JP4556522B2 - 記録用紙及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、記録用紙、及び該記録用紙を用いるインクジェット記録方式または電子写真記録方式の画像記録方法に関する。
インクジェット記録方式はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンタの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有することから広く注目されてきている。さらに近年では、高画質化、高速化、高信頼化が進んでいるが、普通紙に印刷する機会も多く、普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。
従来のインクジェットプリンターは、黒文字画質と混色にじみとを改善するため、黒インクは顔料を色材とした記録用紙(以下、単に「用紙」という場合がある)への浸透性の遅いインク、カラーインクは染料を色材とした記録用紙への浸透性の速いインクを使用したものが主流である。
したがって、特に上記用紙への浸透性を高めているカラーインクを用い、記録密度の高い画像を印字した場合は、印字直後の記録用紙におけるカール、波打ち発生が大きく、プリンター内での用紙づまりや画像部のこすれが発生してしまう。また、両面印字をする際には、印字直後の記録用紙に発生するカールが緩和する時間、インクが乾燥する時間が必要なため、プリント生産性が極端に低下してしまう。更に、記録密度の高い画像を印字した場合は、放置乾燥後に発生するカール、波打ちが大きいといった問題点があり、高画質、カール抑制、及び波打ち抑制を高いレベルで両立させることができない。
前記印字後のカール及び波打ちを改善するために、抄造したシートを一度加湿し、紙の応力を緩和することでカール及び波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献1参照)や、紙のCD方向の水中伸度を規制して、カール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献2参照)、紙のMD方向、CD方向の水中伸度の率を1.3倍以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献3参照)、インク噴射部分の動作方向の水中伸度を2.0%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献4参照)、CD方向の水中伸度を1.8%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献5参照)、支持体に含有される顔料を5〜35質量%とし、記録シート(記録用紙)の内部結合強度を150〜455g/cmにすることでコートタイプインクジェット記録シートの波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献6参照)などが提案されている。
前記特許文献1〜5に記載された方法では、カール、波打ちを低減することが報告されているが、記録用紙内部への浸透性が速いインクを用い、インクの吐出量が多い場合や印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、カールが大きくなってしまい、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、前記特許文献6に記載された方法では、インク受理層が設けられた記録用紙の内部結合強度を一定以内におさめることで印字後のうねりを軽減することを試みているが、内部結合強度を規定するだけではカールや波打ち、うねりに対し十分な効果が得られない。特に記録用紙内部への浸透性が速いインクを用いインクの吐出量が多い場合、すなわち印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、波うちが大きく、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを改善するため、放置環境の相対湿度を変化させた時のMD方向とCD方向との不可逆収縮率を一定範囲内とすることで、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを軽減する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。しかし、記録用紙のインク浸透が抑制されていないと、浸透性が速いインクを用いインクの吐出量が多い場合には、インクが記録用紙内部まで浸透してしまい、全体として乾燥後に収縮する繊維の絶対量が増え放置乾燥後のカールが大きくなり十分な効果が得られない。
一方、画質向上のためHLBが11以上のエステル系ノニオン界面活性剤をインク受容層に含ませる方法が提案されているが(例えば、特許文献8参照)、この界面活性剤は親水性が高く、基材(原紙)の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、インク量が多い場合記録用紙が変形し易いため、カールは大きく、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、画質向上のためフイルム表面のインク受容層に、HLBが3〜12の範囲の界面活性剤を含ませる方法が提案されているが(例えば、特許文献9参照)、普通紙に上記技術を適用したとしても、添加量が0.1質量%未満と低く、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、特に記録用紙内部への浸透性が速いインクの吐出量が多い場合、すなわち印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合には、波うちが大きく、同様にドキュメントとして使用に耐えられない。
また、カール防止のために、乾式酸化澱粉をサイズプレス処理する方法が提案されているが(例えば、特許文献10参照)、インクが多く印字された際には、この技術だけではインク中の水による基材の伸びが大きく、カールが大きくなり、ドキュメントとして使用に耐えられない。
更に、インクジェット方式における画質改善のために、シラノール変性ポリビニルアルコール(PVA)と11〜20質量%のノニオン系界面活性剤とフィラーとして合成非晶質シリカとを含むインク受理層が提案されているが(例えば、特許文献11参照)、この方法においては界面活性剤のHLBの記載がなく、また実施例で使用されている界面活性剤のHLBは14であることから、界面活性剤の親水性が高くセルロースパルプを原料とする用紙に適用した場合には、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、同様にこの技術だけではインク中の水による基材の伸びが大きく、カールが大きくなり、ドキュメントとして使用に耐えられない。
また、印刷用紙において、かさ高・柔軟性向上のためHLB6以下のかさ高柔軟剤を含む方法が提案されているが、HLB6以下、特にHLB4以下の界面活性剤では分散性が悪く、基材の親水基を界面活性剤の疎水基で覆うことができず、伸張・収縮する繊維の絶対量が増えるため、カールが大きくなり十分な効果が得られない(例えば、特許文献12参照)。
更に、電子写真方式において記録用紙を離解したパルプの保水値を80から110%、濾水度を480から600mlにすることで信頼性を向上させる方法が提案されているが(例えば、特許文献13参照)、この方法ではパルプの保水値を制御することにより電子写真におけるカール低減などは可能であるが、紙力低下による電子写真方式プリンター・複写機内において紙粉が発生しやすくなったり、こしの弱さより紙詰まりが発生してしまうことがある。またインクジェット方式に適用した際には、印字して乾燥する際、インクの水分が揮発していくとともに大きなカールが発生してしまうことがある。
また更に、インクジェット方式において、セルロース架橋剤を含浸することにより、形態安定化を狙った方法が提案されているが(例えば、特許文献14参照)、この方法では架橋処理することにより、繊維間の結合量が増えすぎると、印字したのち乾燥する際、インクの水分が揮発していくとともに、かえって大きなカールが発生しまう。また、この技術だけでは、印字されてすぐの用紙変形には対応できず、機械内で紙詰まりが発生してしまう可能性がある。また、この用紙を電子写真方式複写機・プリンターに適用した際には、定着器において残留ホルムアルデヒドが揮発し、機内を汚染するばかりか、用紙を触る人へ影響を及ぼしてしまう懸念がある。
特開平3−38375号公報 特開平3−38376号公報 特開平3−199081号公報 特開平7−276786号公報 特開平10−46498号公報 特許第3172298号明細書 特許第3127114号明細書 特開平10−278409号公報 特開昭62−144986号公報 特開2002−348798号公報 特開平11−115304号公報 特開2002−155494号公報 特開平9−119091号公報 特開2002−201597号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、更に画像のむらを改善し、また、電子写真記録方式により印字した場合にも、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができるという、インクジェット記録方式にも電子写真記録方式にも利用可能な記録用紙、及びこれを用いた画像記録方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、普通紙における印字直後に発生するカールを抑制し、波打ち改善による両面印字適性を持たせ、さらに放置乾燥後に発生するカールを抑制し、波打ちを抑制する方法について鋭意検討した。
その結果、本発明者等は、印字直後に発生するカール、波打ちは、水性インク中の水を吸収した繊維層の急激な伸びにより発生していること確認した。また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちについては、インクを吸収した繊維層の脱湿による縮みにより発生し、さらに用紙の厚さ方向への微小時間でのインク浸透が早く、インクの浸透が深くなる程、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなることを確認した。
これらの結果から、本発明者等は、インクを吸収した繊維層の水の吸脱湿による伸縮伝達性について鋭意検討を試みた。その結果、水の吸脱湿による伸縮伝達性は用紙の伸縮率と深い関係があることがわかり、伸縮率を小さくすることで伸縮伝達性を弱め、印字直後に発生するカール、波打ちと放置乾燥後に発生するカール、波打ちを小さくすることが可能であることを見出した。そして、伸縮率低減のため、ある一定範囲のHLBをもつ界面活性剤及び/またはカルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質が用紙表面及び/または内部に存在し、用紙セルロースの水酸基がこれらによって被覆されることにより、水素結合の形成が阻害され、伸縮率が低減され、それによってカール・波うちが小さくなることを見出した。
また、本発明者等は特に、放置乾燥後に発生するカール、波打ちは、水性インク中の水を吸収した繊維が乾燥する際に、自由に繊維間結合を再構築し、インクが浸透した部分のみ元の寸法より縮みカールが発生していること確認した。
これらの結果から本発明者等は、インクを吸収した繊維層の水の脱湿による寸法安定性について鋭意検討を試みた。その結果、水素結合以外の結合を繊維間に形成することと印字前後の寸法とが深い関係があることがわかり、繊維間に水で切断されない水素結合以外の結合を生成することで、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを小さくすることが可能であること、及び寸法安定化のため、用紙セルロースの水酸基に反応することができる材料を用紙に処理することにより、水素結合以外の結合が繊維間、繊維内に形成され、それによって放置乾燥後のカール・波うちが小さくなることを見出した。
更に、用紙の必須成分である表面サイズ剤と上記カール低減材料とを同時に用紙に処理した際には、用紙出力直後での用紙変形に特に影響のある一定範囲のHLBをもつ界面活性剤及び/またはカルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質と、用紙出力放置後での用紙変形に特に影響のある用紙セルロースの水酸基に反応することができる材料とを同時に添加することにより、それぞれの材料の寸法変化低減効果を表面サイズ剤が阻害しにくくなり、結果として印字直後に発生するカール、波打ちと放置乾燥後に発生するカール、波打ちを劇的に小さくすることが可能であることを見出した。
また、電子写真記録方式の複写機・プリンターについても、同様に本発明の技術を適用した用紙を使用することにより、カール、波うちを低減できるばかりか、強度が向上することから紙詰まりも低減でき、表面サイズ剤との共存でも、効果が低減しないことから紙粉の発生が抑えられるといった劇的な効果が得られることを見出した。
一方、画質に関しては、インクジェット記録方法において、前記技術に加えてインクもしくはインク分散剤と反対のイオン性であるカチオン性材料を用紙に存在させることによって、カール低減ための添加しているノニオン界面活性剤によって低下する発色性を改善できる。また、電子写真方式での画像転写性を確保するには、用紙の電気抵抗特性が重要である。特に、本発明では、電気特性が変化する可能性のある、界面活性剤やカチオン性材料を添加しているため、電子写真方式での画像転写性を確保する範囲を検討し、安定して画像を転写できる電気特性範囲を見出し、電子写真方式とインクジェット方式ともに共用できる用紙を開発するに至った。
すなわち、本発明は
