JP2006117745A - フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料 - Google Patents

フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2006117745A
JP2006117745A JP2004305304A JP2004305304A JP2006117745A JP 2006117745 A JP2006117745 A JP 2006117745A JP 2004305304 A JP2004305304 A JP 2004305304A JP 2004305304 A JP2004305304 A JP 2004305304A JP 2006117745 A JP2006117745 A JP 2006117745A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing material
fluorocarbon polymer
formula
perfluorinated
fluorocarbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004305304A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006117745A5 (ja
Inventor
Katsuhiro Wakui
勝弘 涌井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
3M Innovative Properties Co
Original Assignee
3M Innovative Properties Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 3M Innovative Properties Co filed Critical 3M Innovative Properties Co
Priority to JP2004305304A priority Critical patent/JP2006117745A/ja
Publication of JP2006117745A publication Critical patent/JP2006117745A/ja
Publication of JP2006117745A5 publication Critical patent/JP2006117745A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Drying Of Semiconductors (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)

Abstract

【課題】 プラズマ環境下での重量損失が低く、かつ、耐ストレスクラック性及び低温性能の優れた半導体製造装置のためのシール材料を提供する。
【解決手段】 式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位と、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位とを含み、しかも−20℃以下のガラス転移温度を有するフルオロカーボンポリマーであって、架橋構造を有するフルオロカーボンポリマーを含む、半導体製造装置のためのシール材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体製造装置をシールするためのフルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料に関する。
半導体製造装置(ドライエッチング装置、ケミカルベーパーデポジション(CVD)装置など)に使用されるシール材料は、耐プラズマ性が要求される。現在、このような用途では、プラズマ環境下での重量減少(プラズマ作用による分解による重量減少)の少ないパーフルオロエラストマーが使用されている。しかし、このようなパーフルオロエラストマーはプラズマ下での耐ストレスクラック性及び低温性能に問題がある。一方、耐ストレスクラック性及び低温性能のよい材料は、一般に、重量損失についての耐プラズマ性が犠牲になる。
より具体的には、パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロ系パーフルオロエラストマーはプラズマ下での重量損失が少なく、このため、シール材料として用いたときの寿命が長い。しかし、耐ストレスクラック性及び低温性能が低い。一方、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン系フルオロエラストマー又はフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系フルオロエラストマーは耐ストレスクラック性及び低温性能が高く、このため、シール能力に優れている。しかし、プラズマ下での寿命が短い。エラストマー中にモノマー単位としてヘキサフルオロプロピレンを含むと、それがプラズマ下でのフッ化ビニリデンの脱HF反応を誘発するので、重量減少量が増加することになるからである。
