JP3028697B2 - 熱転写記録用受像紙 - Google Patents

熱転写記録用受像紙

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JP3028697B2
JP3028697B2 JP5068662A JP6866293A JP3028697B2 JP 3028697 B2 JP3028697 B2 JP 3028697B2 JP 5068662 A JP5068662 A JP 5068662A JP 6866293 A JP6866293 A JP 6866293A JP 3028697 B2 JP3028697 B2 JP 3028697B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱溶融インク型の熱転
写記録方式を利用した複写機、プリンタおよびファクシ
ミリ等で使用される受像紙に関し、特に高速記録あるい
は高速読取りが必要とされる乗車券、定期券、航空券等
の券紙類、POSラベル等のラベル類、およびプリペイ
ドカード等のカード類に好適な熱転写記録用受像紙に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、OA、FAの急速な進展に伴い、
電子写真方式や熱転写記録方式等の各種記録方式を利用
した複写機、プリンタやファクシミリ等が、それぞれの
用途に応じて利用されており、例えばCAD/CAM等
にも広く用いられている。このような熱転写記録方式に
おける画像形成には有色の色材が用いられ、通常色材を
溶融、蒸発、昇華させて記録媒体、例えば紙やフィルム
シート等の受像紙の上に転移させて粘着、吸着、染着作
用により記録画像を形成させている。
【0003】ところで、この種の記録方式の中で、色材
とワックス類、あるいは樹脂等で構成された熱溶融性イ
ンク層を有するインク転写シートをサーマルヘッドや通
電ヘッド等の発熱により溶融させ、色材を受像紙に転移
させて記録像を得る熱溶融型の熱転写記録方式は、特に
装置が簡便でコンパクト化が容易、さらにメンテナンス
フリー等といった利点を有することから、信頼性、セキ
ュリティの要求される乗車券、定期券、航空券等の券紙
類、POSラベル等のラベル類、およびプリペイドカー
ド等のカード類への利用が注目されている。また、熱溶
融型の転写記録方式は記録媒体として普通紙が利用でき
るといった特徴を有している。
【0004】しかし、このような熱転写記録方式も、他
の記録方式と同様に記録装置の性能改善や向上と相まっ
て、フルカラー記録、高速記録、鮮明画像、高解像度化
等への要望が強くなり、普通紙では満足できなくなって
きている。例えば、ラベル類においては、高速スピード
で記録されたバーコード等が読取り装置を用いて読取ら
れる際に、画像品質が悪くてドット抜けや線途切れ等が
数多く見られると、バーコード等を精度良く読取ること
ができない為に、受像紙としては不合格である。また、
磁気記録方式を組み合わせた券紙、カード類において
は、カード類等を磁気ヘッドの内蔵された装置内を高速
で通過させたり、あるいは長期に亘って繰り返し使用さ
れたりするために、受像紙に転移された転写画像が擦れ
汚れたり、スクラッチ等によってドットの欠損等が生じ
ると、定着性や堅牢性が問題となり、カードとしての役
目を果たさなくなる。
【0005】このために、受像紙に関する多くの提案が
なされている。例えば、転写性を改良するために、受像
層表面のベック平滑度を特定したもの(特開昭59ー1330
92号、同59ー187892号)、特定のエマルジョンやラテッ
クスを含有する受像層を設けたもの(特開昭61ー158497
号、同61ー158498号)、あるいは特定の顔料とポリビニ
ルアルコールやラテックス等のバインダーを含有する受
像層を設けたもの(特開昭60ー110489号、同60ー192690
号、同61ー217289号、同61ー266296号、同61ー284486
号、同62ー32085 号、同62ー257888号、特開平1−2024
93号)等が挙げられる。しかしながら、これら従来の方
法でも、インク転写性の改良効果が完全に解消されては
いない。即ち、エッジ部の再現性や画像のシャ−プ性を
欠いて画像がボケたり、あるいは熱転写記録時にインク
転写シートと受像紙とが引き離される際のピックで受像
層表面が転写インクと共に捲れ上がり、ドットが欠損し
て線途切れ現象を起こす等の難点を抱えており、満足す
べき記録画像が未だ得られていないのが実状である。
【0006】また、最近は熱転写記録用受像紙にグラビ
ア印刷やオフセット印刷等の印刷を施す機会も多くな
り、それに伴って受像紙の平滑性や表面強度、あるいは
不透明度等の品質に対する要求も厳しくなってきた。さ
らには、受像紙に起因して発生する紙粉による画像品質
の低下やプリンタでの通紙トラブル等も露呈しており、
これらトラブルの解消策が急務となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の如き
転写ムラ、線途切れやドット抜けがなく、インクの転写
受理性、再現性、鮮明性に優れ、しかも転写画像の定着
性、堅牢性に優れ、フルカラー記録は勿論、優れた高速
記録適性を有し、かつ優れた印刷適性を兼ね備えた、高
品位で高画質な熱転写記録用受像紙を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱転写記録
用受像紙は、基紙の片面に、合成高分子樹脂と多孔質顔
料を主成分とする塗被組成物を塗布して熱溶融性インク
を受理する受像層を設け、 (a)該合成高分子樹脂が、ガラス転移点−60〜−5
℃である合成ゴム系共重合体であり、 (b)該塗被組成物中での合成ゴム系共重合体が、ラテ
ックスの表面張力38〜58mN/mの合成ゴム系ラテ
ックスであり、さらに(c)該多孔質顔料の、JIS−
K−6220に準拠する見掛比重が0.1〜0.5g/
cm3であることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】上記の如き実状より、本発明者等は、インク転
写シートと記録受像面の密着性を高め、転写ムラやドッ
ト抜けのない、インク転移性の優れた高画質な熱転写記
