JP4562332B2 - アイメーク用オーバーコート化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オーバーコート化粧料に関し、更に詳細には、アイメークアップ化粧料の化粧崩れを防ぐのに有用なオーバーコート化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
人の容貌において、その人のイメージを形成する上で、アイメークアップは重要な役割をつとめている。中でも、眉の形状は大きな影響を及ぼす因子の1つであり、この為古来より眉を剃り上げ人工的に描くような、眉のメークアップが広く行われてきている。現代に於いても、眉を剃り上げる、或いは、眉毛を抜毛したりした後、アイブローペンシルなどで、眉を描くことは広く行われている。この様な眉のメークアップに使用されるアイブローペンシルは、眉を細く描かなければならないことから、比較的硬度の高いオイルゲルが使用されている。この様に硬度を挙げるためにはワックスを高濃度に含有させた剤形が使用されるが、この様な系では皮膚への付着力が弱いため、化粧崩れしやすい欠点があった。この為、携帯性を高め、定期的に化粧直しをせざるを得なかった。この様な眉墨の化粧持ちを向上させる手段の開発が望まれていた。他のアイメークアップ、例えば、アイカラー、アイライナーやマスカラなどに於いても状況は同様であり、アイメークアップ全般にわたって化粧持ちを向上させる手段の開発が望まれていた。
【0003】
一方、これまでメークアップ化粧料を特定の化粧料で上から覆いその化粧持ちを向上させること、所謂オーバーコート化粧料は口紅に於いては、カップやタバコなどに色移りするのを防ぐ目的で開発されていたが、化粧崩れを防ぐ目的でのオーバーコート化粧料も、アイメークアップに対するオーバーコート化粧料も全く知られていなかった。又、その様な発想すらなかった。勿論、水不溶性ポリマー及び/又は疎水性ポリマーを含有することを特徴とする、アイメークアップ用のオーバーコート化粧料も全く知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、アイカラー、アイライナー、マスカラ、眉墨などのアイメークアップ化粧料の化粧持ちを向上させる手段を提供することを課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、アイカラー、アイライナー、マスカラ、眉墨などのアイメークアップ化粧料の化粧持ちを向上させる手段を求めて鋭意研究努力を重ねた結果、特定の水不溶性ポリマーを含有することを特徴とする、アイメークアップ用のオーバーコート化粧料がその様な特質を付与することができることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す技術に関するものである。
(1)ワックス分を10〜70重量%含有するオイルゲルタイプのアイメークアップ化粧料によるアイメークアップ用のオーバーコート化粧料であって、アクリル酸アルキル共重合体エマルション及びアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルションから選択される1種又は2種の水不溶性ポリマーを樹脂分換算で1〜20重量%と、1,2−ペンタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種又は2種の多価アルコールを1〜10重量%とを含有することを特徴とする、オーバーコート化粧料。
(2)前記水不溶性ポリマーを樹脂分換算で3〜10重量%含有することを特徴とする、(1)に記載のオーバーコート化粧料。
(3)前記多価アルコールを2〜7重量%含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載のオーバーコート化粧料。
(4)アイメークアップ化粧料が眉墨、アイカラー、アイライナー又はマスカラであることを特徴とする、(1)〜(3)の何れかに記載のオーバーコート化粧料。
以下に、本発明について更に詳細に説明を加える。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料は、水不溶性ポリマーを含有することを特徴とする。ここで、水不溶性ポリマーとは実質的に水に溶けたり、水で軟化したりしないポリマーのことを意味し、具体的にはアクリル酸アルキル共重合体エマルション及び/又はアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルションが挙げられる。かかるエマルション形態のポリマーはモノマーを界面活性剤、重合開始剤などとともに水系の溶媒に分散させてエマルション重合させることにより得ることができる。この様なポリマーは上記の手段に従って製造して用いても良いし、既に市販されているものを用いてもかまわない。好ましい市販品としては、大成化工株式会社製のポリジョイントJN(アクリル酸アルキル共重合体エマルション;樹脂分50重量%)と日光ケミカルズ株式会社より販売されているエマポリーCN(アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルション;樹脂分59重量%)が挙げられる。これらは唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。かかる水不溶性ポリマーを本発明のオーバーコート化粧料に用いる場合には、その含有量としては、総量で、化粧料全量に対して、樹脂分に換算して1〜20重量%であり、好ましくは、3〜10重量%である。
【0007】
本発明の化粧料は、上記必須成分である、水不溶性ポリマー及び後記する特定の多価アルコール以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意の成分としては、例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、ジメチコンやフェメチコン、架橋型メチルポリシロキサンなどのシリコーン類、ホホバ油、ビーゼルワックス、カルナウバワックス,オレイン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、マルチトール等の多価アルコール類、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン界面活性剤類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、有機色素などの色剤、防腐剤、二酸化チタン、酸化鉄、チタンマイカ、着色チタンマイカ、虹彩箔等の粉体等を例示することができる。また本発明では、前記した如く、1,2−ペンタンジオール及びイソプレングリコールから選ばれる1種又は2種の多価アルコールを含有する。これは、この様な多価アルコールが、化粧崩れしない被膜の好ましい可塑剤となることと、ポリマーエマルションを化粧料に使用する場合に問題になる微生物汚染に対して、これを防ぐ作用を有するためである。これらの含有量は1〜10重量%であり、好ましくは、2〜7重量%である。これは、少なすぎると可塑作用や抗微生物作用を損なう場合があり、多すぎると被膜そのものの形成を損なう場合があるからである。又、この様な多価アルコールを使用する場合には、フェノキシエタノールを併用すると抗微生物特性が更に向上するので好ましい。フェノキシエタノールの好ましい含有量は、化粧料全量に対して0.1〜1.5重量%である。
【0008】
