JPH08295614A

JPH08295614A - 口紅オーバーコート

Info

Publication number: JPH08295614A
Application number: JP10358295A
Authority: JP
Inventors: Makoto Toritsuka; 誠鳥塚; Tadayuki Tokunaga; 忠之徳永; Masahiko Asahi; 正彦旭
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1995-04-27
Filing date: 1995-04-27
Publication date: 1996-11-12

Abstract

(57)【要約】【構成】次の成分（Ａ）及び（Ｂ）；（Ａ）パーフルオロアルキル基を有するフッ素変性シリ
コーン、（Ｂ）シリカ粉末、アルミナ粉末又は球状樹脂
粉末の１種又は２種以上を含有する口紅オーバーコー
ト。【効果】本発明の口紅オーバーコートは、口紅を塗布
した上に塗布することにより口紅の化粧効果の持続性を
著しく改善し、口紅の食器等への付着を抑えることがで
きるとともに、ティッシュペーパーや食器等に接触して
もとれ難く効果が長時間持続し、しかもペースト状ある
いはクリーム状であるため簡便に使用することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、口紅オーバーコートに
関し、更に詳細には、口紅を塗布した上に塗布すること
により口紅の化粧効果の持続性を改善し、食器等への付
着を抑える口紅オーバーコートに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、口紅オーバーコートは、口紅の化
粧効果の持続性や光沢の改善等を目的とした商品として
提供されている。これらの口紅オーバーコートは、水系
若しくはアルコール系に、セルロース系高分子化合物、
ビニル系樹脂、アクリル系樹脂等の高分子化合物やシリ
コーン油などを配合し、配合する高分子化合物などの特
性を利用するもの、または油分を混合した粉体を主成分
とした粉末状若しくはプレス状のものであった（特公昭
６１−１２８８３号公報、特開昭６１−２４５１２号公
報）。

【０００３】しかしながら、従来の口紅オーバーコート
は、口紅の食器等への付着（色移り）を防ぐには充分満
足できるものではなかった。また、粉末状のものは使用
性が悪く、塗布の仕方により効果にムラがでてしまうと
ともに、高分子化合物等を配合するタイプのものは使用
感にべたつきがあり、官能面においても問題があった。

【０００４】また、近年、液状のパーフルオロポリエー
テルを配合して、口紅の食器等への付着防止効果を高め
た口紅オーバーコート（特開平５−２２１８２９号公
報）が報告されている。しかしながら、このものはパー
フルオロポリエーテルが口紅の食器等への親和性が無い
ことを利用して食器等への色移りを防止するものである
が、唇や皮膚への親和性も低いことから、唇上への残留
性が低く、ティッシュペーパーや食器等に触れると、と
れやすく、効果が消失してしまうという欠点があった。

【０００５】一方、フッ素変性シリコーンは撥水性及び
撥油性に優れているとともに、皮膚への親和性にも優れ
た液体油剤で、これを応用した化粧料（特開平２−２９
８３３８号公報、特開平３−０９５２２６号公報、特開
平５−２４７２１４号公報、特開平６−１８４３１２号
公報等）が報告されている。しかし、これまで、これを
口紅オーバーコートに応用する試みはなされていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、口
紅の色移りを抑制することができるとともに、ティッシ
ペーパーや食器等に繰り返し接触してもその効果が低減
することがなく、しかも使用性及び官能性に優れた口紅
オーバーコートを提供することを目的とするものであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、フッ素変性シリコー
ンと特定の粉末を含有する口紅オーバーコートが、前記
課題を解決することを見出し、本発明を完成した。

【０００８】すなわち、本発明は、次の成分（Ａ）及び
（Ｂ）；（Ａ）パーフルオロアルキル基を有するフッ素変性シリ
コーン、（Ｂ）シリカ粉末、アルミナ粉末又は球状樹脂
粉末の１種又は２種以上を含有することを特徴とする口
紅オーバーコートを提供するものである。