録ができる受像紙について鋭意検討を重ねた。その結
果、所望の効果を得るためには、基紙に特定の合成高分
子樹脂と多孔質顔料を主成分とするインク受像層を形成
させることにより、合成高分子樹脂の特性と多孔質顔料
の相乗効果によって、従来の技術からは到底予想もでき
ない顕著な効果が得られることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0010】先ず、第1の特徴として受像層に含ましめ
る合成高分子樹脂について述べる。本発明で使用される
合成高分子樹脂は、そのガラス転移点(以下、Tgと呼
称する)が、−60〜−5℃である合成ゴム系共重合体
であり、および該塗被組成物中での合成ゴム系共重合体
が、ラテックスの表面張力(以下、γと呼称する)38
〜58mN/mの合成ゴム系ラテックスであることが重
要な要件である。即ち、本発明では、受像層として比較
的軟らかい皮膜を形成せしめることにより、合成高分子
樹脂で形成された受像層表面はサーマルヘッドからの熱
で適度に可塑化(熱転移)して転写インクとの親和性が
高められ、さらには受像層表面の濡れ性の改善効果が優
れるため、サーマルヘッドで溶融した転写インクが受像
層中に適度に浸透してインクの定着性向上に著しく効果
のあるものである。特に、インク転写シート中の熱溶融
成分(ワックス類等)の溶融している時間が短いため
に、転写インクの受像層への転写、浸透が不十分となり
易く、例えば4インチ/秒以上といった高速度で熱転写
記録が行われる方式の場合に、その効果が極めて大きい
ものである。
【0011】なお、合成高分子樹脂のTgは、構成モノ
マーの種類、組成、構成比率(共重合率)や重合温度等
の重合条件によって、適宜調整し得るものである。例え
ばポリブタジエンのTgは約−90℃で、ポリイソブチ
レンは約−73℃、ポリスチレンは約90℃、ポリメタ
クリル酸メチルは約105℃、ポリアクリル酸ブチルは
約−55℃、あるいはポリエチレンは約−125℃が一
般に知られている。また、これらの構成モノマーを適宜
組合わせ、重合温度等を種々調整する等して共重合体と
なし、そのTgを適宜調節することができる。例えば、
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックスは、印刷強度
や印刷光沢等に優れるために、製紙業界において紙塗工
用バインダーとして幅広く使用されているが、通常この
ようなバインダーのTgは0〜60℃程度のものが多
い。
【0012】他方、合成高分子樹脂の表面張力(γ)
は、例えば乳化重合時の乳化剤として使用される界面活
性剤あるいは保護コロイド(水溶性ポリマー)が合成高
分子樹脂の粒子表面へ吸着または化学的結合により形成
されて得た保護層の状態、あるいは粒子表面に吸着しな
いで遊離している乳化剤の残存量(濃度)等によって左
右される。勿論、合成高分子樹脂のγもTgと同様に、
その重合条件や粒子径、乳化剤の種類や量、さらに水溶
性塩類の添加等によって調整し得るものである。
【0013】因みに、本発明において、合成高分子樹脂
のTgが−5℃を越えると、受像層表面のインクとの親
和性が劣るためにドット抜けや線途切れ現象等が認めら
れ、ドット再現性が悪く画線部のシャープ性に欠けるよ
うになる。さらに、スクラッチによるドットの欠損や擦
れ汚れが起こり易くなり、定着性や堅牢性が劣る。一
方、−60℃未満だと受像紙のブロッキングの発生やイ
ンクの滲み現象、あるいは表面強度の低下による印刷適
性不良等の原因となり、好ましくない。
【0014】また、合成ゴム系ラテックスのγが38m
N/m未満の場合には、受像層の転写インクに対する表
面の濡れ性が低下し、インクの転移不良や受像層表面で
のインクの泳ぎ現象等が発生して、得られる画像の品質
低下が著しい。一方、58mN/mを越える場合には、
インクの転移性は増すものの、インク(ドット)が広が
って滲んだり、不均一な転写画像となり易い。さらに、
合成高分子樹脂の分散安定性が急激に悪化するために、
塗工適性のよい塗被組成物が得られない。上記より、合
成高分子樹脂のTgが、−60〜−5℃、より好ましく
は−55〜−10℃、およびγが、38〜58mN/
m、より好ましくは40〜56mN/m程度にそれぞれ
特定するものである。
【0015】なお、合成高分子樹脂としては、例えばス
チレン/ブタジエン共重合体、メタクリル酸エステル/
ブタジエン共重合体、アクリルニトリル/ブタジエン共
重合体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリクロ
ロプレン等の合成ゴム系、メタクリル酸エステル/アク
リル酸エステル共重合体、エチルアクリル酸エステル/
アクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリル酸エ
ステル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のアクリル
系、エチレン/酢酸ビニル共重合体、マレイン酸エステ
ル/酢酸ビニル共重合体、エチルアクリル酸エステル/
酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル等の酢酸ビニル
系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、及びこれら重合
体又は共重合体にカルボキシル基、水酸基、アミド基、
アミノ基等の官能基を導入した各種変性重合体、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリイソプレン等のラテックス
あるいはエマルジョン等が挙げられる。そして、これら
の中から熱転写記録用受像紙の品質目標に応じて1種あ
るいは2種以上が適宜選択して使用される。これらの合
成高分子樹脂の中でも、合成ゴム系ラテックスは、受像
層表面の接着強度の改善や顔料の分散安定性に優れ、柔
軟で弾力性に富んだフィルムを形成して転写インクの定
着性やドット形状の再現性に優れた効果を発揮するため
に、好適である。
【0016】本発明における第2の特徴は、受像層中に
顔料としてJIS−K−6220に準拠する見掛比重
(以下、単に見掛比重)が0.1〜0.5g/cm3 であ
