JP4598926B2 - 家禽の胴体部分から内部胸肉を得る方法及び家禽の胴体部分を加工する装置 - Google Patents

家禽の胴体部分から内部胸肉を得る方法及び家禽の胴体部分を加工する装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家禽の(屠殺)胴体部分から内部胸肉を得る方法に関する。本発明はまた、家禽の胴体部分から内部胸肉を得るために、胴体部分を(処理)加工する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏や七面鳥などの家禽の内部胸肉はテンダーズとも呼ばれ、頚峰(クリスタ・スターニ)の両側の胸骨(スターナム)に位置し、家禽の最も価値のある肉部分を形成している。
【0003】
EP−A−0,695,506に記載されているように、従来の技術により家禽の胴体部分から内部胸肉を取り出すことは、胴体部分から翼を除去し、暢思骨と胸骨によって境界を形成する開口部で分離し、次に胴体部分から内部胸肉をそぎ取ることにより達成される。他の方法としては、US−A−5,314,374によれば、翼を除去した胴体部分から内部胸肉を部分的に切断し、かつ、そぎ取ってグリップ部材にて胴体部分から内部胸肉を引き出すことである。さらに内部胸肉を取り除く他の方法としては、EP−A−0,695,506によれば、内部胸肉と胸骨間の膜結合を分離し、三骨管(カナリス・トリオッセウス)を切り開き、腱を介して内部胸肉と結合している翼により内部胸肉を引き離すことである。
【0004】
従来の技術による上記方法の欠点は、除去された各内部胸肉には、家禽において内部胸肉と関連する翼とが結合する腱の少なくとも一部が結合したままであるということである。消費者向けの高価値の製品、例えば、「ナゲット」などへの、内部胸肉のさらなる加工において、腱および、時には少なくとも内部胸肉へのその一部の付着部は除去されなければならない。理由は、肉の消費者はこのような腱の部分を好まないからである。腱付着部からの腱の除去は、通常、胴体部分から除去されるべき、又は、除去された内部胸肉から腱を手で除去して行われてきた。このことは、高価な人手作業を要することであり、一般的な再現性と品質しか確保されず、衛生的な内部胸肉加工に寄与するものではなく、これは欠点である。
【0005】
US−A−5,395,283号では、トレイによって搬送される内部胸肉から、各内部胸肉に結合した腱から一部分を自動的に切り落とすための装置が開示されている。内部胸肉は手作業でトレイに載せられて位置決めされるものであり、内部胸肉から望まれない腱部分を完全に除去するための解決策はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、望まれない腱部分を有さない内部胸肉が得られる方法と装置を提供することであり、そこでは前記したような人間の動作を要しない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明による方法は、方法の独立請求項に記載したように特徴付けられ、また、本発明による装置は、装置の独立請求項に記載したように特徴付けられる。好適な実施形態については、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明による方法と装置は、部位に特有の表現ではっきり示された、内部胸肉とそれに付随する腱が、未だなおほぼ(本質的に)その生来の位置にあるときに、自動的で均一な切り込みを実行することにより、実質的に労働を省き、品質と加工の再現性を改良する。
【0009】
特許請求の範囲と利点は、以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解され、類似の符号が類似の部分を指す添付図面に関連して考慮される場合に、より容易に理解される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1a、図2、図3及び図4は、キャリア6がレール4に沿って矢印方向8へ移動される胸肉処理ライン2を示す。各キャリア6は、所望であれば、得られた胸肉を載せることができるトレイ6bを備えたベースボディ6aを備える。ベースボディ6aの側部には、家禽部分を固定する部材6cが設けられ、その部材は詳細に図示していない軸を中心に制御された方法で回転可能であり、その軸は家禽部固定部材6cの中央を通って方向付けられ、ベースボディ6aの側部を横断している。