<1> 少なくともセルロースパルプを原料とし、カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつモノグリシジルエーテルから選択される1つ及び/またはHLBが6以上11未満のノニオン界面活性剤を0.05〜1.5g/m 2 の範囲で含有し、さらにカルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド及びポリグリシジルエーテルから選択される1つ以上を0.03〜1.0g/m 2 の範囲で含有し、下記式(1)で表される用紙の保水値Cが50〜100%の範囲にあり、かつ下記式(2)で表される用紙のCD方向の湿潤引張強さ残留率Rが5〜20%の範囲であることを特徴とする記録用紙である。
保水値C(%)={(A−B)/B}×100 ・・・ 式(1)
CD方向の湿潤引張強さ残留率R(%)=(Sw/S)×100 ・・・ 式(2)
上記式(1)において、Aは遠心脱水後の湿潤用紙片の質量(g)、Bは用紙の絶乾質量(g)を各々表す。また、上記式(2)において、Swは湿潤引張強さ(kN/m)、Sは乾燥状態の引張強さ(kN/m)を各々表す。
<2> ヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3が2.0〜10.0N・mmの範囲であり、かつ透気度が10〜100sの範囲であることを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
少なくともセルロースパルプを原料とし、上記式(1)で表される用紙の保水値Cが50〜100%の範囲にあり、かつ上記式(2)で表される用紙のCD方向の湿潤引張強さ残留率Rが5〜20%の範囲である記録用紙であって、熱硬化性材料及び/または熱可塑性材料を付与してなることを特徴とする記録用紙である。
> 前記熱硬化性材料及び/または熱可塑性材料の付与量が、0.5〜5.0g/m2の範囲であることを特徴とする<>に記載の記録用紙である。
> インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
> 静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像記録方法であって、
前記記録用紙が、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
本発明によれば、インクジェット記録方式により印字した場合に、ドキュメントの画質を向上させ、印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成時でも画像転写不良が発生せず、インクジェット、電子写真方式ともに利用可能な記録用紙及びこれを用いた画像記録方法を提供することができる。
以下、本発明を記録用紙と画像記録方法とに大きく分けて詳細に説明する。
<記録用紙>
本発明の記録用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とし、カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつモノグリシジルエーテルから選択される1つ及び/またはHLBが6以上11未満のノニオン界面活性剤を0.05〜1.5g/m 2 の範囲で含有し、さらにカルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド及びポリグリシジルエーテルから選択される1つ以上を0.03〜1.0g/m 2 の範囲で含有し、下記式(1)で表される用紙の保水値Cが50〜100%の範囲にあり、かつ下記式(2)で表される用紙のCD方向の湿潤引張強さ残留率Rが5〜20%の範囲であることを特徴とする。
本発明において、上記反応基を一つもつ物質はモノグリシジルエーテルから選択される1つをいうものとする。また、反応基を二つ以上もつ物質は炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド及びポリグリシジルエーテルから選択される1つ以上をいうものとする。
保水値C(%)={(A−B)/B}×100 ・・・ 式(1)
CD方向の湿潤引張強さ残留率R(%)=(Sw/S)×100 ・・・ 式(2)
なお、上記式(1)において、Aは遠心脱水後の湿潤用紙片の質量(g)、Bは用紙の絶乾質量(g)を各々表す。また、上記式(2)において、Swは湿潤引張強さ(kN/m)、Sは乾燥状態の引張強さ(kN/m)を各々表す。
上記特性を有する本発明の記録用紙は、これを用いてインクジェット記録方式により印字した場合に、(1)印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することにより両面印字が可能であり、(2)放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができる。また、(3)印字直後の紙力を保つことができるため、出力機械内で紙詰まりなく出力できる。
これに加え、電子写真方式により印字した場合に、(4)印字直後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、(5)放置乾燥後に発生するカール及び波打ちを抑制することができ、さらに(6)紙力を保つことができるため、出力機械内で紙詰まりなく出力できるばかりか、表面サイズ剤も多用できるため、紙粉の発生を少なくすることができ、関連するトラブルが抑制することができる。すなわち、前記式(1)、式(2)の条件を満たすことにより、印字後のカール及び波打ちの抑制と紙力の保持との両立が可能であることがわかった。
これに対して、従来のインクジェット記録方式、電子写真記録方式に用いられる用紙では、本発明に定義するところの保水値Cが100%以上の範囲にあるため、カールが大きくなり、また叩解を弱めるなどして保水値が100%未満にした場合は、本発明に定義するところの湿潤引張強さ残留率Rが5%未満になり、カールは小さくなるが、印字直後の紙力を保てず、出力機械内で紙詰まりが発生してしまったり、紙粉が発生しやすくなり、出力機械内に紙粉が堆積し、関連するトラブルが発生しやすくなる。
また従来の用紙では通常湿潤引張強さ残留率Rが5%未満であり、湿潤紙力増強剤等で5%以上にした場合には、保水値が100%以上になり、繊維間の水素結合量が増加し、印字直後のカールが極端に大きく出力機械内で紙詰まりが発生してしまい、印字直後と印字乾燥後のカールを小さくすることと、機械内でのトラブル抑制とを両立させることができなかった。
ここでまず本特許で用いる特性値について説明する。
本発明における記録用紙の保水値とは、JAPAN TAPPI No.26:2000に準じた(一部条件変更した)測定法により測定されるものである。具体的に変更した条件としては、試料として絶乾0.5g相当のパルプ懸濁液の代わりに絶乾0.5g相当の1cm×1cmに切り取った用紙片を純水に10分間浸漬したものを用い、遠心分離の方法としては、前記用紙片を金属カップろ過器に偏りがなくなるように入れ遠心沈殿管にセットすることによって行った。これ以外の手順、条件は、JAPAN TAPPI No.26:2000同様である。
保水値Cの計算は、下記式(1)により行った。
保水値C(%)={(A−B)/B}×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、Aは遠心脱水後の湿潤用紙片の質量(g)、Bは用紙の絶乾質量(g)である。
また本発明におけるCD方向の湿潤引張強さ残留率Rとは、JIS P 8135に準じた(一部限定、変更した)測定法により下記式(2)により求めたものである。
CD方向の湿潤引張強さ残留率R(%)=(Sw/S)×100 ・・・ 式(2)
上記式(2)において、Swは湿潤引張強さ(kN/m)、Sは乾燥状態の引張強さ(kN/m)を表す。
前記一部限定、変更した条件としては、引張強さを垂直方向引張法(JIS P 8135の7.2.1)を用いて測定し、湿潤引張強さSwに関し、試験片の浸漬部分の長さを30mm、浸漬時間を10秒としたこと、浸漬液体として、水ではなく実際にインクジェットで印字されるインクに近い素性をもった溶液として、浸透促進剤であるノニオン系界面活性剤サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)を脱イオン水に対して2質量%とした水溶液を用いたこと、及び、浸漬したのち余分な水分をキムワイプで吸い取り引張強さ測定したことである。また、乾燥状態の引張強さSは、試験片を23℃、50%RHの環境に一晩放置したのち液体に浸透せず測定したものである。双方ともに23℃、50%RHの環境にて測定を実施した。これ以外の手順、条件は、JIS P 8135と同様である。
なお、前記のように浸漬液体として特にインクに近い素性のもので測定したのは、より実際のカールとの関連が水を使用するよりも高いためである。また、「CD(方向)」とは、記録用紙製造時の流れ方向を横断する方向であり、記録用紙の引張強さの測定に際しては、記録用紙製造時の流れ方向を横断する方向の寸法を測定した。
前記のように本発明における保水値Cは、50〜100%の範囲であることが必要であり、60〜90%の範囲が好ましく、70〜85%の範囲がより好ましい。保水値Cが50%未満であると、保水性が低すぎてインクジェット方式で印字した際、吸水性が劣るため、インクのにじみが発生しやすくなる。また、100%を超えると、カールが大きくなり、出力機械内で紙詰まりが発生してしまう。
本発明における湿潤引張強さ残留率Rは5〜20%の範囲であることが必要であり、8〜17%の範囲が好ましく、10〜15%の範囲がより好ましい。湿潤引張強さ残留率Rが5%未満であると、インクが浸透した際の強度が低すぎて、インクジェット方式で印字した際、出力機械内で紙詰まりが発生してしまう。また、印字乾燥後のカールが大きく、ドキュメントとして使用するに耐え難い。また20%を超えると、用紙のセルロース繊維間の結合量が大きくなり、特に印字直後カールが大きくなり、出力機械内で紙詰まりが発生してしまう。
さらに、本発明においては、前記保水値C及び湿潤引張強さ残留率Rの範囲を満たす記録用紙の中でも、特にヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3が2.0〜10.0N・mmの範囲であり、かつ透気度が10〜100sの範囲である記録用紙が好ましい。
具体的には、まず、前記保水値を通常の100%を超えるものから本発明に規定する範囲に低減した場合には、記録用紙のヤング率が向上し、特にヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3を2.0〜10.0N・mmの範囲とすることにより、カールが大幅に低減することがわかった。
上記ヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3は、2.5〜7.5N・mmの範囲が好ましく、2.5〜5.0N・mmの範囲がより好ましい。2.0N・mmに満たないと、記録用紙のこわさが十分でなく、印字直後、放置乾燥後のカール低減が達成できない場合がある。また、10.0N・mmを超えると、前記こわさが高すぎ、画像記録装置中での搬送に問題が発生するだけでなく、紙の質感としても問題となる場合がある。
なお、上記記録用紙のヤング率は、JIS P 8113の方法に従い、用紙のCD方向での引張弾性率を測定することにより求めたものである。
さらに前記透気度に関しては、透気度が大きくなると印字後の混色にじみが発生しやすくなり、検討の結果、混色にじみは前記透気度が100sを超えると発生することがわかった。そして、透気度を10〜100sの範囲とすると他の特性を損じることなく混色にじみの発生を抑制できることが判明した。
上記透気度は、10〜50sの範囲が好ましく、10〜30sの範囲がより好ましい。透気度が10sに満たないと、電子写真方式複写機・プリンターにおいて、紙送り機構がバキュームを用いた場合、バキュームが複数枚同時に紙送りしてしまう。一方、100sを超えると、前記のように印字後にインクがすぐに浸透せず、混色にじみが発生してしまう。
なお、ここで透気度とは、J Tappi No.5、王研式透気度である。
次に、前記本発明の記録用紙の構成について説明する。
前述のように、インク印字後の記録用紙のカール、波打ちを低減させるためには、原紙中の繊維間水素結合量を低減することが必要であったが、この場合、叩解を弱くすること等で低減することができ、保水値Cも100%を切ることができるが、同時に紙力が大幅に低減してしまい、出力機械内で紙詰まりが発生してしまうか、紙粉が発生しやすくなり、出力機械内に紙粉が堆積し、トラブルが発生しやすくなる。また、湿潤強度を向上するため、ポリアクリルアミド等を用いた場合には、保水値Cが大きくなりカールが大きくなるため、出力機械内で紙詰まりが発生してしまい、カールを小さくしつつ、用紙の強度を保持することを両立できる記録用紙、すなわち、前記本発明で規定する範囲の保水値C及び湿潤引張強さ残留率Rを満足する記録用紙は存在しなかった。
より詳細には、記録用紙を構成する材料における水酸基は、通常、水酸基同士が(水分子を介して、あるいは、水分子を介さずに)水素結合を形成しており、周囲の温湿度変化や印字時のインクの浸透/乾燥による水分量変化により結合距離が伸び縮みし、不安定である。このような結合の不安定さが、マクロなスケールでは記録用紙の寸法変化を招き、最終的にカールや波打ちを招いていると考えられる。
例えば従来のインクジェット記録方式に用いられる記録用紙では、記録用紙内に含まれる材料による前記水素結合形成阻害が成されておらず、また、水素結合の数も抑制されていないために、不安定な結合の伸縮、解離や再結合による寸法変化を防止できず、既述した(1)〜(3)の特性を高いレベルで両立させることができなかった。また、前記水素結合形成阻害のため、繊維間を充填する方法も考えられるが、この場合には充填によりインクの記録用紙への吸収も阻害され、にじみの原因となることが懸念されていた。