る多孔質顔料を含ましめるところにある。多孔質顔料
は、その粒子中に大量の空気を包含しているものであ
り、このような顔料が受像層中に都合良く内在すること
により、適度な空隙とクッション性を付与させることが
できる。そのために、受像層の断熱特性を良好に保持し
て、サーマルヘッドからの熱を受像層表面に程良く蓄熱
させることができ、その結果として、転写インクの受理
性や画像の鮮明性がより際立って向上し、さらに転写ム
ラやドット抜けを改善する効果に優れるために、熱転写
記録用受像紙としての品質特性が飛躍的に向上するもの
である。
【0017】なお、顔料の見掛比重を測定する方法とし
て、例えばJIS−K−5101に規定された「かさ」
を測定して嵩比重、あるいは嵩密度(ml/g)を見掛
比重(g/cm3 )に換算して扱う方法もある。しかし、
本発明者等は鋭意研究の結果、多孔質顔料を含む塗被組
成物を塗被して受像層を形成し、あるいはさらに加圧ニ
ップに通紙平滑化して得るような、本発明の熱転写記録
用受像紙の場合には、JIS−K−6220に規定され
た一定の荷重をかけて顔料をある程度の密な状態にして
測定する見掛比重の値の方が、本発明の所望する効果と
より相関の高いことを見出している。
【0018】多孔質顔料としては、上記条件を満足する
ならば特に限定されるものではなく、例えばケイソウ
土、焼成ケイソウ土、融剤焼成ケイソウ土、焼成カオリ
ン、ゼオライト、ホワイトカーボン、無定形シリカ、ア
ルミノ珪酸マグネシウム、微粒子状珪酸カルシウム、微
粒子状アルミナ、微粒子状酸化チタン、微粒子状炭酸マ
グネシウム、微粒子状軽質炭酸カルシウム等が挙げられ
る。
【0019】因みに、上記多孔質顔料であっても、見掛
比重が0.5g/cm3 を越える場合は多孔質顔料のもつ
特性が半減して受像層の空隙が減少し、緻密な構造とな
り、受像層の断熱効率が急激に低下する。その結果、転
写インクの受理性や定着性が劣り、本発明の所望とする
転写ムラやドット抜けのない画像品位の優れた熱転写記
録用受像紙を得ることができない。他方、0.1g/cm
3 未満の場合は、受像層の空隙が増加し、断熱効果が必
要以上に高くなるためにサーマルヘッドの熱が受像層表
面で冷却され難くなり、蓄熱されて転写インクの滲みや
ドットのブリッジング現象が誘発され、画像品質が低下
するようになる。また、受像層表面の強度が極端に弱く
なるため、インクリボンと受像紙とが引き離される際の
ピックで、受像層表面が転写インクと共に捲り上がり、
ドットが欠損して画質低下の原因となる。そのため、見
掛比重は0.1〜0.5g/cm3 、好ましくは0.15
〜0.45g/cm3 、より好ましくは0.20〜0.4
0g/cm3 の範囲である。
【0020】塗被組成物(受像層)中には上記特定の多
孔質顔料と合成高分子樹脂以外に、必要に応じて他の顔
料や水溶性(又は水分散性)の高分子化合物を併用する
ことができる。本発明の所望の効果を得るためには、少
なくとも特定の合成高分子樹脂を顔料に対して、20〜
150重量%、より好ましくは25〜125重量%程度
配合されることが好ましい。因みに、20重量%未満だ
と受像層の強度が極端に弱くなり、結果として転写ドッ
トが欠損したり紙粉が発生し易くなり、これらに起因し
て画質の低下が著しくなる。他方、150重量%を越え
ると、受像層表面のブロッキングの発生やインクの滲み
による画線部のシャープ性不良等の原因となるので好ま
しくない。
【0021】なお、前記の水溶性(又は水分散性)の高
分子化合物としては、例えばカチオン性澱粉、両性澱
粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、α化澱
粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
等のセルロース誘導体、天然ゴム、ゼラチン、カゼイ
ン、大豆蛋白等の天然あるいは半合成高分子化合物;ポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチ
レンイミン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミ
ド、オレフィン・無水マレイン酸樹脂、ポリアミド・エ
ピクロロヒドリン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂等の合成高分子化合物等が例示でき
る。また、これらの他にも各種助剤、例えば界面活性
剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワ
ックス類、分散剤、流動変性剤、導電剤、安定化剤、帯
電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫
外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐
剤、香料等が必要に応じて適宜使用することも可能であ
る。
【0022】多孔質顔料以外の顔料としては、一般塗被
紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、デラミカ
オリン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、重質炭
酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、炭酸
亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、シリカ、コロイダルシリカ、ベントナイト、ゼオラ
イト、セリサイト等の鉱物質顔料やポリスチレン樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナ
ミン樹脂等の微粒子、および微小中空粒子やその他の有
機系顔料等が挙げられる。なお、多孔質顔料以外の上記
顔料の配合割合は、本発明の所望の効果を得るために
は、多孔質顔料に対して30重量%程度までである。
【0023】塗被組成物の塗布量としては、乾燥重量で
片面当たり5〜25g/m2 、より好ましくは6〜20
g/m2 の範囲が適当である。因みに、5g/m2 未満
