JP4292875B2 - 記録用紙の製造方法 - Google Patents

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    • D21C9/001Modification of pulp properties
    • D21C9/002Modification of pulp properties by chemical means; preparation of dewatered pulp, e.g. in sheet or bulk form, containing special additives

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録用紙、該記録用紙の製造方法、及び、この記録用紙を用いてインクジェット方式または電子写真方式により記録する記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンタの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有することから広く注目されてきている。さらに近年では高画質化、高速化、高信頼化が進んでいるが、普通紙に印刷する機会も多く、普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。
【0003】
上記インクジェット記録方式には、いわゆる普通紙、インクジェット用コート紙及び光沢紙、白色フィルム、透明フィルムといった被記録媒体(記録用紙)が用いられる。特に、オフィス等でレーザープリンターや複写機と併用される場合には、これらの電子写真記録方式の機器を用いた画像形成も容易で、価格が安く入手の容易な普通紙に印刷する機会が最も多い。したがって、インクジェット記録方式では普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。しかしながら、これまでのインクジェット記録方式では、普通紙に対して印刷する際に次のような問題点があった。
【0004】
インクジェット印字方式では、水を多量に含む水溶性インクを吐出して印字する方法が主流であり、印字に伴って記録用紙に多量の水分が付与される。紙はパルプ繊維を水素結合によって結合せしめてシート形成したものであり、水素結合間に水分子が浸入することによりパルプ繊維間距離が広がり、用紙の寸法変化を生じることになる。これが用紙全体に生じるものをカールと呼び、部分的に凹凸を生じたものをカックルもしくはコックリングと呼ぶ。
この印字直後のカール、カックルによってインクジェット印字方式では用紙搬送性、両面印字性が損なわれる。また、印字後、インクが乾燥するにつれて、パルプ繊維間の水素結合間に浸入した水分子が蒸発しパルプ繊維間の距離が縮まっていくが、この時に印字前の結合位置と異なる部分に水素結合を形成するため、印字直後から時間の経過と共に寸法変化を生じることになる。この印字乾燥後のカール、カックルによって、作成したドキュメントの品質は電子写真方式等で印字したものに比べて品質が劣る。
【0005】
これらの用紙変形課題に対して、印字後のカールおよび波打ちを改善するために、抄造したシートを一度加湿し、紙の応力を緩和することでカールおよび波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献1参照)や、紙のCD方向の水中伸度を規制して、カール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献2参照)、紙のMD方向、CD方向の水中伸度の率を1.3倍以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献3参照)、インク噴射部分の動作方向の水中伸度を2.0%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献4参照)、CD方向の水中伸度を1.8%以下にすることでカール、波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献5参照)、支持体に含有される顔料を5〜35重量%とし、記録シートの内部結合強度さを150〜455g/cmにすることでコートタイプインクジェット記録シートの波打ちを軽減する方法(例えば、特許文献6参照)が提案されている。
【0006】
特許文献1〜4に記載された方法では、カール、波打ちを低減することが報告されている。しかし、用紙内部への浸透性が速いインクを用い、インクの吐出量が多い場合や印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合にはカールが大きくなるので、記録用紙のインク浸透を抑える必要があるため、ドキュメントとして使用に耐えられない。
【0007】
特許文献5に記載された方法では、インク受理層が設けられた記録紙の内部結合強度を一定以内に収めることで印字後のうねりを軽減することを試みている。しかし、記録紙の内部結合強度を規定するだけではカールや波打ち、うねりに対し十分な効果が得られない。特に用紙内部への浸透性が速いインク、インクの吐出量が多い場合、印字速度が速く単位時間当たりに吐出されるインク量が多くなる場合にはカールが大きくなるので、記録用紙のインク浸透を抑える必要があるため、ドキュメントとして使用に耐えられない。
【0008】
また、放置乾燥後に発生するカール、波打ちを改善するため、相対湿度を変化させた時のMD方向とCD方向の不可逆収縮率を一定範囲内とすることで放置乾燥後に発生するカール、波打ちを軽減する方法が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかし、記録用紙のインク浸透が抑制されていない場合、浸透性が速いインクでインクの吐出量が多い場合には、インクが用紙内部まで浸透してしまい、全体として乾燥後に収縮する繊維の絶対量が増え放置乾燥後のカールが大きくなり十分な効果が得られない。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−38375号公報
【特許文献2】
特開平3−38376号公報
【特許文献3】
特開平3−199081号公報
【特許文献4】
特開平7−276786号公報
【特許文献5】
特開平10−46498号公報
【特許文献6】
特許第3172298号公報
【特許文献7】
特許第3127114号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような問題を解決することを課題とする。すなわち、本発明は、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカールおよびカックルを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカールおよびカックルを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙、これを用いた記録方法及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、普通紙における印字直後に発生するカールを抑制し、カックル改善による両面印字適性を持たせ、さらに放置乾燥後に発生するカールを抑制し、カックルを抑制する方法について鋭意検討した。
その結果、印字直後及び乾燥後に発生するカール、カックルは、水性インク中の水を吸収したパルプ繊維層の急激な伸びにより発生し、放置乾燥後に発生するカール、カックルについてはインクを吸収した繊維層の脱湿による縮みにより発生することを確認した。
【0012】
この結果から本発明者らは、インクを吸収した繊維層での水分量変化による伸縮伝播について鋭意検討を試みた。その結果、水の吸脱湿による伸縮伝達性は用紙内部の水素結合間における距離の変化によって発生していることがわかった。したがって、このような変化を抑制するには、水分の影響を受けない結合を形成することによって、水素結合間距離の変化を根本的に抑制し、印字後カール・カックル、乾燥後カール・カックルを小さくすることが可能であることを見出した。すなわち本発明は;