本発明者等が鋭意検討した結果、前記水酸基に起因する寸法変化を、記録用紙を構成する材料(繊維)に後述する各種材料を接着させたり、反応・架橋させ繊維間結合を阻害することにより、自由な水素結合を形成させず、記録用紙の寸法変化をより抑制することで、最終的にカールや波打ちの発生をより防止するという優れた効果を得ることができることがわかった。
具体的には、大きく以下の2つの方法により前記特性を満足する記録用紙を得ることができる。
第1の方法は、少なくとも、カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質及び/またはHLBが6以上11未満のノニオン界面活性剤を、0.05〜1.5g/m2の範囲で用紙に付与する方法である。
即ち、本発明の記録用紙は、上記カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質からら選択される1つ及び/またはHLBが6以上11未満のノニオン界面活性剤を、0.05〜1.5g/m 2 の範囲で付与して構成される。
ここで、上記「用紙に付与」とは、記録用紙作製の際に、前記特性の材料を内添及び/または塗工(表面処理)することにより含有させ、記録用紙内部のパルプ繊維間に前記材料を接着・結合させることをいう。このように特定の材料を付与することにより、前述のように繊維間の結合を阻害することができる。
本発明における前記ノニオン界面活性剤(以下、単に「界面活性剤」という場合がある)のHLBは6以上11未満の範囲であることが好ましく、7〜9の範囲であることがより好ましい。HLBが11を上回ると、親水性が高く、界面活性剤の基材中のセルロース被覆効果が低く、界面活性剤による記録用紙の寸法変化低減効果が低いため、印字直後のカール及び波打ち、放置乾燥後のカール及び波打ちが大きくなる場合がある。また、HLBが6を下回ると、界面活性剤の分散性が低く、界面活性剤が用紙に均一に存在できず、界面活性剤による寸法変化低減効果が低いため、同様に印字直後のカール及び波打ち、放置乾燥後のカール及び波打ちが大きくなる場合がある。
本発明に用いられるノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。
これらの中では、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物が特に好ましい。
また、前記カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質としては、モノグリシジルエーテル、トリメチルシリル化剤、無水酢酸、クロム系撥水剤などを挙げることができる。この中でモノグリシジルエーテルが好ましく用いられる。
上記モノグリシジルエーテルとしては、例えば、Allyl Glycidyl Ether、2−Ethylhexyl Glycidyl Ether、フェニルグリシジルエーテル、Phenol (EO)5 Glycidyl Ether(EOはエチレンオキシドを表す)、p−tert−Butylphenyl Glycidyl Ether、高級アルコールグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテル等を使用することができる。また、トリメチルシリル化剤としてクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン等を使用することもできる。またエステル化剤として、無水酢酸を使用しても良い。これらの中では、ブトキシポリエチレングリコールモノグリシジルエーテルが特に好ましい。
また、本発明における界面活性剤及び/またはカルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質の付与量は、0.05〜1.5g/m2の範囲とする必要があり、0.1〜1.2g/m2の範囲がより好ましく、0.2〜1.0g/m2の範囲がさらに好ましい。
界面活性剤等の量が0.05g/m2に満たないと、界面活性剤の量が少ないため、界面活性剤等による基材中のセルロース被覆効果が低く、記録用紙の寸法変化低減効果が低くなり、カール及び波打ちが大きくなる場合がある。また、1.5g/m2を超えると、界面活性剤等の量が多すぎて保水性が低くなり吸水性に劣るため、インクジェット記録方式で印字した場合、色間にじみ、裏うつり等の画質問題が発生してしまうことがある。
本発明においては、特に印字して直後のカール・カックルを低減させるため、前記界面活性剤及び/またはカルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質に加えて、さらにカルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ物質を、0.03〜1.0g/m2の範囲で付与する必要がある。これにより、前記湿潤引張強さ残存率Rを前記範囲内により安定化させることができる。
すなわち、本発明は、カルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ物質をさらに0.03〜1.0g/m2の範囲で付与することにより、前記湿潤引張強さ残留率を5〜20%の範囲に収めることができ、特に印字乾燥後のカールを低減し、更に両方の手法を同時に用いることによりカールを小さくしつつ、用紙の強度を保つことができ、表面サイズ剤もある程度の量を同時に使用できることから、紙粉の発生も低減することができる。
前記カルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ物質としては、例えば、ポリカルボン酸樹脂、メラミン樹脂、グリオキザール樹脂、水溶性ウレタン樹脂、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド、ポリグリシジルエーテル等を使用することができる。
この中で炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド、ポリグリシジルエーテルが特に好ましく、これらのうちいずれか1以上を用いることができる。
前記のように、カルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ物質の付与量は、0.03〜1.0g/m2の範囲である必要があり、0.05〜0.9g/m2の範囲がより好ましく、0.1〜0.8g/m2の範囲がさらに好ましい。付与量が0.03g/m2に満たないと、量が少ないため、セルロース間の水素結合以外の結合量が少なく、記録用紙の湿潤時強度保持効果や寸法抑制効果が低くなり、カール及び波打ちが大きくなる場合がある。また、1.0g/m2を超えると、量が多すぎて用紙のセルロース繊維間の結合量が増えすぎ、かえってカール及び波打ちが大きくなる場合がある。
本発明の記録用紙を得るための第2の方法は、少なくともセルロースパルプを原料とし、上記式(1)で表される用紙の保水値Cが50〜100%の範囲にあり、かつ上記式(2)で表される用紙のCD方向の湿潤引張強さ残留率Rが5〜20%の範囲であり、熱硬化性材料及び/または熱可塑性材料を用紙に付与する方法である。該付与とは前記第1の方法と同様であり、これにより前述のように繊維間の結合を阻害することができる。
上記熱可塑性材料とは、記録用紙を構成する材料、例えば、原紙に含まれるパルプ繊維に、記録用紙を製造する際の乾燥時の熱により、材料が可塑化・接着し、繊維間接着剤の役割を果たし、水の存在下で容易に解離しない接着状態を形成できる物質である。また前記熱硬化性材料とは、記録用紙を構成する材料、例えば、原紙に含まれるパルプ繊維に、記録用紙を製造する際の乾燥時の熱により、熱硬化反応し、水の存在下で容易に解離しない結合を形成するものを意味し、ヒドロキシル基等の水素を含む反応性の官能基と反応して、水の存在下で容易に解離しない共有結合を形成するか、それ自体で重合し、形態変化しにくい材料のことである。熱硬化性材料としては、記録用紙を構成する材料間を架橋できる架橋剤(他の分子と共有結合を形成できる反応基を2つ以上有する材料)であることがより好ましい。
前記熱硬化性材料としては、熱により硬化し繊維同士を架橋・接着させるものであれば特に制限されないが、硬化温度が50〜150℃の範囲のものが好ましい。
上記熱硬化性材料としては、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリカルボジイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、繊維同士を架橋させるエポキシ樹脂、炭酸ジルコニウムアンモニウムであってもよい。さらに、それ自体重合硬化する水性ポリウレタン樹脂であってもよい。
なお、熱硬化性材料としては発泡性のものがより好ましい。
また、前記熱可塑性材料としては、熱により可塑化し繊維同士を接着させるものであれば特に制限されないが、軟化温度が50〜150℃の範囲のものが好ましい。
上記熱可塑性材料としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
本発明における熱硬化性材料、熱可塑性材料は、繊維同士を接着・架橋させる機能を有していれば良く、ここに挙げられている材料に限られるものではない。
用紙に上記熱硬化性材料及び/または熱可塑性材料を付与する方法は、前記ヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3及び透気度に関する好ましい範囲を満たす方法として特に好ましく、この場合、付与量として記録用紙当り、乾燥質量で0.5〜5.0g/m2の範囲とすることが好ましく、1.0〜3.0g/m2の範囲とすることがより好ましい。
熱可塑性材料・熱硬化性材料の記録用紙中の含有量(付与量)が0.5g/m2より少ないと、前記ヤング率(N/mm2)×〔厚さ(mm)〕3が2.0を下回り、カールや波打ちを十分に抑制できなくなる場合がある。また、5.0g/m2を超えると、前記透気度が100sを超え、記録用紙のインク浸透性が低下し、異なる色のインクが隣接して記録用紙表面に付与された場合に、色間で滲みが発生してしまう場合がある。
本発明の記録用紙は、少なくともセルロースパルプを原料とするものであり、下記基材中に前記界面活性剤及び/またはカルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつ物質、もしくは熱硬化性材料及び/または熱可塑性材料を、内添したもの、その表面に表面サイズ剤などで処理したもの、または、原紙表面に前記材料を塗工したものなど、前記材料を内添及び/または塗工(表面処理)により含んでいるものであれば特に制限はない。
前記基材は、少なくともセルロースパルプを原料とするものであり、下記原紙であってもよく、該原紙表面に顔料やバインダーなどを処理した普通紙であってもよい。
前記原紙は、セルロースパルプを含むものであるが、セルロースパルプとしては公知のものを用いることができ、具体的には化学パルプ、より具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等を使用できる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
また、前記古紙パルプの原料として、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙;を配合することができる。
本発明に用いられる原紙に使用される古紙パルプとしては、前記古紙原料を、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られたものが望ましい。また、より白色度の高い原紙を得るためには、上記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50質量%以上100質量%以下とすることが望ましい。さらに資源の再利用という観点からは、前記古紙パルプの配合率を70質量%以上100質量%以下とすることがより望ましい。
前記オゾン処理は、上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、過酸化水素処理は脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ作用がある。特にこの二つを組み合わせた処理によって古紙の脱墨を容易にするだけでなく、パルプの白色度も向上することが知られている。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を持つ。
また、本発明に用いられる原紙には、不透明度、白さ及び表面性を調整するため、填料を添加することが好ましい。特に用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の白色無機顔料、及びアクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料を挙げることができる。また、古紙を配合する場合には、古紙原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
更に、本発明に用いられる原紙には、内添サイズ剤を添加することが好ましく、内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる、中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤が使用できる。
また、記録用紙の表面をカチオン性に調整する場合には、カチオン性物質としては、例えば、親水性のカチオン樹脂等を表面に処理することができるが、このカチオン性樹脂の内部への浸透を抑制するためには、このカチオン性樹脂を塗布する前の用紙サイズ度は10秒以上60秒未満であることが好ましい。
以上述べたような原紙に、例えば、前記界面活性剤等を含む表面サイズ液を表面処理することで本発明の記録用紙が得られる。
上記表面サイズ液は、水などの溶媒を主体として構成され、それに含まれる表面サイズ剤及びノニオン界面活性剤等の濃度は1〜10質量%の範囲であることが好ましく、3〜7質量%の範囲であることがより好ましい。