シール性能と耐プラズマ性を改良するための種々の提案がなされている。例えば、特許文献1(特開平6−302527号公報)はフッ素系エラストマーにシリカを添加し、さらに金属元素及びカーボンブラックが導入することが教示されている。しかし、このようなシール材料は、シリカなどの粒子による汚染物を生じるとともに、耐熱性を有することが示されているように高温での使用を考慮したものであり、低温性能は低い。
一方、特許文献2(特開2000−119468号公報)には、シリカなどの粒状充填材を含まない含フッ素エラストマーを含有する含フッ素エラストマー組成物を開示している。具体的には、含フッ素化エラストマーはビニリデンフルオライド(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系重合体、ビニリデンフルオライド(VDF)−テトラフルオロエチレン(TFE)−パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)系重合体などが開示されている。しかし、ヘキサフルオロプロピレンを含有するものはフッ素化ビニリデンの脱HF反応を促進するので耐プラズマ性に劣る。また、ここに開示の発明もまた、高温での使用を前提としたもので、これらのモノマーからなる含フッ素ポリマーのガラス転移温度は高く、低温性能はよくないものと考えられる。
特開平6−302527号公報 特開2000−119468号公報
そこで、本発明の目的は、プラズマ環境下での重量損失が低く、かつ、耐ストレスクラック性及び低温性能の優れた半導体製造装置のためのシール材料を提供することである。
本発明の1つの態様によると、式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位と、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位とを含み、しかも−20℃以下のガラス転移温度を有するフルオロカーボンポリマーであって、架橋構造を有するフルオロカーボンポリマーを含む、半導体製造装置のためのシール材料が提供される。好ましくは、フルオロカーボンポリマーは少なくとも0.2の対炭素酸素比を有する。
なお、以下において、上記フルオロカーボンポリマーを「低温フルオロカーボンポリマー」又は「低温フルオロカーボンエラストマー」とも呼ぶ。
上記のシール材料はプラズマ環境下での重量損失が少なく、シール材料としての寿命が長い。また、上記のフルオロカーボンポリマーはガラス転移温度が低く、低温においてもエラストマー性を発揮するので、シール材料としての低温性能に優れる。さらに、上記のフルオロカーボンポリマーは結晶性が低く抑えられているので、プラズマ下でストレスクラックを生じにくい。
本発明の半導体製造装置のためのシール材料は、上記の低温フルオロカーボンエラストマーを含み、また、場合により、従来の一般的な他のフルオロカーボンエラストマーをも含むブレンドであってもよい。シール材料は、シール材料の重量を基準として、好ましくは少なくとも20重量%以上、より好ましくは50重量%以上の低温フルオロカーボンポリマーを含む。
低温フルオロカーボンポリマーは、式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕(式I)で表される1種以上の過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位と、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位とを含み、架橋構造を有してエラストマー性が付与される。架橋構造の導入は電子線照射などの方法も考えられるが、好ましくは硬化反応性部位をポリマー分子中に導入し、その部位を反応させることで得られる。硬化反応性部位の導入はポリマーを構成する繰り返し単位として架橋性モノマーを導入することで行なわれる。低温フルオロカーボンポリマーは、好ましくは、式:a)CX2=CX(Z)〔式中、(i)Xは、HまたはFであり、かつ(ii)Zは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2=場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕およびb)Y(CF2qY〔式中、(i)Yは、BrまたはIであり、かつ(ii)q=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物に由来する有効量(好ましくは、0.2〜5モル%)の硬化部位部分(cure site moieties)が更に含まれる。
