JP2006027130A - 記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法 - Google Patents

記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法 Download PDF

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清 細井
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Abstract

【課題】高速印字性、インクの乾燥性、画像濃度に優れ、色間にじみ及びフェザリングが少なく、かつ裏写り濃度が低い、高生産性のインクジェット用記録用紙を提供する。
【解決手段】パルプ繊維と填料とを主体に構成される原紙の一方の面に、一種以上のカチオン性物質及び一種以上の水溶性高分子を含有する塗工液を塗工してなる記録用紙で、前記塗工液の原紙の表面への塗工量は、固形分量で0.1〜5g/m2であり、かつ、前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量は、0.01〜0.40gであり、更に、前記熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを1つ以上有することを特徴とする記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法に関するものであり、詳細には、表面に顔料を含む塗工層を持たない、いわゆる普通紙と呼ばれる記録用紙、及びそれを用いるインクジェット方式の画像記録方法に関する。
インクジェット記録方式による画像記録はカラー化が容易であり、また、消費エネルギーが少なく、記録時の騒音も低く、さらにプリンターの製造コストを低く抑えることができるという特徴を有する。特に水性インクを使用したプリンターであれば、更に環境負荷が低減される。このような特徴を有するため、近年では広くオフィスでも使用され、レーザープリンターや複写機などの電子写真記録方式の機器と併用される機会も増え、更にインクの色材も染料から顔料へと幅を広げてきている。
インクジェット記録方式による画像記録では、いわゆる普通紙、インクジェット用コート紙及び光沢紙、白色フィルム、透明フィルムといった被記録媒体(記録用紙)が用いられる。特に、オフィス等でレーザープリンターや複写機と併用される場合には、これらの電子写真記録方式の機器を用いた画像形成も容易で、価格が安く入手の容易な普通紙に印刷する機会が最も多い。したがって、インクジェット記録方式では普通紙に対する記録適性を向上させることが極めて重要である。しかしながら、これまでのインクジェット記録方式では、普通紙に対して印刷する際に次のような問題点があった。
(1)紙の繊維に沿ってインクが流れ出す、いわゆるフェザリングという現象が発生する。このフェザリングによって、特に文字画質を著しく損なう。
(2)いわゆる普通紙は、一般に表面にサイズ(撥水性)を効かせている。このためインクの吸収が遅くなり、異なる色同士が接する部分において、いわゆる色間にじみ(Inter Color Breed:ICB)が発生する。
(3)紙表面に付与されたサイズ(撥水性)によりインクの吸収性が遅いため、印字された文書を重ねた場合、印字面と接する部分が汚れてしまう。
(4)インク中の色材が普通紙の表面に留まりにくく、特にカラーの発色性が十分ではない。
(5)インク中の色材が用紙内部まで浸透するため、印字画像が用紙裏面(印字された面と反対側の面)から透けて見えてしまい、両面印字ができない。
特に、近年のインクジェットプリンターのオフィス市場への進出に伴い、インクジェットプリンターもレーザープリンター並みの高速化を目指しているが、インク浸透性(乾燥性)の向上と、画質向上・両面印字適性との両立は大変困難であった。
これらの問題点を改善するために、カチオンポリマー、多価金属塩などのカチオン性物質で表面処理した用紙を用いて、インク成分の凝集・沈降を促し、画質改善する方法が提案されており、中でも特に、インク中にカチオン性物質と反応するなどして、インクを高粘度化させる物質を添加して、インク着弾時に色材の不均一な流れ出しを抑制する方法は、画質向上には有用である。しかしながら、レーザープリンター並みの高速化を目指すインクジェットプリンターにおいては、インクの浸透性(乾燥性)を向上させることは最優先事項であるため、インク浸透を促進しつつインク着弾から浸透完了までの極短時間でインク成分を凝集・沈降させることには必ずしも成功しなかった(例えば、特許文献1〜6参照)。
また、特に染料インクに対して、インク染料と非イオン性の分子量1000以下の有機化合物と、分子量2000以上の高分子物質やポリアリルアミンとを含有する用紙を用いる方法が提案されているが、有機化合物の場合、分子量にかかわらず比重が小さく、インク中の染料に対してのみならず顔料に対しても、不溶化後の速やかな沈降を促すことができず、文字の滲み出し(フェザリング)や色間にじみの抑制、高速印字に対応できる乾燥性を十分に得られない(例えば、特許文献7及び8参照)。
更に、乳酸アルミニウムを含有させ、分子量2000以上のカチオン性高分子を含有させる記録用紙を用いる方法も提案されているが、アルミニウムイオンは水和時間が1秒以上と長くなることもあり、1秒未満で浸透が完了してしまうような、高速印字においては効果は発揮されない(例えば、特許文献9参照)。
更にまた、カチオン性樹脂の付着量を0.2〜2.0g/m2としてブリストー法による吸収係数が1.07ml/m2・ms1/2以上とする方法が提案されているが、高速印字においては極短時間でのインク浸透性も重要であるため、浸透直線の傾きを示す吸収係数だけを指標とすることは適切ではない。更に、ブリストー法では高速印字において重要視される短時間でのインク浸透性を正確に把握することは難しい(例えば、特許文献10参照)。
一方、前記特許文献4では、金属塩をカチオンとして使用し、冷水抽出物中の該金属イオン濃度を規定する方法も提案されているが、染料インクに対しては、金属塩による画質向上効果は不十分であり改善が求められていた。
特開平10−166713号公報 特開平7−257017号公報 特開平8−216498号公報 特開平10−100531号公報 特開平9−176995号公報 特開2002−96547号公報 特開平7−266689号公報 特開平7−257017号公報 特開平8−25794号公報 特開平9−202042号公報
本発明は、前記問題点を解決し、且つレーザープリンターに匹敵する高速印字でのインクジェット記録方式の画像記録に用いられる記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法を提供することを課題とする。すなわち、本発明は、インクジェット記録方式の画像記録において、インク色材の種類を問わず高速印字に適用でき、インクの乾燥が速く、得られる画像濃度が高く、色間にじみ及びフェザリングが少なく、かつ裏写り濃度が低い、高生産性のインクジェット記録方式の画像記録が可能な記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題について鋭意研究した結果、以下の本発明によりこれらの課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、
<1> パルプ繊維と填料とを主体に構成される原紙の少なくとも一方の面に、一種以上のカチオン性物質及び一種以上の水溶性高分子を含有する塗工液を塗工してなる記録用紙であって、前記塗工液の原紙の表面への塗工量は、固形分量で0.1〜5g/m2であり、かつ、前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量は、0.01〜0.40gであり、更に、前記熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有することを特徴とする記録用紙である。
<2> 記録用紙の塗工液が塗工されている面に対して、水及び/又は水溶性の有機溶媒と親水性色材とを少なくとも含有する一種以上のインクの液滴をノズルより吐出させて画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、前記記録用紙は、<1>に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法である。
<3> 前記水溶性高分子の少なくとも一種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、かつ、前記インクの少なくとも一種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であり、更に、前記ノズルを有する記録ヘッドの走査速度を50cm/秒以上、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2の条件で画像を記録することを特徴とする<2>に記載の画像記録方法である。
<4> 前記水溶性高分子の少なくとも一種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、かつ、前記インクの少なくとも一種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であり、更に、前記ノズルを有する記録ヘッドが固定された状態での前記記録用紙の搬送速度を12cm/秒以上、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2の条件で画像を記録することを特徴とする<2>に記載の画像記録方法である。
本発明は、インクジェット記録方式の画像記録において、インク色材の種類を問わず高速印字に適用でき、インクの乾燥が速く、得られる画像濃度が高く、色間にじみ及びフェザリングが少なく、かつ裏写り濃度が低い、高生産性のインクジェット記録方式の画像記録が可能な記録用紙、及びそれを用いる画像記録方法を提供することができる。
<記録用紙>
本発明の記録用紙は、パルプ繊維と填料とを主体に構成される原紙の少なくとも一方の面に、一種以上のカチオン性物質及び一種以上の水溶性高分子を含有する塗工液を塗工してなる記録用紙であって、前記塗工液の原紙の表面への塗工量は、固形分量で0.1〜5g/m2であり、かつ、前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量は、0.01〜0.40gであり、更に、前記熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有することを特徴とする。ここで、前記カチオン性物質とは、水と接触した際にカチオン性を示す物質を指す。
また、本発明の記録用紙は、前記塗工液が原紙の少なくとも1方の面へ塗工されていることを必須とするが、前記塗工液が原紙の両面に塗工されていることが好ましい。一方、前記塗工量は、原紙の両面への塗工液の塗工量の合計をいう。詳しくは原紙の少なくとも一方の面のみに塗工液が塗工されている場合は、該塗工液が塗工されている面の塗工量を前記原紙の表面への塗工量とし、前記塗工液が原紙の両面に塗工されている場合は、両面への塗工量の合計を前記原紙の表面への塗工量とする。
尚、本発明の記録用紙における塗工液は、実質的に顔料を含まない塗工液である。ここで、「実質的に顔料を含まない」とは、塗工液中の顔料の配合量が20質量%以下であることを指す。すなわち、表面処理された本発明の記録用紙が、いわゆるコート紙のような表面に顔料を含む塗工層を有していない普通紙であることを意味する。
記録用紙表面に顔料を含む塗工層を有するコート紙は、一般オフィスにおける電子写真用及びインクジェット用記録用紙としては、コストが高くなる、搬送部材の傷や紙粉が発生してしまうという問題がある。
(原紙)
本発明の記録用紙における原紙は、パルプ繊維と填量とを主体に含む。該パルプ繊維としては、化学パルプ、具体的には広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の他、木材及び綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプ等が好ましく挙げられる。
また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及びチップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプも用いることができ、中でも高収率が特徴であるケミサーモメカニカルパルプ等も好ましく用いることができる。これらはバージンパルプのみで使用してもよいし、必要に応じて古紙パルプを加えてもよい。