前記表面サイズ液の付与量としては、記録用紙片面当り0.1〜3.0g/m2の範囲であることが好ましく、1.0〜2.0g/m2の範囲であることがより好ましい。
処理量(付与量)が3.0g/m2を上回ると、表面サイズ剤の絶対量が多く、前記界面活性剤等のカール低減効果が阻害され、カール及び波打ちが大きくなる場合がある。また、0.1g/m2を下回ると、表面サイズ剤の絶対量が少なく、表面サイズ剤と一緒に付与する顔料などを原紙表面に定着できず、複写機等で記録用紙を走行させた際、紙粉が大量に発生し機械にトラブルを発生させてしまう場合がある。
上記表面サイズ剤として具体的には、表面サイズ剤の中でも、表面サイズ剤として通常使用される酸化澱粉だけではなく、疎水性を向上させたアセチル化澱粉、燐酸エステル化澱粉などを用いることが好ましい。また、ポリビニルアルコールのけん化度を極めて低くし疎水基を残すか、けん化度を極めて高くし結晶化度を向上させ、疎水性を向上させたものも好ましく用いられる。また、インクジェット方式での画質を向上させる目的で、ポリビニルアルコールの重合度が低いものを使用しても良い。また更に、疎水性を向上させたシラノール変性した表面サイズ剤等を用いても良い。まら、これらは混合して、または単独で使用しても良い。
表面処理は、表面サイズ液をサイズプレス、シムサイズ、ゲートロール、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、ブレードコーター等の通常使用されている塗布手段によって、前記用紙に塗布することにより行うことができる。その後乾燥工程を経て、本発明の記録用紙を得ることができる。
なお、本発明における界面活性剤等の用紙への付与は、上記表面サイズ剤による処理によるだけでなく、例えば抄紙時に界面活性剤等を混合して内添することなどにより行ってもよい。
本発明の記録用紙の坪量は特に限定されるものではないが、60〜128g/m2の範囲内が好ましく、60〜100g/m2の範囲内がより好ましく、60〜90g/m2の範囲内が更に好ましい。坪量が高い程カール、波打ちには有利であるが、坪量が128g/m2を超えると用紙の腰が強くなり過ぎるため、プリンターの用紙走行性が低下することがある。また60g/m2より低いと、カール、波打ちの発生を小さく抑えることが難しくなる場合があり、また、裏移りの観点からも好ましくない。
また抄紙の際には繊維配向比を1.0〜1.55の範囲、好ましくは1.0〜1.45の範囲、さらに好ましくは1.0〜1.35の範囲に調整することが好ましい。このように調整することによって、インクジェット方式で印刷した後の用紙(記録用紙)のカールを低減することができる。上記繊維配向比とは、超音波伝播速度法による繊維配向比であり、用紙のMD方向(抄紙機の進行方向)の超音波伝播速度を、用紙のCD方向(抄紙機の進行方向に対する垂直方向)の超音波伝播速度で除した値を示すもので、次式で表されるものである。
原紙の超音波伝播速度法による繊維配向比(T/Y比)=(MD方向超音波伝播速度)/(CD方向超音波伝播速度)
なお、この超音波伝播速度法による繊維配向比は、SonicSheetTester(野村商事(株)社製)を使用して測定される。
本発明の記録用紙は、その表面にカチオンポリマーや多価金属塩を含んでいることが好ましい。記録用紙の表面が、カチオンポリマーや多価金属塩を含むことにより、インクジェット用インク中がアニオン高分子含む場合、これを架橋させることにより、色材の極めて早い凝集を可能にすると共に、優れた印字画質を得、かつ、インク溶媒の用紙内部への浸透を抑制すると考えられることから、印字直後に発生するカール及び波打ち、さらに、放置乾燥後のカール及び波打ちの発生を更に改善することができる。
前記多価金属塩としては、カリウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、錫、マンガン、アルミニウムの他の多価金属の塩化物、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩等が使用でき、具体的には、塩化バリウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ギ酸亜鉛、塩化錫、硝酸錫、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、ギ酸マンガン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム等が例示でき、これらは単独または2種以上併用して利用できる。これら多価金属塩のうち、水への溶解度が高く、価数の高い金属塩が好ましい。さらに多価金属塩の対イオンが強酸であると、塗布後の用紙黄変が発生するため、好ましくは、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸マグネシウム等がよい。カチオンポリマーとしては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉、カチオン化澱粉等があるが、これらに限定されるものではない。
前記に列挙したカチオンポリマー、多価金属塩は、前記表面サイズ液に混入させるか、別に作製した塗工液を用紙の表面に塗布することにより、記録用紙表面に配することができる。後者の場合に、塗布に際しては水に溶解させて得た塗工液を直接記録用紙(あるいは用紙)に塗布してもかまわないが、バインダーと混合して使用されるのが一般的である。
記録用紙表面に含まれるカチオンポリマー、多価金属塩の含有量としては、0.1〜2g/m2の範囲であることが好ましく0.5〜1g/m2の範囲であることがより好ましい。
含有量が0.1g/m2より少ないと、インク中の顔料やアニオン高分子との反応が弱まるため、結果として画質の低下、印字直後のカール、波打ち、放置乾燥後のカール、波打ちが大きくなる場合がある。また、含有量が2g/m2を越える場合は、インクの浸透性が悪化し、高速印字においてインク乾燥性が悪化する場合がある。
本発明の記録用紙においては、CD伸縮率が0.55以下であることが好ましく、0.50以下がより好ましい。CD伸縮率が0.55を上回ると、前記本発明の技術を用いてもカール・波打ちが大きくなりやすくなる。
なお、上記「CD伸縮率」とは、温度が23℃に保たれた恒温環境下に記録用紙を放置した際に、湿度を“65%RH→25%RH→65%RH→90%RH”の順で1.5時間ずつ変化させる吸脱湿処理を3サイクル繰り返し、3サイクル目に湿度を“65%RH→25%RH”に変化させた時の記録用紙の寸法変化率、すなわち、相対湿度変化と寸法変化率との関係を示す図1におけるaを意味する。記録用紙の寸法測定は、王子エンジニアリング製H・K式伸縮度試験器を用いて測定した。
なお、CD(方向)とは前記のように記録用紙製造時の流れ方向を横断する方向であり、記録用紙の寸法測定に際しては、記録用紙製造時の流れ方向を横断する方向の寸法を測定した。
また、本発明の記録用紙は、地合指数が20〜50の範囲が好ましく、25〜40の範囲がより好ましい。地合指数が20を下回ると、地合むらから界面活性剤の存在むらが発生しやすくなり、電子写真方式における画像転写むらが発生しやすくなる。また地合指数が50以上になると、その均質性を確保するため、用紙を叩解を強くする必要があり、インクジェット記録方式におけるカールが大きくなってしまう場合がある。
ここで、地合い指数とは、M/K Systems,Inc.(MKS社)製の3Dシートアナライザー(M/K950)を使い、そのアナライザーの絞りを直径1.5mmとし、マイクロフォーメーションテスター(MFT)を用いて測定したものである。すなわち、3Dシートアナライザーにおける回転するドラム上にサンプルを取り付け、ドラム軸に取り付けられた光源と、ドラムの外側に光源と対応して取り付けられたフォトディテクターによって、サンプルにおける局部的な坪量差を光量差として測定する。この時の測定対象範囲は、フォトディテクターの入光部に取り付けられる絞りの径で設定される。次にその光量差(偏差)を増幅し、A/D変換し、64の光測定的な坪量階級に分級し、1回のスキャンで1000000個のデータを取り、そのデータ分のヒストグラム度数を得る。そしてそのヒストグラムの最高度数(ピーク値)を64の微小坪量に相当する階級に分級されたもののうち100以上の度数を持つ階級の数で割り、それを1/100にした値が地合い指数として算出される。この地合い指数はその値が大きいほど地合いがよいことを示す。
また、記録用紙が電子写真方式の画像記録に用いられる場合、用紙の電気特性は重要であり、特に本発明では、用紙の電気特性を変化させうる界面活性剤やカチオン化材料を多用しており、その組み合わせや含有量によっては、電子写真方式において画像転写むらが発生してしまうことがある。
本発明では、記録用紙の少なくとも印字される面の表面抵抗値が1.0×109〜1.0×1011Ω/□の範囲であることが好ましく、体積抵抗率が1.0×1010〜1.0×1012Ω・cmの範囲に設定することが好ましい。表面抵抗値、体積抵抗率が上記の範囲に入っていない場合には、電子写真方式において画像転写むらが発生してしまうことがある。
上記表面抵抗値は5.0×109〜7.0×1010Ω/□の範囲であることがより好ましく、5.0×109〜2.0×1010Ω/□の範囲であることがさらに好ましい。なお、表面抵抗値は、前記多価金属塩及び/またはカチオン性樹脂等を塗布してなる表面の抵抗を示す。また、前記体積電気抵抗率は1.3×1010〜1.6×1011Ω・cmの範囲であることがより好ましく、1.3×1010〜4.3×1010Ω・cmの範囲であることがさらに好ましい。
なお、前記表面抵抗値及び体積抵抗率は、23℃、50%RHの条件下で24時間保存し、調湿された記録用紙を、JIS−K−6911に準拠した方法で測定したものである。
<画像記録方法>
次に、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法は、インクジェット用インク(以下、「インク」と略す場合がある)または電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を用いて記録する際に、本発明の記録用紙を用いるものであれば特に限定されない。しかしながら、本発明の画像記録方法は、高品質のドキュメントを得るためにはインクを用いるインクジェット記録方式であることがより好ましい。
(インクジェット記録方式の画像記録方法)
まず、本発明のインクジェット記録方式の画像記録方法(以下、「インクジェット記録方法」という場合がある)について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法である。
前記インクとしては、少なくとも色材を含む公知のインクであれば特に限定されないが、色材、アニオン性化合物、水溶性有機溶媒及び水を必須の成分として含有するものが好ましく、その他、顔料分散剤、界面活性剤、各種添加剤等を含有することができる。以下、それぞれの成分について説明する。
−色材−
インクに使用される色材としては、水溶性染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。
黒インクの場合は顔料を主体としたものが一般的であり、黒色の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられ、具体的な例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上コロンビアンDカーボン社製)、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Black Pearls L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、ColorBlack S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex Vrintex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special、Black 4A、Special Black4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。
カーボンブラックの好適な構造を一律に議論することは困難であるが、平均一次粒子径が15〜30nm、BET表面積が70〜300m2/g、DBP吸油量が0.5〜1.0×10-3L/g、揮発分が0.5〜10質量%、灰分が0.01〜1.00質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲から外れたカーボンブラックを使用すると、インク中での分散粒子径が大きくなることがある。
シアン、マゼンタ、及びイエローのインクに用いられる色材としては、染料に限らず、疎水性顔料に親水基を含む分散剤を添加して親水性を持たせた顔料、及び自己分散型顔料も使用することができる。
前記水溶性染料としては、公知のもの、あるいは新規に合成したものを用いることができる。中でも、鮮やかな色彩が得られる、直接染料あるいは酸性染料が好ましい。具体的には、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236及び287;C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110及び189;C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142及び144;C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185及び254;C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−249及び257;C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76及び79;等が用いられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、カチオン性染料としては、例えば、C.I.ベーシックイエロー−1、−11、−13、−19、−25、−33、−36;C.I.ベーシックレッド−1、−2、−9、−12、−13、−38、−39、−92;C.I.ベーシックブルー−1、−3、−5、−9、−19、−24、−25、−26、−28等が挙げられる。