【0018】
<1> 反応性基を含むパルプ繊維を少なくとも用いて、抄紙する抄紙工程を少なくとも経て作製される基材を含む記録用紙を作製する記録用紙製造方法において、1分子中に少なくとも6つ以上のアミノ基を有するアミノ基含有水溶性物質である架橋剤を用いて、前記反応性基を含むパルプ繊維を、前記反応性基を介して共有結合により架橋する架橋工程を少なくとも経た後に、前記抄紙工程を行なうことを特徴とする記録用紙製造方法である。
【0020】
<2> 前記反応性基が、少なくともカルボキシル基を含むことを特徴とする<1>に記載の記録用紙製造方法である。
【0021】
> 前記架橋工程前のパルプ繊維に含まれる前記カルボキシル基の存在量が、パルプ繊維100g当り5〜15meqの範囲内であることを特徴とする<>に記載の記録用紙製造方法である。
【0024】
> パルプ繊維を酸化処理することにより、前記パルプ繊維に反応性基を形成する酸化処理工程を少なくとも経た後に、前記架橋工程を行なうことを特徴とする<1>に記載の記録用紙製造方法である。
【0025】
> 前記酸化処理が、亜塩素酸処理であることを特徴とする<>に記載の記録用紙製造方法である。
【0026】
> 前記抄紙工程を少なくとも経て作製された基材の両面に、表面サイズ剤を含む溶液を塗布することを特徴とする<1>に記載の記録用紙製造方法である。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の製造方法説明する。
【0032】
(記録用紙の製造方法)
本発明の記録用紙の製造方法は、反応性基を含むパルプ繊維を少なくとも用いて、抄紙する抄紙工程を少なくとも経て作製される基材を含む記録用紙を作製する記録用紙製造方法において、1分子中に少なくとも6つ以上のアミノ基を有するアミノ基含有水溶性物質である架橋剤を用いて、前記反応性基を含むパルプ繊維を、前記反応性基を介して共有結合により架橋する架橋工程を少なくとも経た後に、前記抄紙工程を行なうことを特徴とする。
【0033】
従って、本発明の製造方法によって作製された記録用紙は、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカールおよびカックルを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカールおよびカックルを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能である。
【0034】
なお、本発明において「反応性基」とは、共有結合の形成が可能な反応性を有する基を意味し、具体的には、水分子の存在下で容易に解離しない共有結合を、化学反応等を利用して形成できる基を意味する。
また、本発明においては、反応性基はパルプ繊維上に多量に存在するヒドロキシル基以外の基(以下、「非ヒドロキシル基」と略す)を必ず含んでいることが好ましく、ヒドロキシル基以外の基のみからなることがより好ましい。
反応性基がパルプ繊維上に多量に存在するヒドロキシル基のみである場合には、ヒドロキシル基を介して多数の架橋結合が形成されることによりパルプ繊維同士が強固に結合し、このようなパルプ繊維を用いて作製された記録用紙のリサイクルが困難になる等の問題が発生するためである。
【0035】
一方、一般に、工業的に利用可能なパルプ繊維上には、ヒドロキシル基と比べると存在量はかなり少ないながらも非ヒドロキシル基が存在する。このような、非ヒドロキシル基としては少なくともカルボキシル基が、パルプ繊維100g当り5〜10meq程度の範囲内で含まれていることが多い。また、カルボキシル基量の制御を目的としたものではないものの従来技術ではパルプ繊維に亜塩素酸処理等の酸化処理が施されることも多く、これによりパルプ繊維上に新たなカルボキシル基がさらに形成される場合もある。また、この他にも例えば亜硫酸蒸解法によってパルプが製造されている場合には、パルプ繊維にスルホン基が含まれている場合もある。
【0036】
従って、リサイクル性等を考慮した場合には、ヒドロキシル基と比べると元々存在量が少なく、また、パルプ繊維に酸化処理等の何らかの処理を施すことによって、その構造や存在量を制御することも可能な非ヒドロキシル基を利用してパルプ繊維を架橋することが好ましい。
このような場合、非ヒドロキシル基の存在量が少ないために、仮に非ヒドロキシル基が全て反応して架橋結合を形成したとしても、予め架橋結合に寄与する非ヒドロキシル基の存在量を制御しておけば、形成される架橋結合の量を容易に制御でき、リサイクル性も確保することができる。
【0037】
非ヒドロキシル基を利用したパルプ繊維の架橋は、非ヒドロキシル基のみを起点としたものであってもよく、非ヒドロキシル基とヒドロキシル基とを起点としたものであってもよい。
この場合、非ヒドロキシル基−非ヒドロキシル基間や、非ヒドロキシル基−ヒドロキシル基間の間に直接共有結合を形成することにより架橋してもよいし、架橋剤を介して2つの基の間を架橋してもよい。しかし、記録用紙を作製する際の材料選択等の自由度の高さの点から、反応性基は、架橋剤を介して、反応性基と反応性基との間に共有結合が形成できるものであることがが好ましい。
【0038】
このような反応性基および架橋剤の組み合わせの一例としては、反応性基としてカルボキシル基が挙げられ、架橋剤として1分子中に少なくとも2つ以上のアミノ基を有する水溶性物質(以下、「アミノ基含有水溶性物質」と略す場合がある)が挙げられる。この場合、パルプ繊維をアミド結合により架橋することができる。なお、反応性基および架橋剤の組み合わせは、上記の例に限定されるものではなく、パルプ繊維間の架橋の起点として選択した反応性基の種類に応じて公知の架橋剤を選択することができる。
【0039】
次に、本発明の記録用紙の構成や、用いられる材料、また、製造方法について以下により詳細に説明する。
本発明の記録用紙に含まれる基材は、パルプ繊維を主に含むものであるが、このパルプ繊維としては、公知のものを用いることができる。具体的には、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等を使用できる。
【0040】
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
【0041】
特にバージンで使用するパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chlorine Free;ECF)や塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free;TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
【0042】
また、古紙パルプの原料として、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙、印刷や複写が施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙、中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙を配合することができる。
【0043】
パルプ繊維の原料として、古紙パルプを用いる場合には、上記古紙原料を、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られた物が望ましい。また、より白色度の高い用紙を得るためには、上記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50重量%以上100重量%以下とすることが望ましい。さらに資源の再利用という観点からは、前記古紙パルプの配合率を70重量%以上100重量%以下とすることがより望ましい。オゾン処理は上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、過酸化水素処理は脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ作用がある。特にこの二つを組み合わせた処理によって古紙の脱墨を容易にするだけでなくパルプの白色度も向上することが知られている。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を持つ。