特に前記バージンパルプは、塩素ガスを使用せず二酸化塩素を使用する漂白方法(Elementally Chrorine Free:ECF)や、塩素化合物を一切使用せずにオゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(Total Chlorine Free:TCF)で漂白処理されたものであることが好ましい。
また、前記古紙パルプの原料としては、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙などの上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙;を配合することができる。
本発明に用いられる原紙において使用する古紙パルプは、前記古紙原料を、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の少なくとも一方で処理して得られたものであることが好ましい。また、より白色度の高い記録用紙を得るという観点から、前記漂白処理によって得られた古紙パルプの配合率を50〜100質量%の範囲とすることが好ましい。さらに資源の再利用という観点から、前記古紙パルプの配合率を70〜100質量%の範囲とすることがより好ましい。
前記オゾン漂白処理は、上質紙に通常含まれている蛍光染料等を分解する作用があり、前記過酸化水素漂白処理は、脱墨処理時に使用されるアルカリによる黄変を防ぐ作用がある。
前記古紙パルプは、オゾン漂白処理又は過酸化水素漂白処理の二つの処理を組み合わせることによって、古紙の脱墨を容易にするだけでなくパルプの白色度もより向上させることができる。また、パルプ中の残留塩素化合物を分解・除去する作用もあるため、塩素漂白されたパルプを使用した古紙の有機ハロゲン化合物含有量低減において多大な効果を得ることができ好ましい。
一方、前記填料は、パルプ繊維に加えて、不透明度、白さ、及び表面性を調整するためのもので、記録用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない填料を使用することが好ましい。
前記填料としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の無機顔料、及び、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、キトサン粒子、セルロース粒子、ポリアミノ酸粒子、尿素樹脂等の有機顔料を挙げることができる。また、原紙に古紙パルプを配合する場合には、古紙パルプ原料に含まれる灰分を予め推定して添加量を調整する必要がある。
前記填量の配合量は、特に制限されないが、前記パルプ繊維100質量部に対して、1〜80質量部の範囲であることが好ましく、1〜50質量部の範囲であることがより好ましい。
前記パルプ繊維を抄紙して原紙を得る際には、得られた原紙の繊維配向比が1.0〜1.55の範囲であることが好ましく、1.0〜1.45の範囲であることがより好ましく、1.0〜1.35の範囲であることが更に好ましい。前記繊維配向比が1.0〜1.55の範囲であると、インクジェット方式で印刷した場合に、印刷後の記録用紙のカールを低減することができる。
なお、前記繊維配向比とは、超音波伝播速度法による繊維配向比であり、記録用紙のMD方向(抄紙機の進行方向)の超音波伝播速度を、記録用紙のCD方向(抄紙機の進行方向に対して垂直に交わる方向)の超音波伝播速度で除した値を示すもので、下記式(1)で表されるものである。
式(1)
原紙の超音波伝播速度法による繊維配向比(T/Y比)
= MD方向超音波伝播速度÷CD方向超音波伝播速度
尚、この超音波伝播速度法による繊維配向比は、SonicSheetTester(野村商事(株)社製)を使用して測定することができる。
(塗工液)
本発明における塗工液は、カチオン性物質と水溶性高分子とを少なくとも含有し、かつ顔料を実質的に含まない液である。
後述するインクジェット方式の画像記録方法に用いるインクの種類を問わず、高浸透性のインクに対して発色性、画像鮮明性を高めるために、筆者らが鋭意検討した結果、インクが記録用紙の表面に着弾し浸透完了するまでの短時間に、インクの不溶化、記録用紙の表面へのインク色材の固定化を達成することにより、得られる画質が向上することを見出した。すなわち、得られる画質を向上させるためには、記録用紙の表面において、インクの着弾により水分を得て速やかに溶出し、インクを不溶化させる成分であるカチオン性物質と、インクを不溶化することにより生成した粒子(不溶化粒子)を記録用紙の表面につなぎとめる高分子成分である水溶性高分子と、を前記原紙の少なくとも1方の面に塗工することが必要である。
特に色材の大きさが小さい染料に対しては、溶出の早い低分子量のカチオン性物質を用いるとすばやく不溶化できるものの、その不溶化粒子は用紙表面に留まることができる大きさには成長しないため発色性に乏しい。したがって、不溶化色材をつなぎとめるための水溶性高分子が重要となる。
ここで、前記水溶性高分子として官能基の露出量が多い構造の高分子を用いると、不溶化粒子をつなぎとめる効果がより向上し好ましい。また、水溶性高分子が過剰に多く塗工されると、用紙表面への成膜効果により、用紙のステキヒトサイズ度(撥水性の指標)が上昇し且つインク吸収性が低下するため、インク乾燥性を損ない高速印字の際に裏面汚れが発生したり、色間にじみが悪化する場合がある。
前記カチオン性物質としては分子量が低くインク着弾時の溶出が早く、比重が大きい点で、金属塩が好ましい。
前記不溶化粒子はカチオン性物質を含有する凝集体となるが、この凝集体の比重が小さい場合インク滴中で用紙表面に向かって沈降する速度が遅くなる場合がある。その場合、インクビヒクルがランダムな方向に浸透していくのに従って、色材がランダムな方向に広がり、細線の滲み出し(フェザリング)が目立って大きくなる。このため、フェザリングを抑制するためには比重が大きい金属塩をカチオン性物質として用いることが好ましい。
前記金属塩としては、2価以上の金属塩が好ましく、より好ましくはカルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、ラジウム塩であり、特に水分と接触した際の水和時間が短い点で、カルシウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
これらの金属塩は分子量が小さく溶出しやすいと同時に、イオン化に際して水和イオンの寿命が短いため、逆イオン性物質であるインク色材を速やかに不溶化及び/又は凝集化することができる。また、比重の大きい物質でもあるため、インク中の色材と形成した色材凝集体の速やかな沈降を促すことができる。特に高速印字を行うインクジェットプリンターにおいては、インクの乾燥性を高めるため高浸透性インクを使用する必要があり、インク色材の不溶化及び/又は凝集化はより速やかに行われ好ましい。
本発明においては、前記カチオン性物質は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
前記水溶性高分子としては、カチオン性、アニオン性、イオン性を示さないノニオン性の何れでも効果を発現する。アニオン性の水溶性高分子を使用する場合、高分子表面と不溶化粒子との間での電気的斥力が大きいものは、凝集体を接着できず画質向上を図ることができない場合がある。
前記水溶性高分子としては、特に限定されないがカチオン性及び/又はノニオン性の高分子を使用することが好ましい。前記水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性セルロース等のセルロース誘導体類;カードラン、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールおよびその誘導体類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアリルアミン等が挙げられ、この中でもカチオン変性セルロース、ポリビニルアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリアリルアミンが好ましい。
また、前記水溶性高分子は、上述の高分子を部分的に含有させて、酸化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉などの澱粉類等の螺旋形高分子と組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、前記水溶性高分子は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用して使用してもよい。
前記水溶性高分子を一種単独で使用する場合は、該水溶性高分子の重量平均分子量が5000〜800000であることが好ましく、5000〜600000であることがより好ましく、7000〜200000であることが更に好ましい。
また、二種以上の水溶性高分子を併用して使用する場合は、少なくとも一種の水溶性高分子が上述の好ましい重量平均分子量の規定を満たすことが好ましく、他の水溶性高分子の重量平均分子量は限定されないが、全ての水溶性高分子の重量平均分子量が上述の好ましい重量平均分子量の規定を満たすことがより好ましい。
前記水溶性高分子の重量平均分子量が5000〜800000であると、インクビヒクルの浸透性を阻害することなく、且つ不溶化した染料凝集体を捕捉することができるため好ましい。
前記カチオン性物質及び水溶性高分子を少なくとも含有する塗工液は、前記カチオン性物質及び水溶性高分子、更に必要に応じてサイズ剤等の他の成分を水等に添加、混合することにより調製する。該添加、混合する方法としては、特に限定されず、ホモジナイザー等既知の攪拌装置であればいずれも使用することができる。
本発明の記録用紙においては、前記調製された塗工液はサイズプレス処理を施す方法により、前記原紙の表面に塗工されることが好ましい。
また、前記塗工液は、サイズプレス処理の他、シムサイズ、ゲートロール、ロールコーター、バーコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、ブレードコーター等の通常使用されている塗工手段によって、原紙の表面に塗布することができる。カチオン性物質、水溶性高分子を含有する塗工液を塗工された原紙は乾燥工程を経て、本発明の記録用紙となる。
本発明において、前記原紙の表面へのカチオン性物質及び水溶性高分子を含有する塗工液の塗工量としては、固形分量で0.1〜5.0g/m2であることが好ましく、0.6〜5.0g/m2であることがより好ましく、1.0〜5.0g/m2であることが更に好ましい。ここで固形分とは、塗工液を調製する際に水等に添加した、前記カチオン性物質及び水溶性高分子、更に必要に応じてサイズ剤等の他の成分のことをいう。
また、前記塗工液が含有するカチオン性物質及び水溶性高分子のそれぞれの塗工量は、
0.1〜4.9g/m2であることが好ましく、0.5〜3.0g/m2であることがより好ましく、1.0〜3.0g/m2であることが更に好ましい。
前記カチオン性物質及び水溶性高分子のそれぞれの塗工量が0.1g/m2より少ないと、インクが着弾した場合に溶出及び/又は軟化する部分が少ないため、低分子カチオンの溶出も高分子での凝集体接着も機能しづらくなってしまい、結果として画質の低下、具体的には濃度低下、フェザリングの悪化、ICBの悪化、色再現性の悪化となる場合がある。一方、前記カチオン性物質及び水溶性高分子のそれぞれの固形分の塗工量が5g/m2を超えると、いわゆる普通紙としての風合いを損なう場合があり、且つ高分子成分の成膜効果が過剰になりいかなる表面張力の低いインクを持ってしてもインクが浸透しない用紙となってしまう場合がある。この結果、前記塗工液の好ましい塗工量は、固形分量で0.1〜5.0g/m2となる。
本発明においては、前記原紙の表面へ塗工液の塗布量が固形分量で0.1〜5.0g/m2であり、かつ前記カチオン性物質及び水溶性高分子のそれぞれの固形分の塗布量がそれぞれ0.1〜5.0g/m2であることがより好ましい。
また、本発明の記録用紙は、塗工液が原紙の表面に塗工された記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量が0.01〜0.40gであり、該熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有することを特徴とする。
