JP4552243B2 - ポリブチレンテレフタレートの製造法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレートの製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酢酸を含有するテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを原料として使用し、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応を行う場合に、重縮合反応の遅延を大幅に低減してこれを円滑に行うと共に、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールをそのまま回収してエステル化工程に有効に再利用することができ、しかも品質にすぐれたポリブチレンテレフタレートを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと称する)は、成形性、耐熱性、機械的性質および耐薬品性などがすぐれているため、電気部品や自動車部品などの成形材料としてばかりか、そのソフト性やストレッチ性などを生かして繊維用としても広く用いられている。
【0003】
このようなPBTの製造法の1つとして、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとから、PBTオリゴマーを製造するエステル化工程と、生成したPBTオリゴマーを高重合度化する重縮合工程とからなる直接重合法がある。
【0004】
しかるに、この直接重合法に使用される原料のテレフタル酸は、p−キシレンの空気酸化による方法で製造され、このテレフタル酸中には、製造工程で溶媒として使用される酢酸が、精製後においてもテレフタル酸100重量部に対し約0.003〜0.3重量部(30〜3000ppm)程度含まれていることがある。
【0005】
そして、この酢酸を含有するテレフタル酸を使用してPBTを製造する場合には、酢酸が容易に1,4−ブタンジオールと反応して、酢酸のグリコールエステルに転化すると同時に、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応が遅延するという不具合があった。
【0006】
一方、PBTの製造法においては、経済的観点から、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールを、そのまま回収してエステル化工程に再利用する場合があり、この場合に回収した1,4−ブタンジオール中には、酢酸および酢酸のグリコールエステルが含まれるようになる。
【0007】
しかし、酢酸のグリコールエステルと1,4−ブタンジオールの沸点は極めて近接しているために、両者を分離することは困難であり、その結果として、回収した1,4−ブタンジオール中に酢酸のグリコールエステルが蓄積されて、これが高濃度化されることになる。そして、このような酢酸のグリコールエステルを含有する1,4−ブタンジオールを原料として使用すると、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応が遅延し、極端な場合にはエステル化反応およびそれに続く重縮合反応が完結しないことがあり、PBTの製造コストを大幅に損なうだけでなく、ポリマー品質を低下させるという問題を生じていた。
【0008】
このようなエステル化反応およびそれに続く重縮合反応の遅延現象の理由は明らかではないが、例えば、PBTの重縮合触媒として使用されている有機チタン化合物の触媒活性の失活や、末端構造として酢酸のグリコールエステル構造を有することによるOH末端封鎖による反応性基の減少に起因するものと考えられる。
【0009】
このような問題に対し、例えば特開昭61−233015号公報では、テレフタル酸1モルにつき1.7モルの1,4−ブタンジオールを用い、かつエステル化触媒としてチタン化合物を使用し、100〜250℃の温度範囲内で、大気圧以下の圧力下でエステル化反応を行い、次いで重縮合する方法が提案されている。
【0010】
また、特開昭61−233016号公報では、テレフタル酸1モルにつき1.5モルの1,4−ブタンジオールを用い、かつエステル化触媒としてスズ化合物を使用し、100〜250℃の温度範囲内でエステル化反応を行い、次いで重縮合する方法が提案されている。
【0011】
しかしながら、これらの従来法によっても、重縮合反応の遅延現象の改良効果は、いまだに十分とはいえないものであった。
【0012】
一方、ジメチルテレフタレート(DMT)を出発原料とするPBTの製造法において、アルカリ性金属化合物を添加する方法が、例えば特開昭57−147516号、特開平6−234909号および特開平8−253572号公報などにより公知であるが、これらの方法は、いずれもPBTにおいて重要視される耐湿熱性を改良するために、カルボキシル基濃度を低減化する方法としてアルカリ性金属化合物を添加するものであって、酢酸を含有するテレフタル酸を原料として用いたPBTの製造法における重縮合反応の遅延現象の改良を対象としたものではない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、酢酸を含有するテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを原料として使用し、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応を行う場合に、重縮合反応の遅延を大幅に低減してこれを円滑に行うと共に、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールをそのまま回収してエステル化工程に有効に再利用することができ、しかも、品質の向上したPBTを得ることができるPBTの製造法を確立することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のPBTの製造法は、酢酸を含有するテレフタル酸と、1,4−ブタンジオールとをエステル化反応し、次いで重縮合反応することからなるポリブチレンテレフタレートの製造法において、前記エステル化反応開始からエステル化反応終了までのエステル化反応中に、アルカリ性化合物を前記1,4−ブタンジオールに混合して順次添加することを特徴とする。
