JP2006028661A - 記録用紙及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
少なくともパルプ繊維を含む記録用紙において、下式(1)を満たすことを特徴とする記録用紙。
・式(1) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(1)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕
【選択図】 なし
Description
カラーインクは、用紙への浸透性を高めているため、記録密度の高い画像を印字した場合は、用紙内部までインクが浸透する。このため、インクが乾燥した後に印字面側に大きくカールが発生し、ドキュメントとして利用するのに耐えられないといった問題点がある。また、この際発生するカールを、電子写真法を利用して画像を形成した場合に発生するカールと同程度に抑制することはできていない。
この技術は、用紙内部へのインクの浸透が抑制されることからインク乾燥後に発生するカールを改善する効果はある。しかし、用紙内部へのインク浸透を抑えているために混色にじみが発生したりインクの乾燥性が悪化し、画質およびインクの乾燥性と、インク乾燥後に発生するカールとを同時に改善することができない。
しかし、この技術を利用した用紙に対して、浸透性が速いインクを用いて、記録ヘッドからのインクの吐出量が多い条件で印字した場合には、インクが用紙内部まで浸透してしまう。このため、全体としてインク乾燥後に収縮する用紙内の繊維の絶対量が増え、印字乾燥後のカールが大きくなるため、印字乾燥後に発生するカール、波打ちを軽減する効果が十分に得られない。
まず、印字乾燥後に発生するカールおよび波打ちを抑制するためには、用紙内部へのインクの浸透性を抑えることが必要である。従って、本発明者らは、インクの浸透性を抑制することを試みたが、インクの乾燥性が悪くなり、インク間で混色にじみが発生しやすくなり、印字乾燥後に発生するカールおよび波打ちと、画質および乾燥性とを同時に改善することができないことを確認した。
一方、用紙内部へのインクの浸透性が大きくなると、画質や乾燥性が向上する傾向にあるため、上述の結果は、インク浸透時のCD方向の伸び率の大きい用紙(すなわち、良好な画質や優れた乾燥性を得やすい用紙)でも、印字乾燥後のカールや波打ちを十分に抑制できる可能性があることを示唆するものと考えられる。
この結果は、上述の結果も考慮した場合、インク浸透時の用紙のCD方向の伸び率に関係なく、印字乾燥後に発生するカールや波打ちを制御できる可能性があることを示唆していると考えられる。
このため、本発明者らは、このような方法を利用した用紙の伸縮とカールや波打ちとの間には、実際のインクジェット記録のプロセスを考慮した場合、本質的には信頼性のある相関関係は存在しないと考えた。
<1>
少なくともパルプ繊維を含む記録用紙において、下式(1)を満たすことを特徴とする記録用紙である。
・式(1) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(1)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕
少なくとも保湿成分を含むことを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
少なくともカチオン性ポリマーを含むことを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
少なくとも水溶性の二価の金属塩を含むことを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
JIS P8111に規定される環境下において、表面電気抵抗率が1.0×109〜1.0×1012Ω/□の範囲内であり、且つ、体積電気抵抗率が1.0×1010〜1.0×1012Ω・cmの範囲内であることを特徴とする<1>に記載の記録用紙である。
少なくとも、水及び/又は水溶性の有機溶媒と、親水性色材とを含有するインクの液滴を、少なくともパルプ繊維を含む記録媒体表面に付与することにより画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法において、
前記記録媒体として、下式(2)を満たす記録用紙を用いたことを特徴とする画像記録方法である。
・式(2) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(2)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕
静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、前記静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記トナー画像を前記記録媒体表面に定着する定着工程と、を含む電子写真記録方式の画像記録方法において、
前記記録媒体として、下式(3)を満たす記録用紙を用いたことを特徴とする画像記録方法である。
・式(3) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(3)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕
<記録用紙>
本発明の記録用紙は、少なくともパルプ繊維を含む記録用紙において、下式(4)を満たすことを特徴とする。
・式(4) (A−B)/A≦0.012
但し、式(4)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。但し、CD方向とは、用紙平面において、用紙を製造する際の抄紙機の流れ方向と垂直に交差する方向を意味する。
また、AおよびBを測定する際の用紙の処理手順について補足すれば、まず、調湿処理および乾燥処理時における用紙の放置環境(温度23℃・湿度50%RH)はJIS P8111に規定されるいわゆる標準状態である。ここで、A値は、水溶液から用紙を取り出して、水分を軽くとってから2分以内に用紙の長手方向の長さを顕微鏡を利用して測長したものであり、B値は、乾燥処理後に用紙の長手方向の長さを顕微鏡を利用して測長したものである。
ここで、(A−B)/Aは、式(4)に示されるように0.012以下であることが必要であり、0.01以下であることがより好ましく、0.008以下であることが更に好ましい。
以下に、これら〔1〕〜〔3〕項に示す方法についてより詳細に説明する。