家禽のいわゆるブレストキャップ10(皮膚がなく、鎖骨及び翼を有さず、リブを有し、背部を有しても有さなくてもよい胸部分)が、胸骨12の長手軸がほぼ鉛直になるように、家禽部固定部材6cに固定される。ここで、適切な固定に関しては、EP−A−0,254,332が参照される。図1aにおいて、ブレストキャップ10の外部胸肉14は、肩関節に対して付随した腱が延びた状態で、少なくとも肩関節に面する内部胸肉16の部分を露出させるために部分的に引き離す。図2から図4においては、外部胸肉14はない。内部胸肉16は本質的には、ほぼその生来の位置にあり、膜とともに胸骨12に付着している。各内部胸肉16から除去されるべき腱部分は、ほぼ三骨管の内側に延びている。内部胸肉16の長手方向は搬送方向8に対してほぼ直角である。
【0011】
胸肉処理ラインにおいて、フレーム20に固定された加工装置18がレール4に対して固定配置される。加工装置18はガイド22と、2つの回転カッター24、26(図3参照)とを備え、回転カッター24、26は各々の矢印28、30に従って反対方向へ、それぞれのモータ32、34によって駆動される。図1a、図3及び図4に示すように、モータ32、34の回転軸は鉛直線に対して傾いている。図1aでは、作業員を保護するため、保護フード40が回転カッター24、26の周りに配設されている。
【0012】
図1bは、内部胸肉16と、それに付着する腱16a、および腱付着部16bを示す。図において、矢印17a、17b、17c、17d及び17eは、本発明により、腱付着部16bの領域での切り込みが行われうる、異なる位置を示す。切り込み17aは腱付着部16bの外側の内部胸肉16にある。切り込み17bは腱付着部16bの端の内部胸肉16にある。切り込み17cは、腱付着部16bの内部胸肉16にある。切り込み17dは腱付着部16bの腱16aへの変わり目における内部胸肉16の端部にある。切り込み17eは腱16aにある。
【0013】
図1a、図2、図3及び図4に示すように、ブレストキャップ10は、ガイド22により、ブレストキャップ10の背側の襟骨(烏口骨)の領域で、矢印方向36(図2)へ押しのけられ、回転カッター24、26(図4)に対し、ある角度をもって位置決めされる。このようにして、回転カッター24、26が骨部分を切断し、望まれない骨残物を解放(リリース)するのを防止する。回転カッター24、26は、切り込み17a、17b、17c、17dあるいは17eのために、両方の内部胸肉16の長手方向に対してほぼ直角で、ブレストキャップ10の通路に前後して配置されるが、原則的には1つの回転カッターを使用することができるか、あるいは、1つ又はそれ以上の固定的又は弾性的に位置決めされカッターを使用することができる。更には、回転方向28、30を逆にすることも可能である。これらのカッターは、単に切断機能を有するだけではなく、ブレストキャップ10に与えられる切断力によりガイド22に対する位置決め機能をも有する。切り込みの位置及び高さは、ブレストキャップ10又は内部胸肉の寸法を考慮し、フレーム20上のモータ32、34を設ける場所を選択して調整できる。
【0014】
ブレストキャップ10に切り込みを入れた後は、内部胸肉16は手作業又は機械的に除去され、望まれない腱部分は胴体部分に残る。
【0015】
ここで、予定する切り込みは、実際には切り通し、又は切り通しに近いものであり、1つ又はそれ以上のカッターによるほか、ウォータージェットなどのその他の切断手段によっても得られることを認識すべきである。
【0016】
更に、切断手段は、コンベアの搬送路に沿って固定位置に配置されるばかりでなく、予定する切り込みを行うために、胴体部分の通路にキャリアの搬送と同期するように、可動とすることができることを認識すべきである。胴体部分は断続的に搬送されてもよいし、切り込みを入れるときに静止されてもよい。
【0017】
また更に、本発明では、加工装置18において、加工されるべき胴体部分から翼を落とすことは重要でないことも認識すべきである。もしも、胴体部分が翼を有すれば、これらの翼は適当なガイドによってたやすく回転カッター24、26又はその他の切断手段の作業範囲外に保持させ、翼があるにもかかわらず意図された切り込みが得られるようにすることができる。
【0018】
なお、腱の切り込みは、胸骨12とともにブレストキャップ10を矢印方向8と平行な方向へ搬送すること、およびブレストキャップ10の側から切り込みを入れられる内部胸肉又は腱部分と係合するカッター、又は、その他の切断手段を有することで得られることを認識すべきである。これを詳細に、図5及び図6にに示す実施形態を参照して説明する。