【0016】
なお、本発明のPBTの製造法においては、前記アルカリ性化合物が、強塩基と弱酸との反応により生じる弱アルカリ性化合物またはアミン化合物であり、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、アニリンおよびピリジンから選ばれた少なくとも1種であること、前記アルカリ性化合物を前記酢酸を含有するテレフタル酸100重量部に対し0.001〜1.0重量部添加すること、前記エステル化反応を有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で行なうこと、前記エステル化反応を101kPa以下の減圧下で行なうこと、および前記重縮合反応終了以前の任意の段階で更にリン化合物を添加することが、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することにより、一層すぐれた効果の取得を期待することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明におけるPBTとは、主たるジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、主たるグリコール成分として1,4−ブタンジオールを用いた、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルを意味する。
【0019】
そして、本発明で使用するテレフタル酸としては、テレフタル酸100重量部に対して0.01〜0.3重量部の酢酸を含有するものを使用することができ、その他の酸成分として、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの芳香族、脂肪族、脂環族ジカルボン酸を、また、1,4−ブタンジオール以外のその他のグリコール成分として、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを用いることもできる。なお、これらの共重合成分は、それぞれテレフタル酸または1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
【0020】
また、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとの比は、1,4−ブタンジオールの分解によるテトラヒドロフランの副生などの副反応を抑制するために、1,4−ブタンジオールのテレフタル酸に対するモル比が1.1〜2.0の範囲であることが好ましい。
【0021】
1,4−ブタンジオール成分の添加方法としては、その分解などの副反応を抑制するために、特開昭61−163928号公報で公知の、エステル化反応からの生成水の留出が始まった時点から反応終了までの反応途中に、均等量を連続的に追加添加する方法が好ましい。
【0022】
本発明によれば、上述したように、酢酸を含有するテレフタル酸を用いた場合において、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオール中に酢酸および酢酸のグリコールエステルが存在するが、その酢酸および酢酸のグリコールエステルが、酢酸換算でテレフタル酸成分100重量部に対して10重量部以下、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下にある間は、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールをそのまま回収再利用することができる。
【0023】
なお、本発明においては、重縮合工程から留出する1,4−ブタンジオールは、そのまま使用してもよいが、エステル化反応工程に供給する前に、精留などにより精製してもよいし、重縮合留出液に含まれる酢酸のグリコールエステルをケン化などにより適宜除去して、酢酸のグリコールエステルの量を調節したものを用いてもよい。
【0024】
本発明でエステル化交換触媒として用いられる有機チタン化合物は、特に限定されるものではないが、式(R1 O)n Ti(OR2 4-n (ただし、式中のR1 、R2 は炭素数1〜l0の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数を含む)である。)で表されるチタン酸エステルおよび縮合物が好ましい。
【0025】
このチタン酸エステルおよび縮合物の具体例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステルなどが挙げられるが、これらの内でも、チタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステルなどが好ましく、特にチタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが好ましい。
【0026】
これらの有機チタン化合物は1種のみの添加でもよく、2種以上を併用することもできる。
【0027】
本発明における有機チタン化合物の添加量は、生成するPBT100重量部に対して0.01〜0.15重量部、特に0.02〜0.1重量部の範囲にあることが好ましい。
【0028】
本発明でエステル化反応触媒として用いることができる有機スズ化合物は、特に限定されるものではないが、下記一般式で表される化合物およびその縮合体が好ましい。
【0029】
【化1】
Figure 0004552243
(ただし、式中のRはアルキル基またはアリール基、X1 〜X4 はアルキル基、アリール基、アリルオキシ基、シクロヘキシル基、ヒドロキシ基、ハロゲンなどを含む1価の基を示し、同一であっても異なっていてもよい。また、X5 は硫黄または酸素原子を示す。)