記録用紙の内部結合力を小さくしする方法としては、抄紙脱水時のプレス圧力を弱めて記録用紙内部のパルプ繊維間の結合面積を少なくする方法や、パルプ叩解度を高くして抄紙する方法などがある。
なお、原紙の内部結合力は、JAPAN TAPPI No.18―2に準拠して測定することができ、測定器としては熊谷理機工業(株)製インターナルボンドテスターを使用した。
乾燥時の記録用紙内部の水分変化量を小さくする方法としては、保湿成分を記録用紙に内添したり塗布する方法が挙げられる。保湿成分としては、多価アルコール、生態系保湿成分、糖類、糖アルコール、水溶性の金属塩、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、2価の金属イオンを含む水溶性の金属塩が好ましく、特に塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。
繊維配向比を小さくする方法としては、具体的には、原紙の抄紙時のパルプ噴射速度とワイヤー速度比とを近づける方法が挙げられる。
繊維配向比が1.4以下であれば、インクジェット方式で印字した場合に、印字乾燥後のカールを低減することができる。
但し、繊維配向比を小さくするだけでは、印字乾燥後のカールを十分に抑制することはできないため、上述した〔1〕項や〔2〕項に説明した方法と組み合わせることが好ましい。
・式(5) 原紙の超音波伝播速度法による繊維配向比(T/Y比)=MD方向超音波伝播速度÷CD方向超音波伝播速度
なお、この超音波伝播速度法による繊維配向比は、SonicSheetTester(野村商事(株)社製)を使用して測定することができる。
まず、画質を向上させるためには、カチオン性ポリマー(耐水化剤)や、水溶性の二価の金属塩を内添および/または塗布(表面処理)することができるが、表面処理されていることが好ましい。
カチオン性ポリマーの添加により、画像にじみ現象(フェザリング)や混色にじみを抑制し発色性を向上させるため、画質を改善できる。さらに、耐水性も向上させることができる。
また、水溶性の二価の金属塩は、画像の形成に際して使用するインクの構成成分が二価の金属イオンと反応して凝集する顔料等の凝集可能な成分を含むような場合に、画質の向上に有効である。
使用量が0.3g/m2未満の場合には混色にじみ等が発生し十分に画質を向上させることができなくなる場合がある。また、3g/m2を超える場合には、耐水性が必要以上に大きくなるため、印字時にインクの記録用紙内部への浸透が抑制されることによって乾燥性が低下したり混色にじみが発生する場合がある。
使用量が0.1g/m2未満の場合には混色にじみ等が発生し十分に画質を向上させることができなくなる場合がある。また、2g/m2を超える場合には、普通紙として使用する場合に普通紙としての概観を損なう場合がある。加えて、電子写真法を利用して画像を形成する場合に、転写性が劣化してしまう場合もある。
但し、にじみやフェザリングを抑制し画質を向上させるという観点では、耐水化剤は乾燥性を阻害しない範囲で適量用いることが好ましく、カチオン性ポリマーの好ましい使用量は既述した通りである。
すなわち、本発明の記録用紙は、印字乾燥後に発生するカールや波打ちを抑制し、これらの特性を犠牲にすることなく、更に画質やインクの乾燥性も向上させることが容易である。
本発明の記録用紙に用いられる原紙は、パルプ繊維と填料とを主体に含む。
前記パルプ繊維としては、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の他、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等が好ましく挙げられる。
前記古紙パルプは、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の二つの処理を組み合わせることによって、古紙の脱墨を容易にするだけでなくパルプの白色度もより向上させることができる。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を得ることができる。
前記填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の無機顔料、及び、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料を挙げることができる。また、原紙に古紙パルプを配合する場合には、古紙パルプ原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
前記填量の配合量は、特に制限されないが、前記パルプ繊維100質量部に対して、1〜80質量部の範囲であることが好ましく、1〜30質量部の範囲であることがより好ましい。
この場合、コート紙に使用される原紙は、主にパルプ繊維からなるものを使用することが好ましく、上述した原紙を使用することができる。
また、本発明の記録用紙がコート紙である場合、塗工層には、既述したカチオンポリマーや、水溶性の二価の金属塩を添加しても良い。
具体的には、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等を使用することができる。さらにサイズ剤と繊維の定着剤とを組み合わせて使用することもできる。この場合には、定着剤として硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉等を使用することができる。また、記録用紙の保存性を向上させる観点からは、中性サイズ剤を使用することが好ましい。サイズ度はサイズ剤の添加量によって調整する。
この観点からは、本発明の記録用紙の表面抵抗率は、23℃50%RH下で、1.0×109〜1.0×1012Ω/□の範囲であることが好ましく、5.0×109〜1.0×1011Ω/□の範囲であることがより好ましく、1.0×1010〜1.0×1011Ω/□の範囲であることがさらに好ましい。
次に、本発明の画像記録方法について説明する。本発明の画像記録方法は、インクジェット用インク(以下、「インク」と略す場合がある)または静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)を用いて記録する際に、本発明の記録用紙を用いるものであれば特に限定されない。
また、電子写真方式の場合は、そのプロセスは静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、前記静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記トナー画像を前記記録媒体表面に定着する定着工程と、を含むものであることが好ましく、必要に応じて他の工程を有していてもよい。また、現像剤は、トナーからなる一成分系であってもよく、トナーとキャリアとからなる二成分系であってもよい。
