機の制御装置。
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