シアン色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.PigmentBlue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられる。
マゼンタ色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.PigmentRed−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202等が挙げられる。
イエロー色の顔料の具体的な例としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.PigmentYellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられる。
なお、本発明において使用することができる顔料は、水に自己分散可能な顔料(自己分散型顔料)であってもよい。自己分散型顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、顔料分散剤の存在がなくても安定に分散する顔料のことである。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより自己分散型顔料を得ることができる。また、このような表面改質処理を施した顔料の他、自己分散型顔料として、キャボット社製のcab−o−jet−200、cab−o−jet−300、IJX−55、IJX−253、IJX266、IJX−273オリエント化学社製のNicrojet Black CW−1、日本触媒社により販売されている顔料等の市販のものを用いてもよい。
自己分散型顔料の表面に存在する水に対する可溶化基は、ノニオン性、カチオン性、アニオン性のいずれであってもよいが、特に、スルホン酸、カルボン酸、水酸基、リン酸が望ましい。スルホン酸、カルボン酸、リン酸の場合、そのまま遊離酸の状態でも用いることができるが、水溶性を高めるため、塩基性の化合物との塩の状態として使用することが好ましい。
この場合、塩基性の化合物として、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等の塩基性化合物を使用することができる。これらの中でも、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類の塩基性化合物は特に好ましく使用することができる。これは、アルカリ金属類の塩基性化合物が強電解質であり、酸性基の解離を促進する効果が大きいためと考えられる。
インクに色材として顔料が含まれる場合、顔料の含有量は0.5〜20質量%の範囲が好ましく、特に2〜10質量%の範囲とすることが好ましい。顔料の含有量が0.5質量%未満となると、光学濃度が低くなる場合がある。また、20質量%を超えると、画像定着性が悪化する場合がある。
インクに色材として染料が含まれる場合、染料の含有量は0.1〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜8質量%の範囲、さらに好ましくは0.8〜6質量%の範囲である。10質量%より多く含有させると、プリントヘッド先端での目詰まりが発生しやすく、また0.1質量%より少ないと、十分な画像濃度を得ることができない場合がある。
−アニオン性化合物−
インクに使用される前記アニオン性化合物としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等の酸及びこれらの誘導体、アニオン性水溶性高分子、アニオン性ポリマーのエマルジョン等が挙げられ、後記するアニオン性の顔料分散剤であってもよい。
前記カルボン酸の具体的な例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、アクリル酸、クロトン酸、ブテン酸、メタクリル酸、チグリン酸、アリル酸、2−エチル−2−ブテン酸、蓚酸、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、グリセリン酸などのカルボン酸及びそれらの重合体、誘導体等が挙げられる。また、これらの化合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を用いることもできる。
スルホン酸の具体的な例としては、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ベンゼントリスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ブロモベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,5−ジヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸ナトリウム、o−アミノベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、及びそれらの誘導体、また、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、これらの化合物は、水溶性を高めるため、塩基性の化合物との塩の状態で使用することが好ましい。これらの化合物と塩を形成する化合物としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属類、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルコールアミン類、アンモニア等を使用することができる。
前記アニオン性水溶性高分子のより好ましい具体例としては、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等及び、これらの共重合体の塩及び誘導体が挙げられる。
なお、インクに含まれるアニオン性水溶性高分子は、親水性部と疎水性部とからなる構造を持つことが好ましく、さらに、親水性部を構成する官能基としてカルボン酸またはカルボン酸の塩を含むことが好ましい。
具体的には、アニオン性水溶性高分子としては、親水性部を構成する単量体は、アクリル酸、メタクリル酸及び(無水)マレイン酸から選ばれる1種以上であることが好ましい。
一方、アニオン性水溶性高分子の疎水性部を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられるが、それらの中でも、スチレン、(メタ)アクリル酸のアルキル、アリール及びアルキルアリールエステルから選ばれる1種以上であることが好ましい。
これらのアニオン性水溶性高分子は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。インクにおけるアニオン性水溶性高分子の含有量は、0.1〜10質量%の範囲、特に、0.3〜5質量%の範囲とすることが好ましい。0.1質量%未満となると、長期保存安定性に劣る場合や、光学濃度が低下する場合があり、10質量%を超えると正常に噴射できない場合や、光学濃度が低下する場合がある。
−水溶性有機溶媒−
インクに用いられる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
インクに含まれる水溶性有機溶媒の含有量は、1〜60質量%の範囲、特に5〜40質量%の範囲とすることが好ましい。水溶性有機溶媒の含有量が1質量%未満となると、長期保存性が劣る場合がある。また、60質量%を超えると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。
−水−
インクに用いられる水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
インクに含まれる水の含有量は、15〜98質量%の範囲、特に45〜90質量%の範囲とすることが好ましい。15質量%未満となると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。また、98質量%を超えると、長期保存安定性で劣る場合がある。
−その他の成分−
前記インク中に含まれる顔料の分散のために、顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤の具体例としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤の中で、水中にて電離した場合に有機陰イオンとなる顔料分散剤を、本発明においてはアニオン性顔料分散剤と称する。このアニオン性顔料分散剤は、既述したアニオン性水溶性高分子を用いることができる。
高分子分散剤としては、親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体であれば有効に使用することができる。親水性構造部と疎水性構造部を有する重合体の例としては、縮合系重合体と付加重合体が挙げられる。
前記縮合系重合体の例としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体の例としては、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより、目的の高分子分散剤を得ることができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体を用いることもできる。
前記親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等を有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロオキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
一方、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルが挙げられる。
これらのモノマーの好ましい共重合体の例としては、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
また、これらの重合体に、ポリオキシエチレン基、水酸基を有するモノマーを適宜共重合して用いることもできる。さらに、酸性官能基を表面に有する顔料との親和性を高め、分散安定性を良くするために、カチオン性の官能基を有するモノマー、例えばN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノアクリルアミド、N−ビニルピロール、N−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール等を適宜共重合して用いることもできる。
これらの共重合体は、ランダム、ブロック、及びグラフト共重合体等のいずれの構造のものでもよい。また、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアルギン酸、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリビニルイミダゾリン、アミノアルキルアクリレートDアクリルアミド共重合体、キトサン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリビニールアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類とその誘導体等も使用することができる。
なお、特に限定するわけではないが、顔料分散剤の親水基はカルボン酸またはカルボン酸の塩であることが好ましい。
前記顔料分散剤の中和量としては、共重合体の酸価に対して50%以上、特に、80%以上中和されていることが好ましい。顔料分散剤の分子量は、質量平均分子量(Mw)で、2000〜15000、特に3500〜10000のものが好ましい。また、疎水性部分と親水性部分の構造及び組成率は、顔料及び溶媒との組み合わせの中から好ましいものを用いることができる。
これら顔料分散剤は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。顔料分散剤の添加量は、顔料によって大きく異なるので一概には言えないが、顔料に対して、一般的には0.1〜100質量%の範囲、好ましくは1〜70質量%の範囲、さらに好ましくは3〜50質量%の範囲の量である。
前記インクは、界面活性剤を含有することもできる。顔料インクの顔料分散剤及びインクの表面張力や濡れ性を調整するため、または、有機不純物を可溶化し、インクのノズルから噴射する際の信頼性を向上するためである。
界面活性剤の種類としては、水不溶色材の分散状態、あるいは水溶性染料の溶解状態に影響を及ぼしにくいノニオン及びアニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、及び高級アルキルスルホコハク酸塩等を使用することができる。
また両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を使用することができる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタント等も使用することができる。インクにおいて使用される界面活性剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。添加量は、表面張力等の目的の特性により調整すればよい。