しかしながら、本発明の画像記録方法は、インクジェット記録により適した本発明の記録用紙を用いているため、高品質のドキュメントを得るためにはインクを用いるインクジェット記録方式であることがより好ましい。
本発明の画像記録方法に用いられるインクとしては、少なくとも色材を含む公知のインクであれば特に限定されないが、色材、アニオン性化合物、水溶性有機溶媒および水を必須の成分として含有するものが好ましく、その他、顔料分散剤、界面活性剤、各種添加剤等を含有することができる。以下、それぞれの成分について説明する。
インクに使用される色材は、水溶性染料、有機顔料、無機顔料であってもよい。
黒インクの場合は顔料を主体としたものが一般的であり、黒色の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が挙げられ、具体的な例としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上コロンビヤン・カーボン社製)、Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Black Pearls L,Monarch 700,Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex V、Printex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special、Black 4A、Special Black 4(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。
シアン、マゼンタ、イエローインクに用いられる色材としては染料に限らず、疎水性顔料に親水基を含む分散剤を添加して親水性を持たせた顔料、および、自己分散型顔料も使用することができる。
具体的には、通常のいわゆる顔料に対して、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより自己分散型顔料を得ることができる。また、このような表面改質処理を施した顔料の他、自己分散型顔料として、キャボット社製のcab−o−jet−200、cab−o−jet−300、IJX−55、IJX−157、IJX−253、IJX−266、IJX−273、オリエント化学社製のNicrojet Black CW−1、日本触媒社により販売されている顔料等の市販のものを用いてもよい。
インクに使用されるアニオン性の水溶性高分子としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸等の酸およびこれらの誘導体、アニオン性ポリマーエマルジョン等が挙げられ、後記するアニオン性の顔料分散剤であってもよい。
一方、アニオン性化合物の疎水性部を構成する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられるが、それらの中でも、スチレン、(メタ)アクリル酸のアルキル、アリールおよびアルキルアリールエステルから選ばれる1種以上であることが好ましい。
インクに用いられる水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール誘導体、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄溶媒、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等が挙げられる。水溶性有機溶媒は、単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
インクに用いられる水は、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等を用いることができる。
インクに含まれる水の含有量は、15〜98質量%、特に45〜90質量%とすることが好ましい。15質量%未満となると、吐出安定性が低下する場合があり、正常に吐出しない場合がある。また、98質量%を超えると、長期保存安定性で劣る場合がある。
−顔料インク、顔料分散剤−
インク中に含まれる顔料の分散性を向上させるために、顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤の具体例としては、高分子分散剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
これらの顔料分散剤の中で、水中にて電離した場合に有機陰イオンとなる顔料分散剤を、本発明においてはアニオン性顔料分散剤と称する。このアニオン性顔料分散剤は、既述したアニオン性水溶性高分子を用いることができる。
縮合系重合体の例としては、公知のポリエステル系分散剤が挙げられる。付加重合体の例としては、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの付加重合体が挙げられる。親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーと、疎水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーを適宜組み合わせて共重合することにより、目的の高分子分散剤を得ることができる。また、親水基を有するα,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独重合体を用いることもできる。
なお、特に限定するわけではないが、顔料分散剤の親水基はカルボン酸またはカルボン酸の塩であることが好ましい。
インクは、界面活性剤を含有することもできる。顔料インクの顔料分散剤およびインクの表面張力や濡れ性を調整するため、または、有機不純物を可溶化し、インクのノズルから噴射する際の信頼性を向上するためである。
界面活性剤の種類としては、水不溶色材の分散状態、あるいは水溶性染料の溶解状態に影響を及ぼしにくいノニオンおよびアニオン界面活性剤が好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。
また、両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を使用することができる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッ素系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタント等も使用することができる。