本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料は、上記の必須成分と任意成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料は、眉墨、アイカラー、アイライナー或いはマスカラなどのアイメークアップ化粧料を塗布した後、その上に塗布し、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料の被膜により、眉墨、アイカラー、アイライナー或いはマスカラが汗や皮脂によって化粧崩れするのを防ぐ作用を有する。本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料を用いることにより、ワックス含有量が多く、従って、皮膚への付着性も低い化粧料も、本発明のオーバーコート化粧料のオーバーコートにより、密着、固定させることが出来る。これにより化粧崩れを防ぐことが出来る。本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料が適用されるアイメークアップ化粧料としては、特段の限定はされず、例えば、乳化タイプ、オイルゲルタイプ、溶剤分散タイプなど通常知られている剤形に適用できる。かかるワックス分の含量としては、眉墨全量の10〜70重量%含有するものが挙げられる。これらの内、化粧崩れの問題が特に著しいオイルゲルタイプ化粧料のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料として用いるのが特に好ましい。この様に、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料の被膜をワックス分の多いアイメークアップ化粧料の上に塗布することにより、アイメークアップ化粧料を固定でき、皮脂や汗などにより化粧崩れする事を防ぐことが出来る。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を示し、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0010】
<実施例1>
以下に示す処方に従って本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料を作成した。即ち、処方成分を良く混合し、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料1を得た。このものの化粧持ち効果を、パネラー5名を使用したサウナ試験で確かめた。即ち、右をアイブローペンシルで眉を描いた上にアイメークアップ用のオーバーコート化粧料1を塗布した。左は皮膚に直接同じアイブローペンシルで眉を描いた。その後、30分間サウナに入ってもらい、退室後10分に次の基準で化粧持ちを専門パネラーが判定した。即ち、スコア5:線のかすれが全く観察されない、スコア4:線のかすれが殆ど観察されない、スコア3:線のかすれは多少あるもののにじみがなく化粧崩れが目立たない、スコア2:線のかすれと僅かなにじみがあり、明るいところで見ると化粧崩れがわかる、スコア1:明確に暗いところでも化粧崩れが判る、の基準である。結果を表1に出現例数として示す。これより、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料を使用することにより化粧持ちが向上していることが判る。
(アイメークアップ用のオーバーコート化粧料1)
ポリジョイントJN 10 重量部
(アクリル酸アルキル共重合体エマルション;乾燥樹脂分5重量部)
1,2−ペンタンジオール 5 重量部
フェノキシエタノール 0.6重量部
水 74.4重量部
エタノール 10 重量部
(アイブローペンシルの芯部)
固形パラフィン 30 重量部
マイクロクリスタリンワックス 10 重量部
ヒマシ油 5 重量部
スクワラン 5 重量部
モクロウ 10 重量部
ワセリン 9.9重量部
ソルビタンセスキオレート 0.1重量部
黒色酸化鉄 10 重量部
ベンガラ 5 重量部
タルク 15 重量部
【0011】
【表1】
【0012】
<実施例2>
実施例1と同様にアイメークアップ用のオーバーコート化粧料2を作成し、上記のアイブローペンシルを用いて、同様に評価を行った。又、比較例1としてポリ酢酸ビニルエマルション(乾燥樹脂分を予め59重量%に調整したもの)をエマポリーCNの代替としたものを、比較例2とポリアクリル酸ナトリウムをエマポリーCNの代替としたものを同様の基準を用いて評価した。結果を表2に示す。これより、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料ではアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルションも同様に使用できることが判る。即ち、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料としては、この様なアクリル系ポリマーが水不溶性ポリマーとして好ましく使用でき、中でも、アクリル酸アルキル共重合体エマルション及び/又はアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルションが好ましいことが判る。
(アイメークアップ用のオーバーコート化粧料2)
エマポリーCN 8.5重量部
(アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルション;乾燥樹脂分5重量部)
1,2−ペンタンジオール 5 重量部
フェノキシエタノール 0.6重量部
水 75.9重量部
エタノール 10 重量部
【0013】
【表2】
【0014】
<実施例3>
実施例1と同様に、実施例1のポリジョイントJNの量を増やして、本発明のアイメークアップ用のオーバーコート化粧料3を作成した。このものをサウナテストにおいて、同様の基準で評価したところ、スコア5が4名、スコア4が1名であり、良好な化粧持ち持続効果が確認された。使用感としては、厚ぼったさがやや気になり、アクリル酸ポリマーの含有量は10重量%程度が上限であろうと推測された。
ポリジョイントJN 20 重量部
(アクリル酸アルキル共重合体エマルション;乾燥樹脂分10重量部)
1,2−ペンタンジオール 5 重量部
フェノキシエタノール 0.6重量部
水 64.4重量部
エタノール 10 重量部
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、アイカラー、マスカラ、眉墨などのアイメークアップ化粧料の化粧持ちを向上させる手段を提供することができる。
Claims (2)
- ワックス分を10〜70重量%含有するオイルゲルタイプのアイメークアップ化粧料によるアイメークアップ用のオーバーコート化粧料であって、
アクリル酸アルキル共重合体エマルション及びアクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・メチルスチレン共重合体エマルションから選択される1種又は2種の水不溶性ポリマーを樹脂分換算で1〜20重量%と、
1,2−ペンタンジオール及びイソプレングリコールから選択される1種又は2種の多価アルコールを1〜10重量%とを
含有することを特徴とする、オーバーコート化粧料。 - アイメークアップ化粧料が、眉墨、アイカラー、アイライナー又はマスカラであることを特徴とする、請求項1に記載のオーバーコート化粧料。
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