JP4551696B2 - 水素製造システム、燃料電池システム及び水素製造方法 - Google Patents
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Description
このため、システム起動時の加熱に関しては、改質触媒は改質器バーナーから熱を受け取ることができるが、シフト触媒とプロックス触媒は、熱を受け取ることができない。従って、これらの触媒については別途加温する工夫が必要となる。
また、このようなスチーム循環方式では、露点以下でスチームを導入すると、触媒層に水が溜まり、触媒が濡れる。触媒が濡れると、触媒としての性能が低下したり、触媒が粉化する問題が生じる。また、溜まった水を蒸発する必要があり、加温に時間を要する。そこで、各触媒の温度が水の露点を超えた後であれば、原料水を循環させることにより、温まり易い改質触媒廻りの熱を、シフト触媒とプロックス触媒に与えることができる。しかし、この場合、各触媒の温度を露点まで上げるために、上記のようなヒーターで加熱する方法や、燃焼ガスで温める方法が別途必要となる。
第一の媒体流路をシステム内に設けることで、CO変成器内の触媒温度が、水の露点以下の状態の場合でも、システム起動時に、CO変成器を加温することができる。
第二の媒体流路をシステム内に設けることで、CO除去器内の触媒温度が、水の露点以下の状態の場合でも、システム起動時に、CO除去器を加温することができる。
本発明では、このように、システム起動時に、予めCO変成器とCO除去器を第一及び第二の媒体流路で加温することにより、従来のシステムよりも起動時間を短縮することができるようになる。
このように、起動時及び定常運転時に、CO変成器及び/又はCO除去器に供給される媒体を、同一の媒体源から供給することで、システムをより簡略化することができる。
このような流路を設けることで、水を媒体としても、また、反応原料としても利用でき、システムをコンパクト化できる。
本システムでは、起動時間が短縮された水素製造システムから水素が供給されるので、効率的に発電を行うことができる。
このような流路を設けることで、加温された媒体を燃料電池スタックに供給でき、スタックの循環水の温度を上昇することにより、燃料電池スタック側の起動時間を早めることができる。
第一及び/又は第二の媒体流路を用いて各反応器を加熱又は除熱することで、システムの起動時間が短縮され、その結果、水素を効率的に製造することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる水素製造システムの構成を示す図である。
この図に示す水素製造システム10は、原料タンク12、脱硫器14、脱硫原料タンク15、気化器16、ボイラー17、28、改質器18、改質器バーナー(熱源)19、CO変成器20、CO除去器22、循環水タンク(媒体源)24、エア供給源26、ブロワー27、熱媒体流路(第一の媒体流路、第二の媒体流路)30等から主に構成されている。
炭化水素原料としては、例えば、メタン、LPG(液化天然ガス)、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油等が挙げられる。これらのうち、輸送が容易な液体燃料の中では供給網が発達し、全国各地で入手が容易であること、また、ガソリン等と比較して取り扱い易いことから、灯油が好ましい。
脱硫剤としては、例えば、活性炭、ゼオライト又は金属系の吸着剤等が好ましい。原料が灯油等の重質の炭化水素である場合は、特開2001−279255号公報に示すように、Ni系あるいはNi−Cu系脱硫剤が好ましい。
脱硫された炭化水素原料(脱硫原料)は、脱硫原料タンク15に貯えられた後、ポンプP3により汲み上げられ、気化器16に供給される。
スチーム源の水は、循環水タンク24からポンプP4により汲み上げられ、ボイラー17に供給される。このとき、切替弁V1を開き、V2を閉じることで、ボイラー17だけに水を供給することができる。
改質触媒は、例えば、Ru,Rh,Pt,Pd等の貴金属や、Ni,Co等の金属を、活性金属成分として用いている。この中で、特にRuを活性金属成分とした触媒が好ましく用いられる。
水素と共に改質器18から発生する高温の排気ガスは、スチームを発生させるボイラー17の熱源として利用される。これにより、システム全体のエネルギー効率を高めることができる。
シフト触媒としては、特に限定されないが、Pt等の貴金属や、Cu、Zn、Fe等の金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
プロックス触媒としては、特に限定されないが、Ru、Pt、Au等の貴金属を活性金属としたもの等を好適に用いることができる。
具体的には、これらの触媒を、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上まで加熱する。このように、触媒と直に接触しない熱媒体流路30内にスチームを流通させることにより、触媒温度が水の露点以下の状態の場合でも、このスチームの熱を介して加温することができる。スチームは、改質器バーナー19廻りに設置したボイラー28内に、水を流すことで発生させる。スチーム源の水は、循環水タンク24からポンプP4により汲み上げられ、ボイラー28に供給される。このとき、切替弁V2を開き、V1を閉じることで、ボイラー28だけに水を供給することができる。ボイラー28で発生したスチームは、熱媒体流路30内を流通した後、循環水タンク24に回収され、再利用される。本実施形態では、このスチームを回収することにより、循環水タンク24内の水を温めることができる。
