JP4570780B2 - 低温フルオロカーボンエラストマ - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、ペルフルオロエーテル単位、特に、ペルフルオロアルキルビニルエーテル化合物から誘導される繰り返し単位を含有するフルオロカーボンポリマ物質および硬化エラストマ物質(cured elastomeric materials)の調製に関する。
【0002】
フルオロカーボンエラストマは、高いフッ素含有率を有する合成のエラストマポリマである。例えば、W.M.Grootaert et al.,“Fluorocarbon Elastomers”,Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,Vol 8,pp.900−1005(4th ed.,John Wiley & Sons,1993)を参照されたい。フルオロカーボンエラストマ、特に、フッ化ビニリデン(VF2)と、C36(ヘキサフルオロプロピレンまたはHFP)のような他のエチレン性不飽和ハロゲン化モノマとのコポリマは、シール、ガスケット、ライニングなどの高温用途向けに一般的に好まれるポリマになってきており、特に、その造形品が、溶剤、潤滑剤、酸化または還元条件などの浸食的な環境または過酷な環境に暴露される恐れのある場合に選択される。例えば、VF2と、テトラフルオロエチレン(TFE)と、共重合性炭化水素オレフィンとから調製されるフルオロエラストマポリマが開示されている米国特許第4,912,171号(Grootaertら)を参照されたい。
【0003】
このようなフルオロカーボンエラストマから作製された造形品を適用する場合に多く見られる主な欠点は、低温において満足に機能する能力が欠如していることであった。典型的には、0℃よりも僅かに低い温度において、VF2とHFPとのコポリマから作製された造形品は、剛性を帯びて満足に性能を発揮できない。
【0004】
米国特許第5,214,106号(Carlsonら)に記載されているように、VF2エラストマの低温可撓性は、VF2/HFP/TFEコポリマ中のHFPの代わりにペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)を使用することによって改良される可能性がある。また、ペルフルオロビニルエーテルのポリマまたはTFEとのコポリマが米国特許第3,817,960号(Resnick)に記載されている。
【0005】
米国特許第5,268,405号(Ojakaarら)に記載されているように、選択されたペルフルオロポリエーテルを従来の配合方法によりペルフルオロエラストマコンパウンド中に導入することによって低温特性の強化された硬化ペルフルオロエラストマを得ることが可能である。米国特許第3,632,788号(Stiversら)に記載されているように、相容性増量剤(a compatibility extender)を用いることによって、このような添加剤の配合率を通常よりも高くすることが可能である。これらの添加剤は、永久にポリマ中に取り込まれるわけではなく、後処理時および造形品の使用時に欠除される可能性がある。
【0006】
多くの他のフッ素化エーテルが文献に記載されている。一つのタイプは、ヘキサフルオロプロピレンオキサイドから得られる式−CF(CF3)CF2−O−の繰り返し単位を有するいくつかのホモポリマセグメントまたはブロックのうちの一つによって特性付けられる。もう一つのタイプは、テトラフルオロエチレンオキサイドから得られる式−CF2CF2−O−の繰り返し単位を有するブロックによって特性付けられるものである。酸素をテトラフルオロエチレンまたはヘキサフルオロプロピレンと反応させることによって得られる他のタイプは、−CF2O−、−CF(CF3)CF2O−、または−CF(CF3)O−の繰り返し単位を有する骨格、ランダムに分布した−CF2O−および−CF2CF2O−の単位を有する骨格、−CF(CF3)CF2O−および−CF2CF2O−の単位ならびに場合により−CF2O−および−CF(CF3)O−の単位を有する骨格によって特性付けられる。フッ素化エーテルのもう一つのタイプは、光重合によって得られる式−(CF2aO(CF2b−の骨格単位によって特性付けられるものである。
【0007】
過酸化物加硫性フッ素含有エラストマは、米国特許第5,225,504号(Tatsuら)に開示されているように、一般式:CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2nX〔式中、Xは、臭素原子またはヨウ素原子であり、mおよびnは、それぞれ、1、2、または3である。〕によって表されるペルフルオロ(ビニルエーテル)化合物を、一般式:RBrnm〔式中、Rは、フルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基、または炭化水素基であり、nおよびmは、それぞれ、1または2である。〕で表されるヨウ素および臭素含有化合物の存在下で、2〜8個の炭素原子を有するフッ素含有オレフィンと共重合することによって得ることができる。
米国特許第5,292,216号(Krugerら)には、フッ化ビニリデンと、フッ素化されたプロペン及びフッ素化されたエーテル、並びに、任意にテトラフルオロエチレン及び架橋性活性反応部位とを重合させることにより得られるペルオキサイド架橋性フルオロポリマが開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの物質はいずれも、十分な低温可撓性をもっておらず、特に、−50℃程度の低温またはそれよりも低い温度では可撓性をもたない。