さらに、前記インクには、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することもできる。これらの添加剤のインクにおける含有量は、20質量%以下とすることが好ましい。
以上に説明したようなインクは、水溶液に所定量の色材を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。
分散機は、市販のものを用いることができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、無機不純物の混入を防ぐためには、分散媒体を使用しない分散方法を用いることが好ましく、その場合には、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等を使用することが好ましい。
前記自己分散型顔料を用いたインクは、例えば、顔料に対して表面改質処理を行ない、得られた顔料を水に添加し、十分攪拌した後、必要に応じて上記と同様の分散機による分散を行ない、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて攪拌、混合、濾過を行なうことにより得ることができる。
前記インクのpHは、3〜11の範囲とすることが好ましく、特に4.5〜9.5の範囲とすることが好ましい。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、インクのpHは6〜11の範囲とすることが好ましく、6〜9.5の範囲とすることがより好ましく、7.5〜9.0の範囲とすることがさらに好ましい。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいて、インクのpHは4.5〜8.0の範囲とすることが好ましく、4.5〜7.0の範囲とすることがより好ましい。
前記インクの粘度は、1.5〜5.0mPa・sの範囲であることが好ましく、1.5〜4.0mPa・sの範囲であることがより好ましい。インクの粘度が5.0mPa・sより大きい場合には、記録用紙への浸透性が遅くなるため、混色にじみが発生する場合がある。一方、インクの粘度が1.5mPa・sより小さい場合には、記録用紙への浸透性が速すぎてしまい、インク顔料、アニオン性化合物を凝集させることができず、インクが記録用紙内部まで浸透するため、濃度の低下、文字の滲みが発生してしまう場合がある。
前記インクの表面張力は、主に前記界面活性剤の添加量により調整することができ、25〜37mN/mの範囲に調整することが好ましい。表面張力が25mN/mを下回ると、記録用紙へのインク浸透性が速すぎてしまい、インク色材、アニオン性水溶性高分子を凝集させることができず、インクが記録用紙内部まで浸透するため、濃度の低下、文字の滲みが発生する場合がある。また37mN/mより大きいと記録用紙へのインク浸透性が遅くなるため、乾燥性が悪化する場合がある。
本発明の記録用紙に対して、以上に説明したようなインクを用いて、インクジェット方式により印字する場合、ノズルから吐出されるインクドロップ量は、1〜20plの範囲であることが好ましく、3〜18plの範囲であることがさらに好ましい。
なお、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う、いわゆる熱インクジェット方式により印字で、かつ、インクドロップ量を前記のように1〜20plの範囲、好ましくは3〜18plの範囲とする場合には、インク中における顔料の分散粒子径が、体積平均粒子径で20〜120nmの範囲で、かつ、500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個以下であることが好ましい。体積平均粒子径が20nmより小さいと、充分な画像濃度が得られない場合がある。また、体積平均粒径が120nmより大きいと、プリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定した吐出性を確保できない。さらに体積平均粒径が500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個より多くなると、同様にプリントヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定してインクを吐出できない場合がある。この粗大粒子数は、3×105個以下であることがより好ましく、2×105個以下であることがさらに好ましい。
また、24℃におけるインクの貯蔵弾性率は、5×10-4〜1×10-2Paの範囲であることが特に好ましい。この領域において適当な弾性を有することで、記録用紙表面での挙動が好ましいものとなるからである。なお、前記貯蔵弾性率は、角速度が1〜10rad/sの範囲における低せん断速度領域で測定したときの値である。この値は、低せん断速度領域の粘弾性が測定できる装置を使用すれば容易に測定できる。測定装置としては、例えば、VE型粘弾性アナライザー(VILASTIC SCIENTIFIC INC.社製)、DCR極低粘度用粘弾性測定装置(Paar Physica社製)等がある。
本発明におけるインクジェット記録方法は、公知のインクジェット装置であれば、いずれのインクジェット記録方式を用いたものであっても良好な印字品質を得ることができる。さらに、印字中または印字の前後に記録用紙等の加熱手段を設け、記録用紙及びインクを50℃から200℃の温度で加熱し、インクの吸収及び定着を促進する機能を持った方式に対しても、本発明におけるインクジェット記録方法を適用することができる。
次に、本発明におけるインクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の一例について説明する。この例はいわゆるマルチパス方式と呼ばれるもので、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査することによって画像を形成するものである。
ノズルからインクを吐出する方式としては、まず、ノズル内に備えられたヒータに通電加熱することによってノズル内のインクを発泡させ、その圧力によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式が挙げられる。また、圧電素子に通電することにより該圧電素子を物理的に変形させて、その変形によって生ずる力を利用してノズルからインクを吐出する方式もある。この方式として、圧電素子にピエゾ素子を使用したものが代表的である。本発明におけるインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置においては、ノズルからインクを吐出する方式は前記いずれの方式であってもよく、またこれらの方式に限定されるものではない。この点は以下同様である。
ノズルは、ヘッドキャリッジの主走査方向と略直角方向に配置される。具体的には1インチ当たり800個の密度で一列に配置することができる。ノズルの個数及び密度は任意である。また、一列に配列するのみならず、千鳥状に配置することもできる。
記録ヘッド上部には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック各色の、本発明に用いるインクを収納したインクタンクが、それぞれの記録ヘッドに対して一体的に取り付けられている。該インクタンクに収納されているインクは、それぞれの色に対応する記録ヘッドに供給される。なお、インクタンクとヘッドとは一体的に形成されていてもよい。しかし、この方式に限らず、例えばインクタンクを記録ヘッドと別個に配置し、インク供給チューブを介してインクを記録ヘッドに供給する方式であってもよい。
さらに、これらの各記録ヘッドには、信号ケーブルが接続されている。この信号ケーブルは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について、画素処理部で処理された後の画像情報を、各記録ヘッドに伝達する。
前記記録ヘッドは、ヘッドキャリッジに固定されている。このヘッドキャリッジは、ガイドロッド及びキャリッジガイドに沿って主走査方向に摺動自在に取り付けられている。そして駆動モータを所定のタイミングで回転駆動することによって、タイミングベルトを介してヘッドキャリッジを主走査方向にそって往復駆動させることができる。
なお、ヘッドキャリッジ下方にはプラテンが固定されており、紙送り用の搬送ローラによって、このプラテン上に、本発明に用いる記録用紙が所定のタイミングで搬送される。当該プラテンは、例えばプラスチックの成形材等で構成することができる。
このようにして、本発明の記録用紙に対して、前述のようなインクを使用して印字することができる。なお、前記マルチパス方式の例では、前処理液を含めて五個のヘッドを備えた例について説明した。しかし、本発明におけるインクジェット記録方法をマルチパス方式に適用できる範囲はこの例に限られるものではない。ブラックヘッドとカラーヘッドとの計二つのヘッドを備えて、このうちカラーヘッドは、ノズルをその並び方向に分割し、分割したそれぞれの領域に所定の色を割り当ててあるようなものであってもよい。
印字ヘッド走査速度とは、印字ヘッドが記録用紙排出方向に対して垂直に走行する、いわゆる前記マルチパス方式において、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査して印字を行う場合の、記録ヘッドの移動速度をいう。
オフィスでのレーザープリンターに匹敵する、印字速度が10ppm(10枚/分)以上の高速印字を行う際には、前記印字ヘッドの走査速度を25cm/秒以上とすることは必至であるが、それによって異なる2色のインクが印字される間隔も狭くなり、色間にじみ(ICB)が発生しやすくなる。また、インクの乾燥性を高めるために表面張力の低いインクを使用することが必要となり、フェザリング発生や画像濃度低下の原因となり、このような表面張力の低いインクは用紙への浸透性が高いため、印字した文字、画像が裏面から透けて見えやすくなり、両面印字性を損なうことになる。
次に、本発明におけるインクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の第二の例について説明する。この例はワンパス方式といわれるもので、このワンパス方式は、記録用紙の幅にほぼ等しい幅を有する記録ヘッドを持ち、記録用紙がヘッドの下方を通過すると印刷が終了するものである。マルチパス方式に比べて同じ走査速度で高い生産性が得られるため、レーザー記録方式以上の高速印字が可能となる。
ワンパス方式はマルチパス方式のように、記録ヘッドを複数回走査する必要がないため、10ppm以上に対応する60mm/秒以上の記録用紙搬送速度(記録用紙が記録ヘッド下方を通過する速度)でも、容易に高速印字を行うことができる。しかし、一方で分割印字を行うことができないため、一度に多量のインクを吐出することが必要になる。このため、本発明の記録用紙を用いない従来のインクジェット記録方法では、印字直後のカール及び波打ち、さらに放置乾燥後のカール及び波打ちが発生していた。
しかしながら、本発明におけるインクジェット記録方法においては、前記マルチパス方式における印字ヘッド走査速度が250mm/秒以上の高速印字、また前記マルチパス方式における印字ヘッドが固定された状態での記録用紙搬送速度が60mm/秒以上の高速印字を行った場合でも、既述の本発明の記録用紙を用いることによって、前記記録用紙のカールや波打ちの発生を抑制することができる。
なお、前記印字ヘッドの走査速度は、「レーザープリンターに匹敵する生産性」という観点から、500mm/秒以上であることが好ましく、1000mm/秒以上であることがより好ましい。また、前記記録用紙の搬送速度は、100mm/秒以上であることが好ましく、210mm/秒以上であることがより好ましい。
さらに、本発明におけるインクジェット記録方法においては、インク打ち込み量が6〜30ml/m2の範囲であることが好ましい。
前記インク打ち込み量とは、1色以上のインクを用いてベタ画像を形成する場合に、1回の走査で吐出される単位面積あたりのインク量のことである。
前記いずれの方式においても、少ない走査回数でべた画像を形成するのに十分なインクを記録用紙に付与するため、インク打ち込み量は6ml/m2以上と大きくなってしまう。しかし、このような大きなインク打ち込み量となる高速対応の印字でも、本発明におけるインクジェット記録方法を用いれば、印字後の記録用紙におけるカールや波打ちの発生を抑制することができる。
なお、前記インク打ち込み量は7〜20ml/m2の範囲であることが好ましく、7.5〜10ml/m2の範囲であることがより好ましく、10ml/m2未満であることが特に好ましい。
(電子写真方式の画像記録方法)
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程とを含み、前記記録用紙が既述の本発明の記録用紙であることを特徴とする。
本発明における電子写真方式の画像記録方法は、従来と同様に高画質な画像が得られると共に、印字直後に発生するカールを抑制することができる。
また、本発明における電子写真方式の画像記録方法に用いられる画像形成装置は、前記帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を有する電子写真方式を利用するものであれば特に限定されない。たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラックの4色のトナーを用いる場合には、1つの感光体に、各色のトナーを含む現像剤を順次付与してトナー像を形成する4サイクルの現像方式によるカラー画像形成装置や、各色毎に対応した現像ユニットを4つ備えたカラー画像形成装置(所謂タンデム機)等が利用できる。