特に低い温度でのシール材料を使用する場合には、フルオロカーボンポリマーは低いTgを有するものである必要がある。このような場合には、フルオロカーボンポリマーはペルフルオロアルキルビニルエーテルとフッ化ビニリデンとから調製され、そして約−20℃以下のTgを有する。本明細書中において、特に請求項において、Tgは、ASTM E1356−91(1995年再承認)を用いてポリマーの示差走査熱量計(DSC)分析から得られる曲線上の中点として定義される。
低温フルオロカーボンポリマーは、フッ化ビニリデンと、次の式(式I):CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される過フッ素化エーテルとに由来する繰り返し単位(すなわち、インタポリマー化された単位)を含むフルオロカーボンポリマー(好ましくは、硬化性フルオロカーボンエラストマー)を提供する。これらの過フッ素化エーテルは、本明細書中において、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(「PAAVE」)とも記されている。Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya,No.10,pp.2268−2272,October,1978から翻訳された「ヘキサフルオロプロピレンの液相酸化における反応器表面の役割」,S.V.Kartsov,P.I.Valov,L.F.Sokolov,and S.V.Sokolov,Institute of Chemical Physics,Academy of Sciences of the USSR,Moscow、ならびに米国特許第3,817,960号(Resnick)および同第5,696,216号(Krugerら)には、式Iで表される化合物の製造に関して言及されている。
式Iで表される過フッ素化エーテルは、硬化物質の低温可撓性を損なう恐れのあるペンダントアルキル基(例えば、−CF(CF3)−CF2−O−)をもたない。フルオロカーボンポリマーはまた、好ましくは少なくとも約0.2の対炭素酸素比を有する。この比は、最終的な硬化エラストマー物質の低温特性に対して重要な役割を果たす。
対炭素酸素比(O/C)は、ポリマー中の酸素の全モル数をポリマー中の炭素原子の全モル数で割ることによって求められる。対炭素酸素比が高いほど、硬化エラストマーの低温特性は望ましいものになる。より詳細には、O/C比が高いほど、ガラス転移温度(Tg)は低くなり、その結果、より低い温度においてポリマーは依然として弾性があり、しかもより低い温度において硬化エラストマーは依然として可撓性がある。しかしながら、O/C比を変化させる効果は、定性的であって定量的ではない。なぜなら、Tgは多くの他の因子による影響を受ける可能性があるからである。このような因子としては、全体的な分子量、テトラフルオロエチレン(TFE)のような任意のコモノマの存在、およびコモノマの単位ブロックの長さが挙げられる。
O/C比を変化させる方法は少なくとも二つあり、それらは組み合わせて使用することが可能である。O/C比を増大させることのできる一つの方法は、酸素原子の多いペルフルオロアルコキシフラグメントを付加することによって、ポリマーの任意のペンダント基(典型的には酸素含有アルキル基)の長さを増大させることである。もう一つの方法は、全組成物に対して、酸素原子の多いペルフルオロアルコキシアリルビニルエーテルのモルパーセントを増大させることである。しかしながら、O/C比を増大させる最も効果的な方法は、ビニルエーテル中のペルフルオロメチルビニルエーテル(−CF2O−)またはペルフルオロエチルビニルエーテル(−CF2CF2O−)のセグメントの量を増大させることである。ペルフルオロプロピルビニルエーテルを使用することは、O/C比を増大させる上で効果は少ない。
フルオロカーボンポリマーは架橋構造を導入することで有意な低温特性(例えば、可撓性)を有するエラストマーを形成することができる。フルオロカーボンポリマーは種々の手法によって架橋(硬化)させることができる。しかしながら、好ましくは、ポリマーには、分子内に、ハロゲン(典型的には、臭素およびヨウ素)硬化部位またはニトリル硬化部位が含まれる。
従って、好ましくはおよび有利には、フルオロカーボンポリマーには、式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位と、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位と、ハロゲンまたはニトリル部分を含有する1種以上の化合物に由来する有効量(すなわち、硬化エラストマーを提供するのに有効な量)の硬化部位部分とが含まれる。本発明で使用される硬化部位部分は、所望により、アルキル部分のようなペンダント基を有していてもよい。硬化部位部分を提供するのに有用なこうした化合物の例は、米国特許第5,696,216号(Krugerら)および同第5,679,851号(Saitoら)に記載されている。