【0019】
図5及び図6はEP−A−0,551,156に示されたタイプのキャリア40を示すもので、内部胸肉44を有する家禽の前半分42が矢印方向46へ搬送される。切断装置48が前半分42の搬送路に沿って固定的に配置されている。切断装置48は2つのディスク50a、50bを備え、これらは、点線で示されるそれぞれの軸52a、52bを介して、詳細には図示していない駆動装置によって矢印方向54a、54bの方向へ駆動される。軸52a、52bはそれぞれ静止ジャケット56a、56bの内側で回転し、静止ジャケット56a、56bには個々のディスク50a、50bの下方においてそれぞれギアリング58a、58bが設けられている。それぞれのディスク50a、50bには、それぞれの軸60a、60bを中心として回転可能に回転カッター64a、64bが配設され、それぞれギアリング58a、58bと係合する歯車62a、62b(見えない)が設けられている。ディスク50a、50bのエッジは切断を行わない。それぞれのディスク50a、50bがそれぞれ、反対方向54a、54bに回転することにより、カッター64a、64bは、それぞれ反対方向66a、66bへ回転し、カッター64a、64bの角速度はディスク50a、50bの角速度よりも大きく、かつ、ディスク50a、50bの周速度は好ましくは前半分42の搬送速度よりも大きい。ディスク50a、50bの回転は、カッター64a、64bが後続する前半分42と常に同じ場所で係合するようにキャリア40と同期させる。ディスク50a、50bは内部胸肉44をいくらか持ち上げる。カッター64a、64bは内部胸肉44の腱16aに、特に図6に示すように、とりわけ腱16aの腱付着部16b上方で内部胸肉44に切り込む又は切り通す。内部胸肉44の長手方向は搬送方向46とほぼ平行か、又は、少し傾いている。ディスク50a、50bには、前半分42の胸骨と内部胸肉44間との膜結合を破るための補助切断手段68a、68bが設けられていてもよい。
【0020】
図5及び図6の装置においてディスク50a、50bとカッター64a、64b、68a、68bによって得られる機能は、適切に配備された固定又は可動ガイドと、協働する固定又は可動切断手段とによっても得ることができ、その切断手段は、連続して、又は、断続的に移動されるキャリアに載置された胴体部分と係合することができる。この場合、まず胸骨と内部胸肉との間の膜結合は切断手段にて破られ、その後内部胸肉はガイドによって持ち上げられ、最後に腱又は内部胸肉は切断手段にて切り込みが入れられる。
【0021】
胴体部分はキャリアの上部に載せることではなく、キャリアの下部に載せることが可能となり、胸骨はキャリアから下方へ向けられる。この状況は、たとえばキャリア40を水平な縦軸又は横軸の周りに180度回転させることによって得られる。そのような状況において、内部胸肉の有効な持ち上げ(=胸骨までの距離の増加)は、重力がこの機能を満たすので省くことができる。
【0022】
本発明を、その好適な実施形態で図示して説明したが、本発明の範囲内でそこから離れてもよく、ここに開示した詳細事項に限定されないことを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1a】本発明による加工装置を備えた胸肉処理ラインの一部の斜視図である。
【図1b】内部胸肉とそれに付着した腱の一部を示す側面図である。
【図2】本発明による加工装置のガイドの作用を示す部分断面側面図である。
【図3】図1による加工装置の詳細を示す斜視図である。
【図4】図1による加工装置の作用を示す一部断面側面図である。
【図5】本発明による加工装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5による加工装置の詳細を示す拡大図である。
【符号の説明】
4 レール
6 キャリア
6a ベースボディ
6b トレイ
6c 家禽固定部材
10 ブレストキャップ
14 外部胸肉
16、44 内部胸肉
16a 腱
16b 腱付着部
17a、17b、17c、17d、17e 切り込み
18 加工装置
22 ガイド
24、25 回転カッター
32、34 モータ
40 キャリア
42 前半分
48 切断装置
50a、50b ディスク
52a、52b、60a、60b 軸
56a、56b 静止ジャケット
58a、58b ギアリング
62a、62b 歯車
64a、64b カッター

Claims (13)

  1. 加工装置を使用して家禽の胴体部分から内部胸肉を得る方法であって、
