JP3127114B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents

インクジェット記録用紙

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JP3127114B2
JP3127114B2 JP08068919A JP6891996A JP3127114B2 JP 3127114 B2 JP3127114 B2 JP 3127114B2 JP 08068919 A JP08068919 A JP 08068919A JP 6891996 A JP6891996 A JP 6891996A JP 3127114 B2 JP3127114 B2 JP 3127114B2
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット
録用紙に関し、高い印字品位を有すると共に、特に印字
後の波打ちやカールの少ないインクジェット記録用紙に
関する。
【0002】
【従来の技術】最近における、電子写真記録方式やイン
クジェット記録方式を利用した複写機やプリンターなど
の高性能化は著しく、コピーや印字スピードの高速化の
みならず、カラー化に代表される高画質化の進展には目
を見張るものがあるが、これらの画像を記録する紙と、
複写機やプリンター等の機器とのマッチングが良好でな
いと、これらの機器の性能を十分に発揮させることはで
きない。
【0003】一般に、インクジェット記録方式の場合に
は、通常水性インクを使用するため、乾燥性が悪く、印
字後の紙面に波打ちが生じるという欠点がある。従っ
て、インクジェット記録方式に用いられる記録用紙に対
しては、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこ
と、及びインクの溢れや滲みがないことと共に、インク
を吸収した後の用紙が波打ちしないことが要求される。
インクジェット用紙の波打ちやカールは、その用紙のイ
ンク吸収特性のほか、インク自体の表面張力や浸透性、
インク滴の大きさや打ち込み量及び記録面積等によりそ
の挙動が変化する。更に、印字直後と放置乾燥後ではそ
の挙動が異なる。
【0004】印字直後の波打ちやカールの改善ついては
種々の技術が開示されており、例えば、いわゆる顔料塗
工系のインクジェット用紙の波打ちについて、寸法安定
性に優れた原紙を使用する方法が開示されている(特開
昭62−95285号公報)。また、特に水分の変化に
注意を払い、特殊な裏面処理を施す方法も開示されてい
る(特開平6−171206号公報)。これらの方法
は、いずれも、波打ちやカールが記録時の紙の伸びに起
因する問題であることから紙の寸法安定性に着目した技
術であり、専ら寸法安定性の良い紙を使用したり寸法安
定性を改善する処理を施すことにより、その解決を図る
ものである。
【0005】一方、印字放置乾燥後の波打ちやカールの
改善は殆どなされていない。例えば、特開平7−186
519号公報に開示されている様に、ボコツキやカール
をデカーラー等により半ば強制的に改善した場合には、
紙の歪みが見かけ上なくなるだけで、歪みは紙中に内在
しているため、紙中水分が変化する様な環境に放置され
るとその歪みが表面化するので、本質的に歪みを解消す
る方法ではない。
【0006】一般的な用紙のカールについては数多くの
報告があり、特に可逆的カールについては詳しい解析が
なされている(紙パ技協誌:第39巻第10号、第41
巻第4号、第43巻第7号等)。可逆的カールは、繰り
返し湿度環境を変えた時に比較的再現性良く現れるカー
ルであり、理論的な解析も進められている。その結果、
電子写真用転写紙におけるヒートカールと呼ばれる熱定
着後のカールを抑制する手段として、一定の湿度変化の
サイクルを経た後の、可逆的な伸縮サイクルの脱湿収縮
率を特定の値以下にすることがなされてきた(特開平5
−341554号公報等)。
【0007】一方、不可逆的カールは、湿度変化の最初
のサイクルで発生し、特に高湿側への変化が不可逆的で
あるものであるが、未だ十分な解析がなされていないど
ころか、殆ど認識さえされていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、水性インクを用いたインクジェットで記録した場合
に、画像品質に優れると共に記録後の波打ちやカールが
起きにくいインクジェット記録用紙を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
25℃において相対湿度を50%→35%→90%→3