好ましくは、硬化部位部分は、式:CX2=CX(Z)〔式中、Xは、HまたはF(好ましくはF)であり、かつZは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2は場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕およびY(CF2qY〔式中、Yは、BrまたはIであり、かつq=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物に由来する。好ましくは、これらの硬化部位部分は約0.2〜5モル%存在する。硬化部位部分の好ましい基としては、CF2=CFBr、CF2=CHBr、CF2=CHCF2CF2Br、ICF2CF2CF2CF2I、BrCF2CF2Br、−CF2=CFO(CF23−OCF2CF2Brのような化合物およびそれらの混合物に由来するものが挙げられる。このような化合物は、米国特許第4,418,186号(Yamabeら)、同第5,225,504号(Tatsuら)、および同第5,214,106号(Carlsonら)に記載されているように生成可能である。硬化部位部分のもう一つの好ましい基としては、CF2=CFO(CF2rOCF(CF3)CN〔式中、r=2〜5。〕のような化合物に由来するものが挙げられる。このような化合物は、米国特許第5,679,851号(Saitoら)、同第5,717,037号(Saitoら)、および同第5,736,614号(Saitoら)、ならびに「フルオロ有機化合物の合成」モノマおよび中間生成物,Academician I.L.Knunyanc and Prof.G.G.Yakobson,Moscow,Izdatelstuo,“Chimia” 1997に記載されているように生成可能である。
低温フルオロカーボンポリマーには、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位が約50〜80モル%および過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位が約10〜50モル%含まれ、ハロゲン硬化部位は含まれていても含まれていなくてもよい。硬化部位が存在しない場合には、電子線照射などの別の方法により、架橋構造が導入される。
また、低温フルオロカーボンポリマーには、場合により、過フッ素化エーテルおよびフッ化ビニリデン以外に、フルオロモノオレフィンに由来する繰り返し単位が約30モル%まで含まれていてもよい。低温フルオロカーボンエラストマーは、1つの態様によると、フッ化ビニリデンと、式Iで表される化合物と、二重結合された各炭素原子上に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含有する少なくとも1種の末端不飽和フルオロモノオレフィンとのコポリマーである。但し、このフルオロモノオレフィンの各炭素原子は、フッ素、塩素、水素、低級フルオロアルキル基、または低級フルオロアルコキシ基だけで置換されており、このフルオロモノオレフィンとしては、特に、テトラフルオロエチレン及びクロロトリフルオロエチレンがある。しかし、このような追加のフルオロモノオレフィンとして、ヘキサフルオロプロペンは好ましくない。プラズマ環境下での重量減少を増加させてしまうからである。また、テトラフルオロエチレンを導入する場合には、耐プラズマ性を高めることができるので特に好ましい。しかし、テトラフルオロエチレン単位の導入はフルオロカーボンポリマーのガラス転移温度(Tg)を高めることになるので、シール材料の低温性能を低下させ、また、耐ストレスクラック性も低下させることがある。したがって、追加のフルオロモノオレフィンは低温フルオロカーボンポリマーを構成するモノマーを基準として0〜30モル%の量で含まれることが望ましい。
本発明のシール材料として用いる場合に、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位50〜80モル%と、式Iで表される化合物に由来する繰り返し単位10〜50モル%と、二重結合された各炭素原子上に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含有する少なくとも1種の末端不飽和フルオロモノオレフィン(好ましくは、テトラフルオロエチレン)に由来する繰り返し単位0〜30モル%であるコポリマーでは、優れた低温性能及び重量損失についての耐プラズマ性が得られる。また、上記の硬化性部位部分のモノマー単位を0.2〜5モル%含むことが望ましい。
本発明で使用する低温フルオロカーボンエラストマーは、上記の硬化性フルオロカーボンポリマーに架橋構造を導入することで製造される。硬化性フルオロカーボンポリマーがハライド硬化部位部分を含有する化合物の場合、該ポリマーとともに任意の遊離基開始剤および任意の共硬化剤を更に導入することができる。このような添加剤は好ましいものではあるが、例えば、e−ビーム放射線を用いて架橋を引き起こすこともできるため、必ずしも必要という訳ではない。