これら有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイドおよびブチルヒドロキシスズオキサイドなどが挙げられるが、これらの内でも、特にモノアルキルズズ化合物が好ましい。
【0030】
また、他の有機スズ化合物として、スタンノン酸も用いることができ、この場合にはメチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸などのアルキルスタンノン酸が好ましい。
【0031】
これらの有機スズ化合物は、1種のみの使用でもよく、2種以上を併用することもできる。
【0032】
本発明における有機スズ化合物の添加量は、生成するPBT100重量部に対して0.02〜0.15重量部、特に0.03〜0.1重量部の範囲が好ましい。
【0033】
上記エステル化反応触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、エステル化反応直前または反応初期から反応終了までの任意の段階で添加することができる。
【0034】
さらに、本発明の重縮合反応においては、反応を効果的に進める上で、必要な触媒を別途添加、使用することができ、通常使用されている触媒、例えば三酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどのアンチモン化合物、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドなどの有機ジルコニア化合物、前記有機チタン化合物、前記スズ化合物などを、PBT100重量部に対して0.001〜0.15重量部の範囲で添加することが好ましく、特に有機チタン化合物を使用するのが好ましい。
【0035】
本発明で用いることができるアルカリ性化合物は、特に限定されるものではないが、周期律表Ia族(アルカリ金属)、IIa族(アルカリ土類金属)の水酸化物、無機酸塩、有機酸塩、例えば酢酸塩、炭酸塩またはこれらの水和物、錯塩、アンモニウム塩などがあり、また、アミン化合物なども用いることができる。
【0036】
その具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、アニリンおよびピリジンなどを挙げることができる。これらの内でも、強塩基と弱酸との反応により生じる弱アルカリ性化合物またはアミン化合物を特に好ましく使用することができる。
【0037】
これらのアルカリ性化合物は、1種のみの使用でもよく、2種以上を併用することもできる。
【0038】
本発明において、上記アルカリ性化合物は、テレフタル酸に含有されている酢酸が、エステル化反応の進行とともに反応系中に順次拡散すること、および初期の一括添加ではアルカリ性化合物が全てテレフタル酸と反応してしまうことから、エステル化反応開始直後からエステル化反応終了までの反応途中に、均等量を連続的に順次添加する方法、具体的には追加添加する1,4−ブタンジオールに混合して順次添加する方法により添加される
【0039】
本発明におけるアルカリ性化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸100重量部に対して0.01〜1.0重量部、特に0.03〜0.5重量部の範囲が好ましい。
【0040】
本発明におけるエステル化反応は、特に限定されず、回分法または連続法などの通常のPBTの製造に用いられるエステル化反応条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度180〜250℃、好ましくは200〜240℃で、さらには、反応の遅延の原因となる不純物であると考えられる酢酸を反応系外に除去するという観点から、101kPa以下の減圧下で行うことがより好ましい。
【0041】
なお、全エステル化反応後のPBTオリゴマーの反応率は97%以上であることが好ましい。
【0042】
エステル化反応により得られたPBTオリゴマーは、次に重縮合反応に供される、この重縮合反応方法は特に限定されるものではなく、回分法および連続法などの通常のPBTの製造に用いられる重合条件をそのまま適用することができ、例えば反応温度としては230〜260℃が好ましく、240〜255℃がさらに好ましい。
【0043】
本発明の方法によりPBTを製造するに際しては、本発明の目的を損なわない範囲で、通常の添加剤、例えば紫外線吸収剤、熱安定剤、滑剤、離形剤、染料および顔料を含む着色剤などの1種または2種以上を添加することができる。
【0044】
本発明においては、特にリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、リン酸トリアミド、リン酸モノアンモニウム、リン酸トリメチル、リン酸ジメチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリフェニルおよびホスホン酸ジメチルフェニルなどのリン化合物を重縮合反応終了以前の段階で添加することとによって、得られるポリマーの色調改善に著しい効果を期待することができる。
【0045】
かくして、本発明によれば、酢酸を含有するテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを原料として使用し、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応を行う場合であっても、重縮合反応の遅延を大幅に低減してこれを円滑に行うと共に、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールをそのまま回収してエステル化工程に有効に再利用することができ、しかも品質にすぐれたポリブチレンテレフタレートを効率よく製造することができる。
【0046】
そして、本発明の方法により得られるPBTは、電気部品や自動車部品などの成形材料としてばかりか、フイルム用や繊維用としても広く用いることができる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0048】
なお、実施例中のエステル化反応の反応率は、反応物の酸価およびケン化価から次式にしたがって求めた値である。
【0049】