前記カチオン性物質及び水溶性高分子をどのようにして制御するかを検討した結果、用紙(塗工液が塗工された原紙)を熱水抽出して得られる固形分中の分子量分布を制御することが有用であると見出した。すなわち、上述のように、熱水抽出したときに得られる固形分量、及び該固形分のGPCによる分子量分布曲線を制御することにより、インクが着弾したときの低分子成分の溶出量、及び高分子成分の溶出量を画質向上において好ましい範囲に制御することができることを見出した。
ここで前記熱水抽出とは、試験片を前記記録用紙(塗工液が塗工された原紙)0.06m2とし、水の量を40mlとする以外は、JIS−P:8133に規定されている熱水抽出法と同様にして試験片を煮沸し、この液を冷却する工程を指し、本発明においては、前記熱水抽出により冷却した液(抽出液)を乾燥・固化して得られた固形分量が0.01〜0.40gとなる。前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量を0.01〜0.40gとすることにより、インクが着弾したときに機能できる物質の量を管理することができる。前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量が、0.01g未満であると、インク着弾時に溶出するカチオン性物質及び染料凝集体を捕捉する高分子成分が不足して十分な画質向上効果が得られず、0.40gを超えると、高湿環境下での用紙表面のべたつきや電気抵抗率の低下を招き、用紙搬送性や電子写真記録への適性を欠いてしまう。
前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量は、0.05〜0.40gであることが好ましく、0.05〜0.30gであることがより好ましい。
前記熱水抽出により得られる固形分としては、前記カチオン性物質及び水溶性高分子の他、用紙抄造時に内添される水溶性高分子である、カチオン変性澱粉やポリアクリルアミドなどが挙げられる。これら前記カチオン性物質及び水溶性高分子等の量を制御することにより、前記熱水抽出したときに得られる固形分量を0.01〜0.40gとすることができる。
また、本発明の記録用紙においては、前記熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有することを特徴とする。
ここで、GPCによる測定の条件は、以下の通りとする。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ GPC−L2(日本ウォーターズ(株) 製)
検出器:示差屈折率検出器 RI8020 感度 32× (東ソー(株)製)
カラム:TSKgel GMPWXL(2)
(S/N F3334,F3335 Φ7.8mm×30cm, 理論段数約14000段/2本 東ソー(株)製)
溶媒:1mM−硝酸ナトリウム水溶液(S/N 903 シグマ・アルドリッチ・ジャパン製)
流速:0.7ml/min
温度:23.0℃
濃度:0.1w/v%
注入量:200μl
分子量校正:ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG) (東ソー(株)製)
また、ピーク高さが0.5以上とは、分子量既知のPEO、PEGを上記の条件で測定し、分子量の対数(logM)と保持時間(T)の関係を3次式で近似したものから分子量分布を得たときに、各分子量での質量を分子量の対数で微分した値を分子量に対してプロットした曲線において、0.5以上の高さの頂点を持つ山状になっていることを意味する。
上述のように、前記熱水抽出したときに得られる固形分のGPCによる分子量分布曲線において、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上のピークを少なくとも1つ以上持ち、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上のピークを少なくとも1つ以上持つようにすることで、インク着弾時の低分子成分の溶出量、及び高分子成分の溶出量を画質向上において好ましい範囲に制御することができる。
本発明の記録用紙のサイズ度は、バインダーの量、種類のみによっても必要な値に調整することができる。しかし、それだけではサイズ度の調整が十分でない場合には、さらに、表面サイズ剤を使用してもよい。このような表面サイズ剤としてはロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤、澱粉、ポリビニルアルコール等を使用することができる。また、抄紙工程中のスラリー調製段階で内添サイズ剤を配合し、予めサイズ度を調整してもよい。尚、既述の水溶性高分子が澱粉、ポリビニルアルコール等の場合、サイズ剤の役割も果たす。
また、記録用紙中のハロゲン量を低減したい場合には、ハロゲンを含まない内添サイズ剤や表面サイズ剤を使用することが好ましい。具体的には、ロジン系サイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、中性サイズ剤等を使用することができる。さらにサイズ剤と繊維の定着剤とを組み合わせて使用することもできる。この場合には、定着剤として硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉等を使用することができる。 また、記録用紙の保存性を向上させる観点からは、中性サイズ剤を使用することが好ましい。サイズ度はサイズ剤の添加量によって調整する。
本発明の記録用紙は、そのステキヒトサイズ度が10〜40秒の範囲であることが好ましく、15〜30秒の範囲であることがより好ましい。前記ステキヒトサイズ度が10秒未満であると、インクジェット記録方式により印刷する場合、フェザリングが悪化し、細かい文字が判別不能になってしまったり、バーコード等を印字した場合に読み取り不可能となったりして実用性を損なう場合がある。一方、前記ステキヒトサイズ度が40秒を超えると、インクの浸透が遅くなるため色間にじみが発生しカラー画質が悪化すると同時に、インク乾燥性が悪化して高速印字時に用紙の裏面汚れが発生する場合がある。
本発明におけるステキヒトサイズ度は、JIS P8111:1998に規定する標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)において測定したJIS P8122:1976にいうステキヒトサイズ度である。
本発明に使用する記録用紙は、インクジェット記録方式により印字する以外に、電子写真記録方式により画像形成するためにも用いることができる。この場合、トナー転写性を良好にし、粒状性を向上させる観点から、記録用紙の平滑度が20〜100秒以下の範囲であることが好ましく、70〜100秒の範囲であることがより好ましい。平滑度が20秒未満であると、粒状性が悪化する場合がある。また、平滑度が100秒を超えると、高い平滑度を得るために製造の際、ウェットの状態で高圧プレスすることとなり、その結果として用紙の不透明性が下がってしまったり、インクジェット印字における印字後カールが大きくなる場合がある。尚、前記平滑度はJIS−P−8119:1998に規定の方法により測定されたものを意味する。
また、本発明の記録用紙は、電子写真記録方式による画像形成に際して、画質として雲状の班(モトル)を改善する観点から、地合い指数が20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましい。この地合い指数が、20を下回ると、電子写真記録方式においてトナーを熱融着させる際に用紙へのトナーの浸透が不均一になり、モトルが発生し画質を損なう場合がある。
ここで、地合い指数とは、M/K Systems,Inc.(MKS社)製の3Dシートアナライザー(M/K950)を使い、そのアナライザーの絞りを直径1.5mmとし、マイクロフォーメーションテスター(MFT)を用いて測定したものである。すなわち、3Dシートアナライザーにおける回転するドラム上にサンプルを取り付け、ドラム軸に取り付けられた光源と、ドラムの外側に光源と対応して取り付けられたフォトディテクターによって、サンプルにおける局部的な坪量差を光量差として測定する。このときの測定対象範囲は、フォトディテクターの入光部に取り付けられる絞りの径で設定される。次にその光量差(偏差)を増幅し、A/D変換し、64の光測定的な坪量階級に分級し、1回のスキャンで1000000個のデータを取り、そのデータ分のヒストグラム度数を得る。そしてそのヒストグラムの最高度数(ピーク値)を64の微小坪量に相当する階級に分級されたもののうち100以上の度数を持つ階級の数で割り、それを1/100にした値が地合い指数として算出される。この地合い指数はその値が大きいほど地合いがよいことを示す。
本発明の記録用紙をインクジェット記録方式のみならず、電子写真方式、更に熱転写用、及びそれらを兼用する被記録媒体として使用するときには、導電剤を配合して記録用紙の表面電気抵抗率を調整することが好ましい。但し、記録用紙中のハロゲン量を低減するために、ハロゲンを含まない導電剤を使用することが好ましい。このような導電剤としては、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、メタケイ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等の無機電解質;スルホン酸塩、硫酸エステル塩、カルボン酸塩、リン酸塩などのアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビット等の非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤;高分子電解質などの導電剤を使用することができる。これら導電剤は低分子カチオンとして使用する金属塩と兼用することも可能である。
前記カチオン性物質及び水溶性高分子を含有する塗工液を塗工する工程において、前記塗工液が原紙中へ浸透するのを制御するための手法として、塗工前の原紙をキャレンダー処理等して原紙透気度を10〜30秒に調整しておくことが好ましい。原紙透気度を高くすることによって、塗工液の内部への浸透を抑制することができるからである。しかしながら、原紙透気度を高めすぎると、インクジェット印字におけるインクの浸透性をも阻害してしまい、色間にじみや乾燥性の悪化を招く場合があるため、これらも考慮の上で原紙透気度を調整することが好ましい。
また、抄紙後のサイズプレス工程を通さず乾燥させた原紙に対して、別途サイズプレス工程を通すことによって、塗工液の原紙への浸透を少なくする手法や塗工液の粘度を調整する方法もある。塗工液の粘度としては液温60℃の状態で、10〜50mPa・s程度であることが原紙への浸透抑制と操業容易性の点で好ましい。原紙の透気度とあわせて調整すると、より塗工液を表面近傍に留めることができる。
本発明の記録用紙は、少なくとも印刷(印字)される側の面(印字面)の表面抵抗率は、JISP8111:1998に規定する標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)において8時間以上放置した後、JIS−K−6911に規定の方法で測定した場合に、1.0×109〜1.0×1011Ωの範囲であることが好ましく、5.0×109〜7.0×1010Ωの範囲であることがより好ましく、5.0×109〜2.0×1010Ωの範囲であることがさらに好ましい。なお、印字面とは、表面に塗工液を塗工した方の面を意味する。
また、本発明の記録用紙の体積電気抵抗率は、JISP8111:1998に規定する標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)において8時間以上放置した後、JIS−K−6911に規定の方法で測定した場合に、1.0×1010〜1.0×1012Ω・cmの範囲であることが好ましく、1.3×1010〜1.6×1011Ω・cmの範囲であることがより好ましく、1.3×1010〜4.3×1010Ω・cmの範囲であることがさらに好ましい。
<画像記録方法>
本発明の画像記録方法は、記録用紙の塗工液が塗工されている面に対して、水及び/又は水溶性の有機溶媒と親水性色材とを少なくとも含有する1種以上のインクの液滴をノズルより吐出させて画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であり、前記記録用紙は、既述の本発明の記録用紙であることを特徴とする。以下、本発明の画像記録方法について説明する。