好ましくは、遊離基開始剤は過酸化物である。このような過酸化物硬化剤には、有機または無機の過酸化物が包含される。有機過酸化物が好ましく、特に、動的混合温度で分解しないものが好ましい。好適な過酸化物としては、ジクミルペルオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキサイド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3、およびラウレルペルオキサイドが挙げられる。他の好適な過酸化物硬化剤は、米国特許第5,225,504号(Tatsuら)に列挙されている。過酸化物硬化剤の使用量は、一般的には、フルオロポリマーガム(すなわち、フルオロカーボンポリマー)100部あたり0.1〜5部、好ましくは1〜3部であろう。
有機過酸化物を用いてフルオロカーボンポリマーの過酸化物加硫を行う場合、しばしば、共硬化剤(例えば、助剤または共架橋剤)を導入することが望ましい。このような共硬化剤の使用は、当業者に周知である。このような薬剤としては、例えば、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メチル)アリルシアヌレート、N、N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリルホスファイト、1,2−ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。もう一つの有用な共硬化剤は、式CH2=CH−Rf 1−CH=CH2〔式中、Rf 1は、先に記載した通りである。〕で表すことが可能である。このような共硬化剤を用いると、最終的な硬化エラストマーの機械的強度が増大する。これらは、フルオロカーボンポリマー100部あたり1〜10部、好ましくは1〜5部の量で使用される。
ニトリル硬化部位部分の場合、熱の影響下でニトリルを三量化することによって、架橋性組成物に、トリアジン環の形成を促進することが知られている1種以上の物質を更に導入することができる。こうした物質としては、米国特許第3,470,176号(Zollingerら)および同第3,546,186号(Gladdingら)に記載のヒ素、アンチモン、およびスズの有機金属化合物、ならびに米国特許第3,523,118号(Emersonら)に記載の金属酸化物が挙げられる。
ニトリル硬化部位部分を含有しているフルオロカーボンポリマーを加硫するために使用することのできる他の化合物としては、下記の式
Figure 2006117745
で表されるビス(アミノフェノール)、および下記の式
Figure 2006117745
〔式中、Aは、SO2、O、CO、(C1−C6)アルキル基、ペルフルオロ(C1〜C10)アルキル基,または二つの芳香環を連結する炭素−炭素結合である。〕で表されるテトラアミンが挙げられる。このような化合物は、米国特許第4,525,539号(Feiring)に開示されている。ニトリル硬化部位を有するフルオロカーボンポリマーを含有してなる組成物中で使用することのできる他の加硫剤または促進剤は、米国特許第4,005,142号(Evers)および同第4,434,106号(Rosserら)に開示されている。
架橋性組成物中のこのほかの任意の成分(ハライド硬化部位部分を含有する化合物にとって好ましい成分)は、酸受容体である。酸受容体は、無機または有機の化合物であってよい。有機の酸受容体としては、ステアリン酸ナトリウムおよびシュウ酸マグネシウムが挙げられる。しかしながら、酸受容体は、一般的には、無機塩基であり、具体的には、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。好ましい酸受容体は、酸化亜鉛および水酸化カルシウムである。酸受容体は、単独でまたは組み合わせて使用することが可能であり、ポリマー100重量部あたり約1〜約25部の範囲の量で使用される。
また、架橋性フルオロカーボンポリマーを含む架橋性組成物に充填剤および着色剤を導入することもできる。充填剤をフルオロカーボンポリマーと混合することによって、成形特性および他の性質を改良することができる。充填剤を利用する場合、フルオロカーボンポリマー100重量部あたり約100重量部までの量、好ましくはフルオロカーボンポリマー100重量部あたり約15〜50部の量で加硫配合物に添加することができる。使用しうる充填剤としては、限定されるものではないが、例えば、強化用サーマル等級カーボンブラックあるいは粘土およびバライトのような比較的低い強化特性を有する非黒色顔料が挙げられる。
架橋性フルオロカーボンポリマーを含む組成物は、密閉式ミキサ(例えば、バンバリーミキサ)、ロールミルなどのような通常のゴム混合装置のいずれを用いても、一ステップまたは数ステップで配合または混合が可能である。最良の結果を得るためには、混合物の温度が約120℃を超えないようにしなければならない。有効な硬化を行うために、混合中、成分および添加剤を全体にわたって一様に分布させることが必要である。
次に、例えば、押出または成形(例えば、Oリングシールの形態で)によって、混合物の加工および造形が行われる。その後、造形品を加熱することによって、ゴム組成物を硬化させ、硬化エラストマー物品を形成することができる。