インクにおいて使用される界面活性剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。添加量は、表面張力等の目的の特性により調整すればよい。
さらに、インクには、必要に応じて、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、キレート化剤、水溶性染料、分散染料、油溶性染料等を添加することもできる。これらの添加剤のインクにおける含有量は、20質量%とすることが好ましい。
以上に説明したようなインクは、水溶液に所定量の色材を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。
インクのpHは、3〜11とすることが好ましく、特に4.5〜9.5とすることが好ましい。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、インクのpHは6〜11とすることが好ましく、6〜9.5とすることがより好ましく、7.5〜9.0とすることがさらに好ましい。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいて、インクのpHは4.5〜8.0とすることが好ましく、4.5〜7.0とすることがより好ましい。
インクは、染料系のカラーインクが3種類と顔料系の黒インクとを準備した。
−Magentaインク(染料系カラーインク)−
・ダイレクトレッド227(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。
・ダイレクトブルー142(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1質量部
上記組成物に脱イオン水を加えて全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。
・ダイレクトイエロー144(10質量%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):1質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。
・表面処理顔料(IJX157 キャボット社製):3質量部
・ジエチレングリコール:20質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.5質量部
・尿素:6質量部
上記組成物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、目開き1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は36mN/m、粘度は2.2mPa・sであった。
記録用紙は、以下の記録用紙(1)〜(12)を準備した。
<記録用紙(1)>
濾水度450mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェットワイヤー比、プレスパートでのプレス圧を標準の60kg/cmに調整し、繊維配向比1.1、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水79.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部、および、保湿剤としてキシリトール15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ2.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(1)を得た。
濾水度470mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を上げ繊維配向比1.1とし、プレスパートでのプレス圧を低く調整(30kg/cm)し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水79.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部、および、保湿剤としてLアスパラギン酸15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ3.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(2)を得た。
濾水度470mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を調整し、繊維配向比1.31とし、プレスパートでのプレス圧を低く調整(30kg/cm)し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水79.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部、および、キシリトール15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ2.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(3)を得た。
濾水度450mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を調整し、繊維配向比1.41とし、プレスパートでのプレス圧を標準に調整し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水79.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部、および、保湿剤としてキシリトール15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ2.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(4)を得た。
原紙としては記録紙(4)の作製に用いたのと同様の原紙を準備した。
次に、水75質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、カチオン性ポリマー(アリルアミン重合体塩酸塩PAA−HCl−3L:日東紡績社製 )5質量部、および、保湿剤としてグルコース15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ3.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(5)を得た。