欧州特許0290828(Okaら)には、エチレン性不飽和化合物と共重合され、低いTg及び改良された低温特性を提供する、ペルフルオロアルキル基を含有するフルオロビニルエーテルが開示されている。
【0009】
発明の概要
本発明は、式CF2=CFO−(CF2m−(O(CF2pn−ORf 1〔式中、Rf 1は、完全フッ素化(過フッ素化)(perfluorinated)(C1〜C4)アルキル基であり、m=1〜4、n=0〜6、およびp=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルから誘導される繰り返し単位と、フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位とを含み、しかも−50℃以下のガラス転移温度および少なくとも約0.2の対炭素酸素比を有するフルオロカーボンポリマを提供する。好ましくは、上式において、mが2または3であるとき、nは0でない。
【0010】
フルオロカーボンポリマには、好ましくは、式:a)CX2=CX(Z)〔式中、(i)Xは、HまたはFであり、かつ(ii)Zは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2=場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕およびb)Y(CF2qY〔式中、(i)Yは、BrまたはIであり、かつ(ii)q=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物から誘導される有効量(好ましくは、0.2〜5モル%)の硬化部位部分(cure site moieties)が更に含まれる。
【0011】
本発明はまた、先に記載のフルオロカーボンポリマを含む架橋性組成物から調製されるエラストマポリマを提供する。前記架橋性組成物には、過酸化物開始剤のような遊離基開始剤、トリアリルイソシアヌレートのような共硬化剤(co-curing agent)、および/または1種以上の充填剤が更に含まれる。エラストマポリマは、シール、ホース、ダイアフラム、コーティングなどを作製するために使用することができる。
【0012】
本発明は更に、先に記載のエラストマポリマを調製する方法を提供する。好ましい方法には、(a)i)次の式(式I):CF2=CFO−(CF2m−(O(CF2pn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=1〜4、n=0〜6、およびp=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルから誘導される繰り返し単位と、ii)フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位と、iii)式:CX2=CX(Z)〔式中、Xは、HまたはFであり、かつZは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2=場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕およびY(CF2qY〔式中、Yは、BrまたはIであり、かつq=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物から誘導される0.2〜5モル%の硬化部位部分とを含有しかつ−50℃以下のガラス転移温度および少なくとも約0.2の対炭素酸素比を有するフルオロカーボンポリマを含んでなる架橋性組成物を提供することと、(b)架橋性組成物を、少なくとも部分的に硬化させるのに有効な条件に付すこととが含まれる。好ましくは、架橋性組成物を、少なくとも部分的に硬化させるのに有効な条件に付すステップには、熱および圧力を加えることおよび/または組成物を放射線に暴露することが含まれる。
【0013】
本発明は、フルオロカーボンポリマ、特に、硬化部位を有する硬化性フルオロカーボンポリマ(curable fluorocarbon polymers)、硬化エラストマの調製、およびそれらを硬化させるプロセスに関する。これらの物質には様々な用途がある。フルオロカーボンポリマを硬化させることによって、低温における性能特性、特に可撓性の改良されたシール、ガスケット、ホース、ダイアフラム、ライニング、および他の造形品に使用するためのフルオロカーボンエラストマを提供することができる。それらはまたコーティングとして使用することもできる。たとえ硬化させない場合であっても、これらの物質は、例えば、強化された低温特性を提供すべく、コーキング材中でまたは熱可塑性物質用の希釈剤として使用することができる。
【0014】
好ましくは、フルオロカーボンポリマは、ペルフルオロアルキルビニルエーテルとフッ化ビニリデンとから調製され、そして約−50℃未満、より好ましくは約−60℃未満のTgを有する。本明細書中において、特に請求項において、Tgは、ASTM E1356−91(1995年再承認)を用いてポリマの示差走査熱量計(DSC)分析から得られる曲線上の中点として定義される。実施例のセクションに記載のいくつかの実施例に対するTg値は、この方法を用いていれば得られたであろう値よりも僅かに低い。これらの値は、5kg荷重下でサンプルを解凍したときの変形の始まりをTgとして規定するRussian標準法12254-66を用いて得られたものである。このような値は、典型的には、ASTM法を用いていれば得られたであろう値よりも5〜10℃低い。