の場合は、本発明の所望の効果が得られ難い。一方、2
5g/m2 を越えると、受像層表面がブロッキングし易
くなり、また、インクの滲みによる画質低下の原因とな
る恐れがあり、好ましくない。
【0024】なお、塗布方法としては、一般に公知公用
の塗被装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコー
タ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコー
タ、チャンプレックスコータ、カーテンコータ、ダイス
ロットコータ、グラビアコータ、ブラシコータ、ツーロ
ール、あるいはメータリングブレード式のサイズプレス
コータ、ショートドウェルコータ、ビルブレードコー
タ、ゲートロールコータ、スプレー等の装置が適宜用い
られる。これらの装置はオンマシンコータ、あるいはオ
フマシンコータの形式で塗布、又は含浸される。
【0025】受像層を形成するに当たり、受像層を1
層、或いは必要に応じて2層以上の多層構造にすること
も可能である。なお、多層構造にする場合、各々の塗被
組成物が同一である必要はなく、所要の品質レベルに応
じて適宜調整して配合されればよく、特に限定されるも
のではない。また、基紙の裏面に合成樹脂層や顔料と接
着剤等からなる塗被層、帯電防止層等を設けてカール防
止、印刷適性付与、給配紙適性等を付与することも可能
である。
【0026】なお、本発明の所望とする記録適性の優れ
た熱転写記録用受像紙を得るためには、本発明の支持体
となる基紙の調製方法も見逃すことはできない。
【0027】上記支持体となる基紙は、原料であるパル
プの種類、その製造方法、叩解機の種類および処理条
件、添加薬品、抄造方法、またはキャレンダ等の後処理
方法等を適宜調整して製造される。これらの諸条件のう
ち、原料パルプの種類および性質を特定し、基紙に適度
な平滑性とクッション性を付与させることは、本発明の
所望の効果を得る上で、より好ましい要因の一つとな
る。例えば、後処理工程のスーパーキャレンダ等による
加圧処理で紙面の平滑化はある程度達成されるものの、
パルプの種類や性質によっては、いくらキャレンダ処理
を強化しても、画像がシャープで、転写ムラのない高品
位な熱転写記録用受像紙が得られ難いという難点があ
る。
【0028】本発明の基紙を構成するパルプ繊維の特性
として、J.TAPPI No.26に準拠するパルプの保
水度が叩解前の測定値で125%以下、且つ下記およ
びの条件式を満たすことが好ましい。このような特定
条件を満たすパルプ繊維を使用することにより、得られ
た基紙は比較的嵩高な紙層構造をなし、適度な空隙と優
れたクッション性を有し、かつ均質で平滑性の高い基紙
を形成するのに極めて効果的であるため、より好ましい
実施様態となり得るものである。 :0.3 ≦ L ≦ 1.0 :0.3 ≦ d/D ≦ 0.8 L:J.TAPPI No.52に準拠して測定した長さ加
重平均繊維長(mm) D:顕微鏡写真法にて測定した平均繊維径(μm) d:顕微鏡写真法にて測定した平均ルーメン径(μm)
【0029】ここに、パルプの保水度とは、一定量のパ
ルプ繊維が保有する水の量で規定されるものであり、パ
ルプの膨潤状態や有孔度の定量的な尺度となるものであ
る。具体的にはJ.TAPPI No.26に準拠する方法
で測定される値であり、WRVと呼称されている。通常
のパルプは、木材、藁、バカス、竹、ケナフ等のリグノ
セルロース繊維を原料として蒸解工程や、漂白工程を経
て製造される。そして、原材料の種類やパルプの製造工
程によって、相違はあるものの、一般に漂白後のパルプ
繊維の保水度は125〜200%であるといわれてい
る。
【0030】本発明で使用するパルプ繊維の大半は、そ
の保水度が125%以下のものに特定され、膨潤性の非
常に低いパルプ繊維である。このようなパルプ繊維は、
繊維壁内への水分の浸透が少ないので、吸脱湿による繊
維の伸縮変化が少ない。そのことが、寸法安定性の向上
に有効に作用することは勿論のこと、繊維間の結合強度
が比較的小さく、かつ繊維間の接触点が少ないために、
基紙に適度な空隙とクッション性を付与させてくれるこ
とが分かった。さらに、このような特性を有するパルプ
繊維を用いて基紙として仕上げられた場合、その断熱特
性が際立って改善され、かつサーマルヘッドや通電ヘッ
ドからの熱を受像層表面に程良く蓄熱させることがで
き、熱転写記録用受像紙としての品質特性を向上させ得
ることが分かった。
【0031】なお、このようなパルプ繊維を得るために
は、その種類や製造方法等について特に限定するもので
はないが、例えば、蒸解、漂白工程を経て製造されたス
ラリー状あるいは粥状のパルプ繊維(ウェットパルプ)
を乾燥機を用いて一旦シート状に乾燥したドライパル
プ、あるいは抄紙工程を経て少なくとも一度成紙とな
り、乾燥工程を経た古紙パルプ等が例示される。
【0032】因みに、本発明で特定されるパルプ繊維の
保水度が125%を越える場合、その値が大きくなるに
つれて紙層中の空隙やクッション性が次第に失われ、断
熱効果が乏しくなる。結果として、そのようなパルプを
用いて仕上げた受像紙では本発明が所望とするシャープ
で、ドット抜けのない高画質な熱転写受像層を形成させ
ることができないだけでなく、紙の伸縮度合が大きくな
るためにカールが生じ易くなり、プリンタでの走行トラ
ブル等の起因となる。一方、保水度が小さ過ぎると、紙
層中の空隙が多くなり過ぎ、繊維間の結合強度も極端に
小さくなり、紙層強度の低下や紙粉の発生につながる。
結果として、画像再現性の低下やピックによる画線部の
線途切れ現象が発生する恐れがあり、さらに、印刷適性
の低下も予想されるので、好ましくない。従って、パル
プ繊維の保水度としては、125%以下、より好ましく
は75〜120%程度のものが望ましい。
【0033】基紙の製造に際し、通常ウェットパルプは
紙料として抄紙機のワイヤーパートへ導かれ、抄紙工程
を経て、所謂紙シートとして仕上げられる。この場合、
紙料の調製法としてはウェットパルプ(ドライパルプの
場合はパルプを一旦離解してスラリー化し)を基紙に仕
上げた場合に適度の紙層強度や平滑性が得られるよう
に、各種レファイナー等の叩解機にかけて所要の叩解が