原紙としては記録紙(4)の作製に用いたのと同様の原紙を準備した。
次に、水75質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、水溶性の二価の金属塩である塩化カルシウム2質量部、および、保湿剤としてプロデュウ15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ3.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(6)を得た。
濾水度450mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部と、保湿剤としてキシリトールを20質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を調整し、繊維配向比1.41とし、プレスパートでのプレス圧を標準に調整し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水67質量部、微粉シリカ(トクヤマ(株)製、商標ファインシールX60)10質量部、ポリビニルアルコール(クラレ製、商標PVA117)20質量部、および、カチオン性ポリマー(アリルアミン重合体塩酸塩PAA−HCl−3L:日東紡績社製 )3質量部を混合した塗工液を調整後、この塗工液を原紙の片面に乾燥質量で片面あたり10.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって、片面に塗工層を有する記録用紙(7)を得た。
濾水度450mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を調整し、繊維配向比1.31とし、プレスパートでのプレス圧を高く調整(80kg/cm)し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水79.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、硫酸ナトリウム0.5質量部、および、保湿剤としてプロデュウ15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ3.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(8)を得た。
濾水度400mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプ100質量部に対して軽質炭酸カルシウム填料を10質量部と、無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤(日本エヌエスシー(株)製Fibran−81)を0.1質量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5質量部とを配合し、抄紙時のジェット/ワイヤー比を調整し、繊維配向比1.62とし、プレスパートでのプレス圧を高く調整(80kg/cm)し、坪量80g/m2の原紙を作製した。
次に、水94.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、および、硫酸ナトリウム0.5質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ1.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(9)を得た。
原紙としては記録紙(4)の作製に用いたのと同様の原紙を準備した。
次に、水94.5質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、および、硫酸ナトリウム0.5質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ1.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(10)を得た。
原紙としては記録紙(4)の作製に用いたのと同様の原紙を準備した。
次に、水89.85質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5質量部、水溶性の二価の金属塩である塩化カルシウム10質量部、および、0.15質量部を混合した処理液を調整後、この処理液を原紙の両面に乾燥質量で片面あたりそれぞれ3.0g/m2となるようにバーコーターにて塗布し、続いて乾燥処理することによって記録用紙(11)を得た。
富士ゼロクスオフィスサプライ(株)製、J紙(坪量82g/m2)を記録用紙として使用した。
以上に説明したようにして作製したインクと記録用紙(1)〜(12)とを組合せ、サーマルインクジェット記録装置にて印字評価を実施した結果を表1、2に示す。
なお、印字評価は、23℃、50%RHの環境にて実施し、印刷は四個の記録ヘッドを備えたマルチパス印字方式のサーマルインクジェット記録装置(富士ゼロックス社製、モデルプリンタ試作機)を使用した。この装置の記録ヘッドのインク吐出ノズルピッチは800dpi、インク吐出ノズル数256ノズル、吐出量約15plであり、印字評価に際しては、印字は片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピードを約28cm/秒に設定して実施した。
−表面電気抵抗率、体積電気抵抗率−
記録用紙を23℃、50%RHの環境下に8時間以上調湿し、JIS−K−6911に準拠した方法で測定した。測定器としては、アドバンテスト製 デジタル超高抵抗計R8340とレジスティビティ・チャンバーR12704を使用し、印加電圧を100Vにて測定した。評価結果を表1,2に示す。
記録用紙をCD方向が長辺となるように長さ210mm幅50mmに断裁し、23℃50%RH環境下(JIS P8111に規定される標準状態)にて8時間以上放置して調湿する。
その後、23℃50%RH環境下で、ジエチレングリコール20質量%、尿酸6質量%、ノニオン性界面活性剤(サーフィノール465日信化学社製)1質量%、水73質量%からなり、23℃おける表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sの水溶液に5分間浸透させる。その後、水分を軽くとってから、2分以内に記録用紙の長辺方向の長さ(A値)を顕微鏡にて測長した。
続いて、測定後の記録用紙を23℃50%RH下に50時間放置後、再度顕微鏡にて記録用紙の長辺方向の長さ(B値)を測定した。A,B,(A−B)/Aの値を表1,2に示す。
