JP4564679B2 - 管継手 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はワンタッチ操作により結合離脱する管継手に関するものであり、特に継手本体の耐久性を一層向上した管継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ワンタッチ操作により結合離脱する管継手として、出願人は既に特開平11−118081号公報に示した管継手を提案している。これは図7に示すように、本体部10とスリーブ11からなる継手本体とロックリング40とコレット30とよりなり、継手本体には入口側を小径となし深部側を大径とした円錐状の内周傾斜面16を有する嵌合孔が形成され、この内周傾斜面16より深部側の嵌合孔の内周面に弾性シールリング13を嵌め込む周溝を備え、当該周溝内に弾性シールリング13を装着すると共に、嵌合孔内に嵌め込まれたコレット30は先端に嵌合孔の径方向に弾性変形しうる複数のアーム部が備えられ、更にコレット30の外周傾斜面は前記内周傾斜面16に摺接し、かつアーム部の先端がロックリング40の内周側に当接する構造としたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる管継手にあって、管継手と管体との結合状態を説明する。図8は本体部10にスリーブが一体化された継手本体に管体50を挿入した際の半裁断面図であり、図9は図8の継手本体において管体50を引き抜く方向に引っ張るか或いは内部の流体によって入口側に押圧され、ロックリング40の爪部42及びコレット30の爪部35が管体50の表面に食い込んだ際の半裁断面図である。
【0004】
即ち、図8に示す状態から管体50を引き抜く方向に引っ張ると、ロックリング40とコレット30が入口側へ移動し、先ず、ロックリング40の外周傾斜面と継手本体嵌合孔の内周傾斜面16とが当接する。この時は未だコレット30は遊んでいる状態である。更に管体50が移動すると、図9に示すように、コレット30の外周傾斜面32と嵌合孔の内周傾斜面16とが当接するが、この時、ロックリング40は嵌合孔内周傾斜面16に圧迫された状態となり、ロックリングの爪部42が管体50の表面に食い込んでいる。又、コレット30の外周傾斜面32も嵌合孔の内周傾斜面16によって押圧されてその先端が縮径する方向に圧迫され、爪部35が管体50の表面に食い込む。
【0005】
このように、ロックリング40の外周傾斜面と継手本体の嵌合孔の内周傾斜面16とが当接するが、継手本体と管体50との結合状態(図9)にあって嵌合孔内周傾斜面16はロックリング40に圧迫されるため、特に継手本体を合成樹脂製とした場合には、内周傾斜面16に損傷を与えてしまう可能性のあるものであった。
【0006】
そこで本発明は、ロックリングの外周傾斜面が継手本体嵌合孔の内周傾斜面と直接当接しないように嵌合孔内に保護リングを設けることにより、継手本体の耐久性を一層向上させた管継手を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものであって、その要旨は、継手本体とロックリングとコレットと保護リングとよりなり、継手本体には入口側を小径となし深部側を大径とした円錐状の内周傾斜面を有する嵌合孔が形成され、嵌合孔内の大径部に保護リングを装着し、嵌合孔内に嵌め込まれたコレットは先端にアーム部が備えられ、更にコレットの外周側は前記内周傾斜面に摺接し、かつアーム部の先端外周がロックリングの内周側に当接する構造とし、ロックリングが前記入口側へ移動される際に、ロックリングの外周側面が保護リングに当接することによりロックリングの外周側面が前記内周傾斜面から離間される構造としたことを特徴とする管継手にかかるものである。
【0008】