【０００９】本発明で用いられる成分（Ａ）のパーフル
オロアルキル基を有するフッ素変性シリコーンとして
は、例えば下記一般式（１）〜（４）

【００１０】

【化１】

【００１１】で表わされる構造単位の１以上と、一般式
（５）で表わされる構造単位とを有するものなどが挙げ
られる。

【００１２】

【化２】

【００１３】〔式中、Ｒｆ及びＲｆ′は、同一又は異な
って、炭素数１〜２０の直鎖若しくは分岐鎖のパーフル
オロアルキル基又は式Ｈ（ＣＦ₂）_t−（ｔは１〜２０の
整数を示す）で表わされるω−Ｈ−パーフルオロアルキ
ル基を示し、Ｒ¹、Ｒ⁴及びＲ ⁵は、同一又は異なって、
炭素数１〜２０の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基又
は炭素数５〜１０の脂環式若しくは芳香族の炭化水素基
を示し、Ｒ²は水素原子、炭素数１〜２０の直鎖又は分
岐鎖の脂肪族炭化水素基、炭素数５〜１０の脂環式若し
くは芳香族の炭化水素基、炭素数１〜２０のパーフルオ
ロアルキル基又は式Ｈ（ＣＦ₂）_t−（ｔは１〜２０の整
数を示す）で表わされるω−Ｈ−パーフルオロアルキル
基を示し、Ｒ³は炭素数２〜６の２価の炭化水素基を示
し、Ｘ及びＹは単結合、−ＣＯ−又は炭素数１〜６の２
価の炭化水素基を示し、ｌは２〜１６の数を、ｍ及びｎ
はそれぞれ１〜１６の数を、ｐは１〜２００の数を、ｒ
は０〜５０の数を、ｓは１〜２００の数を示す〕

【００１４】一般式（１）〜（５）において、Ｒｆ及び
Ｒｆ′で示されるパーフルオロアルキル基は直鎖でも分
岐鎖のものでも用いることができ、例えばＣＦ₃−、Ｃ₂
Ｆ₅−、Ｃ₄Ｆ₉−、Ｃ₆Ｆ₁₃−、Ｃ₈Ｆ₁₇−、Ｃ₁₀Ｆ
₂₁−、（Ｃ₃Ｆ₇）Ｃ（ＣＦ₃）₂−等が挙げられる。ま
た、式Ｈ（ＣＦ₂）_t−で表わされるω−Ｈ−パーフルオ
ロアルキル基において、ｔは１〜２０の整数を示すが、
６〜２０が好ましく、例えばＨ（ＣＦ₂）₂−、Ｈ（ＣＦ
₂）₄−、Ｈ（ＣＦ₂）₆−、Ｈ（ＣＦ₂）₈−等が挙げられ
る。

【００１５】また、Ｒ¹、Ｒ⁴及びＲ⁵で示される炭化水
素基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル等の直鎖アルキル基；イソプロピル、ｓｅｃ
−ブチル、ｔｅｒｔ−ブチル、ネオペンチル、１−エチ
ルプロピル、２−エチルヘキシル等の分岐鎖アルキル
基；シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状アルキル
基；フェニル、ナフチル等の芳香族炭化水素基などが挙
げられる。また、Ｒ³で示される２価の炭化水素基とし
ては、炭素数２〜４の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン
基が好ましく、特にエチレン基、プロピレン基等が好ま
しい。

【００１６】このような構造単位を持つフッ素変性シリ
コーンとしては、例えば、下記一般式（６）

【００１７】

【化３】

【００１８】〔式中、ｚ¹及びｚ²は少なくとも一方は一
般式（１）、（２）、（３）及び（４）から選ばれる構
造単位を示し、残余は単結合を示し、ｓ、Ｒ⁴及びＲ⁵は
前記と同じものを示す〕又は、下記一般式（７）

【００１９】

【化４】

【００２０】〔式中、ｚ³は一般式（１）、（２）、
（３）及び（４）から選ばれる構造単位を示し、Ｒ⁶は
炭素数１〜２０の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基又
は炭素数５〜１０の脂環式若しくは芳香族の炭化水素基
を示し、ｕは０〜２００の数を、ｓ、Ｒ⁴及びＲ⁵は前記
と同じものを示す〕で表わされるものが挙げられる。

【００２１】これら一般式（１）〜（７）において、色
移り防止効果及び使用性を考慮すると、これら式中の基
は次のものが好ましい。Ｒｆ及びＲｆ′としては、それ
ぞれ炭素数６〜２０の直鎖若しくは分岐鎖のパーフルオ
ロアルキル基又は式Ｈ（ＣＦ ₂）_t−で表わされるω−Ｈ
−パーフルオロアルキル基のｔが６〜２０の整数である
ものが好ましい。Ｒ¹、Ｒ⁴及びＲ⁵は同一でも異なって
いてもよく、炭素数１〜４の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭
化水素基が好ましく、特にメチル基が好ましい。Ｒ²と
しては、水素原子、炭素数６〜２０のパーフルオロアル
キル基又は式Ｈ（ＣＦ₂）_t−で表わされるω−Ｈ−パー
フルオロアルキル基のｔが６〜２０の整数であるものが
好ましい。Ｒ³としては炭素数２〜４の２価の炭化水素
基が好ましく、Ｘ及びＹは単結合、−ＣＯ−又は炭素数
１〜４の２価の炭化水素基が好ましく、ｌは２〜１０、
特に２〜５の数が好ましく、ｍ及びｎはそれぞれ２〜１
０、特に１〜６の数が好ましく、ｐは１〜１００、特に
１〜１０の数が好ましく、ｒは０〜２０、特に０〜５の
数が好ましく、ｓは１〜１００、特に１〜１０の数のも
のが好ましい。なお、一般式（７）の化合物の構造単位
の配列は交互ブロックであってもランダムであってもよ
い。