【0015】
本発明は、フッ化ビニリデンと、次の式(式I):CF2=CFO−(CF2m−(O(CF2pn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=1〜4(好ましくは、m=2〜4、より好ましくは、特定の実施形態に対して2、他の実施形態に対して1〜2)、n=0〜6(好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4)、およびp=1〜2(好ましくは1)である。〕で表される過フッ素化エーテルとから誘導される繰り返し単位(すなわち、インタポリマ化された単位)を含むフルオロカーボンポリマ(好ましくは、硬化性フルオロカーボンエラストマ)を提供する。本発明の特定の態様では、m>2のとき、nは好ましくは少なくとも1である。これらの過フッ素化エーテルは、本明細書中において、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(「PAAVE」)とも記されている。Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya,No.10,pp.2268−2272,October,1978から翻訳された「ヘキサフルオロプロピレンの液相酸化における反応器表面の役割」,S.V.Kartsov,P.I.Valov,L.F.Sokolov,and S.V.Sokolov,Institute of Chemical Physics,Academy of Sciences of the USSR,Moscow、ならびに米国特許第3,817,960号(Resnick)および同第5,696,216号(Krugerら)には、式Iで表される化合物の製造に関して言及されている。
【0016】
式Iで表される過フッ素化エーテルは、硬化物質の低温可撓性を損なう恐れのあるペンダントアルキル基(例えば、−CF(CF3)−CF2−O−)をもたない。フルオロカーボンポリマはまた、少なくとも約0.2の対炭素酸素比を有する。この比は、最終的な硬化エラストマ物質の低温特性に対して重要な役割を果たすことを見いだした。
【0017】
対炭素酸素比(O/C)は、ポリマ中の酸素の全モル数をポリマ中の炭素原子の全モル数で割ることによって求められる。対炭素酸素比が高いほど、硬化エラストマの低温特性は望ましいものになる。より詳細には、O/C比が高いほど、ガラス転移温度(Tg)は低くなり、その結果、より低い温度においてポリマは依然として弾性があり、しかもより低い温度において硬化エラストマは依然として可撓性がある。しかしながら、O/C比を変化させる効果は、定性的であって定量的ではない。なぜなら、Tgは多くの他の因子による影響を受ける可能性があるからである。このような因子としては、全体的な分子量、TFEのような任意のコモノマの存在、およびコモノマの単位ブロックの長さが挙げられる。
【0018】
O/C比を変化させる方法は少なくとも二つあり、それらは組み合わせて使用することが可能である。O/C比を増大させることのできる一つの方法は、酸素原子の多いペルフルオロアルコキシフラグメントを付加することによって、ポリマの任意のペンダント基(典型的には酸素含有アルキル基)の長さを増大させることである。もう一つの方法は、全組成物に対して、酸素原子の多いペルフルオロアルコキシアリルビニルエーテルのモルパーセントを増大させることである。しかしながら、O/C比を増大させる最も効果的な方法は、ビニルエーテル中のペルフルオロメチルビニルエーテル(−CF2O−)またはペルフルオロエチルビニルエーテル(−CF2CF2O−)のセグメントの量を増大させることである。ペルフルオロプロピルビニルエーテルを使用することは、O/C比を増大させる上で効果は少ない。
【0019】
式Iで表される好適なフルオロカーボンポリマの例を、TgおよびO/C比(m+n=1)と共に次の表1に列挙する。
【0020】
【表1】
Figure 0004570780
【0021】
硬化させない本発明のフルオロカーボンポリマは、様々な用途に有用である。しかしながら、それらが特に有利であるのは、硬化させることによって有意な低温特性(例えば、可撓性)を有するエラストマを形成することができるからである。それらは種々の手法によって硬化させることができる。しかしながら、好ましくは、ポリマには、分子内に、ハロゲン(典型的には、臭素およびヨウ素)硬化部位またはニトリル硬化部位が含まれる。
【0022】
従って、好ましくはおよび有利には、フルオロカーボンポリマには、式CF2=CFO−(CF2m−(O(CF2pn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=1〜4、n=0〜6、およびp=1〜2である。〕で表される過フッ素化エーテルから誘導される繰り返し単位と、フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位と、ハロゲンまたはニトリル部分を含有する1種以上の化合物から誘導される有効量(すなわち、硬化エラストマを提供するのに有効な量)の硬化部位部分とが含まれる。本発明で使用される硬化部位部分は、所望により、アルキル部分のようなペンダント基を有していてもよい。硬化部位部分を提供するのに有用なこうした化合物の例は、米国特許第5,696,216号(Krugerら)および同第5,679,851号(Saitoら)に記載されている。