画像形成に際して用いられるトナーも公知のものであれば特に限定されないが、例えば、高精度な画像が得られる点で、球状で、粒子径、粒度分布の小さいトナーを用いたり、省エネルギーに対応するために、低温定着が可能な融点の低い結着樹脂を含むトナーを用いたりすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用するインク、及び、記録用紙について説明した後、これらを組み合わせて印字した際の各種評価結果について説明する。
(1)インクの調製
インクは、染料系のインクセット1及び顔料系のインクセット2を準備した。なお、下記インクの物性は、以下の条件で測定した。表面張力はウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。粘度は被測定インクを測定容器に入れ、ネオマット115(Contraves社製)に装着して、測定温度:23℃、せん断速度:1400s-1の条件で測定した。
<インクセット1(カラー染料インク)>
−Magentaインク−
・ダイレクトレッド227(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
−Cyanインク−
・ダイレクトブルー142(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):2質量部
上記組成物に脱イオン水を加えて全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
−Yellowインク−
・ダイレクトイエロー144(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):2質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度は2.0mPa・sであった。
<インクセット2(顔料インク)>
−黒インク−
・表面処理顔料(Cab−o−jet−300、キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.8mPa・sであった。
−Cyanインク−
・表面処理顔料(IJX−253、キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は32mN/m、粘度は2.5mPa・sであった。
−Magentaインク−
・表面処理顔料(IJX−266、キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
−Yellowインク−
・表面処理顔料(IJX−273、キャボット社製):4質量部
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体:0.5質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学社製):0.5質量部
・尿素:5質量部
・イオン交換水:70質量部
上記組成物を30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は33mN/m、粘度は2.7mPa・sであった。
(2)記録用紙の作製
記録用紙としては、以下の記録用紙(1)〜(24)を作製した。
<記録用紙(1)>
濾水度が420mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプからなるドライパルプを離解し、パルプ固形分が0.3質量%になるようパルプ分散液を調整した。
このパルプ分散液に、パルプ分散液中に含まれるパルプ固形分100質量部に対して無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製、Fibran−81)を0.3質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製、Cato−304)0.5質量部とを配合し、熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速1000m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cm2の条件で抄紙した。その後、そのセットを熊谷理機製角型シートマシン用プレスにより、10kg/cm2で3分間圧搾した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/minの条件で乾燥し、坪量68g/m2の原紙を得た。
この原紙に、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)22.5質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)22.5質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)40質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)15質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)を用い、前記原紙への処理量が2g/m2になるように(界面活性剤付与量は0.8g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.3g/m2)、熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレスした後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量が70g/m2の記録用紙(1)を得た。
<記録用紙(2)>
記録用紙(1)の作製において、ノニオン系界面活性剤であるサーフィノール440の代わりにEMALEX GMS−B(日本エマルジョン株式会社製、HLB:6)を用いた以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(2)を得た。
<記録用紙(3)>
記録用紙(1)の作製において、ノニオン系界面活性剤であるサーフィノール440の代わりにEMALEX SPIS−100(日本エマルジョン株式会社製、HLB:10)を用いた以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(3)を得た。
<記録用紙(4)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)12.5質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度200、水との接触角:64度)12.5質量部と、モノグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製エピオールBE−200)60質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)15質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(4)を得た。
<記録用紙(5)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としてのポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)75質量部と、モノグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製、エピオールBE−200)10質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)15質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(5)を得た。
<記録用紙(6)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)30質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)30質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)10質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)30質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が1g/m2になるように(界面活性剤付与量は0.1g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.3g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(6)を得た。
<記録用紙(7)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)12.5質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)12.5質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)60質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製カルタボンド)15質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液に変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(7)を得た。
<記録用紙(8)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)17.5質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)17.5質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)20質量部と、モノグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製エピオールBE−200)30質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)15質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が2g/m2になるように変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(8)を得た。
<記録用紙(9)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)10質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)10質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)40質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製カルタボンド)40質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液に変更した以外は記録用紙(1)に作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(9)を得た。
<記録用紙(10)>
記録用紙(9)の作製において、炭酸ジルコニウムアンモニウムの代わりにポリカルボジイミド(日清紡株式会社製、カルボジライトV−02−L2)を用いた以外は記録用紙(9)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(10)を得た。
<記録用紙(11)>
記録用紙(9)の作製において、炭酸ジルコニウムアンモニウムの代わりにポリグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製、エピオールE−1000)を用いた以外は記録用紙(9)の作製と同様にして、坪量が70g/m2の記録用紙(11)を得た。
<記録用紙(12)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)40質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)40質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)10質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製カルタボンド)10質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が1g/m2になるように(界面活性剤付与量は0.1g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.1g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(12)を得た。
<記録用紙(13)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)48質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)48質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)3質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製カルタボンド)1質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が1g/m2になるように(界面活性剤付与量は0.01g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.01g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(13)を得た。