【0044】
また、通常のパルプ繊維には5〜10meq/100g程度のカルボキシル基が存在する。本発明の記録用紙の作製に際して、反応性基としてカルボキシル基を利用してパルプ繊維間を架橋しようとする場合には、このようなパルプ繊維をそのまま利用してもよいが、パルプを叩解した後にパルプ繊維の酸化処理を行うことによって、さらに多くのカルボキシル基をパルプ繊維上に導入してもよい。但し、過剰な酸化処理を行った場合にはパルプ繊維の重合度が低下する場合があるため、パルプ繊維に含まれるカルボキシル基量は、15meq/100g以下とすることが好ましい。パルプ繊維に含まれるカルボキシル基量の下限は特に限定されないが、カルボキシル基を利用して架橋できるサイトが少なくなると、カールやカックルが十分に抑制できなくなる場合があることから5meq/100g以上であることが好ましい。
【0045】
また、パルプ繊維上にカルボキシル基を導入する際の酸化処理の方法としては、特に限定されないが、亜塩素酸処理を行うことが好ましい、亜塩素酸処理は、パルプ繊維の重合度を損なうことなく、効果的に繊維上にカルボキシル基を導入することができるためである。
なお、パルプ繊維に含まれるカルボキシル基の定量はTappi Test Methods T237 om−88に準拠して測定することにより求めることができる。
【0046】
パルプ繊維に含まれるカルボキシル基を利用して、架橋剤によりアミド結合を形成して架橋する場合には、既述したように架橋剤としてアミノ基含有水溶性物質が用いられる。
このようなアミノ基含有水溶性物質としては、1分子中に6つ以上のアミノ基を有する水溶性物質であれば特に限定されないが、例えば、ポリアミンアミドエピハロヒドリン、ポリアクリルアミド、ポリアリルアミンなどのカチオンポリマー、ポリリジン等の食品添加物が挙げられる。
【0047】
アミノ基含有水溶性物質は、パルプ繊維を架橋するために少なくとも6つの反応サイト(アミノ基)を有していることが必要であるが、反応サイトは分子の最外部に位置していることが好ましい。このような観点からは、アミノ基含有水溶性物質としては、ポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリリジンデンドリマーなどのデンドリマー類を用いることがより効果的である。
【0048】
反応性基としてカルボキシル基を利用し、架橋剤としてアミノ基含有水溶性物質を用いる場合のパルプ繊維の架橋に際しては、水系溶媒中にてパルプ繊維と架橋剤(アミノ基含有水溶性物質)とを一緒に数時間攪拌することによって、簡易にパルプ繊維間にアミド結合による架橋部分を形成することができる。
なお、この際の架橋開始剤としては、カルボジイミドを使用することが多いがこれに限定されるものではない。カルボジイミドとしては、水溶性のものが好ましく、1−エチル−1,3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどが良い。
【0049】
アミド結合によってパルプ繊維が架橋されたかどうかを確認する方法としては、例えば、架橋処理後のパルプ繊維をNMRを利用してアミド結合を確認する直接的な方法や、架橋処理前後のパルプ繊維に含まれるカルボキシル基量を定量比較する間接的な方法等が挙げられる。
【0050】
NMRを利用する場合には、具体的には、架橋処理後のパルプ繊維をグルコース単位に分解した後13C−NMRにて確認することができる。通常のパルプ繊維、及び酸化処理後のパルプ繊維に存在するカルボキシル基は主に末端のC1位にアルドン酸型で形成されて開環して存在している。このため、13C−NMRで測定した際に、アミド結合の架橋が形成されていれば、グルコース2分子とアミド結合した物質によるピークがスペクトルに反映される。
【0051】
一方、架橋処理前後のパルプ繊維に含まれるカルボキシル基量を定量比較する方法を利用する場合には、Tappi−Test−Methods−om237−t88に基づいてカルボキシル基の定量を行い、架橋処理後にパルプ100gあたり1meq以下となっていることを確認すればよい。
【0052】
本発明の記録用紙は、基本的に、反応性基を含むパルプ繊維を、反応性基を介して共有結合により架橋する架橋工程を少なくとも経た後に、架橋されたパルプ繊維を抄紙する抄紙工程を行なうことによって作製されるものであり、これら以外の工程については、公知の記録用紙製造方法で利用される如何なる工程を組み合わせて利用してもよい。
【0053】
なお、架橋工程においては、既述したように架橋剤を用いてもよく、また、架橋工程を行なう前に、パルプ繊維に含まれる反応性基の量を調整するために化学的および/または物理的処理等を施してもよく、例えば、カルボキシル基の量を調整するために既述したように亜塩素酸処理等の酸化処理工程を行なってもよい。
【0054】
また、本発明の記録用紙は、少なくとも架橋処理されたパルプ繊維を少なくとも用いて、これを抄紙することにより作製した基材を含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、基材中に種々の添加剤を添加したり、基材の表面に塗工層を形成することもできる。
例えば、基材には、不透明度、白さ及び表面性を調整するために填料を添加することが好ましい。特に記録用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。使用できる填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の白色無機顔料、及び、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料を挙げることができる。また、古紙を配合する場合には、古紙原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
【0055】
更に、基材には、内添サイズ剤を添加することが好ましく、内添サイズ剤としては、中性抄紙に用いられる、中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤が使用できる。
また、記録用紙のサイズ度は上記バインダーの種類や配合量を選択することのみによっても調整することができる。
【0056】
しかし、上記バインダーのみではサイズ度の調整が十分でない場合には、さらに基材表面に表面サイズ剤を含む溶液を塗布した後、これを乾燥させて、基材と、この基材の両面に形成された表面サイズ剤を含む層と、からなる記録用紙とすることもできる。
表面サイズ剤としてはロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤、澱粉、ポリビニルアルコール等を使用することができる。なお、記録用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない内添サイズ剤や表面サイズ剤を使用することが望ましい。
具体的には、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等を使用することができる。記録用紙の保存性を向上させる観点からは中性サイズ剤を使用することが望ましい。サイズ度はサイズ剤の添加量によって調整することができる。
【0057】
表面サイズ剤を含む溶液の基材表面への塗布はサイズプレス、シムサイズ、ゲートロール、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、ブレードコーター等の通常使用されている塗布手段が利用できる。