好ましくは、硬化部位部分は、式:CX2=CX(Z)〔式中、Xは、HまたはF(好ましくはF)であり、かつZは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2は場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕およびY(CF2qY〔式中、Yは、BrまたはIであり、かつq=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物から誘導される。好ましくは、これらの硬化部位部分は約0.2〜5モル%存在する。硬化部位部分の好ましい基としては、CF2=CFBr、CF2=CHBr、CF2=CHCF2CF2Br、ICF2CF2CF2CF2I、BrCF2CF2Br、−CF2=CFO(CF23−OCF2CF2Brのような化合物およびそれらの混合物から誘導されるものが挙げられる。このような化合物は、米国特許第4,418,186号(Yamabeら)、同第5,225,504号(Tatsuら)、および同第5,214,106号(Carlsonら)に記載されているように生成可能である。硬化部位部分のもう一つの好ましい基としては、CF2=CFO(CF2rOCF(CF3)CN〔式中、r=2〜5。〕のような化合物から誘導されるものが挙げられる。このような化合物は、米国特許第5,679,851号(Saitoら)、同第5,717,037号(Saitoら)、および同第5,736,614号(Saitoら)、ならびに「フルオロ有機化合物の合成」モノマおよび中間生成物,Academician I.L.Knunyanc and Prof.G.G.Yakobson,Moscow,Izdatelstuo,“Chimia” 1997に記載されているように生成可能である。
【0023】
好ましくは、本発明のフルオロカーボンポリマには、フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位が約50〜80モル%および過フッ素化エーテルから誘導される繰り返し単位が約10〜50モル%含まれ、ハロゲン硬化部位は含まれていても含まれていなくてもよい。それらには、場合により、過フッ素化エーテルおよびフッ化ビニリデンを除くフルオロモノオレフィンから誘導される繰り返し単位が約30モル%まで含まれていてもよい。このような他のフルオロモノオレフィンとしては、例えば、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ペルフロウロシクロブテン、およびペルフルオロ(メチルシクロプロペン)が挙げられる。場合により、前述の1種以上のフルオロモノオレフィンを、エチレンおよびプロピレンのようなフッ素非含有オレフィン系モノマと共重合させてもよい。
【0024】
好ましいエラストマは、フッ化ビニリデンと、式Iで表される化合物と、二重結合された各炭素原子上に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含有する少なくとも1種の末端不飽和フルオロモノオレフィンとのコポリマである。但し、このフルオロモノオレフィンの各炭素原子は、フッ素、塩素、水素、低級フルオロアルキル基、または低級フルオロアルコキシ基だけで置換されており、このフルオロモノオレフィンとしては、特に、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、および1−ヒドロペンタフルオロプロペンがある。テトラフルオロエチレン(TFE)のような他の共重合性モノマを含有させ、しかも優れた低温特性を保持することが望まれる場合、実質的に低温特性を変更させない量および単位ブロックでモノマを導入しなければならない。
【0025】
本発明はまた、上記の硬化性フルオロカーボンポリマを含む架橋性組成物から調製されるエラストマポリマを提供する。ハライド硬化部位部分を含有する化合物の場合、架橋性組成物に任意の遊離基開始剤および任意の共硬化剤を更に導入することができる。このような添加剤は好ましいものではあるが、例えば、e−ビーム放射線を用いて架橋を引き起こすこともできるため、必ずしも必要という訳ではない。
【0026】
好ましくは、遊離基開始剤は過酸化物である。このような過酸化物硬化剤には、有機または無機の過酸化物が包含される。有機過酸化物が好ましく、特に、動的混合温度で分解しないものが好ましい。好適な過酸化物としては、ジクミルペルオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキサイド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、およびラウレルペルオキサイドが挙げられる。他の好適な過酸化物硬化剤は、米国特許第5,225,504号(Tatsuら)に列挙されている。過酸化物硬化剤の使用量は、一般的には、フルオロポリマガム(すなわち、フルオロカーボンポリマ)100部あたり0.1〜5部、好ましくは1〜3部であろう。
【0027】
有機過酸化物を用いてフルオロカーボンポリマの過酸化物加硫を行う場合、しばしば、共硬化剤(例えば、助剤または共架橋剤)を導入することが望ましい。このような共硬化剤の使用は、当業者に周知である。このような薬剤としては、例えば、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メチル)アリルシアヌレート、N、N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、1,2−ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。もう一つの有用な共硬化剤は、式CH2=CH−Rf 1−CH=CH2〔式中、Rf 1は、先に記載した通りである。〕で表すことが可能である。このような共硬化剤を用いると、最終的な硬化エラストマの機械的強度が増大する。これらは、フルオロカーボンポリマ100部あたり1〜10部、好ましくは1〜5部の量で使用される。