典型的には、配合混合物のプレス(すなわち、プレス硬化(press cure))は、約95〜230℃、好ましくは約150〜205℃の温度において、約1分間〜約15時間、通常は約1〜10分間にわたって行われる。組成物の成形時、約700〜20,000kPa、好ましくは約3400〜6800kPaの圧力が一般に使用される。最初に、型を離型剤で被覆してプリベークしてもよい。
その後、一般に、サンプルの断面厚さに応じて、約150〜315℃の温度、好ましくは約200〜260℃の温度において、約2〜50時間またはそれ以上にわたって、成形加硫物をオーブン中で後硬化させる。断面が厚い場合、通常、後硬化時の温度を、その範囲の最低レベルから所望の最大の温度まで徐々に上昇させる。使用最大温度は、好ましくは約260℃であり、約4時間以上にわたってこの値に保持される。
本発明は以下において実施例を参照して説明される。
実施例1
低温フルオロカーボンエラストマーとしてLTFE−6400(商品名)(Dyneoun社製)を用い、該フルオロカーボンエラストマー100重量部に対して、遊離基開始剤としてパーヘキサ25B−40(商品名)(60重量%の2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン+40重量%のSiO2)(日本油脂社製)1.5重量部、共硬化剤としてトリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)2重量部を配合し、O−リングの形状に成形し、そして硬化させた。
実施例2
低温フルオロカーボンエラストマーとしてLTFE−6400(商品名)(Dyneon社製)のうちの50重量%の量をパーフルオロメチルビニルエーテル(33.7モル%)/テトラフルオロエチレン(66.2モル%)系パーフルオロエラストマー(Dyneon社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にO−リング状シール材料を製造した。
実施例3
低温フルオロカーボンエラストマーとしてLTFE−6400(商品名)(Dyneon社製)のうちの75重量%の量をパーフルオロメチルビニルエーテル(33.7モル%)/テトラフルオロエチレン(66.2モル%)系パーフルオロエラストマー(Dyneon社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にO−リング状シール材料を製造した。
比較例1
低温フルオロカーボンエラストマーとしてLTFE−6400(商品名)(Dyneon社製)の全てをパーフルオロメチルビニルエーテル(33.7モル%)/テトラフルオロエチレン(66.2モル%)系パーフルオロエラストマー(Dyneon社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にO−リング状シール材料を製造した。
比較例2
低温フルオロカーボンエラストマーとしてLTFE−6400(商品名)(Dyneon社製)の全てをフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系フルオロエラストマーであるFC−2260(Dyneon社製)に置き換えた以外は実施例1と同様にO−リング状シール材料を製造した。
上記のシール材料に対してプラズマ条件下での重量損失%及びストレスクラックについて調べた。
1.重量損失測定による耐プラズマ性試験
チャンバーを密閉して、減圧するようになっている容器内において、プラズマ発生部を有するプラズマ発生装置を用いてプラズマ環境を作り、O−リング状シール材料の耐プラズマ性試験を行なった。
なお、プラズマ処理条件は以下のとおりであった。
電力=500W、
2流=30sccm、
圧力=30〜40Pa
上記の条件で180分間放置したときのシール材料の初期重量に対する重量損失%を測定した。
2.プラズマ条件下での耐ストレスクラック性試験
O−リング状シール材料(P−26型:JIS B2401に規定されているとおり)を1回ねじり、八の字に固定することでストレス条件を作った。この状態で上記の1.重量損失による耐プラズマ性試験と同一のプラズマ処理条件に20分間付し、真空度の低下があるかどうかを調べた。明らかな圧力低下を生じた場合に、ストレスクラックを生じたものとした。
3.ガラス転移温度
各シール材料のガラス転移温度(Tg)を、ASTM E1356−91(1995年再承認)を用いて示差走査熱量計(DSC)分析から得られる曲線上の中点として測定した。
各例の組成及び試験結果を下記の表に示す。
Figure 2006117745
実施例1〜3では、プラズマ環境下での重量損失%が比較例1のパーフルオロエラストマーとほぼ同等であり、一方、低温性能及びストレスクラック性は比較例1と比較して大きく改善された。比較例2の従来のフルオロエラストマーの場合には、プラズマ環境下での重量損失%が大きく、180分のプラズマ環境下で30%の損失を超えた。