【0058】
また、本発明の記録用紙は、パルプ繊維の繊維配向を小さくすることによってさらにカール・カックルの抑制効果を向上させることができる。繊維配向を小さくする方法としては、JET/WIRE(原料噴出速度/抄紙機ワイヤー速度)の調整や、プレス時に紙のマシン方向の張力及びドライヤー乾燥時のマシン方向の張力を制御すること等が挙げられる。
【0059】
(インクジェット記録方法)
にインクジェット記録方法について説明する。インクジェット記録方法は、インクを用いて本発明により作製される記録用紙に印字するものであれば特に限定されず、この際用いられるインクも、親水性色材および水を少なくとも含む公知のインクであれば特に限定されない。具体的には、少なくとも染料と水とを含むインクや、少なくとも親水性色材と疎水性部分および親水性部分を含む水溶性高分子と水とを含むインク等を用いることができる。
【0060】
但し、親水性色材とは染料および/または顔料を意味し、この場合の顔料とは、親水基を含む顔料分散剤と併用され、これによりインク中に分散することができる疎水性顔料だけでなく、後述する自己分散型顔料も含まれる。また、溶媒としては水以外にも公知の水溶性有機溶媒を用いることができ、界面活性剤等、必要に応じて各種添加剤等を更に含有することができる。
【0061】
前記インクジェット記録方法に用いられるインクとしては、上記したような水溶性のインクが好適に用いられる。多色で印字する場合に用いられるインクセットの例としては、少なくとも黒、シアン、マゼンタ、イエローインクを備えたインクセットが考えられ、これらのインクは、水、水溶性有機溶媒、色材、界面活性剤、および、水溶性高分子等を配合し調整される。
【0062】
各インクは、水、水溶性有機溶媒、色材、界面活性剤、および、水溶性高分子等を含み、色材として顔料を用いる場合には、自己分散型顔料(顔料分散剤なしで水に分散可能な顔料)が用いられる場合が多い。自己分散型顔料は、その表面に水に対する可溶化基を多く含み、インク中に顔料分散剤が存在しなくても、安定に分散することのできる顔料である。
【0063】
上記した「自己分散型顔料」とは、具体的には次の条件を満たすものである。まず、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイダイザー、ボールミル等の分散装置を用いて、顔料分散剤を用いずに、水95重量%に対し、顔料5重量%の濃度となるように顔料を水に分散させる。次にこの顔料が分散された分散液をガラス瓶に入れ、一昼夜放置し、その後における上澄みの顔料濃度が初期濃度の98%以上である必要がある。このとき、顔料濃度の測定方法は、特に限定されず、サンプルを乾燥させて固形分を測定する方法や、適当な濃度に希釈して透過率から求める方法のいずれでもよく、他に顔料濃度を正確に求める方法があれば、もちろんその方法によってもよい。
【0064】
上記「自己分散型顔料」は、通常の顔料に、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理または酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより製造することができる。このような表面処理を行うことにより、水に対する可溶化基を通常の顔料より多く含むことになり、顔料分散剤を用いなくともインク中での良好な分散が可能となる。
【0065】
表面改質処理を施される通常の顔料としては、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上コロンビアンDカーボン社製);Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black PearlsL、Monarch700、Monarch800、Monarch880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color BlackFW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex V、Printex140U、Printex140V、Special Black6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4(以上デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製);C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.PigmentBlue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48、C.I.Pigment Red48:1、C.I.Pigment Red 57、C.I.Pigment Red 112、C.I.PigmentRed 122、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 146、C.I.Pigment Red 168、C.I.Pigment Red 184、C.I.Pigment Red、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。また、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を用いてもよい。
【0066】
また、「自己分散型顔料」として、市販のものをそのまま用いることができる。このような市販の顔料の例としては、キャボット社製のcab−o−jet−200、cab−o−jet−300、IJX−55、IJX−164、IJX−253、IJX−266、及びIJX−273;オリエント化学社製のMicrojet black CW−1;日本触媒社により販売されている顔料;等が挙げられる。
【0067】
「自己分散型顔料」に含まれる水に対する可溶化基は、ノニオン性、カチオン性、アニオン性のいずれであってもよいが、主にスルホン基、カルボキシル基、水酸基、リン酸基等が望ましい。スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基の場合には、そのまま遊離酸の状態でも用いることができるが、塩を形成しても構わない。塩を形成している場合には、酸の対イオンは、一般的にLi、Na、K、NH4、及び有機アミンであることが好ましい。
【0068】
上記顔料の含有量は、全インク質量に対し、0.1〜15質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜10質量の範囲であることがより好ましく、1.0〜8.0質量%の範囲であることがされに好ましい。顔料の含有量が15質量%を越えると、プリントヘッドのノズル先端での目詰まりが生じ易くなり、0.1質量%未満では十分な画像濃度が得られない場合がある。
【0069】
前記顔料は、精製品を使用することが望ましい。不純物は、例えば、水洗浄や、限外濾過膜法、イオン交換処理、活性炭、ゼオライト等による吸着等の方法で除去することができる。精製法は特に限定されるわけではないが、インク中において色材の不純物に由来する無機物の濃度は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。
【0070】
色材として水溶性色材、すなわち染料を用いる場合は、公知のもの、あるいは新規に合成したものを用いることができる。中でも、鮮やかな色彩の得られる、直接染料あるいは酸性染料が好ましい。具体的には次のようなものが挙げられる青色染料としては、C.I.ダイレクトブルー−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−142、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236および−287、また、C.I.アシッドブルー−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−90、−102、−104、−111、−185および−254が挙げられる。