そして、好ましくは、継手本体の内周傾斜面より深部側の嵌合孔の内周面又はコアの外周面に弾性シールリングを嵌め込む周溝を備え、当該周溝内に弾性シールリングを装着した管継手にかかるものである。又、継手本体に嵌合孔の最深部の状況を確認できる監視孔を設けるか、継手本体において、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲を透明として、継手本体と管体とを確実に結合できるようにした管継手にかかるものである。更に、ロックリングは断面横向きのV字形をなし、V字形の開口側を深部に向けて嵌合孔に挿入した管継手にかかるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の管継手にあっては、管体のロックのための爪を有するロックリングはコレットから分離されて全く別物品とされたものである。即ち、コレットと、硬質材料であるロックリングとを別体とした結果、複雑な形状のコレットを例えば射出成型によって合成樹脂により容易に製造することが可能になると同時に、爪部を構成するロックリングを所望の硬質材料から形成することが可能になり、管体の外周面への食い込みも確実に保証されることとなる。
【0010】
ロックリングの具体的形態としては、断面が横向きのV字形の環状体とすることが管体の外周面への食い込みの面から最良であって、このV字形の開口部側を内向きに即ち深部側に配置することにより管体との結合及び離脱が容易となるものである。
【0011】
コレットの材質は金属でも合成樹脂でもよいが、コスト的に更には製造の工程上、射出成形可能な合成樹脂製のものが好まれる。尚、コレットは先端にアーム部が備えられ、更にコレットの外周側は継手本体に形成された円錐状の内周傾斜面に摺接するものであり、好ましくは円錐状内周傾斜面に略々平行する面をもつ傾斜面とするのがよい。
【0012】
コレットのアーム部についての最良の形態について更に言及すれば、コレットの先端には長手方向にスリットが形成されて嵌合孔の径方向に弾性変形しうる複数のアーム部が備えられ、かつ好ましくはアーム部の先端外周に凹みを形成してロックリングのV字形の閉鎖側の内周に当接する構造とされる。更にアーム部の内側、好ましくはコレット外周傾斜面端部の最も外径の大きくなった部分から近接する位置にあるコレットアーム部の内周面に、管体の外周面に食い込む爪部を備えているのがよい。前者は管体の離脱の際に便ならしめ、後者は管体の結合の際により強固な固定方法ができ上がるというものである。
【0013】
本発明の管継手における最大の特徴は、嵌合孔内の大径部に保護リングを装着した点にある。即ち、継手本体と管体との結合状態にあって、管体が引き抜く方向に引っ張られると、ロックリングが入口側へ移動し、ロックリングが管体の表面に食い込むが、ロックリングの外周面は継手本体嵌合孔の内周傾斜面と当接せずに保護リングと当接する。従って、内周傾斜面は直接ロックリングに圧迫されず、内周傾斜面が保護される。特に継手本体を合成樹脂製とした場合には、ロックリングによって内周傾斜面が損傷し易いことから、保護リングの装着は有効である。
【0014】
継手本体の材質は金属でも合成樹脂でもよいが、コスト的に更には製造の工程上、射出成形可能な合成樹脂製のものが好まれる。特に、継手本体には嵌合孔の最深部の状況を確認できる監視孔を設けるか、又は継手本体において、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲を透明とすることが最良であるが、監視孔の形成の容易さや、継手本体を透明とするためには、合成樹脂製とすることが好ましい。このように、継手本体を合成樹脂製とした場合には、本発明の保護リングの存在が一層重要となる。
【0015】
なお、監視孔を設けること、或いは継手本体において、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲を透明とすることは、継手本体と管体との結合を一層確実にするために施されるものである。即ち、ロックリングの爪部及びコレットの爪部が管体の表面に確実に食い込むようにして不用意な離脱を防止するためには、管体を継手本体の嵌合孔の最深部まで挿入しておく必要がある。この際、継手本体が不透明な材質により形成されており、かつ継手本体に監視孔がなければ管体の挿入深さが確認できず、嵌合孔の最深部に届いていない状態で放置されてしまう可能性が生じるのである。
【0016】
従って、監視孔を設ける場合は、嵌合孔の最深部の状況を確認できる位置及び大きさに形成され、継手本体を透明とする場合は、必ずしも継手本体全部が透明でなくてもよく、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲が透明であればよい。
【0017】