    (a)内部胸肉が胴体部分のほぼ生来の位置にある間に、少なくとも肩部に面する内部胸肉部分と、この内部胸肉に付着した腱とを露出させる段階と、
    (b)回転軸を有する少なくとも1つの回転駆動カッターを備えた切断手段を準備する段階と、
    (c)胴体部分の襟骨の領域を前記切断手段の少なくとも1つのカッターの回転軸に対して所定の角度をなす位置に移動させるか、あるいは内部胸肉を持ち上げる段階と、
    (d)前記切断手段によって、内部胸肉への腱の付着領域で、内部胸肉又は腱に切り込みを入れる段階と、
    (e)胴体部分から内部胸肉を分離する段階とを備えることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記段階(d)による切り込みは、内部胸肉の長手方向に対し、ほぼ横切る方向に向けられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 胴体部分は、キャリア上で搬送路に沿って、前記段階(d)による切り込みを実行する前記切断手段に沿った搬送方向に搬送されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 内部胸肉の長手方向は、搬送方向をほぼ横切る向きであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 内部胸肉の長手方向は搬送方向に対してほぼ平行か、若しくは少し傾いていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 家禽の胴体部分を加工する装置であって、
    少なくとも胸骨と、襟骨と、ほぼ生来の位置にある内部胸肉と、この内部胸肉に付着した腱とを含む胴体部分を搬送すべく、搬送路に沿って搬送方向に移動される少なくとも1つのキャリアを有するコンベアを備えており、胸骨の対称面が搬送方向にほぼ直角な面内を延伸しており、前記装置が更に、
    内部胸肉への腱の付着領域内で内部胸肉又は腱に切り込みを入れるべく、回転軸を有する少なくとも1つの回転駆動カッターを備えた切断手段と、
    胴体部分の襟骨の領域を前記切断手段の少なくとも1つのカッターの回転軸に対して所定の角度をなす位置に移動させるように構成されたガイドとを備えていることを特徴とする、前記装置。
  7. 前記ガイドが、襟骨領域内の胴体部分の背側を案内すべく、ほぼ搬送方向に延伸しており、切断手段がガイドと協働することを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 回転駆動カッターの回転軸は、切り込みを入れられるべき内部胸肉又は切り込みを入れられるべき腱の長手方向に対して鋭角をなすように方向付けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の装置。
  9. 切断手段は、搬送方向に見て前後に配置され、かつ、互いに対して反対方向へ回転駆動される2つのカッターを備えることを特徴とする請求項6からのいずれか一項に記載の装置。
  10. 搬送方向に見て上流のカッターの回転方向は、内部胸肉又は腱と係合するその切断側が、搬送方向とは反対の方向へ動くように選択されることを特徴とする請求項に記載の装置。
  11. 家禽の胴体部分を加工する装置であって、
    少なくとも胸骨とほぼ生来の位置にある内部胸肉とこの内部胸肉に付着した腱とを含む胴体部分を搬送すべく、搬送路に沿って搬送方向に移動される少なくとも1つのキャリアを有するコンベアを備えており、胸骨の長手方向がほぼ搬送方向と平行であり、前記装置が更に、
    内部胸肉への腱の付着領域で、内部胸肉又は腱に切り込みを入れる切断手段を備えており、切断手段は、各々が回転軸を中心として回転可能な2つのディスクを備えており、該ディスクの各々には、回転カッターが回転軸を中心として回転可能に取り付けられており、該回転カッターの回転軸が、各ディスクの回転軸に対し、偏心して位置していることを特徴とする、前記装置。
  12. 回転カッターの回転方向が、各ディスクの回転方向とは反対であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
  13. カッターの回転方向は、内部胸肉又は腱と係合するその切断側面が搬送方向とは反対に移動することを特徴とする請求項11に記載の装置。
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