【0071】
赤色染料としては、C.I.ダイレクトレッド−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−1、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110および−189、また、C.I.アシッドレッド−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18−21、−26、−35、−37、−249および−257が挙げられる。
【0072】
黄色染料としては、C.I.ダイレクトイエロー−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−86、−87、−88、−135、−142および−144、また、C.I.アシッドイエロー−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76および−79等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0073】
また、直接染料あるいは酸性染料以外にも、カチオン性染料を用いることができ、例えば、C.I.ベーシックイエロー−1、−11、−13、−19、−25、−33、−36;C.I.ベーシックレッド−1、−2、−9、−12、−13、−38、−39、−92;C.I.ベーシックブルー−1、−3、−5、−9、−19、C.I.−24、−25、26、28等があげられる。
【0074】
これらの含有量はインク質量に対し、合計で0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは0.5質量%以上8質量以下%、より好ましくは0.8質量%以上6質量%以下である。10質量%より多く含有させるとプリントヘッド先端での目詰まりが発生しやすく、また0.1質量%より少ないと十分な画像濃度を得ることができない場合がある。
【0075】
前記水溶性有機溶媒は公知のものを使用することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールエーテル類;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類;あるいは、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルオキシド等の含硫黄溶媒;炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を使用することができる。
【0076】
前記界面活性剤はインクの表面張力を調整するために添加される。界面活性剤としては、顔料の分散状態に影響を及ぼしにくい、ノニオン及びアニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。
【0077】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び高級アルキルスルホコハク酸塩等を使用することができる。
【0078】
また両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を使用することができる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッソ系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタント等も使用することができる。
【0079】
−インクの製造方法−
以上に説明したようなインクは、水溶液に所定量の色材を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。
【0080】
分散機は、市販のものを用いることができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、無機不純物の混入を防ぐためには、分散媒体を使用しない分散方法を用いることが好ましく、その場合には、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等を使用することが好ましい。後述する本発明の実施例においては、超音波ホモジナイザーにより分散を行った。
【0081】
自己分散型顔料を用いたインクは、例えば、顔料に対して表面改質処理を行ない、得られた顔料を水に添加し、十分攪拌した後、必要に応じて上記と同様の分散機による分散を行ない、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて攪拌、混合、濾過を行なうことにより得ることができる。
【0082】
−インクの諸物性−
インクのpHは、3〜11とすることが好ましく、特に4.5〜9.5とすることが好ましい。また、顔料表面にアニオン性遊離基を持つインクにおいては、インクのpHは6〜11とすることが好ましく、6〜9.5とすることがより好ましく、7.5〜9.0とすることがさらに好ましい。一方、顔料表面にカチオン性遊離基を持つインクにおいて、インクのpHは4.5〜8.0とすることが好ましく、4.5〜7.0とすることがより好ましい。
【0083】
インクの表面張力は、主に前記界面活性剤の添加量により調整することができ、25〜37mN/mの範囲内に調整することが好ましい。表面張力が25mN/mを下回ると、記録用紙へのインク浸透性が速すぎて裏写り濃度が高くなり、両面印字適性が低下する場合がある。また37mN/mより大きいと記録用紙へのインク浸透性が遅くなるため、乾燥性が悪化し、高速印字に対応できなくなり生産性が低下する場合がある。
【0084】
前記インクジェット記録方法は、公知のインクジェット装置であれば、いずれのインクジェット記録方式を用いたものであっても良好な印字品質を得ることができる。さらに、印字中または印字の前後に記録用紙等の加熱手段を設け、記録用紙及びインクを50℃から200℃の温度で加熱し、インクの吸収及び定着を促進する機能を持った方式に対しても、本発明のインクジェット記録方法を適用することができる。
【0085】
次に、インクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の一例について説明する。この例はいわゆるマルチパス方式と呼ばれるもので、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査することによって画像を形成するものである。
【0086】
ノズルからインクを吐出する方式は、まず、ノズル内に備えられたヒータに通電加熱することによってノズル内のインクを発泡させ、その圧力によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方式がある。また、圧電素子に通電することにより該素子を物理的に変形させて、その変形によって生ずる力を利用してノズルからインクを吐出する方式もある。この方式では、圧電素子にピエゾ素子を使用したものが代表的である。本発明のインクジェット記録方法において用いられるインクジェット記録装置においては、ノズルからインクを吐出する方式は上記いずれの方式であってもよく、またこれらの方式に限定されるものではない。この点は以下同様である。
【0087】
ノズルは、ヘッドキャリッジの主走査方向と略直角方向に配置される。具体的には1インチ当たり800個の密度で一列に配置することができる。ノズルの個数及び密度は任意である。また、一列に配列するのみならず、千鳥状に配置することもできる。
【0088】