【0028】
ニトリル硬化部位部分の場合、熱の影響下でニトリルを三量化することによって、架橋性組成物に、トリアジン環の形成を促進することが知られている1種以上の物質を更に導入することができる。こうした物質としては、米国特許第3,470,176号(Zollingerら)および同第3,546,186号(Gladdingら)に記載のヒ素、アンチモン、およびスズの有機金属化合物、ならびに米国特許第3,523,118号(Emersonら)に記載の金属酸化物が挙げられる。
【0029】
ニトリル硬化部位部分を含有しているフルオロカーボンポリマを加硫するために使用することのできる他の化合物としては、下記の式
【化1】
Figure 0004570780
で表されるビス(アミノフェノール)、および下記の式
【化2】
Figure 0004570780
〔式中、Aは、SO2、O、CO、(C1−R6)アルキル基、ペルフルオロ(C1〜C10)アルキル基,または二つの芳香環を連結する炭素−炭素結合である。〕で表されるテトラアミンが挙げられる。このような化合物は、米国特許第4,525,539号(Feiring)に開示されている。ニトリル硬化部位を有するフルオロカーボンポリマを含有してなる組成物中で使用することのできる他の加硫剤または促進剤は、米国特許第4,005,142号(Evers)および同第4,434,106号(Rosserら)に開示されている。
【0030】
架橋性組成物中のこのほかの任意の成分(ハライド硬化部位部分を含有する化合物にとって好ましい成分)は、酸受容体である。酸受容体は、無機または有機の化合物であってよい。有機の酸受容体としては、ステアリン酸ナトリウムおよびシュウ酸マグネシウムが挙げられる。しかしながら、酸受容体は、一般的には、無機塩基であり、具体的には、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。好ましい酸受容体は、酸化亜鉛および水酸化カルシウムである。酸受容体は、単独でまたは組み合わせて使用することが可能であり、ポリマ100重量部あたり約1〜約25部の範囲の量で使用される。
【0031】
また、架橋性組成物に充填剤および着色剤を導入することもできる。充填剤をフルオロカーボンポリマと混合することによって、成形特性および他の性質を改良することができる。充填剤を利用する場合、フルオロカーボンポリマ100重量部あたり約100重量部までの量、好ましくはフルオロカーボンポリマ100重量部あたり約15〜50部の量で加硫配合物に添加することができる。使用しうる充填剤としては、限定されるものではないが、例えば、強化用サーマル等級カーボンブラックあるいは粘土およびバライトのような比較的低い強化特性を有する非黒色顔料が挙げられる。
【0032】
架橋性フルオロカーボンポリマ組成物は、密閉式ミキサ(例えば、バンバリーミキサ)、ロールミルなどのような通常のゴム混合装置のいずれを用いても、一ステップまたは数ステップで配合または混合が可能である。最良の結果を得るためには、混合物の温度が約120℃を超えないようにしなければならない。有効な硬化を行うために、混合中、成分および添加剤を全体にわたって一様に分布させることが必要である。
【0033】
次に、例えば、押出(例えば、ホースもしくはホースライニングの形状で)または成形(例えば、Oリングシールの形態で)によって、混合物の加工および造形が行われる。その後、造形品を加熱することによって、ゴム組成物を硬化させ、硬化エラストマ物品を形成することができる。
【0034】
典型的には、配合混合物のプレス(すなわち、プレス硬化(press cure))は、約95〜230℃、好ましくは約150〜205℃の温度において、約1分間〜約15時間、通常は約1〜10分間にわたって行われる。組成物の成形時、約700〜20,000kPa、好ましくは約3400〜6800kPaの圧力が一般に使用される。最初に、型を離型剤で被覆してプリベークしてもよい。
【0035】
その後、一般に、サンプルの断面厚さに応じて、約150〜315℃の温度、好ましくは約200〜260℃の温度において、約2〜50時間またはそれ以上にわたって、成形加硫物をオーブン中で後硬化させる。断面が厚い場合、通常、後硬化時の温度を、その範囲の最低レベルから所望の最大の温度まで徐々に上昇させる。使用最大温度は、好ましくは約260℃であり、約4時間以上にわたってこの値に保持される。
【0036】
以下の詳細な実施例を参照しながら、本発明について更に説明する。これらの実施例は、種々の特定の例示的な実施形態および手法を更に具体的に示すために提示されたものである。しかしながら、本発明の範囲内において多くの変更および修正を行いうるものと理解すべきである。
【0037】
実施例
以下の実施例により、本発明に係るペルフルオロエーテル単位含有エラストマコポリマ物質および硬化組成物の調製および評価について説明する。記載の結果は、次の試験方法を用いて得られたものである。
【0038】
試験方法
ムーニー粘度は、ASTM1646−94(ML1+10@121℃)により求めた。結果はムーニー単位で報告されている。
【0039】