施され、必要に応じて各種の内添剤、染料、あるいは填
料等をパルプスラリーに適宜添加して、濃度が0.3〜
1重量%前後の紙料(パルプスラリー)として調製され
る。
【0034】なお、従来の熱転写記録用受像紙の場合、
その支持体である、基紙を構成するパルプ繊維は、その
保水度が叩解工程を経た後で通常160〜250%程度
のものが使用されている。それに対して、本発明者達は
本発明の所望の効果を得るためのパルプ繊維の特性につ
いて鋭意研究を行った。その結果、叩解処理に供する前
のパルプ繊維の保水度が重要な要素となることを見出し
た。
【0035】即ち、離解された時点における保水度(叩
解前)がJ.TAPPI No.26に準拠する測定値で1
25%以下であることが重要である。勿論、紙料の調製
に際しては、記述した如く、叩解機にかけて叩解が施さ
れることになるが、過度の叩解が施されると、上記の如
き特定のパルプ繊維であっても本来の特性が失われ、所
望の機能を発揮しない恐れがあるので、叩解後のパルプ
繊維の保水度として180%以下、好ましくは90〜1
60%程度の範囲に調整することが望ましい。
【0036】次に、前記およびの条件式を満たすパ
ルプ繊維としては、例えばカエデ、カバ、カシ、ナラ、
ブナ、アスペン、ユーカリ等の広葉樹を原料とするK
P、SP、AP法等によって得られる化学パルプが挙げ
られる。因みに、パルプ繊維の長さ加重平均繊維長(以
下、L値と呼称する)が1. 0mmを越えると、抄紙工
程での紙料の分散性が不良となり、地合が劣って均質な
受像層表面が得られ難い。一方、0.3mm未満になる
と、紙層強度が極端に小さくなって、紙粉が発生し易く
なり、紙粉による画像の低下やピックによる画線部の線
途切れ現象等の原因となり易い。しかも、印刷適性も低
下するので好ましくない。従って、L値として0.3〜
1.0mm、より好ましくは0.35〜0.85mmが
望ましい。
【0037】一方、の条件式において、d/D比が
0.8を越える場合には、地合が良好となり紙面の平滑
性は向上するものの、紙は潰れ易くなり、基紙のクッシ
ョン性が失われ、本発明の所望とする、ドット抜けがな
く、かつシャープで高画質な画像形成が行われない恐れ
がある。他方、0.3未満の場合には、繊維が硬くなり
過ぎて、紙が潰れ難く、紙面平滑性の低下や、画質の低
下が懸念される。さらに、紙層強度も小さくなる。従っ
て、d/D比としては0.3≦d/D≦0.8、より好
ましくは0.35≦d/D≦0.75であることが望ま
しい。
【0038】なお、パルプ繊維長の測定方法としては、
篩別法によるパルプ繊維長測定法(TAPPI−STD
T233 hm−82)や投影法によるパルプ繊維長測定法
(TAPPI−STD T232hm −85)等があるが、本
発明でいうJ.TAPPI No.52に準拠する方法で長
さ加重平均繊維長を測定する方法は、これらの方法とは
異なり、高い検出力を持ち、繊維の幅、繊維壁の厚み、
繊維の柔軟性等の影響を受けることなく繊維長分布を自
動的に測定できるという特長を有している。なお、本発
明の各実施例等における測定値はフィンランドのKAJ
AANI社製のFS−100型機を用いて測定したもの
である。
【0039】また、平均繊維径と平均ルーメン径につい
ては顕微鏡写真から測定した。顕微鏡写真を撮る際は、
パルプ繊維をアクリル樹脂で包埋し、ミクロトームで作
った薄い切片を用いて行い、各々について25本の繊維
を測り、平均値を求めた。
【0040】なお、上記特定のパルプ繊維の配合量とし
て、基紙を構成する全パルプ繊維中に50重量%以上、
より好ましくは60重量%以上含有せしめることが重要
である。因みに、50重量部未満の場合には、本発明の
所望とする適度な空隙とクッション性を有する基紙が得
られないだけでなく、その得られた基紙をキャレンダ等
による加圧処理を施しても十分な平滑化効果が期待でき
ない。結果として、本発明の所望とする転写ムラやドッ
ト抜けのない、高品位な受像紙を得ることができない。
以上より、パルプ繊維として、特定された保水度、物性
値、および配合量が全て満たされたときに、本発明の所
望とされる効果が効率よく発揮されるものである。
【0041】なお、本発明においては、上記特定のパル
プ繊維を50重量部以上含有せしめる限り、必要によ
り、それ以外の化学パルプ繊維を適宜配合することがで
きる。さらに、SGP、RGP、BCTMP、CTMP
等の機械パルプや脱墨パルプ、あるいはケナフ、竹、
藁、麻等のような非木材パルプ、ポリアミド繊維、ポリ
エステル繊維、ポリノジック繊維等の有機合成繊維、さ
らにはガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の
無機質繊維も使用できる。
【0042】本発明においては、紙料調成に際し、填料
をパルプ繊維分に対して2〜30重量%、より好ましく
は4〜25重量%含有せしめることにより、上記で特定
したパルプ繊維間に効果的に内在し、適度な空隙やクッ
ション性、あるいは平滑性の改善に有効であることが分
かった。このような条件で得られる基紙を用いて仕上げ
た受像紙は、とりわけ優れた断熱特性を示し、熱転写記
録受像紙として優れた品質特性を有するものであり、よ
り好ましい実施様態となり得る。
【0043】この場合の填料としては、特に限定するも
のではないが、例えばタルク、カオリン、クレー、焼成
カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水
酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシ
ウム、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウ
ム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、ホワイトカーボ
ン、アルミノ珪酸塩、無定形シリカ、セリサイト、ベン
トナイト、スメクタイト等の鉱物質填料やポリスチレン
樹脂微粒子、尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子
等の有機合成填料等が挙げられ、さらに、古紙やブロー
ク等に含まれる填料も再生使用できる。なお、これらの