はがきサイズ(100×148mm)に裁断した記録用紙に、周囲の余白を5mmとしてマゼンダ100%ベタ画像を印字した。続いて、印字されたはがきを23℃、50%RHの環境下に印字面を上に平置きにして50時間放置した後、ハンギングカール発生量を測定した。なお、測定値は、カール曲率に換算して評価を行った。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:20m-1未満
○:20m-1以上35m-1未満
△:35m-1以上50m-1未満
×:50m-1以上
A4サイズ(210×297mm)に裁断した記録用紙に、マゼンタ100%ベタ画像を印字した後、23℃、50%RHの環境下に印字面を上に平置きにして50時間放置し、波打ちの発生の有無や程度を目視にて評価した。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:波打ちなし
○:波打ちは少しあるが許容できる
△:波打ちの発生が気になる
×:波打ちが大きく発生
各記録用紙にCyanインクのベタ画像を20mm四方に印字し、印字が終了してから5秒後に、ベタ画像上にセイコーエプソン社製スーパーファイン用紙の記録面側を100g/cm2の圧力にて押し当て、スーパーファイン用紙の記録面に転移したインクの程度を目視にて評価することによりインクの乾燥性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:インクの転移は全くない。
○:僅かにインクの転移はあるが、実用上問題ない。
△:一部にインクの転移があり、実用上問題がある。
×:前面にインクの転移があり、実用上問題がある。
2cm×2cmの黒インク及びカラーインクのパッチを、互いに接するように印字した。評価は接した印字物の混色官能評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:全く混色していない
○:混色がやや発生しているが気にならない。実用上問題はない。
△:混色が発生しやや気になる。実用上問題がある。
×:混色が発生し気になり許容できない
8ポイントの文字をMagentaインクにより印字した。印字品質については目視試験を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:漢字、ひらがな全てに滲みが全く観察されない。
○:漢字、ひらがなの極一部に滲みが観察される。実用上問題はない。
△:漢字、ひらがなの一部に滲みが観察される。実用上問題がある。
×:漢字、ひらがなに滲みが観察される。
電子写真法を利用して画像を形成した場合の画質評価には、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor400CPを使用し、トナー転写性、および粒状性について評価を実施した。
ブルーの2次色、及び、イエロー、マゼンタ、シアンからなる3次色があり、かつ、網点面積率が0〜100%まで10%刻みで出力できるチャートを使用して、各記録用紙を用いてプリンタ出力を行い、下記の評価基準でトナーの転写ムラを目視評価した。
◎:トナー転写むらがなく極めて優れている。実用上問題ない。
○:一部でトナー転写むらが確認されるが、実用上問題ない。
△:トナー転写むらが目立ち、実用上問題がある。
×:トナー転写むらが全面で発生し、実用上問題がある。
ブルーの2次色、及びイエロー、マゼンタ、シアンからなる3次色があり、かつ網点面積率が0〜100%まで10%刻みで出力できるチャートを使用し、各記録用紙を用いてプリンタ出力を行い、下記の評価基準で粒状性を目視評価した。
◎:ハーフトーン部においてトナー転写の乱れはなく、粒状性の悪化が見られない。
○:ハーフトーン部の一部でトナー転写の乱れが僅かに発生し、粒状性の悪化が僅かに確認されるが、実用上問題ない。
△:ハーフトーン部にてトナー転写の乱れが発生し、粒状性の悪化が見られ、実用上問題がある。
×:ハーフトーン部にてトナー転写の乱れが著しく発生し、粒状性の悪化が明確に見られ、実用上問題がある。
Claims (3)
- 少なくともパルプ繊維を含む記録用紙において、下式(1)を満たすことを特徴とする記録用紙。
・式(1) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(1)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕 - 少なくとも、水及び/又は水溶性の有機溶媒と、親水性色材とを含有するインクの液滴を、少なくともパルプ繊維を含む記録媒体表面に付与することにより画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法において、
前記記録媒体として、下式(2)を満たす記録用紙を用いたことを特徴とする画像記録方法。
・式(2) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(2)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕 - 静電潜像担持体表面を帯電する帯電工程と、前記静電潜像担持体表面を露光し静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像担持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程と、前記トナー画像を記録媒体表面に転写する転写工程と、前記トナー画像を前記記録媒体表面に定着する定着工程と、を含む電子写真記録方式の画像記録方法において、
前記記録媒体として、下式(3)を満たす記録用紙を用いたことを特徴とする画像記録方法。
・式(3) (A−B)/A≦0.012
〔但し、式(3)中に示すAおよびBは、温度23℃・湿度50%RHの環境下にて8時間以上放置し調湿する調湿処理を施した後、CD方向が長辺となるように縦210mm×横50mmに裁断した用紙を、
〔1〕23℃における表面張力が31mN/m、粘度が2.0mPa・sであり、水が73質量%含まれる水溶液中に5分間浸漬させる浸漬処理を施し、
〔2〕続いて、温度23℃・湿度50%RHの環境下に50時間放置し乾燥させる乾燥処理を施した際に測定される値であり、
Aが前記浸漬処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表し、Bが前記乾燥処理を施した後の用紙のCD方向の長さ(mm)を表す。〕
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