硬化レオロジー試験は、未硬化の配合混合物を対象として、モンサント製の可動ダイレオメータ(MDR)モデル2000を用いてASTM D 5289−95に従って、177℃、予備加熱なし、経過時間12分間(他に記載のないかぎり)、および0.5°アークの条件で行った。最小トルク(ML)、最大トルク(MH)、すなわち、平坦部も最大も得られないときは所定の時間で到達した最大のトルク、およびトルクの差ΔT、すなわち(MH−ML)を報告した。また、ts2(トルクがMLから2単位増加するまでの時間)、t’50(トルクがML+0.5[MH−ML]に達するまでの時間)、およびt’90(トルクがML+0.9[MH−ML]に達するまでの時間)についても報告した。
【0040】
物理的性質を調べるために、記載の値の時間および温度の条件において約6.9×103kPaで加圧することにより、プレス硬化サンプル(他に記載のないかぎり、150×75×2.0mmのシート)を作製した。
【0041】
後硬化サンプルは、プレス硬化サンプルを空気循環オーブン中に入れることによって作製した。オーブンを232℃に保持し、サンプルを16時間にわたって処理した。
【0042】
ASTMダイDで2.0mmシートからカットしたサンプルに対して、ASTM D 412-75を用いて、破断点引張強度、破断点伸び、および100%伸び率におけるモジュラスを求めた。メガパスカル(MPa)単位で報告されている。
【0043】
硬度は、ASTM D 2240-85方法Aを用いてタイプA−2ショアジュロメータにより求めた。ポイント単位で報告されている。
【0044】
より低い温度における収縮(TR−10)は、エタノールを冷却媒体としてASTM D1329−88(1993年再承認)を用いて求めた。℃単位で報告されている。
【0045】
圧縮永久歪は、200℃で70時間圧縮した0.139インチ(3.5mm)のOリングを用いてASTM D 395−89方法Bにより求めた。結果は%で報告されている。
【0046】
ガラス転移温度
ガラス転移温度は、ASTM E1356−91(1995年再承認)によって、または以下に簡潔に説明されているRussian標準法12254-66によって求めた。この測定は静荷重を用いて行った。予測されるガラス転移温度よりも10〜20度低い温度まで1〜5度/分の速度でゴム円柱体を冷却した。サンプルが凍結するまでこの温度を保持した。典型的には、凍結するまで約10分間かかった。次に、5kgの荷重を加え、1度/分の速度で加熱した。1分ごとに温度および歪みを記録した。変形の規則的増加が始まる温度をガラス転移温度とした。5〜10回の測定の平均を求めた。
【0047】
コポリマ1
磁気駆動式攪拌機(3000rpm)、反応成分供給用精密バルブ2個、サンプル採取用サイホン、熱電対、真空計、およびサーモスタット制御式ジャケットを備えた1リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ1を調製した。反応器を減圧し、脱イオン水225グラムを仕込んだ。その後、次の成分、すなわち、92グラムのCF2=CFOCF2CF2(OCF24OCF3(エーテル)、2.0グラムのCF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF2Br(ハロゲン硬化部位)をガラスアンプルから添加し、更に、0.45グラムの開始剤[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2を含む6.9グラムのフレオン113溶液を反応器に仕込んだ。次に、攪拌しながら、23.8グラムのTFEモノマおよび30.1グラムのVF2モノマを金属シリンダから供給した。仕込んだモノマVF2/TFE/エーテル/ハロゲン硬化部位のモル比は、それぞれ、53.6/26.7/19.2/0.5であった。
【0048】
反応器を24℃まで加熱したところ、反応器の圧力は16atmまで上昇した。重合は、21〜22℃で行った。重合が進むにつれて、圧力は低下した。そして、圧力が一定値1.3atmに達したときに、プロセスを停止させた。反応器を室温まで冷却し、攪拌を停止し、そしてガス状物質をパージした。反応器を開放し、すべて重合中に凝結したコポリマを分離した。熱水でコポリマを充分に洗浄し、次いでエタノールで1回洗浄し、そして60℃で乾燥させた。130グラムの収量でコポリマが得られた。コポリマ1の性質は、表2に示されている。
【0049】
コポリマ2
磁気駆動式攪拌機(3000rpm)、反応成分供給用精密バルブ2個、サンプル採取用サイホン、熱電対、真空計、およびサーモスタット連結型ジャケットを備えた1リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ2を調製した。反応器を減圧し、脱イオン水230グラムを仕込んだ。その後、次の成分、すなわち、93.6グラムのCF2=CFOCF2CF2(OCF24OCF3(エーテル)、1.98グラムのCF2=CFOCF2CF2CF2OCF2CF2Br(ハロゲン硬化部位)をガラスアンプルから反応器中に仕込み、更に、0.45グラムの開始剤[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2を含む6.9グラムのフレオン113溶液を反応器に仕込んだ。次に、攪拌しながら、24.0グラムのTFEモノマおよび30.7グラムのVF2モノマを金属シリンダから供給した。仕込んだモノマVF2/TFE/エーテル/ハロゲン硬化部位のモル比は、それぞれ、53.6/26.7/19.2/0.5であった。
【0050】