図2は、本発明の他の実施形態にかかる燃料電池システムの構成を示す図である。
この図に示すように、燃料電池システム40は、実施形態1の水素製造システム10、燃料電池スタック50、気水分離器56等から主に構成されている。
図3は、本発明の他の実施形態にかかる水素製造システムの構成を示す図である。本実施形態は、水素製造システム10’起動時に、CO変成器20、CO除去器22を加熱するスチームが流れる熱媒体流路30が実施形態1と異なっており、それ以外の部分については実施形態1と同じである。実施形態1と同じ部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
本実施形態では、システム起動時に、まず、ボイラー28で発生させたスチームを、熱媒体流路30内に流通させ、CO変成器20内のシフト触媒と、CO除去器22内のプロックス触媒に熱を伝達する。この熱媒体流路30は、改質運転時、即ち、定常運転時にはCO変成器20、CO除去器22を除熱するための冷却水流路として機能するが、システム起動時はCO変成器20、CO除去器22を加熱するための熱媒体流路として機能する。尚、システム起動時は、スチームが気化器16の方に流れないように切替弁V3は閉じられている。また、CO除去器22を通過したスチームが循環水タンク24に回収されるように切替弁V4は閉じられており、切替弁V5は開いている。
図4は、本発明の他の実施形態にかかる燃料電池システムの構成を示す図である。本実施形態は、水素製造システム10の代わりに実施形態3の水素製造システム10’を備えている点が実施形態2と異なっており、それ以外の部分については実施形態2と同じである。実施形態2と同じ部分については、同一の符号を付し説明を省略する。
本実施形態では、システム10’で製造した水素を用いて実施形態2と同様にして、燃料電池スタック50において直流電力を発生させることができる。
また、本実施形態では、実施形態2と同様、スチームが回収されて、循環水タンク24内の水が温められているので、この水が供給される燃料電池スタック50側の起動が早まり、その結果、燃料電池システム40全体の起動時間を低減することができる。
例えば、実施形態1及び3の水素製造システムでは、CO変成器20及びCO除去器22が設けられているが、CO変成器20のみを設けてもよい。
また、実施形態1及び3の水素製造システムでは、ボイラー28を改質器バーナー19の周囲に設けたが、バーナー着火後、速やかに温度が上がる改質器内部に設けてもよい。
また、実施形態1ではCO変成器20及びCO除去器22の周囲に熱媒体流路30を設け、実施形態3ではCO変成器20及びCO除去器22内部の冷却水流路を熱媒体流路30としたが、CO変成器20及びCO除去器22内部に、冷却水流路とは別の熱媒体流路を設けてもよい。本発明では、CO変成器及びCO除去器に熱を伝達する媒体が、反応器内の触媒に直に接触しなければ、媒体流路の設置場所は特に制限されない。
また、実施形態1〜4では、システム内を循環する水を循環水タンク24に回収して再利用しているが、循環水の温度が上がりすぎた場合(例えば、循環水量が少ない場合や触媒量が少ない場合等)は、システムの系外に排水する仕様としても構わない。また、直接循環水タンク24に水を返さず、循環水タンク24において熱交換を行い、その熱で循環水タンク24を加熱してもよい。
12 原料タンク
14 脱硫器
16 気化器
17、28 ボイラー
18 改質器
19 改質器バーナー(熱源)
20 CO変成器
22 CO除去器
24 循環水タンク(媒体源)
26 エア供給源
27 ブロワー
30 熱媒体流路(第一の媒体流路、第二の媒体流路)
40、40’ 燃料電池システム
50 燃料電池スタック
52 アノード
54 カソード
56 気水分離器
Claims (8)
- 炭化水素原料から水素を発生させる改質器と、
前記水素と共に発生した一酸化炭素を二酸化炭素に変成させるCO変成器と、
前記改質器を加熱する熱源と、
前記熱源からスチームを介して前記CO変成器に熱を伝達する第一の媒体流路と、
を有する水素製造システム。 - さらに、前記CO変成器により変成されなかった一酸化炭素を除去するCO除去器と、
前記熱源からスチームを介して前記CO除去器に熱を伝達する第二の媒体流路と、
を有する請求項1に記載の水素製造システム。 - さらに、水を供給する媒体源を有し、
起動時には、前記媒体源が、前記熱源に、水を供給し、前記熱源により加熱して発生したスチームが、前記CO変成器及び/又は前記CO除去器に供給され、
定常運転時には、前記媒体源が、水を、前記CO変成器及び/又は前記CO除去器に供給する請求項2に記載の水素製造システム。 - 前記媒体源の水を、前記改質器、前記CO変成器及び前記CO除去器の少なくとも一つの反応器に伝達し、前記少なくとも一つの反応器の反応原料に利用する流路を有する請求項3に記載の水素製造システム。
- 前記熱源が改質器バーナーである請求項1〜4のいずれか一項に記載の水素製造システム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の水素製造システムを有する燃料電池システム。
- 前記水素製造システムが使用した水を、燃料電池スタックに供給する流路を有する請求項6に記載の燃料電池システム。
- 起動時に、第一及び/又は第二の媒体流路を用いて、CO変成器及び/又はCO除去器を加熱し、定常運転時に、前記第一及び/又は第二の媒体流路を用いてCO変成器及び/又はCO除去器の除熱を行う請求項2〜5のいずれか一項に記載のシステムを用いた水素製造方法。
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