本発明の画像記録方法に用いられるインクは、水及び/又は水溶性の有機溶媒と親水性色材とを少なくとも含有するものであれば、特に限定されず公知のインクを用いることができる。
ここで、前記親水性色材には、染料の他に、親水基を含む顔料分散剤と併用され、これによりインク中に分散することができる疎水性顔料だけでなく、後述する自己分散型顔料も含まれる。また、水溶性の有機溶媒としては公知の水溶性の有機溶媒を用いることができ、界面活性剤等、必要に応じて各種添加剤等を更に含有することができる。
本発明の画像記録方法に用いられるインクとしては、前記したような親水性の色材を含む。また、多色で印字する場合に用いられるインクセットの例としては、少なくとも黒、シアン、マゼンタ、イエローインクを備えたインクセットが考えられ、これらのインクは、更に水、水溶性の有機溶媒、色材、界面活性剤等を配合し調製されることが好ましい。
前記インクセットにおける各インクは、水、水溶性有機溶媒、色材、界面活性剤、及び水溶性高分子等を含むことが好ましく、色材として顔料を用いる場合には、自己分散型顔料(顔料分散剤なしで水に分散可能な顔料)が用いられる場合が多い。自己分散型顔料は、その表面に水に対する可溶化基を多く含み、インク中に顔料分散剤が存在しなくても、安定に分散することのできる顔料である。
本発明において、自己分散型顔料は、下記要件を満たすものとする。
先ず、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、マイクロフルイダイザー、ボールミル等の分散装置を用いて、顔料分散剤を用いずに、水95質量%に対し、顔料5質量%の濃度となるように顔料を水に分散させる。次にこの顔料が分散された分散液をガラス瓶に入れ、一昼夜放置し、その後における上澄みの顔料濃度が初期濃度の98%以上である顔料を自己分散型顔料とする。このとき、顔料濃度の測定方法は、特に限定されず、サンプルを乾燥させて固形分を測定する方法や、適当な濃度に希釈して透過率から求める方法のいずれでもよく、他に顔料濃度を正確に求める方法があれば、もちろんその方法によってもよい。
前記「自己分散型顔料」は、通常の顔料に、酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理または酸化/還元処理等の表面改質処理を施すことにより製造することができる。このような表面処理を行うことにより、水に対する可溶化基を通常の顔料より多く含むことになり、顔料分散剤を用いなくともインク中での良好な分散が可能となる。
前記表面処理を施される顔料は特に限定されないが、以下の顔料が具体例として挙げられる。
黒色の顔料としては、例えば、Raven7000、Raven5750、Raven5250、Raven5000 ULTRA II、Raven3500、Raven2000、Raven1500、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA II、Raven1170、Raven1255、Raven1080、Raven1060(以上、コロンビアンDカーボン社製);Regal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Black PearlsL、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製);Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black 18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Pritex35、PritexU、Pritex V、Printex 140U、Printex 140V、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ社製);No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学社製)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:1、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−15:34、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
イエロー色の顔料としては、C.I.Pigment Yellow−1、C.I.Pigment Yellow−2、C.I.Pigment Yellow−3、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−73、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−75、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.Pigment Yellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−138、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154、C.I.Pigment Yellow−180等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、本発明においては、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子やチタンブラック等を用いてもよい。
また、「自己分散型顔料」としては、前記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、市販のものをそのまま用いることができる。このような市販の顔料の例としては、キャボット社製のcab−o−jet−200、cab−o−jet−250、cab−o−jet−260、cab−o−jet−270、cab−o−jet−300、IJX−444、JX−164、IJX−253、IJX−266、及びIJX−273;オリエント化学社製のMicrojet black CW−1、Microjet black CW−2等の市販の自己分散顔料等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記「自己分散型顔料」に含まれる水に対する可溶化基は、ノニオン性、カチオン性、アニオン性のいずれであってもよいが、主にスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、リン酸基等が好ましい。スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基の場合には、そのまま遊離酸の状態でも用いることができるが、塩を形成しても構わない。塩を形成している場合には、酸の対イオンは、一般的にLi、Na、K、NH4及び有機アミンであることが好ましい。
前記顔料の含有量は、全インク質量に対し、0.1〜15質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜10質量の範囲であることがより好ましく、1.0〜8.0質量%の範囲であることがされに好ましい。前記顔料の含有量が15質量%を超えると、プリントヘッドのノズル先端での目詰まりが生じ易くなり、0.1質量%未満では十分な画像濃度が得られない場合がある。
前記顔料は、精製品を使用することが好ましい。不純物は、例えば、水洗浄や、限外濾過膜法、イオン交換処理、活性炭、ゼオライト等による吸着等の方法で除去することができる。精製法は特に限定されるわけではないが、インク中において色材の不純物に由来する無機物の濃度は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。
色材として水溶性色材、すなわち染料を用いる場合は、公知のもの、あるいは新規に合成したものを用いることができる。前記染料としては、水溶性染料、分散染料のいずれでもかまわないが、中でも、鮮やかな色彩の得られる、直接染料あるいは酸性染料が好ましい。具体的には次のようなものが挙げられる
黒色染料としては、C.I.Direct Black−2、−4、−9、−11、−17、−19、−22、−32、−80、−151、−154、−168、−171、−194、−195; C.I.Food Black−1、−2; C.I.Acid Black−1、−2、−7、−16、−24、−26、−28、−31、−48、−52、−63、−107、−112、−118、−119、−121、−156、−172、−194、−208等が挙げられる。
青色染料としては、C.I.Direct Blue−1、−2、−6、−8、−22、−34、−70、−71、−76、−78、−86、−112、−142、−165、−199、−200、−201、−202、−203、−207、−218、−236、−287及び−307; C.I.Acid Blue−1、−7、−9、−15、−22、−23、−27、−29、−40、−43、−55、−59、−62、−78、−80、−81、−83、−90、−102、−104、−111、−185、−249及び−254; C.I.Disperse Violet−33、C.I.Disperse Blue−14、−26、−56、−60、−73、−87、−128、−143、−154、−165、−165:1、−176、−183、−185、−201、−214、−224、−257、−287、−354、−365、−368、C.I.Disperse Green−6:1、−9等が挙げられる。
赤色染料としては、C.I.Direct Red−1、−2、−4、−8、−9、−11、−13、−15、−20、−28、−31、−33、−37、−39、−51、−59、−62、−63、−73、−75、−80、−81、−83、−87、−90、−94、−95、−99、−101、−110、−189及び−227; C.I.Acid Red−1、−4、−8、−13、−14、−15、−18、−21、−26、−35、−37、−52、−110、−144、−180、−249、−257、及び−289; C.I.Disperse Orange−13、−29、−31:1、−33、−49、−54、−66、−73、−119、−163; C.I.Disperse Red−1、−4、−11、−17、−19、−54、−60、−72、−73、−86、−92、−93、−126、−127、−135、−145、−154、−164、−167:1、−177、−181、−207、−239、−240、−258、−278、−283、−311、−343、−348、−356、−362等が挙げられる。
黄色染料としては、C.I.Direct Yellow−1、−2、−4、−8、−11、−12、−26、−27、−28、−33、−34、−41、−44、−48、−58、−86、−87、−88、−132、−135、−142、−144及び−173; C.I.Acid Yellow−1、−3、−4、−7、−11、−12、−13、−14、−18、−19、−23、−25、−34、−38、−41、−42、−44、−53、−55、−61、−71、−76、−78、−79及び−122; C.I.Disperse Yellow−3、−5、−7、−8、−42、−54、−64、−79、−82、−83、−93、−100、−119、−122、−126、−160、−184:1、−186、−198、−204及び−224等が挙げられる。
これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
また、直接染料あるいは酸性染料以外にも、カチオン性染料を用いることができ、例えば、C.I.Basic Yellow−1、−11、−13、−19、−25、−33及び−36;C.I.Basic Red−1、−2、−9、−12、−13、−38、−39、−92;C.I.Basic Blue−1、−3、−5、−9、−19、−24、−25、−26及び−28等が挙げられる。
前記染料の含有量はインク質量に対し、合計で0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、0.8〜6質量%が更に好ましい。前記染料の含有量が10質量%より多いと、インクジェット方式で印刷した場合プリントヘッド先端での目詰まりが発生しやすくなる場合がある。一方、前記染料の含有量0.1質量%より少ないと、十分な画像濃度を得ることができない場合がある。