反応器を24℃まで加熱したところ、反応器の圧力は17atmまで上昇した。重合は、21〜24℃で行った。重合が進むにつれて、圧力は低下した。そして、圧力が一定値2.6atmに達したときに、プロセスを停止させた。反応器を室温まで冷却し、攪拌を停止し、そしてガス状物質をパージした。反応器を開放し、すべて重合中に凝結したコポリマを分離した。熱水でコポリマを充分に洗浄し、次いでエタノールで1回洗浄し、そして減圧下において60℃で乾燥させた。110グラムの収量でコポリマが得られた。コポリマ2の性質は、表2に示されている。
【0051】
コポリマ3
耐圧40kg/cm2の安全弁、温度制御用ジャケット、180〜220rpmで回転する攪拌機、モノマ仕込み用サイホン、熱電対、真空計、および底部排出バルブを備えた40リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ3を調製した。反応器を減圧し、22.1kgの脱イオン水、1.4kgのフレオン113、および、8.0グラムの[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2を含む39グラムのフレオン113を仕込んだ。次に、攪拌しながら、3.25kgのVF2と、1.55kgのTFEと、7.27kgのCF2=CFOCF2CF2(OCF23OCF3と、0.065kgのCF2=CFBrとの混合物を、1時間にわたってステンレス鋼シリンダから添加した。その間、温度を30℃、圧力を17.5atmに保持した。仕込んだモノマVF2/TFE/エーテル/ハロゲン硬化部位のモル比は、それぞれ、61.7/19.1/18.7/0.5であった。圧力が1atmに低下するまで、所定の温度で反応を進行させた。全反応時間は19時間であった。
【0052】
反応器を室温まで冷却し、そしてガス状物質をパージした。反応器を開放し、すべて重合中に凝結したコポリマを分離した。熱水(70℃)でコポリマを充分に洗浄し、次いで減圧下において60℃で乾燥させた。7.7kgの収量でコポリマが得られた。コポリマ3の性質は、表2に示されている。
【0053】
コポリマ4
耐圧40kg/cm2の安全弁、温度制御用ジャケット、180〜220rpmで回転する攪拌機、モノマ仕込み用サイホン、熱電対、真空計、および底部排出バルブを備えた40リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ4を調製した。反応器を減圧し、22.1kgの脱イオン水、1.4kgのフレオン113、および、8.0グラムの[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2を含む39グラムのフレオン113を仕込んだ。次に、攪拌しながら、3.25kgのVF2と、1.55kgのTFEと、7.27kgのCF2=CFOCF2CF2(OCF23OCF3と、0.065kgのCF2=CFBrとの混合物を、1時間にわたってステンレス鋼シリンダから添加した。その間、温度を35℃、圧力を17.5atmに保持した。仕込んだモノマVF2/TFE/エーテル/ハロゲン硬化部位のモル比は、それぞれ、61.7/19.1/18.7/0.5であった。圧力が1atmに低下するまで、所定の温度で反応を進行させた。全反応時間は16時間であった。
【0054】
反応器を室温まで冷却し、そしてガス状物質をパージした。反応器を開放し、すべて重合中に凝結したコポリマを分離した。熱水(70℃)でコポリマを充分に洗浄し、次いで減圧下において60℃で乾燥させた。9.7kgの収量でコポリマが得られた。コポリマ4の性質は、表2に示されている。
【0055】
【表2】
Figure 0004570780
【0056】
実施例1〜4
以下の実施例において、組成は、コポリマ100部を基準にしたものである。硬化剤および他の添加剤は、ゴムまたはコポリマ100部あたりの部(phr)として記されている。処方および試験結果は、表3にまとめられている。
【0057】
【表3】
Figure 0004570780
Figure 0004570780
【0058】
コポリマ5
耐圧40kg/cm2の安全弁、温度制御用ジャケット、180〜220rpmで回転する攪拌機、モノマ仕込み用サイホン、熱電対、真空計、および底部排出バルブを備えた40リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ5を調製した。反応器を減圧し、13kgの脱イオン水、ならびに界面活性剤を合計で190グラム含有する重量比60/40のアンモニウムペルフルオロヘプタノエート/アンモニウムペルフルオロオクタノエートの水溶液を仕込んだ。次に、過硫酸アンモニウム13グラムの水溶液を添加した。その後、攪拌しながら、2.1kgのVF2と、4.27kgのCF2=CFOCF2CF2(OCF22OCF3と、0.17kgのCF2=CFO(CF23OCF(CF3)CNとの混合物を、ステンレス鋼シリンダから添加した。仕込んだモノマVF2/エーテル/ニトリル硬化部位のモル比は、それぞれ、75.3/23.7/1.0であった。次に、温度を60℃まで上昇させたところ、圧力は28.7atmになった。圧力が1atmに低下するまで、反応を進行させた。全反応時間は12時間であった。
【0059】
反応器を室温まで冷却し、そしてガス状物質をパージした。底部排出バルブからラテックスを取り出し、MgCl2溶液を用いて凝結させ、熱水(70℃)で洗浄し、そして減圧下において60℃で乾燥させた。4.0kgの収量でポリマが得られた。コポリマ5の性質は、表4に示されている。
【0060】
コポリマ6