各種填料の中でも、JIS−K−6220で規定される
見掛比重が0.10〜0.50g/cm3 、好ましくは
0.15〜0.45g/cm3 の多孔質填料が基紙の断
熱特性をより効率よく付与できるので、より望ましく使
用される。
【0044】なお、紙料中にはパルプ繊維や填料の他
に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から
使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオ
ン性あるいは両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増
強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が必要に応じて
適宜選択して使用される。また、染料、蛍光増白剤、p
H調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコ
ントロール剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて適宜添
加することができる。さらに、澱粉、ポリビニルアルコ
ール、カルボキシメチルセルロース、ラテックスおよび
それらの誘導体あるいは変性物等の接着剤や各種表面サ
イズ剤、顔料、染料、蛍光増白剤、帯電防止剤等を用い
て表面サイズすることも可能である。
【0045】抄紙方法については特に限定されず、例え
ば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、あるいは炭
酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み、
抄紙pHを約6の弱酸性〜約9の弱アルカリ性とする、
所謂中性抄紙法等全ての抄紙方法を適用することができ
る。
【0046】かくして調製される熱転写記録用受像紙
は、通常の乾燥工程や表面処理工程等で平滑化処理され
て、TAPPI−STD UM 403 に定めるZ軸強度が
0.05〜0.18ft・lb、より好ましくは0.08〜
0.16ft・lb程度の範囲、かつ水分が3〜10重量
%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調
整、仕上される。
【0047】なお、平滑化処理を施す際には、上記品質
を満足させると同時に、さらに受像紙表面のJIS−B
−0601に定める十点平均粗さ(RZ )が3〜15μ
m、より好ましくは4〜12μmの範囲となるように調
節することによって、本発明の所望とする、より一層優
れた、高品位な記録画像を得ることができる。因みに、
受像紙表面の十点平均粗さが15μmを越えると、用紙
の平滑性が劣るようになり、ドット抜けや画質の低下が
懸念される。一方、3μm未満になるまで平滑化を進め
ると、結果として、基紙の持つクッション性や断熱特性
等の特性が失われ、インクの転移不良、受像層表面での
インク泳ぎや濃淡ムラが発生し易くなり、好ましくな
い。また、インクの定着性が劣るようになり、かつスク
ラッチによるドットの欠損や擦れ汚れ等の原因となり易
い。
【0048】ここで特定する十点平均粗さとは、万能表
面形状測定器SE−3C〔(株)小坂研究所製〕を使用
し、JIS−B−0601に定める方法に準じて、基準
長さ8mmで測定した。かかる表面粗さの測定方法は、
触針の上下動を電気的量に変換し、紙面の凸凹、即ち平
滑性を読み取ったものである。そのため、一般的な空気
漏洩式の平滑度測定器であるベック平滑度計やパーカー
プリントサーフ等の測定器では困難とされていた細かな
紙面の粗さを、紙の透気性の影響を受けることがなく正
確に測定ができた。しかも、本発明者等の詳細な検討結
果によれば、受像紙表面のうねりをカットオフして求め
る中心線平均粗さの値より、この十点平均粗さの測定値
の方が本発明の所望する平滑化処理の効果と極めて相関
性の高いことが明らかとなっている。
【0049】なお、熱転写記録用受像紙を平滑化処理す
る際は、特に無理をすることなく通常のスーパーキャレ
ンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ等の平滑化
処理装置で行われる。特に50℃以上、より好ましくは
80℃以上に加熱された金属ロールと加熱又は非加熱の
弾性ロールで構成された加圧ニップ間に通紙して平滑化
処理すれば、より望ましい結果が得られる。また、オン
マシンやオフマシンで適宜用いられ、加圧装置の形態、
加圧ニップの数等も通常の平滑化処理装置に準じて適宜
調節される。
【0050】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、勿論それらの範囲に限定されるものでは
ない。なお、例中の「部」および「%」は特に断らない
限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
【0051】〔パルプ繊維の各物性の測定〕パルプ繊維
の保水度および繊維形態について、下記の方法により測
定を行い、得られた結果を表1に示した。 (保水度の測定)J.TAPPI No.26に準拠してパ
ルプ繊維の保水度(%)を測定した。
【0052】(長さ加重平均繊維長の測定)J.TAP
PI No.52に準拠してパルプ繊維の長さ加重平均繊維
長(L値;mm)を測定した。
【0053】(d/Dの測定)ミクロト−ムで作った2
5本のパルプ繊維の薄い切片を顕微鏡写真で撮影し、そ
の平均繊維径(D;μm)、および平均ル−メン径
(d;μm)を測定し、d/Dを算出した。
【0054】〔合成高分子樹脂の各物性値の測定〕合成
高分子樹脂のTgおよびγについて、下記の方法により
測定を行い、得られた結果を表2に示した。 (Tg)示差走査熱量計(DSC−10/セイコー電子
工業社製)を用いて測定した。
【0055】(γ)ジュヌーイ氏表面張力試験器(大平
理化工業製)を用いて、温度20℃、湿度65%の環境
下で、高分子樹脂の水分散液(48%固形分濃度)の表
面張力を測定した。
【0056】実施例1 〔基紙の調製〕LBKP〔パルプのドライパルプ、フ
リーネス=CSF 480ml〕90部、NBKP〔パルプ