記録ヘッド上部にはシアン、マゼンタ、イエロー及びブラック各色の、本発明に用いるインクを収納したインクタンクが、それぞれの記録ヘッドに対して一体的に取り付けられている。該インクタンクに収納されているインクは、それぞれの色に対応する記録ヘッドに供給される。なお、インクタンクとヘッドとは一体的に形成されていてもよい。しかし、この方式に限らず、例えばインクタンクを記録ヘッドと別個に配置し、インク供給チューブを介してインクを記録ヘッドに供給する方式であってもよい。
【0089】
さらに、これらの各記録ヘッドには、信号ケーブルが接続されている。この信号ケーブルは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について、画素処理部で処理された後の画像情報を、各記録ヘッドに伝達する。
【0090】
上記記録ヘッドは、ヘッドキャリッジに固定されている。このヘッドキャリッジは、ガイドロッド及びキャリッジガイドに沿って主走査方向に摺動自在に取り付けられている。そして駆動モータを所定のタイミングで回転駆動することによって、タイミングベルトを介してヘッドキャリッジを主走査方向にそって往復駆動させることができる。
【0091】
なお、ヘッドキャリッジ下方にはプラテンが固定されており、紙送り用の搬送ローラによって、このプラテン上に、本発明に用いる記録用紙が所定のタイミングで搬送される。当該プラテンは、例えばプラスチックの成形材等で構成することができる。
【0092】
このようにして、本発明の製造方法により作製された記録用紙に対して、記述したようなインクを使用して印字することができる。なお、上記マルチパス方式の例では、四個のヘッドを備えた例について説明した。しかし本発明のインクジェット記録方法をマルチパス方式に適用できる範囲はこの例に限られるものではない。ブラックヘッドとカラーヘッドとの計二つのヘッドを備えて、このうちカラーヘッドは、ノズルをその並び方向に分割し、分割したそれぞれの領域に所定の色を割り当ててあるようなものであってもよい。
【0093】
印字ヘッド走査速度とは、印字ヘッドが記録用紙排出方向に対して垂直に走行する、いわゆる上記マルチパス方式において、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査して印字を行う場合の、記録ヘッドの移動速度をいう。
【0094】
オフィスでのレーザープリンターに匹敵する、印字速度が10ppm(10枚/分)以上の高速印字を行う際には、前記印字ヘッドの走査速度を25cm/秒以上とすることは必至であるが、それによって異なる2色のインクが印字される間隔も狭くなり、色間にじみ(ICB)が発生しやすくなる場合がある。また、インクの乾燥性を高めるために表面張力の低いインクを使用することが必要となり、フェザリング発生や画像濃度低下の原因となり、このような表面張力の低いインクは用紙への浸透性が高いため、印字した文字、画像が裏面から透けて見えやすくなり、両面印字性を損なうことになる場合がある。
【0095】
次に、前記インクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の第二の例について説明する。この例はワンパス方式といわれるもので、このワンパス方式は、記録用紙の幅にほぼ等しい幅を有する記録ヘッドを持ち、記録用紙がヘッドの下方を通過すると印刷が終了するものである。マルチパス方式に比べて同じ走査速度で高い生産性が得られるため、レーザー記録方式以上の高速印字が可能となる。
【0096】
ワンパス方式はマルチパス方式のように、記録ヘッドを複数回走査する必要がないため、10ppm以上に対応する60mm/秒以上の記録用紙搬送速度(記録用紙が記録ヘッド下方を通過する速度)でも、容易に高速印字を行うことができる。しかし、一方で分割印字を行うことができないため、一度に多量のインクを吐出することが必要になる。このため、前記記録用紙を用いない従来のインクジェット記録方法では、用紙変形による搬送不良が発生したり、カックルによるヘッドこすれが発生して画質を損なうことがあった。
【0097】
しかしながら、前記インクジェット記録方法においては、前記マルチパス方式における印字ヘッド走査速度が250mm/秒以上の高速印字、また前記マルチパス方式における印字ヘッドが固定された状態での記録用紙搬送速度が60mm/秒以上の高速印字を行った場合でも、用紙変形量が著しく少なくなるため、用紙搬送を阻害せず、良好な生産性を維持することができる。
【0098】
なお、上記印字ヘッドの走査速度は、「レーザープリンターに匹敵する生産性」という観点から、500mm/秒以上であることが好ましく、1000mm/秒以上であることがより好ましい。また、上記記録用紙の搬送速度は、100mm/秒以上であることが好ましく、210mm/秒以上であることがより好ましい。
【0099】
さらに、前記インクジェット記録方法においては、最大インク打ち込み量が、6〜30ml/mの範囲であることが好ましい。
上記最大インク打ち込み量とは、1色以上のインクを用いてベタ画像を形成する場合に、1回の走査で吐出される単位面積あたりのインク量のことである。
【0100】
前記いずれの方式においても、少ない走査回数でべた画像を形成するのに十分なインクを記録用紙に付与するため、最大インク打ち込み量は6ml/m以上と大きくなってしまう。しかし、このような大きなインク打ち込み量となる高速対応の印字でも、前記インクジェット記録方法を用いれば、カールやカックルの少ないドキュメントを得ることができ、レーザー印字方式と比較しても遜色のない両面印字が可能である。
【0101】
なお、上記最大インク打ち込み量は7〜20ml/m2の範囲であることが好ましく、10〜18ml/m2の範囲であることがより好ましい。
【0102】
以上のように、前記インクジェット記録方法によれば、印字速度が10ppm以上の高速印字を行うインクジェット記録装置においても、カールやカックルのような用紙変形を抑制することができる。さらに、良好な用紙搬送性と高生産性をもってドキュメント作成ができる。
【0103】
(電子写真記録方法)
次に、電子写真記録方法について説明する。電子写真記録方法は、電子写真用トナー(以下、「トナー」と略す場合がある)を用いて、本発明の記録用紙に画像を形成する方法であれば特に限定されない。電子写真記録方法を利用して本発明の記録用紙に画像を形成した場合には、従来の普通紙を用いた場合と同様な品質のドキュメントを得ることが可能である。さらに、前記記録用紙は、パルプ繊維が架橋されているために、従来の普通紙と比べると確実に波打ちの発生を抑制することができる。
【0104】
なお、電子写真記録方法は、具体的には法潜像保持体(感光体)表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を熱定着する定着工程と、を含むものであることが好ましく、必要に応じて公知の他の工程を有していてもよい。
【0105】
また、電子写真記録方法に用いられる画像形成装置も、電子写真方式を利用するものであれば特に限定されない。たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、および、ブラックの4色のトナーを用いる場合には、1つの感光体に、各色のトナーを含む現像剤を順次付与してトナー像を形成する4サイクルの現像方式によるカラー画像形成装置や、各色毎に対応した、潜像形成工程と現像工程とを少なくとも実施可能な現像ユニットを4つ備えたカラー画像形成装置(所謂タンデム機)等が利用できる。
【0106】
画像形成に際して用いられるトナーも公知のものであれば特に限定されないが、例えば、高精度な画像が得られる点で、球状で、粒度分布の小さいトナーを用いたり、省エネルギーに対応するために、低温定着が可能な融点の低い結着樹脂を含むトナーを用いたりすることができる。
【0107】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、実施例および比較例において使用する記録用紙およびインクについて説明した後、これらを組み合わせて印字した際の各種評価結果について説明する。
【0108】
<記録用紙1>
濾水度530mlになるよう叩解調整した広葉樹クラフトパルプをパルプ濃度10%になるよう調整した。