耐圧40kg/cm2の安全弁、温度制御用ジャケット、180〜220rpmで回転する攪拌機、モノマ仕込み用サイホン、熱電対、真空計、および底部排出バルブを備えた40リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ6を調製した。反応器を減圧し、13kgの脱イオン水、ならびに界面活性剤を合計で190グラム含有する重量比60/40のアンモニウムペルフルオロヘプタノエート/アンモニウムペルフルオロオクタノエートの水溶液を仕込んだ。次に、過硫酸アンモニウム13グラムの水溶液を添加した。その後、攪拌しながら、2.0kgのVF2と、4.1kgのCF2=CFOCF2CF2(OCF22OCF3と、0.24kgのCF2=CFO(CF23OCF(CF3)CNとの混合物を、ステンレス鋼シリンダから添加した。仕込んだモノマVF2/エーテル/ニトリル硬化部位のモル比は、それぞれ、74.8/23.7/1.5であった。次に、温度を60℃まで上昇させたところ、圧力は23.6atmになった。圧力が1atmに低下するまで、反応を進行させた。全反応時間は19時間であった。
【0061】
反応器を室温まで冷却し、そしてガス状物質をパージした。底部排出バルブからラテックスを取り出し、MgCl2溶液を用いて凝結させ、熱水(70℃)で洗浄し、そして減圧下において60℃で乾燥させた。3.9kgの収量でポリマが得られた。コポリマ6の性質は、表4に示されている。
【0062】
コポリマ7
耐圧40kg/cm2の安全弁、温度制御用ジャケット、180〜220rpmで回転する攪拌機、モノマ仕込み用サイホン、熱電対、真空計、および底部排出バルブを備えた40リットルステンレス鋼反応器中でコポリマ7を調製した。反応器を減圧し、21kgの脱イオン水、ならびに界面活性剤を合計で315グラム含有する重量比60/40のアンモニウムペルフルオロヘプタノエート/アンモニウムペルフルオロオクタノエートの水溶液を仕込んだ。次に、過硫酸アンモニウム21グラムの水溶液を添加した。その後、攪拌しながら65℃の温度で、2.6kgのVF2と、1.1kgのTFEと、6.5kgのCF2=CFOCF2CF2(OCF22OCF3と、0.39kgのCF2=CFO(CF23OCF(CF3)CNとの混合物を、ステンレス鋼シリンダから連続的に添加した。仕込んだモノマVF2/TFE/エーテル/ニトリル硬化部位のモル比は、それぞれ、59.4/16.1/23.0/1.5であった。モノマの添加速度を調節することによって、重合時の圧力を4atmに保持した。すべてのモノマを添加し、圧力が1atmに低下した後、反応を停止させた。全反応時間は57時間であった。
【0063】
反応器を室温まで冷却し、そしてガス状物質をパージした。底部排出バルブからラテックスを取り出し、MgCl2溶液を用いて凝結させ、熱水(70℃)で洗浄し、そして減圧下において60℃で乾燥させた。6.0kgの収量でポリマが得られた。コポリマ7の性質は、表4に示されている。
【0064】
【表4】
Figure 0004570780
【0065】
実施例5〜7
以下の実施例において、組成は、コポリマ100部を基準にしたものである。硬化剤および他の添加剤は、ゴムまたはコポリマ100部あたりの部(phr)として記されている。処方および試験結果は、表5にまとめられている。
【0066】
【表5】
Figure 0004570780
Figure 0004570780
【0067】
表3および5の結果から分かるように、本発明の組成物を用いて有用な硬化サンプルを作製することが可能である。
【0068】
本明細書中で引用されているすべての特許、特許資料、および出版物の全開示内容はいずれも、この明細書中に具体的に記載されたものとする。以上の詳細なこれらによってなんら制限されるものではないことを理解すべきである。当業者説明および実施例は、単に明瞭に理解できるようにすべく提示されたものである。に自明な変更は、特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲内に含まれるであろう。従って、本発明は、提示および説明された詳細な内容そのものに限定されるわけではない。

Claims (3)

  1. a)下記の式(式I):
    CF2=CFO−(CF2m−(O(CF2pn−ORf 1
    〔式中、Rf 1は、完全フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=1〜4、n=0〜6、およびp=1〜2である。〕
    で表される1種以上の完全フッ素化エーテルから誘導される繰り返し単位と、
    b)フッ化ビニリデンから誘導される繰り返し単位と
    c)下記の式:
    i)CX2=CX(Z)
    〔式中、(A)Xは、HまたはFであり、かつ (B)Zは、Br、I、またはRf 2U(式中、U=Br、I、またはCNであり、かつ、Rf 2、完全フッ素化二価連結基である。)である。〕、および
    ii)Y(CF2q
    〔式中、(A)Yは、それぞれ独立してBrおよびIから選ばれ、かつ(B)q=1〜6である。〕
    で表される1種以上の化合物から誘導される0.2〜5モル%の硬化部位部分とを含み、
    しかも、−50℃以下のガラス転移温度および少なくとも0.2の対炭素酸素比を有するフルオロカーボンポリマ。
  2. m=1〜2である、請求項1に記載のフルオロカーボンポリマ。
  3. 求項1に記載のフルオロカーボンポリマを含む架橋性組成物を少なくとも部分的に硬化することにより得られたエラストマポリマ。
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