のドライパルプ、フリーネス=CSF 500ml〕10
部を配合してなるパルプスラリーに、填料としてタルク
〔見掛比重=0.75g/cm3〕を20部、硫酸バンド
を2.0部、ロジンエマルジョンサイズ剤を1.5部、
カチオン性澱粉を1.0部、およびカチオン性ポリアク
リルアミドを0.2部添加し、これらを白水で希釈した
後、pH5.2、固形分濃度が1.0%の紙料を調製し
た。この紙料をツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙し、
次いでサイズプレス装置を用いて、酸化澱粉の塗被量が
乾燥重量で2g/m2 となるようにサイズプレスコーテ
ィングした後、乾燥し、3ニップのマシンキャレンダに
通紙して米坪が80g/m2 の基紙を得た。
【0057】〔塗被組成物の調製〕焼成カオリン〔見掛
比重=0.34g/cm3 〕100部(固形分;以下同
様)に、カルボキシメチルセルロース0.4部(顔料に
対する固形分比;以下同様)とポリアクリル酸ソーダ
0.5部を加え、コーレス分散機を用いて分散混合して
顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに表2に示
した樹脂A70部、酸化澱粉5部、蛍光増白剤1部およ
び水を加え、攪拌混合して、固形分濃度が45重量%の
塗被組成物を調製した。
【0058】〔受像層の形成〕かくして得た塗被組成物
を上記の基紙の片面に、乾燥塗被量が15g/m2 とな
るように、ブレードコータを用いて塗被、乾燥した後、
スーパーキャレンダを使用して、ニップ数11、金属ロ
ールの温度50℃、ニップ線圧150Kg/cmの条件
下で平滑化処理して、米坪が95g/m2 の熱転写記録
用受像紙を得た。
【0059】実施例2〜5実施例1の塗被組成物の調製
において、合成高分子樹脂の種類を変更して、樹脂B
(実施例2)、樹脂C(実施例3)、樹脂D(実施例
4)を使用し、それぞれ塗被組成物を調製した以外は、
実施例1と同様にして受像紙を得た。
【0060】実施例5 実施例1の塗被組成物の調製において、多孔質顔料の種
類を変更して、無定形シリカ〔見掛比重=0.20g/c
3〕100部を使用し、樹脂Aも100部に変更して
塗被組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして受
像紙を得た。
【0061】実施例6 実施例1の塗被組成物の調製において、多孔質顔料の種
類を変更して、見掛比重が0.42g/cm3の焼成カオ
リンを使用して塗被組成物を調製した以外は、実施例1
と同様にして受像紙を得た。
【0062】実施例7〜8 実施例1の塗被組成物の調製において、顔料として焼成
カオリン75部と紡錘状軽質炭酸カルシウム〔見掛比重
=0.56g/cm3〕25部の混合顔料を使用し、これ
らを分散混合して得た顔料スラリーに、樹脂A125部
(実施例7)、および樹脂A150部(実施例8)をそ
れぞれ加えて塗被組成物を調製した以外は、実施例1と
同様にして受像紙を得た。
【0063】実施例9 実施例7の塗被組成物の調製において、顔料の配合部数
を焼成カオリン60部と紡錘状軽質炭酸カルシウム40
部に変更して塗被組成物を調製した以外は、実施例7と
同様にして受像紙を得た。
【0064】実施例10 実施例1の受像層の形成において、塗被量を変更して、
乾燥重量で8g/m2となるように塗被した以外は、実
施例1と同様にして受像紙を得た。
【0065】比較例1〜5 実施例1の塗被組成物の調製において、合成高分子樹脂
の種類を変更して、樹脂F(比較例1)、樹脂G(比較
例2)、樹脂H(比較例3)、樹脂J(比較例4)、樹
脂K(比較例5)を使用し、それぞれ塗被組成物を調製
した以外は、実施例1と同様にして受像紙を得た。
【0066】比較例6〜8 実施例1の塗被組成物の調製において、多孔質顔料の種
類を変更して、カオリン〔見掛比重=0.58g/cm
3 〕(比較例6)、無定形シリカ〔見掛比重=0.55g
/cm3 〕(比較例7)、および無定形シリカ〔見掛比
重=0.07g/cm3 〕(比較例8)を使用し、それぞ
れ塗被組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして
受像紙を得た。
【0067】実施例11 〔基紙の調製〕LBKP〔パルプのドライパルプ、CS
F 480ml〕95部、NBKP〔パルプのドライパル
プ、CSF 500ml〕5部を配合したパルプスラリー
に、填料として球形状凝集軽質炭酸カルシウム〔見掛比
重=0.38g/cm3〕と重質炭酸カルシウム〔見掛比
重=0.80g/cm3〕の混合填料(混合比3:2)を
20部、硫酸バンドを0.5部、カチオン性澱粉を1.
5部、カチオン性ポリアクリルアミドを0.2部、およ
びアルキルケテンダイマーを0.1部添加し、これらの
混合物を白水で希釈してpH7.9、固形分濃度が1.
1%の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機を用いて
抄紙し、次いでサイズプレス装置を用いて、酸化澱粉と
無水マレイン酸系表面サイズ剤の塗布量が乾燥重量でそ
れぞれ2g/m2、0.2g/m2となるようにサイズプ
レスコーティングした後、乾燥し、3ニップのマシンキ
ャレンダに通紙して米坪が75g/m2の基紙を得た。
【0068】〔塗被組成物の調製〕球形状凝集軽質炭酸
カルシウム〔見掛比重=0.38g/cm3 〕100部
に、カルボキシメチルセルロース0.2部とポリアクリ
ル酸ソーダ0.5部を加え、コーレス分散機を用いて分
散混合して顔料スラリーを調製した。この顔料スラリー
に樹脂A35部、ポリビニルアルコール5部、蛍光増白
剤1部および水を加え、攪拌混合して、固形分濃度が5
0重量%の塗被組成物を調製した。
【0069】〔受像層の形成〕かくして得た塗被組成物
を上記の基紙の片面に、乾燥塗被量が20g/m2 とな
るように、バーコータを用いて塗被、乾燥し、その後ソ
フトカレンダにニップ数4、金属ロールの温度100
℃、ニップ線圧200Kg/cmの条件下で平滑化処理
して、米坪が95g/m2 の熱転写記録用受像紙を得
た。
【0070】実施例12〜13 実施例11の基紙の調製において、パルプ繊維の種類を