次に亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)90.44gに2.85lのイオン交換水を加えて溶解させ、5Nの酢酸1lを加えてさらにイオン交換水を加え、4.1lの水溶液を調整した。この溶液中に先に調整したパルプを1kg加えて、20℃、24時間酸化処理した後冷水洗浄し、カルボキシル基量が6.7meq/100gであるパルプを得た。
【0109】
このパルプを再度水分散させ、試薬PAMAMデンドリマーGen4(Aldrich製)を対パルプ30重量部加えた後、0.1N塩酸を用いてスラリーのpHを4.75に調整した。
次に、水溶性1−エチル−1,3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を対パルプ15重量部加えて4時間攪拌した。その後冷水洗浄を行い、副生成物であるアミド誘導体を除去した後、パルプ濃度0.3wt%のパルプスラリーを調整し、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸(王子ナショナル(株)製 Fibran−81)を0.1重量部と、カチオン化澱粉(日本エヌエスシー(株)製Cato−304)0.5重量部とを配合し、熊谷理機製実験用配向性抄紙機により、80メッシュワイヤーを用い、抄速1000m/min、紙料吐出圧力1.5kg/cm2の条件で抄紙した。
【0110】
その後、抄紙により得られたシートを熊谷理機製角型シートマシン用プレスにより、10kg/cm2で3分間圧搾した後、熊谷理機製KRK回転型乾燥機で110℃、0.5m/min条件で乾燥し、坪量70g/m2の記録用紙を得た。
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維を一部採取し、トリフルオロ酢酸を用いて酸加水分解し、13C−NMRにてジグルコン酸アミドのピークが発生したことを確認した。
一方、記録用紙の作製に用いた広葉樹クラフトパルプからは、ジグルコン酸アミドに起因するピークは確認できなかった。
【0111】
<記録用紙2>
濾水度530mlになるよう叩解調整した針葉樹サルファイトパルプを用いた以外は記録用紙1と同様の酸化処理を行い、カルボキシル基量が7.8meq/100gであるパルプを得た。引き続き、記録用紙1と同様の処理を行い、基材を得た。
その後、この基材の両面に、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースA)5重量部、酢酸カルシウム5重量部、水90重量部からなる塗工液をワイヤーバーにて塗工し、坪量72g/m2の記録用紙を得た。
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維について、記録用紙1と同様にして13C−NMRにより分析したところジグルコン酸アミドのピークを確認した。
一方、記録用紙の作製に用いた針葉樹サルファイトパルプからは、ジグルコン酸アミドに起因するピークは確認できなかった。
【0112】
<記録用紙3>
中質古紙パルプを用いて離解した以外は記録用紙1と同様の酸化処理を行い、カルボキシル基量が8.5meq/100gであるパルプを得た。引き続き記録用紙1と同様の処理を行い、坪量70g/m2の記録用紙を得た。
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維について、記録用紙1と同様にして13C−NMRにより分析したところジグルコン酸アミドのピークを確認した。
一方、記録用紙の作製に用いた中質古紙パルプからは、ジグルコン酸アミドに起因するピークは確認できなかった。
【0113】
<記録用紙4>
PAMAMデンドリマーの代わりにポリアミンアミドエピハロヒドリン樹脂(星光化学(株)製 DA108)を用いた以外は記録用紙1と同様の処理を行い、坪量70g/m2の記録用紙を得た。
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維について、記録用紙1と同様にして13C−NMRにより分析したところジグルコン酸アミドのピークを確認した。
【0114】
<記録用紙5>
PAMAMデンドリマー及び水溶性1−エチル−1,3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を加えないこと以外は記録用紙1と同様の処理を行い、坪量70g/m2の記録用紙を得た。
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維について、記録用紙1と同様にして13C−NMRにより分析したところ、記録用紙の作製に用いた元のパルプ原料と比較して、ジグルコン酸アミド等の新たなアミド結合のピークの生成は確認できなかった。
【0115】
<記録用紙6>
カラーPPC用紙 CLC−ペーパー(キャノン販売(株)製)を記録用紙6とした。坪量は81.6g/m2であった。
【0116】
<記録用紙7>
蒸解時にアンソラキノン添加してクラフト蒸解を行い、オゾン処理によって漂白を施した広葉樹クラフトパルプを濾水度530mlになるよう叩解調整し、続いてパルプ濃度10%になるよう調整した。
次に亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)90.44gに2.85lのイオン交換水を加えて溶解させ、5Nの酢酸1lを加えてさらにイオン交換水を加え、4.1lの水溶液を調整した。この溶液中に先に調整したパルプを1kg加えて、20℃、72時間酸化処理した後冷水洗浄し、カルボキシル基量が14.7meq/100gであるパルプを得た。引き続き、記録用紙1と同様の処理を行い、基材を得た。
その後、この基材の両面に、カチオン化澱粉(王子コーンスターチ(株)製 エースK)5重量部、酢酸カルシウム5重量部、水90重量部からなる塗工液をワイヤーバーにて塗工し、坪量72g/m2の記録用紙を得た。
【0117】
このようにして作製された記録用紙のパルプ繊維について、記録用紙1と同様にして13C−NMRにより分析したところジグルコン酸アミドのピークを確認した。
一方、記録用紙の作製に用いた広葉樹クラフトパルプからは、ジグルコン酸アミドに起因するピークは確認できなかった。
【0118】
<インク1>
インク1の作製には、水溶性高分子としてスチレン/メタクリル酸共重合体のNa塩(モノマー比:50/50、質量平均分子量:7000)を顔料分散させるための分散剤として使用した。
まず、上記水溶性高分子の水溶液(固形分10重量%)45重量部とイオン交換水210重量部とを混合攪拌しながら、カーボンブラックBPL(CABOT社製)45重量部を加え30分間攪拌した。その後、マイクロフルイダイザーで10000psi/30path分散した。分散後、1NのNaOH水溶液でpH9に調整した。さらに、遠心分離装置で遠心分離(8000rpm、15分)を実施した後、2μmメンブランフィルターを通過させた。得られた分散液を純水で希釈して固形分10重量%の顔料分散液を得た。
【0119】
・エチレングリコール:12重量部
・エタノール:4重量部
・尿素:5重量部
・ラウリル硫酸エステルナトリウム塩:0.1重量部
次に、上記組成の混合物に脱イオン水を加え合計50重量部とし、30分間攪拌した。この後、前記顔料分散液を50重量部を添加し、さらに攪拌を30分間続けた。これを2μmのメンブランフィルターを通過させてインク1を作製した。このインクの表面張力は35mN/m、粘度は2.6mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-3Pa、インク1中の粒径500nm以上の粗粒個数は11.2×104個であった。
【0120】
<インク2>
・顔料(C.I.Pigment Blue 15:3):4重量部
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5重量部
・スルホラン:5重量部