5%と変化させた時のMD方向及びCD方向の紙の不可
逆収縮率が、共に−0.10〜0.10%であることを
特徴とするインクジェット記録用紙によって達成され
た。
【0010】本発明のインクジェット記録用紙に使用す
るパルプは、L材及びN材の化学パルプ、機械パルプ、
脱墨パルプ等、通常の抄紙において使用されるパルプの
中から適宜選択して使用することができる。本発明の
ンクジェット記録用紙には内添填料を含有させても良
い。これらの填料は、例えばタルク、カオリン、炭酸カ
ルシウム、二酸化チタン、シリカ、及び有機顔料等、通
常使用される填料の中から適宜選択して使用することが
できる。尚、本発明のインクジェット記録用紙の坪量は
50〜100g/mであることが好ましい。
【0011】本発明のインクジェット記録用紙は、抄紙
した原紙の少なくとも片面に、通常のサイズプレス塗工
等により、水系高分子を主とする塗料を塗工することに
よって容易に製造することができる。ここでいう水系高
分子としては、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキ
シメチルセルロース、カゼイン、スチレン/ブタジエン
ラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマル
ジョン等が挙げられる。また、この場合の塗料には、一
般の塗料に使用される顔料、分散剤、流動性変性剤、消
泡剤、染料、保水剤等の各種助剤を添加することもでき
る。
【0012】本発明のインクジェット記録用紙のMD方
向(抄紙方向)及びCD方向(抄紙方向に対して直交す
る方向)の不可逆収縮率は、25℃において紙の相対湿
度を50%→35%→90%→35%と変化させた時
に、何れも−0.10〜0.10%であることが必要で
あり、特に、−0.08〜0.08%であることが好ま
しい。MD方向及びCD方向の不可逆収縮率が−0.1
0%未満であると印字部が伸びるのに対し、不可逆収縮
率が0.10%を越えると印字部が縮み、何れの場合も
非印字部との寸法の差が無視できなくなるので、印字パ
ターンにも依るが、主に波打ちの現象が現れる。
【0013】本発明においては、紙を表層と裏層の2層
にほぼ均等に分割した際の各層間について、25℃にお
いて相対湿度を50%→5%→90%→35%と変化さ
せた時のMD方向及びCD方向の不可逆収縮率の表裏差
が、それぞれ0.00〜0.05%であることが好まし
く、特に0.00〜0.03%であることが好ましい。
表裏の不可逆収縮率の差が0.05%を越えると、記録
インクの表面張力やパターンにも依るが、カールを生じ
易くなる。
【0014】本発明の所定の不可逆収縮率は、公知の手
法によって抄紙工程における乾燥条件や紙料の成分等を
調整することによって得られる。具体的には、例えば、
抄紙時の張力の範囲を抄紙速度に対するドローで表し
て、102〜104%に調整する手法が上げられる。こ
のように、適切な張力範囲を設定することにより、MD
方向に対する所定の不可逆収縮率が得られる上、MD方
向に張力が直接的に加わることによるポアソン効果によ
り、CD方向に対する所定の不可逆収縮率を得ることも
できる。
【0015】本発明における抄紙には、通常の長網多筒
式抄紙機の他、ツインワイヤー多筒式抄紙機等を用いる
ことが可能である。この場合、不可逆収縮率を本発明の
範囲内に調整するため、前記した如く、特に張力を注意
深く調節することが必要であるが、更に、乾燥後期にお
ける蒸発速度にも注意する必要がある。
【0016】また、不可逆収縮率の表裏差に関しては、
例えば、通常の抄紙機において多筒のシリンダードライ
ヤーを用いる場合には、上下段の乾燥の差を小さくする
ために、乾燥後期に、極力穏やかな乾燥を行えば良い。
尚、紙を二層に分割するには、粘着テープによる層分割
(特開平3−69694号公報)による方法等を用いれ
ば良い。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のインクジェット記録用紙
は、25℃において相対湿度を50%→35%→90%
→35%と変化させた時に、MD方向及びCD方向の紙
の不可逆収縮率が、共に−0.10〜0.10%となる
ものであれば良い。不可逆収縮率の調整は、抄紙工程に
おける乾燥条件や紙料の成分等を調整することによって
行うことができる。
【0018】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用紙は、高
速でフルカラーの印字ができる上、印字乾燥後の波打ち
やカールが少ない。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。ま