<記録用紙(14)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)10質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)10質量部と、ノニオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、サーフィノール440、HLB:8)80質量部と、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)0.5質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が2.5g/m2になるように(界面活性剤付与量は2.0g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.02g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が71g/m2の記録用紙(14)を得た。
<記録用紙(15)>
記録用紙(13)の作製において、ノニオン系界面活性剤の代わりにモノグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製、エピオールBE−200)を用いた以外は記録用紙(13)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(15)を得た。
<記録用紙(16)>
記録用紙(14)の作製において、ノニオン系界面活性剤の代わりにモノグリシジルエーテル(日本油脂株式会社製、エピオールBE−200)を用いた以外は記録用紙(14)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(16)を得た。
<記録用紙(17)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、炭酸ジルコニウムアンモニウム(クラリアントジャパン株式会社製、カルタボンド)のみを含む27質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が3.2g/m2になるように(炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は3.2g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が71g/m2の記録用紙(17)を得た。
<記録用紙(18)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、ノニオン系界面活性剤(日本エマルジョン株式会社製、EMALEX RWL−150、HLB:12)のみを含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が2.5g/m2になるように(界面活性剤付与量は2.5g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が71g/m2の記録用紙(18)を得た。
<記録用紙(19)>
記録用紙(1)の作製において、表面サイズ液を、表面サイズ剤としての酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、エースA、水との接触角:39度)15質量部及びポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA102、けん化度:99、重合度:200、水との接触角:64度)15質量部と、ノニオン系界面活性剤(日本エマルジョン株式会社製、EMALEX RWL−150、HLB:12)40質量部と、を含む5質量%濃度の水溶液(表面サイズ液)に変更し、原紙への処理量が1.0g/m2になるように(界面活性剤付与量は0.4g/m2、炭酸ジルコニウムアンモニウム付与量は0.3g/m2)変更した以外は記録用紙(1)の作製と同様にして、坪量が69g/m2の記録用紙(19)を得た。
<記録用紙(20)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100紙(中質再生紙、表面サイズ剤なし)をそのまま記録用紙(20)とした。
<記録用紙(21)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、水分散型共重合ポリエステル樹脂分散液(固形分として5質量%に調整したバイロナールMD−1200、東洋紡社製)を、含有量が乾燥質量で2g/m2になるように用紙の両面に熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレス(塗工)した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で140℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量70g/m2の記録用紙(21)を得た。
<記録用紙(22)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)に、水性ウレタン樹脂溶液(大日精化製、水性ポリウレタン レザミンW W−100)を、含有量が乾燥重量で2g/m2になるように用紙の両面に熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレス(塗工)した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で140℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量71g/m2の記録用紙(22)を得た。
<記録用紙(23)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)にポリビニルアルコール水溶液(固形分としてクラレ株式会社製のポリビニルアルコールPVA124を1質量%含む水溶液)を、固形分が乾燥質量で5g/m2になるように用紙の両面に熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレス(塗工)した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で140℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量73g/m2の記録用紙(23)を得た。
<記録用紙(24)>
富士ゼロックスオフィスサプライ製Green100用紙(中質再生紙)にカチオン化セルロース水溶液(固形分としてダイセル化学工業株式会社製のカチオン化セルロースを1質量%含む水溶液)を、固形分が乾燥質量で5g/m2になるように用紙の両面に熊谷理機製試験用サイズプレスでサイズプレス(塗工)した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で140℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量73g/m2の記録用紙(24)を得た。
以上の各記録用紙の構成及び特性値をまとめて表1、表2に示す。
(実施例1〜1参考例1、2、比較例1〜10)
前記記録用紙を用いてインクジェット記録方式、電子写真方式での画像記録を行い、下記のように記録用紙性能を確認した。各実施例、参考例、比較例に使用した記録用紙、インクジェット記録の条件等をまとめて表3に示す。
(1)インクジェット記録方式での評価
印字評価は、23℃、50%RHの環境において、印刷は四個の記録ヘッドを備えたマルチパス印字の評価用サーマルインクジェット記録装置を使用し、印字ヘッドのインク吐出ノズルピッチは800dpi、インク吐出ノズル数256ノズル、吐出量約15pl、インク打ち込み量は標準を10ml/m2とし、7.5ml/m2との2水準とした。また印字は片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピード約28cm/秒で実施した。
印字後の各種評価は次のように行った。
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字面とは反対面に発生する印字直後ハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りで、○が許容レベルである。
○:20m-1以上35m-1未満
△:35m-1以上50m-1未満
×:50m-1以上
−印字直後波打ち評価−
はがきサイズの記録用紙に2cm×2cmの2次色100%ベタ(Blue)画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計にて測定した。評価基準は以下の通りで、○が許容レベルである。
○:1mm以上2mm未満
△:2mm以上3mm未満
×:3mm以上
−放置乾燥後カール評価−
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後100時間放置した後に発生するハンギングカール発生量を測定した。測定値をカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りで、○、△が許容レベルである。
○:30m-1未満
△:30m-1以上75m-1未満
×:75m-1以上
−画質評価−
はがきサイズの記録用紙にYellow100%とBlack100%とが隣り合う画像を印字し、その境界を以下の基準で評価した。○が許容レベルである。
○:画像の混色にじみは発生せず、更に裏うつりも小さい。
△:画像の混色にじみがやや発生しているか、裏移りがやや大きい。
×:画像の混色にじみが発生するか、裏移りが大きい。
以上の結果を表3にまとめて示す。
(2)電子写真方式での評価
記録用紙(1)〜(20)については、電子写真記録装置として、富士ゼロックスプリンティングシステムズ(株)製のDocuPrintC3530を使用し22℃、55%RH環境にて下記の評価を行った。
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を用いてプリンター出力を行い、下記の評価基準でトナーの走行性能を評価した。○が許容レベルである。
○:特に走行性能に問題はない。実用上問題はない。
△:まれに機械内で紙づまりが発生する。実用上問題がある。
×:頻繁に機械内で紙づまりが発生する。実用上問題がある。
また、記録用紙(21)〜(24)については、電子写真記録装置として、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor400CPを使用して、下記の評価を行った。
はがきサイズの記録用紙に余白を5mm取り、Magenta 100%ベタ画像を印字し、印字直後のハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:10m-1未満
○:10m-1以上20m-1未満
△:20m-1以上35m-1未満
×:35m-1以上
結果を表3にまとめて示す。
表3に示すように、実施例で使用した本発明の記録用紙は、インクジェット記録方式でも電子写真方式でも印字後にカールや波打ちが発生することなく、画質にも優れていた。一方、比較例の記録用紙では、印字後のカールや画質低下、機内走行不良等の何らかの問題が発生した。
本発明におけるCD伸縮率の定義を説明するためのグラフである。

Claims (3)

  1. 少なくともセルロースパルプを原料とし、カルボキシル基、水酸基の活性水素基に反応する反応基を一つもつモノグリシジルエーテルから選択される1つ及び/またはHLBが6以上11未満のノニオン界面活性剤を0.05〜1.5g/m 2 の範囲で含有し、さらにカルボキシル基、水酸基等の活性水素基に反応する反応基を二つ以上もつ炭酸ジルコニウムアンモニウム、ポリカルボジイミド及びポリグリシジルエーテルから選択される1つ以上を0.03〜1.0g/m 2 の範囲で含有し、下記式(1)で表される用紙の保水値Cが50〜100%の範囲にあり、かつ下記式(2)で表される用紙のCD方向の湿潤引張強さ残留率Rが5〜20%の範囲であることを特徴とする記録用紙。
    保水値C(%)={(A−B)/B}×100 ・・・ 式(1)
    CD方向の湿潤引張強さ残留率R(%)=(Sw/S)×100 ・・・ 式(2)
    (上記式(1)において、Aは遠心脱水後の湿潤用紙片の質量(g)、Bは用紙の絶乾質量(g)を各々表す。また、上記式(2)において、Swは湿潤引張強さ(kN/m)、Sは乾燥状態の引張強さ(kN/m)を各々表す。)
  2. インクの液滴を記録用紙へ吐出させ、該記録用紙表面に画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
    前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
  3. 静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、該静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、該静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電潜像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、該トナー画像を記録用紙表面に転写する転写工程と、該記録用紙表面のトナー画像を定着する定着工程と、を含む電子写真方式の画像記録方法であって、前記記録用紙が、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
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