前記水溶性の有機溶媒は公知のものを使用することができる。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールエーテル類;ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等の含窒素溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等の一価アルコール類;あるいは、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルオキシド等の含硫黄溶媒;炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を使用することができる。
前記界面活性剤はインクの表面張力を調整するために添加される。前記界面活性剤としては、顔料の分散状態に影響を及ぼしにくいノニオン及びアニオン界面活性剤が好ましい。前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレンアルコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル等を使用することができる。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、スルホン酸塩、及び高級アルキルスルホコハク酸塩等を使用することができる。
また、両性界面活性剤を使用してもよく、該両性界面活性剤としては、ベタイン、スルフォベタイン、サルフェートベタイン、イミダゾリン等を使用することができる。その他、ポリシロキサンポリオキシエチレン付加物等のシリコーン系界面活性剤やオキシエチレンパーフルオロアルキルエーテルなどのフッソ系界面活性剤、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチンなどのバイオサーファクタント等も使用することができる。
一方、前記インクに含有される水溶性高分子は、酸価などを基準に、色材との親和性、高分子物質自体の凝集性などを考慮して選択する必要がある。物性を勘案して選択されるアニオン性の水溶性高分子の好ましい例としては、カルボン酸基を含有する高分子化合物が挙げられる。これはカルボン酸基の解離度が小さいためである。このような高分子物質の好ましい例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。前記インクに含有されるアニオン性水溶性高分子としては、例えば、アルギン酸塩、アクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられるが、中でも親水性部を構成するα、β−エチレン性不飽和基を有する単量体と疎水性部を構成するα、β−エチレン性不飽和基を有する単量体とからえられる共重合体が好ましく、親水性部を構成する単量体が、アクリル酸、メタクリル酸及び無水マレイン酸、マレイン酸から成る群から選ばれる少なくとも一種であり、疎水性部を構成する単量体が、スチレンアクリル酸並びにスチレンメタクリル酸のアルキル、アリール及びアルキルアリールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましい。
前記インクに含有される水溶性高分子の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による重量平均分子量で、3000〜15000の範囲であることが好ましく、4000〜10000の範囲であることがより好ましく、4000〜7000の範囲であることが更に好ましい。
また、前記親水性部分を構成するα、β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、特に限定されないが、カルボキシル基を有するモノマーなど、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステルなどを用いることができる。この中でも、特にアクリル酸、メタクリル酸、およびマレイン酸、無水マレイン酸は好ましく、これらは単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
前記疎水性部を構成するα、β−エチレン性不飽和基を有する単量体としては、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステルを好ましく使用することができ、特にスチレン並びにメタアクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、アリール及びアルキルアリールエステルは好ましい。これらは単独で用いても二種以上を用いてもよい。
これらインクに含有される水溶性高分子は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。添加量は、色材によって大きく異なるので一概には言えないが、前記色材に対して、0.1〜100質量%の範囲であることが好ましく、1〜70質量%の範囲であることがより好ましく、3〜50質量%の範囲であることが更に好ましい。
本発明に用いられるインクには、粘度調整剤として、メチルセルロース、エチルセルロース及びその誘導体、グリセリン類やポリグリセリン及びそのポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド付加物の他、多糖類及びその誘導体を添加するのも有用である。前記粘度調整剤として具体的には、例えばグルコース、フルクトース、マンニット、D−ソルビット、デキストラン、キサンサンガム、カードラン、シクロアミロース、マルチトール及びそれらの誘導体が挙げられる。
なお、本発明の画像記録方法に用いられるインクの粘度は、1.5〜5.0mPa・sの範囲であることが好ましく、1.5〜4.0mPa・sの範囲であることがより好ましい。前記インクの粘度の測定は、回転型粘度計レオマット115(Contraves社製)を用い、測定温度23℃、せん断速度1400s-1で行った。
また、インクのpHを所望の値に調整してもよく、pHを調整するものとしては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、アンモニア、リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、硫酸ナトリウム、酢酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、プロピオン酸、P−トルエンスルフォン酸等が使用できる。あるいは、一般的なpH緩衝剤、例えばグッドバッファー類を使用してもよい。
なお、インクのpHは3〜11の範囲であることが好ましく、特に4.5〜9.5の範囲であることがより好ましい。
更に、インクの表面張力は20〜40mN/mの範囲であることが好ましい。表面張力が20mN/mを下回ると、記録用紙へのインク浸透性が速すぎてしまい、インクが記録用紙内部まで浸透するため、画像濃度の低下、文字の滲みが発生してしまう場合がある。表面張力が40mN/mより大きいと記録用紙へのインク浸透性が遅くなり、乾燥性が悪化する場合があるため、印字の高速化への対応等の観点から好ましくない。
前記インクの表面張力は、25〜37mN/mの範囲であることがより好ましく、28〜35mN/mの範囲であることが更に好ましい。
なお、インクの表面張力は、ウィルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下にて測定したものである。
前記インクの表面張力を調整する方法としては、例えば、前記界面活性剤、多価アルコール類、及び、一価アルコール類から選択される少なくとも一種を含有させる方法がある。界面活性剤を含有させる場合、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤から少なくとも一種選ぶことが好ましい。また、インク中の前記化合物の含有量の合計は、0.01〜3.0質量%の範囲であることが好ましく、は0.03〜2.0質量%の範囲であることがより好ましく、0.05〜1.5質量%の範囲であることがさらに好ましい。特に、界面活性剤を単独で用いる場合には、含有量は0.3〜1.5質量%の範囲であることが好ましい。
前記一価アルコール類としてエーテル結合を含むものを用いる場合は、下記一般式(2)から選択される1種以上の化合物が用いられることが好ましい。インク中の含有量の合計は、1〜5質量%の範囲であることが好ましく、2〜10質量%の範囲であることがより好ましく、3〜8質量%の範囲であることがさらに好ましい。
一般式(2)
n2n+1(CH2CRHO)m
〔但し、一般式(2)において、nは1〜6の整数、mは1〜3の整数、Rは水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基を表す。〕
また、一般式(2)で示される以外の一価アルコール類を含有させる場合は、エタノール、プロパノール、ブタノール等が好ましく用いられる。これら一価アルコール類のインク中の含有量の合計は、1.0〜8.0質量%の範囲であることが好ましく、2.0〜5.0質量%の範囲であることがより好ましい。また、上述した界面活性剤、多価アルコール類、一価アルコール類は同時に含有させても構わない。
本発明の画像記録方法において、インクが、顔料を用いたインクである場合には、例えば、前記顔料分散剤を所定量含む水溶液に所定量の前記顔料を添加し、十分に撹拌した後、分散機を用いて分散を行い、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の前記水溶性有機溶媒、前記添加剤等を加えて撹拌混合し、次いで濾過を行って得ることができる。この際、予め顔料の濃厚分散体を作製し、インク調製時に希釈する方法も使用できる。また、分散工程の前に顔料の粉砕工程を設けてもよい。あるいは、所定の水溶性有機溶媒、水、顔料分散剤を混合後、顔料を添加して、分散機を用いて分散させてもよい
前記分散機は、市販のものを用いることができる。例えば、コロイドミル、フロージェットミル、スラッシャーミル、ハイスピードディスパーザー、ボールミル、アトライター、サンドミル、サンドグラインダー、ウルトラファインミル、アイガーモーターミル、ダイノーミル、パールミル、アジテータミル、コボルミル、3本ロール、2本ロール、エクストリューダー、ニーダー、マイクロフルイダイザー、ラボラトリーホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が挙げられ、これらを単独で用いても、2種以上を組み合せて用いてもよい。なお、無機不純物の混入を防ぐためには、分散媒体を使用しない分散方法を用いることが好ましく、その場合には、マイクロフルイダイザーや超音波ホモジナイザー等を使用することが好ましい。なお、本発明の実施例においては、超音波ホモジナイザーにより分散を行った。
一方、色材顔料として自己分散型顔料を用いたインクは、例えば、顔料に対して表面改質処理を行ない、得られた顔料を水に添加し、十分攪拌した後、必要に応じて前記と同様の分散機による分散を行ない、遠心分離等で粗大粒子を除いた後、所定の溶媒、添加剤等を加えて攪拌、混合、濾過を行なうことにより得ることができる。
本発明の画像記録方法は、前記記録用紙に含有される水溶性高分子の少なくとも1種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、かつ、前記インクの少なくとも1種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であることが好ましい。前記インク吸収容量が30〜60ml/m2であり、前記インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であると、表面張力が低く高浸透性のインクを用いて高速印字した場合にも、インクの色材種類を問わず、得られた画像が高画像濃度で、色間にじみ及びフェザリングが少なく、且つ裏写り濃度が低い画像記録方法が得られる。
また、2種以上のインクを用いている場合は、全てのインクが上述の要件を満たしていることが好ましい。