・界面活性剤(ノニオンE−215:日本油脂社製):0.03重量部
上記組成の混合物に脱イオン水を加え全量を100重量部とし、30分間攪拌した。この後、2μmのメンブランフィルターを通過させてインク2を得た。このインク物性は、表面張力が30mN/m、粘度が2.8mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において2.5×10-3Pa、インク2中の粒径500nm以上の粗粒個数は0.08×104個であった。
【0121】
<インク3>
・顔料(C.I.Pigment Red 122):4重量部
・ジエチレングリコール:10重量部
・プロピレングリコール:5重量部
・チオジエタノール:5重量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.03重量部
上記組成の混合物に脱イオン水を加え全量を100重量部とし、30分間攪拌した。この後、2μmのメンブランフィルターを通過させインク3を得た。このインク物性は、表面張力が28mN/m、粘度が2.8mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Pa、インク3中の粒径500nm以上の粗粒個数は0.03×104個であった。
【0122】
<インク4>
・染料(ダイレクトレッド227、10%水溶液):20重量部
・エチレングリコール:25重量部
・尿素:5重量部
・界面活性剤(サーフィノール465):2重量部
上記組成と脱イオン水で全量を100重量部とし、30分間攪拌した。この後、1μmのメンブランフィルターを通過させインク4を得た。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Paであった。
【0123】
(評価)
得られた記録用紙およびインクを表1に示すように組合せて、インクジェット記録装置にて印字テストを行い、各種評価を行った。なお、表1中の「用紙」の欄の「No」の欄が、各々の実施例/比較例で用いた記録用紙を意味し、「インク」の欄の「No」の欄が、各々の実施例/比較例で用いたインクを意味する。
【0124】
【表1】
Figure 0004292875
【0125】
−インク物性の測定−
また、表1中に示すインクの表面張力はウイルヘルミー型表面張力計を用いて23℃、55%RHの環境下にて測定した。粘度はネオマット115(Contraves社製)を用い、被測定インクを測定容器に入れ、所定の方法で装置に装着して測定した。測定温度は23℃、せん断速度は1400s-1とした。
【0126】
−印字条件−
印字テストに用いた熱インクジェット記録装置としては、富士ゼロックス(株)製の WorkCentreB900 を使用した。印字は、23℃、55%RHの環境において行った。また、ノズルピッチは800dpi、256ノズル、ドロップ量約15pl、最大インク打ち込み量約15ml/m2、印字モードは片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピード約1100mm/秒として実施した。このような条件で各種評価を実施した結果を表2に示す。
【0127】
−画像形成条件−
上記のインクジェット記録装置を用いた印字テスト以外に、電子写真方式の画像形成装置(Docu Print C2220、富士ゼロックス社製)を用いて画像形成テストを行った。画像形成テストはいずれの実施例および比較例においても全て同一の条件で実施し、この際に各種評価を行なった結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
Figure 0004292875
【0129】
なお、表2中に示す各種評価は以下のように実施した。
1)インクジェット方式での評価
−印字直後カール評価−
はがきサイズの記録紙に余白を5mm取り、単色 100%ベタ画像を印字し、印字面とは反対面に発生する印字直後ハンギングカール発生量を測定した。測定値を曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:20m-1未満
○:20m-1以上35m-1未満
△:35m-1以上50m-1未満
×:50m-1以上
【0130】
−印字直後カックル評価−
はがきサイズの記録紙に2cm×2cmの単色100%ベタ画像をはがきの中央に印字し、印字直後に発生する波打ちの最大高さをレーザー変位計にて測定した。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:1mm未満
○:1mm以上2mm未満
△:2mm以上3mm未満
×:3mm以上
【0131】
−乾燥後カール評価−
はがきサイズの記録紙に余白を5mm取り、単色100%ベタ画像を印字し、23℃、50%RHの環境に印字面を上に平置きに放置し、印字後100時間放置した後に発生するハンギングカール発生量を測定した。測定値をカール曲率に換算し評価を行った。評価基準は以下の通りで、◎、○が許容レベルである。
◎:20m-1未満
○:20m-1以上35m-1未満
△:35m-1以上50m-1未満
×:50m-1以上
【0132】
2)電子写真方式での評価
−波打ち評価▲1▼−
葉書サイズの記録紙を28℃、85%RHの環境に2時間放置した後、この記録紙端部の波打ち高さをレーザー変位計で測定した。評価基準は以下のとおりで◎、〇を許容範囲である。
◎:2mm未満
○:2mm以上5mm未満
×:5mm以上10mm未満
【0133】
−波打ち評価▲2▼−
波打ち評価▲1▼での測定と同時に、記録紙端部(長手方向)の波打ちの山の数をカウントした。評価基準は以下のとおりで、◎、〇が許容範囲である。
◎:3個未満
○:3〜4個
×:5個以上
【0134】
−印字ディフェクト−
波うち評価▲1▼で用いた記録紙を用いて、DocuCentreColor2220で50%濃度のグレー画像を全面に印字して波うちによる画像部の抜けを確認した。画像部の抜けが発生するものは実用に適さないと判断した。
【0135】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、インクジェット記録方式により印字した場合に、印字直後に発生するカールおよびカックルを抑制することにより両面印字が可能であり、放置乾燥後に発生するカールおよびカックルを抑制することができ、また、電子写真方式による画像形成にも利用可能な記録用紙、これを用いた記録方法及びその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 反応性基を含むパルプ繊維を少なくとも用いて、抄紙する抄紙工程を少なくとも経て作製される基材を含む記録用紙を作製する記録用紙製造方法において、1分子中に少なくとも6つ以上のアミノ基を有するアミノ基含有水溶性物質である架橋剤を用いて、前記反応性基を含むパルプ繊維を、前記反応性基を介して共有結合により架橋する架橋工程を少なくとも経た後に、前記抄紙工程を行なうことを特徴とする記録用紙製造方法。
  2. 前記反応性基が、少なくともカルボキシル基を含むことを特徴とする請求項1に記載の記録用紙製造方法。
  3. 前記架橋工程前のパルプ繊維に含まれる前記カルボキシル基の存在量が、パルプ繊維100g当り5〜15meqの範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の記録用紙製造方法。
  4. パルプ繊維を酸化処理することにより、前記パルプ繊維に反応性基を形成する酸化処理工程を少なくとも経た後に、前記架橋工程を行なうことを特徴とする請求項1に記載の記録用紙製造方法。
  5. 前記酸化処理が、亜塩素酸処理であることを特徴とする請求項4に記載の記録用紙製造方法。
  6. 前記抄紙工程を少なくとも経て作製された基材の両面に、表面サイズ剤を含む溶液を塗布することを特徴とする請求項1に記載の記録用紙製造方法。
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