Claims (8)

  1. 式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位と、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位とを含み、しかも−20℃以下のガラス転移温度を有するフルオロカーボンポリマーであって、架橋構造を有するフルオロカーボンポリマーを含む、半導体製造装置のためのシール材料。
  2. 前記フルオロカーボンポリマーは少なくとも0.2の対炭素酸素比を有する請求項1記載のシール材料。
  3. 前記フルオロカーボンポリマーは、二重結合された各炭素原子上に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含有する少なくとも1種の末端不飽和フルオロモノオレフィンに由来する繰り返し単位をさらに含む、請求項1又は2記載のシール材料。
  4. 前記フルオロカーボンポリマーは、
    式:a)CX2=CX(Z)〔式中、(i)Xは、HまたはFであり、かつ(ii)Zは、Br、I、またはRf 2U{式中、U=Br、I、またはCNであり、かつRf 2=場合によりO原子を含有する過フッ素化二価連結基である。}である。〕および
    b)Y(CF2qY〔式中、(i)Yは、BrまたはIであり、かつ(ii)q=1〜6である。〕で表される1種以上の化合物に由来する有効量の硬化部位部分で架橋を施したものである、請求項1〜3のいずれか1項記載のシール材料。
  5. 前記フルオロカーボンポリマーは、フッ化ビニリデンに由来する繰り返し単位50〜80モル%と、式CF2=CF(O−(CF2pm−(O(CF2qn−ORf 1〔式中、Rf 1は、過フッ素化(C1〜C4)アルキル基であり、m=0〜6、n=0〜6、p=1〜4およびq=1〜2である。〕で表される1種以上の過フッ素化エーテルに由来する繰り返し単位10〜50モル%と、二重結合された各炭素原子上に少なくとも1個のフッ素原子置換基を含有する少なくとも1種の末端不飽和フルオロモノオレフィンに由来する繰り返し単位0〜30モル%を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載のシール材料。
  6. 前記フルオロモノオレフィンはテトラフルオロエチレンである、請求項5記載のシール材料。
  7. 硬化部位部分はCF2=CFBr、CF2=CHBr、CF2=CHCF2CF2Br、ICF2CF2CF2CF2I、BrCF2CF2Br、CF2=CFO(CF23−OCF2CF2Br、CF2=CFO(CF2rOCF(CF3)CN〔式中、r=2〜5。〕から選ばれる、請求項4記載のシール材料。
  8. 前記フルオロカーボンポリマーを少なくとも20重量%含むフルオロカーボンエラストマーのブレンドである、請求項1〜7のいずれか1項記載のシール材料。
JP2004305304A 2004-10-20 2004-10-20 フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料 Pending JP2006117745A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004305304A JP2006117745A (ja) 2004-10-20 2004-10-20 フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004305304A JP2006117745A (ja) 2004-10-20 2004-10-20 フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006117745A true JP2006117745A (ja) 2006-05-11
JP2006117745A5 JP2006117745A5 (ja) 2007-11-29