本発明において、前記インク吸収係数及びインク吸収容量は、下記方法で測定したものである。前記インク吸収係数及びインク吸収容量の測定は、動的走査吸液計(以下DSAと呼ぶ。熊谷理機工業(株)製)を使用して測定した。この装置の動作原理は、直径20cm程度の記録材料を水平なターンテーブルの上に固定し、これを回転させながらインクが入っている液体供給ヘッドを接触させ、サンプル上をらせん状に走査する。インクの吸液速度はヘッドに連結したキャピラリー内のメニスカスの移動量から自動計測される。ある時点での走査速度、吸液速度、ヘッド開口部の形状パラメータから液体と試料の接触時間及び単位面積当たりの吸液量を計算し、接触時間の平方根に対してプロットすることができる。液体の転移量から接触時間及び単位面積当たりの吸液量を測定する点でJ.TAPPI紙パルプ試験法No.51−87として標準化されているブリストー法と同じ原理を用いたものであるが、ブリストー装置が通常10点程度のプロットしか行わないのに比べ、DSAは1回の測定で最高23点をプロットすることができるため、より厳密に吸収曲線を解析することができるものである。前記インク吸収係数及びインク吸収容量は、この装置を用いてJISP8111:1998に規定する標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)において8時間以上放置された用紙に対して、8時間以上密封容器に入れて放置されたインクを用いて測定を行い求めたものである。
本発明におけるインク吸収係数は、上述の条件でインクが入っている液体供給ヘッドと記録用紙との接触時間が10ms〜1000msの範囲での測定結果から求めたものである。
また、本発明におけるインク吸収容量は、上述の条件でインクが入っている液体供給ヘッドと記録用紙との接触時間が10msでの測定結果から求めたものである。
前記インク吸収係数及びインク吸収容量を上述の範囲に制御する方法としては、記録用紙のステキヒトサイズ度を制御する、用紙製造時にウェットプレスを制御して表面サイズ液の用紙表面近傍からの浸透を制御する、用紙の透気性を制御してインク浸透時の用紙の毛管力を制御する等の方法が挙げられる。
前記インク吸収容量は、30〜60ml/m2であることが好ましく、40〜60ml/m2であることがより好ましい。前記インク吸収容量が30ml/m2未満であると、インクの浸透性が阻害され、乾燥性の悪化を引き起こす場合がある。一方、前記インク吸収容量が60ml/m2を超えると、インク色材が用紙の深部まで浸透してしまい、裏抜けの悪化を引き起こす場合がある。
前記インク吸収係数は、2〜5ml/m2・ms1/2であることが好ましく、3〜5ml/m2・ms1/2であることがより好ましい。前記インク吸収容量が2ml/m2・ms1/2未満であると、インクの浸透性が阻害され、乾燥性の悪化を引き起こすと同時に長時間用紙表面にインクが液体として存在するため、他色のインクが印字されたときに色間にじみ(ICB)が発生する場合がある。一方、前記インク吸収容量が5ml/m2・ms1/2を超えると、インク色材が用紙の深部まで浸透してしまい、裏抜けの悪化を引き起こすと同時に、インクの浸透が早すぎてカチオン性物質や水溶性高分子が十分に機能できない場合がある。
本発明の画像記録方法は、上述の様に、前記塗工液が含有する水溶性高分子の少なくとも1種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、かつ、前記インクの少なくとも1種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であると共に、更に、下記(1)又は(2)の条件を満たすことがより好ましい。更に、下記(1)又は(2)の条件を満たすことにより、表面張力が低く高浸透性のインクを用いて高速印字した場合にも、インクの色材種類を問わず、得られた画像が高画像濃度で、色間にじみ及びフェザリングが少なく、且つ裏写り濃度が低いという効果がより顕著となる。
(1) 記録ヘッドの走査速度を50cm/秒以上にして、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2にする。
(2) 記録ヘッドが固定された状態での記録用紙の搬送速度を12cm/秒以上にして、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2にする。
前記(1)は、後述するマルチパス方式における好ましい条件であり、前記記録ヘッドの走査速度は、「レーザープリンターに匹敵する生産性」という観点から、100cm/秒以上であることがより好ましい。また、前記最大インク打ち込み量は、7〜20ml/m2であることがより好ましく、10〜18ml/m2であることが更に好ましい。
ここで、記録ヘッドの走査速度とは、記録ヘッドが記録用紙排出方向に対して垂直に走行する、いわゆる前記マルチパス方式において、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査して印字を行う場合の、記録ヘッドの移動速度をいう。また、最大インク打ち込み量とは、1色以上のインクを用いてべた画像を形成する場合に、一回の走査で吐出される単位面積あたりのインク量のことである。
一方、前記(2)は、後述するFWA方式における好ましい条件であり、前記記録用紙の搬送速度は、「レーザープリンターに匹敵する生産性」という観点から、21cm/秒以上であることがより好ましい。また、前記最大インク打ち込み量の好ましい範囲は、前記(1)における最大インク打ち込み量の好ましい範囲と同様である。
後述するマルチパス方式、FWA方式のいずれにおいても、少ない走査回数でべた画像を形成するのに十分なインクを記録用紙に付与するためには、最大インク打ち込み量は6ml/m2と大きくなってしまう。しかしながら、本発明の画像記録方法を用いれば、このような大きなインク打ち込み量となる高速対応の印字でも、本発明の画像記録方法、フェザリングや色間にじみの発生のない画像を得ることができ、レーザー印字方式と比較しても遜色のない両面印字が可能である。
本発明の画像記録方法は、前期記録用紙に対して、以上に説明したようなインクを用いて、インクジェット方式により印字する場合、ノズルから吐出されるインクドロップ量は、1〜20plの範囲であることが好ましく、3〜18plの範囲であることがさらに好ましい。
なお、熱エネルギーを作用させて液滴を形成し記録を行う、いわゆる熱インクジェット方式により印字で、且つ、インクドロップ量を前記のように1〜20plの範囲とする場合には、顔料インク中における顔料の分散粒子径が、体積平均粒子径で20〜120nmの範囲で、かつ、500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個以下であることが好ましい。体積平均粒子径が20nmより小さいと、充分な画像濃度が得られない場合がある。また、体積平均粒径が120nmより大きいと、記録ヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定した吐出性を確保できない。さらに体積平均粒径が500nm以上の粗大粒子数がインク2μl中に5×105個より多くなると、同様に記録ヘッド内で目詰まりが発生しやすく、安定してインクを吐出できない場合がある。この粗大粒子数は、3×105個以下であることがより好ましく、2×105個以下であることがさらに好ましい。
また、本発明に用いるインクは、24℃におけるインクの貯蔵弾性率が、5×10-4〜1×10-2Paの範囲であることが特に好ましい。この領域において適当な弾性を有することで、記録用紙表面での挙動が好ましいものとなるからである。なお、前記貯蔵弾性率は、角速度が1〜10rad/sの範囲における低せん断速度領域で測定したときの値である。この値は、低せん断速度領域の粘弾性が測定できる装置を使用すれば容易に測定できる。当該測定装置としては、例えば、VE型粘弾性アナライザー(VILASTIC SCIENTIFIC INC.社製)、DCR極低粘度用粘弾性測定装置(Paar Physica社製)等がある。
本発明の画像記録方法は、公知のインクジェット装置であれば、いずれのインクジェット記録方式を用いたものであっても良好な印字品質を得ることができる。特にレーザープリンターと同等の生産性を持つ、20枚/分(A4縦)以上の印字速度であるインクジェットプリンターにおいてその効果を発揮する。さらに、印字中または印字の前後に記録用紙等の加熱手段を設け、記録用紙及びインクを50℃から200℃の温度で加熱し、インクの吸収及び定着を促進する機能を持った方式に対しても、本発明の画像記録方法を適用することができる。
次に、本発明の画像記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の一例について説明する。この例はいわゆるマルチパス方式と呼ばれるもので、記録ヘッドが記録用紙表面を複数回走査することによって画像を形成するものである。
ノズルからインクを吐出させる方法としては、まず、ノズル内に備えられたヒータに通電加熱することによってノズル内のインクを発泡させ、その圧力によってインクを吐出する、いわゆるサーマルインクジェット方法が挙げられる。
また、圧電素子に通電することにより該素子を物理的に変形させて、その変形によって生ずる力を利用してノズルからインクを吐出する方法も挙げられる。この方式では、圧電素子にピエゾ素子を使用したものが代表的である。
本発明の画像記録方法に用いられるインクジェット記録装置においては、ノズルからインクを吐出する方式は前記いずれの方式であってもよく、またこれらの方式に限定されるものではない。この点は以下同様である。
ノズルは、ヘッドキャリッジの主走査方向と略直角方向に配置される。具体的には1インチ当たり800個の密度で一列に配置することができる。ノズルの個数及び密度は任意である。また、一列に配列するのみならず、千鳥状に配置することもできる。
記録ヘッド上部にはシアン、マゼンタ、イエロー及びブラック各色の、本発明に用いるインクを収納したインクタンクが、それぞれの記録ヘッドに対して一体的に取り付けられている。該インクタンクに収納されているインクは、それぞれの色に対応する記録ヘッドに供給される。なお、インクタンクと記録ヘッドとは一体的に形成されていてもよい。しかし、この方式に限らず、例えばインクタンクを記録ヘッドと別個に配置し、インク供給チューブを介してインクを記録ヘッドに供給する方式であってもよい。
さらに、これらの各記録ヘッドには、信号ケーブルが接続されている。この信号ケーブルは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色について、画素処理部で処理された後の画像情報を、各記録ヘッドに伝達する。
前記記録ヘッドは、ヘッドキャリッジに固定されている。このヘッドキャリッジは、ガイドロッド及びキャリッジガイドに沿って主走査方向に摺動自在に取り付けられている。そして駆動モータを所定のタイミングで回転駆動することによって、タイミングベルトを介してヘッドキャリッジを主走査方向にそって往復駆動させることができる。
なお、ヘッドキャリッジ下方にはプラテンが固定されており、紙送り用の搬送ローラによって、このプラテン上に、本発明に用いる記録用紙が所定のタイミングで搬送される。当該プラテンは、例えばプラスチックの成形材等で構成することができる。
このようにして、本発明の記録用紙に対して、記述したようなインクを使用して印字することができる。なお、前記マルチパス方式の例では、五個のヘッドを備えた例について説明した。しかし本発明の画像記録方法をマルチパス方式に適用できる範囲はこの例に限られるものではない。ブラックヘッドとカラーヘッドとの計二つのヘッドを備えて、このうちカラーヘッドは、ノズルをその並び方向に分割し、分割したそれぞれの領域に所定の色を割り当ててあるようなものであってもよい。
オフィスでのレーザープリンターに匹敵する、印字速度が20ppm(20枚/分)以上の高速印字を行う際には、前記記録ヘッドの走査速度を50cm/秒以上とすることが望まれるが、それによって異なる2色のインクが印字される間隔も狭くなり、色間にじみ(ICB)が発生しやすくなる。また、インクの乾燥性を高めるために表面張力の低いインクを使用することが必要となり、フェザリング発生や画像濃度低下の原因となり、このような表面張力の低いインクは用紙への浸透性が高いため、印字した文字、画像が裏面から透けて見えやすくなり、両面印字性を損なうことになる。
しかし本発明の画像記録方法を採用することにより、これらの問題を解決できる。
次に、本発明におけるインクジェット記録方法を実施するのに適したインクジェット記録装置の第二の例について説明する。この例はワンパス方式いわゆるFWA(Full Width Array)方式といわれるもので、この方式は、記録用紙の幅にほぼ等しい幅を有する記録ヘッドを持ち、記録用紙が記録ヘッドの下方を通過すると印刷が終了するものである。マルチパス方式に比べて同じ走査速度で高い生産性が得られるため、レーザー記録方式以上の高速印字が可能となる。