反応率={(ケン化価−酸価)/ケン化価}×100(%)
ここで、酸価とは、反応物をo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで滴定して得た値である。また、ケン化価とは、反応物をアルカリ加水分解し、酸で逆滴定した値である。
【0050】
また、カルボキシル末端基濃度は、ポリマーをo−クレゾール/クロロホルム溶媒に溶解し、エタノール性水酸化カリウムで滴定して測定した値である。
比較例1]
酢酸の含有量がテレフタル酸100重量部に対して0.13重量部であるテレフタル酸1132gおよび1,4−ブタンジオール798g(1,4−ブタンジオール/テレフタル酸モル比1.3)とを用いてエステル化反応を行い、次いで重縮合反応を行った。
【0051】
すなわち、まずテレフタル酸の全量と、1,4−ブタンジオールの542gと、エステル化反応触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート0.8gおよびモノブチルヒドロキシスズオキサイド0.7gと、アルカリ性化合物としての水酸化ナトリウム1.132gとを、精留塔の付いた反応器に仕込み、190℃、79.9kPa下にエステル化反応を開始した後、徐々に昇温するとともに、残りの1,4−ブタンジオールを連続的に添加した。
【0052】
この反応物125gに、重縮合触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート0.08gと、リン酸0.01gとを添加し、250℃、67Paの条件で重縮合反応を行った。
[実施例1〜4
酢酸の含有量がテレフタル酸100重量部に対して0.13重量部であるテレフタル酸1132gおよび1,4−ブタンジオール798g(1,4−ブタンジオール/テレフタル酸モル比1.3)とを用いてエステル化反応を行い、次いで重縮合反応を行った。
【0053】
すなわち、まずテレフタル酸の全量と、1,4−ブタンジオール542gと、エステル化反応触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート0.8gおよびモノブチルヒドロキシスズオキサイド0.7gとを、精留塔の付いた反応器に仕込み、190℃、79.9kPa下にエステル化反応を開始した後、徐々に昇温するとともに、表1記載のアルカリ性化合物の所定量を、残りの1,4−ブタンジオールと混合し、反応中に連続的に順次添加した。
【0054】
この反応物125gに、重縮合触媒としてのテトラ−n−ブチルチタネート0.08gと、リン酸0.01gとを添加し、250℃、67Paの条件で重縮合反応を行った。
[比較例
上記実施例との比較のために、アルカリ性化合物を添加しないこと以外は、上記実施例と同様の条件でエステル化反応、重縮合反応を行った。
【0055】
このようにして得られた種類のPBTについて、エステル化反応時間および反応率、重縮合反応時間、ポリマーのカルボキシル末端基濃度を評価した結果を表1に示した。
【0056】
なお、表1中のアルカリ性化合物の添加量は、使用したテレフタル酸(TPA)100重量部当りの重量部(部)数を示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004552243
表1の結果から明らかなように、本発明のPBTの製造法によれば、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応の遅延を大幅に低減化することができ、カルボキシル末端基量の少ない品質のすぐれたPBTを効率的に得ることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のPBTの製造法によれば、酢酸を含有するテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを原料として使用し、エステル化反応およびそれに続く重縮合反応を行う場合であっても、重縮合反応の遅延を大幅に低減してこれを円滑に行うと共に、重縮合反応で留出する1,4−ブタンジオールをそのまま回収してエステル化工程に有効に再利用することができ、しかも品質にすぐれたポリブチレンテレフタレートを効率よく製造することができる。

Claims (6)

  1. 酢酸を含有するテレフタル酸と、1,4−ブタンジオールとをエステル化反応し、次いで重縮合反応することからなるポリブチレンテレフタレートの製造法において、前記エステル化反応開始からエステル化反応終了までのエステル化反応中に、アルカリ性化合物を前記1,4−ブタンジオールに混合して順次添加することを特徴とするポリブチレンテレフタレートの製造法。
  2. 前記アルカリ性化合物が、強塩基と弱酸との反応により生じる弱アルカリ性化合物またはアミン化合物であり、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、アニリンおよびピリジンから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
  3. 前記アルカリ性化合物を、前記酢酸を含有するテレフタル酸100重量部に対し、0.01〜1.0重量部添加することを特徴とする請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
  4. 前記エステル化反応を、有機チタン化合物と有機スズ化合物との存在下で行なうこと特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
  5. 前記エステル化反応を、101kPa以下の減圧下で行なうことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
  6. 前記重縮合反応終了以前の任意の段階で、更にリン化合物を添加することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のポリブチレンテレフタレートの製造法。
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