変更して、何れもドライパルプであるパルプ(実施例1
2)、およびパルプ(実施例13)を使用し、それぞれ
95部配合して基紙を調製した以外は、実施例11と同
様にして基紙および受像紙を得た。
【0071】実施例14〜15 実施例1の受像層の形成において、塗被量を変更して、
乾燥重量で5g/m2(実施例14)、および25g/
2(実施例15)となるように塗被した以外は、実施
例1と同様にして受像紙を得た。
【0072】比較例9 実施例11の塗被組成物の調製において、多孔質顔料を
紡錘状軽質炭酸カルシウム〔見掛比重=0.56g/cm
3〕100部に変更して塗被組成物を調製した以外は、
実施例11と同様にして受像紙を得た。
【0073】比較例10 実施例11の塗被組成物の調製において、合成高分子樹
脂の種類を変更して、樹脂Lを使用して塗被組成物を調
製した以外は、実施例11と同様にして受像紙を得た。
【0074】かくして得られた26種類の熱転写記録用
受像紙について、下記の方法により品質測定および評価
を行い、得られた結果を表3に示した。
【0075】(画像濃度の測定)熱転写プリンタを用い
てバーコード印字、ベタ印字及び網点印字を有するテス
トパターンを転写記録し、得られた記録画像の黒色ベタ
印字部の濃度をマクベス濃度計(RD914型/マクベ
ス社製)にて測定した。
【0076】(記録面の転写ムラの評価)上記ベタ印字
部の転写ムラの程度を下記の評価基準で目視評価した。 ◎:濃淡ムラや泳ぎがなく優れている。 ○:濃淡ムラや泳ぎが殆どなく良好である。 △:濃淡ムラや泳ぎがあり、劣っている。
【0077】(記録面のシャープ性の評価)上記バーコ
ード印字した細線(エッジ部)のシャープ性を下記の評
価基準により目視評価した。 ◎:ドットの滲みや線途切れがなく、細線がシャープで
優れている。 ○:ドットの滲みや線途切れが殆どなく、細線のシャー
プ性は良好である。 △:ドットの滲みや線途切れが認められ、細線が不明瞭
で僅かに劣っているが実用上問題はない。 ×:ドットの滲みや線途切れが多く、細線が不明瞭で劣
っている。
【0078】(記録面のドット再現性の評価)上記網点
印字部をドットアナライザー(DA−3000/KSシステ
ムズ社製)により30倍に拡大し、ドットの形状(真円
性)やドット抜けの程度を下記の評価基準により目視評
価した。 ◎:ドットの抜けがなく、ドット形状が優れている。 ○:ドットの抜けが殆どなく、ドット形状が良好であ
る。 △:ドットの抜けが認められ、ドット形状が僅かに劣っ
ているが実用上問題はない。 ×:ドットの抜けが多く、ドット形状が劣っている。
【0079】(記録面の擦れ汚れの評価)上記バーコー
ド印字部を染色堅牢度用摩擦試験機(東洋精機製作所社
製)を用い、荷重200gにて100回擦過した後、汚
れの程度を下記の評価基準により目視評価した。 ◎:印字の汚れがなく優れている。 ○:印字の汚れが殆どなく良好である。 △:印字の汚れが認められ、僅かに劣っている。 ×:印字の汚れが顕著で、劣っている。
【0080】(印刷強度の評価)RI印刷適性試験機
(明製作所社製)を用いて印刷を行い、下記の評価基準
により目視評価した。 ◎:ピックの発生がなく優れている。 ○:ピックの発生が殆どなく良好である。 △:ピックの発生があり、僅かに劣っている。 ×:ピックの発生が多く、劣っている。
【0081】(記録紙の受像層表面の十点平均粗さの測
定)万能表面形状測定器(SE−3C/小坂研究所社
製)を用い、JIS−B0601に準拠して、基準長さ8m
mにおける受像層表面の十点平均粗さ(Rz;μm)を
測定した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【発明の効果】表3の結果から明らかなように、本発明
の実施例に係わる熱転写記録用受像紙は、特に転写ムラ
やドット抜けがなく、シャ─プでドット再現性に優れる
ものであった。さらに、転写された印字の擦れ汚れの発
生がなく堅牢性に優れ、かつ優れた印刷適性を有し、高
画質を形成し得る熱転写記録用受像紙であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−257888(JP,A) 特開 昭60−25793(JP,A) 特開 平2−4568(JP,A) 特開 平4−336288(JP,A) 特開 平3−162993(JP,A) 特開 平4−175192(JP,A) 特開 平5−270158(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基紙の片面に、合成高分子樹脂と多孔質顔
    料を主成分とする塗被組成物を塗布して熱溶融性インク
    を受理する受像層を設けた熱転写記録用受像紙におい
    て、 (a)該合成高分子樹脂が、ガラス転移点−60〜−5
    ℃である合成ゴム系共重合体であり、 (b)該塗被組成物中での合成ゴム系共重合体が、ラテ
    ックスの表面張力38〜58mN/mの合成ゴム系ラテ
    ックスであり、 さらに(c)該多孔質顔料の、JIS−K−6220に
    準拠する見掛比重が0.1〜0.5g/cm3であるこ
    とを特徴とする熱転写記録用受像紙。
  2. 【請求項2】基紙を構成するパルプ繊維として、J.T
    APPI No.26に準拠するパルプの保水度が叩解前の
    測定値で125%以下であり、且つ下記およびの条
    件式を満足するパルプ繊維が全パルプ繊維の50〜10
    0重量%含有せしめられた請求項1記載の熱転写記録用
    受像紙。 :0.3 ≦ L ≦ 1.0 :0.3 ≦ d/D ≦ 0.8 ここに、 L:J.TAPPI No.52に準拠して測定した長さ加
    重平均繊維長(mm) D:顕微鏡写真法にて測定した平均繊維径(μm) d:顕微鏡写真法にて測定した平均ルーメン径(μm)
  3. 【請求項3】合成高分子樹脂が顔料に対し20〜150
    重量%配合される請求項1記載の熱転写記録用受像紙。
  4. 【請求項4】塗被組成物の塗被量が乾燥重量で片面当た
    り5〜25g/m2である請求項1記載の熱転写記録用
    受像紙。
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