た、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び
「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
尚、以下に用いる不可逆収縮率はCD方向の不可逆収
縮率を意味する。
【0020】実施例1. 濾水度390mlのLBKP87部、及び軽質炭酸カルシ
ウム13部、内添サイズ剤(アルキルケテンダイマー
系)0.03部、カチオン化澱粉0.7部、紙力増強剤
0.2部、及び歩留向上剤0.05部からなる抄紙原料
を0.03%の濃度に調整し、長網多筒式抄紙機にて抄
速550m/分、張力(ドロー)102%で抄紙し、サ
イズプレスにより、酸化澱粉5%、表面サイズ剤(アク
リル系)0.1%、導電剤0.2%からなる水系塗工液
を塗工・乾燥し、坪量64g/mインクジェット
録用紙を得た。
【0021】実施例2. 濾水度300mlのLBKPを95部、軽質炭酸カルシウ
ムを5部用い、張力(ドロー)を104%とした他は、
実施例1と全く同様にして普通紙タイプのインクジェッ
記録用紙を抄紙した。
【0022】実施例3. 実施例1で使用した抄紙原料と同じ組成の抄紙原料を、
ツインワイヤー多筒式抄紙機を用いて、抄速600m/
分、張力(ドロー)103%で抄紙し、次いで、サイズ
プレスにより、酸化澱粉5%、表面サイズ剤(アクリル
系)0.1%、導電剤0.2%からなる水系塗工液を塗
工・乾燥し、アフタードライヤー後にスチームフォイル
にて紙中水分を3%から5%に加湿した後、マシンキャ
レンダーに掛け、坪量81g/mインクジェット
録用紙を得た。
【0023】比較例1 抄紙条件を抄速550m/分、張力(ドロー)105%
とした他は、実施例1と全く同様にしてインクジェット
記録用紙を得た。
【0024】比較例2 実施例1で使用した抄紙原料を、長網ヤンキー抄紙機を
用いて、抄速550m/分、張力(ドロー)104%で
抄紙し、坪量64g/mの普通紙タイプのインクジェ
ット記録用紙を製造した。尚、抄紙工程の途中から、サ
イズプレスにより実施例1で使用した塗工液を塗工し
た。
【0025】実施例及び比較例で得られた各種インクジ
ェット記録用紙について、下記の条件で不可逆収縮率を
測定した結果、及び、下記の基準でこれらの記録用紙の
波打ち並びにカールを評価した結果は、表1に示した通
りである。
【表1】
【0026】(1)不可逆収縮率の測定:水分測定が可
能な伸縮計を用いると共に、温湿度が制御可能な環境試
験室に入れ、25℃の一定温度で、湿度を50%→35
%→90%→35%と連続的に変化させた時の、紙の長
さと紙中水分を測定し、下記の式に従って不可逆収縮率
を算出した。また、1サイクル(35%→90%→35
%)は6時間とした。
【0027】不可逆収縮率(%)=(L1−L2)/L
0×100 L0 :初期湿度(50%)設定時の紙の長さ L1 :吸湿サイクルにおいて、湿度を50%とした時
の紙中水分M0 の時の紙の長さ L2 :脱湿サイクルにおける、紙中水分がM0 である
時の紙の長さ
【0028】(2)波打ち及びカールの評価:カラーイ
ンクジェットプリンター(BJC−400J:キヤノン
株式会社製の商品名)を用いて単色ベタ部と白紙部を交
互に印字し、自然乾燥後の波打ち及びカールを目視によ
り評価し、程度の良いものから順に、◎、○、×とし、
○以上を良いとした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−274587(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 25℃において相対湿度を50%→35
    %→90%→35%と変化させた時のMD方向及びCD
    方向の紙の不可逆収縮率が、共に−0.10〜0.10
    %であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】 前記相対湿度を50%→35%→90%
    →35%と変化させた時の、紙の表層と裏層におけるM
    D方向及びCD方向の不可逆収縮率の表裏差が、それぞ
    れ0.00〜0.05%である請求項1に記載された
    ンクジェット記録用紙。
JP08068919A 1996-03-01 1996-03-01 インクジェット記録用紙 Expired - Lifetime JP3127114B2 (ja)

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