【００２２】これら成分（Ａ）の好ましい具体例として
は、一般式（２）及び一般式（５）で表わされる構造単
位を有する特開平５−２４７２１４号に記載されたフッ
素変性シリコーン誘導体、一般式（３）及び一般式
（５）で表わされる構造単位を有する特開平６−１８４
３１２号公報に記載されたフッ素変性シリコーン誘導
体、一般式（４）及び一般式（５）で表わされる構造単
位を有する特開平２−２９８３３８号公報及び特開平３
−０９５２２６号公報に記載のフッ素変性シリコーン誘
導体、並びに市販品として旭硝子（株）製のＦＳＬ−３
００、信越化学工業（株）製のＸ−２２−８１９、Ｘ−
２２−８２０、Ｘ−２２−８２１、Ｘ−２２−８２２及
びＦＬ−１００、東レ・ダウコーニング・シリコーン
（株）製のＦＳ１２６５等が挙げられる。

【００２３】成分（Ａ）のフッ素変性シリコーンは１種
又は２種以上を組み合わせて用いることができ、全組成
物中に０．１〜９９重量％（以下、単に「％」で示
す）、好ましくは１〜９５％配合される。０．１％未満
では使用性がよくなく、９９％を超えると成分（Ｂ）の
配合量が少なくなりすぎるので好ましくない。

【００２４】また、成分（Ｂ）において、球状樹脂粉末
としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、スチレ
ン、メクタリル酸エステル（メチルエステル、エチルエ
ステル等）、アクリル酸エステル（メチルエステル、エ
チルエステル等）より選択されるモノマーの１種又は２
種以上のホモポリマー又はコポリマー粉体、ナイロンパ
ウダー、ポリビニルピロリドンパウダー、シリコーン樹
脂パウダーが挙げられる。成分（Ｂ）の粉末は、平均粒
子径が０．０１〜５０μm 、特に０．０１〜２０μm の
ものが好ましい。

【００２５】成分（Ｂ）のシリカ粉末、アルミナ粉末及
び球状樹脂粉末は、通常の化粧料に用いられるものであ
ればよく、例えば、サイロイド５５（富士デヴィソン化
学（株）製）、エロジール２００、同３００、同Ｒ−９
７２、同Ｒ−９７４（不二化成（株）製）等のシリカ粉
末；アルミナＡＫＳ−Ｇ、同ＡＫＰ−３０、同ＡＫＰ−
ＧＭ（住友化学（株）製）等のアルミナ粉末；ＳＰ−５
００（東レ（株）製）等の球状ナイロン粉末；マツモト
マイクロスフェアーＭ（松本油脂（株）製）等の球状ポ
リメチルメタクリレート粉末；トスパール１４５（東芝
シリコーン（株）製）等の球状ポリメチルシルセスキオ
キサン粉末などを好適に使用することができる。

【００２６】これらのシリカ粉末、アルミナ粉末及び球
状樹脂粉末は、１種又は２種以上を組み合わせて用いる
ことができ、全組成中に０．１〜２５％、好ましくは１
〜２０％配合される。０．１％未満では著しい効果が得
られず、２５％を超えると塗布しづらくなるので好まし
くない。

【００２７】また、本発明における成分（Ｂ）は、必要
に応じてシリコーン処理、フッ素化合物処理、界面活性
剤処理等の表面処理を施してもよい。

【００２８】更に、本発明においては、前記必須成分の
ほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば炭化水
素、高級脂肪酸エステル、動植物油脂、シリコーン等の
化粧品用油剤、界面活性剤、酸化防止剤、香料、色素、
アルコール、多価アルコール、防腐剤、紫外線吸収剤、
保湿剤、水等を本発明の効果を損わない範囲で適宜配合
することができる。

【００２９】本発明の口紅オーバーコートは、成分
（Ａ）のパーフルオロアルキル基を有するフッ素変性シ
リコーンに成分（Ｂ）のシリカ粉末、アルミナ粉末及び
／又は球状樹脂粉末を加えて混合し、ペースト状の形態
として得ることができる。また一般の乳化物に成分
（Ａ）及び（Ｂ）を混合し、クリーム状の形態として得
ることもできる。

【００３０】

【発明の効果】本発明の口紅オーバーコートは、口紅を
塗布した上に塗布することにより口紅の化粧効果の持続
性を著しく改善し、口紅の食器等への付着を抑えること
ができるとともに、ティッシュペーパーや食器等に接触
してもとれ難く効果が長時間持続し、しかもペースト状
あるいはクリーム状であるため簡便に使用することがで
きる。