Family

ID=36535935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004305304A Pending JP2006117745A (ja) 2004-10-20 2004-10-20 フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006117745A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022024984A1 (ja) * 2020-07-27 2022-02-03 Nok株式会社 ゴム成形物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6452733A (en) * 1987-04-25 1989-02-28 Daikin Ind Ltd Novel fluorovinyl ether and copolymer thereof
JPH09286824A (ja) * 1995-11-15 1997-11-04 Bayer Ag パーオキサイド架橋性フルオロゴム、それらの製造方法およびそれらの使用
JP2002523576A (ja) * 1998-08-31 2002-07-30 ダイネオン エルエルシー 低温フルオロカーボンエラストマ
JP2003165802A (ja) * 2001-11-29 2003-06-10 Nippon Mektron Ltd 含フッ素共重合体の製造法
JP2003527468A (ja) * 1999-12-29 2003-09-16 ハイドロ−ケベック 低いTgを有し、ビニリデンフルオライドを主成分とし、かつテトラフルオロエチレンもシロキサン基も含まないフルオロエラストマー
WO2006038424A1 (ja) * 2004-10-04 2006-04-13 Unimatec Co., Ltd. 含フッ素共重合体架橋成形品

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6452733A (en) * 1987-04-25 1989-02-28 Daikin Ind Ltd Novel fluorovinyl ether and copolymer thereof
JPH09286824A (ja) * 1995-11-15 1997-11-04 Bayer Ag パーオキサイド架橋性フルオロゴム、それらの製造方法およびそれらの使用
JP2002523576A (ja) * 1998-08-31 2002-07-30 ダイネオン エルエルシー 低温フルオロカーボンエラストマ
JP2003527468A (ja) * 1999-12-29 2003-09-16 ハイドロ−ケベック 低いTgを有し、ビニリデンフルオライドを主成分とし、かつテトラフルオロエチレンもシロキサン基も含まないフルオロエラストマー
JP2003165802A (ja) * 2001-11-29 2003-06-10 Nippon Mektron Ltd 含フッ素共重合体の製造法
WO2006038424A1 (ja) * 2004-10-04 2006-04-13 Unimatec Co., Ltd. 含フッ素共重合体架橋成形品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022024984A1 (ja) * 2020-07-27 2022-02-03 Nok株式会社 ゴム成形物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4570780B2 (ja) 低温フルオロカーボンエラストマ
EP2593511B1 (en) Fluoroelastomer composition
EP2718338B1 (en) Hyperbranched fluoroelastomer additive
US20090093590A1 (en) Seal Material for Semiconductor Production Apparatus
EP2272911B1 (en) Fluorine rubber composition capable of forming crack-resistant sealing material and crack-resistant sealing material obtained from the composition
JP2007517964A (ja) 低温特性の改良されたフルオロエラストマーおよびその製造方法
JP2004509992A (ja) イミダート含有フルオロポリマー組成物
KR101022727B1 (ko) 내투과성이 향상된 플루오로엘라스토머 및 이의 제조 방법
KR20110128834A (ko) 퍼플루오로엘라스토머
WO2017102818A1 (en) Fluoroelastomer compositions
TW200535189A (en) Perfluoroelastomer composition for use in vulcanization and method for making a molded perfluoroelastomer product
JP4123002B2 (ja) フッ素ゴム組成物
JP3758323B2 (ja) 含フッ素エラストマーの製造法
EP2373735B1 (en) Vulcanized (per)fluoroelastomer sealing articles
US20220227909A1 (en) Composition containing fluorine-containing polymer and crosslinked article
JP2009117063A (ja) 燃料電池セルシール用フッ素ゴム組成物
JP5101770B2 (ja) フッ素化エラストマーとアクリルエラストマーのブレンド
WO2019088100A1 (ja) 放熱材料用含フッ素エラストマー組成物及びシート
EP3484953A1 (en) Fluoroelastomer composition
JP2005140196A (ja) 燃料電池用ガスケット
EP3426705B1 (en) Polyunsaturated compound for curing fluoroelastomer compositions
KR20130130691A (ko) 플루오로 엘라스토머 조성물
JP7161137B2 (ja) 電気化学デバイス用被圧縮部材
JP2000230096A (ja) 含フッ素共重合体組成物
JP2006117745A (ja) フルオロエラストマー含有組成物からなるシール材料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071016

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071016

A977 Report on retrieval

Effective date: 20100728

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20100831

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A601 Written request for extension of time

Effective date: 20101129

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

A602 Written permission of extension of time

Effective date: 20101202

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110419