又、嵌合孔内に管体が嵌め込まれるが、管体の先端内側にはコアが装着されるのが通例である。これはロックリングの爪と管体との噛み合いを確実とするものであって、このコアは管体の先端内側に嵌め込んだ状態で嵌合孔内に挿入することができるが、場合によっては予めコアを嵌合孔内に固定しておき、管体の挿入に際してはこのコアに管体を嵌め込むようにして一体化することもできる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の管継手を図面をもって更に詳細に説明する。
図1は本発明の管継手の第1実施例を示す半裁断面図である。継手本体は黄銅製の本体部10及び合成樹脂製のスリーブ11からなり、本体部10のコア12に周溝を形成し、コア12の周溝には弾性シールリング13としてO−リングが装着されている。一方、スリーブ11には段部16aを経て入口側が小径で深部側が大径である円錐状の内周傾斜面16が形成され、内周傾斜面16の段部16bには金属製の保護リング20が装着されている。又、継手本体には嵌合孔の最深部の状況を確認できる監視孔18が設けられている。尚、図1に示す第1実施例では弾性シールリング13としてO−リングを使用したが、弾性シールリングは必ずしも断面が円形や楕円形のものに限られず、断面V字状のシールリング等であってもよい。又、継手本体は本体部10、スリーブ11及びコア12で構成され、第1実施例では本体部10とコア12とが一体で、スリーブ11が別体となっているが、これらは相互に一体化されていても、別体の物を組み合わせて構成してもよい。
【0019】
コレット30及びロックリング40はスリーブ11の内面に嵌め込まれるが、ロックリング40の背面には合成樹脂製のカバーリング14が挿入されている。従って、ロックリング40の移動範囲はコレット30とカバーリング14との間に制限される。
【0020】
さて、ここで図1に示す管継手の結合過程を説明する。図2は図1において管体50を引き抜く方向に引っ張るか或いは内部の流体によって入口側に押圧された際に、コレット30及びロックリング40が管体50に追随して移動した状態を示す半裁断面図である。又、図3はコレット30及びロックリング40が更に移動し、ロックリング40の爪部42及びコレット30の爪部35が管体50の表面に食い込み、結合が完了した状態を示す半裁断面図である。
【0021】
即ち、管体50の装着時又は分離時にはコレット30は遊んだ状態となっており、ロックリング40は管体50に接触しているが、共にスリーブ11の内周傾斜面16及び保護リング20には接触していない。次に、管体50を引き抜く方向に引っ張ると、ロックリング40とコレット30が入口側へ移動して図2に示す状態となる。この状態にあっては、ロックリング40の外周傾斜面が継手本体嵌合孔の保護リング20と当接し、スリーブ11の内周傾斜面16には接触しない。一方、コレット30の外周傾斜面はスリーブ11の内周傾斜面16に当接する。
【0022】
更に管体50が移動すると、図3に示すように、ロックリング40が保護リング20に圧迫され、ロックリングの爪部42が管体50の表面に食い込む。又、コレット30の外周傾斜面も内周傾斜面16によって押圧され、段部35が管体50の表面を押圧して結合が完全に完了する。従って、ロックリング40がスリーブ11の内周傾斜面16に当接することがなく、たとえスリーブ11を合成樹脂製とした場合であっても、内周傾斜面16が損傷することはない。
【0023】
一方、管体50を離脱させるには、図3に示す結合状態においてコレット30の端部を継手本体内に押し込めば、図2を経て図1の状態に戻る。ここで、コレット30の端部を保持したまま管体50を引き抜けば、離脱が完了する。
【0024】
図4は本発明の管継手の第2実施例を示す半裁断面図である。即ち、この例の継手本体は、コア12が一体化された黄銅製の本体部10に、別体の透明樹脂部材15を結合し、更に透明樹脂部材15にスリーブ11を結合して構成したものである。第2実施例では継手本体に監視孔を設けていないが、透明樹脂部材15の存在により嵌合孔の最深部の状況が把握でき、透明樹脂部材15を通して管体50の結合状態を確認することができる。尚、ロックリング40が内周傾斜面16に当接せず、内周傾斜面16を損傷しない点は第1実施例と全く同様である。
【0025】