【００３１】

【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、口紅オーバーコートの性能は、次の試験方法によ
るカップ等への付着（色移り）防止効果で評価した。

【００３２】試験方法（１）直後評価ヒト上腕部に市販のスティック状口紅を長さ３cmに２回
塗布し、その上に口紅オーバーコートを塗布した後、ガ
ラス板を押しつけて、色移りを見た。色移りがないもの
を○、少し色移りのあるものを△、色移りが著しいもの
を×として評価した。（２）５回接触後の評価直後評価の後、新しいガラス板を同様に塗布部位に押し
あてる。その後、更に新しいガラス板を同様に塗布部位
に押しあてる作業を繰り返し、押しあてる回数を全５回
まで行い、５回目に押しあてたガラス板への色移りにつ
いて、直後評価と同様の評価基準で評価した。

【００３３】実施例１〜１０及び比較例１〜２３表１〜表３に示す成分を、各評価サンプルに応じて必要
なものをディスパーにて混合して口紅オーバーコートを
調製した。得られた口紅オーバーコートの性能評価を行
い、その結果を表１〜表３に併記した。

【００３４】

【表１】

【００３５】

【表２】

【００３６】

【表３】

【００３７】表１〜表３の結果から明らかな如く、実施
例１〜１０のフッ素変性シリコーン及びシリカ、アルミ
ナ又は球状樹脂の粉末を含む口紅オーバーコートは比較
例１〜２３に比べ色移り防止効果において、直後評価及
び５回接触後の評価のどちらとも高く、口紅の色移りは
抑制されていた。

【００３８】実施例１１口紅オーバーコート下記成分（１）〜（５）を８０℃に加熱しながらディス
パーで混合し、混合しながら成分（６）〜（７）の混合
物をゆっくりと添加し、添加終了後室温になるまで冷却
してクリーム状の口紅オーバーコートを製造した。

【００３９】

【表４】（成分）（％）（１）フッ素変性シリコーン（特開平6-184312号の実施例４）５０（２）オクタメチルシクロポリシロキサン２０（３）ポリオキシエチレンメチルシロキサンジメチルシロキサン共重合体５（４）フッ素処理シリカ¹⁾ ５（５）セタノール２（６）グリセリン２（７）水残分 1)：パーフルオロアルキルエチルリン酸ジエタノールアミンで１０％被覆処理したシリカ（エロジール２００不二化成（株）製）

【００４０】得られた口紅オーバーコートは色移り防止
効果及び効果の持続性に優れ、しかも使用性も良好なも
のであった。

【００４１】実施例１２口紅オーバーコート下記成分（１）に成分（２）〜（６）を添加し、均一に
混合してペースト状の口紅オーバーコートを製造した。

【００４２】

【表５】（成分）（％）（１）フッ素変性シリコーン（特開平5-247214号の実施例３）９２．７９（２）シリカ（エロジールR-972 不二化成（株）製）５．０（３）赤色２０２号０．１（４）黄色４号０．１（５）雲母チタン２．０（６）ヒアルロン酸０．０１

【００４３】得られた口紅オーバーコートは口紅の色移
り防止効果及び効果の持続性に優れ、しかも使用性も良
好なものであった。

【００４４】実施例１３口紅オーバーコート下記成分（１）に成分（２）〜（３）を添加し、均一に
混合してペースト状の口紅オーバーコートを製造した。

【００４５】

【表６】（成分）（％）（１）フッ素変性シリコーン（FSL-300 旭硝子（株）製）８０（２）アルミナ（アルミナAKS-G 住友化学（株）製）１９．０（３）グリセリン１．０

【００４６】得られた口紅オーバーコートは口紅の色移
り防止効果及び効果の持続性に優れ、しかも使用性も良
好なものであった。

【００４７】実施例１４口紅オーバーコート下記成分（１）に成分（２）〜（４）を添加し、均一に
混合してペースト状の口紅オーバーコートを製造した。

【００４８】

【表７】（成分）（％）（１）フッ素変性シリコーン（FS1265 東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製）９８．８（２）シリコーン処理シリカ²⁾ １．０（３）赤色２０２号０．１（４）香料０．１ 2)：メチルハイドロジェンポリシロキサンで５％被覆処理したシリカ（エロジール３００不二化成（株）製）

【００４９】得られた口紅オーバーコートは口紅の色移
り防止効果及び効果の持続性に優れ、しかも使用性も良
好なものであった。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】次の成分（Ａ）及び（Ｂ）；（Ａ）パーフルオロアルキル基を有するフッ素変性シリ
コーン、（Ｂ）シリカ粉末、アルミナ粉末又は球状樹脂
粉末の１種又は２種以上を含有することを特徴とする口
紅オーバーコート。