また、FWA方式はマルチパス方式のように、記録ヘッドを複数回走査する必要がないため、20ppm以上に対応する120mm/秒以上の記録用紙搬送速度(記録用紙が記録ヘッド下方を通過する速度)でも、容易に高速印字を行うことができる。しかし、一方で分割印字を行うことができないため、一度に多量のインクを吐出することが必要になる。このため、本発明の記録用紙を用いない従来の画像記録方法では、フェザリングや色間にじみが発生したり、また、画像濃度の低下や両面印字性の低下、乾燥性の悪化を招いていた。
しかしながら、本発明の画像記録方法においては、前記マルチパス方式における記録ヘッド走査速度が50cm/秒以上の高速印字、また前記FWA方式における記録ヘッドが固定された状態での記録用紙搬送速度が12cm/秒以上の高速印字を行った場合でも、既述の記録用紙とインクとの接触時に用紙表面に処理されたカチオン性物質が速やかに高い割合で溶出し、色材、インクに内添されたアニオン性高分子の不溶化や、コロイド凝集・沈降の作用により、また、水溶性高分子の色材捕捉作用により、フェザリングや色間にじみの発生のない、高画質な画像を得ることができ、両面印字性を損なわず、乾燥性を高めることができる。
前記マルチパス方式、FWA方式のいずれにおいても、少ない走査回数でべた画像を形成するのに十分なインクを記録用紙に付与するため、最大インク打ち込み量は6ml/m2と大きくなってしまう。しかしながら、このような大きなインク打ち込み量となる高速対応の印字でも、本発明の画像記録方法を用いれば、フェザリングや色間にじみの発生のない画像を得ることができ、レーザー印字方式と比較しても遜色のない両面印字が可能である。
以上のように、本発明の画像記録方法によれば、印字速度が20ppm以上の高速印字を行うインクジェット記録装置においても、色間にじみやフェザリング等の画像不良を発生することなく、十分な画像濃度が得られる印字を行うことができるものである。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<記録用紙1>
広葉樹クラフトパルプを酸素漂白工程、アルカリ抽出工程、気相二酸化塩素処理工程からなるECF多段漂白法にて漂白処理した。得られたパルプを濾水度が450mlになるよう叩解調整し、該叩解調整したパルプ100質量部に対して、ベントナイト填料を3質量部、軽質炭酸カルシウム填料を3質量部、アルキルケテンダイマー(AKD)内添サイズ剤を0.1質量部配合して抄紙し、原紙を作製した。
一方、水88質量部に、硫酸マグネシウム6質量部、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製、商品名:エースA、Mw:約150000)2質量部、及びポリエチレンオキサイド(明成化学(株)製、商品名:アルコックスLE、重量平均分子量Mw:約80000)4質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に、調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙1を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、硫酸マグネシウム1.0g/m2、酸化澱粉が0.3g/m2、ポリエチレンオキサイド0.6g/m2であった。
<記録用紙2>
広葉樹クラフトパルプをキシラナーゼ処理工程、アルカリ抽出工程、過酸化水素処理工程、オゾン処理工程からなるTCF多段漂白法にて漂白処理した。得られたパルプを濾水度が450mlになるように叩解調整し、該叩解調整したパルプ100質量部に対して、カオリン填料を3質量部、軽質炭酸カルシウム填料を6質量部、アルケニル無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤を0.2質量部配合して抄紙し、原紙を作製した。
一方、水90質量部に、水酸化カルシウムを3質量部、ポリエチレンオキサイドを3質量部(和光純薬工業(株)製、Mw:50000)、酸化澱粉を4質量部(王子コーンスターチ(株)製、商品名:エースB、重量平均分子量Mw:約80000)を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に、調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙2を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、酸化澱粉1.0g/m2、ポリエチレングリコール0.8g/m2、水酸化カルシウム0.8g/m2であった。
<記録用紙3>
針葉樹機械パルプをハイドロサルファイトで漂白処理し、濾水度が450mlになるように叩解調整し、該叩解調整したパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を8質量部、アルケニル無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤を0.02質量部配合して抄紙し、原紙を作製した。
一方、水94質量部に、硝酸マグネシウム6質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に、調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙3を得た。尚、前記塗工液中の成分の塗工量は、硝酸マグネシウムが3.0g/m2であった。
<記録用紙4>
広葉樹クラフトパルプを記録用紙2と同様にTCF漂白を行い、濾水度が450mlになるように叩解調整を行った後、該叩解調整したパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を3質量部、サポナイト填料を3質量部、中性ロジンサイズ剤を2質量部配合して抄紙して抄紙し、原紙を作製した。
一方、水92質量部に、酸化澱粉(王子コーンスターチ(株)製、商品名:エースA、重量平均分子量Mw:約150000)3質量部、硝酸マグネシウム5質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に、調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙4を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、酸化澱粉が1.0g/m2、硝酸マグネシウムが1.5g/m2であった。
<記録用紙5>
広葉樹サルファイトパルプを実施例1と同様にECF漂白を行い、濾水度が450mlになるように叩解調整を行った後、該叩解調整したパルプ100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム填料を15質量部、アルケニル無水コハク酸(ASA)内添サイズ剤を0.1質量部配合して抄紙し、原紙を作製した。
一方、水90質量部に、ポリアリルアミン(日東紡(株)製 PAS−H−10L 重量平均分子量Mw:130000)5質量部、ポリアリルアミン(日東紡(株)製 PAS−A−1 重量平均分子量Mw:8000)5質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に、調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙5を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、2種類のポリアリルアミンがそれぞれ1.0g/m2であった。
<記録用紙6>
記録用紙5と同様にして原紙を作製した後、水80質量部にポリアリルアミン(日東紡(株)製 PAS−H−10L 重量平均分子量Mw:130000)10質量部、塩化亜鉛10質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に調整した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙6を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、ポリアリルアミン及び塩化亜鉛がそれぞれ2.8g/m2であった。
<記録用紙7>
記録用紙5と同様にして原紙を作製した後、水98質量部にポリエチレングリコール(重量平均分子量Mw:50000)1質量部、塩化カルシウム1質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙7を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、ポリエチレングリコール及び塩化カルシウムがそれぞれ0.03g/m2であった。
<記録用紙8>
記録用紙5と同様にして原紙を作製した後、水90質量部にポリビニルアルコール((株)クラレ製 PVA−102 重量平均分子量Mw:8800)5質量部、ポリビニルアルコール((株)クラレ製 PVA−124 重量平均分子量Mw:105600)2質量部、ギ酸カルシウム3質量部を添加・混合し、塗工液を調製した。
更に調製した塗工液をサイズプレスにより前記原紙の両面に塗工して記録用紙8を得た。尚、前記塗工液中の各成分の塗工量は、ポリビニルアルコール(PVA−102)が0.5g/m2、ポリビニルアルコール(PVA−124)が0.2g/m2、ギ酸カルシウムが0.3g/m2であった。
得られた記録用紙1〜8について、表面電気抵抗率及び体積電気抵抗率を、JIS−K−6911に規定の方法によって標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)で測定した。
ステキヒトサイズ度をJIS−P−8122:1976に規定の方法によって標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)で測定した。
地合い指数をM/K Systems,Inc.(MKS社)製の3Dシートアナライザー(M/K950)を使い、そのアナライザーの絞りを直径1.5mmとし、マイクロフォーメーションテスター(MFT)を用いて測定した。
平滑度を王研式デジタル表示型透気度平滑度測定器EY型(旭精工(株)製)を用いて、JIS−P−8119:1998に規定の方法によって測定した。
得られた記録用紙を0.06m2に切り取り測定サンプルとし、水の量を40mlとする以外は、JIS−P:8133に規定されている熱水抽出法と同様にして試験片を煮沸し、この液を冷却し、乾燥・固化して得られた固形分量を、熱水抽出により得られた固形分量とした。
また、熱水抽出により得られた固形分について、前述の条件により分子量分布曲線を求め、分子量5000以上及び分子量500以下の部分でのピーク高さを、その分子量と共に求めた。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2006027130
−インクの調製−
後述する実施例、および、比較例において使用するインクは、以下のようにして調製した。
<インク1>
水溶性高分子であるスチレン/メタクリル酸共重合体のNa塩(モノマー比:50/50、重量平均分子量Mw:7000、顔料を分散させるための分散剤)の水溶液(固形分10質量%)45質量部と、イオン交換水210質量部とを混合攪拌しながら、カーボンブラック(商品名:BPL、キャボット社製)45質量部を加え30分間攪拌した。その後、マイクロフルイダイザーで10000psi/30path分散した。分散後、1mol/lのNaOH水溶液でpH9に調整した。さらに、遠心分離装置で遠心分離(8000rpm、15分)を実施した後、2μmメンブランフィルターを通過させた。得られた分散液を純水で希釈して固形分10質量%のインク顔料分散液1を得た。
次に、下記組成の混合物に脱イオン水を加え合計50質量部とし、30分間攪拌した。この後、前記顔料分散液1を50質量部添加し、さらに攪拌を30分間続けた。これを2μmのメンブランフィルターを通過させてインク1を作製した。インク1の物性は、表面張力が35mN/m、粘度が2.6mPa・s、貯蔵弾性率が24℃において1.0×10-3Paであった。また、インク1中の粒径500nm以上の粗粒個数は11.2×104個であった。
・エチレングリコール:12質量部
・エタノール:4質量部
・尿素:5質量部
・ラウリル硫酸エステルナトリウム塩:0.1質量部
<インク2>