図5は本発明の管継手の第3実施例を示す半裁断面図である。この例は、第2実施例と同様に透明樹脂部材をスリーブに結合しているが、本体部を設けずに両端コネクタ継手としたものである。即ち、継手本体は、コア12’に透明樹脂部材15’を結合し、更に透明樹脂部材15’の両端にスリーブ11を結合した3者で構成したものである。第3実施例においても内周傾斜面16が損傷することはなく、透明樹脂部材15’の存在により嵌合孔の最深部の状況を把握することができる。
【0026】
図6は本発明の管継手の第4実施例を示す半裁断面図である。この例は、第1乃至第3実施例のようにコアの外周面に周溝を備えず、継手本体の内周傾斜面16より深部側の嵌合孔の内周面、即ち、本体部10に周溝を備え、当該周溝内に弾性シールリング13を装着したものである。第4実施例においてもロックリング40が内周傾斜面16に当接することはなく、たとえスリーブ11を合成樹脂製とした場合であっても、内周傾斜面16が損傷することがない。尚、第4実施例では監視孔を設けていない。
【0027】
【発明の効果】
本発明の管継手においては、継手本体の嵌合孔内の大径部に保護リングを装着したため、ロックリングは直接継手本体の内周傾斜面に当接せず、内周傾斜面に損傷を与えることがない。従って、継手本体の耐久性を一層向上させることができる。特に、継手本体に嵌合孔の最深部の状況を確認できる監視孔を設けるか、又は継手本体において、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲を透明とすれば、嵌合孔の最深部の状況が把握でき、管体の結合状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の管継手の第1実施例を示す半裁断面図である。
【図2】図2は、図1に示す管継手と管体との結合過程を示す半裁断面図である。
【図3】図3は、図1に示す管継手と管体との結合完了状態を示す半裁断面図である。
【図4】図4は、本発明の管継手の第2実施例を示す半裁断面図である。
【図5】図5は、本発明の管継手の第3実施例を示す半裁断面図である。
【図6】図6は、本発明の管継手の第4実施例を示す半裁断面図である。
【図7】図7は、従来の管継手を示す半裁断面図である。
【図8】図8は、従来の管継手における管体の装着時又は分離時を示す半裁断面図である。
【図9】図9は、従来の管継手と管体との結合完了状態を示す半裁断面図である。
【符号の説明】
10‥‥継手本体の一部となる本体部
11‥‥継手本体の一部となるスリーブ
12,12’‥‥継手本体の一部となるコア
13‥‥弾性シールリング
14‥‥カバーリング
15,15’‥‥継手本体の一部となる透明樹脂部材
16‥‥スリーブの内周傾斜面
16a‥‥スリーブ入口側の段部
16b‥‥内周傾斜面の段部
18‥‥監視孔
20‥‥保護リング
30‥‥コレット
35‥‥コレットの爪部
40‥‥ロックリング
42‥‥ロックリングの爪部
50‥‥管体
Claims (5)
- 継手本体とロックリング(40)とコレット(30)と保護リング(20)とよりなり、継手本体には入口側を小径となし深部側を大径とした円錐状の内周傾斜面(16)を有する嵌合孔が形成され、嵌合孔内の大径部に保護リング(20)を装着し、嵌合孔内に嵌め込まれたコレット(30)は先端にアーム部が備えられ、更にコレット(30)の外周側は前記内周傾斜面(16)に摺接し、かつアーム部の先端外周がロックリング(40)の内周側に当接する構造とし、ロックリング(40)が前記入口側へ移動される際に、ロックリング(40)の外周側面が保護リング(20)に当接することによりロックリング(40)の外周側面が前記内周傾斜面(16)から離間される構造としたことを特徴とする管継手。
- 継手本体の内周傾斜面(16)より深部側の嵌合孔の内周面又はコア(12又は12’)の外周面に弾性シールリング(13)を嵌め込む周溝を備え、当該周溝内に弾性シールリング(13)を装着した請求項第1項記載の管継手。
- 継手本体に嵌合孔の最深部の状況を確認できる監視孔(18)を設けた請求項第1項又は第2項記載の管継手。
- 継手本体において、少なくとも嵌合孔の最深部の状況を確認できる範囲を透明とした請求項第1項又は第2項記載の管継手。
- ロックリング(40)は断面横向きのV字形をなし、V字形の開口側を深部に向けて嵌合孔に挿入した請求項第1項乃至第4項のいずれか1項に記載の管継手。
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