・染料(C.I.ダイレクトイエロー−1、10%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・水溶性高分子(スチレンマレイン酸/メタクリル酸ナトリウム共重合体 モノマー比;20/80、重量平均分子量Mw;6000)1.5質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465):2質量部
上記組成と脱イオン水で全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Paであった。
<インク3>
・顔料(C.I.Pigment Blue 15:3):4質量部
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物:5質量部
・スルホラン:5質量部
・界面活性剤(ノニオンE−215:日本油脂社製):0.03質量部
上記組成の混合物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、2μmのメンブランフィルターを通過させた。このインク物性は、表面張力が30mN/m、粘度が2.8mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において2.5×10-3Pa、インク3中の粒径500nm以上の粗粒個数は0.08×104個であった。
<インク4>
・顔料(C.I.Pigment Red 122):4質量部
・ジエチレングリコール:10質量部
・プロピレングリコール:5質量部
・チオジエタノール:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465:日信化学社製):0.03質量部
上記組成の混合物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、2μmのメンブランフィルターを通過させた。このインク物性は、表面張力が28mN/m、粘度が2.8mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Pa、インク4中の粒径500nm以上の粗粒個数は0.03×104個であった。
<インク5>
・表面処理顔料(C.I.Pigment Yellow 17):4質量部
・水溶性高分子(スチレンマレイン酸/メタクリル酸ナトリウム共重合体 モノマー比;20/80、重量平均分子量;6000):1.5質量部
・グリセリン:15質量部
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:5質量部
・界面活性剤(サーフィノールTG:日信化学社製):0.03質量部
上記組成の混合物に脱イオン水を加え全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、2μmのメンブランフィルターを通過させた。このインク物性は、表面張力が29mN/m、粘度が2.9mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Pa、インク5中の粒径500nm以上の粗粒個数は0.03×104個であった。
<インク6>
・染料(ダイレクトレッド227、10%水溶液):20質量部
・エチレングリコール:25質量部
・尿素:5質量部
・界面活性剤(サーフィノール465):2質量部
上記組成と脱イオン水で全量を100質量部とし、30分間攪拌した。この後、1μmのメンブランフィルターを通過させた。このインクの表面張力は31mN/m、粘度2.0mPa・sであった。貯蔵弾性率は24℃において1.0×10-2Paであった。
−インクの物性の測定−
得られたインク1〜6の物性は、以下の条件で測定した。
表面張力はウイルヘルミー型表面張力計を用いて、23℃、55%RHの環境下で測定した。
粘度は被測定インクを測定容器に入れ、ネオマット115(Contraves社製)に装着して、測定温度:23℃、せん断速度:1400s-1の条件で測定した。
また、貯蔵弾性率はVE型粘弾性アナライザー(VILASTIC SCIENTIFIC,INC.社製)を用いて24℃における貯蔵弾性率を測定した。角速度が1〜10rad/sとなる範囲での測定を行い、そのときの貯蔵弾性率を求めた。代表値として10rad/sの場合の値を示した。その結果を表2に示す。
Figure 2006027130
(実施例1〜6および比較例1〜5)
得られた記録用紙、およびインクを表3に示すように組合せて、下記のインクジェット記録装置にて印字テストを行い、各種評価を行った。その結果を表3に示す。尚、表3及び後述の表4中の「記録用紙」の欄の「No.」は、各々の実施例/比較例で用いた記録用紙(例えば、実施例1では記録用紙1)を意味し、「インク」の欄の「No.」は、各々の実施例/比較例で用いたインクを意味する。
印字テストに用いたインクジェット記録装置は、マルチパス印字方式の熱インクジェット記録装置(富士ゼロックス(株)製の WorkCentreB900)であり、各インクをインクタンクに充填したものを装着した。印字は、23℃、55%RHの環境において行った。また、ノズルピッチは800dpi、256ノズル、ドロップ量約15pl、最大インク打ち込み量約15ml/m2、印字モードは片側一括印字にて、ヘッドスキャンスピード(記録ヘッドの走査速度)約110cm/秒として実施した。以下、各種評価について説明する。
−インク吸収係数及びインク吸収容量−
用いる記録用紙とインクとの組み合わせの、インク吸収係数及びインク吸収容量の測定は、動的走査吸液計(以下DSAと呼ぶ。熊谷理機工業(株)製)を使用して測定した。この装置の動作原理は、直径20cm程度のサンプルを水平なターンテーブルの上に固定し、これを回転させながらインクが入っている液体供給ヘッドを接触させ、サンプル上をらせん状に走査する。インクの吸液速度はヘッドに連結したキャピラリー内のメニスカスの移動量から自動計測される。ある時点での走査速度、吸液速度、ヘッド開口部の形状パラメータから液体と試料の接触時間及び単位面積当たりの吸液量を計算し、接触時間の平方根に対してプロットしてすることによりインク吸収係数及びインク吸収容量が測定できる。ここでは、インク吸収係数は、上述の条件でインクが入っている液体供給ヘッドと記録用紙との接触時間が10ms〜1000msの範囲での測定結果から求めたものである。また、インク吸収容量は、上述の条件でインクが入っている液体供給ヘッドと記録用紙との接触時間が10msでの測定結果から求めたものである。尚、インク吸収係数及びインク吸収容量は、上述の装置を用いてJISP8111:1998に規定する標準環境(温度23℃、相対湿度50%RH)において8時間以上放置された用紙に対して、8時間以上密封容器に入れて放置されたインクを用いて測定を行い求めたものである。結果を表3に示す。
−画像光学濃度−
各インク単独で印字し、印字一日後のソリッドパッチ部の画像光学濃度を、エックスライト369(エックスライト社製)を用いて測定した。判定基準は以下の通りとし、◎、〇を許容範囲とした。
◎:1.5以上
〇:1.0以上1.5未満
×:1.0未満
−色間にじみ(ICB)評価−
2色のインクを2cm×2cm角のパッチとしてそれぞれ接するように印字した。色間にじみ評価は接した印字物の混色を目視にて、以下の基準で評価し、〇、△を許容範囲とした。
○:全く混色していない。
△:混色がわずかに発生しているが、問題にならないレベルであった。
×:混色が問題となるレベルで発生した。
−フェザリング評価−
フォントサイズ8ポイントの文字(漢字及びひらがな)を、各インク単独で印字した。フェザリング評価は、目視にて、以下の基準により行った。◎、〇を許容範囲とした。
◎:漢字、ひらがな全てにおいて、滲みが全く観察されない。
○:漢字、ひらがなの極一部で、滲みが観察される。
×:漢字、ひらがなに滲みが観察され、実用には適さない。
−インク乾燥時間評価−
インク乾燥時間の評価は、各インク単独で印字し、印字直後から画像部に用紙を押付けて転写を観察することにより行った。用紙への転写が無くなるまでの時間を計測した。画像部はソリッドパッチ部を用い、以下の基準により評価を行った。◎、〇を許容範囲とした。
◎:2秒未満
○:2以上5未満
△:5以上10未満
×:10秒以上
−裏写り評価−
各インク単独で印字し、印字一日後のソリッドパッチ部の裏面の濃度を、エックスライト369(エックスライト社製)を用いて濃度を測定した。判定基準は以下の通りとし、◎、〇を許容範囲とした。
◎:0.05未満
〇:0.05以上0.15未満
×:0.15以上
Figure 2006027130
(実施例7)
実施例1で用いた記録用紙とインクとの組合せで、熱インクジェット記録装置にて印字を行い実施例1と同様の各種評価を行った。印字は23℃、55%RHの環境においてインクジェット記録装置として6個の記録ヘッドを備えたFWA印字の評価用ベンチを使用して行った。また、ノズルピッチは800dpi、9600ノズル、ドロップ量約10pl、最大インク打ち込み量約10ml/m2、記録用紙搬送速度を約38cm/秒として実施した。実施例1と同様にして各種評価を行った。その結果を表4に示す。
(実施例8〜12、比較例6〜10)
表4に示す実施例8〜12、比較例6〜10のインクと記録用紙との各組み合わせについて、実施例7と同様に印字し、評価を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2006027130
表3及び4に示すように、実施例の本発明の記録用紙を用いた本発明の画像記録方法を用いた場合には、比較例と比べて、染料インク、顔料インクのいずれを用いた場合にも色間にじみおよびフェザリングに優れると共に、画像濃度が高く、乾燥性が早く、両面印字適性である裏写り濃度も低減した。一方、比較例の画像記録方法では画質及び/又は乾燥性において何らかの問題が発生した。これにより本発明は、インクジェット記録方式を用いてA4サイズで10ppm以上という高速印字を行った場合にも、発色性に優れ、フェザリングが少なく、インクの吸収性に優れて且つ裏写りの少ない高速インクジェット記録方法を提供することができることがわかる。

Claims (4)

  1. パルプ繊維と填料とを主体に構成される原紙の少なくとも一方の面に、一種以上のカチオン性物質及び一種以上の水溶性高分子を含有する塗工液を塗工してなる記録用紙であって、
    前記塗工液の原紙の表面への塗工量は、固形分量で0.1〜5g/m2であり、
    かつ、前記記録用紙0.06m2を熱水抽出したときに得られる固形分量は、0.01〜0.40gであり、
    更に、前記熱水抽出により得られた固形分をGPCにより測定した分子量分布曲線は、分子量5000以上の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有し、かつ分子量500以下の部分にピーク高さが0.5以上となるピークを少なくとも1つ以上有することを特徴とする記録用紙。
  2. 記録用紙の塗工液が塗工されている面に対して、水及び/又は水溶性の有機溶媒と親水性色材とを少なくとも含有する一種以上のインクの液滴をノズルより吐出させて画像を記録するインクジェット記録方式の画像記録方法であって、
    前記記録用紙は、請求項1に記載の記録用紙であることを特徴とする画像記録方法。
  3. 前記水溶性高分子の少なくとも一種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、
    かつ、前記インクの少なくとも一種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であり、
    更に、前記ノズルを有する記録ヘッドの走査速度を50cm/秒以上、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2の条件で画像を記録することを特徴とする請求項2に記載の画像記録方法。
  4. 前記水溶性高分子の少なくとも一種は、重量平均分子量が5000〜800000の水溶性高分子であり、
    かつ、前記インクの少なくとも一種は、前記記録用紙に対するインク吸収容量が30〜60ml/m2、インク吸収係数が2〜5ml/m2・ms1/2であり、
    更に、前記ノズルを有する記録ヘッドが固定された状態での前記記録用紙の搬送速度を12cm/秒以上、最大インク打ち込み量を6〜30ml/m2の条件で画像を記録することを特徴とする請求項2に記載の画像記録方法。
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